(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118114
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】自動プローブ着面
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20230817BHJP
G01R 1/067 20060101ALI20230817BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/067 G
H01L21/66 B
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023019964
(22)【出願日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】63/267,983
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/943,847
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522466441
【氏名又は名称】イノヴェータム・インストゥルメンツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・イー・ストールカップ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・バークマイア
(72)【発明者】
【氏名】カルロ・フロレスカ
(72)【発明者】
【氏名】ローネン・ベンジオン
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AE00
2G003AG03
2G003AG13
2G003AG18
2G003AH01
2G011AA02
2G011AC09
2G011AE03
4M106AA02
4M106CA70
4M106DD03
4M106DD05
4M106DD23
4M106DH12
4M106DH33
4M106DJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被試験デバイス(DUT)にプローブを着面させるための自動化された方法を提供する。
【解決手段】自動プローブ着面システム100は、動作制御デバイスによって被試験デバイス(DUT)の上に導電性プローブ114を配置し、導電性プローブとDUTとの間に電気信号を印加し、印加された電気信号からの電気的応答を測定し、測定された電気的応答値に基づいて、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し、測定された電気的応答からインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し続けながら、導電性プローブをDUTに向かって移動させ、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、導電性プローブがDUTに接触したことを決定し、プローブのDUTに向かう移動を停止するように動作制御デバイスに信号を送ることにより、DUTにプローブを着面させる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイス(DUT)にプローブを着面させる方法であって、
動作制御デバイスを使用して、動作制御デバイスによって前記DUTの上に導電性プローブを配置するステップと、
前記導電性プローブと前記DUTとの間に電気信号を印加するステップと、
印加された前記電気信号からの電気的応答を測定するステップと、
プロセッサによって、測定された前記電気的応答の値に基づいて、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算するステップと、
前記動作制御デバイスによって、測定された電気的応答からインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し続けながら、前記導電性プローブを前記DUTに向かって移動させるステップと、
前記計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、前記導電性プローブが前記DUTに接触したことを前記プロセッサによって決定するステップと、
前記計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前記変化に基づいて、前記DUTに向かう前記プローブの移動を停止するように、前記プロセッサによって前記動作制御デバイスに信号を送るステップと、
前記動作制御デバイスによって、前記プロセッサからの信号の受信に基づいて前記プローブを停止するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて前記導電性プローブが前記DUTに接触したことを決定する前記ステップは、前記計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率の変化を前記プロセッサによって決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前記変化は、値、もしくは値の平均、基準からの所定量の変化、または絶対値との一致/交差を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前記変化は、基準から、または絶対的な測度、周波数、もしくはプロファイルとの一致/交差からのノイズ測度、周波数、またはプロファイルの変化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前記変化は、基準から所定量変化する変化率、または絶対変化率と一致/交差する変化率を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記DUTに対して電気的試験を実行するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記DUTの前記電気的試験が完了したことを決定するステップと、
前記導電性プローブを前記DUTから分離するために前記動作制御デバイスに信号を送るステップと、
プロセッサによって、前記計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前記変化に基づいて、前記導電性プローブが前記DUTから分離したことを決定するステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定するステップと、
前記導電性プローブを前記第2のDUTの上に配置するように前記動作制御デバイスに信号を送るステップと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記導電性プローブを前記第2のDUTの上に配置させる前記ステップは、
前記第2のDUTの座標を特定するステップと、
前記第2のDUTの前記座標に基づいて、前記導電性プローブを前記第2のDUTの上に配置させるステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記導電性プローブを前記第2のDUTの上に配置させる前記ステップは、
前記第2のDUTの座標を特定するステップと、
前記第2のDUTの前記座標の変換に基づいて、前記第2のDUTを前記導電性プローブの下に配置させるステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
受信したインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から、計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角と過去の値との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記DUTの種類を決定するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記DUTの前記試験が完了する前に、
前記DUTの前記試験を停止するステップと、
インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を測定するステップと、
前記導電性プローブが前記DUTからドリフトまたは移動したことを決定するステップと、
前記導電性プローブを前記DUT上に再配置するステップと、
前記DUTの前記試験を完了するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによって、前記インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が前記導電性プローブと前記DUTとの間の近接を示すことを決定するステップと、
前記インピーダンスの大きさの値および/または前記位相角の値から決定された前記導電性プローブと前記DUTとの間の前記近接に基づいて、前記DUTに向かう前記導電性プローブの運動速度を増加または減少させるように前記動作制御デバイスに信号を送るステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサによって、前記インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が前記導電性プローブの物理的形状を示すことを決定するステップと、
前記インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値に基づいて、前記導電性プローブの前記物理的形状が前記DUTとの接触に適しているかどうかを決定するステップと、
前記導電性プローブが前記DUTと接触するための物理的形状を持たない場合、前記処理を停止して中止するように前記動作制御デバイスに信号を送るステップ、または
前記導電性プローブが前記DUTと接触するための物理的形状を持っている場合、前記DUTに向かって前記プローブを移動し続けるように前記動作制御デバイスに信号を送るステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
システムであって、
アクチュエータを含み、導電性プローブを固定するためのナノプローバと、
前記導電性プローブに電気的に結合された信号測定回路であって、前記導電性プローブに信号を印加して試料から信号を受信する、または試料に信号を印加して前記導電性プローブから信号を受信する、信号測定回路と、
前記信号測定回路から受信した情報に基づいて前記ナノプローバアクチュエータを動かす動作制御システムと、
ハードウェアプロセッサであって、
前記信号測定回路からの情報が、前記導電性プローブの目的の表面への近接を示していることを決定し、
前記信号測定回路からの情報が、前記導電性プローブの適合性または品質を示すことを決定し、
前記信号測定回路からの情報が、前記導電性プローブが目的の表面に着面したことを示していることを決定し、
前記導電性プローブが前記目的の表面に着面したことを示していることに基づいて、前記ナノプローバ位置決め装置の移動を停止するように前記動作制御システムに信号を送る、
ハードウェアプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項16】
前記動作制御システムは、前記信号測定回路が電気情報を受信し、受信した前記電気情報に基づいて前記プロセッサがインピーダンスの大きさおよび電圧と電流との間の位相角を計算している間、前記導電性プローブを前記DUTに向かって降下させる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、
受信した前記インピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が、前記導電性プローブの先端の前記DUTへの近接を表していることを決定し、
近接に基づいて、前記DUTに向かう前記導電性プローブの移動速度を変更するために動作制御システムに信号を送る、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、
受信した前記インピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が、使用できないプローブ先端を前記DUTに着面させることを示していることを決定し、
前記導電性プローブの前記DUTに向かう移動を停止し、前記着面を中止するよう前記動作制御システムに信号を送る、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、
受信した前記インピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が閾値を満たすか超えるか、または計算された基準からの挙動の任意のその他の変化を決定し、
前記インピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が前記閾値を満たすか超えるか、または計算された基準からの挙動の任意のその他の変化に基づいて、前記導電性プローブが前記DUTに接触したことを決定し、
前記導電性プローブの前記DUTに向かう移動を停止するように前記動作制御システムに信号を送る、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、
保存された情報に基づいて前記DUTが何であるかを決定し、
前記DUTが何であるかに基づいて、前記信号測定回路を介して前記DUTの電気的試験を実行する、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、
前記DUTの前記電気的試験が完了したことを決定し、
前記導電性プローブを前記DUTから持ち上げるか、または前記DUTを前記導電性プローブから離すように前記動作制御デバイスに信号を送る、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記プロセッサは、
試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定し、
前記第2のDUTの位置を特定し、
前記導電性プローブの先端が前記第2のDUTの上にくるように、前記第2のDUTを支持する試料台と前記導電性プローブの先端との一方または両方を移動させる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセッサは、
前記第2のDUTの座標を特定し、
前記第2のDUTの前記座標に基づいて、前記第2のDUTの上に前記導電性プローブを配置するように前記動作制御システムに信号を送るか、またはCPBデバイスの原点の下に前記DUTを配置するように前記動作制御システムに信号を送る、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プロセッサは、
前記第2のDUTの座標を特定し、
前記第2のDUTの前記座標の変換に基づいて、前記第2のDUTの上に前記導電性プローブを配置するように前記動作制御システムに信号を送る、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサは、
