IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バット ホールディング アーゲーの特許一覧

<>
  • 特開-弁 図1
  • 特開-弁 図2
  • 特開-弁 図3
  • 特開-弁 図4
  • 特開-弁 図5
  • 特開-弁 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118097
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20230817BHJP
   H05H 7/14 20060101ALI20230817BHJP
   F16K 3/02 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
F16K51/02 B
H05H7/14
F16K3/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023018971
(22)【出願日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】10 2022 103 235.3
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マイアー
【テーマコード(参考)】
2G085
3H053
3H066
【Fターム(参考)】
2G085BD01
3H053AA11
3H053AA13
3H053BA01
3H053BA11
3H053BA12
3H053CA00
3H053DA09
3H066AA03
3H066BA01
3H066BA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】帯電粒子もしくは帯電粒子ビームをできるだけ乱さずにフランジの貫通開口部を通って案内することができる弁を提供する。
【解決手段】弁は、弁ハウジング(2)、弁開口部(3)、閉鎖機構(5)、弁駆動部(6)と、貫通開口部(11)を有する2つのフランジ(9,10)を備え、フランジ(9,10)は、弁駆動部(6)によって相互に接近または離間するように移動可能であり、第1の移動方向(7)に沿った閉鎖機構の移動に関して、閉鎖機構と強制結合され、閉鎖機構の最大解放位置において、弁ハウジングの壁部領域(4)に押し付けられ、フランジの貫通開口部(11)が弁開口部を相互に連通させる。ここで、2つのフランジ(9,10)が、それぞれ一連のフィンガーと、それらの間に配置された凹部とを有し、フィンガーは、貫通開口部を取り囲み、一方のフランジ(9)のフィンガーは、それぞれ他方のフランジ(10)の凹部に係合する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁(1)、特に真空弁であって、
弁ハウジング(2)と、該弁ハウジング(2)の相互に対向する壁部領域(4)の弁開口部(3)とを備え、
閉鎖機構(5)ならびに少なくとも1つの弁駆動部(6)を備え、
前記閉鎖機構(5)は、閉鎖位置では前記弁開口部(3)の少なくとも一方を閉鎖し、中間位置では両方の弁開口部(3)から持ち上げられて当該弁開口部(3)の間に配置され、最大解放位置では前記弁開口部(3)を完全に解放し、
前記閉鎖機構(5)は、少なくとも1つの前記弁駆動部(6)によって、前記最大解放位置と前記中間位置との間で相互に反する第1の移動方向(7)に往復移動可能であり、前記中間位置と前記閉鎖位置との間で相互に反する第2の移動方向(8)に往復移動可能であり、
前記弁(1)は、付加的に、それぞれが貫通開口部(11)を有する相互に対向して配置された2つのフランジ(9,10)を有し、
前記フランジ(9,10)は、少なくとも1つの前記弁駆動部(6)によって相互に接近し、相互に離間するように移動可能であり、前記第1の移動方向(7)に沿った前記閉鎖機構(5)の移動に関して、前記閉鎖機構(5)と強制結合されて連動可能に接続されており、
前記フランジ(9,10)は、前記閉鎖機構(5)の前記最大解放位置において、前記弁ハウジング(2)の相互に対向する前記壁部領域(4)に押し付けられ、そこで、前記フランジ(9,10)の前記貫通開口部(11)が前記弁開口部(3)を相互に連通させる、弁(1)において、
前記2つのフランジ(9,10)が、それぞれ一連のフィンガー(12)と、それぞれ2つの隣接するフィンガー(12)の間に配置された凹部(13)とを有し、
各前記フランジ(9,10)の前記フィンガー(12)は、各前記フランジ(9,10)の前記貫通開口部(11)を取り囲み、一方の前記フランジ(9)の前記フィンガー(12)は、それぞれ他方の前記フランジ(10)の前記凹部(13)に係合することを特徴とする、弁(1)。
