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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118146
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】車両処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230818BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020918
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青木 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 利明
(72)【発明者】
【氏名】小島 弘行
(72)【発明者】
【氏名】神戸 直樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐介
(72)【発明者】
【氏名】荻原 隆
(72)【発明者】
【氏名】徳竹 亮志
(72)【発明者】
【氏名】大田 敬和
(72)【発明者】
【氏名】西澤 知義
(72)【発明者】
【氏名】竹内 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】天野 義樹
(72)【発明者】
【氏名】横沢 直哉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC17
(57)【要約】
【課題】
混雑状況を「混雑中」として配信してもユーザにサービスの利用を諦められることがない車両処理システムを提供する。
【解決手段】
ネットワークに接続された複数の車両処理場(25)およびネットワークに接続された端末装置(20)を備える車両処理システム(10)であって、前記車両処理システム(10)は、複数の前記車両処理場に関する情報を配信可能な配信手段(51)を有し、複数の前記車両処理場は、該車両処理場内を撮像可能な撮像手段(50)をそれぞれ有し、前記車両処理システムは、前記撮像手段により撮像された画像を解析可能な画像解析手段(70)と、前記画像解析手段の解析結果から複数の前記車両処理場それぞれの混雑度を判定可能な混雑度判定手段(71)とをさらに有し、前記端末装置は、複数の前記車両処理場が提供するサービスの料金を、所定のパラメータに基づき計算可能な計算手段(80)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数の車両処理場およびネットワークに接続された端末装置を備える車両処理システムであって、
前記車両処理システムは、複数の前記車両処理場に関する情報を配信可能な配信手段を有し、
複数の前記車両処理場は、該車両処理場内を撮像可能な撮像手段をそれぞれ有し、
前記車両処理システムは、前記撮像手段により撮像された画像を解析可能な画像解析手段と、前記画像解析手段の解析結果から複数の前記車両処理場それぞれの混雑度を判定可能な混雑度判定手段とをさらに有し、
前記端末装置は、複数の前記車両処理場が提供するサービスの料金を、所定のパラメータに基づき計算可能な計算手段を有する
車両処理システム。
【請求項2】
前記車両処理システムは、該車両処理システムの利用者の現在位置に関する情報を取得可能な位置情報取得手段を有し、
前記端末装置は、前記車両処理場が提供するサービスの料金を、前記利用者ごとに所定のパラメータに基づき計算可能な計算手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両処理システム。
【請求項3】
前記車両処理システムは、前記車両処理場内に存在する車両同士の間隔を検出可能な車両間隔検出手段を有し、
前記車両同士の間隔に基づき、該車両の運転者に指示を出すことができる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両処理システム。
【請求項4】
前記車両処理システムは、車両処理装置としての洗車装置を有し、
前記洗車装置は、前記混雑度に基づき、車両の洗浄速度を制御可能である
ことを特徴する請求項1~3のいずれか一項に記載の車両処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
洗車場の混雑状況を、その洗車場の運営者やユーザに通知可能なシステムが知られている。例えば特開2003-122340(以下、特許文献1とする。)には、各洗車場の様子を撮像し、その画像を解析することで各洗車場に存在する車両数を把握可能であり、かつその車両数データを洗車場の混雑状況としてインターネット上で公開可能な洗車場システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-122340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、「混んでいる」といった情報をユーザに提供するシステムは、場合によってはユーザにサービスの利用を諦めさせてしまうという問題があった。例えばユーザがインターネットで各地の洗車場の混雑状況を調べたとき、すべての場所が混雑中であったり、ユーザの現在地から遠い場所しか空いていなかったりすると、ユーザは洗車場の利用を諦めて自らの手で洗車することを選ぶおそれがあった。また、「混んでいる」通知を洗車場において行う場合にも、来場したユーザがその表示を見て諦めて帰ってしまうおそれがあった。このようにしてユーザがサービスの利用を諦めるたびに、サービスの運営者は売上を逃がしていた。
【0005】