受信したインピーダンスの大きさの値および/または電圧値と電流値との間の位相角から、前記計算された電気情報と過去の値との比較に基づいて前記DUTの種類を決定する、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記プロセッサは、
前記DUTの前記電気的試験が完了する前に、
前記DUTの前記電気的試験を停止し、
前記信号測定回路を介して受信した電流を介して、インピーダンスの大きさの値および/または電圧と電流との間の位相角を決定し、
前記導電性プローブが前記DUTからドリフトまたは移動したことを決定し、
前記導電性プローブを前記DUT上に再配置するよう前記動作制御システムに信号を送り、
前記DUTの前記電気的試験を完了する、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2022年2月14日に出願された米国仮出願第63/267,983号の利益を主張する、2022年9月13日に出願された米国出願第17/943,847号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム(CPB:charged particle beam)撮像システムを使用して、ナノメートルスケールの物体を調べることができる。一般に、CPB撮像システムは、光学顕微鏡を使用して視覚化できない対象物または対象物の特徴を視覚化するために対象物を照射する電子ビームなどの荷電粒子ビームを使用する。例えば、光の波長よりも小さい特徴は、CPB撮像システムを使用して視覚化できる。
【0003】
CPB撮像システムは、最大約100万倍の倍率でサブナノメートルの解像度(例えば、約0.1nmの解像度まで)で原子レベルの細部を表示できる。CPB撮像システムには、とりわけ、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscopes)、集束イオンビーム(FIB:focused ion beam)顕微鏡、透過型電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscopes)がある。
【0004】
走査型電子顕微鏡(SEM)は、CPB撮像システムの一種である。SEMの例では、電子ビームが対象物の表面上で走査される。検出器は、反射、吸収、または対象物の表面からの後方散乱、吸収、および/または二次電子を収集し、収集した電子を、試料のリアルタイムの多次元視覚化を生成するために使用される信号に変換する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体処理は、1桁のナノメートル特徴サイズ(例えば、5nm特徴サイズ)を達成した。CPBシステムへの現場での手動プロービングは、1桁のナノメートル特徴サイズを含む半導体デバイスを試験するための信頼できる手法として実証されているが、労働集約的でスループットが低い。プロービング処理を自動化することで、試験できるデバイスの数が増え、ツールユーザが解放されて、他の作業分野でより効果的に作業できるようになる。自動プローブの主要コンポーネントは自動着面である。本開示は、プローブ着面を自動化する方法の問題を解決することに焦点を当てている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の態様は、被試験デバイス(DUT)にプローブを着面させるための自動化された方法を含み、本方法は、自動動作制御システムにより、DUTの上に導電性プローブを配置するステップと、信号測定回路によって、導電性プローブとDUTとの間に電気信号を印加するステップと、信号測定回路により、印加された電気信号からの電気的応答を測定するステップと、プロセッサによって、測定された電気的応答の値に基づいて、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算するステップと、自動動作制御システムにより、測定された電気的応答からインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し続けながら、導電性プローブをDUTに向かって移動させるステップと、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、導電性プローブがDUTに接触したことをプロセッサによって決定するステップと、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、DUTに向かうプローブの移動を停止するために、プロセッサによって、自動化された動作制御システムに信号を送るステップと、を含む。動作制御デバイスは、プローブが表面に接触したことを示すプロセッサからの信号の受信に基づいて、プローブを自動的に停止でき、このような表面接触の示しは、インピーダンスおよび/または位相の決定に基づく。
【0007】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて導電性プローブがDUTに接触したことを決定するステップは、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率の変化をプロセッサによって決定するステップを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、値、もしくは値の平均、基準からの所定量の変化、または絶対値との一致/交差を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から、または絶対的な測度、周波数、もしくはプロファイルとの一致/交差からのノイズ測度、周波数、またはプロファイルの変化を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から所定量変化する変化率、または絶対変化率と一致/交差する変化率を含む。
【0011】
いくつかの実施形態はまた、DUTに対して電気的試験を実行するステップを含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態はまた、DUTの電気的試験が完了したことを決定するステップと、導電性プローブをDUTから分離するために動作制御デバイスに信号を送るステップと、プロセッサによって、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前述の変化に基づいて、導電性プローブがDUTから分離したことを決定するステップと、を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態はまた、試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定するステップと、導電性プローブを第2のDUTの上に配置するように動作制御デバイスに信号を送るステップと、を含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させるステップは、第2のDUTの座標を特定するステップと、第2のDUTの座標に基づいて、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させるステップと、をさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させるステップは、第2のDUTの座標を特定するステップと、第2のDUTの座標の変換に基づいて、第2のDUTを導電性プローブの下に配置させるステップと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態はまた、受信したインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から、計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角と過去の値との比較に少なくとも部分的に基づいて、DUTの種類を決定するステップを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態はまた、DUTの試験が完了する前に、DUTの試験を停止するステップと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を測定するステップと、導電性プローブがDUTからドリフトまたは移動したことを決定するステップと、導電性プローブをDUTに再配置するステップと、DUTの試験を完了するステップと、を含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態はまた、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブとDUTとの間の近接を示すことを決定するステップと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から決定された導電性プローブとDUTとの間の近接に基づいて、DUTに向かう導電性プローブの運動速度を増加または減少させるように動作制御デバイスに信号を送るステップと、を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態はまた、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブの物理的形状を示すことを決定するステップと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値に基づいて、導電性プローブの物理的形状がDUTとの接触に適しているかどうかを決定するステップと、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持たない場合、処理を停止して中止するように動作制御デバイスに信号を送るステップ、または、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持っている場合、DUTに向かってプローブを移動し続けるように動作制御デバイスに信号を送るステップと、を含み得る。
【0020】
実施形態の態様は、システムであって、アクチュエータを含み、導電性プローブを固定するためのナノプローバと、導電性プローブに電気的に結合された信号測定回路であって、導電性プローブに信号を印加して試料から信号を受信する、または試料に信号を印加して導電性プローブから信号を受信する、信号測定回路と、信号測定回路から受信した情報に基づいてナノプローバアクチュエータを動かす動作制御システムと、ハードウェアプロセッサであって、信号測定回路からの情報が、導電性プローブの目的の表面への近接を示していることを決定し、信号測定回路からの情報が導電性プローブの適合性または品質を示すことを決定し、信号測定回路からの情報が、導電性プローブが目的の表面に着面したことを示していることを決定し、導電性プローブが目的の表面に着面したことを示していることに基づいて、ナノプローバ位置決め装置の移動を停止するように動作制御システムに信号を送る、ハードウェアプロセッサと、を備える、システムを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、動作制御システムは、信号測定回路が電気情報を受信し、受信した電気情報に基づいてプロセッサがインピーダンスの大きさおよび電圧と電流との間の位相角を計算している間、導電性プローブをDUTに向かって降下させる。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が、導電性プローブの先端のDUTへの近接を表していることを決定し、近接に基づいて、DUTに向かう導電性プローブの移動速度を変更するために動作制御システムに信号を送る。
【0023】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が、使用できないプローブ先端をDUTに着面させることを示していることを決定し、導電性プローブのDUTに向かう移動を停止し、着面を中止するよう動作制御システムに信号を送る。
【0024】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が閾値を満たすか超えるか、または計算された基準からの挙動の任意のその他の変化を決定し、インピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が閾値を満たすか超えるか、または計算された基準からの挙動の任意のその他の変化に基づいて、導電性プローブがDUTに接触したことを決定し、導電性プローブのDUTに向かう移動を停止するように動作制御システムに信号を送る。
【0025】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、保存された情報に基づいてDUTが何であるかを決定し、DUTが何であるかに基づいて、信号測定回路を介してDUTの電気的試験を実行する。
【0026】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、DUTの電気的試験が完了したことを決定し、導電性プローブをDUTから持ち上げるか、またはDUTを導電性プローブから離すように動作制御デバイスに信号を送ることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定し、第2のDUTの位置を特定し、導電性プローブの先端が第2のDUTの上にくるように、第2のDUTを支持する試料台と導電性プローブの先端との一方または両方を移動させることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第2のDUTの座標を特定し、第2のDUTの座標に基づいて、第2のDUTの上に導電性プローブを配置するように動作制御システムに信号を送るか、または荷電粒子ビーム(CPB:charged particle beam)デバイスの原点の下にDUTを配置するように動作制御システムに信号を送ることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第2のDUTの座標を特定し、第2のDUTの座標の変換に基づいて、第2のDUTの上に導電性プローブを配置するように動作制御システムに信号を送ることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさの値および/または電圧値と電流値との間の位相角から、計算された電気情報と過去の値との比較に基づいてDUTの種類を決定することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、DUTの電気的試験が完了する前に、DUTの電気的試験を停止し、信号測定回路を介して受信した電流を介して、インピーダンスの大きさの値および/または電圧と電流との間の位相角を決定し、導電性プローブがDUTからドリフトまたは移動したことを決定し、導電性プローブをDUT上に再配置するよう動作制御システムに信号を送り、DUTの電気的試験を完了することができる。
【0032】
