(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118148
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】ポット式石油燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23K 5/02 20060101AFI20230818BHJP
F23D 5/04 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
F23K5/02 A
F23D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020922
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】樋口 正紀
(72)【発明者】
【氏名】河井 利宏
(72)【発明者】
【氏名】馬場 雅士
(72)【発明者】
【氏名】藤由 真生
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠貴
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA15
3K068CA05
3K068CA24
(57)【要約】
【課題】送油管の空気噛みによる脈動燃焼の発生を防止できるポット式石油燃焼装置を提供する。
【解決手段】
ポットバーナ1と、燃油を一定油面に貯留するレベラタンク6と、一端がポットバーナ1の底部と接続し、他端がレベラタンク6の上部と接続した連絡パイプ15と、レベラタンク6内の燃油をポットバーナに送油する電磁ポンプ8と、一端が電磁ポンプ8と接続し、他端が連絡パイプ15と接続した給油パイプ19とを備えたポット式石油燃焼装置に於いて、連絡パイプ15の途中で、ポットバーナ1の底部よりも低い位置に連絡パイプ最下部18を形成したので、燃油内に空気が混入しても、連絡パイプ最下部18から戻り口17側の燃油に混入した空気は戻り口17側に抜けていき、連絡パイプ最下部18から油流入口16側の燃油に混入した空気は油流入口16側に抜けていくので、燃油の空気噛みにより燃焼が不安定になるのを防止できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁に複数の空気孔が数段整列して形成されたポットバーナと、該ポットバーナを内方し、前記ポットバーナとの間に空気室を形成する外筒と、燃油を一定油面に貯留する密閉構造のレベラタンクと、一端が前記ポットバーナの底部と接続し、他端が前記レベラタンクの上部と接続した連絡パイプと、前記レベラタンク内の燃油を前記ポットバーナに送油する電磁ポンプと、一端が前記電磁ポンプと接続し、他端が前記連絡パイプと接続した給油パイプと、一端が前記外筒と接続し、他端が前記レベラタンクの上部と接続した静圧パイプとを備えたポット式石油燃焼装置に於いて、前記連絡パイプの途中で、前記ポットバーナの底部よりも低い位置に連絡パイプ最下部を形成したことを特徴とするポット式石油燃焼装置。
【請求項2】
前記給油パイプと前記連絡パイプとの接続部分は、前記レベラタンク内の通常の油面の上限より高く、且つ、前記連絡パイプの前記レベラタンクとの接続部分より低い位置に設けたことを特徴とする請求項1記載のポット式石油燃焼装置。
【請求項3】
前記連絡パイプと前記レベラタンクとの接続部分は、前記ポットバーナの最下段の前記空気孔よりも低い位置に設けたことを特徴とする請求項2記載のポット式石油燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はポット式石油燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものに於いては、給油タンクから供給される燃油を一定油面に貯留するレベラタンクを備え、レベラタンク内の燃油を電磁ポンプによって送油管を介してポットバーナに供給していた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、特許文献1の
図1に示されているように、ポットバーナの底部とレベラタンクの底部が同じ高さで、送油管のポットバーナの底部と接続している部分から拡開している接続部分までは水平に設けられているので、その水平な部分に空気が残ってしまって、燃焼が不安定になる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、周壁に複数の空気孔が数段整列して形成されたポットバーナと、該ポットバーナを内方し、前記ポットバーナとの間に空気室を形成する外筒と、燃油を一定油面に貯留する密閉構造のレベラタンクと、一端が前記ポットバーナの底部と接続し、他端が前記レベラタンクの上部と接続した連絡パイプと、前記レベラタンク内の燃油を前記ポットバーナに送油する電磁ポンプと、一端が前記電磁ポンプと接続し、他端が前記連絡パイプと接続した給油パイプと、一端が前記外筒と接続し、他端が前記レベラタンクの上部と接続した静圧パイプとを備えたポット式石油燃焼装置に於いて、前記連絡パイプの途中で、前記ポットバーナの底部よりも低い位置に連絡パイプ最下部を形成したものである。