本発明の一目的は、混雑状況を「混雑中」として配信してもユーザにサービスの利用を諦められることがない車両処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る車両処理システムは、ネットワークに接続された複数の車両処理場およびネットワークに接続された端末装置を備える車両処理システムであって、前記車両処理システムは、複数の前記車両処理場に関する情報を配信可能な配信手段を有し、複数の前記車両処理場は、該車両処理場内を撮像可能な撮像手段をそれぞれ有し、前記車両処理システムは、前記撮像手段により撮像された画像を解析可能な画像解析手段と、前記画像解析手段の解析結果から複数の前記車両処理場それぞれの混雑度を判定可能な混雑度判定手段とをさらに有し、前記端末装置は、複数の前記車両処理場が提供するサービスの料金を、所定のパラメータに基づき計算可能な計算手段を有することを一特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一解決手段に係る車両処理システムによれば、車両処理場の混雑時に混雑状況を「混雑中」として配信しながらも、ユーザに効果的に来場を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る車両処理システム10の構成図である。
図2図1に示す車両処理システム10が有する処理サーバ20の構成図である。
図3図1に示す車両処理システム10が有する洗車装置30の側面図である。
図4図1に示す車両処理システム10が有する洗車装置30の正面図である。
図5図1に示す車両処理システム10が有する本体制御部60の構成図である。
図6図1に示す車両処理システム10のユーザへの通知処理の一例を示すフロー図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る車両処理システム10Aが有するアプリケーション110の画面の一例を示す説明図である。
図8図7に示す車両処理システム10Aに係るユーザ端末101の構成図である。
図9図7に示す車両処理システム10Aが有する処理サーバ20Aの構成図である。
図10図1に示す車両処理システム10Aのユーザへの通知処理の一例を示すフロー図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る車両処理システム10Bが有する本体制御部60Bの構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0010】
(第1実施形態)
本発明に係る車両処理システムの実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態では、車両処理サーバとネットワークを介して接続される車両処理場に設けられる車両処理装置として、車両の外部(車体面)を洗浄する機能を有する洗車装置を用いて説明する。
【0011】
図1に車両処理システム10の構成図を示す。車両処理システム10は、処理サーバ20と、同一の運営者により運営される複数の洗車場25とを備えている。複数の洗車場25は、それぞれ距離が離れた異なる敷地に設けられ、1台あるいは複数台の洗車装置30を備えている。処理サーバ20および洗車装置30は、IoT(Internet of Things)技術が用いられ、ネットワーク11を介して通信可能に接続されている。処理サーバ20は、複数の洗車場25の洗車装置30を遠隔制御し、システム全体を管理する機能を有している。洗車装置30は、ユーザの車両Cに対して処理を行う機能を有している。ネットワーク11は、有線通信の伝送路や無線通信の伝送路などによって構成される。より具体的には、例えばインターネット、P2P(Peer to Peer)ネットワーク、専用回線、電力線通信回線、VPN(Virtual Private Network)、無線パケット通信網、携帯電話回線、無線LAN(Local Area Network)、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などによって構成される。
【0012】
複数の洗車場25は、さらに撮像装置としてのカメラ50を備えている。カメラ50は、CCDカメラなどの光学機器であり、各洗車場25内や各洗車場25の周辺を静止画あるいは動画として撮像可能なように設置される。カメラ50は、IoT(Internet of Things)技術が用いられ、ネットワーク11を介して処理サーバ20および洗車装置30と通信可能に接続される。カメラ50により取得された画像は、後述する混雑度判定手段71が各洗車場25内の混雑状況を判定するためなどに使用される。そのため、カメラ50は、各洗車場25内の車両の動線上、混雑時などにおいて車両の待機列が形成されやすい位置などを画角内におさめて設置するとよい。各洗車場25にカメラ50を何台設置するかは、その洗車場25の敷地の広さなどに応じて適宜決定するとよい。
【0013】
複数の洗車場25は、さらに配信手段としての表示部51を備えている。表示部51は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイから構成される。表示部51は、カメラ50と同様IoT(Internet of Things)技術が用いられ、ネットワーク11を介して少なくとも処理サーバ20と通信可能に接続される。表示部51は、処理サーバ20からの信号に基づき、複数の洗車場25が提供するサービスの価格や、複数の洗車場25の混雑度合など、来場した利用客に有益な情報を表示(配信)することができる。表示部51は、こうした情報を提供するために、各洗車場25内の、導線上混雑時などにおいて車両の待機列が形成されやすい位置から見やすい向きで設置するとよい。各洗車場25に表示部51を何台設置するか、またどの程度の大きさ(解像度)の表示部51を設置するかは、その洗車場25の敷地の広さなどに応じて適宜決定するとよい。
【0014】
