(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118113
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】試験測定装置及び試験測定装置における方法
(51)【国際特許分類】
G01R 23/16 20060101AFI20230817BHJP
G01R 13/28 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G01R23/16 E
G01R13/28 A
G01R23/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023019867
(22)【出願日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】63/309,477
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/108,483
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】グレイ・ジェイ・ワルド
(57)【要約】
【課題】従来の装置では捕捉できなかった入力信号の時間ギャップを捉える。
【解決手段】試験測定装置1300は、第1入力信号を受ける第1チャンネル入力部と、第2入力信号を受ける第2チャンネル入力部と、第1入力信号から第1スペクトログラムを生成すると共に第2入力信号から第2スペクトログラムを生成するためのスペクトログラム・プロセッサ1320と、第1スペクトログラムと第2スペクトログラムとを同時に表示する表示部1313とを有する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力信号を受け付ける第1チャンネル入力部と、
第2入力信号を受け付ける第2チャンネル入力部と、
上記第1入力信号から第1スペクトログラムを生成すると共に上記第2入力信号から第2スペクトログラムを生成するスペクトログラム・プロセッサと、
上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムとを同時に表示するディスプレイと
を具える試験測定装置。
【請求項2】
上記第1スペクトログラム及び上記第2スペクトログラムが、同じ周波数スパン又は異なる中心周波数を有する請求項1の試験測定装置。
【請求項3】
上記第1スペクトログラム及び上記第2スペクトログラムが、連続スペクトログラムである請求項1の試験測定装置。
【請求項4】
上記第1入力信号の一部から生成された第1スペクトル表示と、
上記第2入力信号の一部から生成された第2スペクトル表示と
を更に具え、
上記第1スペクトル表示が上記ディスプレイ上で上記第1スペクトログラムに隣接して表示され、上記第2スペクトル表示が上記ディスプレイ上で上記第2スペクトログラムに隣接して表示される請求項1の試験測定装置。
【請求項5】
第3入力信号を受ける第3チャンネル入力を更に具え、上記スペクトログラム・プロセッサは、上記第3入力信号から第3スペクトログラムを生成するように構成される請求項1の試験測定装置。
【請求項6】
上記ディスプレイが、第1入力信号からの個々のスペクトルを含まずに、上記第2入力信号と上記第3入力信号に基づく個別のスペクトルの組み合わせから生成されたスペクトル表示を表示するように構成される請求項5の試験測定装置。
【請求項7】
試験測定装置における方法であって、
第1入力チャンネルから第1入力信号を受ける処理と、
第2入力チャンネルから第2入力信号を受ける処理と、
上記第1入力信号から第1スペクトログラムを生成すると共に上記第2入力信号から第2スペクトログラムを生成する処理と、
上記第1スペクトログラム及び上記第2スペクトログラムを同時にディスプレイ上に表示する処理と
を具える方法。
【請求項8】
上記第1スペクトログラム及び上記第2スペクトログラムが、同じ周波数スパン又は異なる中心周波数を有する請求項7の試験測定装置における方法。
【請求項9】
上記第1スペクトログラム及び上記第2スペクトログラムが、連続スペクトログラムである請求項7の試験測定装置における方法。
【請求項10】
上記第1入力信号の一部から第1スペクトル表示を生成する処理と、
上記第2入力信号の一部から第2スペクトル表示を生成する処理と、
上記第1スペクトル表示を上記第1スペクトログラムに隣接して上記ディスプレイ上で表示する処理と、
上記第2スペクトル表示を上記第2スペクトログラムに隣接して上記ディスプレイ上で表示する処理と
を更に具える請求項7の試験測定装置における方法。
【請求項11】
第3入力チャンネルから第3入力信号を受ける処理と、
上記第3入力信号から第3スペクトログラムを生成する処理と
を更に具える請求項7の試験測定装置における方法。
【請求項12】
上記第1入力信号に基づく個別のスペクトルを含まずに、上記第2入力信号と上記第3入力信号に基づく個別のスペクトルの組み合わせからオーバーレイ・スペクトル表示を生成する処理と、
上記オーバーレイ・スペクトル表示をディスプレイ上に表示する処理と
を更に具える請求項11の試験測定装置における方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定装置に関し、より詳細には、装置に入力された信号の様々なスペクトログラムを表示するためのディスプレイを有する試験測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープやスペクトル・アナライザなどの試験測定装置は、試験又は測定対象の入力信号の特性を測定してユーザに表示するので、ユーザは、目的の信号の特性を視覚化して検査できる。測定値には、電圧や電流などの時間領域の信号特性と、スペクトル・エネルギーやスペクトル・パワーなどの周波数領域の信号特性が含まれる。スペクトログラムは、時間の経過とともに変化する信号の特定の形式の周波数成分、即ち、スペクトル成分を示すグラフィック表示である。概して、スペクトログラムは、時間の経過とともに収集及び処理される、波形サンプルに由来する個々のスペクトル・トレースの集まりであり、互いに連結されて単一の画像が生成され、元のスペクトル・トレースから直交角度で表示されて、時間の経過とともに変化する入力波形の特定の特性又は品質をユーザが視覚化できるようにする。