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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118142
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】空間浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20230818BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A61L9/01 F
A61L9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020911
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】白井 伊久真
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA06
4C180EA58X
4C180GG10
4C180GG19
4C180HH05
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】次亜塩素酸の中空体浸透を用いて次亜塩素酸を放出する空間浄化装置において、対象空間へ放出する次亜塩素酸の放出量を調節する技術を提供する。
【解決手段】空間浄化装置20は、対象空間に次亜塩素酸を放出する次亜塩素酸放出部6と、次亜塩素酸放出部6に供給する次亜塩素酸水溶液を貯留する次亜塩素酸水貯留部7と、次亜塩素酸水貯留部7と次亜塩素酸放出部6との間で次亜塩素酸水溶液の輸送を行う送水部8と、送水部8の動作を制御する制御部11とを備える。次亜塩素酸放出部6は、水よりも次亜塩素酸と相溶性の高い素材で形成された中空体である。制御部11は、送水部8(送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8z)に対して、次亜塩素酸水貯留部7から中空体内に次亜塩素酸水溶液を供給する第一動作と、第一動作によって中空体内に供給された次亜塩素酸水溶液を中空体内から排出する第二動作とを実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に次亜塩素酸を放出する次亜塩素酸放出部と、
前記次亜塩素酸放出部に供給する次亜塩素酸水溶液を貯留する次亜塩素酸水貯留部と、
前記次亜塩素酸水貯留部から前記次亜塩素酸放出部へ前記次亜塩素酸水溶液を輸送する送水部と、
前記送水部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記次亜塩素酸放出部は、水よりも次亜塩素酸と相溶性の高い素材で形成された中空体によって構成された中空体ユニットを複数有し、
前記中空体ユニットのそれぞれは、前記中空体内に前記次亜塩素酸水貯留部から前記次亜塩素酸水溶液が供給されると、前記中空体の中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透する過程で次亜塩素酸を微細化し、微細化された次亜塩素酸を前記対象空間内の空気中に放出し、
前記制御部は、前記送水部に対して、前記次亜塩素酸水貯留部から前記中空体ユニットのそれぞれに前記次亜塩素酸水溶液を供給する動作を実行させることを特徴とする空間浄化装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記次亜塩素酸水貯留部から前記中空体ユニットのそれぞれへの前記次亜塩素酸水溶液の供給の有無によって、前記対象空間への前記次亜塩素酸の放出量を制御することを特徴とする請求項1に記載の空間浄化装置。
【請求項3】
前記対象空間から空気を吸い込む吸込口と、
前記吸込口から吸い込んだ空気を前記対象空間に吹き出す吹出口と、
前記吸込口と前記吹出口との間に構成される空気風路と、
前記空気風路内に設けられ、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吹出口まで送り出す送風部と、
をさらに備え、
前記次亜塩素酸放出部は、前記空気風路内に配置され、前記空気風路を流通する空気によって、前記中空体ユニットの表面から前記次亜塩素酸を前記空気風路に放出することを特徴とする請求項1または2に記載の空間浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸の放出により空間の除菌及び脱臭効果を奏する空間浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸を空間に放出する空間浄化装置には、次亜塩素酸と相溶性の高い材質で形成された中空体(チューブ状の構造体)への浸透を用いて、中空体の内部に次亜塩素酸水を通水することで、中空体表面から気体状の次亜塩素酸が空気中に放出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-129972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような中空体による従来の空間浄化装置では、次亜塩素酸の中空体への浸透速度は、中空体の物性と次亜塩素酸水の濃度に影響されるため、次亜塩素酸の放出量を要求に合わせて都度制御することが困難である。このため、次亜塩素酸に反応する物質の多い空間に対しては次亜塩素酸の放出が足りず、十分な空間浄化ができない可能性がある。こうした状況を受け、次亜塩素酸の中空体浸透を用いて次亜塩素酸を放出する空間浄化装置には、次亜塩素酸の放出量の調整範囲を拡大することが求められている。
【0005】
そこで本発明は、こうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、次亜塩素酸の中空体浸透を用いて次亜塩素酸を放出する空間浄化装置において、対象空間へ放出する次亜塩素酸の放出量を調整する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空間浄化装置は、対象空間に次亜塩素酸を放出する次亜塩素酸放出部と、次亜塩素酸放出部に供給する次亜塩素酸水溶液を貯留する次亜塩素酸水貯留部と、次亜塩素酸水貯留部から次亜塩素酸放出部へ次亜塩素酸水溶液を輸送する送水部と、送水部の動作を制御する制御部と、を備える。次亜塩素酸放出部は、水よりも次亜塩素酸と相溶性の高い素材で形成された中空体によって構成された中空体ユニットを複数有する。中空体ユニットのそれぞれは、中空体内に次亜塩素酸水貯留部から次亜塩素酸水溶液が供給されると、中空体の中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透する過程で次亜塩素酸を微細化し、微細化された次亜塩素酸を対象空間内の空気中に放出する。制御部は、送水部に対して、次亜塩素酸水貯留部から中空体ユニットのそれぞれに次亜塩素酸水溶液を供給する動作を実行させることを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次亜塩素酸の中空体浸透を用いて次亜塩素酸を放出する空間浄化装置において、対象空間へ放出する次亜塩素酸の放出量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る空間浄化装置の概略図である。
図2図2は、空間浄化装置を構成する次亜塩素酸放出部の中空体ユニットの概略図である。
図3図3は、運転モード「大」での次亜塩素酸放出部の中空体ユニットにおける次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。
図4図4は、運転モード「中」での次亜塩素酸放出部の中空体ユニットにおける次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。
図5図5は、運転モード「小」での次亜塩素酸放出部の中空体ユニットにおける次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。
図6図6は、空間浄化装置の制御部を示すブロック図である。
図7図7は、制御部による空間浄化処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る空間浄化装置は、対象空間に次亜塩素酸を放出する次亜塩素酸放出部と、次亜塩素酸放出部に供給する次亜塩素酸水溶液を貯留する次亜塩素酸水貯留部と、次亜塩素酸水貯留部から次亜塩素酸放出部へ次亜塩素酸水溶液を輸送する送水部と、送水部の動作を制御する制御部と、を備える。次亜塩素酸放出部は、水よりも次亜塩素酸と相溶性の高い素材で形成された中空体によって構成された中空体ユニットを複数有する。中空体ユニットのそれぞれは、中空体内に次亜塩素酸水貯留部から次亜塩素酸水溶液が供給されると、中空体の中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透する過程で次亜塩素酸を微細化し、微細化された次亜塩素酸を対象空間内の空気中に放出する。制御部は、送水部に対して、次亜塩素酸水貯留部から中空体ユニットのそれぞれに次亜塩素酸水溶液を供給する動作を実行させる。
