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▶ 株式会社 ウッディさんないの特許一覧

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  • 特開-木製塀 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118209
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】木製塀
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20230818BHJP
   E04B 2/02 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
E04H17/14 101Z
E04B2/02 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021030
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】598034823
【氏名又は名称】株式会社 ウッディさんない
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 嘉男
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA10
2E142FF12
2E142HH01
(57)【要約】
【課題】本発明は、総てを木製とし、地震等の災害時に簡易に解体して薪に転用することができる木製塀を提供する。
【解決手段】本発明の木製塀は、角材の側面に沿って縦溝を形成してなる支柱1と、該支柱1,1間に縦溝に水平状態に嵌合し、上下面に凹及び凸のさね継ぎを形成した平板状の型枠材2をレンガ積みに積み上げてなる壁材3と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材3を最下端部で支える下貫4と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材3の最上端部を押える笠木5と、前記支柱1の縦溝と下貫4および支柱1の縦溝と笠木5を横断方向に貫通して固定する丸棒の木栓6と、からなる木製塀である。地震等の災害時に、壁材3のレンガ積みの型枠材2をストーブ等の燃料とするため、笠木5を除去してレンガ積みの型枠材2を薪に転用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総てを木製とし、角材の側面に沿って縦溝を形成してなる支柱と、該支柱間に縦溝に水平状態に嵌合し、上下面に凹及び凸のさね継ぎを形成した平板状の型枠材をレンガ積みに積み上げてなる壁材と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材を最下端部で支える下貫と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材の最上端部を押える笠木と、前記支柱の縦溝と下貫および支柱の縦溝と笠木を横断方向に貫通して固定する丸棒の木栓と、からなることを特徴とする木製塀。
【請求項2】
前記壁材は、レンガ積み以外に長尺と短尺を上下一列に平積みに積み上げることもできるし、上下面の凹及び凸を逆に配置することもできることを特徴とする請求項1記載の木製塀。
【請求項3】
前記木製塀は、前記支柱及び壁材の寸法を変えることにより、幅・高さを自在に変更できることを特徴とする請求項1記載の木製塀。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総てを木製とし、地震等の災害時に簡易に解体して薪に転用することができる木製塀に関する。
【背景技術】
【0002】
一般によく知られている塀には、基礎コンクリート上にコンクリートブロックを鉄筋とモルタルを用いて組積するコンクリートブロック塀や金属製フェンスの塀、鋳物製の塀、疑似竹木等の塀がある。
地震による塀の倒壊被害を調査すると、コンクリートブロック塀の倒壊による被害が圧倒的に多く、その理由として重いコンクリートブロックを用いてモルタル、鉄筋を介して積み上げる構築工法が原因と考えられる。
このコンクリートブロック塀に代えて、地球環境に優しく、軽量で倒壊しない木製組積塀が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術は、小径木の間伐材も使用可能な、貫通した穴を有する穴空き木材を複数段組積した木製組積塀であって、前記穴空き木材の貫通した穴に鍔付接続ソケットを用いて組積し、前記貫通した穴にモルタルの充填で連結固定する、穴空き木材を複数段組積した木製組積塀である。
【0003】
また、杉、桧等の間伐材を用いて製材加工、乾燥させて、塀用木材ブロック部材を所定の寸法、工程に基づいてプレカット工法等の機械加工、量産化して、コストダウンを図り、部材の良質、直通材、高精度な加工材、保管管理に徹した木材ブロック塀の積み上げ工法が知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、基礎上に土台用木材ブロック、柱用木材ブロックをアンカーボルト等で同時固定させ、柱に加工された溝に木材ブロックを落とし込み、さね(中継ぎ木材)を介して上下を固定、両端も柱に加工された溝へ固定して、さね(中継ぎ木材)を介して上下を固定、柱へ固定の工程で上段へ積み上げ、最後に木材ブロックを固定させて仕上る木材ブロック塀の積み上げ工法である。
【0004】
これらの公知技術は、間伐材を用いて木製ブロック塀を形成し、倒壊被害防止の点で優れているが、地震等の災害時にはライフラインがストップした避難場所での避難生活を強いられ、ストーブ等の燃料となる木材を確保する必要があるため、本発明は、総てを木製とし、簡易に解体して薪に転用することができる木製塀を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-026874号公報
