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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118052
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】半導体装置およびセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20230817BHJP
   G01L 17/00 20060101ALI20230817BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G01L9/00 303P
G01L17/00 301A
G01P15/08 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166929
(22)【出願日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2022020497
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022020498
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ウィルフリード ヘラー
(72)【発明者】
【氏名】藤田 有真
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA12
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE14
2F055FF43
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】圧力センサおよび加速度センサを共通の封止樹脂でパッケージングした半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、内部に空洞を有するセンサ構造体と、前記センサ構造体の端面から前記空洞に向かって延び、前記センサ構造体の外部から気体を前記空洞に導く気体導管と、前記センサ構造体の内部に形成され、前記気体導管を介して前記空洞に導かれた気体の圧力の作用によって振動可能なメンブレンを有する圧力センサと、前記センサ構造体の内部に形成され、前記センサ構造体に作用した加速度を検出する加速度センサと、前記センサ構造体を被覆する封止樹脂とを含み、前記気体導管は、前記空洞側の内側端部および前記センサ構造体の前記端面側の外側端部を含み、前記気体導管の前記外側端部は、前記封止樹脂の端面で開口している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞を有するセンサ構造体と、
前記センサ構造体の端面から前記空洞に向かって延び、前記センサ構造体の外部から気体を前記空洞に導く気体導管と、
前記センサ構造体の内部に形成され、前記気体導管を介して前記空洞に導かれた気体の圧力の作用によって振動可能なメンブレンを有する圧力センサと、
前記センサ構造体の内部に形成され、前記センサ構造体に作用した加速度を検出する加速度センサと、
前記センサ構造体を被覆する封止樹脂とを含み、
前記気体導管は、前記空洞側の内側端部および前記センサ構造体の前記端面側の外側端部を含み、
前記気体導管の前記外側端部は、前記封止樹脂の端面で開口している、半導体装置。
【請求項2】
前記センサ構造体の前記端面および前記気体導管の前記外側端部は、前記封止樹脂の前記端面と面一に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記センサ構造体の前記端面の外郭線が全周にわたって前記封止樹脂の前記端面に露出しており、
前記センサ構造体の前記端面は、前記封止樹脂の前記端面に取り囲まれている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記センサ構造体は、半導体基板を含み、
前記気体導管は、前記半導体基板に形成され、前記空洞と前記半導体基板の端面とを接続するトレンチと、前記トレンチの内面に形成された導管用絶縁膜とを含み、
前記導管用絶縁膜は、前記トレンチの前記空洞側の内側端部から前記トレンチの前記半導体基板の前記端面側の外側端部まで前記トレンチの長さ方向に沿って延び、前記トレンチの深さ方向上端で閉塞する管状に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板は、シリコン基板を含み、
前記導管用絶縁膜は、酸化シリコン膜を含む、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板は、第1半導体基板と、前記第1半導体基板上に積層された前記第2半導体基板との積層構造を有し、
前記メンブレンは、前記第1半導体基板に形成されており、
前記第2半導体基板は、前記空洞の底部を形成し、かつ前記メンブレンを覆う保護層を含み、
前記保護層には、前記気体導管を介して前記空洞に導かれた気体を前記メンブレンへ流通可能にする貫通孔が形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
規則的に配列された複数の前記貫通孔が、前記保護層に形成されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の貫通孔は、複数の貫通スリットを含む、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記センサ構造体と前記封止樹脂との間に介在し、前記センサ構造体を被覆する液状硬化性封止材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記センサ構造体は、前記液状硬化性封止材により被覆された第1被覆部と、前記第1被覆部から突出し、前記液状硬化性封止材に非接触で、かつ前記封止樹脂に直接的に被覆された第2被覆部とを含み、
前記気体導管は、前記第1被覆部から前記第2被覆部を介して前記封止樹脂の前記端面まで延びている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記液状硬化性封止材は、シリコーン樹脂を含む、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記加速度センサは、固定電極と、前記固定電極に対向する可動電極とを含む静電容量型加速度センサを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記センサ構造体が積層された上面を有し、前記圧力センサおよび前記加速度センサに電気的に接続された制御回路を含む回路基板をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記回路基板および前記センサ構造体を支持する支持基板をさらに含み、
前記封止樹脂は、前記支持基板の上面領域において前記回路基板および前記センサ構造体を被覆している、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
タイヤの内圧情報を検出するタイヤ空気圧センサとして使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
タイヤの内圧情報を検出するセンサモジュールであって、
請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置で検出したタイヤの内圧情報を受信機に送信する送信機とを含む、センサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧力センサを含む半導体装置およびセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、MEMSセンサを開示している。前記MEMSセンサは、第1面およびその反対側の第2面を有し、第1面にキャビティを有するシリコン基板と、第1面およびその反対側の第2面を有し、第2面がシリコン基板の第1面に直接接合されたシリコンダイヤフラムと、シリコンダイヤフラムの第1面に形成されたピエゾ抵抗とを含み、シリコン基板の第1面の面方位と、シリコンダイヤフラムの第1面の面方位とが互いに異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-25966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、圧力センサおよび加速度センサを共通の封止樹脂でパッケージングした半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、内部に空洞を有するセンサ構造体と、前記センサ構造体の端面から前記空洞に向かって延び、前記センサ構造体の外部から気体を前記空洞に導く気体導管と、前記センサ構造体の内部に形成され、前記気体導管を介して前記空洞に導かれた気体の圧力の作用によって振動可能なメンブレンを有する圧力センサと、前記センサ構造体の内部に形成され、前記センサ構造体に作用した加速度を検出する加速度センサと、前記センサ構造体を被覆する封止樹脂とを含み、前記気体導管は、前記空洞側の内側端部および前記センサ構造体の前記端面側の外側端部を含み、前記気体導管の前記外側端部は、前記封止樹脂の端面で開口している。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態に係る半導体装置によれば、圧力センサおよび加速度センサが共通の封止樹脂で被覆されているので、半導体装置の周囲の圧力および半導体装置に作用する加速度の両方を1つのチップで検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な斜視図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な側面図である。
