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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118195
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
E03D9/08 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021014
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰宏
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038JA05
2D038JB04
2D038JB05
2D038JF06
2D038JH01
2D038JH02
2D038KA14
(57)【要約】
【課題】接続部が反転した状態でコンセントに接続されても、熱交換器が地絡した場合の地絡電流をより確実に遮断できる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】第1電源端子と第2電源端子とを有する接続部と、ヒータを有する熱交換器と、洗浄水を噴出する噴出ノズルと、ヒータの一端と第1電源端子との間の電源経路上に設けられた温度ヒューズ及び電流ヒューズと、ヒータの他端と第2電源端子との間の電源経路上に設けられたスイッチング素子と、ヒータへの交流電力の供給を制御する制御部と、ヒータにおいて一端から他端に向けて電流が流れるように整流する整流部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源端子と、第2電源端子と、を有し、前記第1電源端子及び前記第2電源端子を介して交流の供給電源と電気的に接続される接続部と、
内部を流れる水を接地する接地電極と、前記内部を流れる水と電気的に絶縁されたヒータを有するヒータ部と、を有し、前記ヒータの一端を前記第1電源端子と電気的に接続し、前記ヒータの他端を前記第2電源端子と電気的に接続することにより、前記接続部を介して前記供給電源から前記ヒータに供給される交流電力を基に、給水源から供給された洗浄水を前記ヒータによって加熱する熱交換器と、
前記熱交換器を介して供給された洗浄水を噴出する噴出ノズルと、
前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記熱交換器の温度が所定の温度以上になった際に、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の前記電源経路を開放する温度ヒューズと、
前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の電源経路上に設けられ、定格電流以上の電流が流れた際に、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の前記電源経路を開放する電流ヒューズと、
前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記ヒータに前記交流電力を供給する状態と、前記ヒータへの前記交流電力の供給を停止した状態と、を切り替えるスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のスイッチングを制御することにより、前記ヒータへの前記交流電力の供給を制御する制御部と、
前記ヒータにおいて前記一端から前記他端に向けて電流が流れるように整流する整流部と、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ヒータ部により加熱された洗浄水の温度を検出可能な温度検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記温度検出部により検出された前記洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、前記噴出ノズルからの洗浄水の噴出を禁止する禁止モードを実行することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記ヒータ部により加熱された洗浄水の温度を検出可能な温度検出部と、前記噴出ノズルへの洗浄水の給水を制御する電磁弁と、をさらに備え、
前記制御部は、前記温度検出部により検出された前記洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、前記電磁弁により前記噴出ノズルへの給水を禁止する禁止モードを実行することを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記ヒータ部により加熱された洗浄水の温度を検出可能な温度検出部を備え、
前記制御部は、前記温度検出部により検出された前記洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高い場合に、前記スイッチング素子を前記ヒータへの前記交流電力の供給を停止した状態にすることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記噴出ノズルへの給水を開始する前に、前記温度推移が前記設定温度推移と異なるか否かを判定することを特徴とする請求項2または3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記禁止モードの実行中において、前記温度推移が前記設定温度推移と異なるか否かを再判定し、前記温度推移が前記設定温度推移と異ならない場合に、前記禁止モードの実行を停止することを特徴とする請求項2または3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記整流部は、全波整流を行うことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄水を噴射することにより、人体局部の洗浄を行う衛生洗浄装置が知られている。衛生洗浄装置は、洗浄水を加熱する熱交換器を有し、人体局部に対して温水を噴射可能としている。