【特許文献2】特開2005-315043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、総てを木製とし、地震等の災害時に簡易に解体して薪に転用することができる木製塀を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の木製塀は、総てを木製とし、角材の側面に沿って縦溝を形成してなる支柱と、該支柱間に縦溝に水平状態に嵌合し、上下面に凹及び凸のさね継ぎを形成した平板状の型枠材をレンガ積みに積み上げてなる壁材と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材を最下端部で支える下貫と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材の最上端部を押える笠木と、前記支柱の縦溝と下貫および支柱の縦溝と笠木を横断方向に貫通して固定する丸棒の木栓と、からなる塀である。
前記壁材は、レンガ積み以外に長尺と短尺を上下一列に平積みに積み上げることもできるし、上下面の凹及び凸を逆に配置することもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の木製塀は、地震等の災害時に、壁材のレンガ積みの型枠材をストーブ等の燃料とするため、笠木を除去してレンガ積みの型枠材を薪に転用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の木製塀の正面図である。
図2】本発明の木製塀の平面図である。
図3】本発明の木製塀の側面図である。
図4】支柱の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図である。
図5】壁材の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図である。
図6】下貫の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図である。
図7】笠木の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の木製塀の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1の正面図、図2の平面図、図3の側面図に示すように、総てを木製とし、角材の側面に沿って縦溝を形成してなる支柱1と、該支柱1,1間に縦溝に水平状態に嵌合し、上下面に凹及び凸のさね継ぎを形成した平板状の型枠材2をレンガ積みに積み上げてなる壁材3と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材3を最下端部で支える下貫4と、前記縦溝に水平状態に嵌合し、前記壁材3の最上端部を押える笠木5と、前記支柱1の縦溝と下貫4および支柱1の縦溝と笠木5を横断方向に貫通して固定する丸棒の木栓6と、からなる木製塀である。
【0011】
前記支柱1は、図4の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図に示すように、杉、桧等の間伐材を用いて製材加工した角材の側面に沿って縦溝7を形成し、(c)平面図イに示す左右端の支柱1は片面のみに縦溝7を形成し、(c)平面図ロに示す中間に位置する支柱1は両面に縦溝7を形成する。
前記支柱1の形状寸法は、縦×横×長さ=100mm×100mm×1200mmで、図1の前記支柱1,1間の距離は、1260mmである。
【0012】
前記壁材3は、図5の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図に示すように、杉、桧等の間伐材を用いて製材加工した上下面に凹8及び凸9のさね継ぎを形成した平板状の型枠材2から形成する。
前記型枠材2は、長尺の高さ×幅×長さ=100mm×35mm×400mmと短尺(長尺の1/2)の高さ×幅×長さ=100mm×35mm×200mmの2種類とし、図1に示すように長尺3枚と、短尺2枚+長尺2枚とを交互にレンガ積みに積み上げて壁材3を形成する。
前記壁材3は、ストーブ等の燃料となる長さで、レンガ積み以外に平積み、すなわち長尺と短尺を上下一列に積み上げることもできるし、上下面の凹8及び凸9を逆に配置することもできる。
【0013】
前記下貫4は、図6の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図に示すように、杉、桧等の間伐材を用いて製材加工した平板状の型枠材2の上面に凸9のさね継ぎを形成する。
前記下貫4は、高さ×幅×長さ=100mm×35mm×1200mmとし、前記縦溝7に水平状態に嵌合し、前記壁材3を最下端部で支える。
【0014】
前記笠木5は、図7の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図に示すように、杉、桧等の間伐材を用いて製材加工した平板状の型枠材2の両端に支柱1の縦溝7に嵌合する凸起10を形成する。
前記笠木5は、高さ×幅×長さ=100mm×50mm×1200mmとし、前記縦溝7に水平状態に嵌合し、前記壁材3の最上端部を押える。
【0015】
次に、本発明の木製塀の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、地面GLに支柱1を適宜間隔、この実施例では1260mmの間隔で複数個の支柱1を設置し、前記支柱1の縦溝7に下貫4の両端部を嵌合させて水平状態にさせて最下端部を支持し、ドリル等で支柱1及び下貫4に貫通穴(図示省略)を形成して丸棒の木栓6を貫通させて前記下貫4を固定する。
【0016】
次に、型枠材2を長尺3枚と、短尺2枚+長尺2枚とを上下交互にレンガ積みに積み上げて、この実施例では前記型枠材2を9段に積み上げて壁材3を形成する。レンガ積み以外に平積み、すなわち長尺と短尺を上下一列に積み上げることもできるし、上下面の凹8及び凸9を逆に配置することもできる。
そして、前記壁材3の最上端部には、前記支柱1の縦溝7に笠木5の凸起10を嵌合させて前記壁材3の最上端部を押え、ドリル等で支柱1及び笠木5に貫通穴(図示省略)を形成して丸棒の木栓6を貫通させて前記笠木5を固定する。
同様にして、残りの支柱1,1間にも壁材3を形成して、総て木製による塀を製作する。
そして、前記木製塀は、前記支柱1及び壁材3、下貫4、笠木5の寸法を変えることにより、幅・高さを自在に変更することができる。
【0017】
そして、地震等の災害時には、笠木5を固定している木栓6を破壊して前記笠木5を除去してレンガ積みの型枠材2を抜き取り可能とする。
前記笠木5を除去した後に、ストーブ等の燃料とするためレンガ積みの型枠材2を薪に転用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 支柱
2 型枠材
3 壁材
4 下貫
5 笠木
6 木栓
7 縦溝
8 凹
9 凸
10 凸起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7