図3図3は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
図4図4は、図1の第1半導体基板のセンサ構造を示す模式的な平面図である。
図5図5は、図1の第2半導体基板のセンサ構造を示す模式的な平面図である。
図6図6は、圧力センサの断面構造を模式的に示す図である。
図7図7は、前記第2半導体基板の第2キャビティと、前記第2キャビティから延びる気体導管の立体的形状を示す図である。
図8図8は、加速度センサの断面構造を模式的に示す図である。
図9図9A図9Cは、図6の気体導管の形成に関連する工程を示す図である。
図10A図10Aは、複数の前記半導体装置の個片化に関連する工程を示す図である。
図10B図10Bは、図10Aの次の工程を示す図である。
図10C図10Cは、図10Bの次の工程を示す図である。
図11図11は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置の模式的な斜視図である。
図12図12は、図1の第1半導体基板のセンサ構造を示す模式的な平面図である。
図13図13は、図1の第2半導体基板のセンサ構造を示す模式的な平面図である。
図14A図14Aは、複数の前記半導体装置の個片化に関連する工程を示す図である。
図14B図14Bは、図14Aの次の工程を示す図である。
図15図15は、前記半導体装置をタイヤ空気圧センサとして使用する場合の設置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
[第1実施形態に係る半導体装置1の全体構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な斜視図である。図2は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な側面図である。図3は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。図1および図3では、半導体装置1の内部構造の明瞭化のため、封止樹脂8の内部を透視して示している。
【0010】
以下では、互いに直交する3方向を第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zと定義する。第3方向Zは、半導体装置1の厚さ方向であってもよい。第1方向Xおよび第2方向Yは、それぞれ、半導体装置1の第1端面2Aおよび第3端面2C、ならびに第2端面2Bおよび第4端面2Dに沿う方向であってもよい。第1端面2Aおよび第3端面2Cは、互いに平行な面である。第2端面2Bおよび第4端面2Dは、第1端面2Aおよび第3端面2Cに直交し、かつ互いに平行な面である。
【0011】
半導体装置1は、複数の物理量を検出可能な複合センサである。この実施形態では、半導体装置1は、少なくとも気体圧力および加速度を検出するセンサである。半導体装置1は、複数のセンサが内蔵された半導体チップを封止樹脂8で被覆することによって形成された1つのオーバーモールドパッケージにより構成されている。半導体装置1は、たとえば直方体のチップ状に形成されている。半導体装置1のセンサ構造3がMEMS技術により形成されるので、半導体装置1は、MEMSセンサと称してもよい。
【0012】
半導体装置1は、支持基板4と、回路基板5と、センサ構造体6と、液状硬化性封止材7と、封止樹脂8とを含む。封止樹脂8は、支持基板4の上面領域において回路基板5、センサ構造体6および液状硬化性封止材7を一括して被覆している。センサ構造体6の一部を除いて、回路基板5、センサ構造体6および液状硬化性封止材7の周囲全体が封止樹脂8で被覆されている。外観からは、半導体装置1は、支持基板4と、支持基板4上に積層された封止樹脂8との積層構造を有している。支持基板4と封止樹脂8との積層構造の端面が、半導体装置1の第1~第4端面2A~2Dの周方向全体にわたって露出している。半導体装置1の第1~第4端面2A~2Dは、それぞれ、支持基板4および封止樹脂8の第1~第4端面2A~2Dと定義してもよい。
【0013】
支持基板4は、たとえば、公知のプリント回路板(PCB:Printed Circuit Board)、セラミック基板等の絶縁性基板であってもよい。支持基板4は、上面9および裏面10を有する四角形板状に形成されている。支持基板4の上面9は、各種素子チップが搭載される素子チップ面であり、支持基板4の裏面10は、実装基板に接合される実装面であってもよい。
【0014】
支持基板4の上面9には、複数の電極パッド11が形成されている。電極パッド11は、封止樹脂8の内部に配置された内部パッドである。支持基板4の裏面10には、複数の電極パッド11に対応する複数の端子パッド12(外部パッド)が形成されている。複数の端子パッド12は、たとえば支持基板4の厚さ方向において複数の電極パッド11に一対一で対向している。支持基板4を貫通する貫通電極(図示せず)を介して、端子パッド12および電極パッド11は互いに電気的に接続されている。複数の電極パッド11および複数の端子パッド12は、たとえば、支持基板4の第2方向Yの一方側端部に選択的に配置されている。
【0015】
回路基板5は、支持基板4の上面9に配置されている。回路基板5は、たとえば四角形板状のシリコン基板(シリコンチップ)により形成されている。回路基板5の内部には、センサ構造体6から出力された電気信号を増幅するチャージアンプ、当該電気信号の特定の周波数成分を取り出すフィルタ回路(ローパスフィルタ:LPF等)、フィルタリング後の電気信号を論理演算する論理回路等が形成されている。これらの回路は、たとえば、CMOSデバイスにより構成されている。
【0016】
回路基板5の上面13には、複数の電極パッド14(回路パッド)が形成されている。複数の電極パッド14は、たとえば回路基板5の外周縁に沿って間隔を空けて配列されている。第1配線部材15は、回路基板5の電極パッド14と支持基板4の電極パッド11とを電気的に接続している。第1配線部材15は、たとえば、金、銅、アルミニウム等のボンディングワイヤであってもよい。第1配線部材15は、第1ワイヤと称してもよい。
【0017】
センサ構造体6は、半導体装置1において複数のセンサ構造3が形成された複合チップである。この実施形態では、センサ構造体6は、複数のセンサとして圧力センサ16および加速度センサ17を含む。センサ構造体6は、たとえば四角形板状のシリコン基板(シリコンチップ)により形成されている。センサ構造体6は、回路基板5の上面13に配置されている。
【0018】
センサ構造体6は、この実施形態では、回路基板5によって下側から部分的に支持された被支持部18と、被支持部18から回路基板5の枠外に回路基板5から浮いた状態で延びる延出部19とを一体的に含む。センサ構造体6の延出部19は、延出部19と支持基板4との間に封止樹脂8の一部を挟み、かつ支持基板4の上面9に平行に延び、封止樹脂8の端面2A~2Dから露出している(図2参照)。センサ構造体6の延出部19は、封止樹脂8の第1~第4端面2A~2Dのうちの1つの端面(この実施形態では、第3端面2C)から選択的に露出している。
【0019】
センサ構造体6の上面20には、複数の電極パッド21(センサパッド)が形成されている。複数の電極パッド21は、たとえばセンサ構造体6の外周縁に沿って間隔を空けて配列されている。第2配線部材22は、センサ構造体6の電極パッド21と回路基板5の電極パッド14とを電気的に接続している。第2配線部材22は、たとえば、金、銅、アルミニウム等のボンディングワイヤであってもよい。第2配線部材22は、第2ワイヤと称してもよい。
【0020】
センサ構造体6は、第1半導体基板23、第2半導体基板24および蓋基板25を備えている。第1半導体基板23、第2半導体基板24および蓋基板25は、シリコン基板により形成されていてもよい。第1半導体基板23および第2半導体基板24には、それぞれセンサ構造3が形成されている。第1半導体基板23および第2半導体基板24は、それぞれ、第1センサチップおよび第2センサチップと称してもよい。蓋基板25は、第2半導体基板24の上面(後述する第1主面33)を被覆し、第2半導体基板24に形成されたセンサ構造3を外力から保護する。
【0021】
第1半導体基板23上に第2半導体基板24が積層されており、第2半導体基板24上に蓋基板25が積層されている。第1半導体基板23は、第2半導体基板24および蓋基板25に対して横方向(回路基板5の上面13に沿う方向)に引き出された引き出し部26を有している。引き出し部26上に、複数の電極パッド21が集約されている。引き出し部26は、センサ構造体6におけるパッド領域と称してもよい。
