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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118215
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
B60N2/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021041
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】517251797
【氏名又は名称】株式会社TF-METAL
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】黒田 俊介
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB03
3B087BC04
3B087BC05
3B087BC08
(57)【要約】
【課題】付勢部材の形状の簡素化を図ると共に、付勢部材のアッパレールへの組付性を向上する。
【解決手段】シートスライド装置101は、レバー部材131と、ロック部材117と、付勢部材132と、操作部材133とを備える。付勢部材132は、棒状の部材から形成されると共に、レバー部材131の前端部を上方に付勢するようにレバー部材131の前端部に当接する前側作用部135aと、レバー部材131の後端部を上方に付勢するようにレバー部材の後端部に当接する後側作用部136aと、前側作用部135aと後側作用部136aとの間に形成され、アッパレール105に形成された係止部105gに係止される中間支持部137と、を有する。係止部105gは、レバー部材131の回動中心(軸部材115)よりも後方側の位置にて中間支持部137を支持している。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に沿って延設されるロアレールと、
前記ロアレールの長手方向に沿って相対移動するアッパレールと、
前記アッパレールに対して左右方向の軸周りに回動可能に支持されるレバー部材と、
前記レバー部材の後端部に設けられ、前記ロアレールに形成された被ロック部に係合するロック位置と被ロック部から外れたロック解除位置との間で移動可能なロック部を備えたロック部材と、
前記ロック部をロック位置方向に付勢する付勢部材と、
前記レバー部材の前端部に接続される操作部材と、を備え、
前記付勢部材は、棒状の部材から形成されると共に、
前記レバー部材の前端部を上方に付勢するように前記レバー部材の前端部に当接する前側作用部と、
前記レバー部材の後端部を上方に付勢するように前記レバー部材の後端部に当接する後側作用部と、
前記前側作用部と前記後側作用部との間に形成され、前記アッパレールに形成された係止部に係止される中間支持部と、を有し、
前記係止部は、前記レバー部材の回動中心よりも後方側に位置させると共に、前記中間支持部の下方への移動を規制するように前記中間支持部を支持している、
シートスライド装置。
【請求項2】
前記係止部と前記付勢部材の前記中間支持部の接点と、前記レバー部材の前端部と前記付勢部材の前記前側作用部の接点との間の長さは、
前記係止部と前記付勢部材の前記中間支持部の接点と、前記レバー部材の後端部と前記付勢部材の前記後側作用部の接点との間の長さよりも短い、
請求項1に記載のシートスライド装置。
【請求項3】
前記レバー部材は、
前記アッパレールの長手方向に沿って延びると共に、左右方向に所定の間隔を有して対向する左右一対の側壁と、
少なくとも一方の前記側壁の前端部の上端部に設けられ、反対側の前記側壁に向けて左右方向に延出する前側上部支持部と、
少なくとも一方の前記側壁の前端部の下端部に設けられ、反対側の前記側壁に向けて左右方向に延出する前側下部支持部と、を有し、
左右一対の前記側壁と前記前側上部支持部と前記前側下部支持部とにより、前記レバー部材の前端部が断面略四角形状に形成され、前記レバー部材の前端部の内側に前記操作部材の後端部が挿入されており、
前記付勢部材は、
前記中間支持部から前記後側作用部まで延在して、前記レバー部材の後端部に下方から当接して前記レバー部材の後端部を上方に付勢する後側付勢部と、
前記中間支持部から前記前側作用部まで延在して、前記操作部材の後端部に下方から当接して、前記操作部材を介して前記レバー部材の前端部を上方に付勢する前側付勢部と、を有する、
請求項1又は2に記載のシートスライド装置。
【請求項4】
前記レバー部材の左右一対の前記側壁には、車両前後方向における前記レバー部材の回動中心と前記ロック部材との間に位置させて、左右一対の前記側壁相互間の間隔を狭くした左右一対の凹部を有し、
前記付勢部材の前記後側作用部が前記レバー部材の下方に位置し、
前記付勢部材における前記後側作用部と前記前側作用部との間の中間部分が前記凹部を通って前記レバー部材の上方へと延在し、
前記付勢部材の前記前側作用部が左右方向内側に曲げられて前記レバー部材の左右一対の前記側壁の間を前方へ延在している、
請求項3に記載のシートスライド装置。
【請求項5】
前記アッパレールは、前記アッパレールの左右両側壁に跨るように配置される軸部材を有し、
前記レバー部材は、前記アッパレールの長手方向に沿って延びる左右一対の側壁の上側端部にそれぞれ設けられ、上方に開口した凹溝を有し、
前記凹溝は前記軸部材に下方から係合し、前記凹溝が前記軸部材に係合した状態を維持するように前記レバー部材の前端部と後端部とが前記付勢部材によりそれぞれ上方に付勢されて、前記レバー部材が前記アッパレールに対して回動可能に支持される、
請求項1~4のうちいずれか1項に記載のシートスライド装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、略平行に延びる左右一対の棒状の部材から形成されると共に、
前記レバー部材の前端部を上方に付勢するように前記レバー部材の前端部にそれぞれ当接する左右一対の前記前側作用部と、
前記レバー部材の後端部を上方に付勢するように前記レバー部材の後端部にそれぞれ当接する左右一対の前記後側作用部と、
車両前後方向及び上下方向に関して同じ位置に形成された左右一対の前記係止部にそれぞれ係止される左右一対の前記中間支持部と、
左右一対の前記後側作用部の後端部同士を連結する連結部と、を有して平面視において略U字状に形成され、
少なくとも一方の前記係止部と前記付勢部材の前記中間支持部の接点と、前記レバー部材の前端部と少なくとも一方の前記前側作用部の接点との間の長さは、