【0006】
又、請求項2では、前記給油パイプと前記連絡パイプとの接続部分は、前記レベラタンク内の通常の油面の上限より高く、且つ、前記連絡パイプの前記レベラタンクとの接続部分より低い位置に設けたものである。
【0007】
又、請求項3では、前記連絡パイプと前記レベラタンクとの接続部分は、前記ポットバーナの最下段の前記空気孔よりも低い位置に設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、連絡パイプの途中で、ポットバーナの底部と接続している一端よりも低い位置に連絡パイプ最下部を形成したので、連絡パイプ最下部より上流側の空気は、連絡パイプ最下部より上方に抜け、連絡パイプ最下部より下流側の空気は、ポットバーナの底部と接続している一端側に抜けるので、連絡パイプ最下部より上流側の連絡パイプ内の油面から、連絡パイプ最下部より下流側の連絡パイプ内の油面まで空気が残らず、燃焼が不安定になるのを防止できる。
【0009】
又、請求項2によれば、給油パイプと連絡パイプとの接続部分は、レベラタンク内の通常の油面の上限より高く、且つ、連絡パイプのレベラタンクとの接続部分より低い位置に設けたので、連絡パイプのポットバーナの底部と接続している一端側で連絡パイプ内の燃油と、給油パイプと連絡パイプとの接続部分とが縁切りされ、電磁ポンプ動作時で送油されたとき、サイフォン効果により燃油がポットバーナ側に引っぱられて、ポットバーナ内に多量の燃油が流入してしまうのを防止でき、燃焼が不安定になるのを防止できる。
【0010】
又、請求項3では、連絡パイプとレベラタンクとの接続部分は、ポットバーナの最下段の空気孔よりも低い位置に設けたので、着火ミス等で電磁ポンプのみが駆動してポットバーナ内の燃油の油面が上昇しても、ポットバーナ内の油面がポットバーナの最下段の空気孔に到達する前に、ポットバーナ内の燃油がポットバーナ底部の油流入口から連絡パイプ内を逆流して、戻り口からレベラタンク内に戻り、ポットバーナから燃油が溢れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は、周壁に複数の空気孔2が数段整列して形成されたポットバーナで、外筒3の内方下部に備えられ、ポットバーナ1と外筒3との間に空気室4が形成されている。
【0013】
5は、燃焼ファン(図示せず)からの燃焼用空気を供給する送風路で、送風路5から空気室4に流入した燃焼用空気がポットバーナ1の空気孔2からポットバーナ1内に供給される。
【0014】
6は、燃油を一定油面に貯留する密閉された略箱状のレベラタンクで、屋外に設置した給油タンク(図示せず)から汲み上げポンプ7により燃油が供給され、貯留した燃油を電磁ポンプ8にてポットバーナ1内に供給する。
【0015】
9は、レベラタンク6内の油面を検知する油面検知手段で、油面に合わせて上下に動くフロート10を備え、貯留した燃油を電磁ポンプ8にてポットバーナ1内に供給して油面が下降すると、それに合わせてフロート10が下がり、フロート10が給油開始位置Aまで下がると給油開始信号を出力する。
【0016】
又、油面検知手段9が給油開始信号を出力後、屋外に設置した給油タンクから汲み上げポンプ7により燃油が供給されて、油面が上昇すると、それに合わせてフロート10が上がり、フロート10が給油停止下限位置Bまで上がると給油停止信号を出力する。
【0017】
又、フロート10が給油停止下限位置Bまで上がって給油停止信号を出力した後も、故障等で汲み上げポンプ7が動作し続け、フロート10が給油停止下限位置Bより高い給油停止上限位置Cを超えて上がると、異常停止信号を出力する。
【0018】
11は供給管で、屋外に設置した給油タンクと汲み上げポンプ7とを接続するものである。
12は送油管で、レベラタンク6と汲み上げポンプ7とを接続するもので、その一端はレベラタンク6の上部13を貫通してレベラタンク6内の底部付近に位置する。
【0019】
14は静圧パイプで、一端がレベラタンク6の上部13に接続し、他端が空気室4の上部に位置するように外筒3の側壁部分に接続されている。
【0020】
15は連絡パイプで、一端が外筒3の側壁部分を貫通してポットバーナ1底部の油流入口16と接続し、他端がレベラタンク6の側面上部と接続して戻り口17を形成している。
【0021】
又、連絡パイプ15の途中に、ポットバーナ1の底部よりも低い位置に連絡パイプ最下部18を形成し、連絡パイプ最下部18から油流入口16に向かって上り勾配となると共に、連絡パイプ最下部18から戻り口17に向かって上り勾配に設けられている。
【0022】
これにより、燃油内に空気が混入しても、連絡パイプ最下部18から戻り口17側の燃油に混入した空気は戻り口17側に抜けていき、連絡パイプ最下部18から油流入口16側の燃油に混入した空気は油流入口16側に抜けていくので、燃油の空気噛みを防止でき、燃焼が不安定になるのを防止できる。
【0023】
19は給油パイプで、一端が電磁ポンプ8と接続し、他端が連絡パイプ15に接続され、連絡パイプ15との接続部分20は、連絡パイプ15の連絡パイプ最下部18から戻り口17の間の位置に接続されている。
【0024】