【0022】
図2を参照して、センサ構造体6の端面27Cは、封止樹脂8の第3端面2Cから露出している。センサ構造体6の端面27A~27Dは、第1半導体基板23、第2半導体基板24および蓋基板25の各端面の積層構造により形成されており、第3端面27Cが封止樹脂8の第3端面2Cと面一である。より具体的には、センサ構造体6は、第2方向Yにおいて対向する互いに平行な第1端面27Aおよび第3端面27Cと、第1方向Xにおいて対向する互いに平行な第2端面27Bおよび第4端面27Dとを有している。この実施形態では、センサ構造体6の第3端面27Cが封止樹脂8の第3端面2Cから露出し、残りの第1端面27A、第2端面27Bおよび第4端面27Dは、封止樹脂8に被覆されている。
【0023】
センサ構造体6の第3端面27Cの外郭線28は、全周にわたって封止樹脂8の第3端面2Cに露出している。センサ構造体6の第3端面27Cは、封止樹脂8の第3端面2Cに取り囲まれている。センサ構造体6の第3端面27Cでは、センサ構造体6の内部に気体を導く複数の気体導管29が開口している。図3を参照して、複数の気体導管29は、センサ構造体6の第3端面27C(封止樹脂8の第3端面2C)からセンサ構造体6の内部に向かって延び、センサ構造体6の内部に終端を有している。複数の気体導管29は、図3に示すように、互いに平行に延びる直線状であってもよい。複数の気体導管29は、図示しないが、それぞれが曲線状に形成されていてもよい。
【0024】
液状硬化性封止材7は、たとえば、液状の樹脂材料が硬化することにより形成された封止材である。液状硬化性封止材7は、たとえば、シリコーン樹脂等、封止用樹脂として広く使用される樹脂により形成されていてもよい。液状硬化性封止材7は定型を有しておらず、回路基板5およびセンサ構造体6の外面形状に沿った起伏面(曲面)を有する形状に形成されている。この実施形態では、液状硬化性封止材7は、回路基板5およびセンサ構造体6を選択的に被覆している。具体的には、回路基板5と、センサ構造体6の被支持部18とを被覆していてもよい。センサ構造体6の延出部19は、液状硬化性封止材7に被覆されず、液状硬化性封止材7と非接触であってもよい。
【0025】
封止樹脂8は、支持基板4と協働して半導体装置1の外形をなし、略直方体状に形成されている。封止樹脂8は、たとえばエポキシ樹脂等の公知のモールド樹脂からなり、液状硬化性封止材7に被覆された回路基板5およびセンサ構造体6をさらに被覆している。センサ構造体6の延出部19は、封止樹脂8に直接的に被覆されている。
【0026】
[センサ構造体6(センサチップ)の内部構造]
図4は、図1の第1半導体基板23のセンサ構造3を示す模式的な平面図である。図5は、図1の第2半導体基板24のセンサ構造3を示す模式的な平面図である。図6は、圧力センサ16の断面構造を模式的に示す図である。図7は、第2半導体基板24の第2キャビティ47と、第2キャビティ47から延びる気体導管29の立体的形状を示す図である。図8は、加速度センサ17の断面構造を模式的に示す図である。図6および図8は、圧力センサ16および加速度センサ17の断面構造の説明に必要な構成を抽出して示しており、図4および図5の特定位置での断面を示すものではないことを付記しておく。また、図4図8において、図1図3に示した構成要素と共通の構成要素の位置関係やサイズの比率が異なっている場合があることを付記しておく。
【0027】
図4図8を参照して、センサ構造体6は、第1半導体基板23および第2半導体基板24を含む基板積層構造30を有している。第1半導体基板23は、第1主面31(表面)と、その反対側の第2主面32(裏面)とを有している。第2半導体基板24は、第1主面33(表面)と、その反対側の第2主面34(裏面)とを有している。第1半導体基板23の第1主面31と第2半導体基板24の第2主面34とを対向させた姿勢で、第2半導体基板24は第1半導体基板23に接合されている。第1半導体基板23と第2半導体基板24との間は、接合部35によって互いに固定されている。接合部35は、図4図8では示されていないが、第2半導体基板24と蓋基板25との間も接合する。
【0028】
接合部35は、単に接合部材(Connection member)と称してもよいし、導電性相互連結部材(Conductive interconnection)、電気的相互連結部材(Electrical interconnection)等と称してもよい。接合部35は、たとえば、共晶接合、固液相互拡散(SLID:Solid Liquid InterDiffusion)接合、熱圧着(TC:ThermoCompression)接合、反応性ナノ構造材料による接合等によって接合されていてもよい。共晶接合の場合、接合部35は、Al-Ge、Au-Ge、Au―Si等であってもよい。固液相互拡散接合の場合、接合部35は、Cu-Sn等であってもよい。熱圧着接合の場合、接合部35は、Cu-Cu、Au-Au、Al-Al、Ti-Al、Ti-Ti等であってもよい。反応性ナノ構造材料による接合の場合、接合部35は、Ni-Al等であってもよい。これらの接合方法は、組み合わせて使用されてもよい。
【0029】
図4および図5を参照して、接合部35は、基板積層構造30において、複数のセンサ領域36,37を区画している。複数のセンサ領域36,37は、この実施形態では、第1センサ領域36および第2センサ領域37を含む。第1センサ領域36は、圧力センサ16の形成領域であり、第2センサ領域37は、加速度センサ17の形成領域であってもよい。第1センサ領域36および第2センサ領域37は、それぞれ接合部35によって閉じられた閉領域として形成されている。第1センサ領域36および第2センサ領域37は、互いに並んで配置されている。
【0030】
図4図7を参照して、圧力センサ16の構造について説明する。圧力センサ16は、第1センサ領域36に形成されている。圧力センサ16は、基板積層構造30の第1半導体基板23および第2半導体基板24を部分的に除去する加工によって形成されている。
【0031】
圧力センサ16は、メンブレン38と、ピエゾ抵抗R1~R4と、保護層39と、気体導管29とを含む。
【0032】
図6を参照して、メンブレン38は、第1半導体基板23の第1主面31に形成されている。メンブレン38は、たとえば、第1半導体基板23の選択的なエッチングによって形成することができる。エッチングによって第1半導体基板23に第1キャビティ40が形成されている。図4を参照して、第1キャビティ40は、第1半導体基板23のエッチングされていない部分からなる第1フレーム部41によって取り囲まれた部分である。
【0033】
図6を参照して、メンブレン38は、第1フレーム部41の内縁部に一体的に接続されて第1キャビティ40の上端を閉塞し、第1キャビティ40の上面を形成している。メンブレン38は、第1フレーム部41によって、第1半導体基板23の厚さ方向(第3方向Z)に振動可能に支持されている。図4を参照して、メンブレン38は、平面視略四角形状に形成されている。メンブレン38は、第1半導体基板23(この実施形態ではシリコン基板)の一部を利用して形成されているので、シリコンメンブレン、シリコンダイヤフラムと称してもよい。メンブレン38の厚さは、気体の圧力の作用によって振動可能な厚さであれば特に制限されず、たとえば、3μm以上30μm以下であってもよい。
【0034】
ピエゾ抵抗R1~R4は、たとえば、メンブレン38にボロン(B)等の不純物を導入することによりメンブレン38の第1主面31に形成された拡散抵抗であり、「ゲージ」と称してもよい。ピエゾ抵抗R1~R4は、平面視略四角形のメンブレン38の周方向に沿って略等間隔に配置されている。より具体的には、平面視において、第1ピエゾ抵抗R1はメンブレン38の第1辺42Aを横切って形成され、第2ピエゾ抵抗R2はメンブレン38の第2辺42Bを横切って形成され、第3ピエゾ抵抗R3はメンブレン38の第3辺42Cを横切って形成され、第4ピエゾ抵抗R4はメンブレン38の第4辺42Dを横切って形成されている。第1辺42Aおよび第3辺42Cは、第2方向Yにおいて対向する互いに平行な辺であってもよい。第2辺42Bおよび第4辺42Dは、第1方向Xにおいて対向する互いに平行な辺であってもよい。各ピエゾ抵抗R1~R4から配線(第1~第4配線43A~43D)が延び、電極パッド21に電気的に接続されている。
【0035】
電極パッド21は、たとえば、圧力センサ16用の第1パッド44A、第2パッド44B、第3パッド44C、第4パッド44Dおよび第5パッド44Eを含んでいてもよい。第1~第4パッド44A~44Dは、それぞれの接続対象に応じて、接地端子(GND)、負側電圧出力端子(Vout)、電圧印加用端子(Vdd)および正側電圧出力端子(Vout)と称してもよい。また、第5パッド44Eは、第5配線43Eを介して第1半導体基板23に接続された基板端子で、電圧印可用端子(Vdd)以上の電位にする。
【0036】
第1半導体基板23の第1主面31には、第1絶縁膜45が形成されていてもよい。第1絶縁膜45は、たとえば酸化シリコン膜であってもよい。第1絶縁膜45は、ピエゾ抵抗R1~R4を被覆していてもよい。
