(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118098
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】輪転印刷機のための印刷ユニット、輪転印刷機、方法、およびその使用
(51)【国際特許分類】
B41F 7/02 20060101AFI20230817BHJP
B41F 13/14 20060101ALI20230817BHJP
B41F 13/10 20060101ALI20230817BHJP
B41F 13/18 20060101ALI20230817BHJP
B41F 13/24 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
B41F7/02 454
B41F13/14
B41F13/10 324
B41F13/18 324
B41F13/24 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023019288
(22)【出願日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】10 2022 103 265.5
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523049007
【氏名又は名称】マンローランド・ゴス・ウェブ・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・ジングラー
【テーマコード(参考)】
2C034
【Fターム(参考)】
2C034AA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】輪転印刷機の印刷ユニット、このような印刷ユニットを含む輪転印刷機、ならびに方法およびこのような輪転印刷機の使用を創出すること。
【解決手段】ウェブ状印刷材料(11)の片面印刷のために形成される、輪転印刷機の印刷ユニット(10)は、少なくとも1つの印刷版を支持する版胴(12)と、版胴(12)上を転動し、少なくとも1つの転写版を支持し、版胴(12)の少なくとも1つの印刷版に塗布される印刷インクを、少なくとも1つの転写版を介して印刷材料(11)に転写する転写胴(13)と、転写胴(13)と共に、印刷されるべきウェブ状印刷材料(11)を搬送するための印刷ギャップ(15)を画定する圧胴(14)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状印刷材料(11)の片面印刷のために形成される、輪転印刷機の印刷ユニット(10)であって、
少なくとも1つの印刷版を支持するように構成されている版胴(12)と、
前記版胴(12)上を転動し、少なくとも1つの転写版を支持するように、かつ前記版胴(12)の前記少なくとも1つの印刷版に塗布される印刷インクを、前記少なくとも1つの印刷版において始まって前記少なくとも1つの転写版を介して、前記ウェブ状印刷材料(11)に転写するように構成されている転写胴(13)と、
前記転写胴(13)と共に、印刷されるべき前記ウェブ状印刷材料(11)を搬送するための印刷ギャップ(15)を画定する圧胴(14)と、
を含む、
印刷ユニット(10)において、
前記版胴(12)は版胴マンドレル(12a)を有し、前記版胴マンドレル(12a)は第1の直径を有する版胴スリーブ(12b)を受け取るように形成され、前記版胴(12)の前記版胴スリーブ(12b)は前記少なくとも1つの印刷版を支持または提供し、前記転写胴(13)は転写胴マンドレル(13a)を有し、前記転写胴マンドレル(13a)は第2の直径を有する転写胴スリーブ(13b)を受け取るように形成され、前記転写胴(13)の前記転写胴スリーブ(13b)は前記少なくとも1つの転写版を支持または提供し、
前記版胴(12)の回転ごとに搬送される前記ウェブ状印刷材料(11)の可変ウェブ長さを提供するため、前記版胴スリーブ(12b)および前記転写胴スリーブ(13b)を交換することができ、
前記転写胴スリーブ(13b)は前記版胴スリーブ(12b)の2倍の直径を有する、
印刷ユニット。
【請求項2】
前記版胴(12)は第1の駆動モータによって、前記転写胴(13)は第2の駆動モータによって駆動することができることを特徴とする、請求項1に記載の印刷ユニット。
【請求項3】
前記圧胴(14)は第3の駆動モータによって駆動することができることを特徴とする、請求項2に記載の印刷ユニット。
【請求項4】
