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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118110
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】車輪速度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01P 1/04 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
G01P1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023019792
(22)【出願日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】202220289921.4
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ハオ ユアン
(72)【発明者】
【氏名】チエン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジンヤン リー
(57)【要約】
【課題】本出願は、車輪速度センサに関する。
【解決手段】車輪速度センサは、一対のピン(34)をそれぞれ有する1つ以上のセンサチップ(30)と、対で配置された電気端子(40)であって、各々の一対が1つのセンサチップ(30)に電気接続された一対のピン(34)を備える、電気端子(40)と、各電気端子(40)の第1の端部(44)に取り付けられた支持具(60)と、当該支持具(60)に隣接して各電気端子(40)に取り付けられて、各電気端子(40)が互いにずれることを防止する端部保持具(55)と、各電気端子(40)の本体部(42)に取り付けられて、各電気端子の本体部(42)が互いにずれることを防止する少なくとも1つの中間保持具(65)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサハウジング(10)と、
センサハウジング(10)の内部に位置しているセンサ本体アセンブリと、
を備える車輪速度センサであって、
前記センサ本体アセンブリが、
1つ以上のセンサチップ(30)であって、各々のセンサチップ(30)が、横方向(A)において離間している一対のピン(34)を含む、1つ以上のセンサチップ(30)と、
一対以上の電気端子(40)であって、各々の一対の電気端子(40)が、前記センサチップ(30)の一対のピン(34)に電気接続され、各々の電気端子(40)が、横方向(A)に垂直な縦方向(L)に延在する細長い本体部(42)及び対応するピンに電気接続された第1の端部(44)を備える、一対以上の電気端子(40)と、
各電気端子(40)の第1の端部(44)に取り付けられた支持具(60)であって、前記1つ以上のセンサチップ(30)の各々のセンサチップを設置するための溝(72)を画定し、前記センサチップ(30)の前記ピン(34)の前記電気端子(40)の前記第1の端部(44)との接続部に支持を提供する支持具(60)と、
前記支持具(60)に隣接して各電気端子(40)に取り付けられて、各電気端子(40)が互いにずれることを防止する端部保持具(55)と、
各電気端子(40)の前記本体部(42)に取り付けられて、各電気端子の前記本体部(42)が互いにずれることを防止する少なくとも1つの中間保持具(65)と、
を備える、車輪速度センサ。
【請求項2】
前記端部保持具(55)は、前記支持具(60)と一体に若しくは互いに離間して成形されており、及び/又は、
前記少なくとも1つの中間保持具(65)は、1つの中間保持具のみを含み、若しくは、縦方向Lにおいて離間している複数の中間保持具を含む、
請求項1に記載の車輪速度センサ。
【請求項3】
前記端部保持具(55)及び/又は前記中間保持具(65)は、縦方向(L)に垂直な断面において、楕円形又は多角形の外形を有し、各電気端子の各々の電気端子が延在して貫通することを可能にする貫通孔をそれぞれ備え、横方向(A)に垂直な断面において、前記貫通孔が、対応する電気端子(40)を完全に取り囲み、又は、対応する電気端子(40)の一部分を単に包囲する、請求項2に記載の車輪速度センサ。
【請求項4】
前記中間保持具(65)は、互いに対向する2つの半体を備え、前記対向する2つの半体は、前記貫通孔を共に画定する、請求項3に記載の車輪速度センサ。
【請求項5】
前記端部保持具(55)及び前記支持具(60)は、前記一対以上の電気端子の第1の端部(44)にオーバーモールドされ、前記中間保持具(65)は、前記本体部(42)にオーバーモールドされ、前記センサハウジング(10)は、前記センサ本体アセンブリにオーバーモールドされている、請求項4に記載の車輪速度センサ。
【請求項6】