【0037】
保護層39は、第2半導体基板24の第2主面34に形成されている。保護層39は、基板積層構造30の厚さ方向(第3方向Z)においてメンブレン38に間隔を空けて対向している。保護層39とメンブレン38との間には、一定の高さの空間46が形成されている。空間46を隔てて、保護層39とメンブレン38とが対向している。空間46は、気体が流入する空間であり、気体流入空間46と称してもよい。
【0038】
保護層39は、たとえば、第2半導体基板24の選択的なエッチングによって形成することができる。エッチングによって第2半導体基板24に第2キャビティ47が形成されている。図5を参照して、第2キャビティ47は、第2半導体基板24のエッチングされていない部分からなる第2フレーム部48によって取り囲まれた部分である。
【0039】
図6を参照して、保護層39は、第2フレーム部48の内縁部に一体的に接続されて第2キャビティ47の下端を閉塞し、第2キャビティ47の底面を形成している。図5を参照して、保護層39は、平面視略四角形状に形成されている。保護層39の厚さは、メンブレン38の厚さよりも大きく、たとえば、10μm以上50μm以下であってもよい。
【0040】
図5図7を参照して、保護層39には、保護層39を厚さ方向に貫通する貫通孔49,50が形成されている。この実施形態では、複数の貫通孔49,50が、保護層39に形成されている。複数の貫通孔49,50は、互いにサイズが異なる第1貫通孔49および第2貫通孔50を含んでいてもよい。たとえば、図5に示すように複数の貫通孔49,50が直線状に延びる貫通スリットである場合、第1貫通孔49および第2貫通孔50は、互いに異なる長さを有していてもよい。図5では、第1貫通孔49が第2貫通孔50よりも長いスリットであり、第2貫通孔50が第1貫通孔49よりも短いスリットである。図示は省略するが、複数の貫通孔49,50が円形である場合、第1貫通孔49および第2貫通孔50は、互いに異なる径を有していてもよい。
【0041】
複数の貫通孔49,50は、保護層39の表面に規則的に配列されている。たとえば、複数の貫通孔49,50が行列状に配列されていてもよいし、千鳥状に配列されていてもよい。図5および図7では、複数の第1貫通孔49および複数の第2貫通孔50が千鳥状に配列されたパターンが示されている。たとえば、第2方向Yにおいて互いに間隔を空けて形成された複数の第1貫通孔49のグループと、第2方向Yにおいて互いに間隔を空けて形成された複数の第2貫通孔50のグループとが、第1方向Xに沿って交互に配列されている。これにより、斜め方向に第1貫通孔49および第2貫通孔50がそれぞれ連続しない千鳥状の配列パターンが構成されている。
【0042】
気体導管29は、図5を参照して、第2キャビティ47からセンサ構造体6の端面27A~27Dまで延びている。この実施形態では、第2キャビティ47の4つの側面51A~51Dのうちセンサ構造体6の第3端面27Cに平行な第3側面51Cから、第2フレーム部48を通ってセンサ構造体6の第3端面27Cまで延びている。第2キャビティ47の残りの側面である第1側面51Aはセンサ構造体6の第1端面27Aに平行であり、第2側面51Bはセンサ構造体6の第2端面27Bに平行であり、第4側面51Dはセンサ構造体6の第4端面27Dに平行であってもよい。
【0043】
図5および図7を参照して、気体導管29は、第2キャビティ47側の内側端部52およびセンサ構造体6の第3端面27C側の外側端部53を含む。気体導管29の外側端部53は、センサ構造体6の第3端面27Cで開口している。したがって、気体導管29の外側端部53は、封止樹脂8の第3端面2Cでも開口している(図2および図3参照)。図6および図7を参照して、気体導管29は、第2半導体基板24の第1主面33に形成されたトレンチ54と、トレンチ54の内面に形成された導管用絶縁膜55とによって形成されている。
【0044】
トレンチ54は、気体導管29の外郭線を形成する凹部である。トレンチ54は、第2キャビティ47の第3側面51Cからセンサ構造体6の第3端面27Cまでの第2フレーム部48の一部の直線領域を選択的に掘り下げることによって形成されている。トレンチ54は、開口端から深さ方向に向かって外側に湾曲する側面56を有し、かつ幅が徐々に広がる底部幅広形状を有している。トレンチ54は、たとえば、トレンチ54の開口端の位置において比較的狭い幅W1を有し、トレンチ54の底部57の近傍の位置において、幅W1に比べて広い幅W2を有していてもよい。たとえば、幅W1は、1μm以上2μm未満であり、幅W2は、2μm以上3μm以下であってもよい。また、トレンチ54の深さDは、10μm以上50μm以下であってもよい。
【0045】
導管用絶縁膜55は、トレンチ54の第2キャビティ47側の内側端部52からトレンチ54の第2半導体基板24の第3端面27C側の外側端部53までトレンチ54の長さ方向に沿って延びている。導管用絶縁膜55は、トレンチ54の深さ方向上端(トレンチ54の開口端)で閉塞する管状に形成されている。導管用絶縁膜55は、たとえば1μm程度の厚さを有していてもよい。
【0046】
より具体的には、導管用絶縁膜55は断面視において、トレンチ54の底部57から一対の側面56に沿って両方向に分岐して形成されており、トレンチ54の開口端において一体化された閉塞部58を有している。これにより、トレンチ54内部には、導管用絶縁膜55によって密封された気体流通用の空隙(気体流路59)が形成されている。気体流路59は、導管用絶縁膜55によって区画され、周面が絶縁材料で構成された細長い流路である。この実施形態では、導管用絶縁膜55は酸化シリコン膜により形成されており、気体流路59は酸化シリコン膜により区画されている。
【0047】
導管用絶縁膜55は、トレンチ54の内面のみに独立して形成された絶縁膜であってもよいが、図6に示すように、第2半導体基板24の第1主面33を被覆する第2絶縁膜60の一部がトレンチ54の内部に入り込んで形成された膜であってもよい。
【0048】
圧力センサ16では、気体導管29の外側端部53から気体流路59を介して、気体が第2キャビティ47に流入する。第2キャビティ47に流入した気体は、貫通孔49,50を通って空間46に流入してメンブレン38に作用する。この気体の圧力によってメンブレン38が振動して変形する。このときのメンブレン38の物理的な歪により生じるピエゾ抵抗R1~R4の抵抗変化量が検出され、気体圧力の大きさに対応した電気信号として取り出される。
【0049】
図4および図8を参照して、加速度センサ17の構造について説明する。加速度センサ17は、第2センサ領域37に形成されている。加速度センサ17は、基板積層構造30の第1半導体基板23を部分的に除去する加工によって形成されている。加速度センサ17は、第2半導体基板24によって覆われて密閉されている。
【0050】
加速度センサ17は、X軸センサ61およびY軸センサ62を含む。X軸センサ61は、センサ構造体6に作用する第1方向Xの加速度を検出する。Y軸センサ62は、センサ構造体6に作用する第2方向Yの加速度を検出する。X軸センサ61およびY軸センサ62は、第1方向Xに間隔を空けて互いに隣り合っている。Y軸センサ62は、X軸センサ61を平面視で90°回転させたものとほぼ同じ構成を有している。以下では、X軸センサ61の内部構造を具体的に説明する。Y軸センサ62の内部構造については、図4においてX軸センサ61と同じ参照符号を付すことによって説明を省略する。
【0051】
X軸センサ61は、第1半導体基板23の第1主面31側に形成された第3キャビティ63の底面から浮いた状態で形成されている。第3キャビティ63は、第1半導体基板23の選択的なエッチングによって形成することができる。図4を参照して、第3キャビティ63は、第1半導体基板23のエッチングされていない部分からなる第1フレーム部41によって取り囲まれた部分である。つまり、第1半導体基板23には、第1フレーム部41によって取り囲まれた2つの第3キャビティ63と、第1キャビティ40とが第1方向Xに並んで配置されている。
【0052】
X軸センサ61は、それぞれ第1半導体基板23の一部からなる、櫛歯状の固定電極64と、固定電極64に組み合わされた櫛歯状の可動電極65とを含む。固定電極64は、第1接続部66を介して第1フレーム部41に支持されている。可動電極65は、第1方向Xにおいて伸縮自在な弾性構造(第2接続部67)を介して第1フレーム部41に支持されている。X軸センサ61が加速度を受けると、可動電極65に繋がる第2接続部67が伸縮する。このときの第2接続部67の移動距離が、固定電極64と可動電極65との間の静電容量の変化として検出され、加速度に対応した電気信号として取り出される。
【0053】
第1フレーム部41には、固定電極64用の第1隔離構造68と、可動電極65用の第2隔離構造69とが形成されている。
【0054】
第1隔離構造68は、第1隔離結合部70によって取り囲まれた、第1半導体基板23の一部である。第1隔離結合部70は、第1半導体基板23の第1主面31から第3キャビティ63まで延び、第3キャビティ63内に露出した端部を有している。第1隔離結合部70は、絶縁膜からなる。この実施形態では、第1隔離結合部70は、酸化シリコン膜からなる。第1隔離結合部70は、第1隔離構造68を、第1半導体基板23の他の部分から電気的に隔離する。第1隔離構造68上には、固定電極64用の第1コンタクト部71が形成されている。第1コンタクト部71は、第1隔離構造68および図示しない配線を介して固定電極64に電気的に接続されている。