実施形態の態様は、システムを含み、システムは、導電性プローブを固定するナノプローバシステムと、動作制御システムと、信号を導電性プローブに印加して試料から信号を受信するか、または信号を試料に印加してプローブから信号を受信する信号測定回路と、信号測定回路から受信した情報に基づいてナノプローバ位置決め装置を動かす動作制御システムと、ハードウェアプロセッサであって、動作制御システムによってDUTの上に導電性プローブを配置し、導電性プローブとDUTとの間に電気信号を印加し、印加された電気信号からの電気的応答を測定し、プロセッサによって、測定された電気的応答値に基づいて、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し、動作制御デバイスによって、測定された電気的応答からインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し続けながら、導電性プローブをDUTに向かって移動させ、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、導電性プローブがDUTに接触したことをプロセッサによって決定し、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、DUTに向かうプローブの移動を停止するように、プロセッサによって動作制御デバイスに信号を送る、ハードウェアプロセッサと、を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて導電性プローブがDUTに接触したことを決定することは、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率の変化をプロセッサによって決定することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、値、もしくは値の平均、基準からの所定量の変化、または絶対値との一致/交差を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から、または絶対的な測度、周波数、もしくはプロファイルとの一致/交差からのノイズ測度、周波数、またはプロファイルの変化を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から所定量変化する変化率、または絶対変化率と一致/交差する変化率を含む。
【0037】
いくつかの実施形態はまた、DUTに対して電気的試験を実行することを含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態はまた、DUTの電気的試験が完了したことを決定することと、導電性プローブをDUTから分離するために動作制御デバイスに信号を送ることと、プロセッサによって、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前述の変化に基づいて、導電性プローブがDUTから分離したことを決定することと、を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態はまた、試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定することと、導電性プローブを第2のDUTの上に配置するように動作制御デバイスに信号を送ることと、を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させることは、第2のDUTの座標を特定することと、第2のDUTの座標に基づいて、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させることと、をさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させることは、第2のDUTの座標を特定することと、第2のDUTの座標の変換に基づいて、第2のDUTを導電性プローブの下に配置させることと、を含む。
【0042】
いくつかの実施形態はまた、受信したインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から、計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角と過去の値との比較に少なくとも部分的に基づいて、DUTの種類を決定することを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態はまた、DUTの試験が完了する前に、DUTの試験を停止することと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を測定することと、導電性プローブがDUTからドリフトまたは移動したことを決定することと、導電性プローブをDUTに再配置することと、DUTの試験を完了することと、を含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態はまた、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブとDUTとの間の近接を示すことを決定することと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から決定された導電性プローブとDUTとの間の近接に基づいて、DUTに向かう導電性プローブの運動速度を増加または減少させるように動作制御デバイスに信号を送ることと、を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態はまた、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブの物理的形状を示すことを決定することと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値に基づいて、導電性プローブの物理的形状がDUTとの接触に適しているかどうかを決定することと、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持たない場合、処理を停止して中止するように動作制御デバイスに信号を送ること、または、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持っている場合、DUTに向かってプローブを移動し続けるように動作制御デバイスに信号を送ることと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】本開示の実施形態による自動プローブ着面を有するシステム内のコンポーネントの概略図である。
【
図1B】本開示の実施形態による自動プローブ着面を有するシステム内のコンポーネントの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による荷電粒子ビーム撮像システムの真空チャンバ内の試料台上の4つのナノプローバの上面図の概略図である。
【
図3A】本開示の実施形態によるデバイス上にプローブを着面させ、デバイスを試験するための処理フロー図である。
【
図3B】本開示の実施形態によるプローブ着面の処理のスイムレーン図である。
【
図4】本開示の実施形態による、荷電粒子ビーム内の着面場所への自動プローブ着面の処理フロー図である。
【
図5A】本開示の実施形態による、被試験デバイスに対するプローブ位置に対応する計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角のグラフ表示である。
【
図5B】本開示の実施形態に従って、計算されたインピーダンスの大きさの変化率が被試験デバイスの表面に対するプローブ先端位置をどのように示すかを示すグラフ表示である。
【
図6A】本開示の実施形態によるn型金属酸化膜半導体(NMOS:n-type metal oxide semiconductor)デバイスソースプローブ着面および試験を示す画像である。
【
図6B】本開示の実施形態によるn型金属酸化膜半導体(NMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示すグラフである。
【
図6C】本開示の実施形態によるn型金属酸化膜半導体(NMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示す画像である。
【
図6D】本開示の実施形態によるn型金属酸化膜半導体(NMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示すグラフである。
【
図7A】本開示の実施形態によるp型金属酸化膜半導体(PMOS:p-type metal oxide semiconductor)デバイスソースプローブ着面および試験を示す画像である。
【
図7B】本開示の実施形態によるp型金属酸化膜半導体(PMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示すグラフである。
【
図7C】本開示の実施形態によるp型金属酸化膜半導体(PMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示す画像である。
【
図7D】本開示の実施形態によるp型金属酸化膜半導体(PMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示すグラフである。
【
図8】本開示の実施形態による、プローブ先端プロファイルの変化によるインピーダンスバックグラウンド信号の変化のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
断りのない限り、図は縮尺通りに描かれていない。
【0048】
図1A~
図1Bは、本開示の実施形態による、ナノプローバならびに測定および制御回路を含む荷電粒子ビーム撮像システムの概略図である。
図1Aは、真空チャンバの天井面に結合されたナノプローバを示し、
図1Bは、CPBカラムに取り付けられた取り付けリングに結合されたナノプローバを示す。
図1Aおよび
図1Bのシステムは、本開示の実施形態によるナノプローバならびに測定および制御回路を含む荷電粒子ビーム撮像システムを含む。
【0049】
図1Aは、本開示の実施形態による自動プローブ着面システム100および荷電粒子ビームシステム102の第1の例示的な実施形態を示す。CPBシステム102は、走査型電子顕微鏡、集束イオンビームシステム、SEMとFIBとの組み合わせ、またはマイクロメートルおよびナノメートルスケールの構造を画像化するための他の種類のCPBシステムであり得る。CPBシステム102は、真空チャンバ104を含む。CPBシステム102は、シール、ポンプ、および真空チャンバ内に真空を作り出す他の機器を含むことができる。CPBシステム102は、CPB撮像カラム106を含む。CPB撮像カラム106は、電子ビーム、陽電子ビーム、または集束イオンビームなどの荷電粒子ビームをターゲットに向けて放出することができる。CPBシステム102は、撮像処理の一部として電子を検出するための電子検出器108を含む。真空チャンバ104内には、試料124を保持するための試料台110がある。試料台110は、CPB撮像カラム106の下に被試験デバイス(DUT)を配置するために自動的に移動するように制御可能および訓練可能であり得る。別の言い方をすれば、試料台110は、エンコードされた試料台110である。試料台110はまた、外部電子システムに電気的に接続されているので、試料台110は、電気戻りまたは電気接地として機能することができ、またはバイアスをかけることができる。試料台110は、電気中性線または接地線として機能し得る戻り線126を含み得る。戻り線126は、導電性プローブとDUTとの間の回路を完成させることができるので、プローブによってDUTに印加される電圧は、戻り線126を通って信号測定回路に電流を逆流させることができる。
【0050】
DUTは、抵抗器やトランジスタなどの回路要素であってもよく、または、DUTは、着面パッド、もしくコンタクトパッド、またはトランジスタのソースもしくはトランジスタのドレインコンタクトなどの回路要素のその他の電極であってもよい。チップ上のデバイスまたは材料に電気的に接触するためのその他の着面エリアは、DUTと呼ばれる。
【0051】
自動プローブ着面システム100は、1つまたは複数のナノプローバ112を含む。ナノプローバ112は、ナノメートル以上(すなわち、サブナノメートル)の分解能の動きが可能な任意のデバイスを含むことができる。ナノプローバ112は、1つ以上のプローブ114を有することができる。プローブ114は、走査型トンネル顕微鏡または任意の他の導電性材料に使用されるもののような、先細りの端部を含む金属ワイヤ(例えば、タングステンワイヤ)であり得る。
【0052】
ナノプローバ112または複数のナノプローバ(図示のように)をCPB撮像システム102内で使用して、試料に関する追加情報を取得することができる。各ナノプローバ112は、動作制御システム122によって制御することができる。ナノプローバ112は、真空チャンバの側壁または真空チャンバのドアなどの真空パススルー116を介して動作制御システム122に電気的に接続される。
図1Aに示される実施形態では、ナノプローバ112を真空チャンバ104の天井に固定することができる。通常、CPBシステム用の真空チャンバ104は、機械的に安定した大型で重い機器である。ナノプローバ112を真空チャンバ104の天井に固定することにより、ナノプローバに機械的安定性を提供することができる。
【0053】
図1Bを簡単に参照すると、
図1Bは、本開示の実施形態による自動プローブ着面システム150および荷電粒子ビームシステム102の第2の実施形態の概略図である。自動プローブ着面システム150は、本明細書に記載の自動プローブ着面システム100と同様であるが、取り付けリング154を含む。取り付けリング154は、CPBカラムに固定するか、またはCPBカラムを取り囲み、真空チャンバ104の天井に固定することができる。ナノプローバ112は、取り付けリング154に固定することができる。取り付けリング154の利点は、真空チャンバ104に、真空圧の問題を引き起こす可能性がある取り付け穴をドリルであける必要がないことである。代わりに、取り付けリング154は、ブラケットまたは他の機構を使用してCPBカラム106にしっかりと固定することができる。取り付けリング154のさらなる利点は、取り付けリング154の中心がCPBカラム106と同軸になるように取り付けリング154を構成できることである。取り付けリング154は、ナノプローバ112を、CPBカラムと同軸で荷電粒子ビーム自体と同軸である原点の周りの既知の固定位置に固定することができる。
【0054】
図1Aに戻ると、動作制御システム122は、ナノプローバ112に直接結合することができ、またはコンピュータシステム120を介してなどの中間電子機器を介してナノプローバに接続することができる。動作制御システム122は、電気信号をナノプローバに提供してナノプローバ112を移動させるか、またはプローブ114を移動させることができる任意の種類の制御システムとすることができる。動作制御システム122は、ナノプローバ112を動かしたり、プローブ114を自動的に(すなわち、操作者入力なしで)動かしたりできる。動作制御システム122および/またはコンピュータ120は、非一時的媒体に具現化されるソフトウェアまたはファームウェアを含むことができる。ソフトウェアまたはファームウェアは、実行時に動作制御システム122にナノプローバ112を動作させてプローブを1つまたは複数の方向に移動させる命令を含み得る。例えば、動作制御システム122は、プローブ114から受信した、プローブがDUTの表面に着面したことを示す電気情報に応答することができ、DUTに向かうプローブの移動を停止することができる。動作制御システム122はまた、試験の完了に応答して、プローブを上に移動させてDUTから遠ざけることができる。
