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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118067
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208407
(22)【出願日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0018035
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ソ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨー ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒュン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュン イェオル
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、クワン イェウン
(72)【発明者】
【氏名】スン、ウー キュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来よりも低い等価直列抵抗を有するとともに、より薄いTサイズを満す積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、互いに対向する第1、第2面、第1、第2面と連結され互いに対向する第3、第4面を含み、複数の誘電体層111及び複数の誘電体層の間に配置されて第3、第4面に露出する複数の内部電極121、122を含む本体110と、本体に配置されて複数の内部電極と接続される外部電極200、300と、を含む。外部電極は、第3、第4面を夫々カバーする第1、第2めっき層131、132と、第1、第2面の一部をカバーし、第1めっき層の一側面及び一側面が接する第1電極層141と、第1、第2面の一部をカバーし、第2めっき層の一側面及び一側面が接する第2電極層142と、第1、第2めっき層をそれぞれカバーする第3、第4めっき層151、152と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面を含み、複数の誘電体層及び前記複数の誘電体層の間に配置されて前記第3面及び前記第4面に露出する複数の内部電極を含む本体と、
前記本体に配置されて前記複数の内部電極と接続される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記第3面及び前記第4面をそれぞれカバーする第1めっき層及び第2めっき層と、
前記第1面及び前記第2面の一部をカバーし、前記第1めっき層の一側面及び一側面が接する第1電極層と、
前記第1面及び前記第2面の一部をカバーし、前記第2めっき層の一側面及び一側面が接する第2電極層と、
前記第1面及び前記第2めっき層をそれぞれカバーする第3めっき層及び第4めっき層と、を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第1めっき層及び前記第2めっき層は銅めっき層である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第3めっき層及び前記第4めっき層はニッケルめっき層である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1めっき層及び前記第2電極層はニッケル電極層である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1電極層及び前記第3めっき層をカバーする第5めっき層と、
前記第2電極層及び前記第4めっき層をカバーする第6めっき層と、をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第5めっき層及び前記第6めっき層は錫めっき層である、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1電極層及び前記第2電極層上に前記第3めっき層及び前記第4めっき層が備えられない、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第3めっき層の一側面は前記第1電極層の一側面と接し、
前記第4めっき層の一側面は前記第2電極層の一側面と接する、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層型セラミックキャパシタ(Multi-layered Ceramic Capacitor、MLCC)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層型セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。最近、電子装置の部品が小型化するにつれて、積層型セラミックキャパシタの超小型化及び高容量化に対する要求が増加している。
【0004】
かかる超小型化及び高容量化に対する要求の流れに応じて、積層型セラミックキャパシタの有効容量を増加させ、サイズを減少させるためには、誘電体層及び内部電極の薄層化が必須である。また、容量に関与しないマージン部及び外部電極も薄く設計するほど有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様々な目的の一つは、従来よりも低い等価直列抵抗(ESR;Equivalent Series Resistor)を有するとともに、より薄いTサイズを満たすことにより、小型化を実現可能な積層型電子部品を提供することである。
【0006】
また、本発明のさらに他の様々な目的の一つは、外部電極に対する固着強度を低下させることなく、接触性が改善された積層型電子部品を提供することである。
【0007】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、互いに対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面を含み、複数の誘電体層及び上記複数の誘電体層の間に配置されて上記第3及び第4面に露出する複数の内部電極を含む本体と、上記本体に配置されて上記複数の内部電極と接続される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記第3及び第4面をそれぞれカバーする第1及び第2めっき層と、上記第1及び第2面の一部をカバーし、上記第1めっき層の一側面及び一側面が接する第1電極層と、上記第1及び第2面の一部をカバーし、上記第2めっき層の一側面及び一側面が接する第2電極層と、上記第1及び第2めっき層をそれぞれカバーする第3及び第4めっき層と、を含む、積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な効果の一つは、従来よりも低い等価直列抵抗(ESR;Equivalent Series Resistor)を有するとともに、より薄いTサイズを満たすことにより、小型化を実現可能な積層型電子部品を提供することができる。