【0055】
第2隔離構造69は、第2隔離結合部72によって取り囲まれた、第1半導体基板23の一部である。第2隔離結合部72は、第1半導体基板23の第1主面31から第3キャビティ63まで延び、第3キャビティ63内に露出した端部を有している。第2隔離結合部72は、絶縁膜からなる。この実施形態では、第2隔離結合部72は、酸化シリコン膜からなる。第2隔離結合部72は、第2隔離構造69を、第1半導体基板23の他の部分から電気的に隔離する。第2隔離構造69上には、可動電極65用の第2コンタクト部73が形成されている。第2コンタクト部73は、第2隔離構造69および図示しない配線を介して可動電極65に電気的に接続されている。
【0056】
第1コンタクト部71および第2コンタクト部73から配線(第1~第4配線74A~74D)が延び、電極パッド21に電気的に接続されている。電極パッド21は、たとえば、加速度センサ17用の第1パッド75A、第2パッド75B、第3パッド75C、第4パッド75Dおよび第5パッド75Eを含んでいてもよい。第1パッド75Aおよび第2パッド75BはX軸センサ61用のパッドであり、第3パッド75Cおよび第4パッド75DはY軸センサ62用のパッドである。第5パッド75Eは、第5配線74Eを介して第1半導体基板23に接続された基板端子である。
【0057】
[第1実施形態に係る気体導管29の露出構造の形成方法]
図9A図9Cは、図6の気体導管29の形成に関連する工程を示す図である。図10A図10Cは、複数の半導体装置1の個片化に関連する工程を示す図である。
【0058】
前述のように、半導体装置1は、気体導管29が導管用絶縁膜55によって形成され、かつ当該導管用絶縁膜55が封止樹脂8から露出する構造を有している。この気体導管29の露出構造の形成方法を、図9A図9Cおよび図10A図10Cを参照して説明する。
【0059】
図9Aを参照して、気体導管29を形成するには、まず、トレンチ54が第2半導体基板24に形成される。トレンチ54は、たとえば、異方性のディープRIE(Reactive Ion Etching)によって形成されてもよい。次に、図9Bおよび図9Cを参照して、トレンチ54が形成された第2半導体基板24が熱酸化処理され、トレンチ54の内面が酸素雰囲気に晒される。これにより、トレンチ54の内面に導管用絶縁膜55が形成される。熱酸化処理は、図9Bに示すようにトレンチ54の内面からトレンチ54の空間部分に絶縁膜が成長する過程を経て、図9Cに示すようにトレンチ54の開口端でトレンチ54内部が絶縁膜で密閉されるまで継続する。これにより、トレンチ54に導管用絶縁膜55が形成され、かつ導管用絶縁膜55の内部に気体流路59が形成される。なお、導管用絶縁膜55は、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって形成されてもよい。
【0060】
この気体導管29を封止樹脂8から露出させるには、たとえば、基板積層構造30を形成する半導体ウエハ(図示せず)に多数のセンサ構造体6が形成され、その後、当該半導体ウエハをダイシングする。これにより、封止樹脂8を除く半導体装置1の半製品チップ76(素子チップ)が個片化されて作製される。その後、半製品チップ76が、樹脂モールド工程へ搬送される。樹脂モールド工程では、図10Aに示すように、基板(図示せず)上に複数の半製品チップ76が並べてセットされる。
【0061】
次に、図10Bを参照して、各半製品チップ76のセンサ構造体6および回路基板5を液状硬化性封止材7で被覆する。液状硬化性封止材7は、たとえば1つ1つの半製品チップ76に液状封止材を吐出して形成するディスペンス法、封止材が予め印刷された印刷シートの転写によって形成する印刷封止法等の方法で形成することができる。
【0062】
次に、図10Cを参照して、複数の半製品チップ76が封止樹脂8で一括して封止される。複数の半製品チップ76は、たとえばトランスファ方式、コンプレッション方式等の公知の封止技術によって封止することができる。その後、隣り合う半製品チップ76の間に設定されたダイシングライン77に沿ってダイシングブレード78を走査することによって、封止樹脂8が切断されて各半導体装置1が個片化される。ダイシングブレード78は、互いに平行に延びる複数の気体導管29を横切るように走査され、これにより、切断後の封止樹脂8の第3端面2Cに気体導管29が露出する。
【0063】
以上のように、この実施形態に係る半導体装置1によれば、圧力センサ16および加速度センサ17が共通の封止樹脂8で被覆されているので、半導体装置1の周囲の圧力および半導体装置1に作用する加速度の両方を1つのチップで検出することができる。
【0064】
また、圧力センサ16のメンブレン38の保護構造が、たとえばガラスカバー等のようなケースではなく、封止樹脂8により形成されている。これにより、振動や衝撃等による半導体装置1の破損を抑制できるので、半導体装置1の設置場所やハンドリング方法の自由度を向上させることができる。たとえば、図15に示すタイヤ空気圧センサとして半導体装置1が使用される場合、タイヤ79の内部空間80は振動や高温に晒される過酷な環境である。しかしながら、この半導体装置1は、封止樹脂8で被覆された耐久性に優れるセンサであるので、そのような過酷な環境でも安心して使用することができる。
【0065】
また、圧力センサ16への気体の導入口として封止樹脂8の内外に跨る気体導管29を利用しているので、気体に混じってゴミや塵等が圧力センサ16の機械的構造部(たとえば、第2キャビティ47や空間46内)に侵入することを抑制することができる。その結果、圧力センサ16の検出精度を向上させることができる。
【0066】
[第2実施形態に係る半導体装置101の全体構成]
図11は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置101の模式的な斜視図である。図12は、図11の第1半導体基板23のセンサ構造3を示す模式的な平面図である。図13は、図11の第2半導体基板24のセンサ構造3を示す模式的な平面図である。以下では、第1実施形態に係る半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0067】
半導体装置101は、パッケージ形式としてWL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)が適用された半導体装置である。半導体装置101は、たとえば直方体のチップ状に形成されている。半導体装置101は、WL-CSPであるため、半導体チップ、半導体ダイと称してもよい。
【0068】
第1実施形態と同様に、互いに直交する3方向を第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zと定義する。第3方向Zは、半導体装置101の厚さ方向であってもよい。第1方向Xおよび第2方向Yは、それぞれ、半導体装置101の第1端面102Aおよび第3端面102C、ならびに第2端面102Bおよび第4端面102Dに沿う方向であってもよい。第1端面102Aおよび第3端面102Cは、互いに平行な面である。第2端面102Bおよび第4端面102Dは、第1端面102Aおよび第3端面102Cに直交し、かつ互いに平行な面である。
【0069】
半導体装置101は、第1~第4端面102A~2Dに囲まれた第1主面104と、第1主面104の反対側の第2主面105とを有している。半導体装置101の第1主面104は、実装基板に接合される実装面であってもよい。半導体装置101の第1~第4端面102A~2Dは、それぞれ、第1~第4外側端面102A~2Dと称してもよい。
【0070】
半導体装置101の第1主面104には、複数の外部端子106が設けられている。各外部端子106は、たとえば、はんだ等の金属材料により球状もしくは半球状に形成されている。複数の外部端子106は、第1主面104に規則的(たとえば行列状)に配列されている。図11では6つの外部端子106が示されているが、6つ未満もしくは6つ以上の外部端子106が設けられていてもよい。半導体装置101は、複数の外部端子106を実装基板のアイランド(図示せず)に接合することによって、実装基板にフリップチップボンディングされる。
【0071】
半導体装置101では、基板積層構造30により半導体装置101の外形が形成されている。基板積層構造30の第3方向Zに対向する一対の主面が、第1主面104および第2主面105を形成している。センサ構造3は、半導体装置101の第1主面104と第2主面105との間の内部に形成されている。また、半導体装置101の第1端面102Aおよび第3端面102Cでは、センサ構造3の圧力センサ16に気体を導く複数の気体導管29が開口している(図11では第3端面102C側のみを示している)。
【0072】
