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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118170
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/86 20180101AFI20230818BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
F24F11/86
F25B1/00 304P
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020964
(22)【出願日】2022-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】西岡 史隆
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 義典
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA03
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB14
3L260EA07
3L260EA08
3L260EA27
3L260FB07
(57)【要約】
【課題】快適性の高い空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機100は、空調室の温度を検出する室内温度センサ24と、圧縮機11の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、膨張弁14を制御する制御部と、を備えている。制御部は、室内温度センサ24の検出値が所定値よりも低い場合、吐出過熱度の目標値を所定の基準値よりも高くする。また、制御部は、室内温度センサ24の検出値が所定値よりも高い場合、吐出過熱度の目標値を所定の基準値よりも低くする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室の温度を検出する室内温度センサと、
圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記室内温度センサの検出値が所定値よりも低い場合、前記目標値を所定の基準値よりも高くする空気調和機。
【請求項2】
空調室の温度を検出する室内温度センサと、
圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記室内温度センサの検出値が所定値よりも高い場合、前記目標値を所定の基準値よりも低くする空気調和機。
【請求項3】
前記所定の基準値は、前記圧縮機のモータの回転速度に対応する値であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部が前記目標値を高くするように補正する際の補正量には、上限値が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部が前記目標値を低くするように補正する際の補正量には、下限値が設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記室内温度センサの検出値と前記所定値との差の絶対値が大きいほど、前記目標値を補正する際の補正量の絶対値も大きいこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項7】
室外温度を検出する室外温度センサを備え、
前記制御部は、前記室内温度センサの検出値に基づく前記目標値の第1補正量と、前記室外温度センサの検出値に基づく前記目標値の第2補正量と、の和である補正量に基づいて、前記膨張弁を制御すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御部は、前記室外温度センサの検出値が第2所定値よりも低い場合には、前記第2補正量を正の値とし、前記室外温度センサの検出値が前記第2所定値よりも高い場合には、前記第2補正量を負の値とすること
を特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記第1補正量と前記第2補正量との和である前記補正量には、上限値及び下限値が設けられていること
