(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118189
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】平面アンテナの構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20230818BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021000
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 雅典
【テーマコード(参考)】
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J045AB06
5J045AB07
5J045DA10
5J045KA02
5J045MA07
5J046AA15
5J046AB13
5J046RA03
5J046RA07
(57)【要約】
【課題】アンテナ基板と非励振素子との間の位置関係を確実に担保する。
【解決手段】励振素子61が形成され設けられるアンテナ基板6と、アンテナ基板6と積層されるとともに非励振素子51を保持してアンテナ基板6と非励振素子51との間の空間を埋める誘電体からなる保持層5と、保持層5と積層されて保持層5とレドーム2との間の空間を埋める誘電体からなる支持層4と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励振素子が形成され設けられるアンテナ基板と、
前記アンテナ基板と積層されるとともに非励振素子を保持して前記アンテナ基板と前記非励振素子との間の空間を埋める誘電体からなる保持層と、
前記保持層と積層されて前記保持層とレドームとの間の空間を埋める誘電体からなる支持層と、を有する、
ことを特徴とする平面アンテナの構造。
【請求項2】
前記保持層が前記非励振素子の形状および大きさに合わせて形成される凹部を有し、
前記非励振素子が前記凹部内に配置されて保持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナの構造。
【請求項3】
前記励振素子と前記非励振素子との間の前記保持層を貫通して前記励振素子と前記非励振素子との間隔を一定に保つスペーサとしての間隔固定カラーを有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の平面アンテナの構造。
【請求項4】
前記レドームが可撓性を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の平面アンテナの構造。
【請求項5】
前記非励振素子が金属板によって構成される、
ことを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の平面アンテナの構造。
【請求項6】
前記非励振素子が可撓性を備える、
ことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の平面アンテナの構造。
【請求項7】
前記アンテナ基板に位置決めピンとしての位置決めカラーが備え付けられるとともに、
前記保持層および前記支持層に前記位置決めカラーが摺動しつつ貫入自在の位置決め貫通孔が設けられる、
ことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の平面アンテナの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非励振素子を有する平面アンテナに適用して好適な構造に関する。
【背景技術】
【0002】
励振素子(別言すると、給電素子)の上方に誘電体を介して非励振素子(別言すると、無給電素子)が平行に配設されるマイクロストリップアンテナが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
平面アンテナは、パッチアンテナが設けられるアンテナ基板と一定の間隔かつ一定の位置に非励振素子が配置され、当該非励振素子と一定の間隔にレドームを有する構造として構成される。平面アンテナとして正しく機能させるためには、アンテナ基板(特に、パッチアンテナ)と非励振素子とを一定の間隔に保つ必要がある。
【0005】