【0010】
また、本発明のさらに他の様々な効果の一つは、外部電極に対する固着強度を低下させることなく、接触性が改善された積層型電子部品を提供することができる。
【0011】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
図3図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものである。
図4】本発明の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)されることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0014】
そして、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示している。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図面において、X方向は第1方向、長さ方向、又はL方向と理解することができ、Y方向は第2方向、幅方向、又はW方向と理解することができ、Z方向は第3方向、厚さ方向、積層方向、又はT方向と理解することができるが、これに制限されるものではない。
【0016】
[積層型電子部品]
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示すものであり、図3は、図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示すものであり、図4は、本発明の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示す分解斜視図である。
【0017】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の誘電体層111及び上記複数の誘電体層の間に配置される複数の内部電極121、122を含む本体と、上記本体に配置されて上記複数の内部電極と接続される外部電極200、300とを含む。
【0019】
本体110は、複数の誘電体層111及び上記複数の誘電体層111の間に配置された内部電極121、122を含む。上記本体において、誘電体層111及び内部電極121、122は交互に積層されている。
【0020】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなってもよい。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0021】
本体110は、互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面3、4を含む。具体的に、上記本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0022】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O又はBa(Ti1-yZr)O等が挙げられる。
【0024】
上記誘電体層111を形成する材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0025】
内部電極121、122は、誘電体層111と厚さ方向(Z方向)に交互に配置されることができる。内部電極は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3面及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0026】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。
【0027】
すなわち、第1及び第2内部電極121、122は、それぞれ本体の長さ方向(X方向)の両端面である第3面3及び第4面4に交番して露出し、第1及び第2外部電極200、300にそれぞれ露出することができる。第1内部電極121は、第2外部電極300とは連結されず、第1外部電極200と連結される。また、第2内部電極122は、第1外部電極200とは連結されず、第2外部電極300と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4において一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3において一定距離離隔して形成される。
【0028】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金等の貴金属材料、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0029】
上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法等を使用することができ、本発明はこれに限定されるものではない。図4を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0030】
一方、内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要がない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、内部電極121、122の平均厚さteは100nm~1.5μmの範囲であってもよい。
【0031】
上述した内部電極121、122の平均厚さteの測定方法については特に限定しない。但し、一例として、任意の10個の積層型電子部品100のサンプルについて、内部電極121、122の平均厚さteは本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0032】
例えば、本体110のY方向(幅方向)の中央部で切断したX及びZ方向(長さ及び厚さ方向)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された任意の第1及び第2内部電極121、122について、長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0033】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Aと、上記容量形成部Aの上部及び下部に形成されたカバー部112、113とを含むことができる。