を特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記制御部は、前記目標値の補正を暖房運転中に行うこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の制御として、例えば、特許文献1には、圧縮機容器温度検出手段の出力値と凝縮側熱交換器温度検出手段の出力値との差である温度差が、予め定めた目標値の範囲内に入るように電子膨張弁の開度を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3853550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、要するに、圧縮機の吐出過熱度に基づいて電子膨張弁を制御するというものであるが、空調の快適性をさらに高める余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、快適性の高い空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、空調室の温度を検出する室内温度センサと、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記室内温度センサの検出値が所定値よりも低い場合、前記目標値を所定の基準値よりも高くすることとした。なお、その他については、実施形態の中で説明する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、快適性の高い空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る空気調和機の構成図である。
図2】第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図3】第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る空気調和機において、圧縮機モータの回転速度と、吐出過熱度の目標値と、の関係を示す説明図である。
図5】第1実施形態に係る空気調和機において、吐出過熱度の目標値の補正に関するモリエル線図である。
図6】第1実施形態に係る空気調和機において、室内温度と、吐出過熱度の目標値の補正量と、の関係を示す説明図である。
図7】第2実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る空気調和機において、室外温度と、吐出過熱度の目標値の補正量と、の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100の構成図である。
なお、図1の実線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。また、図1の破線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。空気調和機100は、冷房運転や暖房運転等の空調を行う機器である。図1に示すように、空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、室外ファン13と、膨張弁14と、室内熱交換器15と、室内ファン16と、四方弁17と、を備えている。さらに、空気調和機100は、吐出温度センサ21の他、室内熱交換器温度センサ22や室外熱交換器温度センサ23、室内温度センサ24、室外温度センサ25といった複数のセンサを備えている。
【0010】
圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器であり、駆動源の圧縮機モータ11a(モータ)を備えている。このような圧縮機11として、例えば、スクロール圧縮機やロータリ圧縮機が用いられる。
【0011】
室外熱交換器12は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。室外ファン13は、室外熱交換器12に外気を送り込むファンである。室外ファン13は、駆動源である室外ファンモータ13aを備え、室外熱交換器12の付近に設置されている。膨張弁14は、「凝縮器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の一方)で凝縮した冷媒を減圧する弁である。なお、膨張弁14で減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の他方)に導かれる。
【0012】
室内熱交換器15は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室内空気(空調室の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。室内ファン16は、室内熱交換器15に室内空気を送り込むファンである。室内ファン16は、駆動源である室内ファンモータ16aを備え、室内熱交換器15の付近に設置されている。
【0013】
四方弁17は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。例えば、冷房運転時(図1の破線矢印を参照)には、冷媒回路10において、圧縮機11、室外熱交換器12(凝縮器)、膨張弁14、及び室内熱交換器15(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。一方、暖房運転時(図1の実線矢印を参照)には、冷媒回路10において、圧縮機11、室内熱交換器15(凝縮器)、膨張弁14、及び室外熱交換器12(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。
【0014】
なお、図1の例では、圧縮機11、室外熱交換器12、室外ファン13、膨張弁14、及び四方弁17が、室外機30に設置されている。また、室内熱交換器15や室内ファン16は、室内機20に設置されている。