少なくとも一方の前記係止部と前記付勢部材の前記中間支持部の接点と、前記レバー部材の後端部と少なくとも一方の前記後側作用部の接点との間の長さよりも短い、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のシートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用のシートに用いられるシートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のシートスライド装置は、車体に固定したロアレールに対し、シートに固定したアッパレールをスライド移動自在に設け、アッパレールに取り付けたロック部材のロック歯(ロック部)を、ロアレールのロック溝(被ロック部)に係合させてロック状態となる。当該シートスライド装置は、ロック部をロック解除方向に動作させるレバー部材を備え、レバー部材は、その回動中心よりも前側の部分が付勢部材により上方に付勢される。また、レバー部材の前端部には操作部材が連結されており、操作部材を上方に持ち上げることでレバー部材が操作部材と共に回動するように構成されている。
【0003】
特許文献1では、アッパレールに左右方向の軸線周りに回動可能にレバー部材が支持され、このレバー部材の後端部に設けたロック部をロアレールに設けた車両前後方向に連続するロック溝に係合する方向(ロック方向)に第1付勢部材により付勢されている。また、レバー部材の前端部には、操作部材が連結され、操作部材を上方に持ち上げることでレバー部材が一体的に上方に回動するように構成されている。操作部材とレバー部材との間には、レバー部材に対して操作部材の抜け方向の移動を規制すると共に、操作部材を上記第1付勢部材よりも弱い付勢力でロック解除方向に付勢する第2付勢部材が設けられている。ここで、特許文献1では、第1付勢部材と第2付勢部材とは、付勢力が異なるため、別々の部品で構成される。
【0004】
その一方、特許文献2では、上記2つの付勢部材を1つの部材(ばね部材)で構成する構造が記載されている。ここで、特許文献1では、付勢部材の前端部と後端部とで付勢力を異ならせるため、付勢部材の中間部分を2点でアッパレールに動かないように係止し、前端部及び後端部の長さ並びに変位量を異ならせることで、前端部側を弱い付勢力とし、後端部側を強い付勢力とするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-83890号公報
【特許文献2】特開2013-18400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の構造では、付勢部材の中間部分を2点でアッパレールに係止するため、付勢部材の形状が複雑化するだけでなく、付勢部材へのアッパレールへの組付性が悪い。
【0007】
そこで、本発明は、付勢部材の形状の簡素化を図ると共に、付勢部材のアッパレールへの組付性を向上することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わるシートスライド装置は、車両前後方向に沿って延設されるロアレールと、ロアレールの長手方向に沿って相対移動するアッパレールと、アッパレールに対して左右方向の軸周りに回動可能に支持されるレバー部材と、レバー部材の後端部に設けられ、ロアレールに形成された被ロック部に係合するロック位置と被ロック部から外れたロック解除位置との間で移動可能なロック部を備えたロック部材と、ロック部をロック位置方向に付勢する付勢部材と、レバー部材の前端部に接続される操作部材と、を備える。付勢部材は、棒状の部材から形成されると共に、レバー部材の前端部を上方に付勢するようにレバー部材の前端部に当接する前側作用部と、レバー部材の後端部を上方に付勢するようにレバー部材の後端部に当接する後側作用部と、前側作用部と後側作用部との間に形成され、アッパレールに形成された係止部に係止される中間支持部と、を有する。係止部は、レバー部材の回動中心よりも後方側に位置させると共に、前記中間支持部の下方への移動を規制するように前記中間支持部を支持している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、付勢部材の形状の簡素化を図ると共に、付勢部材のアッパレールへの組付性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係わるシートスライド装置の分解斜視図である。
図2】ロアレールにアッパレールを組み付けた状態をレバー部材及び付勢部材も含めて示す斜視図である。
図3】アッパレールとロアレールとの間に配置される下方ガイドボール及び上方ガイドボールを含むシートスライド装置の断面図である。
図4】ロアレールの斜視図である。
図5】アッパレールの斜視図である。
図6】ロック部材の斜視図である。
図7】レバー部材の斜視図である。
図8】付勢部材の斜視図である。
図9】レバー部材に付勢部材を組み付けた状態を示す斜視図である。
図10】レバー部材及び付勢部材を後方から見た背面図である。
図11A】操作部材の一部を下方から見た斜視図である。
図11B】操作部材の後端部を後方から見た背面図である。
図12】レバー部材及び付勢部材を上方から見た平面図である。
図13A】一方の軸受部を示すシートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図13B】他方の軸受部を示すシートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図14】シートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図15】操作部材をロック解除方向に操作した状態を示すシートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図16】操作部材に反ロック解除方向への負荷が作用した状態を示すシートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係わるシートスライド装置の分解斜視図である。
図18】レバー部材の斜視図である。
図19】付勢部材の斜視図である。
図20】操作部材の後端部を後方から見た背面図である。
図21】レバー部材及び付勢部材を上方から見た平面図である。
図22A】操作部材装着前のレバー部材を上方から見た平面図である。
図22B】操作部材装着前の状態を示すシートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図23】シートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図24】操作部材をロック解除方向に操作した状態を示すシートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