スペクトログラムの生成は、以下で更に詳細に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「6シリーズ B MSOミックスド・シグナル・オシロスコープ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2023年2月11日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/products/oscilloscopes/6-series-mso>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、オシロスコープに見られるスペクトログラムは、多数の異なるアクイジション(信号データ取得)から組み立てられている。しかし、このアプローチには問題がある。第1に、スペクトログラムの各スライス間には時間ギャップ(gap:間隙)があり、この時間ギャップにおいて、ユーザは入力信号で何が起こっていたのかわからない。これは、各アクイジションの間に、オシロスコープには、常に「ブラインド(Blind:見えない)」時間があり、このとき、入力信号を全くアクイジションしていないからである。第2に、各スペクトルによって表される時間の量は、典型的には、各オシロスコープのアクイジションで取り込まれる時間全体のごく一部である。この時間スライスは、スペクトル時間と呼ばれる。
【0006】
単一のスペクトルは、アクイジション中にスペクトル時間を配置すれば、どこででも生成される。これら2つの制約のために、従来のスペクトログラムで表される実際の時間の量は、全体的な入力信号の挙動(activity)のごくわずかな割合に過ぎないことがある。多くのデバッグ・プロセスは、ユーザが指定した期間にわたって、信号の全ての挙動を表示できるが、これは、上記のアクイジション間の時間ギャップのために、現在の装置では不可能である。
【0007】
スペクトログラムを提供する既存のツールの別の制約は、現在の装置は、単一の入力チャンネルに関するスペクトログラムを提供するだけで、複数の入力信号から生成されたスペクトログラムを同時に表示できないことである。
【0008】
本開示による実施形態は、試験測定装置の分野におけるこれら及び他の制約に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0010】
実施例1は、試験測定装置であって、第1入力信号を受け付ける第1チャンネル入力部と、第2入力信号を受け付ける第2チャンネル入力部と、上記第1入力信号から第1スペクトログラムを生成すると共に上記第2入力信号から第2スペクトログラムを生成するスペクトログラム・プロセッサと、上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムとを同時に表示するディスプレイとを具える。
【0011】
実施例2は、実施例1による試験測定装置であって、上記ディスプレイ上で上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムとが垂直に揃っている。
【0012】
実施例3は、先行する実施例のいずれかに記載の試験測定装置であって、上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムが、同じ周波数スパンを有する。
【0013】
実施例4は、先行する実施例のいずれかに記載の試験測定装置であって、上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムが、異なる中心周波数を有する。
【0014】
実施例5は、先行する実施例のいずれかに記載の試験測定装置であって、上記第1スペクトログラム及び上記第2スペクトログラムは、連続スペクトログラムである。
【0015】
実施例6は、先行する実施例のいずれかに記載の試験測定装置であって、上記ディスプレイ上で上記第1スペクトログラムに隣接して表示される、上記第1入力信号の一部から生成されたスペクトル表示を更に具える。
【0016】
実施例7は、先行する実施例のいずれかに記載の試験測定装置であって、上記第1入力信号の一部から生成された第1スペクトル表示と、上記第2入力信号の一部から生成された第2スペクトル表示とを更に具え、上記第1スペクトル表示が上記ディスプレイ上で上記第1スペクトログラムに隣接して表示され、上記第2スペクトル表示が上記ディスプレイ上で上記第2スペクトログラムに隣接して表示される。
【0017】
実施例8は、実施例7による試験測定装置であって、上記第1スペクトログラム、上記第2スペクトログラム、上記第1スペクトル表示及び上記第2スペクトル表示の位置は、ユーザがディスプレイ上で独立して位置決め可能である。
【0018】
実施例9は、先行する実施例のいずれかに記載の試験測定装置であって、第3入力信号を受ける第3チャンネル入力を更に具え、上記スペクトログラム・プロセッサは、上記第3入力信号から第3スペクトログラムを生成するように構成される。
【0019】
実施例10は、実施例9による試験測定装置であって、上記ディスプレイが、第1入力信号からの個々のスペクトルを含まずに、上記第2入力信号と上記第3入力信号に基づく個別のスペクトルの組み合わせから生成されたスペクトル表示を表示するように構成される。
【0020】
実施例11は、試験測定装置における方法であって、この方法は、第1入力チャンネルから第1入力信号を受ける処理と、第2入力チャンネルから第2入力信号を受ける処理と、上記第1入力信号から第1スペクトログラムを生成すると共に上記第2入力信号から第2スペクトログラムを生成する処理と、上記第1スペクトログラム及び上記第2スペクトログラムを同時にディスプレイ上に表示する処理とを具える。
【0021】
実施例12は、実施例11による方法であって、上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムとを上記ディスプレイ上で垂直に揃える。
【0022】
実施例13は、先行する実施例の方法のいずれかに記載の方法であって、上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムが同じ周波数スパンを有する。
【0023】