【0010】
こうした構成によれば、空間浄化運転時に次亜塩素酸放出部における次亜塩素酸水溶液が通水される中空体ユニット数を調整することができる。これにより、通水する次亜塩素酸水溶液の濃度を調整する(濃くしたり薄くしたりする)ことなく、通水する中空体ユニットの数を増減することによって対象空間に放出する次亜塩素酸の放出量を調整することができる。つまり、次亜塩素酸の中空体浸透を用いて次亜塩素酸を放出する空間浄化装置において、対象空間へ放出する次亜塩素酸の放出量を調整可能な空間浄化装置とすることができる。
【0011】
また、本発明による空間浄化装置では、制御部は、次亜塩素酸水貯留部から中空体ユニットのそれぞれへの次亜塩素酸水溶液の供給の有無によって、対象空間への次亜塩素酸の放出量を制御することが好ましい。このようにすることで、制御部は、対象空間に放出したい次亜塩素酸量に応じて、中空体ユニットの通水を制御し、次亜塩素酸の放出量の大小に応じた制御を行うことができる。
【0012】
また、本発明による空間浄化装置は、対象空間から空気を吸い込む吸込口と、吸込口から吸い込んだ空気を対象空間に吹き出す吹出口と、吸込口と吹出口との間に構成される空気風路と、空気風路内に設けられ、吸込口から吸い込んだ空気を吹出口まで送り出す送風部と、をさらに備える。次亜塩素酸放出部は、空気風路内に配置され、空気風路を流通する空気によって、中空体ユニットの表面から次亜塩素酸を空気風路に放出するのが好ましい。このようにすることで、空間浄化装置の外部の空気の流れの影響を受けず、それぞれのユニットと空気と触れる時間を一定にすることができるため、より精度の高い次亜塩素酸の放出量制御を行うことができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
(実施の形態)
まず図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態に係る空間浄化装置20について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る空間浄化装置20の概略図である。図2は、空間浄化装置20を構成する次亜塩素酸放出部6の概略図である。
【0015】
実施の形態に係る空間浄化装置20は、対象空間の除菌及び脱臭を行うために、対象空間の床面上に設置され、対象空間から取り入れた空気4aに次亜塩素酸を含ませ、次亜塩素酸を含む空気4cとして放出する装置である。
【0016】
具体的には、図1に示すように、空間浄化装置20は、筐体1と、吸込部2と、吹出部3と、空気風路4と、送風部5と、次亜塩素酸放出部6と、次亜塩素酸水貯留部7と、送水部8と、制御部11と、操作パネル12とを有して構成される。
【0017】
筐体1は、空間浄化装置20の外枠を構成する金属あるいは樹脂製の箱である。筐体1の上面には、吸込部2及び吹出部3が設けられている。また、筐体1の内部には、空気風路4と、送風部5と、次亜塩素酸放出部6と、次亜塩素酸水貯留部7と、送水部8とが設けられている。また、筐体1の側面には、制御部11と、外部からの物理的な入力を受け付けて制御部11へ電気信号の入力を行う操作パネル12とが設けられている。
【0018】
吸込部2は、筐体1内に対象空間の空気4aを吸い込むための部材である。より詳細には、吸込部2は、吸込口2a及び防護網2bを有して構成される。吸込口2aは、筐体1の上面後方に設けられる。吸込口2aは、筐体1内に空気4aが流入する開口であり、筐体1の上面に形成される円形の複数の孔によって構成される。防護網2bは、吸込口2a全体を覆うように設置された金属性の網である。防護網2bは、空気4a中のごみなどの粒子(防護網2bの網径以上の粒子)が吸込口2aから筐体1の内部に吸い込まれることを抑制する。
【0019】
吹出部3は、筐体1内から対象空間に、次亜塩素酸を含む空気4cを吹き出すための部材である。より詳細には、吹出部3は、吹出口3a及び吹出方向フード3bを有して構成される。吹出口3aは、吸込部2よりも筐体1の上面前方に設けられる。吸込口2aは、筐体1内から空気4cが流出する開口であり、筐体1の上面に形成される円形の複数の孔によって構成される。吹出方向フード3bは、吹出口3a全体を覆うように設置された金属製のエアフードである。吹出方向フード3bは、吹出口3aから吹き出す空気4cの吹出方向を、空間浄化装置20の前方(吸込部2と逆側)へと向けるものである。これにより、吹出部3から吹き出す空気4cが、吸込部2に吸い込まれる空気4aと混合しないようにしている。
【0020】
空気風路4は、筐体1内において吸込口2aと吹出口3aとの間に構成される空気の風路である。空気風路4は、筐体1の内部において略U状に構成される。より詳細には、空気風路4は、筐体1の上部の吸込部2から筐体1の底部に向けて鉛直下方に延在し、そのまま筐体1の底部に沿って延在した後に、筐体1の底部から吹出部3に向けて鉛直上方に延在して構成される。この際、空気風路4は、吸込部2から筐体1内に吸い込まれた空気4aが漏れることなく、吹出部3から吹き出されるように隙間なく構成されている。空気風路4内には、次亜塩素酸放出部6及び送風部5がこの順に配置されている。
【0021】
送風部5は、空気風路4内に配置された送風機である。送風部5は、例えば、旋回成分に比べて直進的な成分を多く含む空気の流れを発生するシロッコファンである。送風部5は、後述する制御部11の制御により、対象空間内の空気4aを吸込部2から吸い込み、空気風路4を示す黒矢印に沿って流れる空気4bの流れを発生させて、次亜塩素酸を含む空気4cを吹出部3から送出する。なお、送風部5は、吸込部2から筐体1内へ流入した空気が吹出部3へ流出するように圧力をかける機器とも言える。
【0022】
次亜塩素酸放出部6は、空気風路4内に設置され、空気風路4内を流通する空気4bに対して気体状の次亜塩素酸を放出する部材である。次亜塩素酸放出部6は、複数の中空体ユニットにより構成される。より詳細には、次亜塩素酸放出部6は、次亜塩素酸水溶液(以下、次亜塩素酸水ともいう)を供給する始端流路6aと、それにつながる3つの中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)と、次亜塩素酸水溶液を放出する終端流路6bと、を有して構成される。中空体ユニットのそれぞれは、空気風路4内に配置されたパイプ状(またはチューブ状)の中空体を素材とした流路によって構成されている。本実施の形態では、3つの中空体ユニットは、空気風路4の上流側から下流側に向けて、中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6zの順に配置されている。
【0023】
具体的には、中空体ユニット6xは、図2に示すように、パイプ状の流路を有する中空体が空気風路4を遮る面上で蛇行して敷設され、中空体ユニット6x全体として空気風路4と垂直に設けられた構成としている。そして、中空体ユニット6xには、中空体ユニット6xの流路6cに隣接して送水ポンプ8xが設けられている(図1参照)。中空体ユニット6xでは、送水ポンプ8xの送水動作(後述する第一動作)によって、中空体の内部を次亜塩素酸水貯留部7からの次亜塩素酸水溶液が流通する。
【0024】
中空体ユニット6yは、空気風路4において中空体ユニット6xの下流側に配置されている(図1参照)。中空体ユニット6yは、中空体ユニット6xと同様、パイプ状の流路を有する中空体が空気風路4を遮る面上で蛇行して敷設され、中空体ユニット6y全体として空気風路4と垂直に設けられた構成としている。そして、中空体ユニット6yには、中空体ユニット6yの流路6cに隣接して送水ポンプ8yが設けられている(図1参照)。中空体ユニット6yでは、送水ポンプ8yの送水動作(後述する第一動作)によって、中空体の内部を次亜塩素酸水貯留部7からの次亜塩素酸水溶液が流通する。
【0025】
中空体ユニット6zは、空気風路4において中空体ユニット6yの下流側に配置されている(図1参照)。中空体ユニット6zは、中空体ユニット6xと同様、パイプ状の流路を有する中空体が空気風路4を遮る面上で蛇行して敷設され、中空体ユニット6z全体として空気風路4と垂直に設けられた構成としている。そして、中空体ユニット6zには、中空体ユニット6zの流路6cに隣接して送水ポンプ8zが設けられている(図1参照)。中空体ユニット6zでは、送水ポンプ8zの送水動作(後述する第一動作)によって、中空体の内部を次亜塩素酸水貯留部7からの次亜塩素酸水溶液が流通する。
【0026】