図25】操作部材に反ロック解除方向への負荷が作用した状態を示すシートスライド装置の要部拡大の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1図3に示す本発明の第1の実施形態に係わるシートスライド装置101は車両用シートの前後方向への調節を手動で行う手動式である。シートスライド装置101は、車両の床面上に設置され、車両前後方向に沿って延設されるロアレール103と、シート座部(図示せず)の裏面に設置され、ロアレール103の長手方向に沿って、ロアレール103内を相対移動自在に組み付けられるアッパレール105とを備えている。ロアレール103とアッパレール105とでレール体106を構成しており、レール体106は左右一対設けられている。なお、以下の説明(他の実施形態も含む)で、「前」は図1中で左側の車両前方FR側で、「後」は図1中で右側の車両後方RR側であり、「左右」は車両後方から車両前方を見たときの左右方向である。
【0013】
ロアレール103は、図3に示すように、車両前後方向に延びる長方形の板形状を具備するロア底壁103aを備えている。ロア底壁103aの車幅方向の両端縁から、左右一対のロア外側壁103bが、ロア底壁103aから上方に向けて若干外側に傾斜するように立ち上がっている。左右一対の両ロア外側壁103bの下端とロア底壁103aとの間にはロア斜壁103cが形成されている。左右一対の両ロア外側壁103bの上端縁から、互いに近づく方向にロア底壁103aと平行に延在する左右一対のロア上壁103dが設けられている。
【0014】
左右一対のロア上壁103dの内端縁からロア底壁103aに向かって下方に垂下する、左右一対のロア内側壁103eが設けられている。なお、互いに平行な状態で対向するロア内側壁103e間の間隔は、ロアレール103内に収容されるアッパレール105が移動可能なように設定されている。
【0015】
アッパレール105は、車体前後方向に延びる長方形の板形状を具備するアッパ天壁105aを備えている。アッパ天壁105aの車幅方向の両端縁から、左右一対のアッパ側壁105bが下方に向けて垂下している。左右両アッパ側壁105bの下端縁から、アッパ下方斜壁105cがそれぞれの外側斜め上方に向けて立ち上がっている。左右一対の両アッパ下方斜壁105cの上端縁から、屈曲部105dを介してアッパ上方斜壁105eがロア上壁103dに向かって斜め上方に向けて立ち上がっている。
【0016】
ロアレール103のロア底壁103aとロア斜壁103cとの間の下方円弧部103fと、アッパレール105のアッパ下方斜壁105cとの間に、下方ガイドボール107を転動自在に配置している。ロアレール103のロア外側壁103bとロア上壁103dとの間の上方円弧部103gと、アッパレール105のアッパ上方斜壁105eとの間に上方ガイドボール109を転動自在に配置している。
【0017】
下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109は、図1に示すように、図3では省略しているボールリテーナ111に回転自在に支持されている。ボールリテーナ111は、下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109を2個ずつ、計4個を支持している。これら下方ガイドボール107及び上方ガイドボール109を支持した状態のボールリテーナ111は、ロア外側壁103b、ロア斜壁103c、ロア上壁103d及びロア内側壁103eに囲まれた収容部113(図3)内に、前後2カ所配置され、左右一対のレール体106に対して計4カ所配置される。
【0018】
図14に示すように、レール体106を組み立てた状態において、アッパレール105の前方側におけるアッパ側壁105bには、軸部材115によってレバー部材131が回動可能に支持される。軸部材115は、アッパレール105の左右両アッパ側壁105bに跨るように左右両アッパ側壁105bの間にかけ渡されている。また、レバー部材131の回動中心(軸部材115)よりも後方側の端部には、ロック部材117が設けられる。その一方、レバー部材131の回動中心(軸部材115)よりも前方側の端部には、操作部材133が連結される。
【0019】
図6に示すように、ロック部材117は、凸形状の平板であり、左右両側縁部付近に前後方向に沿って二つずつの矩形の孔125aが形成されている。ところで、ロック部材117における各孔125aの前後方向に隣接する部分は、左右両側方に突出するロック部としてのロック歯125bを構成する。ロック歯125bは、左右両側にそれぞれ三箇所形成される。左右両側のそれぞれ三箇所のロック歯125bは、先端側が、前後方向に延びる接続部125cで接続された構成となる。
【0020】
本実施形態では、車幅方向右側の三箇所のロック歯125bのうち、最も前方側のロック歯125bは、他のロック歯125bよりも前後方向の幅が大きく形成された主ロック歯125mを構成する。主ロック歯125mは、左右の複数(6箇所)のロック歯のうちの1つのみである。
【0021】
また、ロック部材117の左右方向の中央部には、前側から順に、前側固定孔部117a、ロック部材117から上方へ突出する上方突出部117b、ロック部材117から下方へ突出する下方突出部117c、後側固定孔部117dが設けられている。上方突出部117bは、ロック部材117の一部を下方へ突出させることにより形成され、下方突出部117cは、ロック部材117から下方に向けて切起こしにより形成される。
【0022】
図5に示すように、アッパレール105の前後方向のほぼ中央付近において、左右両アッパ側壁105bから両アッパ下方斜壁105cにわたり、ロック歯受入凹部129を、前後方向に沿って左右それぞれ三箇所形成している。レール体106を組み立てた状態において、三箇所のロック歯受入凹部129にロック部材117の三つのロック歯125bが下方から入り込んでいる。このとき、ロック歯受入凹部129相互間の突起126が、ロック部材117の孔125aに挿入される。その際、ロック部材117の接続部125c付近が、アッパレール105に干渉するのを避けるために、ロック歯受入凹部129の下部に連続する開口部128、アッパ上方斜壁105eの上部に形成した切欠開口130を、アッパレール105の左右両側に設けてある。
【0023】
また、アッパレール105の左右両アッパ側壁105bには、軸部材115が挿通される軸受孔105fと、後述する付勢部材132を係止する係止部105gとが設けられている。この係止部105gは、アッパ側壁105bにおいてレバー部材131の回動中心(軸部材115)よりも後方側に設けられている。また、係止部105gは、アッパ側壁105bから内側に向けて切起こして形成されたものである。
【0024】