そこでこの発明は、アンテナ基板と非励振素子との間の位置関係を確実に担保することが可能な平面アンテナの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明に係る平面アンテナの構造は、励振素子が形成され設けられるアンテナ基板と、前記アンテナ基板と積層されるとともに非励振素子を保持して前記アンテナ基板と前記非励振素子との間の空間を埋める誘電体からなる保持層と、前記保持層と積層されて前記保持層とレドームとの間の空間を埋める誘電体からなる支持層と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る平面アンテナの構造は、前記保持層が前記非励振素子の形状および大きさに合わせて形成される凹部を有し、前記非励振素子が前記凹部内に配置されて保持される、ようにしてもよい。
【0008】
この発明に係る平面アンテナの構造は、前記励振素子と前記非励振素子との間の前記保持層を貫通して前記励振素子と前記非励振素子との間隔を一定に保つスペーサとしての間隔固定カラーを有する、ようにしてもよい。
【0009】
この発明に係る平面アンテナの構造は、前記レドームが可撓性を備える、ようにしてもよい。
【0010】
この発明に係る平面アンテナの構造は、前記非励振素子が金属板によって構成される、ようにしてもよい。
【0011】
この発明に係る平面アンテナの構造は、前記非励振素子が可撓性を備える、ようにしてもよい。
【0012】
この発明に係る平面アンテナの構造は、前記アンテナ基板に位置決めピンとしての位置決めカラーが備え付けられるとともに、前記保持層および前記支持層に前記位置決めカラーが摺動しつつ貫入自在の位置決め貫通孔が設けられる、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る平面アンテナの構造によれば、非励振素子を保持してアンテナ基板と非励振素子との間の空間を埋める保持層と保持層とレドームとの間の空間を埋める支持層とを有するようにしているので、非励振素子とアンテナ基板に形成され設けられる励振素子との間の位置関係を良好に一定に保つことが可能となる。実施の形態に係る平面アンテナの構造によれば、また、レドームと保持層との間の空間が支持層によって埋められるとともに非励振素子とアンテナ基板との間の空間が保持層によって埋められるので、レドームが可撓性を備える場合であっても風などによってレドームが変形することを防いで非励振素子とレドームとの間隔を一定に保つことが可能となり、また、非励振素子が可撓性を備える場合であっても非励振素子の形状および位置を一定に保つとともに非励振素子と励振素子との間隔を一定に保つことが可能となる。
【0014】
この発明に係る平面アンテナの構造によれば、非励振素子が凹部内に配置されて保持されるようにした場合には、非励振素子とアンテナ基板に形成され設けられる励振素子との間の位置関係を一層確実に一定に保つことが可能となる。
【0015】
この発明に係る平面アンテナの構造によれば、励振素子と非励振素子との間隔を一定に保つスペーサとしての間隔固定カラーを有するようにした場合には、非励振素子とアンテナ基板に形成され設けられる励振素子との間隔を一層確実に一定に保つことが可能となる。
【0016】
この発明に係る平面アンテナの構造によれば、アンテナ基板に位置決めピンとしての位置決めカラーが備え付けられるとともに保持層および支持層に位置決め貫通孔が設けられるようにした場合には、位置決めカラーが組み立ての際の位置決めガイドとして機能して支持層および保持層の積層配設を容易に且つ確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施の形態に係る平面アンテナの構造を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の平面アンテナのうちのレドームおよびフレームを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。この発明の説明では、各図中に示す3次元直交座標系のX軸,Y軸,およびZ軸に従う方向および向きを用いる。また、各図においては、この発明の要点に関係せず下記の説明で触れられない構成(例えば、ねじなどの締結具ならびに種々の素子や回路)の図示を省略する。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態に係る平面アンテナ1の構造を示す分解斜視図である。
図2は、この発明の実施の形態に係る平面アンテナ1のうちのレドーム2およびフレーム3を示す分解斜視図である。
【0020】