半導体装置101は、第1半導体基板23、第2半導体基板24および蓋基板25を備えている。第1半導体基板23上に第2半導体基板24が積層されており、第2半導体基板24上に蓋基板25が積層されている。外観からは、半導体装置101は、第1半導体基板23と、第1半導体基板23上に積層された第2半導体基板24と、第2半導体基板24上に積層された蓋基板25との基板積層構造30を有している。基板積層構造30の端面が、半導体装置101の第1~第4端面102A~102Dの周方向全体にわたって露出している。半導体装置101の第1~第4端面102A~102Dは、それぞれ、第1半導体基板23、第2半導体基板24および蓋基板25の第1~第4端面102A~102Dと定義してもよい。
【0073】
半導体装置101において接合部35は、複数のセンサ領域36,37を外部から密閉するので、外側シールリングと称してもよい。接合部35のうち、たとえば、第1センサ領域36を区画する四角環状の部分を第1シールリング107と称し、第2センサ領域37を区画する四角環状の部分を第2シールリング108と称してもよい。
【0074】
第2センサ領域37には、複数の貫通電極109が形成されている。複数の貫通電極109は、図11図13を参照して、第2半導体基板24を貫通している。複数の貫通電極109は、さらに蓋基板25を貫通し、蓋基板25上の複数の外部端子106に電気的に接続されている。たとえば、蓋基板25の第1主面104には、表面絶縁膜110が形成されている。各貫通電極109は、各貫通電極109から表面絶縁膜110上に引き出されたし表面配線111を介して、外部端子106に電気的に接続されていてもよい。図11では、明瞭化のため、いくつかの表面配線111のみが示しており、残りの表面配線111の図示が省略されている。
【0075】
複数の貫通電極109は、圧力センサ16および加速度センサ17の両方と複数の外部端子106との電気的な接続を提供する。複数の貫通電極109は、圧力センサ16用の第1貫通電極114と、加速度センサ17用の第2貫通電極115とを含んでいてもよい。第1貫通電極114および第2貫通電極115は、この実施形態では第1センサ領域36に形成されず、第2センサ領域37に選択的に形成されている。第2センサ領域37への第1貫通電極114および第2貫通電極115の集約は、圧力センサ16の気体圧力検出精度の向上に寄与する。たとえば、第1センサ領域36には多数の気体導管29が形成される。第1貫通電極114および第2貫通電極115を第2センサ領域37に集約することによって、第1センサ領域36に気体導管29用のスペースを広く確保できる。これにより、気体導管29の本数を増やすことができ、圧力センサ16に気体を効率よく導入することができる。
【0076】
図12を参照して、各ピエゾ抵抗R1~R4から延びる配線(第1~第4配線43A~43D)は、それぞれ複数の貫通電極109(第1貫通電極114)に接続されている。図12では、図面のスペースの制約から、第1~第4配線43A~43Dと複数の貫通電極109(第1貫通電極114)との接続形態は示されていない。第5配線43Eは、第1半導体基板23に接続された基板接続用の配線であり、貫通電極109(第1貫通電極114)に接続されている。
【0077】
図13を参照して、気体導管29は、第2キャビティ47から半導体装置1(第2半導体基板24)の端面102A~102Dまで延びている。この実施形態では、第2キャビティ47の4つの側面51A~51Dのうち半導体装置1の第1端面102Aおよび第3端面102Cに平行な第1側面51Aおよび第3側面51Cから、複数の気体導管29が互いに反対向きに延びている。複数の気体導管29は、第2フレーム部48を通って半導体装置1の第1端面102Aおよび第3端面102Cまで延びている。第2キャビティ47の残りの側面である第2側面51Bは半導体装置1の第2端面102Bに平行であり、第4側面51Dは半導体装置1の第4端面102Dに平行であってもよい。
【0078】
図13を参照して、気体導管29は、第2キャビティ47側の内側端部52および半導体装置1の第1端面102Aおよび第3端面102C側の外側端部53を含む。気体導管29の外側端部53は、半導体装置1の第1端面102Aおよび第3端面102Cで開口している(図11参照)。
【0079】
気体導管29においてトレンチ54は、第2キャビティ47の第1側面51Aおよび第3側面51Cから半導体装置101の第1端面102Aおよび第3端面102Cまでの第2フレーム部48の一部の直線領域を選択的に掘り下げることによって形成されている。導管用絶縁膜55は、トレンチ54の第2キャビティ47側の内側端部52からトレンチ54の第2半導体基板24の第1端面102Aおよび第3端面102C側の外側端部53までトレンチ54の長さ方向に沿って延びている。
【0080】
半導体装置101では、第1コンタクト部71および第2コンタクト部73(図8参照)から延びる第1~第4配線74A~74Dは、それぞれ複数の貫通電極109(第2貫通電極115)に接続されている。第5配線74Eは、第1半導体基板23に接続された基板接続用の配線であり、貫通電極109(第2貫通電極115)に接続されている。
【0081】
図13を参照して、半導体装置1は、さらに、基板積層構造30に制御回路113を備えている。この実施形態では、第2半導体基板24の第2センサ領域37が、制御回路113が形成された回路領域85であってもよい。回路領域85の内部には、圧力センサ16および加速度センサ17から出力された電気信号を増幅するチャージアンプ、当該電気信号の特定の周波数成分を取り出すフィルタ回路(ローパスフィルタ:LPF等)、フィルタリング後の電気信号を論理演算する論理回路等が形成されている。これらの回路は、たとえば、CMOSデバイスにより構成されている。
【0082】
[第2実施形態に係る気体導管29の露出構造の形成方法]
図14Aは、複数の半導体装置101の個片化に関連する工程を示す図である。図14Bは、図14Aの次の工程を示す図である。
【0083】
半導体装置10101の気体導管29の形成工程では、前述の図7A図7Cの工程に従ってトレンチ54および導管用絶縁膜55が形成される。これにより、導管用絶縁膜55の内部に気体流路59を有する気体導管29が形成される。
【0084】
この気体導管29を半導体装置101から露出させるには、図14Aを参照して、たとえば、基板積層構造30を形成する半導体ウエハ(図示せず)に設定された素子領域112に多数の半導体装置101が形成される。素子領域112は、たとえば格子状のダイシングライン177によって区画されている。ダイシングライン177は、基板積層構造30により形成されている。
【0085】
図14Aでは、気体導管29は、ダイシングライン177を横切って、複数の半導体装置101に跨っている。より具体的には、1つの半導体装置101の第2キャビティ47の第1側面51Aと、当該半導体装置101に隣接する半導体装置101の第2キャビティ47の第3側面51Cとが、ダイシングライン177を横切る気体導管29によって連通している。つまり、前記1つの半導体装置101の内部の気体導管29と、前記隣接する半導体装置101の内部の気体導管29とが一体的に接続されている。
【0086】
次に、図14Bを参照して、ダイシングライン177に沿ってダイシングブレード178を走査することによって、各半導体装置101が個片化される。ダイシングブレード178は、ダイシングライン177の内部の気体導管29を横切るように走査され、これにより、切断後の各半導体装置101の第1端面102Aおよび第3端面102Cに気体導管29が露出する。
【0087】
以上のように、この実施形態に係る半導体装置101によれば、圧力センサ16および加速度センサ17が共通のWL-CSPタイプの半導体装置101に搭載されているので、半導体装置101の周囲の圧力および半導体装置101に作用する加速度の両方を1つのチップで検出することができる。
【0088】
また、圧力センサ16のメンブレン38の保護構造が、たとえばガラスカバー等のようなケースではなく、基板積層構造30により形成されている。これにより、振動や衝撃等による半導体装置101の破損を抑制できるので、半導体装置101の設置場所やハンドリング方法の自由度を向上させることができる。たとえば、図15に示すタイヤ空気圧センサとして半導体装置101が使用される場合、タイヤ79の内部空間80は振動や高温に晒される過酷な環境である。しかしながら、この半導体装置101は、基板積層構造30からなる耐久性に優れるセンサであるので、そのような過酷な環境でも安心して使用することができる。
【0089】
また、圧力センサ16への気体の導入口として半導体装置101の内外に跨る気体導管29を利用しているので、気体に混じってゴミや塵等が圧力センサ16の機械的構造部(たとえば、第2キャビティ47や空間46内)に侵入することを抑制することができる。その結果、圧力センサ16の検出精度を向上させることができる。
【0090】
[半導体装置1,101の用途]
図15は、半導体装置1,101をタイヤ空気圧センサとして使用する場合の設置状態を示す図である。図15では、自動車のタイヤ79の一部を除去して、タイヤ79の内部を示している。
【0091】
前述の半導体装置1,101は気体圧力および加速度の検出が要求される様々な用途に使用できるが、たとえば、自動車のタイヤ空気圧センサとして使用することができる。特に、半導体装置1,101は圧力センサ16を備えているので、タイヤ79の内部空間80(タイヤ79とホイール84との間の空間)の圧力を直接検出する直接式空気圧検出システムに組み込むことができる。