【0055】
自動プローブ着面システム100は、信号測定回路118も含む。信号測定回路118は、プローブ114に電気信号を印加し、プローブ114を介して試料から電気信号を受信する回路を含むことができる。信号測定回路118は、戻り線126を介して信号を受信することもできる。信号測定回路118は、真空パススルー116を介してプローブ114と通信することができる。信号測定回路118は、コンピュータ120および/または動作制御システム122に信号を提供することができる。例えば、プローブ114からの生データは、コンピュータ120に信号測定回路118を介した経路で送ることができ、コンピュータ120はインピーダンスの大きさの値および/または電圧と電流との間の位相角(説明を簡単にするために、電圧と電流との間の位相角を単に「位相角」と呼ぶ)を計算することができる。インピーダンスおよび/または位相角も、本開示の範囲から逸脱することなく、信号測定回路118によって計算することができる。信号測定回路118はまた、動作制御システム122に信号を提供することができ、信号測定回路118からの信号を使用してナノプローバ112を自動的に制御することができる。
【0056】
信号測定回路118および動作制御システム122のそれぞれは、個々のハードウェアユニットであり得るか、またはコンピュータ120の一部などの単一のユニットにパッケージ化され得る。信号測定回路118、動作制御システム122、およびコンピュータ120をパッケージ化する任意の組み合わせが、本開示によって企図される。さらに、図示されていないが、信号測定回路118または動作制御システム122の一方または両方は、ナノプローバ112上に、またはナノプローバ112とともに、またはナノプローバ112に近接してある回路を使用して実施することができる。ナノプローバ112はまた、バッテリーまたは他のモジュラー電源を使用して電力を供給され得る。このような実装の選択により、信号測定、ナノプローバ制御、および電力供給に使用される外部ケーブルの数が削減される。
【0057】
コンピュータ120は、1つもしくは複数のハードウェアプロセッサ、メモリ、ストレージ、およびマウス、キーボード、モニタ、ジョイスティック、または他の種類のユーザインターフェースなどのユーザインターフェースコンポーネントを含む周辺コンポーネントを含んでいてもよい。コンピュータ120は、操作者がCPBシステム102を制御できるようにするソフトウェアを含み得る。モニタは、ナノプローバ112操作のリアルタイム画像化を含む、CPBシステム102によって作成された画像を見るために使用することができる。コンピュータ120は、信号測定の実行、信号計算の実行、試験の実行、ナノプローバの自動化、情報の保存、ならびに自動化されたプローブの移動および着面およびデバイス試験に関連する他のタスクを実行するためのハードウェアおよびソフトウェアを含んでいてもよい。コンピュータ120は、本明細書で説明するように、信号測定回路および動作制御ハードウェアおよびソフトウェアを含むことができる。
【0058】
図2は、本開示の実施形態による荷電粒子ビーム撮像システムの真空チャンバ内の試料台上の4つのナノプローバの上面図の概略図である。
図2は、
図1Aまたは
図1Bの自動プローブ着面システムの上面図を示す。自動プローブ着面システムは、4つのナノプローバ112a~112dを含む。各ナノプローバ112a~112dは、粗位置決め装置202および精密位置決め装置204を含む。粗位置決め装置202および精密位置決め装置204のそれぞれは、動作制御システム122によって制御することができる。動作制御システム122は、粗位置決め装置202および精密位置決め装置204を制御して、X方向、Y方向、またはz方向に移動させることができる。(当業者は、物理空間および物理空間内の移動を記述するために、極座標などの他の座標系を使用できることを知っているだろう)。
【0059】
図2に示すように、ナノプローバにはX方向、Y方向、Z方向の粗動がある。粗動はアクチュエータを使用して行われ得る。ナノプローバは、X方向、Y方向、Z方向の微動も含む。微動は圧電材料を使用して行われ得る。それぞれが真空に対応し、目的の移動分解能を達成する限り、粗動および微動用の他のメカニズムを使用できる。
【0060】
実施形態では、動作制御システム122は手動で操作することができる。手動で操作する場合、操作者は、ジョイスティック、マウス、キーボード、スマートデバイス、またはその他のインターフェースなどの制御インターフェースを介してナノプローバに制御命令または信号を提供する。動作制御システムは、操作者の信号をナノプローバの微動または粗動を作動させる電気信号に変換できる。
【0061】
CPB撮像システム内にあるナノプロービングシステムは、各プローブの位置を制御するために人間に依存していた。ディスプレイ上のライブ(SEMなど)画像を視覚的に見ている操作者は、ソフトウェア制御またはハードウェアコントローラを使用してプローブを動かす。この種類の制御は「オープンループ」であり、操作者がターゲティングを完了する。基本的に、操作者はCPB撮像システムの画像で接触点のターゲットを確認し、同じ画像でプローブの先端を確認する。次に、操作者は、ジョイスティック、マウスの動き、またはその他のコントローラを使用して制御ソフトウェアに入力を提供し、プローブを動かしてターゲットポイントに接触させる。
【0062】
半導体デバイスの現場での試験の手動プロービングは、時間および労力のかかる処理である。本開示は、プロービングデバイスの手動操作なしで一桁のナノメートル特徴サイズの現場での試験を達成できるように、プローブ着面手順を自動化するためのシステムおよび装置を説明する。
【0063】
図1~
図2に示すように、CPB撮像システム内にあるナノプロービングシステムは、プローブに電気信号を印加できる。ナノプロービングシステムは、プローブの着面および持ち上げ手順中の電気的応答を測定し、デバイス試験を実行できる。例えば、ナノプロービングシステムは、プローブ着面手順中に電圧を印加して電流を測定する(または電流を印加して電圧を測定する)ことができる。得られたインピーダンスの大きさの測定値およびインピーダンスの位相角の測定値は、表面ターゲットからのプローブの高さを決定するために使用でき、プローブがターゲットに着面したかどうかを決定するために使用できる。プローブ着面(およびデバイス試験)手順の自動化は、クローズドループ設計を使用することで実現でき、人件費を削減しながらスループットを向上(または時間短縮)できる。自動化により、1つのチップ上でより多くのデバイスをより短い時間で試験することも容易になり、全体的により多くのチップを試験することも容易になることが可能である。
【0064】
図3Aは、本開示の実施形態による、デバイス上へのプローブの自動着面およびデバイスの試験のための高レベルの処理フローである。自動化されたプローブ着面およびデバイス試験の実施形態は、真空条件下でCPB撮像システム内において実行できることが理解される。ただし、プローブ着面とデバイス試験との自動化は、この開示の範囲から逸脱することなく、任意の環境で実行できる。また、着面処理が自動化されていることも理解される。コンピュータシステム、信号測定システム、運動制御装置、およびナノプローバ装置の1つまたは組み合わせによって、1つまたは複数の方法操作が実行される。
【0065】
図3Aでは、最初に、被試験デバイス(DUT)を真空チャンバ内の所定の位置に移動させることができる。(302)。例えば、DUTを含むチップを支持する試料台は、DUTがCPBチャンバ内の所定の位置に配置されるように配置することができる。所定の位置は、CADレイアウト情報から知る、または決定することができる。例えば、DUTが製造されたチップは、チップ上の各デバイスの座標値または位置値を含む対応するCADマップを有し得る。この情報は、自動システムが試料台を所定の位置に配置するために使用され得る。この所定の位置は、CPB座標系の「原点」であり、CPBと一致し得る。実施形態では、所定の位置は、CPBの走査範囲またはナノプロービングシステムの位置範囲の一方または両方の範囲内の任意の位置であり得る。
【0066】
ナノプロービングシステムは座標系を有していてもよい。この座標系はCPBシステムの座標系にマッピングできるため、プローブの位置とDUTの位置とは共通の座標系に転置される。この転置は、この開示の範囲を超えている。ナノプローバシステムは、導電性プローブをDUTの上でX方向とY方向とに配置できる。(304)。例えば、制御システムは座標系マッピングを使用してプローブ先端をX方向およびY方向の所定の位置に移動し、導電性プローブがDUTの上にくるようにすることができる。
【0067】
プローブをDUTに向かってzに降下させる前、および着面処理中に、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の測定を実行できる。(306)。インピーダンスの大きさおよび位相角の測定値は、電流を測定することによって計算される。電圧がプローブにわたって印加され、電流がプローブと試料台との間で測定される。インピーダンスは、抵抗値および/または静電容量値を含み得る。プローブはDUTに向かって移動する。当業者は、電流を印加して電圧を測定できることを知っているだろう。インピーダンスの大きさおよび位相角の測定値は、測定された電圧から計算できる。
【0068】
プローブがDUTに向かって移動すると、インピーダンスの大きさおよび位相角の値が計算され、プローブの先端と接触位置との間の近接に関する情報が監視される。先端が接触位置に近づくにつれて、インピーダンス測定値の変化率が増加し始める。インピーダンス測定値の変化率の増加の検出を使用して、接触位置に向かうプローブ先端の運動速度を制御できる。
【0069】
プローブ先端とDUTとの間の距離が大きい場合、インピーダンスの大きさおよび位相角の変化率は比較的小さくなる(例えば、変化が観察されないか、観察される変化率が遅い)。インピーダンスの大きさの値および/または位相角の変化率の増加は、プローブがDUT表面に近づいていることをプロービングシステムに示す。インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率を使用して、プローブ先端の動きの方向を制御できる。例えば、動作制御システムは、インピーダンスの大きさおよび/または位相角の値の変化率の変化が観察されない間、プローブ先端をDUT表面に向かって移動させることができる。動作制御システムは、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率の急激な変化が観察されると、プローブ先端の動きを停止できる。
【0070】
さらに、動作制御システムは、インピーダンスの大きさおよび/または位相角の値の観察された変化率に基づいて、プローブ先端の速度を制御できる。例えば、動作制御システムは、インピーダンスの大きさおよび/または位相角の値の変化率にほとんどまたはまったく変化が観察されない場合、プローブの先端をDUT表面に向かってすばやく移動させることができる。動作制御システムは、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率に特定の変化が観察されると、DUT表面に向かうプローブ先端の運動速度を遅くすることができる。プローブ先端を遅くすることで、表面への着面が穏やかになり、プローブ先端とDUT表面との完全性が維持される。
【0071】
試料と接触するためのプローブ先端の適合性または品質に関する情報のために、インピーダンス値も監視される。プローブの先端が接触位置に近づくにつれて、インピーダンス値の全体的なバックグラウンドトレンドは、導電性プローブの先端の形状を示す。非常にフラットまたは一定のバックグラウンドトレンドは、非常に小さな先端半径を持つ鋭い先端を示す。バックグラウンドが一定ではなく、わずかに傾斜している場合は、導電性プローブの先端の先端半径が大きいことを示している可能性があり、バックグラウンドの傾きが大きい場合は、プローブの先端が試料から離れて曲がっている場所で、プローブの接触点が先端からプローブのさらに上にある状態で着面していることを示している可能性がある。最後の2つの状況では、自動化されたプローブ着面シーケンスが、プローブが使用に適さないと決定し、着面処理を中止して、プローブを変更または交換する必要があることを操作者に警告する可能性がある。
【0072】
インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が変化を示すと、プローブが着面したと決定され、制御システムがプローブを停止する。変化は、取得した基準からの変化、または設定された絶対値に一致/交差する値または移動平均を測定するインピーダンスコンポーネントであり得る。変化は、測定されたノイズやノイズの周波数の変化など、電気信号の他の挙動の場合もある。
【0073】
非限定的な一例では、閾値は、プローブの着面を決定し、プローブ先端の動きを制御するために、制御システムによって使用され得る。例えば、非接触電気的応答により、第1のインピーダンスの大きさの値Z1および第1のインピーダンス位相角の値θ1がもたらされ得る。プローブがDUTの表面に着面した後の電気的応答により、第2の大きさZ2と第2の位相角θ2とがもたらされ得る。着面の閾値の大きさZtは、Z1>Zt≧Z2として規定され得る。着面の閾値位相角θtは、θ2≧θt>θ1として規定され得る。複数の閾値を設定して、表面上でのソフトな接触とハードな接触とを規定し得る。ソフトな着面の閾値の大きさZscおよび閾値Zhcは、Z1>Zsc>Zhcとして規定でき、Z2は、Z2の値と閾値ZscおよびZhcとに応じて、ソフトな着面またはハードな着面のいずれかを表し得る。ソフトな着面の閾値位相角θscとハードな着面の閾値位相角θhcとは、θhc>θsc>θ1として規定されてもよく、θ2は、θ2の値と閾値θscおよびθhcとに応じて、ソフトな着面またはハードな着面のいずれかを表し得る。他の閾値も特定して保存できる。例えば、インピーダンスの閾値変化率を決定し、保存することができる。インピーダンスの変化率の閾値を使用して、信号測定から決定されたインピーダンスの変化率が、プローブがDUTの表面に近づいていることを示しているかどうかを決定できる。
【0074】
閾値は、保存されてプローブ着面手順中に使用され得る。例えば、一例示的実施形態では、コンピュータは、インピーダンスの変化率についての1つまたは複数の閾値を決定および保存することができる。ナノプローバシステムはインピーダンスを連続的に測定するため、プロセッサは測定されたインピーダンスの変化率を計算できる。計算されたインピーダンスの変化率をインピーダンスの変化率の閾値と比較して、プローブがDUTの表面に向かって移動するときのDUTの表面へのプローブの近接を決定できる。プロセッサが、インピーダンスの変化率がインピーダンスの変化率の第1の閾値以上であると決定した場合、コンピュータは、プローブが表面から所定の距離内にあることを決定し、プローブの動きを遅くするように動作制御システムに信号を送ることができる。プロセッサが、インピーダンスの変化率がインピーダンスの変化率の第2の閾値以上であると決定した場合、コンピュータは、プローブが表面に接触したことを決定でき、プローブの動きを停止するように動作制御システムに信号を送ることができる。