一方、図4に示すように、ロアレール103の左右のロア内側壁103eの前部付近及び後部付近を除く位置には、被ロック部としてのロック溝127を前後方向に沿って複数設けている。ロック溝127にロック部材117のロック歯125bが、ロック歯受入凹部129に位置している状態で下方から入り込むことで、ロック部材117がロアレール103に対してロックした状態となる。これにより、ロック部材117を取り付けてあるアッパレール105は、ロアレール103に対して前後方向の移動が規制される。
【0025】
ロック部材117は、アッパレール105に取り付けた状態で、付勢部材132が上方に弾性力を付与することで、ロック歯125bがロック溝127に入り込んだ状態が維持される。この状態から、図1に示す操作部材133をロック解除方向(上方)に向けて操作することで、レバー部材131を介してロック部材117が下方に押され、ロックが解除される。操作部材133は、アッパレール105内に前部から挿入されてレバー部材131と連動可能に配置される。
【0026】
図7に示すように、レバー部材131は、アッパレール105の長手方向に沿って延びると共に左右方向に所定の間隔を有して対向する左右の側壁147と、左右の側壁147の前方側の端部を除く領域において、左右の側壁147の下端相互をつなぐ下壁134とを備えている。
【0027】
レバー部材131の前後方向の中間位置より前方側の側壁147の上側端部には、軸受部としての凹溝147aが左右一対に形成されている。左右一対の凹溝147aのうち、右側の凹溝147aの底面は、軸部材115の外径よりも僅かに大きい半径を有する半円形状の円弧面として形成され(図13A参照)、左側の凹溝147aの底面は、車両前後方向に延びる平面として形成される(図13B参照)。凹溝147aは軸部材115に下方から係合し、凹溝147aが軸部材115に係合した状態を維持するようにレバー部材131が前端部と後端部とでそれぞれ上方に付勢されて、左右一対の凹溝147aの底面はそれぞれ、軸部材115に上下方向の1点で接触することになる。ここで、前述の円弧面の半径は、ばらつきにより、軸部材115との係合が圧入とならない程度に、軸部材115の外径よりも僅かに大きく設定する。
【0028】
図示はしないが、他の実施形態では、左右一対の軸受部のうち、一方の軸受部が丸孔として形成され、他方の軸受部が、車両前後方向に延びる長孔として形成されてもよい。
【0029】
また、レバー部材131の後端部の下壁134には、前側から順に、下壁134から下方へ突出する前側突起部134a、位置決め孔部134b、下壁134から下方へ突出する後側突起部134cが設けられている。前側突起部134a及び後側突起部134cはそれぞれ、下壁134から下方に向けて切起こしにより形成される。
【0030】
レバー部材131の前側突起部134a及び後側突起部134cはそれぞれ、ロック部材117の前側固定孔部117a及び後側固定孔部117dに挿入され、ロック部材117の上方突出部117bが、レバー部材131の位置決め孔部134bに圧入により挿入される。この状態で、前側突起部134a及び後側突起部134cをそれぞれかしめることにより、ロック部材117がレバー部材131の後端部に固定される(図9及び図10参照)。
【0031】
レバー部材131の前端部の下端部は、対向する反対側の下端部に向けて左右方向に延出する前側下部支持部としての前部下壁147bにより相互につながっている。前部下壁147bの上面は、前側下部支持面147cを構成している。両側壁147の前端部の上端部には、両側壁147から互いに対向する反対側に向けて屈曲するようにして左右方向に延出する前側上部支持部としての前側上部突起157が形成されている。左右の前側上部突起157の先端相互は互いに離間していて相互間には隙間が形成されている。前側上部突起157の下面は、前側上部支持面157aを構成している。
【0032】
前側上部突起157の後方で且つ凹溝147aの前方となる両側壁147の上部には、両側壁147から互いに対向する反対側に向けて屈曲するようにして左右方向に延出する後側上部支持部としての後側上部突起158が形成されている。後側上部突起158の下面は、後側上部支持面158aを構成している。すなわち、レバー部材131の前端部には、操作部材133の後端部の上面169b1に対向する一対の上部支持面(前側上部支持面157a、後側上部支持面158a)が車両前後方向に間隔をおいて設けられている。さらに、レバー部材131の前端部には、操作部材133の後端部の下面169b3に対向する前側下部支持面147cが前側上部支持面157aの下方に位置させて設けられている。
【0033】
前側上部支持面157aと前側下部支持面147cと両側壁147とにより、レバー部材131の前端部は断面略四角形状に形成され、このレバー部材131の前端部の内側に操作部材133の後端部が挿入されている。
【0034】
また、後側上部突起158の後方で且つ凹溝147aの前方となる両側壁147には、両側壁147から互いに対向する側に向けて突出する移動規制突起147dが形成されている。移動規制突起147dは、両側壁147の一部を内側に突出させることにより形成される。
【0035】
さらに、凹溝147aの後方で且つ前側突起部134aよりも前方となる両側壁147には、左右一対の凹部147eを設けて、両側壁147相互間の間隔を前端部及び後端部よりも狭くした幅狭部147fが形成されている。
【0036】
図8に示すように、付勢部材132は、略平行に延びる左右一対の細長い棒状に形成され、アッパレール105の内側でアッパレール105のアッパ側壁105bに沿って前後方向に延在している。この付勢部材132は、レバー部材131の前端部を上方に付勢するようにレバー部材131の前端部にそれぞれ当接する前側作用部135aを備える前側付勢部材135を有する。また、付勢部材132は、レバー部材131の後端部を上方に付勢するようにレバー部材131の後端部にそれぞれ当接する後側作用部136aを備える後側付勢部材136を有する。さらに、付勢部材132は、前側作用部135aと後側作用部136aとの間に形成され、アッパレール105のアッパ側壁105bに設けられた係止部105gにそれぞれ係止される中間支持部137を有する。
【0037】
後側付勢部材136は、中間支持部137から後側作用部136aまで左右両アッパ側壁105bにそれぞれ沿って延びると共に、後端部に左右一対の後側作用部136aが連結される連結部136bを有している。このため、後側付勢部材136(付勢部材132)は、平面視において略U字状に形成されている。後側付勢部材136の連結部136bがロック部材117の下面に下方から当接して、後側作用部136a(連結部136b)がロック部材117を上方(ロック位置方向)に付勢している。この後側付勢部材136の連結部136bが下方突出部117cと後側突起部134cとの間に位置することにより、後側付勢部材136(付勢部材132)の前後方向の移動範囲が規定される。
