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特開2023-118122ポリイミド前駆体組成物およびそれを用いて製造されたポリイミドフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118122
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ポリイミド前駆体組成物およびそれを用いて製造されたポリイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20230817BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20230817BHJP
   C09D 179/08 20060101ALI20230817BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20230817BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230817BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20230817BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20230817BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230817BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C08G73/10
C08L79/08 A
C09D179/08 A
C09D7/20
B05D7/24 302X
B32B27/34
B32B17/10
C08J5/18 CFG
C08K5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020367
(22)【出願日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0018641
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0018678
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ユン チョル ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム チュン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒェ ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン ク
【テーマコード(参考)】
4D075
4F071
4F100
4J002
4J038
4J043
【Fターム(参考)】
4D075CB06
4D075DB13
4D075DC24
4D075EB39
4F071AA60
4F071AF30Y
4F071AF45Y
4F071AF54Y
4F071AH12
4F071BA02
4F071BB02
4F071BC01
4F071BC12
4F100AG00B
4F100AK49A
4F100BA02
4F100CC00A
4F100DH00B
4F100EH46A
4F100EJ08A
4F100GB41
4F100JL04
4F100JN01
4J002CM041
4J002EE026
4J002EP016
4J002FD020
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD130
4J002GH00
4J002GP00
4J002GQ00
4J002HA03
4J038DJ021
4J038GA15
4J038KA06
4J038KA10
4J038MA14
4J038NA01
4J038NA12
4J038NA13
4J038PB08
4J038PC03
4J043PA01
4J043PA02
4J043PA04
4J043PA08
4J043PC035
4J043PC145
4J043QB15
4J043QB26
4J043RA05
4J043RA34
4J043SA06
4J043SA42
4J043SA44
4J043SA47
4J043SA54
4J043SA85
4J043SB01
4J043SB03
4J043TA22
4J043TA32
4J043UA131
4J043UB012
4J043UB162
4J043UB401
4J043VA021
4J043VA022
4J043VA062
4J043WA09
4J043XA03
4J043XA13
4J043XA16
4J043XA19
4J043XB02
4J043XB27
4J043YA06
4J043YA13
4J043YA14
4J043ZA21
4J043ZA23
4J043ZA31
4J043ZA51
4J043ZA52
4J043ZA60
4J043ZB03
4J043ZB11
4J043ZB21
4J043ZB47
4J043ZB51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱膨張-収縮挙動を緩和可能なポリイミドフィルムを製造することができるポリイミド前駆体組成物を提供する。
【解決手段】シロキサン構造を含むポリイミド前駆体と、分配係数(log P)が負数である溶媒と、を含むポリイミド前駆体組成物に関し、一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を用いて、熱膨張-収縮挙動が緩和されることでカールの発生が最小化されたポリイミドフィルムを製造することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位を含むポリイミド前駆体と、
分配係数(log P)が負数である溶媒と、を含む、ポリイミド前駆体組成物。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-5アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-10アリールであり、
およびLは、それぞれ独立して、C1-10アルキレンであり、および
xおよびyは、それぞれ独立して、1以上の整数である。
【請求項2】
前記RおよびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-3アルキルであり、
前記RおよびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-8アリールであり、および
前記LおよびLは、それぞれ独立して、C1-5アルキレンである、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項3】
前記化学式1の構造が下記化学式2の構造である、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
[化学式2]
【化2】
前記化学式2中、
およびLは、それぞれ独立して、C1-10アルキレンであり、および
xおよびyは、それぞれ独立して、1以上の整数である。
【請求項4】
前記分配係数が負数である溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N-エチルピロリドン(NEP)、およびメチルピロリドン(NMP)の中から選択される1種以上の溶媒である、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項5】
前記ポリイミド前駆体組成物は、分配係数が正数である溶媒をさらに含む、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項6】
前記分配係数が正数である溶媒は、シクロヘキサノン(CHN)、N,N-ジエチルプロパンアミド(DEPA)、N,N-ジエチルアセトアミド(DEAc)、およびN,N-ジエチルホルムアミド(DEF)の中から選択される1種以上の溶媒である、請求項5に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項7】