【0075】
DUTを配置し、プローブをX方向およびY方向に配置した後、プローブを手動または自動でZにDUTに向かって降下させることができる。(308)。特に、記号Zはインピーダンスと方向性との両方に使用される。分かりやすくするために、小文字のzを使用して方向性を示す。z方向はデカルト座標系のX方向およびY方向に直交し、この場合、z方向は試料台に向かう方向または試料台から離れる方向である。座標系を
図2に示す。制御システムは、傾斜をつけた制御信号を適用して、プローブをZにDUTに向かって移動させることができる。実施形態では、最初に、ナノプローバは、比較的大きな距離をカバーするために大きなステップで移動することができる。プローブが表面に近づくにつれて、ステップは徐々にまたは急激に小さくなる。システムがインピーダンスと位相角との測定を実行するとき、ある時点またはしばらくしてから、ナノプローバはプローブを表面に向かって最小の増分で移動する。
【0076】
プローブがDUTに向かってzに移動すると、システムは、得られたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の計算が、プローブがDUT表面に着面したことを示しているかどうかを決定できる。(310)。プローブが着面すると、停止信号が制御システムに送られ、プローブの動きが停止する。いくつかの実施形態では、試験データを取得する前にオーム接触を検証することが有益であり得る。プローブを持ち上げて再着面させることができる(ここでも、インピーダンスの大きさおよび位相角の計算を使用する)。インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の計算がプローブの着面を示した後、プローブをzにDUTに向かってさらに移動させて、オーム接触に到達することを確認することもできる。
【0077】
DUTが試験され、データが収集される(314)。実施形態では、プローブ着面および試験自動化の一部は、良好なDUT試験結果を認識するようにシステムを訓練することを含む。訓練は、欠陥のあるDUTと、DUT上のプローブの接触不良または失敗と、を区別するためにも使用できる。試験は操作者の観察なしで自動的に実行されることを意図しているため、システムは試験が正常に実行されたかどうか、試験の結果としてDUTが合格か不合格かを自動的に決定できる。
【0078】
まず、各DUTは関連する理論上の電気的応答を持つことができる。例えば、抵抗器には理論上の抵抗値があり、印加された電圧に応答して、誤差の範囲内で予測可能な電流が流れる。理論上の電気的応答は、特性動作パラメータと呼ばれる。各DUTには、観測データを比較できる1つまたは複数の特性動作パラメータのセットを含めることができる。観察されたデータが特性動作パラメータと一致している場合、DUTは合格であると見なされる。DUTが合格したと見なされた場合、システムは、プローブを移動するか、試料を移動するかのいずれか、またはその両方によって、次のDUTに移動できる。
【0079】
観察されたデータが特性動作パラメータと一致しない場合、システムはDUTが不合格であったか欠陥があるか、またはプローブの着面が失敗したかどうかを決定できる。DUTが不合格であった後、多くの実装固有のオプションを利用できる。
【0080】
いくつかの実施形態では、プローブを持ち上げることができ、DUTを再び試験することができる。DUTが再び不合格であった場合、システムは失敗をログに記録し、次のDUTに移動できる。不合格であったDUTの電気的応答は、シンプルに特性動作パラメータの範囲外にある可能性がある。さらに、不合格であったDUTの電気的応答は、1つまたは複数の障害の電気的応答に関連付けられ得る。例えば、抵抗器の短絡により、障害の電気的応答IV曲線(原点を通る垂直線など)が生成され得る。これらの障害の電気的応答を使用して、DUTに欠陥があることを確認し、その欠陥が何であるかを決定するために使用できる。
【0081】
これらの障害の電気的応答は、失敗したプローブ着面による電気的応答とは異なる場合もある。(失敗したプローブ着面には、DUTに着面しないプローブや、着面時にDUTとオーム接触しないプローブである場合がある)。したがって、試験中に観察された電気的応答を使用して、DUTが不合格であるか欠陥があるか、またはプローブの先端がDUTに適切に着面していないかどうかを決定して、適切な試験を行うことができる。
【0082】
DUTが、不合格であった最初のDUTでない場合は、他の考慮事項を考慮することができる。DUTを手動で試験できるように、操作者に警告を送信できる。操作者は手動でDUTを再試験して、プローブの先端が正しいDUTに接触していること、および試験が適切に実行されていることを確認できる。操作者は他のDUTを手動で再試験して、試験が適切に実施されたことを確認できる。操作者は、試料が不良であると結論付け、新しい試料の試験を開始することもできる。
【0083】
試験からの電気的応答を使用して、プローブがDUTに正しく着面しなかったことを決定できる。例えば、断続的な信号応答または高いノイズレベルは、DUTへのオーム接触が不十分であることを示唆し得る。酸化物層またはその他の絶縁層への着面は、着面の失敗を示す特徴的な電気的応答(IV曲線など)も有し得る。別の回路コンポーネント(間違ったDUT)に着面すると、そのことを示す電気的応答が発生してもよい。例えば、抵抗器からのIV応答は、トランジスタからのIV応答とは異なる。プローブが着面に失敗した場合、プローブは持ち上げられ、着面処理が再試行される。注目すべきは、場合によっては、プローブの着面失敗がプローブの損傷につながる可能性があることである。場合によっては、プローブの着面に失敗すると、別のプローブを使用して着面を再試行することがある(例えば、真空チャンバ内の別のナノプローバから)。操作者はプローブの画像を撮影して、損傷が発生しているかどうかを決定できる。状況によっては、操作者が手動でプローブを変更できる。
【0084】
DUT試験が完了したら、プローブが持ち上げられる。(316)。プローブの持ち上げは自動化されており、DUT試験の完了によってトリガされる。例えば、一定量のデータが取得された後、制御システムはプローブを自動的に持ち上げることができる。プローブをチップから十分な高さまで持ち上げて、プローブがチップの特徴に不注意に接触することなく台を移動できるようにする。インピーダンスおよび位相角は、プローブの持ち上げ中に測定され、表面から十分な距離を確保する。その後、処理は次のDUTで再開できる。場合によっては、次のDUTが前のDUTに近いため、試料台を移動する必要はない。代わりに、プローブはXおよびYに配置される。次のDUTが十分に離れている場合は、試料台を移動して、次のDUTを所定の位置に配置する。
【0085】
DUTに欠陥があることが検出された場合、自動プローブ着面装置は、前のDUTに戻り、前のDUTで再度試験を実行することにより、欠陥検証を実行できる。以前のDUT試験の結果が以前と同じか類似している場合、次のDUTで検出された欠陥はプローブに起因するものではない。場合によっては、欠陥が検出された場合、システムは操作者に警告するか、欠陥をログに記録して先に進むことができる。操作者は、DUTを視覚的に検査すること、手動でプローブを着面させること、および試験を実行することを選び、欠陥を検証することができる。これらの任意選択肢は実装固有である。
【0086】
図3Bは、本開示の実施形態によるプローブ着面の処理のスイムレーン
図350である。スイムレーン
図350は、システムのさまざまなコンポーネント間の信号交換を示している。例えば、最初に、信号測定回路118は、導電性プローブとDUTを支持する試料台との間に電圧を印加することができる。(352)。信号測定回路118は、DUTからの電気的応答を測定することができる。(354)。信号測定回路118(または信号分析および計算を実行できる他のコンポーネント)は、受信した電気的応答からインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算することができる。(356)。計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角の値を閾値と比較して、プローブがDUT表面に近づいているかどうか、またはプローブが着面したかどうかを決定できる。この処理352~358は、プローブが表面に着面したことを信号測定回路118(または他の計算コンポーネント)が決定するまで実行することができる。(
図5Aは、プローブとDUT表面との近接に基づいて、インピーダンスの大きさおよび位相角がどのように変化するかを示している)。接触対非接触を定義するためのインピーダンスの大きさおよび位相角の閾値は、DUTの種類ごとに経験的に事前に決定できる。また、ライト/ソフトまたは断続的な接触を規定するための閾値の大きさおよび位相角の値も、DUTの種類ごとに経験的に事前に決定できる。
【0087】
信号測定回路がプローブからの電気的応答測定を開始した後、動作制御システム122は、DUTに向かうプローブのz方向の移動を開始することができる。(362)。動作制御システム122は、プローブをDUTに向かって移動させるために、ナノプローバ112a(または本明細書に記載の他のナノプローバ)の粗位置決め装置(例えば、202)に信号を送ることができる。特定の数のステップまたは特定の時間の後、動作制御システム122は、粗位置決め装置に停止するように信号を送ることができ、精密位置決め装置にDUTに向かってz方向にプローブを移動させるように信号を送ることができる。zのプローブの移動に関する詳細は実装固有である。
【0088】
動作制御システム122は、プローブからの電気的応答に少なくとも部分的に基づいて、プローブのz方向の動きを制御する。動作制御システム122は、プローブが着面したことをプローブからの電気的応答が示すまで、プローブをDUTに向かってz方向に動かし続けることができる。(366)。つまり、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が閾値を満たすか交差するときである。場合によっては、プローブからの電気的応答は、プローブがほぼ着面したか、「ソフトに」着面したことを示し得る。(368)。ソフトな着面とは、プローブがDUT表面に物理的に接触しているが、DUTの電気的試験を実施するのに十分なオーム接触が確立されていない場合である。そのような場合、動作制御システム122は、プローブがDUTの表面に衝突しないようにアプローチを遅くすることができ、プローブおよび/または表面を損傷する危険性がある。ソフトな着面の場合、プローブからの電気的応答は、動作制御システムに警告して、z方向の運動を遅くするか、z方向の運動を停止し、z方向の運動をより遅い速度で再開することができる。
図5Aは、大きさと位相角との両方に対する軽接触電気的応答を示している。
図5Aはまた、DUTの表面とのハードな(またはオーム)接触を確立するためにソフトな着面が達成された後、動作制御システム122がプローブをz方向に動かし続けるにつれて、電気的応答がどのように変化し得るかを示す。
【0089】
インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の閾値が満たされているかまたは超えられている場合、動作制御システムに警告を発し、z方向に運動するプローブを停止できる。(366)。インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の閾値が満たされるかまたは超えられ、結果としてプローブの動きが停止すると、システムがDUTの試験を開始するようにトリガできる。(370)。信号測定回路118は、DUTの電気的試験を担い得る。信号測定回路118は、例えばコンピュータシステムまたはコントローラから命令を受信して、DUTに特有の1つまたは複数の試験を実行することができる。例えば、チップのCADマップとコントローラによって実装された試験計画とに基づいて、システムはDUTが何であるか、およびどんな試験の種類がDUTに対して実行されるかを認識する。DUTおよび関連する試験計画をメモリに保存し、試験を実行するたびにアクセスできる。さらに、試験結果データを対応するDUTに関連付ける情報とともに、試験結果をメモリに保存することもできる。
【0090】
DUTが試験に合格した場合(372)、DUTの合格試験結果は、動作制御システムに、DUTの表面からプローブを持ち上げるように警告することができる。(374)。DUTが試験に不合格だった場合(376)、再試験する(376)、DUTによる失敗を記録する(378)、上述のプローブ着面を再試行するなどを含む、任意の数の実装固有のアクションを実行することができる。ただし、ある時点で、システムは、動作制御システム122にプローブをDUTからz方向に持ち上げさせることによって、DUTの試験から移行する。(374)。
【0091】
図4は、インピーダンスの大きさ(Z)および位相角(θ)の測定値を使用して、いつプローブが表面に着面したかを決定する処理を示す処理フロー図である。まず、被試験デバイス(DUT)の基準およびトリガ(または閾値)の値を決定できる。(402)。例えば、インピーダンスの大きさおよび位相角の値は、プローブが試料から離れている間、およびプローブが試料上に手動で(または自動的に)タッチダウンされた後に測定できる。(404)。プローブの着面シナリオとプローブの持ち上げシナリオとの両方で、十分なインピーダンスの大きさおよび位相角の値が計算され(406)、それによって平均値を計算できるようになる(408)。十分な平均化のために収集されるデータの量は、実装固有である。平均化もスキップ可能である。インピーダンスの大きさおよび位相角の測定値の基準値を使用して、いつプローブが試料から離れたか、および、いつプローブが試料に着面したかを決定できる。(410)。特定のDUTの閾値を保存して、後でプローブの着面と検証とに使用できる。各デバイスまたは材料のリファレンスとして閾値のライブラリを保存可能である。
【0092】
特定のデバイスを試験する場合、自動プローブ着面装置はそのデバイスの閾値を確立するか、保存された値を閾値として使用するかのいずれかを行うことができる。さらに、DUTごとに異なる着面シナリオをプロファイリングできる。例えば、ソフトな着面の電気的応答をプロファイリングして、ソフトな着面の基準とトリガ(または閾値)とを確立することができる。
【0093】
例示的な実施形態では、任意のDUTについて、さまざまな電気データを、プロービングシステムの実世界での動作中に、予備特性評価ステップ中に収集および記録することができる。電気データの例は、とりわけ、信号対ノイズ比(SNR)、もしくはプローブの着面時に経験および測定されたSNR標準偏差、インピーダンスの大きさおよび位相角の変化率、インピーダンスの大きさおよび位相角の変化率の標準偏差、インピーダンスの大きさおよび位相角、およびインピーダンス振幅信号の標準偏差または位相角の標準偏差を含む。
【0094】
さまざまなDUT変形例を含む多くのDUTの接触測定の調査を実行し、結果を記録できる。DUT調査データは、例えば、プロービングシステムの信号対ノイズ比、または他の電気データなどと比較できる。これらの記録されたシステムノイズの値およびDUT比較データを使用して、導電性プローブがDUTに接触したことを決定する感度閾値または変化率閾値を規定する所定の量を計算できる。
【0095】