【請求項2】
一方の前記フランジ(9)の前記フィンガー(12)は、前記フランジ(9,10)のすべての位置において、相互に相対的に、それぞれ他方の前記フランジ(10)の前記凹部(13)にそれぞれ係合し、かつ/または一方の前記フランジ(9)の前記フィンガー(12)は、好適には前記フランジ(9,10)のすべての位置において、相互に相対的に、他方の前記フランジ(10)の前記フィンガー(12)に接触しない、請求項1記載の弁(1)。
【請求項3】
各前記フランジ(9,10)の前記フィンガー(12)は、各前記フランジ(9,10)の前記貫通開口部(11)を環状に取り囲み、かつ/または各前記フランジ(9,10)の前記フィンガー(12)は、他の前記フランジ(9,10)に向かう方向に直線的にかつ/または長手方向に延在するように形成される、請求項1または2記載の弁(1)。
【請求項4】
前記フランジ(9,10)の前記貫通開口部(11)の開口部断面(14)は、少なくとも前記フィンガー(12)の領域ではどこでも同じ大きさである、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項5】
前記フランジ(9,10)は、前記フランジ(9,10)を相互に接続するブッシュ(15)内の前記フィンガー(12)の領域に配置される、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項6】
各前記フランジ(9,10)は、前記貫通開口部(11)に対向する、各前記フランジ(9,10)の外面(16)に、周方向で外方に突出するビード(17)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項7】
前記フランジ(9,10)は、好適には周方向に閉じられた接触板(18)および/または管状の接触板(18)を用いて相互に導電的に接続され、前記フランジ(9,10)の前記フィンガー(12)は、前記接触板(18)によって取り囲まれた内部空間(19)に配置される、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項8】
前記接触板(18)は、それぞれ、各前記フランジ(9,10)の前記ビード(17)上に載置される、請求項6または7記載の弁(1)。
【請求項9】
各前記フランジ(9,10)の一方の外面(16)もしくは前記貫通開口部(11)に対向する外面(16)に、それぞれ取り外しソケット(20,21)が配置され、前記接触板(18)は、それぞれ各前記取り外しソケット(20,21)と、各前記フランジ(9,10)との間を通って案内される、請求項7または8記載の弁(1)。
【請求項10】
各前記取り外しソケット(20,21)は、周方向で内方に突出するビード(22)を有し、該ビード(22)と共に各前記取り外しソケット(20,21)が前記接触板(18)に押し付けられる、請求項9記載の弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁、特に真空弁に関しており、この弁は、弁ハウジングと、該弁ハウジングの相互に対向する壁部領域の弁開口部とを備え、閉鎖機構ならびに少なくとも1つの弁駆動部を備え、ここで、閉鎖機構は、閉鎖位置では弁開口部の少なくとも一方を閉鎖し、中間位置では両方の弁開口部から持ち上げられて当該弁開口部の間に配置され、最大解放位置では弁開口部を完全に解放し、ここで、閉鎖機構は、少なくとも1つの弁駆動部によって、最大解放位置と中間位置との間で相互に反する第1の移動方向に往復移動可能であり、中間位置と閉鎖位置との間で相互に反する第2の移動方向に往復移動可能であり、ここで、弁は、付加的に、それぞれが貫通開口部を有する相互に対向して配置された2つのフランジを有し、ここで、フランジは、少なくとも1つの弁駆動部によって相互に接近し、相互に離間するように移動可能であり、第1の移動方向に沿った閉鎖機構の移動に関して、閉鎖機構と強制結合されて連動可能に接続されており、ここで、フランジは、閉鎖機構の最大解放位置において、弁ハウジングの相互に対向する壁部領域に押し付けられ、そこで、フランジの貫通開口部が弁開口部を相互に連通させる。
【0002】