【0034】
また、上記容量形成部Aは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されてもよい。
【0035】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Aの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0036】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0037】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtpは20μm以下であってもよい。
【0038】
また、上記容量形成部Aの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。マージン部114、115は、本体110の第6面6に配置されたマージン部114と、第5面5に配置されたマージン部115とを含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向Yの両側面に配置されてもよい。
【0039】
マージン部114、115は、図3に示すように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面において、第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0040】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってもよい。或いは、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Aの両側面に幅方向に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0041】
外部電極200、300は本体110に配置され、内部電極121、122と連結される。図2に示すように、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極200、300を含むことができる。
【0042】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極200、300を有する構造について説明しているが、外部電極200、300の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0043】
積層型セラミックキャパシタに対する超小型化及び高容量化への要求が続いており、有効容量を増加させ、サイズを減少させるためには、内部電極と誘電体層の薄層化だけでなく、容量に関与しないマージン部や外部電極も薄く設計することが有利である。
【0044】
このとき、外部電極は内部電極と外部回路とを電気的に連結させ、チップが基板に物理的に固定できるように機能する。ところで、外部電極のうち、本体の第3及び第4面(又は、W-T面)上に形成される外部電極は、内部電極との電気的連結性を実現する部分である。これに対し、本体の第1及び第2面(又は、L-W面)や第5及び第6面(又は、L-T面)の一部上に形成される外部電極(即ち、バンド部)は基板との固着のために必要な部分である。
【0045】
但し、ガラスが含まれる焼結タイプの外部電極の場合、セラミック素体との接着力が高く、優れた固着強度を有するが、焼結条件が適正でないときは、ガラス挙動により内部電極との接触性を低下させるおそれがある。
【0046】
そこで、本発明者らは、上述した問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、外部電極として、本体の第1及び第2面(又は、第5及び第6面)の一部直上にはガラスが含まれない電極層を配置し、第3及び第4面の直上にはめっき層を配置した構造を提案するに至った。
【0047】
したがって、本発明によると、従来よりも低い等価直列抵抗(ESR;Equivalent Series Resistor)を有するとともに、より薄いTサイズを満たすことにより、小型化を実現可能な積層型電子部品を提供することができる。さらに、外部電極に対する固着強度を低下させることなく、接触性が改善された積層型電子部品を提供することができる。
【0048】
具体的な本発明の一実施形態による積層型電子部品の概略的な構造を図2に示す。具体的に、外部電極200、300は、本体110の第3及び第4面3、4をそれぞれカバーする第1及び第2めっき層131、132を含む。したがって、図2に示すように、本体110の第3面3は第1めっき層131がカバーし、本体110の第4面4は第2めっき層132がカバーする。
【0049】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2めっき層131、132は、電気伝導性に優れた材料を用いることができ、代表的には、導電性金属を用いることができる。第1及び第2めっき層131、132に含まれる導電性金属の例として銅(Cu)等が挙げられ、第1及び第2めっき層131、132は銅を主成分として含む(すなわち、銅を80重量%以上含む)ことができる。
【0050】
したがって、本発明の一実施形態によると、第1及び第2めっき層131、132は銅めっき層であってもよい。通常に、基板との固着を目的として形成する第1及び第2面(又は、L-W面)や第5及び第6面(又は、L-T面)の一部上に配置される外部電極は、ディッピング(dipping)方式で形成されていた。しかし、ディッピング方式でのみ外部電極を形成すると、角切れに弱いため耐湿信頼性を確保しにくく、Tサイズの制御が困難であるため薄膜化に不利であった。
【0051】
これにより、従来技術では、外部電極の薄膜化のために、第1及び第2面(又は、L-W面)の一部上にニッケル電極層を形成した。また、上述したニッケル電極層と第3及び第4面(又は、W-T面)の一部をカバーするように銅電極層が形成された構造が開発された。このとき、ニッケル電極層はガラスを含まない焼結タイプで作製され、銅電極層はガラスが含まれたペーストを用いて焼結タイプで作製された。
【0052】
しかし、上述した技術では、ガラスが含まれた焼結タイプのペーストを用いて、本体110の第3及び第4面3、4上に配置される銅電極層が作製されるため、焼結条件が適正でないと、ガラスの挙動による内部電極との接触性の低下という問題が生じた。
【0053】
そこで、本発明では、本体110の第1及び第2面1、2の一部上にニッケル電極層を形成した後、内部電極が露出する本体110の第3及び第4面3、4に銅電極層ではなく、銅めっき層を形成することにより、電気的連結性を確保可能であることを見出した。