前記ポリイミド前駆体組成物は、分配係数が負数である溶媒と分配係数が正数である溶媒との混合溶媒を含み、前記混合溶媒の分配係数が負数である、請求項5に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項8】
前記混合溶媒は、分配係数が負数である溶媒と分配係数が正数である溶媒が5:5~9.5:0.5の質量比で混合されたものである、請求項7に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項9】
前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位は、前記ポリイミド前駆体の総重量に対して20重量%以上で含まれる、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項10】
前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位は、前記ポリイミド前駆体に含まれるジアミンから誘導された単位の総重量に対して30重量%以上で含まれる、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項11】
前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンは、分子量が3000g/mol以上である、請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のポリイミド前駆体組成物の硬化物を含むポリイミドフィルム。
【請求項13】
前記ポリイミドフィルムは、熱重量分析(Thermal Gravimetric Analysis、TGA)時に、初期重量と対比して1%重量が減少する温度が390℃以下であり、
ASTM D1003規格に準じて測定されたヘイズが0.2%以下である、請求項12に記載のポリイミドフィルム。
【請求項14】
熱重量分析時に、初期重量と対比して1%重量が減少する温度が330℃~390℃である、請求項12に記載のポリイミドフィルム。
【請求項15】
熱重量分析時に、600℃での重量減少率が60%以上である、請求項12に記載のポリイミドフィルム。
【請求項16】
下記化学式1で表される構造を含む酸無水物またはジアミンを、分配係数が負数である溶媒を含む溶媒と反応させるステップを含む、ポリイミド前駆体組成物の製造方法。
[化学式1]
【化3】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-5アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-10アリールであり、
およびLは、それぞれ独立して、C1-10アルキレンであり、および
xおよびyは、それぞれ独立して、1以上の整数である。
【請求項17】
前記溶媒は、分配係数が正数である溶媒をさらに含む混合溶媒である、請求項16に記載のポリイミド前駆体組成物の製造方法。
【請求項18】
前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、
分配係数が負数である溶媒と分配係数が正数である溶媒との混合溶媒下で、前記化学式1で表される構造を含む酸無水物またはジアミンを含む単量体を反応させてポリアミック酸溶液を製造するステップを含む、請求項17に記載のポリイミド前駆体組成物の製造方法。
【請求項19】
前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、
分配係数が負数である溶媒下で、前記化学式1で表される構造を含む酸無水物またはジアミンを含む単量体を反応させてポリアミック酸溶液を製造するステップと、
分配係数が正数である溶媒を添加するステップと、を含む、請求項17に記載のポリイミド前駆体組成物の製造方法。
【請求項20】
請求項12に記載のポリイミドフィルムを含むフレキシブルカバーウィンドウ。
【請求項21】
請求項1~11のいずれか一項に記載のポリイミド前駆体組成物を含む超薄型強化ガラス(Ultra thin glass、UTG)コーティング用組成物。
【請求項22】
超薄型強化ガラスの一面または両面に、請求項21に記載の超薄型強化ガラスコーティング用組成物がコーティングされた超薄型強化ガラス多層構造体。
【請求項23】
超薄型強化ガラスの一面または両面に、請求項12に記載のポリイミドフィルムを含む超薄型強化ガラス多層構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリイミド前駆体組成物、その製造方法、それを用いて製造されたポリイミドフィルム、およびフレキシブルカバーウィンドウに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、ディスプレイ装置の基板およびカバーウィンドウなどの素材として、強化ガラスを代替可能な次世代素材として注目されている。フィルムをディスプレイ装置に適用するためには、固有の黄色度特性を改善し、無色透明な性能を与えることが必須であり、さらに、フォルダブルまたはフレキシブルディスプレイ装置に適用可能にするためには、機械的物性の向上が伴わなければならないため、ディスプレイ装置用ポリイミドフィルムの要求性能が次第に高度化している。
【0003】
特にユーザが望むときに曲げたり折り畳んだりできるフレキシブルディスプレイ装置は、外部衝撃または曲がったり折り畳まれたりする過程で容易に割れないように柔軟な構造に設計されることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、熱膨張-収縮挙動を緩和可能なポリイミドフィルムを製造することができるポリイミド前駆体組成物を提供する。
他の一実施形態は、前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法を提供する。
【0005】
また他の一実施形態は、前記ポリイミド前駆体組成物の硬化物を含むポリイミドフィルムおよびそれを含むフレキシブルカバーウィンドウを提供する。
さらに他の一実施形態は、前記ポリイミド前駆体組成物を含む超薄型強化ガラスコーティング用組成物を提供する。
【0006】
さらに他の一実施形態は、超薄型強化ガラスの一面または両面に、前記超薄型強化ガラスコーティング用組成物がコーティングされた超薄型強化ガラス多層構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、下記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位を含むポリイミド前駆体と、
分配係数(log P)が負数である溶媒と、を含む、ポリイミド前駆体組成物を提供する。
【0008】
[化学式1]
【化1】
【0009】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-5アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-10アリールであり、
およびLは、それぞれ独立して、C1-10アルキレンであり、および
xおよびyは、それぞれ独立して、1以上の整数であってもよい。
【0010】
他の一実施形態は、前記化学式1で表される構造を含む酸無水物またはジアミンを、分配係数が負数である溶媒を含む溶媒と反応させるステップを含む、ポリイミド前駆体組成物の製造方法を提供する。
【0011】
また他の一実施形態は、前記ポリイミド前駆体組成物の硬化物を含むポリイミドフィルムを提供する。
さらに他の一実施形態は、前記ポリイミドフィルムを含むフレキシブルカバーウィンドウを提供する。
さらに他の一実施形態は、前記ポリイミド前駆体組成物を含む超薄型強化ガラスコーティング用組成物を提供する。
【0012】
さらに他の一実施形態は、超薄型強化ガラスの一面または両面に、前記超薄型強化ガラスコーティング用組成物がコーティングされた超薄型強化ガラス多層構造体を提供する。