【0038】
後側付勢部材136は、後端部(後側作用部136a、連結部136b)がレバー部材131及びロック部材117の下方に位置し、中間部分(中間支持部137)が凹部147e(幅狭部147fとアッパ側壁105bとの間)を通ってレバー部材131の上方へ延びている。
【0039】
その一方、前側付勢部材135は、中間支持部137から前側作用部135aまで左右両アッパ側壁105bに沿って延びると共に、下方に折り返されて操作部材133の下面に設けた係止孔133aに係合する抜止部135bを前端部に有している。前側付勢部材135の前側作用部135aが操作部材133に下方から当接して、前側作用部135aが操作部材133を介してレバー部材131の前端部を上方に付勢している。
【0040】
前側付勢部材135は、後端部(中間支持部137)がレバー部材131の上方に位置し、前端部(前側作用部135a)が互いに近づくように内側に曲げられて両側壁147の間を前方へ延びている。
【0041】
前側付勢部材135と後側付勢部材136とは、一体(1つの部材)である。
【0042】
図1に示すように、操作部材133は、左右一対のレール体106に対応して設けられる左右一対のアーム部167と、左右一対のアーム部167同士をつないで車幅方向に延在する把持部168とを備えている。左右一対のアーム部167は、前後方向に延在し、左右それぞれのアッパレール105内に前端から挿入される後端部を有する。把持部168は、操作部材133を乗員が操作するときに把持する。
【0043】
アーム部167は、図14に示すように、後端部が、レバー部材131の左右の側壁147相互間に挿入されている。アーム部167は、把持部168を含めた全体が円筒部材で構成しており、前述した後端部が、円筒部材をプレス成形により加工した形状の後方接続部としての接続端部169となっている。
【0044】
図11A及び図11Bに示すように、接続端部169は、上面169b1と、上面169b1の左右の両端部から下方に延びる側面169b2と、左右の側面169b2の下端から左右内側に向けて設けられる下面169b3とを備えている。接続端部169の上側内面及び下側内面には、車両前後方向に沿って延びる左右一対の凹所171が設けられている。また、接続端部169の下面169b3には、左右の凹所171,171を跨ぐように係止孔133aが形成されている。
【0045】
操作部材133の接続端部169は、円筒部材の左右方向中間部分をそれぞれ内方に突出させた突出部172を上下に有し、付勢部材132の左右一対の前端部がそれぞれ、接続端部169の上下方向の間隔が広い部分(凹所171)に配置されている。
【0046】
操作部材133をレバー部材131に装着する前の状態においては、付勢部材132の前端部(当接部)は、レバー部材131の前側上部支持面157aに当接するようになっている。そして、操作部材133をレバー部材131に装着した状態(図14参照)において、付勢部材132の前端部(当接部)は、操作部材133の内部に挿入されて、操作部材133の下面(上面169b1の内面)に下方から当接し、操作部材133を上方に付勢するようになっている。
【0047】
図14に示すように、アッパレール105のアッパ側壁105bには、レバー部材131が軸部材115により回動可能に支持され、付勢部材132が係止部105gにより下方への移動を規制するように係止される。また、アッパレール105の左右両アッパ側壁105bには、車両前後方向において軸受孔105fの前方の位置に、両アッパ側壁105bから互いに対向する側に向けて屈曲するようにして突出する後側下部支持部としての後側下部突起148が形成される。この後側下部突起148は、アッパ側壁105bから内側に向けて切起こして形成されたものである。
【0048】
付勢部材132は、前側上部支持面157aの下方の位置において操作部材133の後端部の下面(上面169b1の内面)に下方から係合して、操作部材133を上方に付勢している。これにより、操作部材133の上面169b1が一対の上部支持面(前側上部支持面157a、後側上部支持面158a)に接触している。このとき、レバー部材131に設けられた前側下部支持面147cと、操作部材133の後端部の下面169b3との間、及び、アッパレール105に設けられた後側下部支持面148aと、操作部材133の後端部の下面169b3との間には、それぞれ上下方向のクリアランスC1,C2が設けられている。
【0049】
ところで、図14に示すように、係止部105gと付勢部材132の中間支持部137の接点(支持点P0)と、レバー部材131の前端部と付勢部材132の前側作用部135aの接点(前側作用点P1)との間の長さL1は、係止部105gと付勢部材132の中間支持部137の接点(支持点P0)と、レバー部材131の後端部と付勢部材132の後側作用部136aの接点(後側作用点P2)との間の長さL2よりも短い(L1<L2)。
【0050】
支持点P0における回転モーメントは、モーメントのつり合い「M0=F1×L1-F2×L2=0」から、「F1×L1=F2×L2」である。ここで、支持点P0と前側作用点P1との間の長さL1を、支持点P0と後側作用点P2との間の長さL2よりも短くする(L1<L2)。このようにすることにより、前側作用点P1に作用する力(付勢力)F1が、後側作用点P2に作用する力(付勢力)F2よりも大きくなる(F1>F2)。
【0051】
つまり、付勢部材132(前側付勢部材135)がレバー部材131の前端部をロック解除方向に付勢する力F1は、付勢部材132(後側付勢部材136)がレバー部材131の後端部(ロック部材117)をロック方向に付勢する力F2よりも大きく設定される。
【0052】
ここで、レバー部材131の回動中心Qと、レバー部材131の前端部と付勢部材132の前側作用部135aの接点(前側作用点P1)との間の長さを「L3」とする。また、レバー部材131の回動中心Qと、レバー部材131の後端部と付勢部材132の後側作用部136aの接点(後側作用点P2)との間の長さを「L4」とする。このとき、レバー部材131の回動中心Qにおける回転モーメントが、後端部側のモーメント(Mb=F2×L4)の方が前端部側のモーメント(Ma=F1×L3)よりも大きくなるように、前述の長さL3,L4が設定される。
【0053】
本実施形態では、前述の長さL3を長さL1よりも短くする(L1>L3)と共に、前述の長さL2を長さL4よりも短くしている(L3<L1<L2<L4)。このようにすることにより、レバー部材131の回動中心Qにおける回転モーメントが、後端部側のモーメント(Mb=F2×L4)の方が前端部側のモーメント(Ma=F1×L3)よりも大きくなる。
【0054】