【0003】
このような衛生洗浄装置において、落雷などにより熱交換器がアースに対して絶縁破壊すると、ホット側の経路からアースに対して電流が流れる地絡現象が発生する可能性がある。地絡現象が発生すると、地絡電流により熱交換器が過加熱状態となって高温の水が吐出されたり、人体への感電の影響が生じたりするなどの不具合が生じるおそれがある。そのため、地絡現象が生じた場合にすぐに地絡電流を遮断できるように、ホット側の経路上には、温度ヒューズや電流ヒューズなどの安全装置が設けられる。
【0004】
しかし、衛生洗浄装置の接続部(電源プラグ)のホットとコールドとが反転した状態でコンセントに接続された場合に、熱交換器が絶縁破壊してしまうと、ホット側の経路上に設けられた温度ヒューズや電流ヒューズに地絡電流が流れず、コールド側の経路に地絡電流が流れてしまう。そこで、コールド側の経路に地絡電流が流れた場合には、例えば、コールド側の経路上に設けられたスイッチング素子をオフ状態とすることで地絡電流を遮断する制御が行われる。しかし、スイッチング素子が故障した場合には、コールド側の経路に流れる地絡電流を遮断できなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7-38281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、接続部が反転した状態でコンセントに接続されても、熱交換器が地絡した場合の地絡電流をより確実に遮断できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、第1電源端子と、第2電源端子と、を有し、前記第1電源端子及び前記第2電源端子を介して交流の供給電源と電気的に接続される接続部と、内部を流れる水を接地する接地電極と、前記内部を流れる水と電気的に絶縁されたヒータを有するヒータ部と、を有し、前記ヒータの一端を前記第1電源端子と電気的に接続し、前記ヒータの他端を前記第2電源端子と電気的に接続することにより、前記接続部を介して前記供給電源から前記ヒータに供給される交流電力を基に、給水源から供給された洗浄水を前記ヒータによって加熱する熱交換器と、前記熱交換器を介して供給された洗浄水を噴出する噴出ノズルと、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記熱交換器の温度が所定の温度以上になった際に、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の前記電源経路を開放する温度ヒューズと、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の電源経路上に設けられ、定格電流以上の電流が流れた際に、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の前記電源経路を開放する電流ヒューズと、前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記ヒータに前記交流電力を供給する状態と、前記ヒータへの前記交流電力の供給を停止した状態と、を切り替えるスイッチング素子と、前記スイッチング素子のスイッチングを制御することにより、前記ヒータへの前記交流電力の供給を制御する制御部と、前記ヒータにおいて前記一端から前記他端に向けて電流が流れるように整流する整流部と、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0008】
この衛生洗浄装置によれば、整流部によりヒータにおいて一端から他端に向けて電流が流れるように電流の向きを固定することができる。これにより、接続部の第1電源端子と第2電源端子とが反転していない状態でコンセントに接続された場合でも、接続部の第1電源端子と第2電源端子とが反転した状態でコンセントに接続された場合でも、電流ヒューズ及び温度ヒューズにより、地絡電流を遮断できる。つまり、接続部が反転した状態でコンセントに接続されても、熱交換器が地絡した場合の地絡電流をより確実に遮断できる。したがって、使用者の安全性を高めることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記ヒータ部により加熱された洗浄水の温度を検出可能な温度検出部をさらに備え、前記制御部は、前記温度検出部により検出された前記洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、前記噴出ノズルからの洗浄水の噴出を禁止する禁止モードを実行することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0010】
この衛生洗浄装置によれば、温度検出部により検出された洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、噴出ノズルからの洗浄水の噴出を禁止する禁止モードを実行することで、地絡時に使用者が感電することを抑制できるとともに、地絡時に噴出ノズルから高温の洗浄水が噴出されることを抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ヒータ部により加熱された洗浄水の温度を検出可能な温度検出部と、前記噴出ノズルへの洗浄水の給水を制御する電磁弁と、をさらに備え、前記制御部は、前記温度検出部により検出された前記洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、前記電磁弁により前記噴出ノズルへの給水を禁止する禁止モードを実行することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0012】