さらに他の一実施形態は、超薄型強化ガラスの一面または両面に、前記ポリイミドフィルムを含む超薄型強化ガラス多層構造体を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本開示は、シロキサン構造を含むポリイミド前駆体と、分配係数(log P)が負数である溶媒と、を含むポリイミド前駆体組成物に関し、一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を用いて、熱膨張-収縮挙動が緩和されることでカールの発生が最小化されたポリイミドフィルムを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されない。また、特許請求の範囲により限定される保護範囲を制限しようとするものでもない。
【0015】
また、本発明の説明で用いられる技術用語および科学用語は、他の定義がなければ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有してもよい。
【0016】
本発明を記述する明細書の全般にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味し得る。
【0017】
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合または共重合を意味し得る。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「Aおよび/またはB」とは、AおよびBを同時に含む態様を意味してもよく、AおよびBの中から択一された態様を意味してもよい。
【0018】
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「重合体」は、オリゴマー(oligomer)および重合体(polymer)を含んでもよく、単独重合体および共重合体を含んでもよい。前記共重合体は、ランダム共重合体(random copolymer)、ブロック共重合体(block copolymer)、グラフト共重合体(graft copolymer)、交互共重合体(alternating copolymer)、またはグラジエント共重合体(gradient copolymer)、またはこれらを全て含んでもよい。
【0019】
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「ポリアミック酸」は、アミック酸(amic acid)モイエティを有する構造単位を含む重合体を意味し、「ポリイミド」は、イミドモイエティを有する構造単位を含む重合体を意味し得る。
【0020】
以下、本明細書において、特に定義しない限り、ポリイミドフィルムは、ポリイミドを含むフィルムであってもよく、具体的に、ジアミン化合物溶液に酸無水物化合物を溶液重合してポリアミック酸を製造した後にイミド化することで製造される高耐熱性フィルムであってもよい。
【0021】
以下、本明細書において、特に定義しない限り、層、膜、薄膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上部に」存在するとする際、これは、他の部分の「真上に」存在する場合だけでなく、その間にまた他の部分が存在する場合も含む。
【0022】
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子が置換基で置換されたことを意味し、例えば、前記置換基は、重水素、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C2-30アルキニル基、C6-30アリール基、C7-30アリールアルキル基、C1-30アルコキシ基、C1-20ヘテロアルキル基、C3-20ヘテロアリールアルキル基、C3-30シクロアルキル基、C3-15シクロアルケニル基、C6-15シクロアルキニル基、C2-30ヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0023】
超薄型強化ガラス(Ultra thin glass、UTG)は、ディスプレイ装置用カバーウィンドウに用いられる強化ガラス素材部品であり、UTG上の耐飛散コーティングのためにポリイミドフィルムをコーティングする方法が知られているが、UTGとポリイミド膜との熱膨張係数(Thermal expansion coefficient)の差により、乾燥ステップでフィルムにカールが発生する問題が解決されていない。一実施形態においては、ポリイミド前駆体分子内にStress relaxation segmentを導入し、UTG上にコーティングした際にカール現象を最小化することができるポリイミド前駆体およびそれを含む組成物を提供する。
【0024】
一実施形態は、下記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンから誘導された単位を含むポリイミド前駆体と、
分配係数(partition coefficient、log P)が負数である溶媒と、含む、ポリイミド前駆体組成物を提供する。
【0025】
[化学式1]
【化2】
【0026】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-5アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-10アリールであり、
およびLは、それぞれ独立して、C1-10アルキレンであり、および
xおよびyは、それぞれ独立して、1以上の整数であってもよい。
【0027】
一実施形態において、前記RおよびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-3アルキル、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-2アルキル、または非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたメチルであってもよい。また、前記RおよびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-8アリール、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-6アリール、または非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたフェニルであってもよい。また、前記LおよびLは、それぞれ独立して、C1-5アルキレン、C2-5アルキレン、またはプロピレンであってもよい。前記1種以上のハロゲンで置換されたアルキルまたはアリールは、I、Br、Cl、および/またはFから選択される1種以上のハロゲンが1個以上置換されたものであってもよい。
【0028】
一実施形態において、前記xおよびyは、それぞれ独立して、1~50、1~30、または1~20であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、例えば、xとyの和を100とするとき、xが1~99であり、yが99~1であるか、またはxが10~90であり、yが90~10であってもよい。
【0029】
一実施形態において、前記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンは、下記化学式2のジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン(dimethylsiloxane-diphenylsiloxane、DMS-DPS)構造を含む酸無水物および/またはジアミンであってもよい。
【0030】
[化学式2]
【化3】
【0031】
一実施形態において、前記化学式1の構造を含む単位は、ジアミンから誘導されたものであってもよく、前記化学式1の構造を含むジアミンの一例としては、下記構造を有するShin-etsu社製のX-22-1660B-3が挙げられる。
【0032】
【化4】
【0033】
この際、前記a、bは、それぞれ独立して、1以上の整数であるか、または1~50、1~30、または1~20であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、例えば、aとbの和を100とするとき、aが1~99であり、bが99~1であるか、またはaが10~90であり、bが90~10であってもよい。