実施の形態に係る平面アンテナ1の構造は、励振素子(別言すると、給電素子)61が形成され設けられるアンテナ基板6と、アンテナ基板6と積層されるとともに非励振素子(別言すると、無給電素子)51を保持してアンテナ基板6と非励振素子51との間の空間を埋める誘電体からなる保持層5と、保持層5と積層されて保持層5とレドーム2との間の空間を埋める誘電体からなる支持層4と、を有する、ようにしている。
【0021】
(平面アンテナ1の全体構造)
平面アンテナ1は、非励振素子51を有する平面アンテナであり、主に、レドーム2と、フレーム3と、支持層4と、保持層5と、アンテナ基板6と、グランド板7と、を有する。なお、平面アンテナ1は信号処理のための高周波集積回路を備えるが、この発明では信号処理の内容は特定の仕法には限定されず、また、信号処理用の高周波集積回路は周知の技術であるので、高周波集積回路の図示および説明を省略する。
【0022】
レドーム2は、誘電体からなる板状の部材である。レドーム2は、この発明では、可撓性を備えるようにしてもよく、具体的には例えば、厚さ(即ち、Z軸方向に沿う寸法)が2~4mm程度のポリカーボネート製の板状の部材によって構成されるようにしてもよい。
【0023】
フレーム3は、平面アンテナ1を構成する所定部材を取り囲んでレドーム2とグランド板7との間における前記所定部材の積層状態を保持する。フレーム3は、アルミニウムなどの金属製の枠状の部材として形成される。
【0024】
レドーム2は、フレーム3側に圧入されて設けられる複数のセルスタッドボルト(別言すると、ねじ棒)31とこれらセルスタッドボルト31各々と螺合するナット32とにより、板状をなすレドーム2の四辺の縁部が固定されて、枠状をなすフレーム3の枠体の内側を覆うように、フレーム3に対して取り付けられる。防塵性や防水性を確保するため、レドーム2の四辺の縁部がフレーム3に対して両面テープや接着剤などによって隙間なく相互に接着されるようにしてもよい。
【0025】
支持層4は、レドーム2と保持層5との間の空間を埋めてレドーム2を面的に支持してレドーム2と非励振素子51との間隔を一定に保つための部材である。
【0026】
支持層4は、誘電体からなる部材であって板状に形成され、板状の一面(具体的には、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きの側の面)がレドーム2の内面(具体的には、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きとは反対側の面)と接してレドーム2と積層するように配設される。
【0027】
支持層4の誘電率はアンテナ基板6の誘電率よりも低くなるように調整され、支持層4は、例えば、アンテナ基板6の誘電率よりも低い誘電率を備える発泡材によって形成されるようにしてもよい。支持層4は、また、特に圧縮圧力に対して強い材質(例えば、発泡材)によって形成される。
【0028】
保持層5は、非励振素子51とアンテナ基板6との間の空間を埋めてこれら非励振素子51とアンテナ基板6との間隔を一定に保つとともに非励振素子51の位置および姿勢を固定して非励振素子51とアンテナ基板6に形成され設けられる励振素子61との間の位置関係を一定に保つための部材である。
【0029】
保持層5は、誘電体からなる部材であって凡そ板状に形成され、板状の一面(具体的には、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きの側の面)が支持層4のうちのレドーム2側とは反対側の面(即ち、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きとは反対側の面)と接して支持層4と積層するように配設される。
【0030】
保持層5の誘電率はアンテナ基板6の誘電率よりも低くなるように調整され、保持層5は、例えば、アンテナ基板6の誘電率よりも低い誘電率を備える発泡材によって形成されるようにしてもよい。保持層5は、また、特に圧縮圧力に対して強い材質(例えば、発泡材)によって形成される。支持層4と保持層5とは、同じ材質の部材として形成されるようにしてもよく、或いは、相互に異なる材質の部材として形成されるようにしてもよい。
【0031】
保持層5のうちの支持層4側の面(即ち、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きの側の面)に形成される凹部52内に非励振素子51が配置されて保持される。
【0032】