実施例14は、先行する実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムが異なる中心周波数を有する。
【0024】
実施例15は、先行する実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記第1スペクトログラムと上記第2スペクトログラムが連続スペクトログラムである。
【0025】
実施例16は、先行する実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記第1入力信号の一部からスペクトル表示を生成する処理と、上記スペクトル表示を上記第1スペクトログラムに隣接して上記ディスプレイ上で表示する処理とを更に具える。
【0026】
実施例17は、先行する実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記第1入力信号の一部から第1スペクトル表示を生成する処理と、上記第2入力信号の一部から第2スペクトル表示を生成する処理と、上記第1スペクトル表示を上記第1スペクトログラムに隣接して上記ディスプレイ上で表示する処理と、上記第2スペクトル表示を上記第2スペクトログラムに隣接して上記ディスプレイ上で表示する処理とを更に具える。
【0027】
実施例18は、実施例17による方法であって、試験測定装置のユーザからの入力を受けて、上記第1スペクトログラム、上記第2スペクトログラム、上記第1スペクトル表示及び上記第2スペクトル表示のいずれかを上記ディスプレイ上で再配置する処理を更に具える。
【0028】
実施例19は、先行する実施例の方法のいずれかによる方法であって、第3入力チャンネルから第3入力信号を受ける処理と、上記第3入力信号から第3スペクトログラムを生成する処理とを更に具える。
【0029】
実施例20は、実施例19による方法であって、上記第1入力信号に基づく個別のスペクトルを含まずに、上記第2入力信号と上記第3入力信号に基づく個別のスペクトルの組み合わせからオーバーレイ・スペクトル表示を生成する処理と、上記オーバーレイ・スペクトル表示をディスプレイ上に表示する処理とを更に具える。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、従来の試験測定装置で取り込まれたアクイジション(acquisitions:取得データ)のタイミングの一例を示す時間図である。
【
図2】
図2は、本開示技術の実施形態によって操作されるタイプのスペクトログラムがどのように生成されるかの説明図である。
【
図3】
図3は、本開示技術の実施形態に従って、サンプリングされた入力波形アクイジション(取得データ)が個々のスペクトル・トレースにどのように処理されるかを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示技術の実施形態による、複数のスペクトル・トレース・ブロックがスペクトログラムとなるように組み立てられる方法を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示技術の実施形態による、
図3に概説されたプロセスによって生成されるスペクトログラムの例を示す。
【
図6】
図6は、本開示技術の実施形態によるスペクトログラム及びスペクトル表示を示す表示出力画面の例である。
【
図7】
図7は、本開示技術の実施形態による、相対的な出力サイズを変更するユーザ・インタフェースを示す
図6の表示出力画面例のブロック図である。
【
図8】
図8は、本開示技術の実施形態による、ブロック時間より短いスペクトル時間を選択する効果を示す。
【
図9】
図9は、本開示技術の実施形態による、重複(オーバーラップ)のあるスペクトログラムを作成する例を示す。
【
図10】
図10は、本開示技術の実施形態による、複数のチャンネルについてのスペクトログラム及びスペクトル表示を示す出力画面例を示す。
【
図11】
図11は、本開示技術の実施形態による、複数のチャンネルについてのスペクトログラム及びスペクトル表示を示す別の出力画面例を示す。
【
図12】
図12は、本開示技術の実施形態による、複数のチャンネルに関するスペクトログラム及びスペクトル表示がどのように配置できるかの一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、本開示技術の実施形態による、スペクトル及びスペクトログラムの特性を自動決定する機能を有する測定装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上述したように、スペクトログラムは、試験測定装置によって生成されるグラフィック表示であり、時間と共に変化する信号のスペクトル成分を示す。また、上述のように、オシロスコープに見られるスペクトログラムは、概して、
図1に示されるように、多数の異なるアクイジション(取得データ)から組み立てられる。この図は、試験測定装置の1つの入力チャンネルをグラフィカルに示している。試験測定装置は、この入力チャンネルに接続された被試験デバイス(DUT)からの入力信号を、
図1において、アクイジションx(x=1、2、・・・N)とラベルを付けた複数のアクイジション時間中に受ける。
【0032】
アクイジションとアクイジションの間には、ブラインド時間と呼ぶ時間ギャップがあることに注意されたい。これらブラインド時間は、DUTがこれらブラインド時間中に信号を生成していても、試験測定装置は、ブラインド時間中には入力信号を取得しないことを示している。試験測定装置が入力信号を全く記録していない、アクイジションとアクイジションの間の時間が長い可能性があるという点で、ブラインド時間が重要な意味を持つことがある。
【0033】
図1には、各アクイジション中に、スペクトル時間としてラベル付けされた時間スライスも図示されており、これは、試験測定装置が、アクイジション中のスペクトル時間としてラベル付けされた期間にのみ、スペクトルx(x=1、2、・・・N)とラベルを付けたスペクトル表示を生成することを示す。よって、ブラインド時間のために、そして、アクイジションの比較的小さな部分であるスペクトル時間内であるために、スペクトログラム表示に実際に表示されるDUTからの信号の量は、非常に少なく、DUTの性能について不正確な結論につながる可能性がある。