なお、複数の洗車場25は、本実施形態においては店舗レベルで同一の運営者が運営する一群の洗車場として扱うが、例えばある運営者が運営する一つのフランチャイズシステムによって紐づけられる、店舗単位では運営者が異なる複数の洗車場などにより構成されていてもよい。また、同一の運営者が運営する洗車場は、必ずしもそのすべてが複数の洗車場25として一括りにされなければならないものではない。例えば特定の地域内であったり、ある店舗から所定距離以内(例えば10キロ圏内)であったりなど、所定の条件に基づき同一の運営者が運営する洗車場をグループ分けして、そのうちの1グループを複数の洗車場25として見なしてもよい。
【0015】
図2に処理サーバ20の構成図を示す。処理サーバ20は、例えば、各洗車装置30などからアクセスされるHTTPサーバである。処理サーバ20は、制御部21と、記憶部22と、受信手段および送信手段を有する通信部23とを備えている。
【0016】
制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成され、記憶部22など処理サーバ20の各構成部と接続されている。制御部21は、記憶部22に記憶されているプログラムの実行により与えられた処理を行い、処理サーバ20の機能を実現することができる。すなわち、制御部21は、各構成部などからの信号やテータに基づき、予めプログラムされたシーケンスに従って、処理サーバ20の機能を発揮させるための種々の手段(機能構成部)を備えている。
【0017】
制御部21は、複数の洗車場25において提供されるサービスの価格を算定し、更新する手段(価格算定手段80)を備えている。価格算定手段80のサービス価格算定には、例えば複数の洗車場25の混雑度が変数として用いられる。価格算定手段80の価格算定方法については後の段落で説明する。
【0018】
また、制御部21は、複数の洗車場25に備えられている表示部51の表示内容を制御する表示制御部81を備えている。表示制御部81は、例えば価格算定手段80がいずれかの洗車場25において提供されるサービスの価格を更新した場合に、それをユーザに通知するべく、表示部51の表示内容を更新することができる。
【0019】
記憶部22は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、プログラムや各種データを記憶することができる。通信部23は、例えばNIC(Network Interface Controller)などで構成され、ネットワーク11を介して各洗車装置30などと処理サーバ20の間における通信を確立することができる。
【0020】
図3に洗車装置30の模式的側面図、図4に洗車装置30の模式的正面図を示す。
【0021】
本実施形態において、洗車装置30は、地面G(敷説面)に起立して設けられた本体部31を備えている。本体部31は、ユーザの車両Cに対して洗浄などの処理を行うことができる。本体部31は、処理対象となる車両Cを跨ぐように門型状のフレーム(筐体)で構成されている。このため、本体部31は、地面Gから起立する一対の脚フレーム31aと、この一対の脚フレーム31aにかかる梁フレーム31bとを有する。なお、以降の説明においては、図3の右方を本体部31の前方、図3の左方を本体部31の後方とする。
【0022】
また、洗車装置30は、一対のレール32と、車輪33と、車輪34とを備えている。一対のレール32は、互いが平行となるように延在して地面Gに設けられている。車輪33および車輪34は、一対の脚フレーム31aの底部にそれぞれ設けられている。洗車装置30では、車輪33を駆動輪、車輪34を従動輪としている。本体部31は、この一対のレール32間に車両Cが停車した状態で、レール32上を車輪33および車輪34(計4輪)を介して前後に移動(往復走行)可能である。
【0023】
また、洗車装置30は、走行用モータ35と走行用エンコーダ36を備えている。走行用モータ35は、地面Gに対して車輪33よりも高い位置から車輪33と接続されるように本体部31の一対の脚フレーム31aそれぞれに設けられている。走行用モータ35は正逆転可能に構成されており、車輪33(駆動輪)を介して本体部31を前後に移動させる。走行用エンコーダ36は、本体部31の脚フレーム31aの一方に設けられており、その一方側の走行用モータ35の出力軸に連結されている。走行用エンコーダ36は、レール32上における本体部31の走行位置を検出する。すなわち、走行用エンコーダ36は、走行用モータ35の回転方向(すなわち車輪33の回転方向)を検出しながら単位角度回転ごとにパルス信号を出力する。
【0024】
また、洗車装置30は、ゲート装置39を備えている。ゲート装置39は、上下に揺動可能な遮断桿40を有している。ゲート装置39の遮断桿40は、例えば後述する受付装置41により洗車受付(サービス実行予約)がなされた場合などに必要に応じて開放される。ゲート装置39は、車両Cの洗浄処理中などに本体部31の走行範囲内に他の車両が近づくことを防止することができる。
【0025】
また、洗車装置30は、受付装置41を備えている。受付装置41は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどからなる表示部42を備えている。そのため、表示部42は、ユーザに向けて洗車装置30に関するデータを表示することができる。さらに、表示部42は、静電容量方式や抵抗膜方式などのタッチパネル機能を有している。洗車装置30のユーザは、表示部42に触れることで、例えばどのようなサービス(洗車など)を受けるかなどを決定することができる。
【0026】
また、洗車装置30は、洗浄処理装置として、本体部31に設けられたトップブラシ43および一対のサイドブラシ44を備えている。トップブラシ43(回転ブラシ)は、待機時には門型状の本体部31の梁フレーム31bに収容されている。トップブラシ43は、可動部として本体部31の移動に伴って回転しながら上下に昇降し、主に車両Cの上面をブラッシングすることができる。また、一対のサイドブラシ44(回転ブラシ)は、それぞれ待機時には門型状の本体部31の脚フレーム31aに収容されている。一対のサイドブラシ44は、可動部として本体部31の移動に伴って回転しながら開閉動作(互いが近づいたり離れたりする動作)し、主に車両Cの前面、側面、および後面をブラッシングすることができる。