この衛生洗浄装置によれば、温度検出部により検出された洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、電磁弁により噴出ノズルへの給水を禁止する禁止モードを実行することで、地絡時に噴出ノズルから高温の洗浄水が噴出されることをより確実に抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0013】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記ヒータ部により加熱された洗浄水の温度を検出可能な温度検出部を備え、前記制御部は、前記温度検出部により検出された前記洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高い場合に、前記スイッチング素子を前記ヒータへの前記交流電力の供給を停止した状態にすることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0014】
この衛生洗浄装置によれば、温度検出部により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高い場合に、スイッチング素子をヒータへの交流電力の供給を停止した状態にすることで、洗浄水が高温に加熱された場合に洗浄水の加熱を停止させることができる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0015】
第5の発明は、第2または第3の発明において、前記制御部は、前記噴出ノズルへの給水を開始する前に、前記温度推移が前記設定温度推移と異なるか否かを判定することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0016】
この衛生洗浄装置によれば、噴出ノズルへの給水を開始する前に、洗浄水の加熱時の温度推移が設定温度推移と異なるか否かを判定することで、地絡時に噴出ノズルから高温の洗浄水が噴出されることをより確実に抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0017】
第6の発明は、第2または第3の発明において、前記制御部は、前記禁止モードの実行中において、前記温度推移が前記設定温度推移と異なるか否かを再判定し、前記温度推移が前記設定温度推移と異ならない場合に、前記禁止モードの実行を停止することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0018】
この衛生洗浄装置によれば、禁止モードの実行中において、洗浄水の加熱時の温度推移が設定温度推移と異なるか否かを再判定し、温度推移が設定温度推移と異ならない場合に、禁止モードの実行を停止することで、例えば、外乱のノイズ等によって故障の誤判定が生じた場合に禁止モードを解除することができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【0019】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記整流部は、全波整流を行うことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0020】
この衛生洗浄装置によれば、整流部が全波整流を行うことで、整流部が半波整流を行う場合と比べて、熱交換器における加熱の効率を向上させることができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の態様によれば、接続部が反転した状態でコンセントに接続されても、熱交換器が地絡した場合の地絡電流をより確実に遮断できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図2】実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を表すブロック図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の整流部を表す説明図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、洗浄水の加熱時の温度推移の例を表すグラフである。
図5】実施形態に係る衛生洗浄装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図6】実施形態に係る衛生洗浄装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図7】参考の衛生洗浄装置の一部を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図1に表したように、衛生洗浄装置10は、熱交換器20と、噴出ノズル30と、制御部40と、を備える。なお、図1では、衛生洗浄装置10の水路系の要部構成と電気系の要部構成とを併せて表している。
【0024】
熱交換器20は、第1ヒータ21と第2ヒータ22とを有する。第2ヒータ22の抵抗値は、例えば、第1ヒータ21の抵抗値よりも高い。熱交換器20は、給水源WSから供給された洗浄水を第1ヒータ21及び第2ヒータ22によって加熱する。ただし、熱交換器20に設けられるヒータの数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0025】
噴出ノズル30は、先端部に設けられた噴出口32を有する。噴出ノズル30は、熱交換器20を介して供給された洗浄水を噴出口32から噴出して、例えば図示しない便座に座った使用者の人体(例えば「おしり」など)を洗浄する。
【0026】
例えば、図1に表したように、本実施形態にかかる衛生洗浄装置10は、水道や貯水タンクなどの給水源WSから供給された水を噴出ノズル30の噴出口32に導く流路12を有する。流路12の上流側には、電磁弁14が設けられている。電磁弁14は、開閉可能な電磁バルブであり、制御部40からの指令に基づいて水の供給を制御する。つまり、電磁弁14は、給水源WSから供給される水の噴出ノズル30への給水と止水とを切り替える。