【0034】
一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、前記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンから誘導された単位を含むことで、それを超薄型強化ガラスにコーティングした際に、異種層間の熱的特性差によるカール現象を最小化することができる。
【0035】
一実施形態において、前記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンから誘導された単位は、ポリイミド前駆体の総重量(例えば、ジアミンおよび酸無水物単量体の総重量)に対して20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、30重量%~70重量%、30重量%~60重量%、30重量%~55重量%、30重量%~50重量%、35重量%~60重量%、35重量%~55重量%、35重量%~50重量%、40重量%~60重量%、40重量%~55重量%、または40重量%~50重量%で含まれてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0036】
一実施形態において、前記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンから誘導された単位は、ポリイミド前駆体組成物に含まれるジアミンから誘導された単位の総重量に対して30重量%以上で含まれてもよい。または、例えば、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、40重量%~90重量%、または50重量%~80重量%で含まれてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0037】
一実施形態において、前記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンは、分子量が3000g/mol以上、3500g/mol以上、4000g/mol以上、3000g/mol~5500g/mol、3500g/mol~5000g/mol、または4000g/mol~5500g/molであってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0038】
一実施形態において、前記log Pが負数である溶媒は、log Pが負数である溶媒のみを含む溶媒だけでなく、log Pが負数である溶媒およびlog Pが正数である溶媒の両方を含むとしても、混合溶媒の総log P値が負数である溶媒も含まれてもよい。
【0039】
一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、前記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンから誘導された単位を含み、log Pが負数である溶媒を含むことで、それを超薄型強化ガラスにコーティングした際に、カール現象を最小化可能でありながらも、優れた光学的物性、例えば、低いヘイズを実現可能である。
【0040】
一例として、前記log Pが負数である溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルプロパンアミド(DMPA)、N-エチルピロリドン(NEP)、およびメチルピロリドン(NMP)のうち1種以上の溶媒を含んでもよく、N,N-ジエチルプロパンアミド(DEPA)、N,N-ジエチルアセトアミド(DEAc)、シクロヘキサノン(CHN)、およびN,N-ジエチルホルムアミド(DEF)の中から選択される1種以上の溶媒をさらに含んでもよい。
【0041】
一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、log Pが正数である溶媒をさらに含んでもよい。前記log Pが正数である溶媒は、例えば、シクロヘキサノン(CHN)、N,N-ジエチルプロパンアミド(DEPA)、N,N-ジエチルアセトアミド(DEAc)、およびN,N-ジエチルホルムアミド(DEF)の中から選択される1種以上であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0042】
前記log Pは、ACD/Labs社製のACD/Percepta platformのACD/logP moduleを用いて計算してもよく、ACD/logP moduleは、分子の2D構造を用いて、QSPR(Quantitative Structure-Property Relationship)方法論ベースのアルゴリズムを用いて測定したものであってもよい。前記ACD/Labs社製のプログラムの3個のモデル(Classic、GALAS、Consensus)で前記溶媒のlog P値を測定した結果値を下記表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
一実施形態において、前記log Pが負数である溶媒は、ACD/Labs社製のlog Pの測定方法により計算されたlog P値が、例えば、-2.00~-0.01、-1.50~-0.01、または-1.00~-0.05であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。また、前記log Pが正数である溶媒は、ACD/Labs社製のlog Pの測定方法により計算されたlog P値が、例えば、0.01~2.00、0.01~1.5、0.05~1.0、または0.1~1.0であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0045】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物に含まれる溶媒は、log Pが負数である溶媒と正数である溶媒との混合溶媒であってもよい。この際、前記混合溶媒は、ACD/Labs社製のlog Pの測定方法により計算されたlog Pが負数であってもよい。例えば、一実施形態に採用されたPGMEとCHNとの混合溶媒の場合、組成比(重量比)に応じて下記表2のようなlog P値を示すことができる。
【0046】
【表2】
【0047】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物に含まれる溶媒は、log Pが負数である溶媒と正数である溶媒との混合溶媒である場合、前記log Pが負数である溶媒と正数である溶媒の質量比は5:5~9.5:0.5であってもよい。または、前記質量比は5:5~9:1、6:4~9:1、6.5:3.5~9:1、7:3~9:1、または7.5:2.5~8.5:1.5であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0048】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物に含まれる溶媒は、少なくとも1つ、具体的に、1個以上、2個以上、3個以上、または1個~3個のヒドロキシ基(-OH)を分子内に含んでもよい。または、前記溶媒は、エーテル基(-O-)およびオキソ基(=O)のうちいずれか1つ以上を含む溶媒であってもよい。
【0049】
一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、log Pが負数である溶媒および正数である溶媒の両方を含む場合、組成物(溶液)の均一性を著しく高めて白濁現象、相分離現象を改善することができ、これにより、無色透明なポリイミドフィルムを製造することができる。また、前記log Pが負数である溶媒および正数である溶媒の両方を用いることで、ポリイミドフィルムを基板にコーティングした場合に異種層間の熱的特性差によるカール現象を最小化することができる。