【0027】
また、洗車装置30は、洗浄処理装置として、本体部31に設けられるトップスプレー45および一対のサイドスプレー46を備えている。トップスプレー45は、門型状の本体部31の梁フレーム31bに収容されている。トップスプレー45は、本体部31の移動に伴ってパイプに設けられた複数の噴射ノズル(不図示)から水や洗浄剤などの洗浄液を噴射し、主に車両Cの上面を洗浄することができる。また、一対のサイドスプレー46は、それぞれ門型状の本体部31の脚フレーム31aに収容されている。一対のサイドスプレー46は、本体部31の移動に伴ってパイプに設けられた複数の噴射ノズル(不図示)から水や洗浄剤などの洗浄液を噴射し、主に車両Cの側面を洗浄することができる。なお、洗車装置30では、本体部31の前進に伴って車両Cをブラッシング洗浄するため、トップスプレー45およびサイドスプレー46はトップブラシ43およびサイドブラシ44よりも本体部31の前側に設けられている。
【0028】
また、洗車装置30は、洗浄処理装置として、本体部31に設けられるトップノズル47(ブロワノズル)および一対のサイドノズル48(ブロワノズル)を備えている。トップノズル47は、待機時には門型状の本体部31の梁フレーム31bに収容されている。トップノズル47は、可動部として本体部31の移動に伴って送風しながら車両Cと接触せずに上下に昇降し、主に車両Cの上面を乾燥することができる。また、一対のサイドノズル48は、それぞれ待機時には門型状の本体部31の脚フレーム31aに収容されている。一対のサイドノズル48は、可動部として本体部31の移動に伴って送風しながら車両Cと接触せずに開閉動作し、主に車両Cの側面を乾燥することができる。
【0029】
また、洗車装置30は、本体部31に、車両Cの形状を検出する車両検出部49を備えている。車両検出部49は、本体部31の前側で本体部31の起立方向(車両Cの車高方向)に延在して設けられている。車両検出部49は、例えば光電センサを用いた公知の手法により車両Cの形状を検出することができる。より具体的には、本体部31の移動に伴い、車両Cの側方からの形状(シルエット)を読み取ることができる。なお、洗車装置30は本体部31の前進に伴い車両Cの形状に沿ってブラッシング洗浄するため、車両検出部49はトップブラシ43およびサイドブラシ44よりも本体部31の前側に設けられている。
【0030】
洗車装置30は、車両検出部49の検出結果をもとにトップブラシ43やトップノズル47などの洗浄処理装置を駆動する。車両検出部49で取得した車両Cの形状に沿って処理装置を駆動することにより、例えばブラッシング時にトップブラシ43が車両Cに強く押し当てられることを防止したり、乾燥時にトップノズル47が車両Cと接触することを防止したりすることができる。
【0031】
図5は洗車装置30の制御系を示す構成図である。図5に示すように、本体部31は、本体制御部60と、本体記憶部61と、本体通信部62を備えている。本体制御部60は、例えばCPUなどから構成され、本体通信部61などの各構成部と接続されている。また、本体記憶部61は、例えばROM、RAM、外部メモリ(USBメモリなど)から構成されている。また、本体通信部62は、ネットワーク11と接続されるものであり、例えばモバイル通信回路などから構成されている。
【0032】
本体制御部60では、本体記憶部61に記憶されているプログラムの実行が行われる。すなわち、本体制御部60は、各構成部などからの信号やテータに基づき、予めプログラムされたシーケンスに従って、本体部31の機能を発揮させるための種々の手段(機能構成部)を備えている。
【0033】
例えば、本体制御部60は、走行用エンコーダ36のパルス信号から本体部31の走行位置を検出する手段(走行検出手段63)を備えている。また、本体制御部60は、走行用エンコーダ36のパルス信号をトリガに車両検出部49を駆動して車両Cの高さ位置を検出する手段(車形検出手段64)を備えている。また、本体制御部60は、走行検出部63と車形検出部64の検出結果から車形データを作成する手段(車形データ作成手段65)を備えている。この車形データは、本体記憶部61に記憶される。そして、本体制御部60は、本体記憶部61から読み出した車形データなどに基づいてブラシ43・44などの各洗浄処理装置などを制御する。
【0034】
さらに、本体制御部60は、入力画像(すなわちカメラ50により撮影された画像)に画像認識処理を実行することにより、画像内に存在する車両を検出する手段(画像処理手段70)を備えている。画像処理手段70による車両の検出には、例えばディープラーニングなどの機械学習により生成された学習済みモデルが用いられる。例えば画像処理手段70による車両の検出は、カメラ50により撮影された画像を複数の領域に分割し、その各領域について車両の存在の有無を学習済みモデルに基づき推定するといったYOLO(You Only Look Once)やSSD(Single Shot Detector)などの領域単位の物体認識モデルを用いて行われる。
【0035】
また、本体制御部60は、画像処理手段70の車両検出結果から洗車場25の混雑度合を判定する手段(混雑度判定手段71)を備えている。混雑度判定手段71は、例えば入力画像内における、画像処理手段70により車両が存在すると推定された領域の占める割合が一定基準を超えている場合に、洗車場25が混雑していると判定する。
【0036】
なお、混雑度判定手段71の混雑度判定に係る方法は上記に限定されるものではなく、例えば画像処理手段70により洗車場25内に存在する車両の台数を検出可能とし、一定の台数以上の車両が存在する場合に混雑していると判定するよう構成してもよい。
【0037】