このタイプの弁は、実際には、例えば粒子加速器などにおいて使用され、この場合、閉鎖機構の最大解放位置において、帯電粒子、特に帯電粒子ビームが、弁開口部およびフランジの貫通開口部を通って案内され得る。ここでは、本発明による弁により、帯電粒子もしくは帯電粒子ビームが可及的に僅かしか偏向しないことが重要である。従来技術では周知の事前使用からこの種の弁が公知であり、この弁では、フランジの間に弾性のあるテンション板が配置され、このテンション板が、フランジの相互に接近移動および離間移動の際に弾性変形させられる。このテンション板では、貫通開口部の延在方向にわたって開口部断面が変化し、このことがフランジの貫通開口部を通って案内される帯電粒子の不所望な偏向に結び付く可能性がある。
【0003】
本発明の課題は、冒頭に述べたような形式の弁において、帯電粒子もしくは帯電粒子ビームをできるだけ乱さずにフランジの貫通開口部を通って案内することができるように改善を行うことである。
【0004】
この目的のために、本発明は、請求項1記載の弁を提案する。
【0005】
したがって、本発明によれば、2つのフランジが、それぞれ一連のフィンガーと、それぞれ2つの隣接するフィンガーの間に配置された凹部とを有し、ここで、各フランジのフィンガーは、各フランジの貫通開口部を取り囲み、一方のフランジのフィンガーは、それぞれ他方のフランジの凹部に係合することが想定される。
【0006】
本発明による、フィンガーと、それぞれそれらの間に配置された凹部とを有する2つのフランジの構成により、フランジの貫通開口部の開口部断面を一定にもしくはどこでも実質的に同じ大きさに維持することが可能になる。驚いたことに、これによって、貫通開口部および弁開口部を通る際の帯電粒子もしくは帯電粒子ビームの不所望な偏向が非常に効果的に回避されることが示された。好適には、この文脈において、フランジの貫通開口部の開口部断面は、少なくともフィンガーの領域ではどこでも同じ大きさであることが想定される。このことは、好適には特に、フランジが、閉鎖機構の最大解放位置において、弁ハウジングの相互に対向する壁部領域に押し付けられるときにも当てはまる。
【0007】
2つのフランジの貫通開口部は、好適には、フランジのすべての位置において相互に面一になるように配置されている。また、弁ハウジングの相互に対向する壁部領域の弁開口部も、好適には、相互に面一に配置されている。
【0008】
本発明による弁駆動部は、閉鎖機構およびフランジを、相互に反する第1の移動方向に移動させるが、閉鎖機構を相互に反する第2の移動方向にも駆動し、さらにフランジもその移動の際に相互に接近させ、相互に離間させるように駆動する唯一の弁駆動部を有し得る。しかしながら代替的に、本発明による弁は、もちろん、2つ以上の弁駆動部、例えば、閉鎖機構およびフランジを相互に反する第1の移動方向に移動させるための第1の弁駆動部と、閉鎖機構を相互に反する第2の移動方向に移動させ、かつ/またはフランジを相互に接近させ、相互に離間させるための少なくとも1つのさらなる弁駆動部とを備えて構成されてもよい。そのような弁駆動部の設計のために、従来技術には、相応に適合化された形態で本発明による弁に使用することが可能な様々な手段が存在する。
【0009】
弁開口部が存在する弁ハウジングの相互に対向する壁部領域は、好適には、それ自体既知の手法で、それぞれ弁開口部の1つを取り囲む弁座として実施されてよい。
【0010】
第2の移動方向、好適には、フランジを相互に接近させ、相互に離間させるように移動可能である移動方向も、好適には、相互に反する第1の移動方向に対して、角度を付けて、好適には直交するように配向される。
【0011】
フランジが、閉鎖機構の最大解放位置において、弁ハウジングの相互に対向する壁部領域に押し付けられた場合、フランジの貫通開口部が弁開口部を相互に流体導通させると言うこともできよう。流体導通とは、要するに少なくとも帯電粒子および/または帯電粒子ビームを、貫通開口部および弁開口部を通って案内することができることを意味するものと理解されたい。
【0012】
閉鎖機構は、弁プレートであり得るが、他の成形された閉鎖機構であってもよい。ここでも、基本的には、従来技術による様々な実施形態を用いることが可能である。フランジのフィンガーは、ピン状に形成されてよいが、板状に形成されてもよい。これらは最終的には、突出する自由端部を有し、それらの間に対応する凹部が配置された長手方向に延在する要素である。これらはフィンガーと称する代わりに櫛歯要素あるいはフォークと言うこともできよう。
【0013】
好適にはいずれにせよ、一方のフランジのフィンガーは、フランジのすべての位置において、相互に相対的に、それぞれ他方のフランジの凹部にそれぞれ係合することが想定される。さらに好適には、一方のフランジのフィンガーは、他方のフランジのフィンガーには接触しないことが想定される。このことは、好適には、フランジのすべての位置において相互に相対的なことが当てはまる。代替的に、一方のフランジのフィンガーが、好適にはフランジのすべての位置において、相互に相対的に、接触することなく他方のフランジのフィンガーの間の凹部に配置されるとも言える。好適にはいずれにせよ、各フランジのフィンガーは、各フランジの貫通開口部を環状に取り囲んでいる。各フランジのフィンガーは、好適には、他のフランジに向かう方向に直線的にかつ/または長手方向に延在するように形成される。