【0027】
電磁弁14の下流には、熱交換器20が設けられている。熱交換器20は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22により、給水源WSから供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温させる。熱交換器20は、給水源WSから供給された水を、設定された温度の温水に変換する。
【0028】
本実施形態の熱交換器20は、例えば、筒状形状のセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。第1ヒータ21、第2ヒータ22は、例えば、セラミックヒータに設けられたヒータパターンである。瞬間式の熱交換器20は、タンクなどに水を溜めることなく、内部に水を流しながら加熱を行う。なお、熱交換器20は、タンクに貯めた水を加熱する貯湯式の熱交換器であってもよい。
【0029】
熱交換器20の下流には、流量の調整を行う流量切替弁33と、噴出ノズル30やノズル洗浄室36への給水の開閉や給水先の切替を行う流路切替弁34と、が設けられている。流量切替弁33は、噴出ノズル30へ流れる水の流量を調整する。流路切替弁34は、給水先(流路の接続先)を噴出ノズル30及びノズル洗浄室36のいずれかに切り替えることができる。流量切替弁33及び流路切替弁34は、1つのユニットとして設けられていてもよい。
【0030】
流量切替弁33及び流路切替弁34の下流には、噴出ノズル30が設けられている。噴出ノズル30は、ノズルモータ38からの駆動力を受け、便器のボウル内に進出したり、ケーシングの内部に後退したりすることができる。つまり、ノズルモータ38は、制御部40からの指令に基づいて噴出ノズル30を進退させることができる。
【0031】
ノズル洗浄室36は、その内部に設けられた図示しない吐水部から殺菌水あるいは水を噴射することにより、噴出ノズル30の外周表面(胴体)を殺菌あるいは洗浄することができる。あるいは、ノズル洗浄室36は、収納された状態の噴出ノズル30の噴出口32の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。
【0032】
使用者は、例えば、操作部50を操作することにより、噴出ノズル30からの洗浄水の吐出を開始させたり、停止させたりすることができる。使用者は、例えば、操作部50を操作することにより、熱交換器20において加熱される洗浄水の温度を設定することができる。操作部50は、例えば、トイレ室の壁などに設置して使用されるリモコンである。操作部50は、例えば、衛生洗浄装置10のケーシングに一体的に設けられる操作パネルなどでもよい。
【0033】
制御部40は、入力回路41及び電源回路42を介して供給電源PSから電力を供給され、操作部50などからの信号に基づいて電磁弁14や、熱交換器20や、流量切替弁33や、流路切替弁34や、ノズルモータ38の動作を制御する。例えば、制御部40は、供給電源PSから熱交換器20の第1ヒータ21及び第2ヒータ22に供給する電力を制御する。
【0034】
供給電源PSは、例えば、交流電源である。供給電源PSは、例えば、AC100V(実効値)の商用電源である。入力回路41は、供給電源PS側から侵入する電気的ノイズや外来サージ電圧を吸収する回路である。また、入力回路41は、周辺機器への誤動作を引き起こさないために、機器自身から発生するノイズを供給電源PS側に出さない目的も有している。入力回路41は、コンデンサ、コイル、サージ吸収用のバリスタなどで構成される。熱交換器20の第1ヒータ21及び第2ヒータ22は、入力回路41を介して供給電源PSに接続される。第1ヒータ21及び第2ヒータ22には、入力回路41を介して、交流電力が供給される。一方、制御部40には、入力回路41及び電源回路42を介して、直流電力が供給される。電源回路42は、入力回路41と制御部40との間の経路上に設けられ、供給電源PSから供給された交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部40に供給する。
【0035】
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を表すブロック図である。
図2に表したように、衛生洗浄装置10は、接続部60と、整流部45と、第1スイッチング素子71と、第2スイッチング素子72と、電流ヒューズ74と、温度ヒューズ76と、を備える。
【0036】
熱交換器20は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22を有するヒータ部112と、ケース114と、接地電極134と、を有する。第1ヒータ21及び第2ヒータ22は、熱交換器20の内部を流れる水と電気的に絶縁されている。接地電極134は、熱交換器20の内部を流れる水を接地する。
【0037】
接続部60は、第1電源端子61と、第2電源端子62と、を有する。第1電源端子61は、例えば、交流の供給電源PSの電源線(非接地側)と電気的に接続される電源端子である。第2電源端子62は、例えば、交流の供給電源PSの中性線(接地側)と電気的に接続される電源端子である。第1電源端子61は、例えば、ライブ側の電源端子(L側電源端子)であり、第2電源端子62は、例えば、ニュートラル側の電源端子(N側電源端子)である。ただし、上記と反対に、第1電源端子61を接地側とし、第2電源端子62を非接地側としてもよい。
【0038】
接続部60は、例えば、コンセントプラグである。第1電源端子61は、例えば、コンセントプラグの一方の端子であり、第2電源端子62は、例えば、コンセントプラグの他方の端子である。ただし、接続部60は、コンセントプラグに限ることなく、例えば、配電盤などに直接的に接続される一対の配線などでもよい。