前記印刷ユニットは、少なくとも1つのインク塗布ローラ(18)を含むインキングユニット(16)を備え、前記インク塗布ローラ(18)は、前記版胴(12)上を転動し、前記インク塗布ローラ(18)の回転軸は、前記版胴(12)の回転軸に調整することができることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷ユニット。
【請求項5】
前記印刷ユニットは、少なくとも1つの水着けローラ(19)を含む水着けユニット(19)を備え、前記水着けローラ(19)は、前記版胴(12)上を転動し、前記水着けローラ(19)の回転軸は、前記版胴(12)の回転軸に調整することができることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷ユニット。
【請求項6】
前記転写胴(13)の回転軸を前記版胴(12)の回転軸に対して調整することができることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の印刷ユニット。
【請求項7】
前記圧胴(14)の回転軸を前記転写胴(13)の回転軸に対して調整することができることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷ユニット。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷ユニット(10)を少なくとも1つ含む輪転印刷機。
【請求項9】
前記輪転印刷機は包装印刷機であることを特徴とする、請求項8に記載の輪転印刷機。
【請求項10】
版胴マンドレル(12a)上に配置された版胴スリーブ(12b)の2倍の直径を有する転写胴スリーブ(13b)が転写胴マンドレル(13a)上に配置されていることを特徴とする、請求項8または9に記載の輪転印刷機を動作させるための方法。
【請求項11】
包装の、特に食物のフィルム包装または段ボール包装の片面印刷のための請求項8または10に記載の輪転印刷機の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェブ状印刷材料の片面印刷のための輪転印刷機の印刷ユニットに関する。本発明はさらに、このような印刷ユニットを含む輪転印刷機、輪転印刷機を動作させるための方法、およびこのような輪転印刷機の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機の場合において、輪転印刷機と枚葉給紙式印刷機との間で区別が一般になされる。印刷材料の片面印刷および両面印刷という目的を満たす印刷機間で区別がさらになされる。新聞印刷および商業印刷において、印刷材料ウェブの両面印刷という目的を満たしかつ輪転印刷機として具現化されている印刷機が用いられる。包装印刷において、印刷されるべき材料、すなわち包装材が片面に印刷される印刷機が用いられる。輪転印刷機は包装印刷においても用いられる。
【0003】
特に包装印刷において、したがって印刷材料の片面印刷という目的を満たす輪転印刷機の場合において、異なるサイズの包装を柔軟に印刷することができるようにフォーマットの可変性が重要である。ここで、フォーマットの可変性は、印刷機の印刷ユニットの版胴の回転ごとに搬送および印刷される印刷材料の長さの可変性であると理解される。版胴の回転ごとに搬送されるウェブ状印刷材料の印刷材料の長さはここでリピート長として識別される。簡単な方法で印刷材料の片面印刷という目的を満たす印刷ユニット、したがって印刷機にフォーマットの可変性を提供する必要性がある。
【0004】
特許文献1は、印刷材料の片面印刷という目的を満たす、印刷機の印刷ユニットを開示している。印刷ユニットは、版胴、転写胴、および圧胴を有する。ここに開示された印刷ユニットの場合において、ページサイズの高さおよび/または幅における変化に関する生産の柔軟性およびフォーマットの可変性もある程度まで保証することができる。大判フォーマットページおよびDIN-A4フォーマットページをしたがって印刷することができる。しかしながら、特許文献1による印刷ユニットは、版胴の回転ごとに搬送および印刷される印刷材料の長さの可変性を提供せず、したがってリピート長の可変性がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019120263号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに基づいて、本発明は、輪転印刷機の印刷ユニット、このような印刷ユニットを含む輪転印刷機、ならびに方法およびこのような輪転印刷機の使用を創出するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の輪転印刷機の印刷ユニットによって解決される。
【0008】