【0034】
図2は、本開示技術の実施形態に従って生成されるスペクトログラムをより詳細に描いている。
図2において、図示したスペクトログラム200は、一連の個々のスペクトル・トレース202を生成し、これらスペクトル・トレースを連結し、次いで連結されたスペクトル・トレースを元のスペクトル・トレースから直交角度で表示することによって生成されるグラフィック画像であり、ユーザは、時間とともに変化する入力波形の特定の特性又は品質を視覚化できる。
【0035】
図2に示すように、スペクトル・トレース202の各系列は、事前に定義された周波数スパンに広がっており、トレースの振幅は、スパンでカバーされる個々の周波数のそれぞれの受信信号の強度、即ち、パワー(電力)を示す。個々のスペクトル・トレースは、アクイジションの期間にわたって捕捉された入力信号の強度を表す。最初のスペクトル・トレースが生成された後、後続のトレースが生成される。第1スペクトル・トレースと第2スペクトル・トレースが生成される間で入力信号が変化した場合、第2スペクトル・トレースは、第1スペクトル・トレースから変化することになる。スペクトログラム200は、生成されたスペクトル・トレース202の全てを、経時的に生成しながら互いに結合する。このとき、時間は、スペクトログラムのY軸で表され、周波数は、スペクトログラムのX軸で表される。
【0036】
スペクトログラム画像の上部に最新のスペクトル・トレースが表示される場合、ウォーターフォール(滝状)表示スペクトログラムと呼ばれる。そうではなくて、最も古いスペクトル・トレースがスペクトログラム画像の上部に表示される場合、それは逆ウォーターフォール構成と呼ばれる。スペクトログラム自体は、この生成された画像の「上」からの表示であり、
図2ではスペクトログラムの視点として言及している。スペクトログラムは、スペクトル・トレースの周波数スパンに広がる振幅又は大きさの変動を表すために色分けされても良い。このようなスペクトログラム画像を用いて、ユーザは、分析対象の信号のスペクトルの挙動の静的、動的及び過渡的性質を観察できる。測定装置で生成されたスペクトログラムは、典型的にはカラーで示されるが、
図2のスペクトログラムはグレースケールであり、スペクトログラムの暗い部分はより高い振幅又は大きさを表する。
【0037】
図1を参照して説明した不連続なスペクトログラムとは異なり、本開示による実施形態は、連続的なスペクトログラムを生成する。この連続スペクトログラムは、測定装置において、入力信号の単一で連続する波形アクイジションから構築されるが、このとき、入力信号の1つのアクイジションの長さが、スペクトル時間で分析されるスペクトルの量を超えている。
【0038】
図3は、測定装置によって試験対象のデバイス(つまり、被試験デバイス(DUT))で生成された入力信号波形を取り込むことに基づいて連続スペクトログラム画像を生成する工程の第1シリーズを示す。測定装置によって取得された入力信号の時間の合計量をアクイジション(取得データ)時間と呼び、
図3では、アクイジション(取得データ)300の個々の時間区間1~Nの全体の合計として表される。スペクトログラムは、入力信号のアクイジション300の時間で区切られた部分の高速フーリエ変換(FFT)又はチャープZ変換(Chirp-Z Transform:CZT)のような時間周波数変換310を実行してスペクトル・トレース320のシリーズを作成することによって生成される。スペクトル・トレース320のシリーズは、N個の個々のスペクトル・ブロックSB1、SB2、...、SBNから形成される。連続スペクトログラムは、入力信号のアクイジションの全ての部分のスペクトル・トレースを有する。以下では、複数の変形形態を説明するが、
図3では、スペクトル・ブロックSB1、SB2等の夫々の幅は、周波数変換310によって生成されるスペクトル幅と同じであると想定しており、これは、以下に説明するように、ユーザが分解能帯域幅を設定することによって制御されても良い。
【0039】
図4は、スペクトル・トレース320において、スペクトル・ブロックSB1、SB2等の夫々が、どのような向きで配置されているかを示す。スペクトル・ブロックSB1、SB2等の夫々は、得られるスペクトログラムの1画素行(one pixel row)になる。そして、
図4及び
図5は、
図5のスペクトログラム500のようなスペクトログラムを作成するために、スペクトル・ブロックがどのように組み立てられるかを示す。なお、
図5のスペクトログラム500は、ウォーターフォール・スペクトログラムなので、
図4及び5では、最も古いスペクトル・ブロックSB1、即ち、生成された最初のスペクトル・ブロックは、スペクトログラムの一番下の行に配置されることに留意されたい。スペクトログラム500が逆ウォーターフォール・スペクトログラムであった場合、最も古いスペクトル・ブロックであるSB1は、スペクトログラムの一番上の行に配置される。
図5に示すように、スペクトログラム500には、N個の画素行があり、これらの各々は、特定の、個別のスペクトル・ブロックSB1、SB2等に対応する。また、上述したように、得られるスペクトログラム500のX軸は、周波数を示し、一方、スペクトログラムのY軸は、時間を示す。
【0040】
多くの場合、
図5のスペクトログラム500のようなスペクトログラムは、このスペクトログラムを生成するために使用された複数の時間スライスの中の1つのスペクトル表示と併せて示される。
図6は、スペクトログラム610に加えて、スペクトル表示又はスペクトル620を示す表示出力画面600の例である。スペクトログラム610及びスペクトル620の両方は、これらのx軸として周波数を有し、同じ量の周波数スペクトルに広がっている。上述したように、スペクトル620は、そのy軸として振幅を有し、一方、スペクトログラムは、そのy軸として時間を有する。タイム・スタンプ612は、スペクトログラム600が、過去32.2秒間に取得された全てのスペクトルから構築され、最も古いものがスペクトログラムの上部にあり、最新のものが下部にあることを知らせている。このようにして、スペクトログラム600は、時間とともに変化する入力信号のパワー又は強度のグラフィック表示を示す。
【0041】
図7は、開示技術の実施形態による、表示画面の相対的な出力サイズを変更するユーザ・インタフェースを示す表示出力画面700の例のブロック図である。