より詳細には、図1に示すように、次亜塩素酸放出部6は、次亜塩素酸水貯留部7の下部側に位置する配管9aに始端流路6aが挿通接続され、始端流路6aにそれぞれ3つの中空体ユニットと送水部8がそれぞれ並列に接続している。つまり、次亜塩素酸水貯留部7から中空体ユニット6xに流通する次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸水貯留部7、始端流路6a、送水ポンプ8x、中空体ユニット6x、終端流路6b、次亜塩素酸水貯留部7の順で流通している。次亜塩素酸水貯留部7から中空体ユニット6yに流通する次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸水貯留部7、始端流路6a、送水ポンプ8y、中空体ユニット6y、終端流路6b、次亜塩素酸水貯留部7の順で流通している。中空体ユニット6zに流通する次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸水貯留部7、始端流路6a、送水ポンプ8z、中空体ユニット6z、終端流路6b、次亜塩素酸水貯留部7の順で流通している。
【0027】
中空体ユニットは、空気風路4を遮る一つ面上で蛇行して敷設し、更に空気風路4の上流側の、別の面上にも同様に敷設したものである(図2参照)。そして、それぞれの中空体ユニットは、次亜塩素酸水貯留部7の上部側に位置する配管9bにその終端流路6bが挿通接続され、中空体の内部を流通した次亜塩素酸水溶液を帰還させている。つまり、次亜塩素酸放出部6は、次亜塩素酸水貯留部7の次亜塩素酸水溶液を循環させるものである。ここで、次亜塩素酸水貯留部7の下部側の始端流路6aから引き出した次亜塩素酸水溶液を上部側の終端流路6bへ帰還させることで、次亜塩素酸水貯留部7の次亜塩素酸水溶液の量が減っても比較的長きに渡り循環させて使用することができる。
【0028】
次亜塩素酸放出部6の始端流路6aは、後述する次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液に浸漬される位置で次亜塩素酸水貯留部7と接続している。また、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bは、後述する次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液の液面の上方空間の位置で次亜塩素酸水貯留部7と接続している。
【0029】
また、次亜塩素酸放出部6(次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニットを構成する中空体)は、水よりも次亜塩素酸との相溶性が高い素材で構成される。ここで、相溶性とは分子構造の類似性である。次亜塩素酸放出部6は、水分子よりも次亜塩素酸と馴染みやすい、例えばケイ素樹脂などの素材で形成している。そのため、次亜塩素酸放出部6を構成する中空体の中空構造内から外に向けて、水よりも次亜塩素酸が浸透しやすくなっている。つまり、次亜塩素酸放出部6の外表面(空気風路4側の表面)から対象空間に、次亜塩素酸が優先的に放出されるようになっている。
【0030】
要するに、次亜塩素酸放出部6は、水よりも次亜塩素酸と相溶性の高い素材で形成された中空体であり、中空体内に次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸水溶液が供給されると、中空体の中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透する過程で次亜塩素酸を微細化し、微細化された次亜塩素酸を対象空間内の空気中に放出すると言える。
【0031】
次亜塩素酸水貯留部7は、次亜塩素酸放出部6に供給する次亜塩素酸水溶液を貯留する部材である。図1に示すように、次亜塩素酸水貯留部7は、筐体1の内部の空気風路4外に設置される。次亜塩素酸水貯留部7と次亜塩素酸放出部6とは、次亜塩素酸水貯留部7の側壁を貫通する配管9a及び配管9bによって連結されている。
【0032】
より詳細には、次亜塩素酸水貯留部7は、貯留槽7aと、圧調整管7bと、逆止弁7cとを有して構成される。
【0033】
貯留槽7aは、所定の容量を有する容器で構成され、次亜塩素酸水溶液を貯留する水槽である。貯留槽7aに貯留された次亜塩素酸水溶液は、後述する第一動作において、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから各中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)の中空体の内部へと送出され、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bから貯留槽7aへ帰還する。一方、貯留槽7aは、後述する第二動作において、中空体の内部に残留する次亜塩素酸水溶液を回収して貯留する役割も有する。
【0034】
圧調整管7bは、空気管である。圧調整管7bは、一方の端部が貯留槽7aの上部壁を貫通して貯留槽7aに貯留される次亜塩素酸水溶液の液面の上方空間と連通し、もう一方の端部が逆止弁7cを介して外気と連通している。圧調整管7bは、貯留槽7aの内部が負圧となった際に外気を取り込むことで、中空体からの次亜塩素酸の浸透揮発によって貯留槽7aの内部が負圧となり、次亜塩素酸が放出されなくなることを抑制している。
【0035】
逆止弁7cは、圧調整管7bを通じて貯留槽7aから外気への空気の流出を抑制する弁である。逆止弁7cは、貯留槽7aから空気が漏れることを抑制することで、貯留槽7aの内部が負圧となることを抑制しつつ、貯留槽7aの上部空間の空気(次亜塩素酸を含む空気)の外部への流出を抑制している。
【0036】
送水部8は、通電が行われていないときに止水性を持ち、双方向に液体の送水を行うことができる送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zを有して構成される。送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zは、次亜塩素酸放出部6の流路上において、始端流路6aに隣接して設けられる。送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zは、後述する制御部11の制御により、運転モード「大」、運転モード「中」、又は運転モード「小」を実行する。送水部8は、各運転モード(運転モード「大」、運転モード「中」、運転モード「小」)に応じた第一動作及び第二動作を連続して実行する。また、送水部8は、各運転モードにおいて第一動作及び第二動作をいずれも実行しない停止動作を実行する。
【0037】
第一動作は、中空体内に次亜塩素酸水溶液を供給する動作である。より詳細には、第一動作は、次亜塩素酸水貯留部7からそれぞれの対応する中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)の中空体内に次亜塩素酸水溶液を供給する動作である。
【0038】
第二動作は、中空体内の次亜塩素酸水溶液を排出する動作である。より詳細には、第二動作は、第一動作によって中空体内に供給された次亜塩素酸水溶液をそれぞれの対応する中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)から次亜塩素酸水貯留部7に排出する動作である。
【0039】
図3図5を参照して、送水部8(送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8z)が実行する各運転モード(運転モード「大」、運転モード「中」、及び運転モード「小」)における第一動作及び第二動作について説明する。
【0040】
ここで、運転モードは、対象空間への次亜塩素酸の放出量(以下では、次亜塩素酸量とも呼ぶこともある)に応じて設定されるモードである。本実施の形態では、運転モードには、次亜塩素酸量「大(多)」/次亜塩素酸量「中(標準)」/次亜塩素酸量「小(少)」の3段階に対応して、運転モード「大」/運転モード「中」/運転モード「小」の3つのモードがそれぞれ設定されている。
【0041】
<運転モード「大」>
図3は、運転モード「大」での次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットにおける次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。図3(a)は、送水部8の第一動作における次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図であり、図3(b)は、送水部8の第二動作における次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。