他のメトリックスも観察または計算することができ、プローブが表面に近づいていること、プローブが着面したこと、プローブが表面からドリフトしたこと、およびプローブが損傷したことを決定するために使用できる。例えば、計算されたインピーダンスの大きさおよび/またはインピーダンスの変化は、値、もしくは値の平均、基準からの所定量の変化、または絶対値と一致する/交差することを含み得る。計算されたインピーダンスの大きさおよび/またはインピーダンスの変化は、ノイズ測度、周波数またはプロファイルが基準から変化したり、または絶対的な測度、周波数またはプロファイルと一致/交差したりすることを含み得る。計算されたインピーダンスの大きさおよび/またはインピーダンスの変化は、基準から所定量変化する変化率、または絶対変化率と一致する/交差する変化率を含み得る。
【0096】
プローブの着面に関する電気情報のライブラリは、さまざまなデバイス用に作成できる。DUTのインピーダンスの大きさおよび位相角の変化率を試験中に決定し、デバイスごとに保存できる。これらの値は、プローブがDUTの表面に正常に着面したかどうかを動作制御システムが決定するために使用する基準、ベンチマーク、トリガ、閾値などとして操作中に使用できる。
【0097】
履歴データは、システムの運用中に決定されたデータを使用して、共有データと継続的な試験とを通じて、時間の経過とともに収集、更新、および洗練され得る。履歴データは、例えば、機械学習訓練アルゴリズムを使用して動作制御システムを訓練するためにも使用できる。動作制御システムは、着面が成功する(および失敗する)たびに継続的に改善できる。
【0098】
特定のデバイスにプローブが着面するたびに、プローブの着面について観測および計算された電気的応答情報が保存され得る(着面の成功と失敗との両方について)。例として、最初のデバイスの場合、計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角の変化率が保存され得る。変化率の情報を使用して、同じまたは類似のデバイスでの将来のプローブ着面の閾値またはその他の情報を計算できる。電気情報は、機械学習技術やその他のアルゴリズムを使用して、時間の経過とともにプローブの着面が成功するたびに洗練される。機械学習技術または他のアルゴリズムを使用して、デバイスのプローブ着面中にプローブの動きを制御するために使用される閾値またはベンチマークまたはトリガを洗練できる。履歴データを使用して、プローブの動きを制御するための期待値、閾値、ベンチマークなどを洗練すると、着面の成功が増加し、それによって試験が高速化され、コストが削減され、スループットが向上する。
【0099】
失敗した着面からの電気的応答情報も使用して、同じまたは類似のデバイスでの将来のプローブ着面に使用される電気情報を洗練することができる。例えば、失敗した着面からの電気情報を使用して、偽肯定をフィルタリングし、将来の不成功の着面を減らすことができる。制御システムは、「不良」データを認識するように訓練できる。制御システムは、着面前にプローブの動きを停止し、プローブを再配置して、最初からやり直すことができる。または、制御システムは、不良データが検出されたことを操作者に警告できる。どちらの場合でも、着面の失敗を防ぐことで時間を節約し、プローブの先端や表面の特徴を損傷する可能性を減らすことができる。
【0100】
インピーダンスの大きさおよび位相角の基準を取得して、ソフトな着面とハードな着面とを区別できる。ソフトな着面は、プローブが表面に接触し、接触が軽くまたは柔らかく、インピーダンスがまだ安定していないことを特徴としている。ハードな接触は、インピーダンスが安定した機械的な押し下げとして特徴付けられる。ソフトな接触とハードな接触との違いは、1)タッチダウン点を確立し、2)プローブを標的に向かって動かし続け、DUTとのオーム接触をしっかりと確立し、3)表面またはプローブ自体を損傷するプローブの衝突着面を防止する、ために使用され得る。ソフトな着面とハードな着面との電気測定の例を
図5Aに示す。自動プローブ着面システムは、インピーダンスの大きさおよび位相角の測定値を使用して接触品質を確保できるため、DUT電気的試験の信頼性が向上する。
【0101】
基準インピーダンスの大きさおよび位相角の値は、自動システムのトリガ(または閾値)として使用できる。例えば、閾値の大きさの値および/または位相角の値を使用して、プローブコントローラがいつプローブをDUTに向けて移動するのを停止する必要があるかを決定できる。基準値は、プローブのドリフトを評価するときにも使用できる。例えば、プローブがDUTからドリフトする範囲で、基準値を使用して、プローブがDUTから外れたことを決定し、プローブをDUTにリセットするために使用できる。
【0102】
基準値は、電気的試験に合格した結果のものなど、DUTの特性動作パラメータを含んでいてもよい。基準値は、特定の構造または材料に固有のものである可能性があるため、基準値を使用して、表面の異なる構造とは対照的に、プローブが意図したターゲットに着面したことを検証できる。
【0103】
着面後(接触時)のインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、ドリフト/クリープを補正するために大きさの値および/または位相角の値の測定を常に監視することにより、接触時の安定性制御として使用できる。大きさの値および/または位相角の値の変化は、接触品質/検証の測定値としても使用できる。
【0104】
さらに、基準値およびトリガ値を決定して保存し、DUT以外の酸化物層またはその他の表面にプローブを着面させることができる。これにより、システムは着面のミスや着面の失敗に関する情報を得ることができる。
【0105】
基準値は、プローブが他の場所ではなく、DUTに着面したことを検証するためにも使用できる。インピーダンスの大きさおよび位相角の値は、位置の検証に加えて、構造の検証にも使用できる。例えば、特定の寸法を持つ構造は、ある種の他の構造とは異なるインピーダンス応答を有する場合がある。DUTの寸法、構成、および電気的特性に関する知識を使用して、インピーダンスの大きさおよび位相角の基準値を確立でき、これを使用して、プローブが正しいDUTに接触したことを確認できる。
図6および
図7は、NMOSデバイスおよびPMOSデバイスが着面処理中にどのように異なる大きさおよび位相角の応答を示すかを示している。
【0106】
DUTが所定の目的の位置(例えば、CPB原点)に配置された後、プローブがDUTの上にくるように、プローブをXおよびYに配置できる。インピーダンスの大きさおよび位相角の測定は、DUTに向かってプローブの下向き(z)方向の移動を開始する前に、この時点で実行開始できる。
【0107】
プローブは、トリガを確認しながらDUTに向かって移動する。(412)。動作制御システムは、プローブをDUTに向かってz方向に移動する。(414)。信号測定回路は、プローブからの電気的応答を測定し、インピーダンスの大きさと位相角とを計算して、表面に向かって移動を続けるか移動を停止するかを決定できる。(416)。測定された大きさまたは位相角の値の一方または両方が、基準測定によって確立された閾値を満たすか超えると、(418)制御システムはプローブのz移動を停止できる。(420)。
【0108】
検証データを取得して、プローブが表面に接触していることを確認できる。(422)。検証データの収集は、着面後のプローブからの電気的応答を受信することと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算することと、を含み得る。(424)。検証データは、プローブがターゲット表面に着面したことを確実に結論付けるのに十分な回数取得できる。(426)。検証に失敗した場合、プローブが持ち上げられ、プローブのX-Y位置が変更された後、プローブの着面処理が再開され得る。いくつかの実施形態では、検証が失敗した場合、CPB画像データを取得して、プローブの位置を視覚的に検査することができる。この画像ベースの検証は、この開示の範囲外である。
【0109】
プローブがDUTに着面したことが検証されたら、DUT試験を開始できる。DUT試験の例を
図6A~
図6Dおよび
図7A~
図7Dに示す。
図6A~
図6Dは、本開示の実施形態による例示的なNMOSデバイスについて、プローブを着面させ、DUT測定を行うための処理およびデータを示す。
図7A~
図7Dは、本開示の実施形態による例示的なPMOSデバイスについて、異なるプローブを着面させ、DUT測定を行うことを示す。
【0110】
図5Aは、本開示の実施形態による被試験デバイスに対するプローブ位置に対応する測定されたインピーダンスおよび位相角のグラフ表示である。グラフ上のドットは、Zとθとの値を表す。Zとθとの測定値は、プローブの着面および移動シーケンスを自動化できる制御システムに提供され得る。
図5は、プローブが表面の上からプローブが表面に接触するまでの移動に伴うインピーダンスの大きさおよび位相角の変化を示している。
図5では、試料を使用して経時的な大きさおよび位相角の平均をとっている。
図5では、0と時間t1との間で、プローブはDUTと接触していない。プローブがDUTに向かって移動している間、大きさが大きい。時間t1で、プローブが表面に接触すると、インピーダンスの大きさおよび位相角の急速な変化率が発生する。大きさおよび位相角は、t1からt2までの接触期間中、実質的に一定のままである。
【0111】
プローブがt2で持ち上げられると、別のインピーダンスの大きさおよび位相角の変化率が増加し、大きさおよび位相角の値が以前の非接触レベルに戻る。時間t3で、プローブは再び着面し、大きさおよび位相角に別の不連続性がある。
【0112】
図5Aはまた、ソフトな接触状況を示しており、時間t4でインピーダンスの大きさおよび位相角により小さい不連続性がある。しかし、測定された大きさおよび位相角のレベルは、ソフトな接触とハードな接触とで異なる(例えば、時間t4での大きさおよび位相角は、時間t1とは異なる)。プローブが接触後にzに下に移動すると(最初のより小さな不連続点)、大きさおよび位相角は、1つの突然の大きな不連続性とは対照的に、t4とt5との間で時間の経過とともに徐々に変化する。大きさおよび位相角は、t1での大きな不連続性と一致する時間t5の後に比較的一定のレベルに達する。時間t6で、プローブが再び持ち上げられる。
【0113】
時間t3とt4との間で、プローブが着面し、矢継ぎ早に持ち上げられ、インピーダンスの大きさおよび位相角がプローブのドリフト、熱効果、またはその他の条件によってどのように変化するかを示す。
【0114】
上記の処理は、1つまたは複数のプローブを着面させるために使用できる。例えば、複数のプローブを着面させると、さまざまなDUT試験シナリオが可能になる。
【0115】
図5Bは、本開示の実施形態による、計算されたインピーダンスの大きさの変化率が被試験デバイスの表面に対するプローブの先端位置をどのように示すかを示すグラフ表示500である。
図5Aと同様に、
図5Bは期間ごとに編成されている。t1~t2の期間中、プローブの先端は静止しているか、またはDUTに向かって移動している可能性がある。時間t2から始まると、インピーダンスの大きさの小さな変化率が観察され、プローブの先端がDUTの表面に近づいていることを示す。t2~t3の間のインピーダンスの大きさの変化率は、制御システムをトリガして、プローブが表面に近づくにつれてプローブの先端の速度を遅くすることができる。時間t3から始まると、インピーダンスの大きさの変化率は、期間t2~t3の間に計算された値と比較して増加する。t3~t4の間に増加するインピーダンスの大きさの変化率は、プローブの先端がt2~t3の期間よりもゆっくりと移動していることを示している可能性がある。プローブの先端は、時間t4で表面と接触する。これは、インピーダンスの大きさの非常に高い変化率として示されている。t5からt6にかけて、プローブの先端がDUTの表面に着面する。
【0116】
いくつかの実施形態では、着面中にプローブの先端にバイアスを加えて、信号測定におけるノイズに対処することができる。
【0117】
前に簡単に述べたように、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の測定値を使用して、プローブが着面したものの表面および材料を決定できる。誘電体と金属または半導体構造とを区別することで、プローブが正しい場所に着面したことを検証することに使用できる。
図6および
図7に示すように、NMOS構造とPMOS構造とも区別することができる。
【0118】
図6A~
図6Dは、本開示の実施形態によるn型金属酸化膜半導体(NMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示す画像およびグラフである。グラフ上のドットは、Zおよびθの値を表す。
図6Aは、複数のデバイスを含むチップ604上でホバリングするプローブ602を示す
図600である。着面ターゲット606は、NMOSデバイスのソース接点である。(この例のDUTは一般にNMOSデバイスであり、具体的にはNMOSデバイスのソース接点である)。
図6Bは、ソース接点606上にプローブ602を着面させる前後のNMOSソースのインピーダンスの大きさおよび位相角の計算を示す
図610である。図から分かるように、プローブをソース接点606に向かってz方向に移動する前に、データ点が収集される。時間t1において、プローブ602がDUTに向かって降下される。プローブ602がDUTに向かって移動する前および移動する時間中、大きさおよび位相角は、それぞれのトリガ値の外にある。時間t2において、プローブ602はソース接点606と接触する。
図6Cは、ソース接点606に着面したプローブ602を示す
図620である。時間t2において、大きさが低下し、トリガ値にすばやく交差し、位相角が増加し、トリガ値もすばやく交差することが分かる。大きさおよび位相角の不連続性は、プローブ602の動きを停止するための高速トリガを有利に提供する。
図5Aに示すように、大きさおよび位相角の不連続性は再現可能である。次いで、プローブ602を使用して、ソース接点を介してNMOSデバイスを試験することができる。これを
図6Dに示す。
図6Dは、NMOSソースに印加された電圧に応答するドレイン電流を示すグラフ630である。
【0119】
図7A~
図7Dは、本開示の実施形態によるp型金属酸化膜半導体(PMOS)デバイスソースプローブ着面および試験を示す画像およびグラフである。
図7Aは、複数のデバイスを含むチップ704上でホバリングするプローブ702を示す
図700である。着面ターゲット706は、PMOSデバイスのソース接点である。(この例のDUTは一般にPMOSデバイスであり、具体的にはPMOSデバイスのソース接点である)。
図7Bは、ソース接点706上にプローブ702を着面させる前後のPMOSソースのインピーダンスの大きさおよび位相角の計算を示す
図710である。図から分かるように、ソース接点706に向かってプローブをz方向に移動する前に、データ点が収集される。時間t1において、プローブ702はDUTに向かって降下される。プローブ702がDUTに向かって移動する前および移動中、大きさおよび位相角は、それぞれのトリガ値の外にある。時間t2において、プローブ702はソース接点706と接触する。
図7Cは、ソース接点706に着面したプローブ702を示す
図720である。時間t2で、大きさが低下し、トリガ値をすばやく超え、位相角が増加し、トリガ値もすばやく超えることが分かる。大きさおよび位相角の不連続性は、プローブ702の動きを停止するための高速トリガを有利に提供する。