【0039】
熱交換器20は、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端を第1電源端子61と電気的に接続し、第1ヒータ21の他端及び第2ヒータ22の他端を第2電源端子62と電気的に接続することにより、接続部60を介して供給電源PSから第1ヒータ21及び第2ヒータ22に供給される交流電力を基に、給水源WSから供給された洗浄水を第1ヒータ21及び第2ヒータ22の少なくとも一方によって加熱する。
【0040】
この例では、熱交換器20と接続部60との間に、入力回路41が設けられている。入力回路41は、例えば、供給電源PSから供給された交流電力を、そのまま熱交換器20に出力する。ただし、入力回路41は、供給電源PSから供給された交流電力を別の交流電力に変換し、変換後の交流電力を熱交換器20に出力してもよい。このように、供給電源PSから熱交換器20に供給される交流電力は、供給電源PSのそのままの交流電力でもよいし、入力回路41などで電力変換が行われた後の交流電力でもよい。熱交換器20に供給される交流電力は、供給電源PSの交流電力に基づく任意の交流電力でよい。
【0041】
また、熱交換器20と入力回路41との間には、整流部45が設けられている。この例では、整流部45は、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路上及び第1ヒータ21の他端及び第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられている。
【0042】
整流部45は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22において、一端から他端に向けて電流が流れるように整流する。つまり、第1ヒータ21及び第2ヒータ22における電流の向き(電圧極性)を固定する。整流部45については、後述する。
【0043】
第1スイッチング素子71は、第1ヒータ21の他端と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられ、第1ヒータ21に交流電力を供給する状態と、第1ヒータ21への交流電力の供給を停止した状態と、を切り替える。
【0044】
第2スイッチング素子72は、第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられ、第2ヒータ22に交流電力を供給する状態と、第2ヒータ22への交流電力の供給を停止した状態と、を切り替える。
【0045】
第1スイッチング素子71は、例えば、第1ヒータ21の他端と入力回路41の一方の交流出力端子との間に設けられる。同様に、第2スイッチング素子72は、例えば、第2ヒータ22の他端と入力回路41の一方の交流出力端子との間に設けられる。ただし、第1スイッチング素子71の配置は、これに限ることなく、第1ヒータ21の他端と第2電源端子62との間の電源経路上の任意の位置でよい。第2スイッチング素子72の配置は、これに限ることなく、第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路上の任意の位置でよい。
【0046】
第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72は、例えば、一対の主端子と制御端子とを有し、制御端子に入力される信号により、一対の主端子間に流れる電流のオン・オフを切り替える。第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72は、例えば、半導体スイッチである。第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72には、例えば、サイリスタまたはトライアックが用いられる。第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72は、例えば、電流のオン・オフを制御でき、かつ電流を少なくとも一方向に流すことができる任意の素子でよい。第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72は、例えば、複数の半導体スイッチなどを組み合わせて構成してもよい。
【0047】
第1ヒータ21及び第2ヒータ22は、例えば、一対の端子間に電流を流すことによって発熱する。第1ヒータ21及び第2ヒータ22は、例えば、抵抗体である。
【0048】
制御部40は、第1スイッチング素子71のスイッチングを制御することにより、第1ヒータ21への交流電力の供給を制御し、第2スイッチング素子72のスイッチングを制御することにより、第2ヒータ22への交流電力の供給を制御する。制御部40は、例えば、第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72のそれぞれの制御端子と電気的に接続されることにより、第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72のそれぞれのスイッチングを制御する。
【0049】
電流ヒューズ74は、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路上に設けられる。電流ヒューズ74は、定格電流以上の電流が流れた際に、接続部60と第1ヒータ21との間の電源経路及び接続部60と第2ヒータ22との間の電源経路を開放することにより、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への電力供給を遮断する。これにより、電流ヒューズ74は、定格電流以上の電流が熱交換器20に流入してしまうことを抑制する。なお、電流ヒューズ74は、第1電源端子61及び第2電源端子62のうちの非接地側の電源端子に設けられることが好ましい。
【0050】