【0042】
運転モード「大」では、3系統の中空体ユニットのすべてに次亜塩素酸水溶液を通水して空気浄化運転を行う。具体的には、運転モード「大」では、送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zを用いて、中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6zのそれぞれに次亜塩素酸水溶液を通し、空気浄化運転(第一動作、第二動作)を行う。
【0043】
運転モード「大」における第一動作では、送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zがそれぞれ作動し、次亜塩素酸水溶液に圧力をかけて、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット内に次亜塩素酸水溶液を供給する。より詳細には、第一動作では、図3(a)に示すように、送水ポンプ8xは、黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。つまり、送水ポンプ8xによって、次亜塩素酸水貯留部7の次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから中空体ユニット6xの内部に導入され、空気風路4内で蛇行する中空体ユニット6xを流通し、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bから次亜塩素酸水貯留部7に流出し、次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液と混合される。また、送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zについても送水ポンプ8xと同様にして第一動作を行う。つまり、運転モード「大」における第一動作では、3系統すべての中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)に対して、図3(a)の黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。
【0044】
運転モード「大」における第二動作では、送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zがそれぞれ作動し、第一動作とは逆方向に次亜塩素酸水溶液に圧力をかけて、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7に次亜塩素酸水溶液を排出する。より詳細には、第二動作では、図3(b)に示すように、送水ポンプ8xは、黒矢印で示す方向(第一動作での流通方向と逆となる方向)に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。つまり、送水ポンプ8xによって、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット6x内に残留する次亜塩素酸水溶液は、空気風路4内で蛇行する中空体ユニット6xを流通し、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから次亜塩素酸水貯留部7に排出され、次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液と混合される。このことは、送水ポンプ8xによって、貯留槽7aの上方空間の空気が、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bから中空体ユニット6xの内部に導入され、空気風路4内で蛇行する中空体ユニット6xを流通し、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから次亜塩素酸水貯留部7に流出するとも言える。この際、次亜塩素酸水貯留部7に流出した空気は、次亜塩素酸水溶液内を気泡となって上昇していき、上方空間の空気と混合される。また、送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zについても送水ポンプ8xと同様にして第二動作を行う。つまり、運転モード「大」における第二動作では、3系統すべての中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)に対して、図3(b)の黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。なお、第二動作は、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液を空気によって置換する動作と言ってもよい。
【0045】
<運転モード「中」>
図4は、運転モード「中」での次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットにおける次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。図4(a)は、送水部8の第一動作における次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図であり、図4(b)は、送水部8の第二動作における次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。
【0046】
運転モード「中」では、3系統の中空体ユニットのうちの2系統の中空体ユニットに次亜塩素酸水溶液を通水して空気浄化運転を行う。具体的には、運転モード「中」では、送水ポンプ8x及び送水ポンプ8yを用いて、中空体ユニット6x及び中空体ユニット6yに次亜塩素酸水溶液を通し、空気浄化運転(第一動作、第二動作)を行う。この際、送水ポンプ8zを用いず、中空体ユニット6zには次亜塩素酸水溶液を通さない。
【0047】
2系統の中空体ユニットの組み合わせは、上記以外(中空体ユニット6x及び中空体ユニット6z、または、中空体ユニット6y及び中空体ユニット6z)でもよいが、3系統のうち最も上流側に位置する中空体ユニット6xを含めることが好ましい。このようにすることで、空気風路4内に塵またはほこりといった微小物質が流入した際に、中空体ユニット6xから放出される次亜塩素酸によって、下流側において使用していない中空体ユニットの表面が浄化され、中空体ユニット表面に微小物質が蓄積されることを抑制することができる。
【0048】
運転モード「中」における第一動作は、送水ポンプ8x及び送水ポンプ8yがそれぞれ作動し、次亜塩素酸水溶液に圧力をかけて、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット内に次亜塩素酸水溶液を供給する。より詳細には、第一動作では、図4(a)に示すように、送水ポンプ8xは、黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。つまり、送水ポンプ8xによって、次亜塩素酸水貯留部7の次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから中空体ユニット6xの内部に導入され、空気風路4内で蛇行する中空体ユニット6xを流通し、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bから次亜塩素酸水貯留部7に流出し、次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液と混合される。また、送水ポンプ8yについても送水ポンプ8xと同様にして第一動作を行う。一方、送水ポンプ8zは、作動しないため、次亜塩素酸水溶液に圧力がかからず、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット6z内への次亜塩素酸水溶液の供給はなされない。つまり、運転モード「中」における第一動作では、3系統の中空体ユニットのうちの2系統の中空体ユニット(中空体ユニット6x及び中空体ユニット6y)に対して、図4(a)の黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。
【0049】