図6に示す表示画面と同様に、例示的な表示出力画面700は、画面の上部にスペクトログラム710を含み、下部にスペクトル表示又はスペクトル720を含む。表示例700には、ユーザがスペクトログラム710及びスペクトル720の相対的なサイズを制御することを可能にするユーザ・インタフェースがある。
【0042】
具体的には、水平インジケータ714は、参照番号715によって示されるように、ユーザによって制御可能であり、参照番号715は、ユーザが水平インジケータ714の相対的な位置をシフトしても良いことを示す。それに応じて、表示画面700を生成する試験測定装置は、スペクトログラム710及びスペクトル720のサイズを変更する。マウスをドラッグするか、キーボードによって動きを制御することなどによって、水平インジケータ714を上方に移動すれば、スペクトログラム710の垂直サイズを減少させながら、スペクトル720の垂直サイズを増加させる。水平インジケータ714を下方に移動すると、逆の効果が生じる。以下に説明する複数のスペクトログラム及びスペクトルを含む実施形態は、ユーザが表示画面をカスタマイズしても良いように、同一又は類似のユーザ操作手段を有しても良い。
【0043】
図4において、
図3の個々のスペクトル・ブロックSB1、SB2は、変換310によって生成される幅と同じブロック幅を有すると仮定したが、これは、いつも当てはまるわけではない。代わりに、変換310によって生成される幅は、個々のスペクトル・ブロックの幅よりも大きくても小さくても良い。
図8は、スペクトル時間の幅が、スペクトログラムの作成に使用された個々のスペクトル・ブロックの幅よりも小さい場合を示している。
【0044】
図8を参照すると、そのスペクトル時間は、
図3のような10%ではなく、入力信号のアクイジション800の全幅の2%である。そのため、これは、入力信号のアクイジション800に含まれる合計50個のスペクトル時間があることを意味する。しかし、最終的に生成されるスペクトログラムにはやはり10行の画素があり、各行が10個のスペクトル・ブロックSB1~SB10の1個によって生成されると仮定すると、これは、5個のスペクトル時間が1個のスペクトル・ブロックに結合されることを意味する。
【0045】
概して、変換810によって生成されるスペクトル時間は、周波数分解能、つまり、分解能帯域幅(RBW)と、変換810によって生成される個々のスペクトル・トレースの選択されたウィンドウ形式に反比例する。RBW設定の幅を狭くするとスペクトル時間が長くなり、RBW設定を広くするとスペクトル時間が短くなる。一例では、100kHzのRBWのスペクトル時間は22.3μ秒であり、10kHzのRBWのスペクトル時間は223μ秒である。従って、スペクトル時間は、単一のスペクトル・ブロックを作成するために使用される個々のスペクトル・トレースを生成するために使用される、最初に取り込まれた入力信号波形の区間の時間的な長さを表す。
【0046】
図8に示すように、変換810によって生成された5個のスペクトル・トレースST1、ST2、ST3、ST4及びST5を組み合わせて、スペクトル・ブロックSB1が作成され、これは、上述のように、結果として得られるスペクトログラムの1画素行となる。次いで、プロセスは、第2スペクトル・ブロックSB2の処理に進み、ここでは、変換810によって生成された別の5個のスペクトル・トレースST6、ST7、ST8、ST9及びST10を組み合わせて、スペクトル・ブロックSB2を形成する。図示していないが、このプロセスは、10個のスペクトル・ブロックSB1~SB10の全てを生成し、組み立ててスペクトログラム画像になるまで、取得した入力信号のアクイジション800中の残りのスペクトル時間について継続する。
【0047】
ST1~ST5のような複数のスペクトル・トレースを、SB1のような単一のスペクトル・ブロックに合成するのに利用できる手法は、複数ある。そのような合成技術の1つは、例えば、最大ホールド検出を用いてスペクトル・トレースを処理することであり、これは、スペクトル処理において公知の技術である。また、スペクトル時間がスペクトル・ブロック時間の正確な整数倍である必要はなく、むしろ、本発明の実施形態は、ブロックの最終的なスペクトル時間を後続のスペクトル・ブロックと重複(オーバーラップ)させることよって、これを解決しようとする。そのような技術の例は、以下でより詳細に説明する。
【0048】
図4、5及び8を参照して説明した例は、いずれもスペクトル・ブロックの幅が、スペクトル時間と同じか、スペクトル時間より大きいことを想定しているが、特に生成されるスペクトログラムの行数が多くなると、このスペクトログラムを生成する複数のスペクトル・ブロック夫々の幅が、スペクトル時間よりも小さくなる場合がある。このような条件でスペクトログラム画像を作成するために、以下に説明する「重複(オーバーラップ)」の概念を取り入れる。
【0049】
図9は、入力信号波形アクイジション900のスペクトル時間が、合計アクイジション時間の10%であり、スペクトログラムを生成するのに利用可能な20個の画素行がある例を示す。そこで、アクイジション900を利用可能な行の数で除算して、スペクトル・スライス間隔を設定する。もしスペクトル・スライス間隔が、スペクトル時間(この場合では、スペクトル時間は、時間区間1~時間区間10と関連する)よりも小さい場合には、各スペクトル・ブロックSB1~SB20の処理は、重複するスペクトル時間に由来する時間を含む。例えば、
図9のスペクトル・ブロックSB2は、元のアクイジション900の時間区間1と時間区間2の両方にまたがっている。最終的に、20個のスペクトル・ブロックSB1~SB20が、アクイジション900の10個の時間区間から生成され、20個のスペクトル・ブロックSB1~SB20の夫々が、最終的なスペクトログラム画像の1画素行を構成する。
【0050】
図9の例では、時間区間の元々のスペクトル時間と比較して、スペクトル・ブロックに50%の重複がある。実際には、重複(オーバーラップ)は、0%強からほぼ100%の重複まで、広く変化して良い。スペクトル・ブロックの0%重複(オーバーラップ)は、