したがって、レバー部材131の回動中心Qにおける回転モーメントは、レバー部材131の後端部(ロック部材117)をロック方向に付勢する付勢力として作用することになる。
【0055】
次に、上記のように構成されたシートスライド装置101の動作を説明する。
【0056】
図14は、ロック部材117のロック歯125bがロアレール103のロック溝127に係合してロックされたロック位置にある待機状態(操作部材133を操作していない非操作状態)である。この状態においては、操作部材133は、付勢部材132の前端部(当接部)により、一対の上部支持面(前側上部支持面157a、後側上部支持面158a)に押し付けられている。この付勢部材132の前端部による押し付け力(付勢力)は、操作部材133が自重により下がろうとする力よりも大きい。一方で、ロック部材117をロック解除位置方向に回転付勢する回転モーメントとしては付勢部材132の後端部の押し付け力(付勢力)によるロック位置方向への回転モーメントよりも小さいため、前述の待機状態が維持される。
【0057】
図14に示す状態から、乗員が操作部材133の把持部168を持ち上げる操作をすると、前側上部支持面157aと操作部材133の上面169b1との接点を支点として操作部材133が回動し、操作部材133の後端が付勢部材132の前端部(当接部)を押し下げて下方に移動する。その状態から、操作部材133の把持部168をさらに持ち上げると、操作部材133の後端部の下面169b3がアッパレール105に設けられた後側下部支持面148aに当接して、後側下部支持面148aと操作部材133の後端部の下面169b3との接点を支点として操作部材133が回動することになる。これにより、操作部材133の上面169b1が、レバー部材131の前側上部支持面157aを上方に持ち上げるように回動し、レバー部材131がロック部材117のロック部をロック解除位置方向に回動させる(図15参照)。
【0058】
これにより、レバー部材131は、軸部材115を回動中心として図14中で時計回り方向に揺動回転する。このとき、レバー部材131は、揺動回転によってロック部材117を下方に押し下げ、付勢部材132(後側付勢部材136)が下方に向けて弾性変形する。その結果、ロック歯125bがロアレール103のロック溝127から外れてロックが解除されたロック解除状態となる。ロックが解除されることで、図示しないシートをアッパレール105と共に、ロアレール103側の車両の床面に対して前後に移動させることができ、乗員の希望とするシート位置を確保できる。
【0059】
シート位置を決定した状態で、乗員が操作部材133から手を離すと、付勢部材132(後側付勢部材136)がロック部材117を上方に押し付け、レバー部材131を揺動回転させて図14の待機状態に戻る。このとき、レバー部材131は、軸部材115を回動中心として図14中で反時計回り方向に揺動回転する。
【0060】
図14の状態で、操作部材133に反ロック解除方向(下方)への負荷が作用した場合には、後側上部支持面158aと操作部材133の上面169b1との接点を支点として操作部材133が回動し、操作部材133の下面169b3と前側下部支持面147cとの間のクリアランスC1の分だけ、操作部材133が下方に移動することができる(図16参照)。なお、このとき、レバー部材131は、主ロック歯125mの噛み合い位置を中心に下方へ回動し、両側壁147の前端側の下面が後側下部支持面148aに当接することでレバー部材131の下方への移動を規制し、凹溝147aが軸部材115から外れるのを防止している。
【0061】
以下、本実施形態に係わるシートスライド装置101の作用効果を説明する。
【0062】
(1)シートスライド装置101は、車両前後方向に沿って延設されるロアレール103と、ロアレール103の長手方向に沿って相対移動するアッパレール105と、アッパレール105に対して左右方向の軸周りに回動可能に支持されるレバー部材131と、レバー部材131の後端部に設けられ、ロアレール103に形成された被ロック部(ロック溝127)に係合するロック位置と被ロック部から外れたロック解除位置との間で移動可能なロック部(ロック歯125b)を備えたロック部材117と、ロック部をロック位置方向に付勢する付勢部材132と、レバー部材131の前端部に接続される操作部材133と、を備える。付勢部材132は、棒状の部材から形成されると共に、レバー部材131の前端部を上方に付勢するようにレバー部材131の前端部に当接する前側作用部135aと、レバー部材131の後端部を上方に付勢するようにレバー部材131の後端部に当接する後側作用部136aと、前側作用部135aと後側作用部136aとの間に形成され、アッパレール105に形成された係止部105gに係止される中間支持部137と、を有する。係止部105gは、レバー部材131の回動中心(軸部材115)よりも後方側に位置させると共に、中間支持部137の下方への移動を規制するように中間支持部137を支持している。
【0063】
係止部105gと中間支持部137の接点を支持点P0、レバー部材131の前端部と前側作用部135aの接点を前側作用点P1、レバー部材131の後端部と後側作用部136aの接点を後側作用点P2とする。また、前側作用点P1に作用する付勢力を前側付勢力F1、後側作用点P2に作用する付勢力を後側付勢力F2、支持点P0と前側作用点P1との間の長さを長さL1、支持点P0と後側作用点P2との間の長さを長さL2とする。支持点P0における回転モーメントは、モーメントのつり合い「M0=F1×L1-F2×L2=0」から、「F1×L1=F2×L2」となる。
【0064】
ここで、レバー部材131の回動中心Qは、支持点P0よりも車両前後方向で前方側に設定されている。このため、回動中心Qと前側作用点P1との間の長さL3は前述の長さL1よりも短くなり(L3<L1)、回動中心Qと後側作用点P2との間の長さL4は長さL2よりも長くなっている(L4>L2)。
【0065】
したがって、前側作用点P1側のモーメント(Ma=F1×L3)が後側作用点P2側のモーメント(Mb=F2×F4)よりも小さくなる。このことから、回動中心Qにおけるモーメントは、後側作用点P2側のモーメント(Mb)の方が大きくなり、ロック方向へ付勢力として作用する。
【0066】
これにより、レバー部材131に対して付勢部材132の前側作用部135a及び後側作用部136aを下方から当接させるようにしつつ、付勢部材132の中間部分を上方に弾性変形させ、アッパレール105の係止部105gに係止させるだけであるため、付勢部材132の形状の簡素化が図れると共に、その組付け性を向上することができる。
【0067】