【0014】
本発明の好適な変形形態は、フランジは、フランジを相互に接続するブッシュ内のフィンガーの領域に配置されることが想定される。このことも同様に、弁開口部およびフランジの貫通開口部を通って案内される帯電粒子または帯電粒子ビームの不所望な偏向をさらに良好に防止するのに好適であることが判明している。ブッシュは、好適には、フランジの少なくとも1つに摺動可能に支承されている。
【0015】
フランジは、好適には、相互に導電的に接続されている。これは、特に好適には、相互に相対的なフランジのすべての位置に当てはまるが、特に、フランジが、閉鎖機構の最大解放位置において、弁ハウジングの相互に対向する壁部領域に押し付けられ、そこで、フランジの貫通開口部が弁開口部を相互に連通させる場合に当てはまる。特に、フランジが接触板を用いて相互に導電的に接続され、ここで、フランジのフィンガーは接触板によって取り囲まれた内部空間に配置されている本発明の実施形態は好適である。この接触板は、好適には、周方向に閉じられて実施され、かつ/または管状に実施される。2つのフランジと接触板との間の特に良好な導電的な接触を保証するために、好適な変形形態では、各フランジは、貫通開口部に対向する、各フランジの外面に、周方向で外方に突出するビードを有することが想定される。次いで、好適には、接触板は、それぞれ、各フランジのビード上に載置されることが想定される。これにより、接触板を介したビード間の恒久的で確実な電気的接触接続が保証され得る。
【0016】
本発明の好適な実施形態では、各フランジの一方の外面もしくは貫通開口部に対向する外面に、それぞれ取り外しソケットが配置され、ここで、接触板は、それぞれ各取り外しソケットと、各フランジとの間を通って案内されることが想定される。取り外しソケットは、好適には、少なくとも所定の領域において、管体ソケットとして形成されている。好適には、ここでは、各取り外しソケットは、周方向で内方に突出するビードを有し、該ビードと共に各取り外しソケットが接触板に押し付けられることが想定される。つまり、接触板は、好適には、一方ではフランジのビード間でクランプされ、他方では取り外しソケットのビード間でクランプされる。確実な電気的接触接続の観点から、弾性変形可能な接触板もしくは弾力のある接触板が好適である。取り外しソケットのビードは、ここでは、好適には、フランジのビード間にある領域で接触板に押し付けられる。
【0017】
本発明の好適な実施形態のさらなる特徴および詳細は、以下の図面の説明において例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による弁の外側からの斜視図である。
図2図1の弁から弁ハウジングを外した図である。
図3】閉鎖機構が閉鎖位置にある場合の図1の弁を通る縦断面図である。
図4】閉鎖機構が最大解放位置にある場合の図1の本発明による弁を通る縦断面図である。
図5図1および図4による本実例のフランジ、接触板、および取り外しソケットの分解図である。
図6図4の領域Aの拡大図である。
【0019】
本発明による弁1は、ここに示される実施例のように、好適には、いわゆる真空弁である。真空弁は通常、特殊な雰囲気や特殊な圧力レベルで作業すべき場合に使用される。特に、0.001mbar(ミリバール)もしくは0.1パスカル以下の圧力差で作業する場合、弁と称する。ただし、常圧未満、つまり1bar未満の圧力差に対して設計されている場合も既に真空弁と称し得る。
【0020】
ここで、図1は、真空弁として実施された本発明による弁1の変形実施形態を示しており、この弁1は、弁ハウジング2と、弁ハウジング2の対向する壁部領域4に配置された弁開口部3とを備えている。図示の実施例においても他の実施例においても、弁開口部3を取り囲む壁部領域4は、ハウジングフランジ23として構成されてよく、これにより、弁1を、対応する管路および/またはプロセスチャンバのチャンバ外壁に固定することができる。このこと自体は公知のものであり、さらなる説明は不要である。本発明による弁1の閉鎖機構5は、図1にも見られるように、閉鎖位置において弁開口部3の少なくとも1つを閉鎖する。
【0021】