【0015】
図1に示す吐出温度センサ21は、圧縮機11の吐出側における冷媒の温度(吐出温度)を検出するセンサであり、圧縮機11の吐出側に設置されている。室内熱交換器温度センサ22は、室内熱交換器15を流れる冷媒の温度を検出するセンサであり、室内熱交換器15(又はその接続配管)に設置されている。室外熱交換器温度センサ23は、室外熱交換器12を流れる冷媒の温度を検出するセンサであり、室外熱交換器12(又はその接続配管)に設置されている。室内温度センサ24は、室内温度(空調室の温度)を検出するセンサであり、室内機20に設置されている。室外温度センサ25は、室外温度(外気の温度)を検出するセンサであり、室外機30に設置されている。
【0016】
図2は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図2に示す室内機20は、前記した各構成の他に、リモコン送受信部26と、室内制御回路41と、を備えている。リモコン送受信部26は、赤外線通信等によって、リモコン50との間で所定のデータをやり取りする。室内制御回路41は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0017】
図2に示すように、室内制御回路41は、記憶部41aと、室内制御部41bと、を備えている。記憶部41aには、所定のプログラムや、リモコン送受信部26を介して受信したデータの他、室内熱交換器温度センサ22や室内温度センサ24といった各センサの検出値が格納される。室内制御部41bは、記憶部41aのデータに基づいて、室内ファンモータ16a等を制御する。
【0018】
室外機30は、前記した構成の他に、室外制御回路42を備えている。室外制御回路42は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、通信線を介して室内制御回路41に接続されている。図2に示すように、室外制御回路42は、記憶部42aと、室外制御部42bと、を備えている。
【0019】
記憶部42aには、所定のプログラムの他、吐出温度センサ21や室外熱交換器温度センサ23や室外温度センサ25といった各センサの検出値や、室内制御回路41から受信したデータが格納される。室外制御部42bは、記憶部42aのデータに基づいて、圧縮機モータ11a、室外ファンモータ13a、膨張弁14、四方弁17等を制御する。なお、室内制御回路41及び室外制御回路42を総称して、制御部40という。
【0020】
<制御部の機能>
制御部40は、空調制御として、吐出過熱度制御(TdSH制御)を行う機能を有している。吐出過熱度制御とは、圧縮機11(図1参照)の吐出側における冷媒の過熱度(吐出過熱度TdSH)が所定の目標値となるように、膨張弁14の開度を調整する制御である。また、「過熱度」とは、冷媒の圧力に対応する高圧飽和温度(凝縮温度ともいう)に対して、冷媒の実際の温度が何度高いかを示す数値である。このような吐出過熱度制御を行うことで、圧縮機11の吐出側の他、吸入側における冷媒の過熱度も確保されるため、圧縮機11での液圧縮を抑制できる。
【0021】
なお、吐出過熱度制御(TdSH制御)とは異なる制御として、例えば、吐出温度制御(Td制御)がある。吐出温度制御とは、圧縮機11の吐出温度が所定の目標値となるように、膨張弁14の開度を調整する制御である。このような吐出温度制御では、圧縮機11で液圧縮が生じないように、また、室外温度や室内温度に基づいて吐出温度の目標値が適切に設定されるように、事前にさまざまな条件で実機(空気調和機)を運転させてデータを収集する必要があった。
【0022】
これに対して、第1実施形態の吐出過熱度制御では、前記したように、冷媒の吐出過熱度が所定の目標値に近づくように膨張弁14が制御される。したがって、事前にさまざまな条件で実機を運転する必要が特になく、事前のデータ収集に要する労力を大幅に軽減できる。また、吐出過熱度制御においては、圧縮機11で液圧縮が生じるおそれがほとんどないため、空気調和機100の信頼性を高めることができる。
【0023】
ただし、例えば、暖房運転時に室内温度が比較的低い場合には、室内熱交換器15(凝縮器)から室内空気への放熱量が多くなるため、室内熱交換器15の温度(つまり、高圧飽和温度)が低くなりやすい。
なお、冷媒の吐出温度Tdは、高圧飽和温度Tcに吐出過熱度TdSHを加算した値に等しい(Td=Tc+TdSH)。また、吐出過熱度制御では、前記したように、吐出過熱度TdSHを所定の目標値に近づけるように膨張弁14が制御される。したがって、暖房運転時に室内温度が低い場合において、仮に、冷媒の高圧飽和温度Tc(=Td-TdSH)が低くなると、それに伴って冷媒の吐出温度Tdも低くなり、室内機20から吹き出される空調風の温度も低くなる。そこで、第1実施形態では、吐出過熱度制御において制御部40が、室内温度に基づいて、冷媒の吐出過熱度の目標値を適宜に補正することで空調の快適性を高めるようにしている。
【0024】
<制御部の処理>
図3は、制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図1図2を参照)。