前記支持具(60)は、前記溝(72)を画定するチップ設置部分(70)と、前記支持を提供する支持部分(80)と、チップ設置部分(70)と支持部分(80)との間に接続された中間部分(90)と、を備え、前記中間部分(90)が、各々のセンサチップ(30)の一対のピン(34)が貫通することを可能にする一対の通路(92)を備え、各々のセンサチップ(30)のための前記一対の通路(92)の間に、前記一対のピン(34)を離間させ、かつ、前記一対のピン(34)を所定の位置に固定するように配置されたスペーサ(94)が設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車輪速度センサ。
【請求項7】
前記スペーサ(94)は、前記センサチップ(30)の前記ピン(34)が前記通路(92)内に設置された後、力及び/又は熱を受ける方法により変形又は破壊されて、前記ピン(34)を所定の位置に維持するように構成されている、請求項6に記載の車輪速度センサ。
【請求項8】
前記スペーサ(94)は、前記通路(92)を画定する側壁から湾曲状若しくは直線状に延出する2つのアーム、又は、前記通路(92)を画定する側壁から延出する単一のブロック若しくはアームの形態を備える、請求項7に記載の車輪速度センサ。
【請求項9】
前記支持具(60)は、横方向(A)において、支持部分(80)の対向する両側から延出する突出部(75)をさらに備え、前記突出部(75)は、前記センサハウジング(10)を貫通して前記車輪速度センサの外側に延在している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車輪速度センサ。
【請求項10】
前記突出部(75)は、横方向(A)に垂直な平面において前記突出部(75)から外側に延在する密封フランジ(85)を備える、請求項9に記載の車輪速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの技術分野に関し、具体的には車輪速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
自動車には、通常、車両の速度を検出するための車輪速度センサ(WSS、Wheel Speed Sensor)が装備されており、車両において、例えば、自動車の横滑り防止機構(ESP)、アンチロックブレーキシステム(ABS)、自動変速機の制御システム、ブースターシステムなどの装置又はシステムに配置されて、車両の車輪速度情報を提供する。従来技術においては、多くの種類の車輪速度センサが提供されてきたが、これらの従来の車輪速度センサには、例えば、構造、製造プロセス、使用コスト管理、信号の冗長性の実現、信頼性などの面において依然としていくつかの欠点及び不足部分が存在する。
【0003】
例えば、細長い電気端子を備える車輪速度センサの場合、通常、各電気端子を一体に成形した後、単一の電気端子に切断し、さらに電気端子をセンサチップのピンに溶接している。各電気端子が長いため、撓み又は相対的なずれが生じやすく、これは、車輪速度センサの信号伝達の精度又は正確性にとって不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の概要
本発明の目的は、改良された構成の車輪速度センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本出願は、車輪速度センサであって、車輪速度センサは、センサハウジングと、センサハウジングの内部に位置しているセンサ本体アセンブリと、を備え、当該センサ本体アセンブリは、1つ以上のセンサチップであって、各々のセンサチップが、横方向において離間している一対のピンを含む、1つ以上のセンサチップと、一対以上の電気端子であって、各々の対の電気端子が、当該センサチップの一対のピンに電気接続され、各々の電気端子が、横方向に垂直な縦方向に延在する細長い本体部及び対応するピンに電気接続された第1の端部を備える、一対以上の電気端子と、各電気端子の第1の端部に取り付けられた支持具であって、当該1つ以上のセンサチップの各々のセンサチップを設置するための溝を画定し、センサチップのピンの当該電気端子の当該第1の端部との接続部に支持を提供する支持具と、当該支持具に隣接して各電気端子に取り付けられて、各電気端子が互いにずれることを防止する端部保持具と、各電気端子の本体部に取り付けられて、各電気端子の本体部が互いにずれることを防止する少なくとも1つの中間保持具と、を備える、車輪速度センサを提供する。
【0006】
一実施例においては、当該端部保持具が、支持具と一体に若しくは互いに離間して成形されており、及び/又は、当該少なくとも1つの中間保持具が、1つの中間保持具のみを含み、若しくは、縦方向Lにおいて離間している複数の中間保持具を含む。
【0007】
一実施例においては、当該端部保持具及び/又は中間保持具が、縦方向に垂直な断面において、楕円形又は多角形の外形を有し、各電気端子の各々の電気端子が延在して貫通することを可能にする貫通孔をそれぞれ備え、横方向に垂直な断面において、当該貫通孔が、対応する電気端子を完全に取り囲み、又は、対応する電気端子の一部分を単に包囲する。