非励振素子51は、銅板などの金属板によって構成されることが好ましい。非励振素子51は、具体的には例えば、厚さが0.5mm程度の銅板によって構成されることが考えられる。この場合、非励振素子51は自重によって撓むのに対し(即ち、非励振素子51は可撓性を備えるようにしてもよい)、非励振素子51が凹部52によって面的に支持されることにより、非励振素子51の撓みなどの変形が防止されるとともに位置が一定に保たれる。
【0033】
非励振素子51が金属板によって構成されることにより、非励振素子51がフィルム基板によって構成される場合の下記のような問題が回避され得る。
ア)フィルム基板は薄いため、形状の歪みが生じる場合があり、特性劣化につながる。
イ)フィルム基板を保持層5(例えば、発泡材)に積層する固定方法では、非励振素子51の高さの精度が悪く、特性劣化につながる。
ウ)特に大型のフィルム基板は、通常、銅板などの金属板と比べて高価である。
【0034】
アンテナ基板6は、誘電体からなる部材であって板状に形成され、板状の一面(具体的には、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きの側の面)が保持層5のうちの支持層4側とは反対側の面(即ち、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きとは反対側の面)と接して保持層5と積層するように配設される。アンテナ基板6は、具体的にはプリント基板(PCB:Printed Circuit Board の略)である。
【0035】
アンテナ基板6のうちの保持層5側の面(即ち、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きの側の面)に、励振素子61が形成され設けられる。励振素子61として、例えば平面パッチアンテナが用いられる。
【0036】
非励振素子51と励振素子61とは、各々の中心が同心となるように、且つ、相互に平行になるように、相互に対向して配置される。非励振素子51は、励振素子61と電磁結合する。非励振素子51と励振素子61との電磁結合の強さはこれらの間の誘電率および間隔の寸法で決まり、保持層5の厚さ(即ち、Z軸方向に沿う寸法)は、非励振素子51と励振素子61との電磁結合の強さが所望の強さとなるように調節される。
【0037】
グランド板7は、アルミニウムなどの金属製の板状の部材として形成され、板状の一面(具体的には、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きの側の面)がアンテナ基板6のうちの保持層5側とは反対側の面(即ち、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きとは反対側の面)と接してアンテナ基板6と積層するように配設される。
【0038】
励振素子61は、伝送線路(図示省略)を介して高周波集積回路(図示省略)の信号端子と電気的に接続される。また、グランド板7は、配線(図示省略)を介して前記高周波集積回路(図示省略)のグランド端子と電気的に接続される。
【0039】
レドーム2が取り付けられるフレーム3内において、前記レドーム2と面接触する支持層4,前記支持層4と面接触する保持層5,および前記保持層5と面接触するアンテナ基板6がZ軸方向において積層された状態で、フレーム3とグランド板7とが複数のフレーム取付ねじ33によって相互に固定される。
【0040】
(非励振素子51の固定構造)
保持層5のうちの支持層4側の面(即ち、X-Y面に沿う面であり、Z軸の矢印の向きの側の面)に、非励振素子51にとってのザグリとして機能して、非励振素子51を位置決めするとともに面的に支持して姿勢・形態を固定して保持するための凹部52が形成される。
【0041】
凹部52は、非励振素子51がX-Y面に沿って移動したり回転したりしないように、X-Y面視において矩形をなす非励振素子51の形状および大きさに合わせた凹みとして、また、非励振素子51の厚さと同程度の段差を備える凹みとして形成される。
【0042】
なお、凹部52は、非励振素子51がX-Y面に沿って移動したり回転したりしないように非励振素子51を保持し得る形状および大きさであればよく、X-Y面視において非励振素子51の形状と全く同一の形状でなくてもよい。例えば、凹部52の加工の都合によって四隅の角部が完全な直角にならずに多少大回りの丸角などになっても構わない。
【0043】
保持層5の凹部52のX-Y面視における中心位置に、貫通方向がZ軸方向に沿う貫通孔53が設けられ、当該貫通孔53に、軸心方向がZ軸方向に沿う円筒状の間隔固定カラー54が填められる。間隔固定カラー54のZ軸方向に沿う寸法は、非励振素子51と励振素子61とのZ軸方向における間隔(尚、平面アンテナ1として所望の特性を備えるように設計値として予め設定される所定の間隔)と同じに設定される。間隔固定カラー54は、アンテナ特性に影響を与えないように樹脂製である。