なお、図3に示す一連の処理中には、例えば、暖房運転が行われているものとする。また、制御部40は、圧縮機11の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、膨張弁14等を制御する「吐出過熱度制御」を行うものとする。
ステップS101において制御部40は、各センサの検出値等を読み込む。すなわち、制御部40は、吐出温度センサ21や室内熱交換器温度センサ22、室内温度センサ24といった各センサの検出値を読み込む他、リモコン50の操作で設定された空調設定温度等を読み込む。
【0025】
ステップS102において制御部40は、圧縮機モータ11aの回転速度の目標値を設定する。例えば、制御部40は、空調設定温度と室内温度との差に基づいて、圧縮機モータ11aの回転速度の目標値を設定する。具体的には、制御部40は、暖房運転時の設定温度から室内温度を減算した値が大きいほど、圧縮機モータ11aの回転速度の目標値を大きくする。これによって、冷媒回路10における冷媒の循環流量が所定に確保される。
【0026】
ステップS103において制御部40は、吐出過熱度TdSHの目標値を設定する。すなわち、制御部40は、圧縮機モータ11aの回転速度に対応する値(所定の基準値)として、吐出過熱度TdSHの目標値を設定する。なお、圧縮機モータ11aの回転速度と、吐出過熱度TdSHの目標値と、の関係を示す所定の数式又はデータテーブルが予め記憶されている。
【0027】
図4は、圧縮機モータの回転速度と、吐出過熱度の目標値と、の関係を示す説明図である。
なお、図4の横軸は、圧縮機モータ11aの回転速度(目標値)であり、縦軸は、吐出過熱度の目標値である。図4の例では、圧縮機11の回転速度と、吐出過熱度の目標値と、の関係(関数)が単調増加の直線L1で表されているが、これに代えて、単調増加の曲線(階段状の変化を含む)が用いられてもよい。また、吐出過熱度の目標値として、所定の上限値・下限値が設定されていてもよい。図4に示すように、圧縮機モータ11aの回転速度の目標値が値n1である場合、制御部40は、この値n1に対応する吐出過熱度の目標値として、値TdSH1を設定する。
【0028】
図3のステップS103の処理を行った後、ステップS104において制御部40は、室内温度Tiが所定値T0よりも低いか否かを判定する。なお、所定値T0(例えば、20℃)は、吐出過熱度TdSHの目標値を補正するか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。ステップS104において、室内温度Tiが所定値T0よりも低い場合(S104:Yes)、制御部40の処理はステップS105に進む。
【0029】
ステップS105において制御部40は、吐出過熱度TdSHの目標値を高くする。すなわち、制御部40は、室内温度センサ24の検出値が所定値T0よりも低い場合(S104:Yes)、吐出過熱度TdSHの目標値を、圧縮機モータ11a(圧縮機のモータ)の回転速度に対応する値(所定の基準値)よりも高くする(S105)。制御部40は、例えば、吐出過熱度TdSHの目標値を補正する前に比べて、膨張弁14の開度を小さくすることで、実際の吐出過熱度TdSHを高くして、補正後の目標値に近づけるようにする。詳細については後記するが、このような処理を行うことで、暖房運転時に快適な温風感をユーザに与えることができる。ステップS105の処理を行った後、制御部40の処理は、「START」に戻る(「RETURN」)。
【0030】
また、ステップS104において、室内温度Tiが所定値T0よりも低くない場合(S104:No)、制御部40の処理はステップS106に進む。つまり、室内温度Tiが所定値T0以上である場合(S104:No)、制御部40の処理はステップS106に進む。
ステップS106において制御部40は、室内温度Tiが所定値T0よりも高いか否かを判定する。ステップS106において、室内温度Tiが所定値T0よりも高い場合(S106:Yes)、制御部40の処理はステップS107に進む。
【0031】
ステップS107において制御部40は、吐出過熱度TdSHの目標値を低くする。すなわち、制御部40は、室内温度センサ24の検出値が所定値T0よりも高い場合(S106:Yes)、吐出過熱度TdSHの目標値を、圧縮機モータ11a(圧縮機のモータ)の回転速度に対応する値(所定の基準値)よりも低くする(S107)。制御部40は、例えば、吐出過熱度TdSHの目標値を補正する前に比べて、膨張弁14の開度を大きくすることで、実際の吐出過熱度TdSHを低くして、補正後の目標値に近づけるようにする。詳細については後記するが、ステップS107の処理を行うことで、暖房運転時に室内機20から吹き出される空気が高くなりすぎることを抑制し、空調の快適性を高めることができる。ステップS107の処理を行った後、制御部40の処理は「START」に戻る(「RETURN」)。
【0032】