【0092】
半導体装置1,101は、電池82および送信機83等を含むセンサモジュール81に組み込まれていてもよい。センサモジュール81は、図15に示すように、タイヤ79の内部空間80のホイール84の表面に取り付けられてもよい。センサモジュール81は、タイヤ79の空気圧を半導体装置1の圧力センサ16で直接測定し、その情報を送信機83から無線で車体側の受信機(図示せず)に送信することによって、ドライバーに異常を知らせることができる。さらに、センサモジュール81は、圧力センサ16に加えて加速度センサ17も内蔵している。そのため、たとえば空気圧の低下によって走行中にタイヤ79が受ける振動や衝撃で生じる加速度が大きく変化する場合、その変化を検知し、空気圧の低下をドライバーに警告することもできる。
【0093】
本開示の実施形態について説明したが、本開示は他の形態で実施することもできる。
【0094】
たとえば、図15の送信機83は、半導体装置1に内蔵されていてもよい。その場合、送信機83は、たとえば、図5および図13の第2センサ領域37の第2半導体基板24の予備センサ領域85(加速度センサ17上の領域)に形成されていてもよい。これにより、センサモジュール81における送信機83用のスペースを省略できるので、センサモジュール81を小型化することができる。また、半導体装置1またはセンサモジュール81は、タイヤ内部の温度を検出する温度センサをさらに内蔵していてもよい。
【0095】
また、圧力センサ16および加速度センサ17の構造は、図4図8および図11図13に示した構造に限らず適宜変更することができる。たとえば、ブルドン管式圧力センサの構造、ピエゾ抵抗式加速度センサの構造、熱検知式加速度センサの構造が採用されてもよい。
【0096】
以上、本開示の実施形態は、すべての点において例示であり限定的に解釈されるべきではなく、すべての点において変更が含まれることが意図される。
【0097】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0098】
[付記1-1]
内部に空洞(47)を有するセンサ構造体(6)と、
前記センサ構造体(6)の端面(27C)から前記空洞(47)に向かって延び、前記センサ構造体(6)の外部から気体を前記空洞(47)に導く気体導管(29)と、
前記センサ構造体(6)の内部に形成され、前記気体導管(29)を介して前記空洞(47)に導かれた気体の圧力の作用によって振動可能なメンブレン(38)を有する圧力センサ(16)と、
前記センサ構造体(6)の内部に形成され、前記センサ構造体(6)に作用した加速度を検出する加速度センサ(17)と、
前記センサ構造体(6)を被覆する封止樹脂(8)とを含み、
前記気体導管(29)は、前記空洞(47)側の内側端部(52)および前記センサ構造体(6)の前記端面(27C)側の外側端部(53)を含み、
前記気体導管(29)の前記外側端部(53)は、前記封止樹脂(8)の端面(2C)で開口している、半導体装置(1)。
【0099】
[付記1-2]
前記センサ構造体(6)の前記端面(27C)および前記気体導管(29)の前記外側端部(53)は、前記封止樹脂(8)の前記端面(2C)と面一に形成されている、付記1-1に記載の半導体装置(1)。
【0100】
[付記1-3]
前記センサ構造体(6)の前記端面(27C)の外郭線(28)が全周にわたって前記封止樹脂(8)の前記端面(2C)に露出しており、
前記センサ構造体(6)の前記端面(27C)は、前記封止樹脂(8)の前記端面(2C)に取り囲まれている、付記1-2に記載の半導体装置(1)。
【0101】
[付記1-4]
前記センサ構造体(6)は、半導体基板(23,24)を含み、
前記気体導管(29)は、前記半導体基板(23,24)に形成され、前記空洞(47)と前記半導体基板(23,24)の端面(27C)とを接続するトレンチ(54)と、前記トレンチ(54)の内面に形成された導管用絶縁膜(55)とを含み、
前記導管用絶縁膜(55)は、前記トレンチ(54)の前記空洞(47)側の内側端部(52)から前記トレンチ(54)の前記半導体基板(23,24)の前記端面(27C)側の外側端部(53)まで前記トレンチ(54)の長さ方向に沿って延び、前記トレンチ(54)の深さ方向上端で閉塞する管状に形成されている、付記1-1~付記1-3のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0102】
[付記1-5]
前記半導体基板(23,24)は、シリコン基板を含み、
前記導管用絶縁膜(55)は、酸化シリコン膜を含む、付記1-4に記載の半導体装置(1)。
【0103】
[付記1-6]
前記半導体基板(23,24)は、第1半導体基板(23)と、前記第1半導体基板(23)上に積層された前記第2半導体基板(24)との積層構造(30)を有し、
前記メンブレン(38)は、前記第1半導体基板(23)に形成されており、
前記第2半導体基板(24)は、前記空洞(47)の底部を形成し、かつ前記メンブレン(38)を覆う保護層(39)を含み、
前記保護層(39)には、前記気体導管(29)を介して前記空洞(47)に導かれた気体を前記メンブレン(38)へ流通可能にする貫通孔(49,50)が形成されている、付記1-4または付記1-5に記載の半導体装置(1)。
【0104】
[付記1-7]
規則的に配列された複数の前記貫通孔(49,50)が、前記保護層(39)に形成されている、付記1-6に記載の半導体装置(1)。
【0105】
[付記1-8]
前記複数の貫通孔(49,50)は、複数の貫通スリットを含む、付記1-7に記載の半導体装置(1)。
【0106】
[付記1-9]
前記センサ構造体(6)と前記封止樹脂(8)との間に介在し、前記センサ構造体(6)を被覆する液状硬化性封止材(7)を含む、付記1-1~付記1-8のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0107】
[付記1-10]
前記センサ構造体(6)は、前記液状硬化性封止材(7)により被覆された第1被覆部(18)と、前記第1被覆部(18)から突出し、前記液状硬化性封止材(7)に非接触で、かつ前記封止樹脂(8)に直接的に被覆された第2被覆部(19)とを含み、
前記気体導管(29)は、前記第1被覆部(18)から前記第2被覆部(19)を介して前記封止樹脂(8)の前記端面(2C)まで延びている、付記1-9に記載の半導体装置(1)。
【0108】
[付記1-11]
前記液状硬化性封止材(7)は、シリコーン樹脂を含む、付記1-9または付記1-10に記載の半導体装置(1)。
【0109】
[付記1-12]
前記加速度センサ(17)は、固定電極(64)と、前記固定電極(64)に対向する可動電極(65)とを含む静電容量型加速度センサ(17)を含む、付記1-1~付記1-11のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0110】
[付記1-13]
前記センサ構造体(6)が積層された上面(13)を有し、前記圧力センサ(16)および前記加速度センサ(17)に電気的に接続された制御回路を含む回路基板(5)をさらに含む、付記1-1~付記1-12のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0111】
[付記1-14]
前記回路基板(5)および前記センサ構造体(6)を支持する支持基板(4)をさらに含み、
前記封止樹脂(8)は、前記支持基板(4)の上面領域において前記回路基板(5)および前記センサ構造体(6)を被覆している、付記1-13に記載の半導体装置(1)。
【0112】
[付記1-15]
タイヤの内圧情報を検出するタイヤ空気圧センサとして使用される、付記1-1~付記1-14のいずれか一項に記載の半導体装置(1)。
【0113】
[付記1-16]
タイヤの内圧情報を検出するセンサモジュール(81)であって、
付記1-1~付記1-14のいずれか一項に記載の半導体装置(1)と、
前記半導体装置(1)で検出したタイヤの内圧情報を受信機に送信する送信機(83)とを含む、センサモジュール(81)。
【0114】
[付記2-1]
WL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)形式の半導体装置(101)であって、
内部に空洞(47)を有し、前記半導体装置(101)の外形を形成する半導体基板(23,24,25)と、
前記半導体基板(23,24,25)の端面(102A,102C)から前記空洞(47)に向かって延び、前記半導体基板(23,24,25)の外部から気体を前記空洞(47)に導く気体導管(29)と、
前記半導体基板(23,24,25)の内部に形成され、前記気体導管(29)を介して前記空洞(47)に導かれた気体の圧力の作用によって振動可能なメンブレン(38)を有する圧力センサ(16)と、
前記半導体基板(23,24,25)の内部に形成され、前記半導体基板(23,24,25)に作用した加速度を検出する加速度センサ(17)とを含み、
前記気体導管(29)は、前記空洞(47)側の内側端部(52)および前記半導体基板(23,24,25)の前記端面(102A,102C)側の外側端部(53)を含み、