印刷ユニットは版胴を有し、版胴は少なくとも1つの印刷版を支持するように構成されている。印刷ユニットは転写胴を有し、転写胴は、版胴上を転動し、少なくとも1つの転写版を支持するように、かつ版胴の少なくとも1つの印刷版に塗布される印刷インクを、少なくとも1つの印刷版において始まって少なくとも1つの転写版を介して、印刷材料に転写するように構成されている。印刷ユニットは圧胴を有し、圧胴は、転写胴と共に、印刷されるべきウェブ状印刷材料を搬送するための印刷ギャップを画定する。
【0009】
版胴は版胴マンドレルを有し、版胴マンドレルは第1の直径を有する版胴スリーブを受け取るように形成され、版胴の版胴スリーブは少なくとも1つの印刷版を支持または提供する。転写胴は転写胴マンドレルを有し、転写胴マンドレルは第2の直径を有する転写胴スリーブを受け取るように形成され、転写胴の転写胴スリーブは少なくとも1つの転写版を支持または提供する。
【0010】
版胴の回転ごとに搬送されるウェブ状印刷材料の可変ウェブ長さを提供するため、版胴スリーブおよび転写胴スリーブを交換することができ、転写胴スリーブは版胴スリーブの2倍の直径を有する。
【0011】
輪転印刷機の本発明による印刷ユニットにより、版胴の回転ごとに搬送および印刷される印刷材料ウェブのウェブ長さの可変性、したがってリピート長に関する可変性を提供することが、簡単な手段で保証される。
【0012】
版胴は第1の駆動モータによって、転写胴は第2の駆動モータによって、および圧胴は第3の駆動モータによって好ましくは駆動することができる。転写胴、版胴、および圧胴を個別の駆動モータによって個別に駆動することは、リピート長の可変性のために特に有利である。
【0013】
転写胴の回転軸を好ましくは版胴の回転軸に対して調整することができ、圧胴の回転軸を転写胴の回転軸に対してさらに調整することができる。回転軸のこの調整性もリピート長の可変性のために有利である。
【0014】
好ましくは、印刷ユニットは、版胴上を転動する少なくとも1つのインク塗布ローラを含む少なくとも1つのインキングユニットと、好ましくは、版胴上を転動し、その回転軸を版胴の回転軸に調整することができる、少なくとも1つの水着けローラを含む水着けユニットと、も含む。少なくともインク塗布ローラの、および同様に少なくとも水着けローラの回転軸のこの調整性はリピート長の可変性のために有利である。
【0015】
本発明による輪転印刷機は請求項8において定義され、輪転印刷機を動作させるための本発明による方法は請求項11において定義され、輪転印刷機の本発明による使用は請求項12に定義される。
【0016】
本発明の好ましいさらなる発展が従属請求項から、および次の説明から続く。図面に基づいて、しかしこれに限定されることなく、本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明にしたがって用いられるとき、本発明による方法において用いられるときの輪転印刷機の本発明による印刷ユニットの概略図である。
【
図2】別の転写胴スリーブおよび版胴スリーブを用いるときの
図1の印刷ユニットの概略図である。
【
図3】さらに別の転写胴スリーブおよび版胴スリーブを用いるときの
図1の印刷ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ウェブ状印刷材料11の片面印刷のための輪転印刷機の本発明による印刷ユニット10の概略図を示す。
【0019】
印刷ユニット10は版胴12を有し、版胴12は少なくとも1つの印刷版を支持するように構成されている。印刷ユニット10はさらに転写胴13を有する。転写胴13は、版胴12上を転動し、少なくとも1つの転写版を支持するように、かつ版胴12の少なくとも1つの印刷版に塗布される印刷インクを、少なくとも1つの印刷版において始まり、したがって版胴12で始まり、少なくとも1つの転写版を介して、したがって転写胴13を介して、ウェブ状印刷材料11の、印刷されるべき面に転写するように構成されている。
【0020】
印刷ユニット10はさらに圧胴14を有する。圧胴14は、印刷ギャップ15を形成することによって転写胴13と協働し、印刷されるべき印刷材料11は、印刷ギャップ15を通して、印刷材料11を印刷するときに搬送される。
【0021】
図1の印刷ユニット10は、さらにインキングユニット16および水着けユニット17を有し、インキングユニット16および水着けユニット17の複数のローラが示されている。インキングユニット16の少なくとも1つのローラ、図示の例示的な実施形態においてインキングユニット16の2つのローラがインク塗布ローラ18として形成され、これらインク塗布ローラ18は、版胴12上に配置されている少なくとも1つの印刷版に印刷インクを塗布する。版胴12上に配置されている少なくとも1つの印刷版に湿し水を塗布するため、
図1の水着けユニット17の1つのローラが水着けローラ19として形成されている。