電流ヒューズ74は、例えば、定格電流以上の電流が流れた際に、溶断することにより、電源経路を開放する。電流ヒューズ74は、例えば、定格電流以上の電流が流れた際に、接点を開放することにより、電源経路を開放し、定格電流が定格電流未満となった際に、接点を投入することにより、再び電源経路を接続する自己復旧型のヒューズでもよい。
【0051】
温度ヒューズ76は、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路上に設けられる。第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端は、温度ヒューズ76を介して第1電源端子61と電気的に接続される。
【0052】
温度ヒューズ76は、熱交換器20の温度が所定の温度以上になった際に、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路を開放し、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への電力供給を遮断する。これにより、温度ヒューズ76は、熱交換器20が所定の温度以上に発熱することを抑制する。温度ヒューズ76は、例えば、熱交換器20の空焚きを抑制する。
【0053】
温度ヒューズ76は、例えば、熱交換器20の温度が所定の温度以上になった際に、溶断することにより、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路を開放する。温度ヒューズ76は、例えば、熱交換器20の温度が所定の温度以上になった際に、接点を開放することにより、電源経路を開放し、熱交換器20の温度が所定の温度未満となった際に、接点を投入することにより、再び電源経路を接続する自己復旧型のヒューズでもよい。
【0054】
また、この例では、衛生洗浄装置10は、温度検出部84をさらに備えている。温度検出部84は、ヒータ部112により加熱された洗浄水の温度を検出可能である。温度検出部84は、例えば、サーミスタである。温度検出部84は、制御部40と電気的に接続されており、検出結果を制御部40に出力する。
【0055】
図3(a)及び図3(b)を参照して、整流部45について説明する。
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の整流部を表す説明図である。
図3(a)に表したように、整流部45は、例えば、ダイオードブリッジである。整流部45は、熱交換器20(第1ヒータ21及び第2ヒータ22)と接続部60(第1電源端子61及び第2電源端子62)との間の電源経路上に設けられる。
【0056】
図3(b)に表したように、整流部45が全波整流を行う場合、整流部45は、交流の入力電圧の負電圧分を正電圧に変換することで、電流の流れる向きを固定する。
【0057】
図3(a)に実線の矢印で示したように、第1電源端子61側から流れた電流は、ダイオードD4、熱交換器20、ダイオードD2の順に流れて、第2電源端子62に流れる。一方、図3(a)に破線の矢印で示したように、第2電源端子62側から流れた電流は、ダイオードD3、熱交換器20、ダイオードD1の順に流れて、第1電源端子61に流れる。このように、整流部45は、整流により第1ヒータ21及び第2ヒータ22における電流の向きを固定する。言い換えれば、整流部45は、コールド側の経路に地絡電流が流れることを抑制する。
【0058】
なお、この例では、整流部45は、全波整流を行うものであるが、整流部45は、半波整流を行うものであってもよい。この場合、整流部45は、例えば、ダイオードである。整流部45が半波整流を行う場合、整流部45は、入力電圧の負電圧分を消去することで、電流の流れる向きを固定する。ただし、熱交換器20における加熱の効率の観点から、整流部45は、全波整流を行うものであることが好ましい。
【0059】
図4(a)及び図4(b)は、洗浄水の加熱時の温度推移の例を表すグラフである。
図4(a)では、整流部45が故障していない場合の洗浄水の加熱時の温度推移の例を実線で表している。図4(b)では、整流部45が故障している場合の洗浄水の加熱時の温度推移の例を実線で表し、整流部45が故障していない場合の洗浄水の加熱時の温度推移の例を二点鎖線で表している。洗浄水の加熱時の温度推移は、例えば、温度検出部84により検出される。
【0060】
図4(a)に表したように、整流部45が故障していない場合には、時刻t1においてヒータへの通電を開始すると、洗浄水の温度は上昇し、時刻t2において、洗浄水の温度は所定温度に達する。洗浄水の温度が所定温度に達すると、制御部40は、例えば、ヒータへの通電を半波ごとに制御して、洗浄水の温度を所定温度に保つための保温制御を行う。制御部40は、例えば、このような整流部45が故障していない場合の洗浄水の加熱時の温度推移を、予め設定された設定温度推移として記憶する。
【0061】
一方、図4(b)に表したように、整流部45が故障している場合には、例えば、破線で示した半波の部分では通電されない。そのため、時刻t1においてヒータへの通電を開始すると、洗浄水の温度は上昇するが、時刻t2になっても、洗浄水の温度は所定温度に達しない。また、時刻t3において、洗浄水の温度が所定温度に達すると、制御部40は、例えば、ヒータへの通電を半波ごとに制御して、洗浄水の温度を所定温度に保つための保温制御を行うが、洗浄水の温度を所定温度に保つことができない。
【0062】
このように、整流部45が故障している場合の洗浄水の加熱時の温度推移は、整流部45が故障していない場合の洗浄水の加熱時の温度推移とは異なる。より具体的には、例えば、整流部45が故障している場合の洗浄水の加熱時の温度推移の勾配(上昇率)は、整流部45が故障していない場合の洗浄水の加熱時の温度推移の勾配(上昇率)よりも小さい。また、例えば、整流部45が故障している場合の加熱開始から所定時間後の洗浄水の温度は、整流部45が故障していない場合の加熱開始から所定時間後の洗浄水の温度よりも低い。また、例えば、整流部45が故障している場合の所定温度に達してから所定時間後の洗浄水の温度は、整流部45が故障していない場合の所定温度に達してから所定時間後の洗浄水の温度よりも低い。