図2では、弁ハウジング2は図示されていない。これにより、とりわけ、弁駆動部6によって相互に反する第1の移動方向7に駆動される弁ロッド24を見て取ることができる。図示の実施例では、弁駆動部6は、図3および図4による断面図に示されているように、それ自体公知の手法で、例えば油圧式または空気圧式に駆動されるピストン-シリンダアセンブリとして構成されてもよいが、電気式リニア駆動部などとして構成されてもよい純粋なリニア駆動部である。図2では、弁ロッド24が閉鎖機構5を弁駆動部6とどのように連結させているかも良好に見て取ることができる。閉鎖機構5の下方には、2つのフランジ9のうちの一方が自身の貫通開口部11と共に見て取れる。これに対して、第2のフランジ10は、図2では見ることができない背面側にある。これらのフランジ9および10は、少なくとも1つの弁駆動部6によって相互に接近し、相互に離間するように移動可能であり、相互に反する第1の移動方向7に沿った閉鎖機構の移動に関して、閉鎖機構5と強制結合される。このことは、閉鎖機構5が相互に反する第1の移動方向7に弁駆動部6によって移動する場合には常にフランジ9,10が第1の移動方向7に連動することを意味する。
【0022】
フランジ9および10も、閉鎖機構5も、ばね要素25を介して案内ロッド26上を案内される。また、案内ロッド26上にはストッパ28も存在するが、その機能については引き続き以下においてさらにより詳細に説明する。
【0023】
図3は、ここでは、閉鎖機構5が閉鎖位置にあり、それによって、弁開口部3の1つが閉鎖している位置を、弁1を通る縦断面図で示している。図3および図4の比較の際、閉鎖機構5は、リニア駆動部として実施された弁駆動部6によって、図4による最大解放位置と中間位置との間で相互に反する第1の移動方向7に往復移動されることが見て取れる。そのため、そのようなことは、それ自体公知である。中間位置では、閉鎖機構5は、両方の弁開口部3から持ち上げられているが、当該弁開口部3の間に配置されている。この中間位置から、閉鎖機構5は、第2の移動方向8の一方において、対応する弁開口部3を取り囲む壁部領域4の方向に、または換言すれば弁座に向かって移動し、ここでは、弁駆動部6がストッパ28まで走行させて傾斜板27が対応する拡がりを生じ、したがって閉鎖機構5が弁座もしくは弁開口部3を取り囲む弁ハウジング2の壁部領域4に押し付けられることが保証される。これにより、閉鎖機構5は、図3に示されているように、弁開口部3の一方を閉鎖する閉鎖位置にもたらされる。
【0024】
閉鎖機構5をこの閉鎖位置から再び中間位置にもたらすために、弁駆動部6によって弁ロッド24が第1の移動方向7の一方で1ブロック先の上方に引き上げられ、これによって、傾斜板27が相応に再び図4に示されている位置まで傾斜を戻される。次いで、弁ロッド24における第1の移動方向7の一方での上方へのさらなる引き上げによって、閉鎖機構5は、フランジ9,10と共に図4による最大解放位置に引き上げられる。フランジ9,10は、この場合、第1の移動方向7に関するそれらの強制結合に基づいて、閉鎖機構5と連動される。その際、ストッパ28への相応の当接により、フランジ9,10は、そこに配置された傾斜板27を用いて、拡がり方向29の一方に相互に拡げられ、それによって、フランジ9,10は、閉鎖機構5の最大解放位置において、弁ハウジング2の相互に対向する壁部領域4に押し付けられ、その際、図4に示されているようにフランジ9,10の貫通開口部11が弁開口部3を相互に連通させる。これらすべては、本実施例では、リニア駆動部として構成された唯一の弁駆動部6によって実行される。ストッパ28および傾斜板27を用いた拡がり、およびばね要素25のみならず相互に反する第2の移動方向8への閉鎖機構5も、相互に反する拡がり方向29へのフランジ9,10も用いたリセットも、それ自体公知の従来技術準であるので、さらなる説明は不要であろう。本明細書で示されている実施例からは逸れるが、本発明による弁1は、もちろん、閉鎖位置において、相互に反する側でそれぞれ弁開口部3のうちの1つが閉鎖される2つの閉鎖機構を有することも可能であることを単に述べておく。このことは、本明細書で実現された支持板30を第2の閉鎖機構5によって置き換えることにより、簡単な手法で達成することができる。いずれにせよ、このもしくはこれらの閉鎖機構5は、好適な実施形態では、弁プレートとして実施される。
【0025】