運転モード「中」における第二動作は、送水ポンプ8x及び送水ポンプ8yがそれぞれ作動し、第一動作とは逆方向に次亜塩素酸水溶液に圧力をかけて、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7に次亜塩素酸水溶液を排出する。この際、送水ポンプ8zは、第一動作に続いて停止状態を維持する。より詳細には、第二動作では、図4(b)に示すように、送水ポンプ8xは、黒矢印で示す方向(第一動作での流通方向と逆となる方向)に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。つまり、送水ポンプ8xによって、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット内に残留する次亜塩素酸水溶液は、空気風路4内で蛇行する中空体ユニット6xを流通し、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから次亜塩素酸水貯留部7に排出され、次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液と混合される。このことは、送水ポンプ8xによって、貯留槽7aの上方空間の空気が、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bから中空体ユニット6xの内部に導入され、空気風路4内で蛇行する中空体を流通し、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから次亜塩素酸水貯留部7に流出すると言える。ここで、次亜塩素酸水貯留部7に流出した空気は、次亜塩素酸水溶液内を気泡となって上昇していき、上方空間の空気と混合される。また、送水ポンプ8yについても送水ポンプ8xと同様にして第二動作を行う。一方、送水ポンプ8zは、作動せず、第一動作に続いて停止状態を維持する。つまり、運転モード「中」における第二動作では、3系統の中空体ユニットのうちの2系統の中空体ユニット(中空体ユニット6x及び中空体ユニット6y)に対して、図4(b)の黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。なお、第二動作は、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液を空気によって置換する動作と言ってもよい。
【0050】
<運転モード「小」>
図5は、運転モード「小」での次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットにおける次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。図5(a)は、送水部8の第一動作における次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図であり、図5(b)は、送水部8の第二動作における次亜塩素酸水溶液の流れを示す概略拡大図である。
【0051】
運転モード「小」では、3系統の中空体ユニットのうちの1系統の中空体ユニットに次亜塩素酸水溶液を通水して空気浄化運転を行う。具体的には、運転モード「小」では、送水ポンプ8xを用いて、中空体ユニット6xに次亜塩素酸水溶液を通し、空気浄化運転(第一動作、第二動作)を行う。この際、送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zを用いず、中空体ユニット6y及び中空体ユニット6zには次亜塩素酸水溶液を通さない。
【0052】
選択する1系統の中空体ユニットは、上記以外(中空体ユニット6yまたは中空体ユニット6z)でもよいが、3系統のうち最も上流側に位置する中空体ユニット6xとすることが好ましい。このようにすることで、空気風路4内に塵またはほこりといった微小物質が流入した際に、中空体ユニット6xから放出される次亜塩素酸によって、下流側において使用していない中空体ユニット6y及び中空体ユニット6zの表面が浄化され、中空体ユニット表面に微小物質が蓄積されることを抑制することができる。
【0053】
運転モード「小」における第一動作は、送水ポンプ8xのみが作動し、次亜塩素酸水溶液に圧力をかけて、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の中空体内に次亜塩素酸水溶液を供給する。より詳細には、第一動作では、図5(a)に示すように、送水ポンプ8xは、黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。つまり、送水ポンプ8xによって、次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから中空体ユニット6xの内部に導入され、空気風路4内で蛇行する中空体ユニット6xを流通し、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bから次亜塩素酸水貯留部7に流出し、次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液と混合される。一方、送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zは、作動しないため、次亜塩素酸水溶液に圧力がかからず、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット6y及び中空体ユニット6yの内部への次亜塩素酸水溶液の供給はなされない。つまり、運転モード「小」における第一動作では、3系統の中空体ユニットのうちの1系統の中空体ユニット(中空体ユニット6x)に対して、図5(a)の黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。
【0054】
運転モード「小」における第二動作は、送水ポンプ8xのみが作動し、第一動作とは逆方向に次亜塩素酸水溶液に圧力をかけて、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット6x内から次亜塩素酸水貯留部7に次亜塩素酸水溶液を排出する。この際、送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zは、第一動作に続いて停止状態を維持する。より詳細には、第二動作では、図5(b)に示すように、送水ポンプ8xは、黒矢印で示す方向(第一動作での流通方向と逆となる方向)に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。つまり、送水ポンプ8xによって、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニット6x内に残留する次亜塩素酸水溶液は、空気風路4内で蛇行する中空体ユニット6xを流通し、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから次亜塩素酸水貯留部7に排出され、次亜塩素酸水貯留部7に貯留される次亜塩素酸水溶液と混合される。このことは、送水ポンプ8xによって、貯留槽7aの上方空間の空気が、次亜塩素酸放出部6の終端流路6bから中空体ユニット6xの内部に導入され、空気風路4内で蛇行する中空体を流通し、次亜塩素酸放出部6の始端流路6aから次亜塩素酸水貯留部7に流出すると言える。ここで、次亜塩素酸水貯留部7に流出した空気は、次亜塩素酸水溶液内を気泡となって上昇していき、上方空間の空気と混合される。一方、送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zは、作動せず、第一動作に続いて停止状態を維持する。つまり、運転モード「小」における第二動作では、3系統の中空体ユニットのうちの1系統の中空体ユニット(中空体ユニット6x)に対して、図5(b)の黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液を一定の流速で流通させる。なお、第二動作は、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液を空気によって置換する動作と言ってもよい。
【0055】
以上のように、空間浄化装置20では、運転モード「大」/運転モード「中」/運転モード「小」の3つのモードを切り替えて空気浄化運転を行う。図1に戻る。
【0056】
制御部11は、送風部5及び送水部8の動作を制御する。より詳細には、制御部11は、操作パネル12に入力される動作設定に関する情報に基づいて、実行する運転モード(運転モード「大」/運転モード「中」/運転モード「小」)の特定、送風部5による送風動作、及び特定された運転モードに対応する送水部8による送水動作(第一動作、第二動作)をそれぞれ制御する。詳細は後述するが、制御部11は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0057】