このように本体制御部60は種々の手段(機能)を備えており、本体制御部60によって各手段が実行される。なお、各手段は本体制御部60が有するものとして説明したが、本体制御部60とは別個の部材(装置)として設けられてもよい。特に洗車場25の混雑度判定にかかる機能(例えば画像処理手段70や混雑度判定手段71など)は必ずしも洗車装置30に備えられなければならないものではなく、例えば処理サーバ20に備えてもよい。
【0038】
洗車装置30の動作(車両Cの洗浄処理サービス)について説明する。ユーザは受付装置41を介して洗車装置30が実行する洗浄工程(洗浄処理コース)を決定する。すると、洗車装置30は、所定の停車位置に車両Cを停止させるよう表示や音声などによってユーザに案内する。車両Cが所定の停車位置に到達したことが図示しないセンサなどによって検出されたら、洗車装置30はユーザが決定した洗浄処理を実行する。
【0039】
例えば本体部31がレール32上を1.5往復して洗浄を行うサービス(1.5往復洗車コース)が受付装置41で選択されている場合、洗車装置30は、第1往工程として、本体部31を前方に移動(往行走行)させながら車両検出部49により車両Cを検出しつつ、トップスプレー45およびサイドスプレー46から洗浄水と洗浄剤を散布する。さらに車両検出部49で求められた車両Cの形状に合わせ、トップブラシ43やサイドブラシ44を用いて車両Cの表面をブラッシング洗浄する。
【0040】
次いで、洗車装置30は、復工程として、本体部31を後方に移動(復行走行)させながらトップスプレー45およびサイドスプレー46から車両Cに洗浄水を散布し、汚れや洗浄剤を流し落とす。
【0041】
最後に、洗車装置30は、第2往工程として、本体部31を前方に移動(往行走行)させながらトップノズル47などを用いて車両Cに送風し、水滴を除去して乾燥を図る。その後、音声などによりユーザに退車するよう案内し、洗浄処理終了とする。
【0042】
次に、洗車場25が混雑している場合のユーザへの通知(配信)処理の一例について図6のフロー図を参照し説明する。
【0043】
複数の洗車場25に備えられているカメラ50は、所定の時間間隔ごと(例えば3分ごとや毎秒)に各洗車場25内を撮像する[1]。洗車場25-1に備えられているカメラ50-1は洗車場25-1内を撮像し、洗車場25-2に備えられているカメラ50-2は洗車場25-2内を撮像する。
【0044】
画像処理手段70は、カメラ50-1が新たに洗車場25-1内を撮像するたびに、その画像を入力画像として画像認識処理を行う[2]。本実施形態における画像処理手段70による画像認識処理では、入力画像が複数の領域に分割され、その各領域について車両の存在の有無が推定される。
【0045】
その後、混雑度判定手段71は、画像処理手段70が推定した車両が存在すると考えられる領域の、入力画像全体に対する割合を算出し、それが所定の割合(例えば3割)を超えているかどうか判定する[3]。入力画像全体に対する車両が存在すると考えられる領域の割合が所定の割合を超えていない場合、混雑度判定手段71は洗車場25-1内が混雑していないと判定する[4]。一方、その割合が所定の割合を超えている場合、混雑度判定手段71は洗車場25-1内が混雑していると判定する[5]。
【0046】
こうした処理が所定の時間間隔ごとに複数の洗車場25のそれぞれ(すなわち洗車場25-1~洗車場25-n)について行われる。いずれかの洗車場25(例えば洗車場25―1)が混雑していると判定された場合、価格算定手段80はその混雑状況に基づき必要に応じて各洗車場において提供されるサービスの価格を算出し直す[6]。
【0047】
サービス価格の再算出は、例えば以下のようにして行われる。各洗車場25-1~25-nにおいて提供されるサービスには、予め基本価格が定められる。基本価格は、例えばいずれの洗車場も混雑していない状況などにおいてユーザに提示される、基準の価格(すなわち価格算定手段80により再計算されていない価格)である。価格算定手段80は、例えば各洗車場25-1~25-nの混雑状況に基づき、この基本価格に所定の演算処理を行い、更新価格を設定する。更新価格は価格算定手段80がサービスの価格を算出しなおした後にユーザに提示される価格である。
【0048】
例えば洗車場25-1および25-2が混雑しており、洗車場25-1および25-2からそれほど離れていない位置にある洗車場25-3が混雑していない場合には、価格算定手段80は洗車場25-3の各サービスの基本価格を2割引きし、更新価格とする。
【0049】
洗車場25-3のサービスの価格更新に伴い、表示制御部81は、例えば洗車場25-1、25-2、25-3の表示部51の表示内容を変更する[7]。表示制御部81の制御により、表示部52-1、52-2、52-3には少なくとも更新された洗車場25-3のサービスの価格が表示される。この際、表示部51には洗車場25ごとの混雑状況も表示するとよい。混雑状況の表示は高低といった程度による表現であってもよく、何分待ちといった時間による表現であってもよい。概算の待ち時間は、例えば画像処理手段70によりその洗車場25の待機台数を取得し、その台数に1台あたりの平均処理時間(1台あたりのサービス提供開始から終了にかかる時間の平均)を掛けることによって得られる。
【0050】
ユーザは、例えば洗車場25-1を訪れた際に、その洗車場が混雑しているとわかっても、表示部51の表示を見て、割引されており、かつ空いている他の洗車場25-3があることを知ることができる。このようにして、例えば各洗車場25-1~25-nの混雑状況に基づき混雑していない洗車場25-nのサービス価格を割引することにより、ユーザに対して、混雑していないいずれかの洗車場に向かうインセンティブを与えることができる。たとえユーザが普段利用する洗車場が洗車場25-1および25-2であり、その両方が混雑していたとしても、サービスを受けることを諦めさせず、他の洗車場を利用するよう働きかけることができる。前記したように本実施形態における各洗車場25-1~25-nは同一の運営者により運営されているため、仮にユーザが洗車場25-1や25-2でなく洗車場25-3を利用したとしても、全体としては運営者が売上を逃すことはない。