戻り口17は、ポットバーナ1の最下段の空気孔2よりも低い位置に設け、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20は、戻り口17より下方の位置で、且つ、レベラタンク6内の給油停止下限位置Bより上方の位置に設けたものである。
【0025】
この戻り口17を、ポットバーナ1の最下段の空気孔2よりも低い位置に設けたことにより、着火しないままポットバーナ1内の燃油が増加してポットバーナ1内の燃油の油面が上昇しても、ポットバーナ1の最下段の空気孔2から燃油が溢れる前に、ポットバーナ1内の燃油が戻り口17からレベラタンク6内に逆流して、ポットバーナ1から燃油が溢れるのを防止できる。
【0026】
又、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20を、レベラタンク6内の給油停止下限位置Bより下方の位置に設けると、電磁ポンプ8内の流路が閉じているときに、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20から連絡パイプ15の連絡パイプ最下部18まで燃油が満たされ、電磁ポンプ8内の流路が開いて燃油が送油されると、サイフォン効果で燃油が電磁ポンプ8の一回分の送油量より多くポットバーナ1に流れてしまって送油量が安定しない不具合が発生するが、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20をレベラタンク6内の給油停止下限位置Bより上方の位置に設けたことで、その不具合が発生せず、燃焼が不安定になるのを防止できる。
【0027】
又、電磁ポンプ8が故障して流路が開いたままの状態になった場合、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20を、レベラタンク6内の給油停止下限位置Bより下方の位置に設けると、サイフォン効果で給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20とレベラタンク6内の油面の高さが同じになるまで、レベラタンク6内の燃油がポットバーナ1に流れてしまう不具合が発生するが、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20を、レベラタンク6内の給油停止下限位置Bより上方の位置に設けたことで、サイフォン効果を生じさせず、電磁ポンプ8の送油量を安定させ、電磁ポンプ8が故障して流路が開いたままの状態になっても燃油がポットバーナ1に流れてしまう不具合を防止できる。
【0028】
次に、このポット式石油燃焼装置の作動について説明する。
まず加熱ヒータ(図示せず)によりポットバーナ1を加熱し、ポットバーナ1が燃焼開始温度になると、レベラタンク6内の燃油を、電磁ポンプ8により給油パイプ19から連絡パイプ15を通ってポットバーナ1内に供給すると共に、燃焼ファンから送風路5を介して燃焼用空気が空気室4に供給され、空気孔2からポットバーナ1内に供給される。
【0029】
そして、高温のポットバーナ1に供給された燃油は加熱ヒータの熱によって着火して燃焼する。
そして、燃焼中は電磁ポンプ8により供給する燃油が、燃焼熱で高温となったポットバーナ1の底面で気化し、空気孔2から供給される燃焼用空気によって気化ガスの一部が燃焼し、発生した燃焼ガスと残りの気化ガスは、ポットバーナ1の上部の燃焼室(図示せず)で完全燃焼する。
【0030】
それと同時に、静圧パイプ14を介して密閉構造のレベラタンク6内と外筒3内とが同圧力となり、燃油は電磁ポンプ8から連絡パイプ15を通って落差によりポットバーナ1内に供給する。
【0031】
この時、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20は、レベラタンク6内の給油停止下限位置Bより上方の位置に設けたので、電磁ポンプ8内の流路が閉じているときは、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20と、連絡パイプ15の連絡パイプ最下部18に残っている燃油は縁切りされており、電磁ポンプ8内の流路が開いて燃油が給油されるときは、給油パイプ19の連絡パイプ15との接続部分20から電磁ポンプ8の一回分の給油量の燃油が連絡パイプ15の連絡パイプ最下部18に向かって流れ、それにより油流入口16から電磁ポンプ8の一回分の給油量の燃油がポットバーナ1内に供給される。
【0032】
そして、電磁ポンプ8によるポットバーナ1への給油により、レベラタンク6内の油面が下がって給油開始位置Aまで下がると、油面検知手段9が給油開始信号を出力し、汲み上げポンプ7により屋外に設置した給油タンクから燃油が供給され、レベラタンク6内の油面が給油停止下限位置Bまで上がると油面検知手段9が給油停止信号を出力し、レベラタンク6内の油面が常に給油開始位置Aから給油停止下限位置Bまでの間に位置するように汲み上げポンプ7を動作させる。
【符号の説明】
【0033】
1 ポットバーナ
2 空気孔
3 外筒
4 空気室
6 レベラタンク
8 電磁ポンプ
14 静圧パイプ
15 連絡パイプ
18 連絡パイプ最下部
19 給油パイプ