操作パネル12は、例えば、筐体1の背面側に設置される。操作パネル12は、ユーザが操作可能なユーザインターフェースを備え、ユーザから空間浄化装置20の動作設定に関する情報を受けつける。動作設定は、空間浄化装置20の電源のオン/オフ設定、送風部5の風量設定、放出する次亜塩素酸に関する次亜塩素酸量「大」/次亜塩素酸量「中」/次亜塩素酸量「小」の設定、及び送水部8の送水流量設定を含む。操作パネル12は、制御部11に対して有線あるいは無線で接続されており、ユーザによって入力された動作設定に関する情報を制御部11に送信する。また、放出する次亜塩素酸量の各設定は、送水部8の運転モードの特定に用いられ、例えば、制御部11は放出する次亜塩素酸量「大」の設定の場合は、運転モード「大」となり、放出する次亜塩素酸量「中」の設定の場合は、運転モード「中」となり、放出する次亜塩素酸量「小」の設定の場合は、運転モード「小」となるように対応付けられている。
【0058】
以上のような構成により、空間浄化装置20では、送風部5及び送水部8の作動により、吸込部2から対象空間の空気4aが吸い込まれ、筐体1内に吸い込まれた空気4bが空気風路4を流通し、次亜塩素酸放出部6と接触した後、次亜塩素酸を含む空気4cが吹出部3から吹き出される。
【0059】
次に、図6を参照して、空間浄化装置20における各動作を行う制御部11について説明する。図6は、空間浄化装置20の制御部11を示すブロック図である。
【0060】
上述した通り、制御部11は、操作パネル12に入力される動作設定に関する情報に基づいて、実行する運転モードの特定、送風部5による送風動作、及び送水部8による送水動作(第一動作、第二動作)をそれぞれ制御する。
【0061】
具体的には、図6に示すように、制御部11は、入力部11aと、記憶部11bと、計時部11cと、処理部11dと、出力部11eと、を備える。
【0062】
入力部11aは、操作パネル12から送信される動作設定に関する情報を受け付ける。上述した通り、動作設定に関する情報には、送風部5の風量設定、及び送水部8の送水流量設定に関する情報が含まれる。なお、送水部8の送水流量設定に関する情報には、送水部8の加圧の方向の切り替えタイミング、つまり第一動作から第二動作への切り替えタイミングに関する情報も含まれる。
【0063】
記憶部11bは、処理部11dにより参照または更新されるデータを記憶する。例えば、記憶部11bは、次亜塩素酸量「大」/次亜塩素酸量「中」/次亜塩素酸量「小」に対応する各運転モード(運転モード「大」/運転モード「中」/運転モード「小」)の設定、つまり送風部5及び送水部8の動作態様を決定するアルゴリズムを記憶している。また、記憶部11bは、入力部11aが受け付けた動作設定に関する情報を記憶している。そして、記憶部11bは、記憶したデータ(記憶データ)を、処理部11dからの要求に応じて処理部11dに出力する。
【0064】
計時部11cは、処理部11dが実行するプログラムの中で、必要に応じて時間の測定に使用される。そして、計時部11cは、現在時刻を示すデータ(時刻データ)を処理部11dに出力する。
【0065】
処理部11dは、入力部11aからの動作設定に関する情報と、記憶部11bからの記憶データと、計時部11cからの時刻データとを受け付ける。処理部11dは、受け付けた各情報を用いて、実行する運転モード(運転モード「大」/運転モード「中」/運転モード「小」)を特定し、送風部5による送風動作及び特定した運転モードにおける送水部8による送水動作(第一動作、第二動作)及び停止動作の制御情報をそれぞれ特定する。より詳細には、処理部11dは、送風部5の風量設定に基づいて、送風部5の所定風量(例えば、標準風量)での送風動作に関する制御情報を特定する。また、処理部11dは、放出する次亜塩素酸量の設定及び送水部8の送水流量設定に基づいて、運転モードを特定し、送水部8の送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zの所定水量(例えば、標準水量)での送水動作(第一動作、第二動作)及び停止動作に関する制御情報を特定する。また、処理部11dは、計時部11cから取得する時刻データに基づいて空間浄化運転の実行時間に関する制御情報を特定する。そして、処理部11dは、特定した制御情報を出力部11eに出力する。
【0066】
出力部11eは、処理部11dから受け付けた制御情報に基づいて、各機器(送風部5及び送水部8)に信号(制御信号)をそれぞれ出力する。
【0067】
そして、送風部5は、出力部11eから出力された制御信号に基づいた送風動作を実行する。また、送水部8の送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zは、出力部11eから出力された制御信号に基づいた送水動作(第一動作、第二動作)または停止動作をそれぞれ実行する。
【0068】
以上のようにして、制御部11は、送風部5及び送水部8の各動作を実行させる。
【0069】
次に、図7を参照して、制御部11による送風部5及び送水部8における一連の処理動作について説明する。図7は、制御部11による空間浄化処理手順を示すフローチャートである。
【0070】
まず、図7に示すように、制御部11は、入力部11aが操作パネル12からの動作設定に関する情報を受け付けると、空間浄化運転(空間浄化処理)を開始する。具体的には、制御部11は、操作パネル12からの動作設定に関する情報に基づいて、空間浄化処理で使用する運転モードが運転モード「大」、運転モード「中」、及び運転モード「小」のいずれであるかを特定する(ステップS00)。そして、制御部11は、ステップS00で特定された運転モードに応じた空間浄化処理を行う。
【0071】
ステップS00において設定された運転モードが運転モード「大」であると特定された場合(ステップS00の「大」)には、制御部11は、送風部5を「オン」とし、所定風量での送風動作を開始させる(ステップS01a)。
【0072】
続いて、制御部11は、送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zを「順方向オン」とする(ステップS02a)。つまり、3系統ある送水ポンプのすべてを「順方向オン」とする。これにより、次亜塩素酸水貯留部7から中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6zの内部への、所定水量での次亜塩素酸水溶液の送水動作(第一動作)が開始される(ステップS03a)。つまり、図3(a)で示した黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液が一定の流速で流通するようになる。そして、次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニット内に次亜塩素酸水溶液が流通し始めると、各中空体ユニットの中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透していき、空気風路4内を流通する空気4bに放出されるようになり、空間浄化動作が開始される。
【0073】
ステップS04aは、記憶部11bに記憶された空間浄化動作の実行時間に関する制御情報に基づいた判定処理を行うためのステップである。制御部11は、例えば、空間浄化動作の実行時間が2時間である場合、計時部11cから出力される時刻情報を受け付けながら、ステップS03aを起点として2時間経過するまでは時刻の判定を繰り返し、2時間経過した場合(ステップS04aのYes)には、ステップS05aに処理を進める。
【0074】
ステップS05aでは、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zのすべてを「オフ」とし、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニット内への次亜塩素酸水溶液の送水動作(第一動作)を停止させる。これにより、次亜塩素酸が空気風路4内を流通する空気4bに放出されなくなり、空間浄化動作が終了する。
【0075】
続いて、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zのすべてを「逆方向オン」とする(ステップS06a)。これにより、次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7への、所定水量での次亜塩素酸水溶液の排水動作(第二動作)が開始される(ステップS07a)。つまり、図3(b)で示した黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液が一定の流速で流通するようになる。そして、制御部11は、次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7に次亜塩素酸水溶液を排出する排水動作を一定時間(例えば、1分)実行させる。一定時間は、次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液が確実に排水される時間に設定される。なお、一定時間は、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液が空気によって確実に置換される時間でもある。