【0008】
一実施例においては、当該中間保持具が、互いに対向する2つの半体を備え、当該対向する2つの半体が、当該貫通孔を共に画定する。
【0009】
一実施例においては、当該端部保持具及び支持具が、当該一対以上の電気端子の第1の端部にオーバーモールドされ、当該中間保持具が、当該本体部にオーバーモールドされ、当該センサハウジングが、当該センサ本体アセンブリにオーバーモールドされている。
【0010】
一実施例においては、当該支持具が、当該溝を画定するチップ設置部分と、当該支持を提供する支持部分と、チップ設置部分と支持部分との間に接続された中間部分と、を備え、当該中間部分が、各々のセンサチップの一対のピンが貫通することを可能にする一対の通路を備え、各々のセンサチップのための当該一対の通路の間に、当該一対のピンを離間させ、かつ、当該一対のピンを所定の位置に固定するように配置されたスペーサが設けられている。
【0011】
一実施例においては、当該スペーサが、センサチップのピンが通路内に設置された後、力及び/又は熱を受ける方法により変形又は破壊されて、当該ピンを所定の位置に維持するように構成されている。
【0012】
一実施例においては、当該スペーサが、当該通路を画定する側壁から湾曲状若しくは直線状に延出する2つのアーム、又は、当該通路を画定する側壁から延出する単一のブロック若しくはアームの形態を備える。
【0013】
一実施例においては、当該支持具が、横方向において、支持部分の対向する両側から延出する突出部をさらに備え、当該突出部が、当該センサハウジングを貫通して当該車輪速度センサの外側に延在している。
【0014】
一実施例においては、当該突出部が、横方向に垂直な平面において当該突出部から外側に延在する密封フランジを備える。
【0015】
本出願の車輪速度センサは、2つのピンをそれぞれ有する1つ以上のセンサチップと、センサチップのピンに電気接続された電気端子と、を備え、各電気端子は、細長い形状を有する。車輪速度センサは、電気端子の溶接端とセンサチップのピンとの間の溶接動作工程において電気端子の溶接端近傍の強度を高めるために、電気端子の溶接端近傍に設けられた細長い形状の端部保持具をさらに備える。車輪速度センサは、各電気端子の本体部を互いに固定して動かないようにするように配置された少なくとも1つの中間保持具をさらに備える。各電気端子の細長い本体部の間で相対的なずれが生じないようにすることは、車輪速度センサの信号伝達の精度又は正確性に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る車輪速度センサの外観を示す立体図である。
図2】センサハウジングを取り外した状態のセンサ本体アセンブリの立体図である。
図3】車輪速度センサの支持具及び端部保持具を示す図2の部分拡大図である。
図4図4a乃至図4cは、センサ本体アセンブリを形成する工程におけるいくつかのステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明を実施するための形態
以下、添付図面を参照して、本発明の車輪速度センサを詳細に説明する。
【0018】
まず図1を参照すると、本発明に係る車輪速度センサの立体図が示されている。本出願の車輪速度センサは、センサハウジング10と、センサハウジング10の内部に位置付けられたセンサ本体アセンブリと、を備える。図2及び図3を参照すると、センサ本体アセンブリは、1つ以上の(例えば、図示する例においては2つの)センサチップ30と、センサチップ30に電気接続された(例えば、一緒に溶接された)電気端子40と、中間保持具65と、端部保持具55と、支持具60と、を備える。
【0019】
センサチップ30には、車両の車輪速度を測定するためのすべての電気部品が一体に組み込まれている。図示の実施例においては、車輪速度センサは、いくつかの用途における車輪速度情報の冗長性の要件を満たすために、2つのセンサチップ30を備える。当然ながら、1つ又は3つ以上のセンサチップ30を備える車輪速度センサも本出願の保護範囲にある。信号の通信又は電気エネルギー受信などの動作を行うために、各々のセンサチップ30は、チップ本体32と、チップ本体32から延出する1つ以上のピン34と、を備える(図3)。例えば、図示の実施例においては、センサチップ30には、入力信号又は出力信号の通信を外界と行うための2つのピン34が設けられている。
【0020】
したがって、電気端子40は、対で配置され、各々の一対の電気端子40は、1つのセンサチップ30の2つのピン34に電気接続され、当該一対の電気端子40のうちの一方は、対応するセンサチップ30に電力を供給し、他方は、そのセンサチップ30の検知信号を車速線端子(図示せず)に伝達する。図4a乃至図4cを参照すると、各々の電気端子40は、実質的に縦方向Lに延在する本体部42と、互いに対向する第1の端部44及び第2の端部46と、を備え、第1の端部44は、片状の端部であって、センサチップ30のピン34に電気接続するために配置されるものとしてもよく、第2の端部46もまた、片状の端部であって、車両の車速線端子ポートに電気接続するために配置されるものとしてもよい。各センサチップ30、センサチップ30から電気端子40に向かって延出するピン34、及び、各電気端子40は、いずれも、縦方向Lに垂直な横方向A(図4c)において離間して配置されている。