【0050】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物は、当該分野で通常用いられるジアミンから誘導された単位を含んでもよい。例えば、前記ジアミンから誘導された単位は、芳香族ジアミンから誘導された単位を含んでもよく、前記芳香族ジアミンは、少なくとも1つの芳香族環を含む二無水物であってもよく、前記芳香族環は、単環であるか、2個以上の芳香族環が縮合した縮合環であるか、または2個以上の芳香族環が単結合、置換もしくは非置換のC1-10アルキレン基、またはOまたはC(=O)により連結された非縮合環であってもよい。例えば、前記ジアミンから誘導された単位は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジジン(TFMB)、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4BDAF)、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン(6FAP)、4,4’-オキシジアニリン(ODA)、p-フェニレンジアミン(pPDA)、m-フェニレンジアミン(mPDA)、p-メチレンジアニリン(pMDA)、m-メチレンジアニリン(mMDA)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(144APB)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(4,4’-DDS)、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(3DDS)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(6HMDA)、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上の芳香族ジアミンから誘導された単位を含んでもよく、これに制限されない。
【0051】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物は、当該分野で通常用いられる酸無水物から誘導された単位を含んでもよい。例えば、前記酸無水物は、芳香族環を含む酸無水物、脂肪族環を含む酸無水物、テトラカルボン酸二無水物、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。一実施形態において、前記酸無水物は、エチレングリコールビス(4-トリメリット酸無水物)(TMEG)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’-(4,4’-イソプロピルビフェノキシ)ビフタル酸無水物(BPADA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、2,2-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、p-フェニレンビストリメリット酸モノエステル無水物(TMHQ)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(ESDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上の酸無水物であってもよい。
【0052】
例えば、前記酸無水物は、下記化学式3または化学式4で表される化合物であってもよい。
【0053】
[化学式3]
【化5】
【0054】
前記化学式3中、
は、それぞれ独立して、C3-10脂肪族環またはC4-10芳香族環であり、Yは、単結合、置換もしくは非置換のC1-20脂肪族鎖、置換もしくは非置換のC3-10脂肪族環、および/または置換もしくは非置換のC4-10芳香族環を含むリンカーであってもよい。具体的に、Yは、C1-20アルキレン、C1-10アルキレン、C1-5アルキレン、C3-10シクロアルキレン、C4-10アリーレン、C1-20アルキレンにより連結された2個以上のC3-10シクロアルキレン、C1-20アルキレンにより連結された2個以上のC4-10アリーレンを含んでもよい。
【0055】
[化学式4]
【化6】
【0056】
前記化学式4中、
は、それぞれ独立して、C3-10脂肪族環またはC4-10芳香族環であり、Yは、単結合、置換もしくは非置換のC1-20脂肪族鎖、置換もしくは非置換のC3-10脂肪族環、および/または置換もしくは非置換のC4-10芳香族環を含むリンカーであってもよい。具体的に、Yは、C1-20アルキレン、C1-10アルキレン、C1-5アルキレン、C3-10シクロアルキレン、C4-10アリーレン、C1-20アルキレンにより連結された2個以上のC3-10シクロアルキレン、C1-20アルキレンにより連結された2個以上のC4-10アリーレンを含んでもよい。
【0057】
具体的に、前記酸無水物は、下記化学式で表される化合物群のうちいずれか1つ以上であってもよい。
【化7】
【0058】
一実施形態において、ポリイミド前駆体組成物の固形分含量は、ポリイミド前駆体組成物の総重量を基準として40重量%以下、10重量%~40重量%、35重量%以下、30重量%以下、または20重量%~40重量%であってもよい。ここで、固形分は、ポリアミック酸および/またはポリイミドであってもよい。
【0059】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体および/またはポリイミドの分子量は500g/mol~200,000g/mol、または10,000g/mol~100,000g/molであってもよく、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0060】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物は、当該分野で通常用いられる添加剤をさらに含んでもよく、例えば、難燃剤、接着力向上剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、または可塑剤をさらに含んでもよい。
【0061】
以下、一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物の製造方法を説明する。
一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物の製造方法は、下記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンを含む単量体を、分配係数(log P)が負数である溶媒を含む溶媒と反応させるステップを含んでもよい。
【0062】
この際、前記化学式1の構造を含む酸無水物および/またはジアミンは、ポリイミド前駆体の総重量(例えば、ジアミンおよび酸無水物単量体の総重量)に対して20重量%以上で用いられてもよい。
【0063】
[化学式1]
【化8】
【0064】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC1-5アルキルであり、
およびRは、それぞれ独立して、非置換もしくは1種以上のハロゲンで置換されたC4-10アリールであり、
およびLは、それぞれ独立して、C1-10アルキレンであり、および
xおよびyは、それぞれ独立して、1以上の整数であってもよい。
前記R、R、R、R、L、L、x、およびyについては、ポリイミド前駆体組成物に関して上述した内容を同様に適用することができる。
【0065】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、前記溶媒に溶解させるステップ後に、酸無水物を添加してポリアミック酸を製造するステップをさらに含んでもよい。
一実施形態において、前記溶媒は、log Pが正数である溶媒をさらに含む混合溶媒であってもよい。
【0066】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、2つの反応条件により行われてもよい。具体例を挙げると、一実施形態に係る前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、分配係数が負数である溶媒と分配係数が正数である溶媒との混合溶媒下で、前記化学式1で表される構造を含む酸無水物および/またはジアミンを含む単量体を反応させてポリアミック酸溶液を製造するステップを含んでもよい(1 step)。