【0063】
制御部40は、例えば、温度検出部84により検出された洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移(すなわち、整流部45が故障していない場合の洗浄水の加熱時の温度推移)と異なる場合に、洗浄水の加熱時の温度推移が異常であると判定することができる。制御部40は、例えば、温度検出部84により検出された洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移(すなわち、整流部45が故障していない場合の洗浄水の加熱時の温度推移)と異なる場合に、整流部45が故障していると判定することができる。制御部40は、例えば、洗浄水の加熱時の温度推移が異常であると判定すると(整流部45が故障していると判定すると)、後述する禁止モードを実行する。
【0064】
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図5に表したように、制御部40は、噴出ノズル30からの吐水を開始する指令信号を受信したか否かを判定する(ステップS101)。制御部40は、噴出ノズル30からの吐水を開始する指令信号を受信するまで、ステップS101を繰り返す(ステップS101:No)。
【0065】
噴出ノズル30からの吐水を開始する指令信号を受信すると(ステップS101:Yes)、制御部40は、洗浄水の加熱時の温度推移が正常か否かを判定する(ステップS102)。
【0066】
洗浄水の加熱時の温度推移が正常であると判定したら(ステップS102:Yes)、制御部40は、噴出ノズル30への給水を開始させる(ステップS103)。
【0067】
洗浄水の加熱時の温度推移が異常であると判定したら(ステップS102:No)、制御部40は、禁止モードの実行を開始する(ステップS104)。制御部40は、禁止モードにおいて、例えば、噴出ノズル30からの洗浄水の噴出を禁止する。制御部40は、例えば、噴出ノズル30の進出を禁止することで、噴出ノズル30からの洗浄水の噴出を禁止する。また、制御部40は、禁止モードにおいて、例えば、電磁弁14を閉にすることにより噴出ノズル30への給水を禁止してもよい。
【0068】
禁止モードの実行を開始すると、制御部40は、洗浄水の加熱時の温度推移が正常か否かを再判定する(ステップS105)。再判定において、洗浄水の加熱時の温度推移が異常であると判定したら(ステップS105:No)、制御部40は、禁止モードの実行を継続する。
【0069】
再判定において、洗浄水の加熱時の温度推移が正常であると判定したら(ステップS105:Yes)、制御部40は、禁止モードの実行を停止する(ステップS106)。つまり、制御部40は、再判定において、洗浄水の加熱時の温度推移が正常であると判定したら、禁止モードを解除する。
【0070】
図6は、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作の一例を表すフローチャートである。
図6に表したように、制御部40は、温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高いか否かを判定する(ステップS201)。設定温度は、例えば、40℃である。
【0071】
温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度以下の場合(ステップS201:Yes)、制御部40は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への交流電力の供給を維持する(ステップS202)。
【0072】
温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高い場合(ステップS201:No)、制御部40は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への交流電力の供給を停止する(ステップS203)。制御部40は、第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72をオフにすることで、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への交流電力の供給を停止する。
【0073】
第1ヒータ21及び第2ヒータ22への交流電力の供給を停止すると、制御部40は、温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高いか否かを再判定する(ステップS204)。再判定において、温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高いと判定されたら(ステップS204:No)、制御部40は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への交流電力の供給を停止させた状態を継続する。
【0074】
再判定において、温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度以下であると判定されたら(ステップS204:Yes)、制御部40は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への交流電力の供給を再開する(ステップS205)。つまり、制御部40は、再判定において、温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度以下であると判定されたら、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への交流電力の供給を停止させた状態を解除する。
【0075】
図7は、参考の衛生洗浄装置の一部を表すブロック図である。