(2)係止部105gと付勢部材132の中間支持部137の接点と、レバー部材131の前端部と付勢部材132の前側作用部135aの接点との間の長さL1は、係止部105gと付勢部材132の中間支持部137の接点と、レバー部材131の後端部と付勢部材132の後側作用部136aの接点との間の長さL2よりも短い。
【0068】
支持点P0における回転モーメントは、モーメントのつり合いから、「F1×L1=F2×L2」である。ここで、前述の長さを「L1<L2」とすることで、「L3<L1<L2<L4」となると共に、前述の付勢力は「F1>F2」となる。
【0069】
このため、レバー部材131の後端部にロック方向への回転モーメントを発生させつつ、レバー部材131の前端部における付勢部材132の上方への付勢力を強くすることができる。
【0070】
(3)レバー部材131は、アッパレール105の長手方向に沿って延びると共に、左右方向に所定の間隔を有して対向する左右一対の側壁147と、少なくとも一方の側壁147の前端部の上端部に設けられ、反対側の側壁147に向けて左右方向に延出する前側上部支持部(前側上部突起157)と、少なくとも一方の側壁147の前端部の下端部に設けられ、反対側の側壁147に向けて左右方向に延出する前側下部支持部(前部下壁147b)と、を有する。左右一対の側壁147と前側上部支持部と前側下部支持部とにより、レバー部材131の前端部が断面略四角形状に形成され、レバー部材131の前端部の内側に操作部材133の後端部が挿入されている。付勢部材132は、中間支持部137から後側作用部136aまで延在して、レバー部材131の後端部に下方から当接してレバー部材131の後端部を上方に付勢する後側付勢部(後側付勢部材136)と、中間支持部137から前側作用部135aまで延在して、操作部材133の後端部に下方から当接して、操作部材133を介してレバー部材131の前端部を上方に付勢する前側付勢部(前側付勢部材135)と、を有する。
【0071】
付勢部材132の前側作用部135aが操作部材133を介してレバー部材131の前端部を上方に付勢しており、操作部材133を付勢するのに十分な付勢力を確保することができる。また、操作部材133とレバー部材131との間でがたつきが発生することを抑制することができる。
【0072】
(4)レバー部材131の左右一対の側壁147には、車両前後方向におけるレバー部材131の回動中心(軸部材115)とロック部材117との間に位置させて、左右一対の側壁147相互間の間隔を狭くした左右一対の凹部147eを有する。付勢部材132の後側作用部136aがレバー部材131の下方に位置し、付勢部材132における後側作用部136aと前側作用部135aとの間の中間部分が凹部147eを通ってレバー部材131の上方へと延在し、付勢部材132の前側作用部135aが左右方向内側に曲げられてレバー部材131の左右一対の側壁147の間を前方へ延在している。
【0073】
操作部材133がレバー部材131に装着される前の状態において、付勢部材132は、自己の弾性により、前端部が側壁147の上端側に位置する前側上部支持部(前側上部突起157)の下面に当接し、後端部がロック部材117の下面に当接すると共に、中間部分が凹部147eの左右方向に延びる側壁147の上面に当接して仮保持することが可能になる。
【0074】
このため、レバー部材131と付勢部材132とを仮組みした状態で、アッパレール105に回動可能に配置した後に、付勢部材132の中間部分をアッパレール105の係止部105gに掛け替えるように移動させるだけでよいため、組付性が良好である。
【0075】
さらに、前述の付勢部材132の掛け替えも治具を凹部147eの中を通して付勢部材132の中間部分を下方に押すだけで行えるため、作業性が極めて良好である。
【0076】
(5)アッパレール105は、アッパレール105の左右両側壁(左右両アッパ側壁105b)に跨るように配置される軸部材115を有し、レバー部材131は、アッパレール105の長手方向に沿って延びる左右一対の側壁147の上側端部にそれぞれ設けられ、上方に開口した凹溝147aを有する。凹溝147aは軸部材115に下方から係合し、凹溝147aが軸部材115に係合した状態を維持するようにレバー部材131の前端部と後端部とが付勢部材132によりそれぞれ上方に付勢されて、レバー部材131がアッパレール105に対して回動可能に支持される。
【0077】
アッパレール105に軸部材115を取り付けた状態で、レバー部材131の凹溝147aを下方から軸部材115に係合させ、この状態で付勢部材132の中間部分を係止部105gに掛けるようにするだけで、凹溝147aが軸部材115から外れないように上方に付勢されるため、組付性が良好である。
【0078】
[第2の実施形態]
図17図25には、本発明の第2の実施形態に係わるシートスライド装置101Aが示される。
【0079】
以下、第1の実施形態と形状又は構造等が相違する点を主に説明する。
【0080】
図18に示すように、レバー部材131Aの前端部の下端部は、対向する反対側の下端部に向けて左右方向に延出する前側下部支持部としての前部下壁147bにより相互につながっている。前部下壁147bの上面は、前側下部支持面147cを構成している。両側壁147の前端部の上端部には、両側壁147から互いに対向する反対側に向けて屈曲するようにして左右方向に延出する前側上部支持部としての前側上部突起157が形成されている。左右の前側上部突起157の先端相互は互いに離間していて相互間には隙間が形成されている。前側上部突起157の下面は、前側上部支持面157aを構成している。
【0081】
前側上部突起157の後方で且つ凹溝147aの前方となる両側壁147の上部には、両側壁147から互いに対向する反対側に向けて屈曲するようにして左右方向に延出する後側上部支持部としての後側上部突起158が形成されている。後側上部突起158の下面は、後側上部支持面158aを構成している。すなわち、レバー部材131Aの前端部には、操作部材133Aの後端部の上面169b1に対向する一対の上部支持面(前側上部支持面157a、後側上部支持面158a)が車両前後方向に間隔をおいて設けられている。さらに、レバー部材131Aの前端部には、操作部材133Aの後端部の下面169b3に対向する前側下部支持面147cが前側上部支持面157aの下方に位置させて設けられている。
【0082】
前側上部支持面157aと前側下部支持面147cと両側壁147とにより、レバー部材131Aの前端部は断面略四角形状に形成され、このレバー部材131Aの前端部の内側に操作部材133の後端部が挿入されている。
【0083】
また、後側上部突起158の後方で且つ凹溝147aの前方となる両側壁147には、両側壁147から互いに対向する側に向けて突出する移動規制突起147dが形成されている。移動規制突起147dは、両側壁147の一部を内側に突出させることにより形成される。
【0084】