また、ステップS106において、室内温度Tiが所定値T0よりも高くない場合(S106:No)、制御部40の処理は「START」に戻る(「RETURN」)。つまり、室内温度Tiが所定値T0に等しい場合、制御部40は、吐出過熱度TdSHの目標値の補正を特に行うことなく、目標値として現状の値を維持する。このようにして、制御部40は、図3に示す一連の処理を所定に繰り返す(「RETURN」)。
なお、冷房運転時にも図3と同様の処理が行われるようにしてもよい。また、冷房運転時には、蒸発器(室内熱交換器15)側の制御で室内温度が調整されるため、図3の処理(吐出過熱度の目標値の補正)が特に行われないようにしてもよい。
【0033】
図5は、吐出過熱度の目標値の補正に関するモリエル線図である。
なお、図5の横軸は、冷媒の比エンタルピであり、縦軸は、冷媒の圧力である。図5に示す飽和蒸気線7aは、冷媒の状態における気相と気液二相との間の境界線である。飽和液線7bは、冷媒の状態における液相と気液二相との間の境界線である。飽和蒸気線7a及び飽和液線7bで囲まれた領域では、冷媒は気液二相の状態になっている。なお、飽和蒸気線7aと飽和液線7bとの間の境界点を臨界点7cという。また、図5に示す破線は、等温線8である。
【0034】
図5に示す台形状の実線Mは、吐出過熱度の目標値の補正前におけるモリエル線図である。図5に示すように、空調運転時には、圧縮(状態M1→M2)、凝縮(状態M2→M3)、膨張(状態M3→M4)、蒸発(状態M4→M1)という冷凍サイクルで冷媒が循環する。この場合における冷媒の吐出過熱度は、過熱蒸気の状態M2と、飽和蒸気線7a上の状態Maと、の間の比エンタルピ差ΔH1に対応している。
【0035】
例えば、冬季に暖房運転が行われており、室内温度がまだ低い状況では、前記したように、冷媒の高圧飽和温度(室内熱交換器15の温度)が低くなりやすい。図5の例では、状態Maから状態Mbまでの気液二相における冷媒の高圧飽和温度が低くなりやすい。仮に、冷媒の高圧飽和温度が低くなると、状態M2における吐出温度も低くなるため、結果的に室内機20から吹き出される空調風の温度も低くなり、ユーザの温風感が得られにくくなる。
【0036】
そこで、第1実施形態では、前記したように、室内温度Tiが所定値T0よりも低い場合(図3のS104:Yes)、制御部40が吐出過熱度の目標値を高くするようにしている(S105)。例えば、図5の台形状の一点鎖線Nで示すモリエル線図では、吐出過熱度の目標値の補正(S105)によって、比エンタルピ差ΔH2に対応する値まで吐出過熱度が増加するため、圧縮機11から吐出される冷媒の温度も高くなる。その結果、室内熱交換器15で室内空気が十分に温められるため、暖房運転時の空調の快適性を高めることができる。
【0037】
図6は、室内温度と、吐出過熱度の目標値の補正量と、の関係を示す説明図である。
なお、図6の横軸は、室内温度(空調室の温度)である。また、図6の縦軸は、吐出過熱度の目標値の補正量(TdSH補正量)である。図6に示す室内温度の所定値T0は、吐出過熱度の目標値の補正量がゼロである場合の室内温度の値(例えば、20℃)であり、予め設定されている。
【0038】
図6に示すように、室内温度が所定値T0よりも低い場合には、室内温度と所定値T0との差が大きいほど、吐出過熱度の目標値を高くする際の補正量も大きくなっている。このように、室内温度センサ24(図1参照)の検出値と所定値T0との差の絶対値が大きいほど、吐出過熱度の目標値を補正する際の補正量の絶対値も大きくすることが好ましい。これによって、室内温度が低いほど、吐出過熱度の目標値の補正量が大きくなるため、圧縮機11から吐出される冷媒の温度を十分に高くすることができる。その結果、例えば、暖房運転時にユーザに温風感を与えることができる。
【0039】
また、制御部40が吐出過熱度の目標値を高くするように補正する際の補正量には、所定の上限値ΔTdSH3が設けられていることが好ましい。図6の例では、室内温度が所定値T3以下の領域では、吐出過熱度の目標値の補正量が所定の上限値ΔTdSH3に設定される。このように、吐出過熱度の目標値の補正量に上限を設けることで、膨張弁14が絞られすぎることを抑制できる。その結果、圧縮機11に吸入側における冷媒の比容積が過剰に大きくなることを抑制し、ひいては、冷媒回路10における冷媒の循環流量が少なくなりすぎることを抑制できる。
【0040】
また、例えば、冬季に暖房運転が行われており、室内温度が比較的高い状況では、前記したように、冷媒の高圧飽和温度(室内熱交換器15の温度)が高くなりやすい。仮に、冷媒の高圧飽和温度が高くなりすぎると、圧縮機11から吐出される冷媒の温度も高くなる。その結果、室内機20から吹き出される空気の温度が高くなりすぎる他、サーモオンからサーモオフの状態に頻繁に切り替わりやすくなる。
【0041】
そこで、第1実施形態では、前記したように、室内温度Tiが所定値T0よりも高い場合(図3のS106:Yes)、制御部40が吐出過熱度の目標値を低くするようにしている(S107)。このように吐出過熱度の目標値が低くなると、圧縮機11から吐出される冷媒の温度も適度に低くなる。その結果、室内機20から吹き出される空調風の温度が高くなりすぎることを抑制し、空調風の温度が適度に抑えられる。したがって、サーモオフが頻繁に生じることを抑制し、ひいては、空調の快適性を高めることができる。