【0044】
また、非励振素子51のX-Y面視における中心位置に貫通孔55が設けられ、励振素子61のX-Y面視における中心位置に当該励振素子61およびアンテナ基板6をZ軸方向に沿って貫通する貫通孔62が設けられ、さらに、グランド板7の、保持層5の凹部52の貫通孔53および励振素子61・アンテナ基板6の貫通孔62とZ軸方向において同軸となる位置にねじ穴71が形成される。
【0045】
そして、非励振素子51の貫通孔55,保持層5の凹部52の貫通孔53に填められる間隔固定カラー54,および励振素子61・アンテナ基板6の貫通孔62をZ軸方向に沿って貫通してグランド板7のねじ穴71へと達する固定ねじ56によって非励振素子51がねじ止めされて固定される。
【0046】
また、アンテナ基板6のX-Y面視における四隅それぞれに固定用貫通孔63が設けられるとともに、グランド板7の、アンテナ基板6の各固定用貫通孔63とZ軸方向において同軸となる位置それぞれに位置決めねじ穴72が形成され、当該ねじ穴72に、軸心方向がZ軸方向に沿う円筒状の位置決めカラー64の先端のねじ部がねじ止めされる。位置決めカラー64は、アンテナ基板6とグランド板7とを相互に強固にねじ止めし得る(これにより、良好なアースが実現され得る)ように、黄銅などの金属製であることが好ましい。
【0047】
また、支持層4のX-Y面視における四隅それぞれに、貫通方向がZ軸方向に沿い、位置決めカラー64が摺動しつつ貫入自在の位置決め貫通孔41が設けられ、さらに、保持層5のX-Y面視における四隅それぞれに、貫通方向がZ軸方向に沿い、位置決めカラー64が摺動しつつ貫入自在の位置決め貫通孔57が設けられる。
【0048】
そして、アンテナ基板6およびグランド板7に対して備え付けられる位置決めカラー64各々へと、位置決め貫通孔57それぞれが嵌め合わされて(言い換えると、位置決め貫通孔57に位置決めカラー64が貫入させられて)保持層5とアンテナ基板6とが積層配置され、さらに、位置決め貫通孔41それぞれが嵌め合わされて(言い換えると、位置決め貫通孔41に位置決めカラー64が貫入させられて)支持層4と保持層5とが積層配置される。
【0049】
アンテナ基板6に形成され設けられる励振素子61の放射方向(具体的には、Z軸の矢印の向き側)において、保持層5の凹部52および当該凹部52の貫通孔53に填められる間隔固定カラー54により、励振素子61と一定の間隔かつ一定の位置に非励振素子51が配置され(即ち、間隔固定カラー54は、励振素子61と非励振素子51との間隔を一定に保つためのスペーサとして機能する)、さらに、支持層4により、非励振素子51と一定の間隔にレドーム2が配置される。
【0050】
特に、レドーム2が可撓性を備える場合であっても、支持層4によってレドーム2が面的に支持されるので、非励振素子51とレドーム2との間隔が一定に保たれる。また、非励振素子51が可撓性を備える場合であっても、保持層5(具体的には、凹部52)によって非励振素子51が面的に支持されるので、非励振素子51の形態および位置が一定に保たれるとともに非励振素子51と励振素子61との間隔が一定に保たれる。
【0051】
なお、非励振素子51は、間隔固定カラー54を介して固定ねじ56によってねじ止めされるだけではX-Y面に沿って回転する可能性があるのに対し、凹部52内に配置されて姿勢が固定されて保持されることによってX-Y面に沿う回転が防止される。
【0052】
また、保持層5のX-Y面視における四隅に設けられる位置決め貫通孔57とアンテナ基板6のX-Y面視における四隅に備え付けられる位置決めカラー64とにより、アンテナ基板6に対して保持層5が位置決めされて保持層5とアンテナ基板6との間の位置関係が固定され(即ち、位置決めカラー64は、保持層5とアンテナ基板6との間の位置関係を固定するための位置決めピン/位置決めガイドとして機能する)、延いては、保持層5の凹部52および間隔固定カラー54によって位置決めされて保持される非励振素子51とアンテナ基板6に形成され設けられる励振素子61との間の位置関係が一定に保たれる。
【0053】
さらに、支持層4のX-Y面視における四隅に設けられる位置決め貫通孔41とアンテナ基板6のX-Y面視における四隅に備え付けられる位置決めカラー64とにより、保持層5に対して支持層4を積層配設する際の組み立てが容易に行われる(即ち、位置決めカラー64は、保持層5と支持層4との間の位置関係を固定するための位置決めピン/位置決めガイドとして機能する)。