前記気体導管(29)の前記外側端部(53)は、前記半導体基板(23,24,25)の前記端面(102A,102C)で開口している、半導体装置(101)。
【0115】
この構成によれば、圧力センサ(16)および加速度センサ(17)をWL-CSP形式でパッケージングした半導体装置(101)を提供することができる。圧力センサ(16)および加速度センサ(17)がWL-CSP形式でパッケージングされているので、半導体装置(101)の周囲の圧力および半導体装置(101)に作用する加速度の両方を1つのチップで検出することができる。
【0116】
[付記2-2]
前記半導体基板(23,24,25)の前記端面(102A,102C)および前記気体導管(29)の前記外側端部(53)は、面一に形成されている、付記2-1に記載の半導体装置(101)。
【0117】
[付記2-3]
前記気体導管(29)は、前記半導体基板(23,24,25)に形成され、前記空洞(47)と前記半導体基板(23,24,25)の端面(102A,102C)とを接続するトレンチ(54)と、前記トレンチ(54)の内面に形成された導管用絶縁膜(55)とを含み、
前記導管用絶縁膜(55)は、前記トレンチ(54)の前記空洞(47)側の内側端部(52)から前記トレンチ(54)の前記半導体基板(23,24,25)の前記端面(102A,102C)側の外側端部(53)まで前記トレンチ(54)の長さ方向に沿って延び、前記トレンチ(54)の深さ方向上端で閉塞する管状に形成されている、付記2-1または付記2-2に記載の半導体装置(101)。
【0118】
[付記2-4]
前記半導体基板(23,24,25)は、シリコン基板を含み、
前記導管用絶縁膜(55)は、酸化シリコン膜を含む、付記2-3に記載の半導体装置(101)。
【0119】
[付記2-5]
前記半導体基板(23,24,25)は、第1半導体基板(23)と、前記第1半導体基板(23)上に積層された前記第2半導体基板(24)との積層構造(30)を有し、
前記メンブレン(38)は、前記第1半導体基板(23)に形成されており、
前記第2半導体基板(24)は、前記空洞(47)の底部を形成し、かつ前記メンブレン(38)を覆う保護層(39)を含み、
前記保護層(39)には、前記気体導管(29)を介して前記空洞(47)に導かれた気体を前記メンブレン(38)へ流通可能にする貫通孔(49,50)が形成されている、付記2-3または付記2-4に記載の半導体装置(101)。
【0120】
[付記2-6]
規則的に配列された複数の前記貫通孔(49,50)が、前記保護層(39)に形成されている、付記2-5に記載の半導体装置(101)。
【0121】
[付記2-7]
前記複数の貫通孔(49,50)は、複数の貫通スリットを含む、付記2-6に記載の半導体装置(101)。
【0122】
[付記2-8]
前記積層構造(30)は、前記第2半導体基板(24)上に積層された第3半導体基板(25)をさらに含み、
前記圧力センサ(16)および前記加速度センサ(17)に電気的に接続され、前記第2半導体基板(24)および前記第3半導体基板(25)を貫通する貫通電極(109)と、
前記第3半導体基板(25)上に形成され、前記貫通電極(109)に電気的に接続された外部端子(106)とを含む、付記2-5~付記2-7のいずれか一項に記載の半導体装置(101)。
【0123】
[付記2-9]
前記第1半導体基板(23)と前記第2半導体基板(24)との間を接合し、前記圧力センサ(16)用の第1センサ領域(36)および前記加速度センサ(17)用の第2センサ領域(37)を前記第1半導体基板(23)上に区画する接合部(35)を含み、
前記貫通電極(109)は、前記圧力センサ(16)に電気的に接続された第1貫通電極(114)と、前記加速度センサ(17)に電気的に接続された第2貫通電極(115)とを含み、
前記第1貫通電極(114)および前記第2貫通電極(115)は、前記第2センサ領域(37)に集約して形成されている、付記2-8に記載の半導体装置(101)。
【0124】
[付記2-10]
前記外部端子(106)は、前記半導体装置(101)をフリップチップボンディングにより実装するための端子を含む、付記2-8または付記2-9に記載の半導体装置(101)。
【0125】
[付記2-11]
前記加速度センサ(17)は、固定電極(64)と、前記固定電極(64)に対向する可動電極(65)とを含む静電容量型加速度センサ(17)を含む、付記2-1~付記2-10のいずれか一項に記載の半導体装置(101)。
【0126】
[付記2-12]
前記半導体基板(23,24,25)は、前記圧力センサ(16)および前記加速度センサ(17)に電気的に接続された制御回路(113)をさらに含む、付記2-1~付記2-11のいずれか一項に記載の半導体装置(101)。
【0127】
[付記2-13]
前記半導体装置(101)は、第1端面(102A)、第2端面(102B)、第3端面(102C)および第4端面(102D)を有する平面視四角形状に形成されており、
前記気体導管(29)の前記外側端部(53)は、前記第1端面(102A)、前記第2端面(102B)、前記第3端面(102C)および前記第4端面(102D)の少なくとも2つの端面(102A,102C)で開口している、付記2-1~付記2-12のいずれか一項に記載の半導体装置(101)。
【0128】
[付記2-14]
タイヤの内圧情報を検出するタイヤ空気圧センサとして使用される、付記2-1~付記2-13のいずれか一項に記載の半導体装置(101)。
【0129】
[付記2-15]
タイヤの内圧情報を検出するセンサモジュール(81)であって、
付記2-1~付記2-13のいずれか一項に記載の半導体装置(101)と、
前記半導体装置(101)で検出したタイヤの内圧情報を受信機に送信する送信機(83)とを含む、センサモジュール(81)。
【符号の説明】
【0130】
1 :半導体装置
2A :第1端面
2B :第2端面
2C :第3端面
2D :第4端面
3 :センサ構造
4 :支持基板
5 :回路基板
6 :センサ構造体
7 :液状硬化性封止材
8 :封止樹脂
9 :上面
10 :裏面
11 :電極パッド
12 :端子パッド
13 :上面
14 :電極パッド
15 :第1配線部材
16 :圧力センサ
17 :加速度センサ
18 :被支持部
19 :延出部
20 :上面
21 :電極パッド
22 :第2配線部材
23 :第1半導体基板
24 :第2半導体基板
25 :蓋基板
26 :引き出し部
27A :第1端面
27B :第2端面
27C :第3端面
27D :第4端面
28 :外郭線
29 :気体導管
30 :基板積層構造
31 :第1主面
32 :第2主面
33 :第1主面
34 :第2主面
35 :接合部
36 :第1センサ領域
37 :第2センサ領域
38 :メンブレン
39 :保護層
40 :第1キャビティ
41 :第1フレーム部
42A :第1辺
42B :第2辺
42C :第3辺
42D :第4辺
43A :第1配線
43B :第2配線
43C :第3配線
43D :第4配線
43E :第5配線
44A :第1パッド
44B :第2パッド
44C :第3パッド
44D :第4パッド
44E :第5パッド
45 :第1絶縁膜
46 :空間
47 :第2キャビティ
48 :第2フレーム部
49 :第1貫通孔
50 :第2貫通孔
51A :第1側面
51B :第2側面
51C :第3側面
51D :第4側面
52 :内側端部
53 :外側端部
54 :トレンチ
55 :導管用絶縁膜
56 :側面
57 :底部
58 :閉塞部
59 :気体流路
60 :第2絶縁膜
61 :X軸センサ
62 :Y軸センサ
63 :第3キャビティ
64 :固定電極
65 :可動電極
66 :第1接続部
67 :第2接続部
68 :第1隔離構造
69 :第2隔離構造
70 :第1隔離結合部
71 :第1コンタクト部
72 :第2隔離結合部
73 :第2コンタクト部
74A :第1配線
74B :第2配線
74C :第3配線
74D :第4配線
74E :第5配線
75A :第1パッド
75B :第2パッド
75C :第3パッド
75D :第4パッド
75E :第5パッド
76 :半製品チップ
77 :ダイシングライン
78 :ダイシングブレード
79 :タイヤ
80 :内部空間
81 :センサモジュール
82 :電池
83 :送信機
84 :ホイール
85 :予備センサ領域
101 :半導体装置
103 :センサ構造
104 :第1主面
105 :第2主面
106 :外部端子
107 :第1シールリング
108 :第2シールリング
109 :貫通電極
110 :表面絶縁膜
111 :表面配線
112 :素子領域
113 :制御回路
114 :第1貫通電極
115 :第2貫通電極
177 :ダイシングライン
178 :ダイシングブレードR1 :第1ピエゾ抵抗
R2 :第2ピエゾ抵抗
R3 :第3ピエゾ抵抗
R4 :第4ピエゾ抵抗
X :第1方向
Y :第2方向
Z :第3方向
図1
図2
図3
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図10A
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