【0042】
なお、室内温度が所定値T0よりも高い場合において、室内温度と所定値T0との差が大きいほど、吐出過熱度の目標値を低くする際の補正量も大きくすることが好ましい。換言すると、室内温度センサ24の検出値と所定値T0との差の絶対値が大きいほど、吐出過熱度の目標値を補正する際の補正量の絶対値も大きくすることが好ましい。これによって、室内温度が高いほど、吐出過熱度の補正量(負の値)の絶対値が大きくなるため、圧縮機11から吐出される冷媒の温度を適度に抑えることができる。その結果、空調の快適性を高めることができる。
【0043】
また、制御部40が吐出過熱度の目標値を低くするように補正する際の補正量には、所定の下限値ΔTdSH4が設けられていることが好ましい。図6の例では、室内温度が所定値T4以上の領域では、吐出過熱度の目標値の補正量が所定の下限値ΔTdSH4に設定される。このように、吐出過熱度の目標値の補正量に下限を設けることで、吐出過熱度が小さくなりすぎることを抑制できる。その結果、膨張弁14の開度が大きくなりすぎることを抑制し、ひいては、圧縮機11における液圧縮を抑制できる。
【0044】
第1実施形態によれば、室内温度が所定値T0よりも低い場合(図3のS104:Yes)、制御部40は、吐出過熱度の目標値を高くする(S105)。これによって、圧縮機11から吐出される冷媒の温度が高くなるため、例えば、暖房運転時に空調風を十分に温めることができ、空調の快適性を高めることができる。
【0045】
また、室内温度が所定値T0よりも高い場合(図3のS106:Yes)、制御部40は、吐出過熱度の目標値を低くする(S107)。これによって、圧縮機11から吐出される冷媒の温度上昇が適度に抑えられるため、例えば、暖房運転時に空調風の温度が高くなりすぎることを抑制できる。すなわち、第1実施形態によれば、室内温度の変動に対して、室内機20から吹き出される空調風の温度変動を抑えることができる。また、制御部40が吐出過熱度制御を行うことで、圧縮機11における液圧縮を防止できる。このように第1実施形態によれば、空調の快適性や信頼性の高い空気調和機100を提供できる。
【0046】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、室内温度に基づく補正量と、室外温度に基づく補正量と、を合算した値を吐出過熱度の補正量とする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他(空気調和機100の構成等:図1図2参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0047】
図7は、第2実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図1図2も参照)。
なお、図7に示す一連の処理中には、例えば、暖房運転が行われているものとする。
また、図7のステップS101~S103の処理については、第1実施形態で説明した図3のステップS101~S103の処理と同様であるから、説明を省略する。図7のステップS103において、吐出過熱度TdSHの目標値を設定した後、制御部40の処理はステップS204に進む。
【0048】
ステップS204において制御部40は、室内温度に対応する吐出過熱度の目標値の補正量として、第1補正量を算出する。この第1補正量の算出については、第1実施形態(図6参照)と同様であるから、その説明を省略する。
ステップS205において制御部40は、室外温度に対応する吐出過熱度の目標値の補正量として、第2補正量を算出する。この第2補正量の算出について、図8を用いて説明する。
【0049】
図8は、室外温度と、吐出過熱度の目標値の補正量と、の関係を示す説明図である。
なお、図8の横軸は、室外温度である。また、図8の縦軸は、吐出過熱度の目標値の補正量(TdSH補正量、第2補正量)である。図8に示す室外温度の所定値T5(第2所定値)は、第2補正量を正とするか、それとも負とするかの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。なお、室外温度が所定値T5に等しい場合には、第2補正量はゼロである。この所定値T5は、0℃よりも高い温度であってもよいし、また、0℃や氷点下の温度であってもよい。
【0050】
図8に示すように、室外温度が所定値T5よりも低い場合、制御部40は、吐出過熱度の目標値を高くするように第2補正量を設定する。言い換えると、室外温度センサ25(図1参照)の検出値が所定値T5(第2所定値)よりも低い場合、制御部40は、第2補正量を正の値とする。例えば、暖房運転時に室外温度が低い状況では、蒸発器として機能する室外熱交換器12(図1参照)の温度が低くなりやすく、結果的に圧縮機11の吐出温度も低くなりやすい。そこで、第2補正量を正の値にすることで、圧縮機11の吐出過熱度が高くなるため、例えば、暖房運転時にユーザに温風感を与えることができる。
【0051】