【0054】
また、平面アンテナ1に要求される機能/性能などに応じて、支持層4の材質(特に、誘電率)や厚さ(即ち、Z軸方向に沿う寸法)が調節される(これにより、非励振素子51とレドーム2との間隔が調節される)ことにより、平面アンテナ1としての特性が調整され得る。
【0055】
さらに、平面アンテナ1に要求される機能/性能などに応じて、保持層5の材質(特に、誘電率)や厚さ(即ち、Z軸方向に沿う寸法)が調節されるとともに間隔固定カラー54のZ軸方向に沿う寸法が調節される(これにより、非励振素子51と励振素子61との間隔が調節される)ことにより、平面アンテナ1としての特性が調整され得る。
【0056】
実施の形態に係る平面アンテナ1の構造によれば、非励振素子51を保持してアンテナ基板6と非励振素子51との間の空間を埋める保持層5と保持層5とレドーム2との間の空間を埋める支持層4とを有するようにしているので、非励振素子51とアンテナ基板6に形成され設けられる励振素子61との間の位置関係を良好に一定に保つことが可能となるとともに、非励振素子51とレドーム2との間隔を良好に一定に保つことが可能となる。実施の形態に係る平面アンテナ1の構造によれば、また、レドーム2と保持層5との間の空間が支持層4によって埋められるとともに非励振素子51とアンテナ基板6との間の空間が保持層5によって埋められるので、レドーム2が可撓性を備える場合であっても風などによってレドーム2が変形することを防いで非励振素子51とレドーム2との間隔を一定に保つことが可能となるとともに、非励振素子51が可撓性を備える場合であっても非励振素子51の形状および位置を一定に保つとともに非励振素子51と励振素子61との間隔を一定に保つことが可能となる。
【0057】
実施の形態に係る平面アンテナ1の構造によれば、非励振素子51が凹部52内に配置されて保持されるようにしているので、非励振素子51とアンテナ基板6に形成され設けられる励振素子61との間の位置関係を一層確実に一定に保つことが可能となる。
【0058】
実施の形態に係る平面アンテナ1の構造によれば、励振素子61と非励振素子51との間隔を一定に保つスペーサとしての間隔固定カラー54を有するようにしているので、非励振素子51とアンテナ基板6に形成され設けられる励振素子61との間隔を一層確実に一定に保つことが可能となる。
【0059】
実施の形態に係る平面アンテナ1の構造によれば、アンテナ基板6に位置決めピンとしての位置決めカラー64が備え付けられるとともに保持層5および支持層4に位置決め貫通孔41,57が設けられるようにしているので、位置決めカラー64が組み立ての際の位置決めガイドとして機能して支持層4および保持層5の積層配設を容易に且つ確実に行うことが可能となる。
【0060】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【0061】
例えば、上記の実施の形態では非励振素子51と励振素子61とがそれぞれ1個ずつ配設されるようにしているが、この発明に係る平面アンテナの構造は、複数の非励振素子51および前記非励振素子51各々と相互に対向する励振素子61が保持層5やアンテナ基板6の板面視(即ち、X-Y平面視)において行列状に配置されて、複数の非励振素子51および励振素子61がアレイアンテナを構成する平面アンテナに対しても適用され得る。
【0062】
上記の実施の形態では位置決めカラー64ならびに支持層4の位置決め貫通孔41および保持層5の位置決め貫通孔57がX-Y面視における四隅それぞれに設けられるようにしているが、位置決めカラー64ならびに位置決め貫通孔41,57の位置は、X-Y面における四隅それぞれに限定されるものではなく、X-Y面視における四隅のうちの対角に位置する二隅それぞれに設けられるようにしてもよく、さらに言えば、X-Y面視における四隅以外の場所(尚、2か所以上が好ましい)に設けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 平面アンテナ
2 レドーム
3 フレーム
31 セルスタッドボルト
32 ナット
33 フレーム取付ねじ
4 支持層
41 位置決め貫通孔
5 保持層
51 非励振素子
52 凹部
53 貫通孔
54 間隔固定カラー
55 貫通孔
56 固定ねじ
57 位置決め貫通孔
6 アンテナ基板
61 励振素子
62 貫通孔
63 固定用貫通孔
64 位置決めカラー
7 グランド板
71 ねじ穴
72 位置決めねじ穴