【0067】
または、一実施形態に係る前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、分配係数が負数である溶媒下で、前記化学式1で表される構造を含む酸無水物および/またはジアミンを含む単量体を反応させてポリアミック酸溶液を製造するステップと、分配係数が正数である溶媒を添加するステップ(例えば、希釈ステップ)と、を含んでもよい(2 step)。
【0068】
したがって、前記分配係数が負数である溶媒と正数である溶媒とを混合溶媒として採用してもよく、または、分配係数が負数である溶媒下で先に反応した後、分配係数が正数である溶媒を希釈溶媒として用いるか、または分配係数が正数である溶媒下で先に反応した後、分配係数が負数である溶媒を希釈溶媒として用いてもよい。
【0069】
一実施形態において、前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法は、溶媒下で、ジアミン単量体を溶解させるステップと、酸無水物を添加してポリアミック酸溶液を製造するステップと、を含んでもよい。
前記ポリイミド前駆体組成物の製造方法については、ポリイミド前駆体組成物に関して上述した内容を同様に適用することができる。
【0070】
一実施形態は、前記一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物の硬化物を含むポリイミドフィルムを提供する。
一実施形態に係るポリイミドフィルムは、化学式1で表される単位を含むことで、異種フィルム間の熱的特性差によるカール現象を最小化できるという効果がある。
【0071】
一実施形態に係るポリイミドフィルムは、化学式1で表される単位を含むポリイミド前駆体、およびlog Pが負数である溶媒を含む溶媒を含むポリイミド前駆体組成物;または化学式1で表される単位を含むポリイミド前駆体、およびlog Pが負数である溶媒および正数である溶媒の両方を含むポリイミド前駆体組成物から製造されることで、無色透明であり、異種フィルム間の熱的特性差によるカール現象を最小化できるという効果がある。
【0072】
一実施形態に係るポリイミドフィルムは、前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位を含み、熱重量分析(Thermal Gravimetric Analysis、TGA)時に、初期重量と対比して1%重量が減少する温度が390℃以下であり、ASTM D1003規格に準じて測定されたヘイズが0.2%以下であるフィルムであってもよい。
【0073】
一実施形態に係るポリイミドフィルムは、ASTM D1003規格に準じて測定されたヘイズ(Haze)値が0.2%以下、0.18%以下、0.15%以下、0.12%以下、0.05%~0.15%、0.08%~0.15%、または0.1%~0.15%であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0074】
一実施形態に係るポリイミドフィルムは、熱重量分析(Thermal Gravimetric Analysis、TGA)の結果、初期重量と対比して1%重量が減少する温度が390℃以下、380℃以下、370℃以下、360℃以下、330℃~390℃、330℃~380℃、330℃~370℃、340℃~390℃、340℃~380℃、340℃~370℃、350℃~370℃、330℃~360℃、340℃~360℃、または350℃~360℃であってもよい。
【0075】
一実施形態に係るポリイミドフィルムは、熱重量分析(Thermal Gravimetric Analysis、TGA)の結果、600℃での重量減少率が60%以上、65%以上、68%以上、70%以上、72%以上、60%~85%、65%~85%、60%~80%、65%~80%、65%~75%、68%~85%、68%~82%、68%~80%、68%~79%、70%~85%、70%~82%、70%~80%、70%~79%、72%~85%、72%~82%、72%~80%、または72%~79%であってもよい。
【0076】
一実施形態において、前記ポリイミドフィルムは、一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物をイミド化することで製造されることができる。前記イミド化は、化学イミド化または熱イミド化法により行われてもよい。例えば、ポリイミド前駆体組成物に脱水剤および/またはイミド化触媒を添加後に加熱して化学的反応によりイミド化させるか、または溶液を還流させつつイミド化させる方法で行われてもよい。
【0077】
前記化学イミド化法において、前記イミド化触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、またはキノリンなどが用いられてもよく、その他にも、置換もしくは非置換の窒素含有複素環化合物、窒素含有複素環化合物のN-オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環化合物が挙げられ、特に1,2-ジメチルイミダゾール、N-メチルイミダゾール、N-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、5-メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N-ベンジル-2-メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体、イソキノリン、3,5-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、2,5-ジメチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、4-n-プロピルピリジンなどの置換ピリジン、p-トルエンスルホン酸などが用いられてもよい。
【0078】
または、前記ポリイミド前駆体組成物を基板上に塗布した後に熱処理する方法でイミド化してもよい。前記ポリイミド前駆体組成物は、有機溶媒中に溶解された溶液の形態であってもよく、このような形態を有する場合、例えば、ポリイミド前駆体を有機溶媒中で合成した場合には、溶液は、得られる反応溶液自体であってもよく、またこの反応溶液を他の溶媒で希釈したものであってもよい。また、ポリイミド前駆体を固形粉末として得た場合には、それを有機溶媒に溶解させて溶液にしたものであってもよい。
【0079】
一実施形態において、ポリイミドフィルムは、一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を基板に塗布した後に熱処理するステップを含んで製造されてもよい。この際、前記熱処理は、50℃~200℃、50℃~150℃、または60℃~100℃で、5分~60分または5分~30分間乾燥した後、150℃~300℃、180℃~250℃、または200℃~250℃で、10分~60分または20分~40分間熱処理するステップを含んでもよい。
【0080】
一実施形態において、ポリイミドフィルムの厚さは1μm~100μm、1μm~50μm、または1μm~30μmであってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0081】
一実施形態は、前記ポリイミドフィルムを含むフレキシブルカバーウィンドウおよび/またはそれを含むフレキシブルディスプレイ装置を提供する。一実施形態において、前記カバーウィンドウは、フレキシブルディスプレイ装置の最外面基板として用いられてもよく、フレキシブルディスプレイ装置の例としては、通常の液晶表示装置、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種画像表示装置であってもよい。
【0082】
一実施形態は、前記ポリイミド前駆体組成物を含むガラス基板のコーティング用組成物を提供し、前記ガラス基板の一例としては、超薄型強化ガラス(Ultra thin glass、UTG)が挙げられる。
【0083】