また、室外温度が所定値T5よりも高い場合、制御部40は、吐出過熱度の目標値を低くするように第2補正量を算出する。言い換えると、室外温度センサ25(図1参照)の検出値が所定値T5(第2所定値)よりも高い場合、制御部40は、第2補正量を負の値とする。例えば、暖房運転時に室外温度が高い状況では、圧縮機11の吐出温度も高くなりやすい。そこで、第2補正量を負の値にすることで、圧縮機11の吐出過熱度が低くなるため、例えば、暖房運転時の空調風の温度を適度に抑えることができる。
【0052】
また、室外温度と所定値T5との差の絶対値が大きいほど、第2補正量(吐出過熱度の目標値の補正量)の絶対値も大きくすることが好ましい。これによって、室外温度と所定値T5との差に対応して、制御部40が第2補正量を適切に設定できる。その他、図8の例では、制御部40が吐出過熱度の目標値を高くするように補正する際の補正量には、所定の上限値ΔTdSH6が設けられている。また、制御部40が吐出過熱度の目標値を低くするように補正する際の補正量には、所定の下限値ΔTdSH7が設けられている。
【0053】
図7のステップS204において吐出過熱度の目標値の第1補正量を算出し、さらに、ステップS205において第2補正量を算出した後、制御部40の処理は、ステップS206進む。
ステップS206において制御部40は、補正量の和に基づいて、膨張弁14(図1参照)を制御する。すなわち、制御部40は、室内温度センサ24(図1参照)の検出値に基づく吐出過熱度の目標値の第1補正量と、室外温度センサ25(図1参照)の検出値に基づく吐出過熱度の目標値の第2補正量と、の和である補正量に基づいて、膨張弁14を制御する。
【0054】
例えば、第1補正量と第2補正量との和である補正量が正であり、吐出過熱度の目標値を高くした場合、制御部40は、膨張弁14の開度を小さくする。これによって、暖房運転時にユーザに快適な温風感を与えることができる。また、第1補正量と第2補正量との和である補正量が負であり、吐出過熱度の目標値を低くした場合、制御部40は、膨張弁14の開度を大きくする。これによって、暖房運転時に空調風の温度が高くなりすぎることを抑制できる。
【0055】
なお、第1補正量と第2補正量との和である補正量(吐出過熱度の目標値の補正量)には、上限値及び下限値が設けられていることが好ましい。補正量に上限値を設けることで、例えば、第1補正量や第2補正量の単独ではそれほど大きくないものの、第1補正量と第2補正量との和については大きすぎるといったことを防止できる。その結果、膨張弁14が絞られすぎることを抑制し、ひいては、冷媒回路10における冷媒の循環流量が少なくなりすぎることを抑制できる。また、補正量の下限値を設けることで、例えば、膨張弁14の開度が大きくなりすぎることを抑制し、ひいては、圧縮機11での液圧縮を抑制できる。
なお、冷房運転時にも図8と同様の処理が行われるようにしてもよい。また、冷房運転時には、蒸発器(室内熱交換器15)側の制御で室内温度が調整されるため、図8の処理(吐出過熱度の目標値の補正)が特に行われないようにしてもよい。
【0056】
第2実施形態によれば、室内温度の他、室外温度も吐出過熱度の目標値の補正量に反映される。これによって、吐出過熱度の目標値の補正量を第1実施形態よりもさらに適切に設定できるため、空調の快適性を高めることができる。
【0057】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100について各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第1実施形態では、室内温度が所定値T0(図6参照)に等しい場合には、制御部40が吐出過熱度の目標値を変更しない場合について説明したが、これに限らない。例えば、室内温度が所定範囲に含まれる場合には、制御部40が吐出過熱度の目標値を変更しないようにしてもよい。この場合において制御部40は、室内温度が所定範囲の下限値(所定値)よりも低い場合には吐出過熱度の目標値を高くし、また、室内温度が所定範囲の上限値(所定値)よりも高い場合には吐出過熱度の目標値を低くするようにしてもよい。
【0058】
また、各実施形態では、室内温度と空調設定温度との差に基づいて、圧縮機モータ11aの回転速度が設定される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、室内温度や空調設定温度の他、所定のパラメータに基づいて、圧縮機モータ11aの回転速度が設定されるようにしてもよい。
また、各実施形態では、圧縮機モータ11aの回転速度に対応して、吐出過熱度の目標値(補正前の値)が設定される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、圧縮機モータ11aの回転速度の他、所定のパラメータに基づいて、吐出過熱度の目標値(補正前の値)が設定されるようにしてもよい。
また、各実施形態では、吐出過熱度の目標値の「基準値」として、圧縮機モータ11aの回転速度に対応する値が用いられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、吐出過熱度の目標値において、圧縮機モータ11aの電流値に対応する値が、所定の「基準値」として用いられてもよい。その他にも、吐出過熱度の目標値において、圧縮機モータ11aに接続されるインバータ(図示せず)の直流側又は交流側の電圧に対応する値が「基準値」として用いられてもよい。また、吐出過熱度の目標値において、圧縮機モータ11aの変調率に対応する値が「基準値」として用いられてもよい。