図4、5及び8を参照して説明した例のように、隣接するスペクトル・ブロック間でスペクトル時間の重複がないシステムである。可能性は低いかもしれないが、スペクトル表示の表示を生成するために必要な時間よりもはるかに短い時間スライスを必要とする波形表示の時間領域設定をユーザが選択することも可能ではある。この場合、スペクトログラムは、その結果として得られる画像に1行のみを含む。本発明の実施形態は、この状態をユーザに警告する表示画面上での色による警告又はテキスト・メッセージなどで、この状態を示す表示を行って、このような状態についてユーザに注意を促しても良い。
【0051】
スペクトログラムの画素行を形成する隣接するブロックに重複を生じさせることで、取得した波形を反映した、入力信号の信号の挙動(activity)を連続的に表示できる。つまり、上述のシステムとは異なり、このスペクトログラムにはギャップ(ここは、取得した波形から作成されたスペクトログラムから入力信号の一部が欠落している)がない。
【0052】
更に、本開示による実施形態は、スペクトログラム・ウィンドウ・サイズがユーザによって操作されると、スペクトログラム・ウィンドウを満たすようにスペクトログラムのサイズを自動的に最大化しても良い。例えば、ユーザがスペクトログラム・ウィンドウを含むウィンドウの垂直サイズを大きくすると、測定装置は、ユーザが指定したウィンドウの垂直サイズに一致するようにスペクトログラム内の画素の行数を増やすことによって、新しいスペクトログラムを自動的に生成する。例えば、
図9を参照すると、50%の重複(オーバーラップ)値について、10個のスペクトル時間に対し、20個の画素行でスペクトログラムを生成している。もしユーザがスペクトログラムを含むウィンドウのサイズを、例えば、30画素行のスペクトログラムを含むことができるウィンドウに増加させる場合、本発明の実施形態は、増加したウィンドウ・サイズに応答して、30画素行を有する新しいスペクトログラムを自動的に生成する。
【0053】
このような場合、測定装置、より具体的には、測定装置内のプロセッサは、最初に、増加したウィンドウ・サイズに収まる画素の行の数を求める。この例では、プロセッサは、スペクトログラムが、30画素行を有するスペクトログラムを含むウィンドウ内で最大化されると判断し、そして、各画素行が1つのスペクトル・ブロックから作成されるので、この最大化を実行するのに30個のスペクトル・ブロックが必要であると判断する。
【0054】
次に、プロセッサは、スペクトログラム内のスペクトル・ブロックの数が増加したために、個々のスペクトル・ブロックのそれぞれが隣接するスペクトル・ブロックとどの程度重複するかを求める。例えば、30個の画素ブロック、SB1~SB30では、隣接する各ブロックは、隣接するブロックと66%重複し、これは、
図9のスペクトログラムを生成するために使用された50%の重複よりも大きい。プロセッサは、これを求めるのに、取得した入力信号サンプルのスペクトル時間の個数に対してスペクトル・ブロックの総数の幅を均等に分配し、次いで、特定のブロックが隣接するブロックと、どの程度重複するかを求める。
【0055】
この例では、スペクトログラムの作成に使用される各スペクトル・ブロックは、隣接するブロックと66%重複する。このような決定を行った後、プロセッサは、上述のように、各スペクトル時間についての個々の変換に基づくスペクトルを合成することによって個々のスペクトル・ブロックを生成する。最後に、プロセッサは、個々のスペクトル・ブロックのそれぞれによって作成されたスペクトルを互いに連結することによって、新しい個々のスペクトル・ブロックを新しいスペクトログラムに組み立て、各スペクトル・ブロックを新しいスペクトログラムの1行にする。次に、プロセッサは、ユーザが指定したウィンドウのサイズに一致するように新しいスペクトログラムを表示する。ユーザがスペクトログラム・ウィンドウのサイズを縮小すると、プロセッサは同じ動作を実行し、最初に小さいウィンドウを完全に満たす画素行の個数を求め、次に各画素行の作成に使用される多数のスペクトル・ブロック間の重複を減少方向に調整する。
【0056】
これまでのこの説明では、試験測定装置への単一の入力チャンネルからスペクトログラムを作成することについて説明してきたが、本開示による実施形態は、複数のスペクトログラム及びスペクトルを生成し、このとき、スペクトログラム及びスペクトルの夫々を、試験測定装置の別々の入力チャンネルで取得した入力波形サンプルから生成するように制御しても良い。
【0057】
図10は、開示技術の実施形態による、複数のチャンネルを含むスペクトル表示1010を示す出力画面1000の例を示す。上述したように、典型的にはスペクトログラムはスペクトルと併せて表示され、概してスペクトログラムはディスプレイの上部に、スペクトルはディスプレイの下部に併せて表示される。表示出力画面1000は、試験測定装置の8つの別々のチャンネルについてのスペクトログラム及びスペクトル表示を同時に表示するスペクトル表示1010を示す。別々のチャンネルの夫々が、DUTから異なる信号をサンプリングしていても良い。これら別々のチャンネルは、同じイベントでトリガされて、別々のチャンネル夫々のアクイジションが、互いに時間的な位置を揃えるようにしても良い。
【0058】
波形
図1020は、更に、各チャンネルの入力信号の一部を時間領域で示す。出力画面1000の例では、ユーザは、試験測定装置が有する8つの別々のチャンネル(又は、非常に多数の入力チャンネル)の全てのスペクトル及びスペクトログラム表示を同時に見ることができる。例えば、スペクトル表示1010は、8つの別々のチャンネルを示し、各チャンネルは、スペクトル表示の上に生成されたスペクトログラムがある。出力画面1000のチャンネルのバッジ(badge:名札)部分1030により、ユーザは、どの入力チャンネルをスペクトル表示1010に表示するかと、入力チャンネルを表示する順序を選択又はカスタマイズすることができる。ユーザは、任意の数の入力チャンネルをスペクトログラムとして任意の順序で表示するよう選択できる。
【0059】
図10のスペクトル表示は、スペクトル表示を積み重ねた図を示す。また、
図7を参照して上述したように、ユーザは、いずれかの表示の境界を変更することによって、又は、それらの間の水平インジケータを操作することによって、特定のチャンネルのスペクトログラムとスペクトルとの間の分割を変更できる。
【0060】