【0076】
そして、ステップS07aにおいて一定時間が経過すると、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8x、送水ポンプ8y、及び送水ポンプ8zのすべてを「オフ」とする(ステップS08a)。これにより、次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7への次亜塩素酸水溶液の排水動作(第二動作)を停止させる。この結果、次亜塩素酸放出部6の各中空体ユニット内に残留する次亜塩素酸水溶液が排出された状態となるので、装置停止後において次亜塩素酸放出部6から次亜塩素酸の放出が抑制される。
【0077】
続いて、制御部11は、送風部5を「オフ」として送風動作を停止させる(ステップS09a)。
【0078】
以上のようにして、運転モード「大」での空間浄化装置20の制御部11による空間浄化処理手順が終了する。
【0079】
次に、ステップS00において設定された運転モードが運転モード「中」であると特定された場合(ステップS00の「中」)には、制御部11は、送風部5を「オン」とし、所定風量での送風動作を開始させる(ステップS01b)。
【0080】
続いて、制御部11は、送水ポンプ8x及び送水ポンプ8yを「順方向オン」とする(ステップS02b)。つまり、3系統のうちの2系統の送水ポンプを「順方向オン」とする。残りの送水ポンプ8zはオフのままである。これにより、次亜塩素酸水貯留部7から中空体ユニット6x及び中空体ユニット6yの内部への、所定水量での次亜塩素酸水溶液の送水動作(第一動作)が開始される。(ステップS03b)。つまり、図4(a)で示した黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液が一定の流速で流通するようになる。そして、次亜塩素酸放出部6の2系統の中空体ユニット(中空体ユニット6x及び中空体ユニット6y)内に次亜塩素酸水溶液が流通し始めると、2系統の中空体ユニットの中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透していき、空気風路4内を流通する空気4bに放出されるようになり、空間浄化動作が開始される。
【0081】
ステップS04bは、記憶部11bに記憶された空間浄化動作の実行時間に関する制御情報に基づいた判定処理を行うためのステップである。制御部11は、例えば、空間浄化動作の実行時間が2時間である場合、計時部11cから出力される時刻情報を受け付けながら、ステップS03bを起点として2時間経過するまでは時刻の判定を繰り返し、2時間経過した場合(ステップS04bのYes)には、ステップS05bに処理を進める。
【0082】
ステップS05bでは、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8x及び送水ポンプ8yを「オフ」とし、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の2系統の中空体ユニット内への次亜塩素酸水溶液の送水動作(第一動作)を停止させる。これにより、次亜塩素酸が空気風路4内を流通する空気4bに放出されなくなり、空間浄化動作が終了する。
【0083】
続いて、制御部11は、第一動作で使用した送水部8と同じ送水ポンプ8x及び送水ポンプ8yを「逆方向オン」とする(ステップS06b)。つまり、3系統のうちの第一動作で使用した2系統の送水ポンプを「逆方向オン」とする。残りの送水ポンプ8zはオフのままである。これにより、次亜塩素酸放出部6の2系統の中空体ユニットから次亜塩素酸水貯留部7への、所定水量での次亜塩素酸水溶液の排水動作(第二動作)が開始される(ステップS07b)。つまり、図4(b)で示した黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液が一定の流速で流通するようになる。そして、制御部11は、次亜塩素酸放出部6の2系統の中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7に次亜塩素酸水溶液を排出する排水動作を一定時間(例えば、1分)実行させる。一定時間は、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液が確実に排水される時間に設定される。なお、一定時間は、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液が空気によって確実に置換される時間でもある。
【0084】
そして、ステップS07bにおいて一定時間が経過すると、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8x及び送水ポンプ8yを「オフ」とする(ステップS08b)。これにより、次亜塩素酸放出部6の2系統の中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7への次亜塩素酸水溶液の排水動作(第二動作)を停止させる。この結果、次亜塩素酸放出部6の2系統の中空体ユニット内に残留する次亜塩素酸水溶液が排出された状態となるので、装置停止後において次亜塩素酸放出部6から次亜塩素酸の放出が抑制される。
【0085】
続いて、制御部11は、送風部5を「オフ」として送風動作を停止させる(ステップS09b)。
【0086】
以上のようにして、運転モード「中」での空間浄化装置20の制御部11による空間浄化処理手順が終了する。
【0087】
次に、ステップS00において設定された運転モードが運転モード「小」であると特定された場合(ステップS00の「小」)には、制御部11は、送風部5を「オン」とし、所定風量での送風動作を開始させる(ステップS01c)。
【0088】
続いて、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8xのみを「順方向オン」とする(ステップS02c)。つまり、3系統のうちの1系統の送水ポンプのみを「順方向オン」とする。残りの送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zはオフのままである。これにより、次亜塩素酸水貯留部7から1系統中空体ユニット(中空体ユニット6x)の内部への、所定水量での次亜塩素酸水溶液の送水動作(第一動作)が開始される。(ステップS03c)。つまり、図5(a)で示した黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液が一定の流速で流通するようになる。そして、次亜塩素酸放出部6の1系統の中空体ユニット内に次亜塩素酸水溶液が流通し始めると、1系統の中空体ユニットの中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透していき、空気風路4内を流通する空気4bに放出されるようになり、空間浄化動作が開始される。
【0089】
ステップS04cは、記憶部11bに記憶された空間浄化動作の実行時間に関する制御情報に基づいた判定処理を行うためのステップである。制御部11は、例えば、空間浄化動作の実行時間が2時間である場合、計時部11cから出力される時刻情報を受け付けながら、ステップS03cを起点として2時間経過するまでは時刻の判定を繰り返し、2時間経過した場合(ステップS04cのYes)には、ステップS05cに処理を進める。
【0090】
ステップS05cでは、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8xを「オフ」とし、次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸放出部6の1系統の中空体ユニット内への次亜塩素酸水溶液の送水動作(第一動作)を停止させる。これにより、次亜塩素酸が空気風路4内を流通する空気4bに放出されなくなり、空間浄化動作が終了する。
【0091】
続いて、制御部11は、第一動作で使用した送水部8と同じ送水ポンプ8xを「逆方向オン」とする(ステップS06c)。つまり、3系統のうちの第一動作で使用した1系統の送水ポンプのみを「逆方向オン」とする。残りの送水ポンプ8y及び送水ポンプ8zはオフのままである。これにより、次亜塩素酸放出部6の1系統の中空体ユニットから次亜塩素酸水貯留部7への、所定水量での次亜塩素酸水溶液の排水動作(第二動作)が開始される(ステップS07c)。つまり、図5(b)で示した黒矢印で示す方向に次亜塩素酸水溶液が一定の流速で流通するようになる。そして、制御部11は、次亜塩素酸放出部6の1系統の中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7に次亜塩素酸水溶液を排出する排水動作を一定時間(例えば、1分)実行させる。一定時間は、次亜塩素酸放出部6の1系統の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液が確実に排水される時間に設定される。なお、一定時間は、次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットの内部に残留する次亜塩素酸水溶液が空気によって確実に置換される時間でもある。