【0054】
すなわち、上述した第3及び第4面3、4をそれぞれカバーするように第1及び第2めっき層131、132を形成する際には、ガラスが含まれたペーストの代わりに、銅金属を直接めっきすることにより内部電極との接触性を改善することが期待できる。
【0055】
本発明によると、第1及び第2面1、2の一部上に形成されたニッケル電極層の上には、酸化層が形成されて銅が成長しないのに対し、上述のニッケル電極層が形成されていない第3及び第4面3、4上にのみ銅めっき層として上述の第1及び第2めっき層131、132がそれぞれ形成される。これにより、Tサイズの減少及び有効体積の確保が可能となる。
【0056】
また、外部電極200、300は、上述した本体110の第3及び第4面3、4をカバーする第1及び第2めっき層131、132を含むとともに、本体110の第1及び第2面1、2の一部をカバーする第1及び第2電極層141、142を含む。したがって、図2に示すように、本体110の長さ方向(X方向)に両端部上にそれぞれ第1電極層141と、第2電極層142とが配置される。言い換えれば、長さ方向(X方向)に、ある一端部の第1及び第2面1、2上に第1電極層141が配置され、同時に長さ方向(X方向)に他の一端部の第1及び第2面1、2上に第2電極層142が配置される。
【0057】
このとき、本発明の一実施形態によると、第1及び第2電極層141、142は、上述した本体110の第1及び第2面1、2の一部をカバーすると同時に、第5及び第6面5、6の一部もカバーすることができる。
【0058】
すなわち、本発明の一実施形態によると、本体110の第1及び第2面1、2と、第5及び第6面5、6の一部をカバーするように、本体の長さ方向(X方向)の両端部であるバンド部上に、第1及び第2電極層141、142が備えられることができる。
【0059】
このとき、第1電極層141の一側面は第1めっき層131の一側面と接し、第2電極層142の一側面は、第2めっき層132の一側面と接する。上述したように、本発明による積層型電子部品を製造するためには、本体110の第1及び第2面1、2の一部上に第1及び第2電極層を先に形成した後、第3及び第4面上に第1及び第2めっき層を形成する。そのため、図2に示すように、第1電極層141の一側面は、第1めっき層131の一側面と接し、第2電極層142の一側面は、第2めっき層132の一側面と接するように形成される。
【0060】
一方、本発明の一実施形態によると、非常に薄いTサイズの確保及び外部電極の薄膜化のために、第1及び第2電極層141、142はガラスを含まない焼結タイプで形成されることができる。さらに、図2のように、本体110の第1及び第2面1、2(又は、第5及び第6面5、6上に備えられる外部電極領域は、後述する第5及び第6めっき層161、162の下部に第3及び第4めっき層151、152が存在しないため、半田付け性の低下を防止するためにも、第1及び第2電極層141、142がガラスのない焼結タイプで形成されなければならない。このようなガラスのない焼結タイプで第1及び第2電極層141、142を形成する方法としては、スパッタリング法等が挙げられる。
【0061】
また、本発明の一実施形態によると、第1及び第2電極層141、142は、電気伝導性に優れた材料を用いることができ、代表的には、導電性金属を用いることができる。第1及び第2電極層141、142に含まれる導電性金属の例としてはニッケル(Ni)等が挙げられ、第1及び第2電極層141、142は、ニッケルを主成分として含む(すなわち、ニッケルを80重量%以上含む)ことができる。したがって、本発明の一実施形態によると、第1及び第2電極層141、142はニッケル電極層であってもよい。
【0062】
また、外部電極200、300は、上述した第1及び第2めっき層131、132をそれぞれカバーする第3及び第4めっき層151、152を含む。したがって、図2に示すように、第3めっき層151は第1めっき層131をカバーし、第4めっき層152は第2めっき層132をカバーする。
【0063】
本発明の一実施形態によると、第3及び第4めっき層151、152は電気伝導性に優れた材料を用いることができ、代表的には、導電性金属を用いることができる。但し、第3めっき層151は第1めっき層131と異なる導電性金属材料を用い、第4めっき層152は第2めっき層132と異なる導電性金属材料を用いる。したがって、一例として、第3及び第4めっき層151、152に含まれる導電性金属の例としてニッケル(Ni)等が挙げられ、第3及び第4めっき層151、152は、ニッケルを主成分とする(すなわち、ニッケルを80重量%以上含む)ことができる。したがって、本発明の一実施形態によると、第3及び第4めっき層151、152はニッケルめっき層であってもよい。
【0064】
本発明において、第3及び第4めっき層151、152は、下部に備えられる第1及び第2めっき層131、132の導電性金属成分の浸出(leaching)不良を防止する目的で形成される。したがって、第1及び第2めっき層131、132の代表的な一例である銅めっき層におけるCuの浸出不良を防止するために、他の導電性成分を用いて第3及び第4めっき層を配置する。
【0065】
一方、本発明の一実施形態によると、上述したように、製造過程中に、第1及び第2電極層141、142を形成した後には、上記第1及び第2電極層上に存在する酸化層のため、図2に示すように、銅めっき層である第1及び第2めっき層131、132上にのみ第3及び第4めっき層151、152が形成されることができる。したがって、本発明の一実施形態によると、第1及び第2電極層141、142上には、第3及び第4めっき層(例えば、ニッケルめっき層)を備えなくてもよい。
【0066】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2電極層141、142が第3及び第4めっき層151、152(例えば、ニッケルめっき層)と接触する割合は10%以下であってもよい。
【0067】
このとき、上述した第1及び第2電極層141、142が第3及び第4めっき層151、152と接触する割合の測定方法については特に限定しない。但し、一例として、任意の10個の積層型電子部品100のサンプルについて、本体110のY方向(幅方向)の中央部で切断したX及びZ方向(長さ及び厚さ方向)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)により1000倍以上の倍率でスキャンしたイメージから抽出された外部電極を基準として測定可能である。
【0068】
したがって、図2のような積層型電子部品100の断面を基準として、第1及び第2電極層141、142が本体110と接触する表面を除く全表面の長さL1に対して、上記全表面の長さのうち、第3及び第4めっき層151、152と接触する表面の長さL2の割合(L2/L1×100)を測定することにより求めることができる。