図7は、整流部45を省略し、電流ヒューズ74及び温度ヒューズ76のみが設けられた参考の衛生洗浄装置の一部を模式的に表している。
【0076】
図7に表したように、参考の衛生洗浄装置の構成では、内部に流れる水と第1ヒータ21または第2ヒータ22との間に絶縁破壊が発生し、異常発熱によって温度ヒューズ76が溶断した際に、絶縁破壊の発生した位置によっては、第1ヒータ21または第2ヒータ22から内部の水を介して接地側に電流が流れてしまう場合がある。
【0077】
図7では、内部に流れる水と第2ヒータ22との間において、第2ヒータ22の第1電源端子61に近い一端側で絶縁破壊が発生した場合を例示している。この場合に、接続部60と供給電源PSとの接続を誤り、第2電源端子62が供給電源PSの電源線側に接続されていると、図7において矢線A1で表したように、第2電源端子62から第2スイッチング素子72、第2ヒータ22、及び絶縁破壊部分から熱交換器20の内部の水を介して接地電極134に電流が流れてしまう。この場合、電流ヒューズ74及び温度ヒューズ76の溶断の後にも第2ヒータ22に電流が流れ続け、第2ヒータ22の発熱を適切に停止させることができなくなってしまう可能性が生じてしまう。
【0078】
これに対し、本実施形態に係る衛生洗浄装置10では、熱交換器20が、内部を流れる水を接地する接地電極134を有する。これにより、内部に流れる水と第1ヒータ21及び第2ヒータ22との間に絶縁破壊が発生したとしても、第1ヒータ21及び第2ヒータ22から水に漏れた電流が水を伝って人体に影響を及ぼしてしまうことを抑制し、第1ヒータ21及び第2ヒータ22からの漏電に対する安全性を高めることができる。
【0079】
そして、衛生洗浄装置10では、整流部45によりヒータ(第1ヒータ21及び第2ヒータ22)において一端から他端に向けて電流が流れるように電流の向きを固定することができる。これにより、接続部60の第1電源端子61と第2電源端子62とが反転していない状態でコンセントに接続された場合でも、接続部60の第1電源端子61と第2電源端子62とが反転した状態でコンセントに接続された場合でも、電流ヒューズ74及び温度ヒューズ76により、地絡電流を遮断できる。つまり、接続部60が反転した状態でコンセントに接続されても、熱交換器20が地絡した場合の地絡電流をより確実に遮断できる。したがって、使用者の安全性を高めることができる。
【0080】
また、温度検出部84により検出された洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、噴出ノズル30からの洗浄水の噴出を禁止する禁止モードを実行することで、地絡時に使用者が感電することを抑制できるとともに、地絡時に噴出ノズル30から高温の洗浄水が噴出されることを抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0081】
また、温度検出部84により検出された洗浄水の加熱時の温度推移が予め設定された設定温度推移と異なる場合に、電磁弁14により噴出ノズル30への給水を禁止する禁止モードを実行することで、地絡時に噴出ノズル30から高温の洗浄水が噴出されることをより確実に抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0082】
また、温度検出部84により検出された洗浄水の温度が予め設定された設定温度よりも高い場合に、スイッチング素子(第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72)をヒータ(第1ヒータ21及び第2ヒータ22)への交流電力の供給を停止した状態にすることで、洗浄水が高温に加熱された場合に洗浄水の加熱を停止させることができる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0083】
また、噴出ノズル30への給水を開始する前に、洗浄水の加熱時の温度推移が設定温度推移と異なるか否かを判定することで、地絡時に噴出ノズル30から高温の洗浄水が噴出されることをより確実に抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めることができる。
【0084】
また、禁止モードの実行中において、洗浄水の加熱時の温度推移が設定温度推移と異なるか否かを再判定し、温度推移が設定温度推移と異ならない場合に、禁止モードの実行を停止することで、例えば、外乱のノイズ等によって故障の誤判定が生じた場合に禁止モードを解除することができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【0085】
また、整流部45が全波整流を行うことで、整流部45が半波整流を行う場合と比べて、熱交換器20における加熱の効率を向上させることができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【0086】
以上のように、実施形態によれば、接続部が反転した状態でコンセントに接続されても、熱交換器が地絡した場合の地絡電流をより確実に遮断できる衛生洗浄装置が提供される。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0088】
10 衛生洗浄装置
12 流路
14 電磁弁
20 熱交換器
21 第1ヒータ
22 第2ヒータ
30 噴出ノズル
32 噴出口
33 流量切替弁
34 流路切替弁
36 ノズル洗浄室
38 ノズルモータ
40 制御部
41 入力回路
42 電源回路
45 整流部
50 操作部
60 接続部
61 第1電源端子
62 第2電源端子
71 第1スイッチング素子
72 第2スイッチング素子
74 電流ヒューズ
76 温度ヒューズ
84 温度検出部
112 ヒータ部
114 ケース
134 接地電極
PS 供給電源
WS 給水源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7