【0092】
そして、ステップS07cにおいて一定時間が経過すると、制御部11は、送水部8の送水ポンプ8xを「オフ」とする(ステップS08c)。これにより、次亜塩素酸放出部6の1系統の中空体ユニット内から次亜塩素酸水貯留部7への次亜塩素酸水溶液の排水動作(第二動作)を停止させる。この結果、次亜塩素酸放出部6の1系統の中空体ユニット内に残留する次亜塩素酸水溶液が排出された状態となるので、装置停止後において次亜塩素酸放出部6から次亜塩素酸の放出が抑制される。
【0093】
続いて、制御部11は、送風部5を「オフ」として送風動作を終了させる(ステップS09c)。
【0094】
以上のようにして、運転モード「小」での空間浄化装置20の制御部11による空間浄化処理手順が終了する。
【0095】
以上のように空間浄化装置20では、空間浄化運転時に次亜塩素酸放出部6における次亜塩素酸水が通水される中空体ユニットの数(3系統、2系統、又は1系統)を調整することによって、従来の空間浄化装置よりも、対象空間への次亜塩素酸の放出量(次亜塩素酸量)の調整範囲を拡大させている。
【0096】
以上、本実施の形態1に係る空間浄化装置20によれば、以下の効果を享受することができる。
【0097】
(1)空間浄化装置20は、対象空間に次亜塩素酸を放出する次亜塩素酸放出部6と、次亜塩素酸放出部6に供給する次亜塩素酸水溶液を貯留する次亜塩素酸水貯留部7と、次亜塩素酸水貯留部7と次亜塩素酸放出部6との間で次亜塩素酸水溶液の輸送を行う送水部8と、送水部8の動作を制御する制御部11と、を備える。次亜塩素酸放出部6は、水よりも次亜塩素酸と相溶性の高い素材で形成された中空体によって構成された中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)を複数有する。中空体ユニットのそれぞれは、中空体内に次亜塩素酸水貯留部7から次亜塩素酸水溶液が供給されると、各中空体ユニットの中空構造内から外へ次亜塩素酸が浸透する過程で次亜塩素酸を微細化し、微細化された次亜塩素酸を対象空間内の空気中に放出する。制御部11は、送水部8に対して、次亜塩素酸水貯留部7から中空体ユニットのそれぞれに次亜塩素酸水溶液を供給する動作を実行させるようにした。
【0098】
こうした構成によれば、空間浄化運転時に次亜塩素酸放出部6における次亜塩素酸水の通水される中空体ユニット数を調整することができる。これにより、通水する次亜塩素酸水の濃度を調整する(濃くしたり薄くしたりする)ことなく、通水する中空体ユニットの数を増減することによって対象空間に放出する次亜塩素酸の放出量を調整することができる。つまり、次亜塩素酸の中空体浸透を用いて次亜塩素酸を放出する空間浄化装置20において、対象空間へ放出する次亜塩素酸の放出量を調整可能な空間浄化装置20とすることができる。
【0099】
(2)空間浄化装置20では、制御部11は、次亜塩素酸水貯留部7から中空体ユニットのそれぞれへの次亜塩素酸水溶液の供給の有無によって、対象空間への次亜塩素酸の放出量を制御するようにした。これにより、制御部11は、対象空間に放出したい次亜塩素酸量に応じて、中空体ユニットの通水を制御し、次亜塩素酸の放出量の大小に応じた制御を行うことができる。
【0100】
(3)空間浄化装置20では、制御部11は、操作パネル12から入力される次亜塩素酸の放出量(次亜塩素酸量「大」/次亜塩素酸量「中」/次亜塩素酸量「小」)に関する設定情報に基づいて、空間浄化動作における運転モード(運転モード「大」、運転モード「中」、運転モード「小」)を特定し、特定した運転モードにおける空気浄化動作を行うようにした。これにより、次亜塩素酸の中空体浸透を用いて次亜塩素酸を放出する空間浄化装置20において、対象空間へ放出する次亜塩素酸の放出量の調整範囲の拡大を簡単な装置構成で実現することができる。
【0101】
(4)空間浄化装置20は、対象空間から空気を吸い込む吸込口2aと、吸込口2aから吸い込んだ空気を対象空間に吹き出す吹出口3aと、吸込口2aと吹出口3aとの間に構成される空気風路4と、空気風路4内に設けられ、吸込口2aから吸い込んだ空気を吹出口3aまで送り出す送風部5と、を備える。次亜塩素酸放出部6は、空気風路4内に配置され、空気風路4を流通する空気4bによって、中空体ユニットの表面から次亜塩素酸を空気風路4に放出するようにした。これにより、空間浄化装置20の外部の空気の流れの影響を受けず、それぞれの中空体ユニットと空気と触れる時間を一定にすることができるため、より精度の高い次亜塩素酸量の放出量制御を行うことができる。
【0102】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0103】
本実施の形態に係る空間浄化装置20では、次亜塩素酸放出部6を空気風路4と垂直に設ける構成(図2参照)としたが、次亜塩素酸放出部6を空気風路4に対して平行に設ける構成としてもよい。これにより、次亜塩素酸放出部6と空気4aが垂直に当たる面積が減るので、空気風路4内での圧力損失の上昇を低減することができる。加えて、次亜塩素酸放出部6の設計自由度が向上する。
【0104】
また、本実施の形態に係る空間浄化装置20では、次亜塩素酸放出部6からの次亜塩素酸の放出量を調節するため、次亜塩素酸放出部6の中空体の膜の厚さを変えてもよい。また、次亜塩素酸放出部6が空気風路4に露出する形状を変える構成をとってもよい。例えば、次亜塩素酸放出部6の中空体の直径を増大したり、断面が直方体となるような中空体構造を用いたりしてもよい。さらに、次亜塩素酸放出部6の材質を変えてもよい。例えば、次亜塩素酸との相溶性がより高い素材を用いて次亜塩素酸の放出量を増加させたり、次亜塩素酸との相溶性がより低い素材を用いて次亜塩素酸の放出量を減少させたりしてもよい。
【0105】
また、本実施の形態に係る空間浄化装置20では、次亜塩素酸放出部6を、3系統の中空体ユニット(中空体ユニット6x、中空体ユニット6y、及び中空体ユニット6z)によって構成したが、これに限られない。例えば、次亜塩素酸放出部6を、2系統の中空体ユニットあるいは4系統以上の中空体ユニットによって構成してもよい。例えば、5系統の中空体ユニットによって構成される次亜塩素酸放出部6を用いた場合には、象空間へ放出する次亜塩素酸の放出量の調整範囲をさらに拡大できるとともに、多段階でのより精度の高い次亜塩素酸の放出量制御を行うことができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る空間浄化装置20では、次亜塩素酸放出部6を構成するそれぞれの中空体ユニットは、同等の形状であってもよいし、互いに異なる形状(例えば、流路長)であってもよい。これにより、次亜塩素酸放出部6の設計自由度が向上する。
【0107】
また、本実施の形態に係る空間浄化装置20では、筐体1内に送風部5を設けて空気風路4に空気4bの流れを発生させるようにしたが、これに限られない。例えば、空間浄化装置20から送風部5及び空気風路4をなくして次亜塩素酸放出部6を対象空間に露出させ、対象空間内に自然に生じる空気の流れによって次亜塩素酸放出部6の中空体ユニットから次亜塩素酸が拡散するように構成してもよい。このようにしても、少なくとも上述した効果(1)~効果(3)を享受することができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る空間浄化装置は、家庭用、事務用、又は公共空間などにおいて除菌・脱臭などを行う装置又はシステムとしての活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0109】
1 筐体
2 吸込部
2a 吸込口
2b 防護網
3 吹出部
3a 吹出口
3b 吹出方向フード
4 空気風路
4a 空気
4b 空気
4c 空気
5 送風部
6 次亜塩素酸放出部
6a 始端流路
6b 終端流路
6c 流路
6x 中空体ユニット
6y 中空体ユニット
6z 中空体ユニット
7 次亜塩素酸水貯留部
7a 貯留槽
7b 圧調整管
7c 逆止弁
8 送水部
8x 送水ポンプ
8y 送水ポンプ
8z 送水ポンプ
9a 配管
9b 配管
11 制御部
11a 入力部
11b 記憶部
11c 計時部
11d 処理部
11e 出力部
12 操作パネル
20 空間浄化装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7