【0021】
製造工程において、まず、車輪速度センサのための各電気端子40を同時に(例えば、同一のブランクからのプレス成形により)形成し、このときに各電気端子40を縦方向Lにおいて整列させ、横方向Aにおいて離間させて互いに接続し、その後の動作が容易になるようにする(図4aを参照)。次いで、各電気端子40の本体部42に中間保持具65を取り付け、各電気端子40の第1の端部44近傍に端部保持具55及び支持具60を取り付ける(図4b)。通常は1回のオーバーモールドステップにおいて、各電気端子40の第1の端部44近傍で本体部42上に、端部保持具55、支持具60及び中間保持具65が同時に成形される。次に、各電気端子40間の機械的接続45が切断され、実際の使用中に隣接する電気端子間に電気接続が生成されないようにする(図4c)。
【0022】
端部保持具55、中間保持具65及び支持具60を外側にオーバーモールドの形態で取り付けることにより、各電気端子40は、機械的接続45が切断された後も、横方向Aにおいて離間して並置され、縦方向Lにおいて整列し、横方向A及び縦方向Lに垂直な垂直方向Tにおいて互いに同一平面上にあり、各電気端子40は、互いに対する位置が固定されて動かないように、又は、相対的な移動若しくはずれを生じないように維持される。すなわち、端部保持具55及び中間保持具65は、特に、電気端子40の細長い本体部42が横方向における寸法(幅)よりも縦方向Lにおける寸法(長さ)が数倍大きい場合に、各電気端子40が互いに対する移動又はずれを生じないように配置される。
【0023】
図示のように、端部保持具55は、中間保持具65と基本的に同様の構造である。各電気端子40の溶接端部近傍に端部保持具55を設けることにより、電気端子40のその端部における強度を大幅に向上させることができる。特に電気端子40の第1の端部44とセンサチップ30のピン34とを溶接する場合、溶接部分近傍が溶融して軟化するため、強度向上のために端部保持具55を追加することが特に有利である。端部保持具55は、支持具60と一体に成形するものとしてもよいし、互いに離間するように成形するものとしてもよい。同時に端部保持具55はさらに、上述した溶接の動作を行う際に、各電気端子40の各端部を互いに固定して動かないようにすることができるので、使用中に電気端子40間で電気短絡が生じないようにすることができる。
【0024】
中間保持具65は、電気端子40の長さ寸法がより大きい本体部42を一緒に保持するために使用される。端部保持具55と同様に、中間保持具65は、保持体52と、保持体52に形成されて各電気端子40が延在して貫通することを可能にする貫通孔と、を備えるものとしてもよい。
【0025】
中間保持具65の数量及び隣接する中間保持具65との間の間隔は、電気端子40の長さに基づいて決定されるものとしてもよく、例えば、2つが図示されており、任意選択的に、1つ、3つ、4つ又はそれ以上の中間保持具65が設けられるものとしてもよい。上記の保持効果が実現可能である場合、中間保持具65は、任意の所望の外形、サイズ、数、形状などを有し得る。図示の実施例においては、中間保持具65は、縦方向Lに垂直な断面において楕円形の外形を有する、すなわち、中間保持具65は、各々の電気端子40を周方向に取り囲む。円形又は多角形など、他の適当な外形が想定され得る。
【0026】
周方向において中間保持具65は、電気端子40の一部分のみを取り囲むものとしてもよい。任意選択的に、縦方向L及び横方向Aの両方に垂直な垂直方向Tにおいて、中間保持具65は、電気端子40の片側のみにオーバーモールドされるものとしてもよいし、図示のように対向する両側に、各電気端子40を全体的に取り囲むようにオーバーモールドされるものとしてもよい。例えば、中間保持具65は、垂直方向Tにおいて対向する2つの半割体から構成され、2つの半割体は、電気端子40の一部分をそれぞれ覆うように互いに離間して配置されている。
【0027】
同一のステップにおいて端部及び中間保持具55、65と支持具60とを形成するために使用する材料は、センサハウジング10を形成するために使用する材料と同様(例えば、両方ともプラスチックにより形成)であるものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。また、図示の中間保持具65の孔53は、オーバーモールド動作に用いられる補助的な孔である。
【0028】