一実施形態は、超薄型強化ガラスの一面または両面に前記超薄型強化ガラスコーティング用組成物がコーティングされた超薄型強化ガラス多層構造体を提供する。一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、超薄型強化ガラス上にコーティングされても、カールの発生が最小化されるため、超薄型強化ガラス多層構造体を含むディスプレイ装置などに有用に適用することができる。
【0084】
一実施形態は、超薄型強化ガラスの一面または両面に、一実施形態に係るポリイミドフィルムを含む超薄型強化ガラス多層構造体を提供する。
一実施形態において、前記一実施形態に係るポリイミドフィルムがコーティングされた多層構造体またはポリイミドフィルムがコーティングされた超薄型強化ガラス多層構造体の両端部を、物差しを用いて地面から高さを測定してカール量を計算した場合(または、両側でそれぞれ測定された値の平均を計算した場合)、その値が4.0mm以下であってもよく、または、3.5mm以下、3.0mm以下、2.5mm以下であるか、または0.1mm~4.0mm、0.1mm~3.5mm、0.1mm~3.0mm、0.1mm~2.5mm、0.1mm~2.0mm、0.1~1.5mm、0.1~1.0mm、0.1mm~0.9mm、0.1~0.8mm、0.1~0.6mm、0.1mm~0.mm、または0.2mm~1.0mmであってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0085】
以下、本発明の実施例および実験例を下記に具体的に例示して説明する。ただし、後述する実施例および実験例は、本発明の一部を例示するためのものにすぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0086】
<実施例1>
窒素気流が流れる撹拌器内に、N,N-ジメチルプロパンアミド(N,N-dimethylpropanamide、DMPA)/プロピレングリコールメチルエーテル(Propyleneglycol methylether、PGME)を8:2の質量比で混合した溶媒を248g満たした。反応器の温度を25℃に維持した状態で、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine、TFMB)24.5gとジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン(Dimethylsiloxane-diphenylsiloxane、DMS-DPS)オリゴマージアミン化合物(Shin-etsu社製、X-22-1660B-3、分子量4,400g/mol)40.7g(全単量体の質量を基準として約40重量%)を入れて溶解させた。これにエチレングリコールビス(4-トリメリット酸無水物)(Ethylene glycol bis(4-trimellitic anhydride、TMEG-100)36gを添加して50℃で8時間、常温で24時間溶解させつつ撹拌し、ポリアミック酸樹脂を製造した。この際、各単量体は、TFMB/X-22-1660B-3:TMEG-100=0.99:1.0のモル比となるようにした。DMPA/PGMEを8:2の質量比で混合した溶媒を追加投入して固形分含量が25重量%となるように調節し、実施例1のポリイミド前駆体組成物を製造した。
【0087】
その次に、超薄型強化ガラス(UTG)(厚さ:30μm)に前記ポリイミド前駆体組成物をメイヤーバーで塗布した後、窒素気流下で80℃で10分間乾燥させた後、230℃で15分間加熱した後に硬化し、ポリイミドフィルム(厚さ:10μm)がコーティングされたUTG多層構造体を製造した。
【0088】
<実施例2>
前記実施例1において、DMS-DPSオリゴマージアミン化合物(Shin-etsu社製、X-22-1660B-3)を全単量体の質量を基準として45重量%を用いたことを除いては、実施例1と同様に行って固形分含量が25重量%のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルム(厚さ:10μm)がコーティングされたUTG多層構造体を製造した。
【0089】
<実施例3>
前記実施例1において、DMS-DPSオリゴマージアミン化合物(Shin-etsu社製、X-22-1660B-3)を全単量体の質量を基準として50重量%を用いたことを除いては、実施例1と同様に行って固形分含量が25重量%のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルム(厚さ:10μm)がコーティングされたUTG多層構造体を製造した。
【0090】
<参照例1>
前記実施例1において、DMS-DPSオリゴマージアミン化合物(Shin-etsu社製、X-22-1660B-3)を全単量体の質量を基準として25重量%を用いたことを除いては、実施例1と同様に行って固形分含量が25重量%のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例1と同様の方法でポリイミドフィルム(厚さ:10μm)がコーティングされたUTG多層構造体を製造した。
【0091】
<比較例1>
窒素気流が流れる撹拌器内に溶媒DMPAを213g満たした。反応器の温度を25℃に維持した状態で、TFMB 30.9gを入れて溶解させた。これにTMEG-100 40gを添加して50℃で6時間、常温で24時間溶解させつつ撹拌し、ポリアミック酸樹脂を製造した。この際、各単量体は、TFMB:TMEG-100=0.99:1.0のモル比になるようにし、DMPAを追加投入して固形分含量が20重量%となるように調節し、比較例1のポリイミド前駆体組成物を製造した。
【0092】
その次に、超薄型強化ガラス(UTG)(厚さ:30μm)に前記ポリイミド前駆体組成物をメイヤーバーで塗布した後、窒素気流下で80℃で10分間乾燥させた後、230℃で15分間加熱した後に硬化し、ポリイミドフィルム(厚さ:10μm)がコーティングされたUTG多層構造体を製造した。
【0093】
<実験例1>物性分析
1-1.ヘイズ(Haze)の測定
実施例、参照例、および比較例で製造されたフィルムの透明性を測定するために、ASTM D1003規格に準じて、分光光度計(Nippon Denshoku社製、COH-5500)を用いてヘイズ(%)値を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0094】
1-2.カール(Curl)の測定
実施例、参照例、および比較例で製造されたUTG多層構造体の両端部が地面からカールが発生した程度を物差しを用いて測定し、カール量(mm)は両側で測定された値の平均値で計算し、その結果を下記表3に示した。
【0095】
【表3】
【0096】
前記表3を参照すると、一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を用いて製造されたポリイミドフィルムは、透明性に優れ、基板にコーティングされる場合にカールの発生が著しく減少することができる。
【0097】
<実験例2>熱重量分析(Thermal Gravimetric Analysis、TGA)
実施例、参照例、および比較例のポリイミドフィルムに対し、熱重量分析によりDMS-DPSオリゴマージアミンの含量に応じた初期重量と対比して1%重量が減少する温度(Td、1%)および600℃での重量減少率を確認し、その結果を下記表4に示した。
【0098】
【表4】
【0099】
前記表4を参照すると、化学式1の構造を含むポリイミドフィルムは、初期重量と対比して1%重量が減少する温度が390℃以下または380℃以下である。また、600℃での重量減少率が60%以上または65%以上である。
【0100】
また、表4を参照すると、ポリイミドフィルム中の化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位の含量を初期重量と対比して1%重量が減少する温度(Td、1%)および600℃での重量減少率により確認することができる。前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位を前記ポリイミド前駆体の総重量に対して20重量%以上含むポリイミド前駆体組成物を用いて製造された実施例1~3および参照例1は、初期重量と対比して1%重量が減少する温度が390℃以下または380℃以下であり、600℃での重量減少率が60%以上または65%以上である。