【0051】
また、例えば複数の洗車場25-1~25-nのすべてが混雑している場合に、価格算定手段80により、すべての洗車場25の各サービスの基本価格を200円引きし、更新価格としてもよい。このように価格更新することにより、どの洗車場も混雑しているとしてサービスを受けることを諦めてしまいそうな利用者にも、割引によりいずれかの洗車場25に向かうインセンティブを与えることができる。
【0052】
なお、割引などの価格更新の対象とするサービスは洗車に限るものではなく、その洗車場において提供可能なサービスに応じて適宜変更可能である。例えば洗車場25がガソリンや軽油などの液体燃料を車両に供給するための給油設備を備えている場合、いずれかの洗車場の混雑時に、価格算定手段80により、洗車サービスの価格のみならず、液体燃料の価格も更新可能としてもよい。軽食の提供サービスなどについても同様である。
【0053】
混雑度判定手段71により、こうした他の(すなわち洗車以外の)サービスの混雑状況を判定可能としてもよい。例えば各洗車場25を洗車エリア、拭き上げエリア、車内清掃エリア、給油エリアなどといった区分で区切り、エリアごとの混雑状況を別個に判定可能としてもよい。この場合、混雑度判定手段71はエリアごとに複数設けてもよいし、エリアごとの混雑状況を統括して監視する装置を設け、それに搭載してもよい。
【0054】
ユーザがある洗車場(例えば洗車場25-1)で表示部51の表示を見て、他の洗車場(例えば25-3)に移動する際、移動している間に各洗車場25の混雑状況が変化する場合が想定される。例えば混雑していない洗車場のサービス価格を更新して安くする場合には、ユーザが店舗間の移動にかかる時間によって不利益を被らないよう、その更新価格が有効な期間を混雑度判定の時間間隔とは異なるものとして設けてもよい。更新価格が有効な期間は、例えば待ち行列理論を用いて求められる各洗車場25の平均待ち時間を基準として設定してもよい。
【0055】
そのほか、更新価格が有効な期間は、ある洗車場25から他の洗車場25への移動にかかる時間などを加味して設定してもよい。より具体的には、例えば混雑している洗車場25-1の表示部51において混雑していない洗車場25-3のサービス料金を安く表示する場合、その価格の有効期間は、洗車場25-1から洗車場25-3への車での移動にかかる平均時間を変数として用いて算出してもよい。さらに、更新価格の有効期間は、洗車場25-1から洗車場25-3へ行く際に主に用いられる道路の混雑状況や曜日などによって都度求めてもよい。こうした情報は必要に応じて表示部51に表示してもよい。
【0056】
(第2実施形態)
前記実施形態1では、複数の洗車場25の混雑情報や料金情報を配信する手段として各洗車場25に表示部51を設ける構成について説明したが、混雑情報や料金情報の配信には、ウェブサイト上で閲覧可能なホームページや、スマートフォンなどのデバイスで利用可能なアプリケーションなど、他の手段を用いてもよい。本実施形態では、その配信手段として、ユーザが所有する携帯電話やスマートフォンなどのデバイス(ユーザ端末101)で利用可能なアプリケーション110を用いる車両処理システム10Aについて説明する。
【0057】
図7はアプリケーション110の画面の一例を示す説明図である。アプリケーション110は、ユーザ端末101にインストールされることによりユーザ端末101で利用可能となる。ユーザはアプリケーション110を利用することにより、例えば各洗車場25の混雑情報や料金情報を見ることができる。また、アプリケーション110は、例えばそれを利用するユーザごとにIDを付与することで、アプリケーション110の利用者を一意に識別可能とすることができる。
【0058】
図8はユーザ端末101の構成図である。ユーザ端末101は、例えばスマートフォンで構成されている。ユーザ端末101は、端末制御部102と、表示部103と、端末記憶部104と、位置情報取得部105と、端末通信部106とを備えている。端末記憶部104には、前記したアプリケーション110がインストールされている。なお、ユーザ端末101は、スマートフォンに限らず、同様の機能を有するノートパソコンなどであってもよい。
【0059】
端末制御部102は、例えばCPUから構成されている。表示部103は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイから構成されている。表示部103は、例えば静電容量方式や抵抗膜方式などのタッチパネル機能を備えており、入出力部を構成している。端末記憶部104は、例えばフラッシュメモリやRAMなどから構成され、プログラムや各種データを記憶することができる。位置情報取得部105は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機などから構成され、ユーザ端末101の現在位置を取得することができる。端末通信部106(受信部および送信部を含む。)は、例えばモバイル通信回路、Bluetooth通信回路、WiFi通信回路などから構成されている。ユーザ端末101は、端末通信部106により、ネットワーク11を介して処理サーバ20Aと通信することができる。
【0060】
図9は本実施形態における処理サーバ20Aの構成図である。処理サーバ20Aは、制御部21Aと、記憶部22Aと、受信手段および送信手段を有する通信部23とを備えている。処理サーバ20Aは、通信部23により、ネットワーク11を介してユーザ端末101と通信することができる。
【0061】
制御部21Aは、複数の洗車場25において提供されるサービスの価格を算定し、更新する手段(価格算定手段80A)を備えている。価格算定手段80Aのサービス価格算定には、複数の洗車場25の混雑度のほか、例えばユーザ端末101の位置情報や、記憶部22Aに記憶されている各アプリケーション110利用者の情報などが変数として用いられる。