また、特定のチャンネルの信号を他のチャンネルへとアップ・コンバート又はダウン・コンバートし、両方のチャンネルを同時に表示して、追加の試験と測定を行うこともできる。このような実施形態では、2つのチャンネル、例えば、チャンネル1及びチャンネル2についてのスペクトログラムは、他の表示品質が異なるものの、同じ周波数に広がる。
【0061】
例えば、チャンネル1のスペクトログラムが2.35GHzから2.45GHzの範囲で、中心周波数が2.4GHzであると仮定する。また、チャンネル2は、チャンネル1で取り込まれたものと同じ信号であるが、800MHzにダウン・コンバートされているとする。次いで、800MHzを中心とするチャンネル2のスペクトログラムを生成すると、750MHzから850MHz、つまり、チャンネル1の周波数スパンと同じ幅になる。このような表示を生成することにより、本発明の実施形態は、DUTによって同時に生成される多数の信号に関わることがある複雑な問題をデバッグできる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ユーザは、表示画面1000のチャンネル・バッジ部分1030のチャンネル・バッジの順序を変更することによって、スペクトル表示1010に表示されるチャンネルの順序を変更しても良い。また、以下で
図12を参照して説明するチャンネルのグループを作成することもできる。
【0063】
図11は、開示技術の実施形態による、別のスペクトル表示1110を示す別の出力画面1100の例を示し、これは、スペクトログラム及びスペクトル表示が、複数のチャンネルに関して、どのように配置できるかを示す。
図1のスペクトル表示1010とは異なり、スペクトル表示1110は、チャンネル1~8のスペクトログラムの夫々を互いに隣接して配置し、同じチャンネルのスペクトル表示とは隣接していない。その代わりに、この例では、チャンネル1~8の全てのスペクトルが組み合わされて、チャンネル1~8の全てを含む1つのオーバーレイ(overlaid:重ね合わせ)スペクトル表示1115になっている。
【0064】
図11では、オーバーレイ・スペクトル表示1115は、スペクトル表示1110の中の下部に位置するが、ユーザは、このオーバーレイ・スペクトル表示を、スペクトル表示内の所望の場所に配置しても良い。更に、上述したように、ユーザは、例えば出力画面1100のチャンネル・バッジ部分1130を使用して、どのチャンネルかとその順序を選択し、選択されたチャンネルのスペクトログラムをスペクトル表示1110に示すことができる。
【0065】
図12は、本開示技術の実施形態による、例示的な表示画面のスペクトル表示部分1210のみのブロック図であり、これは、複数のチャンネルに関する様々なスペクトグラム及びスペクトル表示を、どのようにグループ化できるかを示す。ユーザは、1つ以上の入力チャンネルを含むグループを作成できる。例えば、
図12では、チャンネル1は、他のチャンネルとグループ化されていないが、チャンネル2、3及び4はグループ化されている。ユーザは、例えば、
図11のチャンネル・バッジ部分1130を用いてグループを作成しても良い。
【0066】
図示の例では、グループのスペクトログラムは互いに隣接して表示されるが、ユーザは、チャンネル4のスペクトログラムが、チャンネル2と3のスペクトログラムの間に位置するように指示している。チャンネル1は、このグループの一部ではないため、そのスペクトログラムとスペクトルが互いに隣接して表示される。同様に、チャンネル2、3、4は、グループ化されているので、チャンネル2、3、4の夫々から作られたオーバーレイ・スペクトルが作成され、スペクトル表示部分1210の下部に現れる。実施形態は、このように、試験測定装置で利用できる任意のチャンネルのスペクトログラム及びスペクトル表示の便利なグループ化及び順序付けを可能にする。
【0067】
本開示技術の実施形態は、上述の動作を実施するために特定のハードウェアやソフトウェア上で動作する。
図13は、本願に開示される開示技術の実施形態を実施するためのオシロスコープやスペクトル・アナライザなどの例示的な試験測定装置1300のブロック図である。試験測定装置1300には、1つ以上のポート1302があり、これらは、任意の電気信号伝送媒体であっても良い。これらポート1302は、レシーバ、トランスミッタ又はトランシーバを有していても良い。各ポート1302は、試験測定装置1300のチャンネルである。ポート1302は、1つ以上の被試験デバイス(DUT)1390からポート1302で受信された信号や波形を処理するために、1つ以上のプロセッサ1316と結合される。
図13では、説明を簡単にするため、1つのプロセッサ1316だけを示しているが、当業者であればわかるように、単一のプロセッサ1316ではなく、様々なタイプの複数のプロセッサ1316を測定装置1300において組み合わせて使用しても良い。
【0068】
ポート1302は、また、測定装置1300内の測定ユニット1308に接続されても良い。測定ユニット1308は、ポート1302を介して受信された信号の特性(例えば、電圧、アンペア数、振幅、パワー、エネルギーなど)を測定できる任意のコンポーネントを含むことができる。試験測定装置1300は、更なる分析のために、任意のチャンネルで受信した信号を波形に変換するための調整(コンディショニング)回路、アナログ・デジタル・コンバータ、高速フーリエ変換回路、チャープZ変換回路、その他の回路又は機能などの追加のハードウェアやプロセッサを有していても良い。各チャンネルから得られた波形又は波形の様々な測定値は、次いで、メモリ1310、アクイジション・メモリ(図示せず)に記憶することができ、また、表示部(ディスプレイ)1312上に表示できる。
【0069】
1つ以上のプロセッサ1316は、メモリ1310からの命令を実行するように構成されてもよく、測定装置によって受信された入力信号を表示及び変更するなど、そのような命令によって示される任意の方法や関連するステップを実行しても良い。メモリ1310は、プロセッサ・キャッシュ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ソリッド・ステート・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、その他の任意のメモリ形式として実装されても良い。メモリ1310は、データ、コンピュータ・プログラム・プロダクト及びその他の命令を格納するための媒体として機能する。