図2乃至図5に戻ると、支持具60は、チップ設置部分70と、支持部分80と、チップ設置部分70と支持部分80とを接続する中間部分90と、を備える。チップ設置部分70は、各々のセンサチップ30を設置するための溝72を画定する。縦方向Lにおいて、センサチップ30のピン34は、中間部分90に形成された通路92を貫通して電気端子40の第1の端部44と接触する(重なり合う状態又は接する状態を含むが、これらに限定されるものではない)ように延在している。
【0029】
中間部分90において、同一のセンサチップ30のピン34を受容するための2つの通路92の間にスペーサ94が形成されている。スペーサ94は、一方では、同一のセンサチップ30の2つのピン34が電気短絡を生じさせずに互いに横方向Aに離間するようにし、他方では、センサチップ30とそのピン34が溝72及び対応する通路92に設置された後、各ピン34を固定し、特にその後ピン34を電気端子40の第1の端部44に溶接する動作においてセンサチップ30及びピン34を固定して動かないようにするために使用される。
【0030】
センサチップ30のピン34を対応する通路92内に固定して動かないように維持することは、任意の適当な方法により行うことができる。図示の例においては、スペーサ94は、中間部分90から延在する2つのアーム96(図3)を備え、当該2つのアーム96は、それらが中間部分90から離れるように(上向きに)延在するに伴い、最初に互いから離れるように外側に湾曲し、次に互いに向かって内側に湾曲し、「O」形状の一部分の外形を描く。この構成により、センサチップ30のピン34が対応する2つの通路92内に設置された後、スペーサ94(の2つのアーム96)を押し下げることによって、それを永久に変形させてセンサチップ30の2つのピン34のそれぞれの一部分を押圧し、これにより、2つのピン34を所定の位置に固定する効果を得ることができる。他の実施例においては、図示の湾曲したアーム96を、互いに平行に又は互いに斜めに直線状に延在する2つのアームに置き換えることができ、同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、当業者であれば、スペーサを変形させ又はさらには破壊して同様の機能を実現し得るような構成を想定することができる。当業者はまた、スペーサを変形又は破壊する任意の手段(スペーサ94を力によって変形若しくは破壊すること、及び/又は、熱によって変形、破壊又は溶融することを含むが、これらに限定されるものではない)を想定することもできる。さらに、スペーサ94は、2つのアーム96の形態に限定されるものではなく、例えば、1つのブロックの形態であるものとしてもよい。またさらに、スペーサは対応する通路92を形成する他の側壁から延出した部分であり、上述したような力又は熱によってセンサチップ30のピン34を所定の位置に固定する目的を達成し得ることが想定される。
【0032】
支持具60は、横方向Aにおいて支持部分80の対向する両側から外側に延在する突出部75をさらに備えている。センサハウジング10をセンサ本体アセンブリにオーバーモールドする際に、支持具60の突出部75は、溶接又は成形などにより一体的に形成されたセンサ本体アセンブリを金型内に支持するために使用される。突出部75は、支持部分80に近接して設けられた密封フランジ85を備える。密封フランジ85は、横方向Aに垂直な平面において突出部75を取り囲んで外側に延在する環状フランジである。密封フランジ85の存在により、その後センサ本体アセンブリに成形されるセンサハウジング10の対応する部分の内側表面と支持具60の突出部75の対応する外側表面とは、車輪速度センサが車両に設置された後の使用中に、「迷路状」の対応する表面部分を形成し、これにより、外部の水、湿気又は小さなゴミなどの異物が、上記の対応する内側表面と外側表面との間の隙間から車輪速度センサに入り、車輪速度センサの精度に影響を与えることを防止することができる。
【0033】
さらに、より好ましくは、支持具60の突出部75は、センサハウジング10の材料と同様の材料で作られており、その後射出成形されるセンサハウジング10を突出部75によりよく一体化し、密閉性をさらに高めることができるようにする。
【0034】
図3を参照すると、支持具60の突出部75は、操作者による操作時に手で持ちやすくするために、横方向Aにおける最も外側から突出部75内に凹んだ凹部77を備える。支持具60の突出部75は、その後成形されるセンサハウジング10をセンサ本体アセンブリにより堅牢に取り付けることができるように、縦方向Lの反対側から突出部75内に凹んだ凹部79をさらに備える。
【0035】
本出願の特定の実施形態が本明細書において詳細に説明されているが、それらは説明のためにのみ与えられており、本出願の範囲の限定を構成するものとみなしてはならない。さらに、本明細書に記載された各実施例を互いに組み合わせて使用することができることは、当業者にとって明らかであるはずである。本出願の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な置換、変更、修正を想定することができる。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】