【0062】
また、制御部21Aは、最寄り洗車場特定手段111を備えている。最寄り洗車場特定手段111は、ユーザ端末101との通信により取得したユーザ端末101の位置情報から、各洗車場25と各アプリケーション110利用者の間の位置関係(例えば距離)を取得することができる。
【0063】
また、制御部21Aは、アプリケーション制御手段112を備えている。アプリケーション制御手段112は、例えば価格算定手段80Aがいずれかの洗車場25において提供されるサービスの価格を更新した場合に、それをユーザに通知するべく、アプリケーション110の表示内容を制御することができる。
【0064】
記憶部22Aは、アプリケーション110の利用者に関する情報を記憶することができる。より具体的には、記憶部22Aは、アプリケーション110の利用者それぞれについて、例えば複数の洗車場25のいずれに来場する頻度が高いか、前回来場してからどのくらい期間が経っているか、どのような車両に乗っているかなどといった情報を、例えばその利用者のIDと紐づけて記憶することができる。
【0065】
このように構成される車両処理システム10Aの、洗車場25が混雑している場合のユーザへの通知(配信)処理について図10のフロー図を参照し説明する。なお、カメラ50による撮像処理[1]から混雑度判定手段71による混雑度の判定[5]までは前記した第1実施形態と同様の処理を行うため、説明は割愛する。
【0066】
複数の洗車場25のそれぞれ(すなわち洗車場25-1~洗車場25-n)について混雑度が判定され、いずれかの洗車場25(例えば洗車場25―1)が混雑していると判定された場合、価格算定手段80Aはその混雑状況と、さらにユーザ端末101の位置情報や記憶部22Aに記憶されている各アプリケーション110利用者の情報に基づき、必要に応じて各洗車場において提供されるサービスの価格を各ユーザにつき算出し直す[6]。
【0067】
サービス価格の再算出は、例えば以下のようにして行われる。各洗車場25-1~25-nにおいて提供されるサービスには、予め基本価格が定められる。基本価格は、例えばいずれの洗車場も混雑していない状況などにおいてユーザに提示される、基準の価格(すなわち価格算定手段80Aにより再計算されていない価格であり、すべてのユーザに共通の価格)である。価格算定手段80Aは、例えば各洗車場25-1~25-nの混雑状況や、ユーザ端末101の位置情報や、記憶部22Aに記憶されている各アプリケーション110利用者の情報などに基づき、この基本価格に所定の演算処理を行い、ユーザごとに更新価格を設定する。更新価格は価格算定手段80Aがサービスの価格を算出しなおした後にユーザに提示される価格である。
【0068】
あるユーザY1について更新価格を設定する場合の価格算定手段80Aの演算処理について説明する。最寄り洗車場特定手段111により取得された各洗車場25とユーザY1が所有するユーザ端末101の位置関係から、例えばユーザY1は洗車場25-1に最も近く、その次に洗車場25-3に近く、その次に洗車場25-2に近い位置にいることがわかっているとする。こうした場合に洗車場25-1が混雑中となったら、価格算定手段80Aは、例えばユーザY1の現在位置に最も近く、かつ混雑していない洗車場25-3のサービス価格が、他の洗車場25のサービス価格と比して最も安くなるよう更新価格を設定する。
【0069】
洗車場25-3のサービスの価格更新に伴い、アプリケーション制御手段112は、ユーザY1のアプリケーション110の表示内容を変更する[7]。アプリケーション制御手段112の制御により、ユーザY1のアプリケーション110には少なくとも更新された洗車場25-3のサービスの価格が表示される。
【0070】
ユーザY1を除く他のアプリケーション110利用者についても価格算定手段80Aは同様の演算処理を行う。例えば洗車場25-1に次いで洗車場25-2と最も近い位置関係にいるユーザY2については、洗車場25-2のサービス価格が最も安くなるよう更新価格を設定する。このようにして、各ユーザについて、最も距離的に近い洗車場が混雑している場合に、その次に近い洗車場のサービス価格を値下げすることにより、各ユーザに対して、混雑していない他の洗車場に向かうインセンティブを効果的に与えることができる。たとえユーザが普段利用する洗車場が最寄りの洗車場25-1であり、それが混雑していたとしても、サービスを受けることを諦めさせず、他の洗車場を利用するよう働きかけることができる。
【0071】
なお、アプリケーション110利用者ごとの更新価格決定においては、ユーザ端末101の現在位置に限らず、種々のパラメータを用いることができる。例えば記憶部22Aに各アプリケーション110利用者の来場履歴情報を記憶し、所定期間(例えば1か月間)サービスを受けていないアプリケーション110利用者に対しては特別な割引を行ってもよい。各アプリケーション110利用者について、複数ある洗車場25のうち、一度も来場したことがない洗車場でのサービス価格に初回来場時のみの特別な割引を行ってもよい。こうした価格変更は必ずしも各洗車場25の混雑度に応じてなされなければならないものではなく、来場頻度などのユーザごとの特性に応じて臨機応変に行っても良い。洗車場25ごとの設備に応じ、価格算定手段80Aにより、洗車以外のサービス(例えば給油など)の価格をユーザごとに更新してもよい。
【0072】
また、アプリケーション110の機能は上記したものに限らず、例えばユーザが洗車場25Bで受けるサービスをアプリケーション110上で予約可能としてもよく、そのサービスに係る支払いをアプリケーション110上で決済可能としてもよい。
【0073】
表示内容も図7のような内容に限定されるものではなく、例えばカメラ50により取得した映像をアプリ上でそのまま公開してもよい。こうした映像を用いることで、ユーザはより直感的にその洗車場25の混雑状況を知ることができる。
【0074】