【0070】
ユーザ入力部1314は、プロセッサ1316に結合される。ユーザ入力部1314は、測定装置1300をセットアップし、操作するためにユーザが利用できるキーボード、マウス、タッチスクリーン、その他の任意の操作装置を有していても良い。ユーザ入力部1314は、表示部1312と連動して動作するグラフィカル・ユーザ・インタフェース又はテキスト/文字インタフェースを有していても良い。ユーザ入力部1314は、測定装置1300上のユーザからの又はリモート・デバイスからのプログラム入力を更に有していても良い。表示部1312は、波形、測定値及び他のデータをユーザに表示するためのデジタル・スクリーン、ブラウン管ベースのディスプレイ、その他の任意のモニタであっても良い。
【0071】
試験装置1300の構成要素は、試験測定装置1300内に統合されているものとして描かれているが、これらの構成要素のいずれかが試験装置1300の外部にあっても良く、当業者ならば、従来の任意の方法(例えば、有線や無線の通信メディアやメカニズム)で試験装置1300に結合されても良いことが理解できよう。例えば、いくつかの実施形態では、表示部1312は、試験測定装置1300から遠隔にあってもよく、又は、測定装置1300上で表示することに加えて、リモート・デバイスに出力を送信するように測定装置が構成されても良い。更なる実施形態では、測定装置1300からの出力が、クラウド装置などのリモートデバイスに送信されるか又は格納されて、クラウド装置に結合された他のマシンからアクセス可能としても良い。
【0072】
測定装置1300には、スペクトログラム・プロセッサ1320があっても良く、スペクトログラム・プロセッサ1320は、上述した1つ以上のプロセッサ1316とは別々のプロセッサであっても良いし、スペクトログラム・プロセッサ1320の機能が、1つ以上のプロセッサ1316に統合されても良い。更に、スペクトログラム・プロセッサ1320は、別々のメモリを有しても良いし、上述のメモリ1310を使用しても良いし、又は、測定装置1300によってアクセス可能な他の任意のメモリを有していても良い。
【0073】
スペクトログラム・プロセッサ1320は、上述の機能を実装するための専用プロセッサを有していても良い。例えば、スペクトログラム・プロセッサ1320は、スペクトログラムの生成を実装するために、上述した手順及び動作を使用してスペクトログラムを生成するために使用されるスペクトログラム生成部1322を有していても良い。スペクトログラム表示プロセッサ1324は、表示部1312で表示されるスペクトログラム表示を生成しても良く、表示の要素がユーザによって操作されたとき又はDUT1390からの入力信号が変化したときに、スペクトログラム表示のアップデートをリアルタイム又はほぼリアルタイムで制御しても良い。
【0074】
スペクトログラム・チャンネル・セレクタ1326は、ユーザが選択したチャンネルのうち、どのチャンネルについて、表示部1313又はリモート・ディスプレイ上でスペクトログラムを表示するかと、その順番を制御する。スペクトログラム・グループ・プロセッサ1328は、上述の様々なスペクトログラム、スペクトル及び他の表示のグループ化及び順序付けを制御し、スペクトログラム・チャンネル・セレクタ1328及びスペクトログラム・グループ・プロセッサ1328の両方が、スペクトログラム生成部1322と連携して、表示部1313上のスペクトログラムをリアルタイム又はほぼリアルタイムでアップデートしても良い。
【0075】
スペクトログラム生成部1322、スペクトログラム表示プロセッサ1324、スペクトログラム・チャンネル・セレクタ1326又はスペクトログラム・グループ・プロセッサ1328を含むスペクトログラム・プロセッサ1320の構成要素のいずれか又は全ては、1つ以上の別々のプロセッサで実現されても良く、本願に記載される個別の機能は、専用又は汎用プロセッサの専用の事前プログラムされた動作として実装されても良い。更に、上述したように、スペクトログラム・プロセッサ1320の構成要素又は機能のいずれか又は全ては、測定装置1300を動作させる1つ以上のプロセッサ1316に統合されても良い。
【0076】
更に、本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。
【0077】
概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、FPGAなどのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0078】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0079】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0080】
開示された本件の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0081】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0082】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書での開示技術は、これら特定の特徴のあり得る全ての組み合わせを含むと理解すべきである。ある特定の特徴が特定の形態又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の形態及び実施例との関連においても利用できる。
【0083】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0084】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0085】
1300 試験測定装置
1302 ポート
1308 測定ユニット
1310 メモリ
1313 表示部(ディスプレイ)
1314 ユーザ入力
1316 プロセッサ
1320 スペクトログラム・プロセッサ
1322 スペクトログラム生成部
1324 スペクトログラム表示プロセッサ
1326 スペクトログラム・チャンネル・セレクタ
1328 スペクトログラム・グループ・プロセッサ
1390 被試験デバイス(DUT)
【外国語明細書】