図5Aに示すように、大きさおよび位相角の不連続性は再現可能である。次いで、プローブ702を使用して、ソース接点を介してPMOSデバイスを試験することができる。これを
図7Dに示す。
図7Dは、PMOSソースに印加された電圧に応答するドレイン電流を示すグラフ730である。
【0120】
いくつかの実施形態では、信号ノイズ、インピーダンスの大きさ、およびインピーダンス位相角を使用して、不連続性または着面検出前のアプローチの検出を達成することができる。このアプローチ検出を使用して、プローブの移動を遅くしてソフトな着面をさせることができる。
【0121】
図8は、本開示の実施形態による、プローブ先端プロファイルの変化によるインピーダンスバックグラウンド信号の変化のグラフ表示である。インピーダンスの大きさの計算からのバックグラウンド信号(および位相角は示されていないが)は、プローブの先端自体の幾何学的状態を示すことができる。新しい鋭利なプローブの先端など、曲率半径が小さいプローブの先端は、経時的に変化しない、または急速に変化しないインピーダンスバックグラウンド信号によって示される場合がある。曲率半径が大きいプローブの先端は、インピーダンスバックグラウンド信号の変化率が小さい可能性がある。また、損傷したプローブの先端(カールした先端や平らな先端など)は、大きな曲率半径または小さな曲率半径の先端に比べて、インピーダンスバックグラウンド信号の変化率が高くなる可能性がある。
【0122】
「例示的な」という言葉は、本明細書では、「例、実例、または例示として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載されている任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0123】
この文書内で使用されている「通信する」という用語は、送信、受信、または送信と受信との両方を含むことを意図している。これは、あるデバイスによって送信され、別のデバイスによって受信されるデータの構成を説明する際にクレームで特に役立つ場合があるが、クレームを侵害するには、これらのデバイスの1つの機能のみが必要である。同様に、2つのデバイス間のデータの双方向交換(両方のデバイスが交換中に送信および受信する)は、それらのデバイスの1つの機能のみが主張されている場合、「通信している」と記述される場合がある。ワイヤレス通信信号に関して本明細書で使用される「通信する」という用語は、ワイヤレス通信信号を送信すること、および/またはワイヤレス通信信号を受信することを含む。例えば、ワイヤレス通信信号を通信することができるワイヤレス通信ユニットは、ワイヤレス通信信号を少なくとも1つの他のワイヤレス通信ユニットに送信するためのワイヤレス送信機、および/または少なくとも1つの他のワイヤレス通信ユニットからワイヤレス通信信号を受信するためのワイヤレス通信受信機を含み得る。
【0124】
本書で使用されているように、別段の指定がない限り、共通の対象物を説明するために「第1」、「第2」、「第3」などの序数形容詞を使用することは、同様の対象物の異なるインスタンスが参照されていることを単に示しているに過ぎず、また、そのように説明された対象物が、時間的、空間的、ランク付け、または任意のその他の方法で特定の順序にある必要があることを意味するものではない。
【0125】
いくつかの実施形態は、さまざまなデバイスおよびシステム、例えば、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)デバイス、ハンドヘルドPDAデバイス、オンボードデバイス、オフボードデバイス、ハイブリッドデバイス、車載デバイス、非車載デバイス、モバイルまたはポータブルデバイス、コンシューマデバイス、非モバイルまたは非ポータブルデバイス、ワイヤレス通信ステーション、ワイヤレス通信デバイス、ワイヤレスアクセスポイント(AP:access point)、有線またはワイヤレスルーター、有線またはワイヤレスモデム、ビデオデバイス、オーディオデバイス、オーディオビデオ(A/V:audio-video)デバイス、有線または無線ネットワーク、無線エリアネットワーク、無線ビデオエリアネットワーク(WVAN:wireless video area network)、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)、無線LAN(WLAN:wireless LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN:personal area network)、無線PAN(WPAN:wireless PAN)、などとともに使用されてもよい。
【0126】
いくつかの実施形態は、一方向および/または双方向の無線通信システム、セルラー無線電話通信システム、携帯電話、セルラー電話、ワイヤレス電話、パーソナル通信システム(PCS:personal communication system)デバイス、ワイヤレス通信デバイスを組み込んだPDAデバイス、モバイルまたはポータブルの全地球測位システム(GPS:global positioning system)デバイス、GPS受信機またはトランシーバまたはチップを組み込んだデバイス、RFID要素またはチップを組み込んだデバイス、多入力多出力(MIMO:multiple input multiple output)トランシーバまたはデバイス、単入力多出力(SIMO:single input multiple output)トランシーバまたはデバイス、単入力単出力(SISO:single input single output)トランシーバまたはデバイス、多入力単出力(MISO:multiple input single output)トランシーバまたはデバイス、1つもしくは複数の内部アンテナおよび/または外部アンテナを有するデバイス、デジタルビデオブロードキャスト(DVB:digital video broadcast)デバイスまたはシステム、マルチスタンダードラジオデバイスまたはシステム、有線または無線ハンドヘルドデバイス、例えば、スマートフォン、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP:wireless application protocol)デバイスなどとともに使用されてもよい。
【0127】
本開示の特定の態様は、さまざまな実装形態によるシステム、方法、装置、および/またはコンピュータプログラム製品のブロック図およびフロー図を参照して上記で説明されている。ブロック図およびフロー図の1つまたは複数のブロック、ならびにブロック図およびフロー図のブロックの組み合わせは、それぞれ、コンピュータ実行可能プログラム命令によって実装され得ることが理解されるであろう。同様に、いくつかの実装形態によれば、ブロック図およびフロー図のいくつかのブロックは、必ずしも提示された順序で実行する必要がないか、または必ずしもまったく実行する必要がない場合がある。本開示の特定の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または、本明細書ではすべて一般的に「サービス」、「回路」、「回路機構」、「モジュール」、および/または「システム」と呼ばれ得るソフトウェアおよびハードウェアの側面を組み合わせた実施形態の形をとることができる。
【0128】
コンピュータ実行可能プログラム命令は、コンピュータ、プロセッサ、または他のプログラム可能なデータ処理装置で実行される命令が、フロー図の1つもしくは複数のブロックで指定された1つまたは複数の機能を実装するための手段を作成するように、専用コンピュータもしくは他の特定のマシン、プロセッサ、または他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、特定のマシンを生成することができる。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読記憶媒体に保存された命令が、フロー図の1つまたは複数のブロックで指定された1つまたは複数の機能を実装する命令手段を含む製品を生成するように、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の方法で機能させることができるコンピュータ可読記憶媒体またはメモリに保存することができる。例として、特定の実装形態は、コンピュータ可読プログラムコードまたはその中に実装されたプログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品を提供することができ、前記コンピュータ可読プログラムコードは、フロー図の1つまたは複数のブロックで指定された1つまたは複数の機能を実装するために実行されるように適合されている。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行される命令が、フロー図の1つまたは複数のブロックで指定された機能を実装するための要素またはステップを提供するように、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、一連の操作要素またはステップがコンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行され、コンピュータによって実施される処理を生成することができる。
【0129】
したがって、ブロック図およびフロー図のブロックは、指定された機能を実行するための手段の組み合わせ、指定された機能を実行するための要素またはステップの組み合わせ、および指定された機能を実行するためのプログラム命令手段をサポートする。ブロック図およびフロー図の各ブロック、ならびにブロック図およびフロー図のブロックの組み合わせは、指定された機能、要素、もしくはステップを実行する専用のハードウェアベースのコンピュータシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせによって実装できることも理解されるであろう。
【0130】
特に明記されていない限り、または使用されているコンテキスト内で別の方法で理解されている場合を除き、とりわけ、「できる」、「得る」、「かもしれない」、「してもよい」などの条件付き言語は、一般に、特定の機能、要素、および/または操作を、他の実装形態には含まれていない一方で、特定の実装形態には含まれている可能性があることを伝えることを目的としている。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、機能、要素、および/または操作が1つまたは複数の実装形態に何らかの形で必要であること、または1つもしくは複数の実装形態が、ユーザ入力またはプロンプトの有無にかかわらず、決定するためのロジックを必ず含むこと、これらの機能、要素、および/または操作が任意の特定の実装形態に含まれているかどうか、または実行されるかどうかを意味することを意図していない。
【0131】
本明細書に記載された開示の多くの修正および他の実装形態は、前述の説明および関連する図面に提示された教示の利益を有することは明らかであろう。したがって、開示は、開示された特定の実装形態に限定されるべきではなく、修正および他の実装形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは一般的で説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的として使用されているわけではない。
【0132】
以下の実施例は、本明細書による実施形態に関するものである。
【0133】
実施例1は、被試験デバイス(DUT)にプローブを着面させるための自動化された方法であり、本方法は、自動動作制御システムにより、DUTの上に導電性プローブを配置するステップと、信号測定回路によって、導電性プローブとDUTとの間に電気信号を印加するステップと、信号測定回路により、印加された電気信号からの電気的応答を測定するステップと、プロセッサによって、測定された電気的応答の値に基づいて、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算するステップと、自動動作制御システムにより、測定された電気的応答からインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し続けながら、導電性プローブをDUTに向かって移動させるステップと、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、導電性プローブがDUTに接触したことをプロセッサが決定するステップと、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、DUTに向かうプローブの移動を停止するために、プロセッサによって自動化された動作制御システムに信号を送るステップと、を含む。動作制御デバイスは、プローブが表面に接触したことを示すプロセッサからの信号の受信に基づいて、プローブを自動的に停止でき、このような表面接触の示しは、インピーダンスおよび/または位相の決定に基づく。
【0134】
実施例2は、実施例1に記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて導電性プローブがDUTに接触したことを決定するステップは、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率の変化をプロセッサによって決定するステップを含む。
【0135】
実施例3は、実施例1または2に記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、値、もしくは値の平均、基準からの所定量の変化、または絶対値との一致/交差を含む。
【0136】
実施例4は、実施例1~3のいずれかに記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から、または絶対的な測度、周波数、もしくはプロファイルとの一致/交差からのノイズ測定、周波数、またはプロファイルの変化を含む。
【0137】
実施例5は、実施例1~4のいずれかに記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から所定量変化する変化率、または絶対変化率と一致/交差する変化率を含む。
【0138】
実施例6は、実施例1~5のいずれかに記載の主題を含み得、DUTに対して電気的試験を実行するステップをさらに含む。
【0139】
実施例7は、実施例6に記載の主題を含み得、DUTの電気的試験が完了したことを決定するステップと、導電性プローブをDUTから分離するために動作制御デバイスに信号を送るステップと、プロセッサによって、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前述の変化に基づいて、導電性プローブがDUTから分離したことを決定するステップと、を含み得る。
【0140】
実施例8は、実施例7に記載の主題を含み得、試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定するステップと、導電性プローブを第2のDUTの上に配置するように動作制御デバイスに信号を送るステップと、をも含み得る。
【0141】