サービスの価格をユーザごとに決定する場合、複数の洗車場25として一括りにする洗車場を、ユーザの現在位置に基づいて都度決定してもよい。例えばアプリケーション110に表示される洗車場25をユーザ端末101の現在位置から半径10キロメートル以内などとして設定することにより、ユーザにとって利便性の高い洗車場を選択肢として提示することができる。
【0075】
(第3実施形態)
例えば混雑度判定手段71により複数ある洗車場25のいずれかが混雑していると判定された場合に、その洗車場における洗車装置30などの動作を変更させてもよい。本実施形態においては、混雑している際に優れた効果を奏する種々の機能を備えた洗車装置30Bを有する車両処理システム10Bについて説明する。
【0076】
車両処理システム10Bは同一の運営者が運営する複数の洗車場25Bを備えている。複数の洗車場25Bは、それぞれ距離が離れた異なる敷地に設けられ、1台あるいは複数台の洗車装置30Bを備えている。
【0077】
図11は洗車装置30Bの制御系を示す構成図である。洗車装置30Bは、本体制御部60Bを備えている。本体制御部60Bは、車両間隔判定手段200と、待機列指示手段201と、表示制御手段202を備えている。
【0078】
車両間隔検出手段200は、カメラ50により撮影した画像から、洗車場25B内で待機列を形成する各車両同士の間隔(距離)を検出することができる。車両間隔判定手段200による車両同士の間隔は、例えば画像処理手段70により検出した車両それぞれの輪郭線間のピクセル数などとして検出される。
【0079】
待機列指示手段201は、車両間隔判定手段200の検出結果に基づき、列を形成する車両同士の間隔が適正であるか判定することができる。さらに適正でない場合には、列を形成する車両の運転者(ユーザ)に指示を出すことができる。より具体的には、例えば待機列指示手段201は、列中の一部車両同士が近い場合などに、その車両に対して衝突防止のため間隔を開けるよう指示することができる。
【0080】
待機列指示手段201による指示は、表示部51の表示内容を制御可能な表示制御手段202を介し、表示部51の表示を更新することなどによって行う。そのほかに、例えばLED回転灯などユーザの気を引きやすい装置を別途設けたり、洗車場25Bのスタッフ用端末203を別途処理サーバ20Bと通信可能に設け、スタッフを介して待機車両に指示できるよう構成したりしてもよい。スタッフ用端末203は、例えばユーザ端末101と同様、通信部などを備えたスマートフォンで構成される。
【0081】
こうして為される待機列指示手段201の指示により、混雑した洗車場25Bにおいても、ユーザは他の車両との接触などを必要以上に気にすることなくサービスを受けることができる。
【0082】
なお、前記した例とは反対に、待機列を形成する車両同士の間隔が広い場合には、待機列指示手段201によって列の最後尾に近い方の車両に少しだけ前に進むように指示したりしてもよい。このような指示を行うことにより、例えば待機列が洗車場25Bの敷地からはみ出して公道に及び、ユーザが公道上で待機しなければならない状態を防ぐことができる。
【0083】
また、洗浄処理速度変更手段204は、混雑度判定手段71により判定したその洗車場25Bの混雑情報に基づき、洗浄工程(洗浄処理コース)の実行速度を速くしたり遅くしたりすることができる。洗車装置30Bは、それが設置されている洗車場25Bが混雑していると判定した場合、例えば洗浄処理速度変更手段204により洗浄工程の処理速度を速くすることにより、サービスを受けようとして並んでいるユーザの待ち時間を減らすことができる。
【0084】
このような混雑状況に応じた洗車装置30Bの種々の機能により、ユーザは、例え訪れた洗車場が混雑中であってもストレスや抵抗感なくサービスを受けることができる。そのため、たとえユーザが普段利用する洗車場が混雑していたとしても、サービスを受けることを諦めさせず、その洗車場を利用するよう働きかけることができる。
【0085】
また、待機列指示手段201による指示が必要ないときの表示部51の表示内容を、混雑状況に応じて変更してもよい。例えばある洗車場25Bが混雑しているときには、その洗車場25B内で待機している車両は数分間にわたって同じ場所に存在すると考えられるため、表示制御手段202などの制御によって表示部51で比較的時長めの(すなわち視聴しきるまでに時間がかかる)動画広告などを再生するとよい。逆に洗車場25Bが混雑していないとき(特に待機車両が1台もいないとき)には、車両の運転者(ユーザ)がゆっくりと表示部51を眺める時間があまりないことから、例えば静止画広告や天気予報などの情報伝達に時間がかからない表示内容にするとよい。
【0086】
なお、洗車場25Bが混雑していないとき(特に待機車両が一台もいないときなど)には、洗浄処理速度変更手段204により洗車装置30Bの処理速度を遅くしてもよい。処理速度を遅くすることにより、例えば車両の各部をブラッシングできる時間が延び、車両をより効果的に洗浄することができる。
【0087】
また、車両間隔検出に係る各手段は本体制御部60Bが有するものとして説明したが、本体制御部60とは別個の部材(例えば処理サーバ20B)に設けられてもよい。
【0088】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0089】
例えば上記実施形態では現在時点の混雑具合に応じた制御について説明したが、曜日や時刻に基づき将来の混雑度を推定可能とし、推定した将来の混雑度に応じて車両処理システムが有する種々の機能を制御可能としてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 車両処理システム
20 処理サーバ
25 洗車場
50 カメラ
51 表示部
70 画像処理手段
71 混雑度判定手段
80 価格算定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11