【0069】
一方、本発明の一実施形態によると、第1及び第2めっき層131、132が第3及び第4めっき層151、152(例えば、ニッケルめっき層)と接触する割合は80%以上であってもよい。
【0070】
このとき、上述した第1及び第2めっき層131、132が第3及び第4めっき層151、152(例えば、ニッケルめっき層)と接触する割合の測定方法については特に限定しない。但し、一例として、任意の10個の積層型電子部品100のサンプルについて、本体110のY方向(幅方向)の中央部で切断したX及びZ方向(長さ及び厚さ方向)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)により1000倍以上の倍率でスキャンしたイメージから抽出された外部電極を基準として測定可能である。
【0071】
したがって、図2のような積層型電子部品100の断面を基準として、第1及び第2めっき層131、132が本体110と接触する表面を除く全表面の長さL3に対して、上記全表面の長さのうち、第3及び第4めっき層151、152と接触する表面の長さL4の割合(L4/L3×100)を測定することにより求めることができる。
【0072】
また、本発明の一実施形態によると、第3めっき層151の一側面は第1電極層141の一側面と接することができ、第4めっき層152の一側面は第2電極層142の一側面と接することができる。上述したように、第1及び第2電極層141、142を形成した後、第1及び第2めっき層131、132を形成してから、次いで第3及び第4めっき層151、152を形成することができる。したがって、第3めっき層151の一側面が第1電極層141の一側面と接し、第4めっき層152の一側面が第2電極層142と接するように形成されることができる。このとき、第3めっき層151及び第4めっき層152は電解めっき方式で形成されてもよい。電解めっき方式を用いて、第1及び第2めっき層131、132上にのみNiめっき層が形成されてもよく、酸化層が形成された第1及び第2電極層141、142(例えば、Ni電極層)上にはNiめっき層が形成されなくてもよい。
【0073】
したがって、本発明の一実施形態によると、第1めっき層131の平均厚さと第3めっき層151の平均厚さの和は、第1電極層141の平均厚さより小さい又は同じであることができる。同様に、第2めっき層132の平均厚さと第4めっき層152の平均厚さの和は、第2電極層142の平均厚さより小さい又は同じであることができる。
【0074】
このとき、上述した各層の厚さの測定方法については特に限定しない。但し、一例として、任意の10個の積層型電子部品100のサンプルについて、本体110のY方向(幅方向)の中央部で切断したX及びZ方向(長さ及び厚さ方向)の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)により1000倍以上の倍率でスキャンしたイメージから抽出された外部電極を基準として測定可能である。
【0075】
例えば、図2のような積層型電子部品100の断面を基準として、第1~第4めっき層131、132、151、152の平均厚さは、長さ方向(X方向)に測定される任意の等間隔である10個の地点における各層の厚さの平均値を求めることで測定可能である。また、第1及び第2電極層141、142の平均厚さは、厚さ方向(Z方向)に測定される任意の等間隔である10個の地点における各第1及び第2電極層の厚さの平均値を求めることで測定可能である。
【0076】
一方、本発明の一実施形態によると、上記積層型電子部品は、第1電極層141及び第3めっき層151をカバーする第5めっき層161と、第2電極層142及び第4めっき層152をカバーする第6めっき層162と、をさらに含むことができる。
【0077】
本発明の一実施形態によると、第5及び第6めっき層161、162は、電気伝導性に優れた材料を用いることができ、代表的には導電性金属を用いることができる。
【0078】
このとき、第5及び第6めっき層161、162の種類を特に限定しないが、第3及び第4めっき層151、152とは異なる導電性金属材料を用いることができる。一例として、第5及び第6めっき層161、162に含まれる導電性金属の例として錫(Sn)等が挙げられ、第5及び第6めっき層161、162は、錫を主成分として含む(すなわち、錫を80重量%以上含む)ことができる。したがって、本発明の一実施形態によると、第5及び第6めっき層161、162は錫めっき層であってもよい。
【0079】
本発明の一実施形態によると、第5及び第6めっき層161、162は実装特性を向上させる役割を果たすことができる。したがって、上述したように、第5及び第6めっき層161、162を形成するために、第3及び第4めっき層151、152の形成後、乾式研磨によって表面に存在する酸化物(oxide)を除去し、セラミック素体部分を除く全部分(すなわち、第1及び第2電極層141、142の上部と、第3及び第4めっき層151、152の上部)をカバーするように第5及び第6めっき層を形成して実装性を確保する。
【0080】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。但し、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、0402(長さ×幅、0.4mm×0.2mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0081】
したがって、製造誤差、外部電極サイズ等を考慮すると、積層型電子部品100の長さが0.44mm以下であり、幅が0.22mm以下である場合、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向の最大サイズを意味し、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品100の第3方向の最大サイズを意味することができる。
【0082】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定するものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0083】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112:上部カバー部
113:下部カバー部
121、122:内部電極
131:第1めっき層
132:第2めっき層
141:第1電極層
142:第2電極層
151:第3めっき層
152:第4めっき層
161:第5めっき層
162:第6めっき層
200、300:外部電極
図1
図2
図3
図4