実施例9は、実施例8に記載の主題を含み得、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させるステップは、第2のDUTの座標を特定するステップと、第2のDUTの座標に基づいて、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させるステップと、をさらに含む。
【0142】
実施例10は、実施例8に記載の主題を含み得、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させるステップは、第2のDUTの座標を特定するステップと、第2のDUTの座標の変換に基づいて、第2のDUTを導電性プローブの下に配置させるステップと、を含む。
【0143】
実施例11は、実施例1~10のいずれかに記載の主題を含み得、受信したインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から、計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角と過去の値との比較に少なくとも部分的に基づいて、DUTの種類を決定するステップをも含み得る。
【0144】
実施例12は、実施例1~11のいずれかに記載の主題を含み得、DUTの試験が完了する前に、DUTの試験を停止するステップと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を測定するステップと、導電性プローブがDUTからドリフトまたは移動したことを決定するステップと、導電性プローブをDUT上に再配置するステップと、DUTの試験を完了するステップと、をも含み得る。
【0145】
実施例13は、実施例1~12のいずれかに記載の主題を含み得、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブとDUTとの間の近接を示すことを決定するステップと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から決定された導電性プローブとDUTとの間の近接に基づいて、DUTに向かう導電性プローブの運動速度を増加または減少させるように動作制御デバイスに信号を送るステップと、をも含み得る。
【0146】
実施例14は、実施例1~13のいずれかに記載の主題を含み得、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブの物理的形状を示すことを決定するステップと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値に基づいて、導電性プローブの物理的形状がDUTとの接触に適しているかどうかを決定するステップと、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持たない場合、処理を停止して中止するように動作制御デバイスに信号を送るステップ、または、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持っている場合、DUTに向かってプローブを移動し続けるように動作制御デバイスに信号を送るステップと、をも含み得る。
【0147】
実施例15は、システムであって、アクチュエータを含み、導電性プローブを固定するためのナノプローバと、導電性プローブに電気的に結合された信号測定回路であって、導電性プローブに信号を印加して試料から信号を受信する、または試料に信号を印加して導電性プローブから信号を受信する、信号測定回路と、信号測定回路から受信した情報に基づいてナノプローバアクチュエータを動かす動作制御システムと、ハードウェアプロセッサであって、信号測定回路からの情報が、導電性プローブの目的の表面への近接を示していることを決定し、信号測定回路からの情報が導電性プローブの適合性または品質を示すことを決定し、信号測定回路からの情報が、導電性プローブが目的の表面に着面したことを示していることを決定し、導電性プローブが目的の表面に着面したことを示していることに基づいて、ナノプローバ位置決め装置の移動を停止するように動作制御システムに信号を送る、ハードウェアプロセッサと、を備える、システムである。
【0148】
実施例16は、実施例15に記載の主題を含み得、動作制御システムは、信号測定回路が電気情報を受信し、受信した電気情報に基づいてプロセッサがインピーダンスの大きさおよび電圧と電流との間の位相角を計算している間、導電性プローブをDUTに向かって降下させる。
【0149】
実施例17は、実施例16に記載の主題を含み得、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が、導電性プローブの先端のDUTへの近接を表していることを決定し、DUTへの近接に基づいて、導電性プローブの移動速度を変更するために動作制御システムに信号を送る。
【0150】
実施例18は、実施例16に記載の主題を含み得、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が、使用できないプローブの先端をDUTに着面させることを示していることを決定し、導電性プローブのDUTに向かう移動を停止し、着面を中止するよう動作制御システムに信号を送る。
【0151】
実施例19は、実施例16に記載の主題を含み得、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が閾値を満たすか超えるか、または計算された基準からの挙動のその他の変化を決定し、インピーダンスの大きさまたは電圧値と電流値との間の位相角が閾値を満たすか超えるか、または計算された基準からの挙動の任意のその他の変化に基づいて、導電性プローブがDUTに接触したことを決定し、導電性プローブのDUTに向かう移動を停止するように動作制御システムに信号を送る。
【0152】
実施例20は、実施例15~19のいずれかに記載の主題を含み得、プロセッサは、保存された情報に基づいてDUTが何であるかを決定し、DUTが何であるかに基づいて、信号測定回路を介してDUTの電気的試験を実行する。
【0153】
実施例21は、実施例20に記載の主題を含み得、プロセッサは、DUTの電気的試験が完了したことを決定し、導電性プローブをDUTから持ち上げるか、またはDUTを導電性プローブから離すように動作制御デバイスに信号を送る。
【0154】
実施例22は、実施例21に記載の主題を含み得、プロセッサは、試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定し、第2のDUTの位置を特定し、導電性プローブの先端が第2のDUTの上にくるように、第2のDUTを支持する試料台と導電性プローブの先端との一方または両方を移動させることができる。
【0155】
実施例23は、実施例22に記載の主題を含み得、プロセッサは、第2のDUTの座標を特定し、第2のDUTの座標に基づいて、第2のDUTの上に導電性プローブを配置するように動作制御システムに信号を送るか、または荷電粒子ビーム(CPB:charged particle beam)デバイスの原点の下にDUTを配置するように動作制御システムに信号を送る。
【0156】
実施例24は、実施例23に記載のシステムを含み得、プロセッサは、第2のDUTの座標を特定し、第2のDUTの座標の変換に基づいて、第2のDUTの上に導電性プローブを配置するように動作制御システムに信号を送る。
【0157】
実施例25は、実施例15~24のいずれかに記載の主題を含み得、プロセッサは、受信したインピーダンスの大きさの値および/または電圧値と電流値との間の位相角から、計算された電気情報と過去の値との比較に基づいてDUTの種類を決定する。
【0158】
実施例26は、実施例15~25のいずれかに記載の主題を含み得、プロセッサは、DUTの電気的試験が完了する前に、DUTの電気的試験を停止し、信号測定回路を介して受信した電流を介して、インピーダンスの大きさの値および/または電圧と電流との間の位相角を決定し、導電性プローブがDUTからドリフトまたは移動したことを決定し、導電性プローブをDUT上に再配置するよう動作制御システムに信号を送り、DUTの電気的試験を完了する。
【0159】
実施例27は、システムであり、システムは、導電性プローブを固定するナノプローバシステムと、動作制御システムと、信号を導電性プローブに印加して試料から信号を受信するか、または信号を試料に印加してプローブから信号を受信する信号測定回路と、信号測定回路から受信した情報に基づいてナノプローバ位置決め装置を動かす動作制御システムと、ハードウェアプロセッサであって、動作制御システムによってDUTの上に導電性プローブを配置し、導電性プローブとDUTとの間に電気信号を印加し、印加された電気信号からの電気的応答を測定し、プロセッサによって、測定された電気的応答値に基づいて、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し、動作制御デバイスによって、測定された電気的応答からインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を計算し続けながら、導電性プローブをDUTに向かって移動させ、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、導電性プローブがDUTに接触したことをプロセッサが決定し、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて、DUTに向かうプローブの移動を停止するように、プロセッサによって動作制御デバイスに信号を送る、ハードウェアプロセッサと、を含む。
【0160】
実施例28は、実施例27に記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化に基づいて導電性プローブがDUTに接触したことを決定することは、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化率の変化をプロセッサによって決定することを含む。
【0161】
実施例29は、実施例27または28に記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、値、もしくは値の平均、基準からの所定量の変化、または絶対値との一致/交差を含む。
【0162】
実施例30は、実施例27~29のいずれかに記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から、または絶対的な測度、周波数、もしくはプロファイルとの一致/交差からのノイズ測度、周波数、またはプロファイルの変化を含む。
【0163】
実施例31は、実施例27~30のいずれかに記載の主題を含み得、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の変化は、基準から所定量変化する変化率、または絶対変化率と一致/交差する変化率を含む。
【0164】
実施例32は、実施例27~31のいずれかに記載の主題を含み得、DUTに対して電気的試験を実行することをも含み得る。
【0165】
実施例33は、実施例32に記載の主題を含み得、DUTの電気的試験が完了したと決定することと、導電性プローブをDUTから分離するために動作制御デバイスに信号を送ることと、プロセッサによって、計算されたインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値の前述の変化に基づいて、導電性プローブがDUTから分離したことを決定することと、をも含み得る。
【0166】
実施例34は、実施例33に記載の主題を含み得、試験計画に基づいて、試験する第2のDUTを決定することと、導電性プローブを第2のDUTの上に配置するように動作制御デバイスに信号を送ることと、をも含み得る。
【0167】
実施例35は、実施例34に記載の主題を含み得、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させることは、第2のDUTの座標を特定することと、第2のDUTの座標に基づいて、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させることと、を含む。
【0168】
実施例36は、実施例34に記載の主題を含み得、導電性プローブを第2のDUTの上に配置させることは、第2のDUTの座標を特定することと、第2のDUTの座標の変換に基づいて、第2のDUTを導電性プローブの下に配置させることと、を含む。
【0169】
実施例37は、実施例27~36のいずれかに記載の主題を含み得、受信したインピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から、計算されたインピーダンスの大きさおよび位相角と過去の値との比較に少なくとも部分的に基づいて、DUTの種類を決定することをも含み得る。
【0170】
実施例38は、実施例27~37のいずれかに記載の主題を含み得、DUTの試験が完了する前に、DUTの試験を停止することと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値を測定することと、導電性プローブがDUTからドリフトまたは移動したことを決定することと、導電性プローブをDUTに再配置することと、DUTの試験を完了することと、をも含み得る。
【0171】
実施例39は、実施例27~38のいずれかに記載の主題を含み得、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブとDUTとの間の近接を示すことを決定することと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値から決定された導電性プローブとDUTとの間の近接に基づいて、DUTに向かう導電性プローブの運動速度を増加または減少させるように動作制御デバイスに信号を送ることと、をも含み得る。
【0172】
実施例40は、実施例27~39のいずれかに記載の主題を含み得、プロセッサによって、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値が導電性プローブの物理的形状を示すことを決定することと、インピーダンスの大きさの値および/または位相角の値に基づいて、導電性プローブの物理的形状がDUTとの接触に適しているかどうかを決定することと、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持たない場合、処理を停止して中止するように動作制御デバイスに信号を送ること、または、導電性プローブがDUTと接触するための物理的形状を持っている場合、DUTに向かってプローブを移動し続けるように動作制御デバイスに信号を送ることと、をも含み得る。
【符号の説明】
【0173】
100、150 自動プローブ着面システム
102 荷電粒子ビームシステム(CPBシステム)
104 真空チャンバ
106 CPB撮像カラム
108 電子検出器
110 試料台
112、112a~112d ナノプローバ
114、602、702 プローブ
116 真空パススルー
118 信号測定回路
120 コンピュータシステム
122 動作制御システム
124 試料
126 戻り線
154 取り付けリング
202 粗位置決め装置
204 精密位置決め装置
604、704 チップ
606、706 ソース接点、着面ターゲット
【外国語明細書】