【0101】
また、前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位を前記ポリイミド前駆体の総重量に対して30重量%以上含むポリイミド前駆体組成物を用いて製造された実施例1~3は、初期重量と対比して1%重量が減少する温度が370℃以下であり、600℃での重量減少率が68%以上である。
【0102】
要するに、実施例1~3および参照例1によるフィルムは、前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位を含むことで、初期重量と対比して1%重量が減少する温度(Td、1%)が390℃以下であり、600℃での重量減少率が60%以上であり、ASTM D1003規格に準じて測定されたヘイズが0.2%以下であり、前記ポリイミドフィルムを用いて製造されたUTG多層構造体は、光学的物性に優れながらも、カール量が4.0mm以下または3.5mm以下であることを確認することができる。
【0103】
また、実施例1~3は、前記化学式1の構造を含む酸無水物またはジアミンから誘導された単位を前記ポリイミド前駆体の総重量に対して30重量%以上含み、分配係数(log P)が負数である溶媒を含むポリイミド前駆体組成物からポリイミドフィルムを製造することで、初期重量と対比して1%重量が減少する温度(Td、1%)が370℃以下であり、600℃での重量減少率が68%以上であり、ASTM D1003規格に準じて測定されたヘイズが0.2%以下であり、前記ポリイミドフィルムを用いて製造されたUTG多層構造体は、光学的物性に優れながらも、カール量が2.5mm以下であることを確認することができる。
【0104】
<実施例4>
窒素気流が流れる撹拌器内に、プロピレングリコールメチルエーテル(Propyleneglycol methylether、PGME)/シクロヘキサノン(Cyclohexanone、CHN)を8:2の質量比で混合した溶媒を230g満たした。反応器の温度を25℃に維持した状態で、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine、TFMB)29.0gとジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン(dimethylsiloxane-diphenylsiloxane、DMS-DPS)オリゴマージアミン化合物(Shin-etsu社製、X-22-1660B-3、分子量4,400g/mol)29.6 g を入れて溶解させた。これにエチレングリコールビス(4-トリメリット酸無水物)(Ethylene glycol bis(4-trimellitic anhydride、TMEG-100)40gを添加して50℃で8時間、常温で24時間溶解させつつ撹拌し、ポリアミック酸樹脂を製造した。この際、各単量体は、TFMB/X-22-1660B-3:TMEG-100=0.99:1.0のモル比となるようにした。PGME/CHNを8:2の質量比で混合した溶媒を追加投入して固形分含量が25重量%となるように調節し、実施例4のポリイミド前駆体組成物を製造した。
【0105】
その次に、超薄型強化ガラス(UTG)(厚さ:30μm)に前記ポリイミド前駆体組成物をメイヤーバーで塗布した後、窒素気流下で80℃で10分間乾燥させた後、230℃で15分間加熱した後に硬化し、ポリイミドフィルム(厚さ:10μm)がコーティングされたUTG多層構造体を製造した。
【0106】
<実施例5および実施例6>
前記実施例4と同様の方法でポリイミド前駆体組成物を製造するが、この際、溶媒の質量比を下記表5のように調整して実施例5および実施例6のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例4と同様の方法でポリイミドフィルムがコーティングされたUTG多層構造体(厚さ:10μm)を製造した。
【0107】
<実施例7>
窒素気流が流れる撹拌器内にPGMEを230g満たした。反応器の温度を25℃に維持した状態で、TFMB 29.0gとDMS-DPSオリゴマージアミン29.6gを入れて溶解させた。これにTMEG-100 40gを添加して50℃で8時間、常温で24時間溶解させつつ撹拌し、ポリアミック酸樹脂を製造した。この際、各単量体は、TFMB/X-22-1660B-3:TMEG-100=0.99:1.0のモル比となるようにした。CHNを全溶媒比と対比して20重量%となるように投入して固形分含量が25重量%となるように調節し、実施例7のポリイミド前駆体組成物を製造した。
【0108】
その次に、超薄型強化ガラス(UTG)(厚さ:30μm)に前記ポリイミド前駆体組成物をメイヤーバーで塗布した後、窒素気流下で80℃で10分間乾燥させた後、230℃で15分間加熱した後に硬化し、ポリイミドフィルム(厚さ:10μm)がコーティングされたUTG多層構造体を製造した。
【0109】
<実施例8および実施例9>
前記実施例7と同様の方法でポリイミド前駆体組成物を製造するが、この際、溶媒の質量比を下記表5のように調整して実施例8および実施例9のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例7と同様の方法でポリイミドフィルムがコーティングされたUTG多層構造体(厚さ:10μm)を製造した。
【0110】
<実施例10および実施例11>
前記実施例4と同様の方法でポリイミド前駆体組成物を製造するが、この際、DMS-DPSオリゴマージアミンを全単量体を基準としてそれぞれ40重量%、50重量%を投入して実施例10および実施例11のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例4と同様の方法でポリイミドフィルムがコーティングされたUTG多層構造体(厚さ:10μm)を製造した。
【0111】
<比較例2>
前記実施例4と同様の方法でポリイミド前駆体組成物を製造するが、この際、溶媒としてPGME/CHNの代わりにジエチルアセトアミド(Diethylacetamide、DEAc)を用いて比較例2のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例4と同様の方法でポリイミドフィルムがコーティングされたUTG多層構造体(厚さ:10μm)を製造した。
【0112】
<比較例3>
前記実施例4と同様の方法でポリイミド前駆体組成物を製造するが、この際、溶媒としてPGME/CHNの代わりにN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone、NMP)を用いて比較例3のポリイミド前駆体組成物を製造した後、実施例4と同様の方法でポリイミドフィルムがコーティングされたUTG多層構造体(厚さ:10μm)を製造した。
【0113】
<実験例3>
1-1.溶液の透明性の分析
実施例および比較例で製造されたポリイミド前駆体組成物を肉眼で観察し、白濁が観察されずに均一な溶液状態である場合には「×」に評価し、弱い白濁が観察される場合には「○」に評価し、強い白濁が観察される場合には「◎」に評価し、その結果を下記表5に示した。
【0114】
1-2.カール(Curl)の測定
実施例および比較例で製造されたUTG多層構造体の両端部が地面からカールが発生した程度を物差しを用いて測定し、カール量(mm)は両側で測定された値の平均値で計算し、その結果を下記表5に示した。
【0115】
【表5】
【0116】
前記表5を参照すると、一実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、白濁が観察されずに均一な溶液状態であり、それを用いて製造されたポリイミドフィルムは、超薄型強化ガラスにコーティングされる場合にカールの発生が著しく減少することができる。
【0117】
以上、好ましい実施例および実験例により本発明を詳しく説明したが、本発明の範囲は、特定の実施例に限定されるものではなく、後述の特許請求範囲により解釈されなければならない。また、当該技術分野で通常の知識を習得した者であれば、本発明の範囲から逸脱せずに多くの修正および変形が可能であることを理解しなければならない。