図5による分解図において、ここで、当該実施例においても、本発明によれば、両方のフランジ9および10が、それぞれ、一連のフィンガー12と、それぞれ、2つの隣接するフィンガー12の間に配置された凹部13とを有することが良好に見て取れる。次いで、図6において、ただし図3および図4においても、各フランジ9もしくは10のフィンガー12が、各フランジ9もしくは10の貫通開口部11を取り囲み、一方のフランジ9のフィンガー12が、それぞれ他方のフランジ10の凹部13の1つに係合することが再び見て取れる。好適には、このことは、ここでも実現されるように、フランジ9および10の相互に相対するすべての位置において当てはまる。さらに、ここでは、一方のフランジ9のフィンガー12が他方のフランジ10のフィンガー12に接触しないことも好適である。図5では、本明細書で実現される2つのフランジ9および10のフィンガー12がプレート状、より厳密にはくさび形プレートの形態で形成されていることが良好に見て取れる。それらは好適には、直線的に長手方向に延在するように形成され、それらの突出する自由端部はそれぞれ他方のフランジ9もしくは10の方向に配向される。さらに、図5では、各フランジ9および10のフィンガー12が、ここでは、各フランジ9および10の貫通開口部11を環状に取り囲んでいることが良好に見て取れる。
【0026】
しかしながら、既に冒頭で説明したように、本発明による実施形態は、多かれ少なかれ、板状ではなく、ピン状に形成されたフィンガー12を設けることも可能である。図3および図4において見て取れるように、好適にはそれぞれ、フランジ9および10の貫通開口部11の開口部断面14が、少なくともフィンガー12の領域においてどこでも同じ大きさであることが想定される。
【0027】
また、図5においても、ブッシュ15と、それぞれフランジ9,10に形成された周方向で外方に突出するビード17とが見て取れる。図5には、それぞれ内方に配向された周方向のビード22を有する取り外しソケット20,21も示されている。
【0028】
ここでは、組み立て後の動作状態を、図4の区分Aを拡大して示した図6に基づいて説明する。図5および図6を一緒に観察すれば、フランジ9および10が、フランジ9および10を相互に接続するブッシュ15内のフィンガー12の領域に配置されていることが良好に分かる。ブッシュ15は、ここでは、相互に接近し、相互に離間するフランジ9および10の対応する相対移動を妨げないようにするために、フランジ9もしくは10の少なくとも一方に、摺動可能に支承されている。しかしながら、フランジ9および10は、本実施例では、ここでは周方向に閉じた管状に実施される接触板18を用いて相互に導電的に接続される。フランジ9および10のフィンガー12は、接触板18によって取り囲まれた内部空間19に配置されている。図6でも、接触板18が、フランジ9および10相互の最適な電気的接触接続の観点から、それぞれ、フランジ9および10のビード17上に載置されていることが良好に見て取れる。このことは、好適には、相互に相対的な両方のフランジ9および10のすべての位置において当てはまる。図6では、取り外しソケット20,21が、貫通開口部11にそれぞれ対向するフランジ9および10の外面にどのように配置されているかも見て取れる。接触板18は、図6に示されているように、本実施例では、それぞれ、各取り外しソケット20および21と、各フランジ9および10との間も通って案内されている。
【0029】
取り外しソケット20および21の内方に突出するビード22は、外側からそれぞれ接触板18を押圧する。それにより、接触板18を介して両方のフランジ9および10は恒久的に導電的に接続される。接触板18の所定の弾性、ならびにフランジ9および10のビード17と取り外しソケット20および21のビード22との間の配置構成により、相互に相対的なフランジ9および10のすべての位置において確実な接触接続が特に良好に保証される。ここでは、好適には、図6にも示されているように、取り外しソケット20および21のビード22が、フランジ9および10のビード17間の領域に配置されている。総じて、本発明によるこの実施例においても、弁開口部3および貫通開口部11を通って案内される帯電粒子もしくはビームの偏向もしくは妨害が可及的に少なくなる弁1が作成される。
【符号の説明】
【0030】
1 弁
2 弁ハウジング
3 弁開口部
4 壁部領域
5 閉鎖機構
6 弁駆動部
7 第1の移動方向
8 第2の移動方向
9 フランジ
10 フランジ
11 貫通開口部
12 フィンガー
13 凹部
14 開口部断面
15 ブッシュ
16 外面
17 ビード
18 接触板
19 内部空間
20 取り外しソケット
21 取り外しソケット
22 ビード
23 ハウジングフランジ
24 弁ロッド
25 ばね要素
26 案内ロッド
27 傾斜板
28 ストッパ
29 拡がり方向
30 支持板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】