【0059】
また、各実施形態では、空気調和機100(図1参照)が、室内機20と室外機30とを1台ずつ備える構成について説明したが、これに限らない。すなわち、並列接続された複数台の室内機を設けてもよいし、また、並列接続された複数台の室外機を設けてもよい。また、ルームエアコンの他、パッケージエアコンやビル用マルチエアコンにも各実施形態を適用できる。
【0060】
なお、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0061】
10 冷媒回路
11 圧縮機
11a 圧縮機モータ(圧縮機のモータ)
12 室外熱交換器
13 室外ファン
14 膨張弁
15 室内熱交換器
16 室内ファン
17 四方弁
20 室内機
21 吐出温度センサ
22 室内熱交換器温度センサ
23 室外熱交換器温度センサ
24 室内温度センサ
25 室外温度センサ
30 室外機
40 制御部
100 空気調和機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、室内熱交換器と、膨張弁と、室外熱交換器と、を備えるとともに、
空調室の温度を検出する室内温度センサと、
前記圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記室内熱交換器及び前記室内温度センサは、前記空調室に設けられる室内機に設置され、
前記制御部は、暖房運転時に前記室内温度センサの検出値が所定値よりも低い場合、前記目標値を所定の基準値よりも高くし、
暖房運転時には、前記圧縮機、前記室内熱交換器、前記膨張弁、及び前記室外熱交換器を順次に介して、冷媒が循環する空気調和機。
【請求項2】
圧縮機と、室内熱交換器と、膨張弁と、室外熱交換器と、を備えるとともに、
空調室の温度を検出する室内温度センサと、
前記圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記室内熱交換器及び前記室内温度センサは、前記空調室に設けられる室内機に設置され、
前記制御部は、暖房運転時に前記室内温度センサの検出値が所定値よりも高い場合、前記目標値を所定の基準値よりも低くし、
暖房運転時には、前記圧縮機、前記室内熱交換器、前記膨張弁、及び前記室外熱交換器を順次に介して、冷媒が循環する空気調和機。
【請求項3】
前記所定の基準値は、前記圧縮機のモータの回転速度に対応する値であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部が前記目標値を高くするように補正する際の補正量には、上限値が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部が前記目標値を低くするように補正する際の補正量には、下限値が設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記室内温度センサの検出値と前記所定値との差の絶対値が大きいほど、前記目標値を補正する際の補正量の絶対値も大きいこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項7】
室外温度を検出する室外温度センサを備え、
前記制御部は、前記室内温度センサの検出値に基づく前記目標値の第1補正量と、前記室外温度センサの検出値に基づく前記目標値の第2補正量と、の和である補正量に基づいて、前記膨張弁を制御すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御部は、前記室外温度センサの検出値が第2所定値よりも低い場合には、前記第2補正量を正の値とし、前記室外温度センサの検出値が前記第2所定値よりも高い場合には、前記第2補正量を負の値とすること
を特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記第1補正量と前記第2補正量との和である前記補正量には、上限値及び下限値が設けられていること
を特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、圧縮機と、室内熱交換器と、膨張弁と、室外熱交換器と、を備えるとともに、空調室の温度を検出する室内温度センサと、前記圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度の目標値に基づいて、前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記室内熱交換器及び前記室内温度センサは、前記空調室に設けられる室内機に設置され、前記制御部は、暖房運転時に前記室内温度センサの検出値が所定値よりも低い場合、前記目標値を所定の基準値よりも高くし、暖房運転時には、前記圧縮機、前記室内熱交換器、前記膨張弁、及び前記室外熱交換器を順次に介して、冷媒が循環することとした。なお、その他については、実施形態の中で説明する。