【0022】
版胴12は版胴マンドレル12aを有し、転写胴13は転写胴マンドレル13aを有する。版胴12および転写胴13のこれらのマンドレル12aおよび13aは印刷ユニット10に堅固に設置され、必要であれば、メンテナンス目的で除去される。
【0023】
版胴マンドレル12aは、第1の直径を有する版胴スリーブ12bを受け取るように形成されている。版胴12の版胴スリーブ12bは少なくとも1つの印刷版を支持する。版胴スリーブ12bの少なくとも1つのクランピングチャネルにおいて受け取られる印刷プレートをこれによって印刷版として使用することができる。しかしながら、印刷版は印刷胴スリーブの外面に直接適用することもでき、または版胴スリーブ12bによって形成することができる。
【0024】
転写胴13の転写胴マンドレル13aは、第2の直径を有する転写胴スリーブ13bを受け取るように形成されている。転写胴スリーブ13bは、好ましくは直接その外側で少なくとも1つの転写版を支持する。転写胴スリーブ13bの外側はしたがって転写版で覆うことができる。
【0025】
版胴12の回転ごとに搬送される、印刷された印刷材料ウェブ11のウェブ長さの可変性を提供するため、版胴スリーブ12bおよび転写胴スリーブ13bを交換することができ、本発明によれば、転写胴スリーブ13bは版胴スリーブ12bの2倍の周長を有する。同時に、
図1は、転写胴スリーブ13bが版胴スリーブ12bの2倍の直径、したがって2倍の周長を有する、本発明による少なくとも1つの印刷ユニット10をそれぞれ有する、本発明による印刷ユニット10の本発明による動作モード、または本発明による輪転印刷機の本発明による動作モードを明確化している。
【0026】
対照的に、
図2および
図3は、それぞれ同じ直径で、したがってそれぞれ同じ周長で、版胴スリーブ12bおよび転写胴スリーブ13bが版胴マンドレル12aおよび転写胴マンドレル13a上に配置されている、本発明による印刷ユニット10をそれぞれ有する、本発明による印刷機の他の動作モード、または輪転印刷機の他の動作モードを示すが、
図2におけるスリーブ12b、13bの直径、したがって周長は
図3より大きい。
【0027】
図2の動作モードは、たとえば91.44cm(36インチ)の大きなリピート長を提供するために設計されている。
図3の動作モードは、小さなリピート長、たとえば45.72cm(18インチ)を提供するために設計されている。
図3に示す動作モードは、同一の直径を有する転写胴スリーブ13bおよび版胴スリーブ12bを、胴12、13、および14の駆動部の幾何学的な衝突なく用いることによって用いることができる。
図3と比較して、たとえば、40.64cm(16インチ)のさらにより小さなリピート長が提供されるべきであれば、
図1に示すスリーブ13b、12b、したがって版胴スリーブ12bと比較して直径が2倍、したがって周長が2倍の転写胴スリーブ13bが用いられる。
【0028】
転写胴13の回転軸は版胴12の回転軸に対して調整することができる。圧胴14の回転軸は同様に転写胴13の回転軸に対して調整することができる。インク塗布ローラ18の、ならびに水着けローラ19の回転軸は、版胴12の回転軸に対して調整することができる。これのすべてが、リピート長の可変性を、したがって版胴12の回転ごとに搬送および印刷される、印刷されるべき印刷材料ウェブ11のウェブ長さの可変性を簡単に提供することに役立つ。
【0029】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの印刷ユニット10を含む印刷機、すなわち輪転印刷機に関する。したがって、たとえば、ウェブ状印刷材料をいくつかの色で片側に印刷することが可能である。すでに述べたように、本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの印刷ユニット10を含む印刷機を動作させるための方法に関する。本発明による方法の場合において、版胴マンドレル12a上に配置されている版胴スリーブ12bと比較して直径が2倍および周長が2倍の転写胴スリーブ13bが、転写胴マンドレル13a上に配置されている。
【0030】
本発明によれば、本発明による少なくとも1つの印刷ユニット10を含む本発明による輪転印刷機は、包装の、特に食物のためのフィルム包装または段ボール包装の片面印刷のために用いられる。
【符号の説明】
【0031】
10 印刷ユニット
11 印刷材料ウェブ
12 版胴
12a 版胴マンドレル
12b 版胴スリーブ
13 転写胴
13a 転写胴マンドレル
13b 転写胴スリーブ
14 圧胴
15 印刷ギャップ
16 インキングユニット
17 水着けユニット
18 インク塗布ローラ
19 水着けローラ
【外国語明細書】