図19に示すように、付勢部材132Aは、略平行に延びる左右一対の細長い棒状の部材から形成され、アッパレール105の内側でアッパレール105のアッパ側壁105bに沿って前後方向に延在している。この付勢部材132Aは、レバー部材131の前端部を上方に付勢するようにレバー部材131の前端部にそれぞれ当接する左右一対の前側作用部135aを備える前側付勢部材135を有する。また、付勢部材132Aは、レバー部材131の後端部を上方に付勢するようにレバー部材131Aの後端部にそれぞれ当接する左右一対の後側作用部136aを備える後側付勢部材136を有する。さらに、付勢部材132Aは、前側作用部135aと後側作用部136aとの間に形成され、アッパレール105のアッパ側壁105bに設けられた左右一対の係止部105gにそれぞれ係止される左右一対の中間支持部137を有する。
【0085】
後側付勢部材136は、中間支持部137から後側作用部136aまで左右両アッパ側壁105bに沿ってそれぞれ延びると共に、後端部に左右一対の後側作用部136aが連結される連結部136bを有している。このため、後側付勢部材136(付勢部材132)は、平面視において略U字状に形成されている。後側付勢部材136の連結部136bがロック部材117の下面に下方から当接して、後側作用部136a(連結部136b)がロック部材117を上方(ロック位置方向)に付勢している。この後側付勢部材136の連結部136bが下方突出部117cと後側突起部134cとの間に位置することにより、後側付勢部材136(付勢部材132A)の前後方向の移動範囲が規定される。
【0086】
後側付勢部材136は、後端部(左右一対の後側作用部136a、連結部136b)がレバー部材131及びロック部材117の下方に位置し、中間部分(左右一対の中間支持部137)が凹部147eを通ってレバー部材131Aの上方へ延びている。
【0087】
その一方、前側付勢部材135は、中間支持部137から前側作用部135aまで左右両アッパ側壁105bに沿って延びている。付勢部材132Aの左右一対の前側作用部135aは、付勢部材132Aの弾性力により、互いに左右方向外側に離隔するように付勢されると共に、上方に付勢されている。前側付勢部材135の左右一対の前側作用部135aが操作部材133Aにそれぞれ別々に下方から当接して、各前側作用部135aが操作部材133Aの前端部を上方に付勢している。
【0088】
左右一対の前側作用部135aの前部(先端)にはそれぞれ、操作部材133Aがレバー部材131Aに装着される際に操作部材133Aの接続端部169内への前側作用部135aの侵入を案内するために車両前後方向に対して傾斜したガイド部138が形成されている。また、左右一対の前側作用部135aは、前側上部支持面157aと後側上部支持面158aとの間における車両前後方向に関して異なる位置で、レバー部材131Aの前端部にそれぞれ別々に当接するようになっている。さらに、左右一対の前側作用部135aのうち、前方側に配置される前側作用部135aは、配置される操作部材133の平面部170aの左右方向一方側から他方側に向かって左右方向に延びる延長部139を有している。
【0089】
前側付勢部材135は、後端部(左右一対の中間支持部137)がレバー部材131Aの上方に位置し、前端部(左右一対の前側作用部135a、ガイド部138、延長部139)が互いに近づくように内側に曲げられて両側壁147の間を前方へ延びている。
【0090】
前側付勢部材135と後側付勢部材136とは、一体(1つの部材)である。
【0091】
操作部材133Aのアーム部167は、図23に示すように、後端部が、レバー部材131の左右の側壁147相互間に挿入されている。アーム部167は、把持部168を含めた全体が円筒部材で構成しており、前述した後端部が、円筒部材をプレス成形により加工した形状の後方接続部としての接続端部169となっている。
【0092】
図20に示すように、接続端部169は、上面169b1と、上面169b1の左右の両端部から下方に延びる側面169b2と、左右の側面169b2の下端部に設けられる下面169b3とを備えている。接続端部169は、上部に平面部170aを有すると共に、下部に下方に向けて凸となる円弧面部170bを有する断面略半円形状に形成されている。平面部170aの左右の両端部には、前側付勢部材135の左右一対の前側作用部135aがそれぞれ配置されている。
【0093】
また、図22A及び図22Bに示されるように、接続端部169の上側内面には、平面部170aから下方に突出する操作部材側突起部173が設けられている。操作部材側突起部173は、接続端部169の平面部170aから下方に向けて切起こしにより形成される。
【0094】
操作部材側突起部173の後部には、操作部材133Aがレバー部材131Aに装着される際に延長部139が操作部材側突起部173を乗り越えることができるように傾斜面174が形成されている。また、操作部材側突起部173の前部には、操作部材133Aがレバー部材131Aに装着されて延長部139と操作部材側突起部173とが係合した状態で操作部材133Aの前方側への移動が規制されるように係止面175が形成されている。
【0095】
操作部材133Aをレバー部材131Aに装着する前の状態においては、付勢部材132Aの前端部(当接部)は、レバー部材131Aの前側上部支持面157a又は後側上部支持面158aに当接するようになっている。すなわち、付勢部材132Aの左右一対の前側作用部135aが、レバー部材131Aの前側上部支持面157a又は後側上部支持面158aに当接する。また、レバー部材131Aに形成されている左右一対の移動規制突起147dが、左右一対の前側作用部135aに左右方向で当接する。そして、操作部材133Aをレバー部材131Aに装着した状態(図23参照)において、付勢部材132Aの前端部(当接部)は、操作部材133Aの下面(上面169b1の内面)に下方から当接し、操作部材133Aを上方に付勢するようになっている。
【0096】
次に、操作部材133Aをレール体106(レバー部材131A)に組み付ける手順の一例を説明する。
【0097】
(1)操作部材133Aの装着前
左右一対の前側作用部135aは、レバー部材131Aの上部支持面(前側上部支持面157a、後側上部支持面158a)と左右の側壁147の角部分に配置されており、各ガイド部138が操作部材133の接続端部169内に入りこむように、それぞれ左右方向及び上下方向で中心を向くように傾斜している(図22A参照)。
【0098】
(2)操作部材133Aの装着時
左右一対の前側作用部135aは、操作部材133Aの後方への移動と共に、ガイド部138により下方に押し下げられつつ左右方向内側に寄せられるように移動して操作部材133Aの接続端部169内に入りこむ。車幅方向左側の前側作用部135aの延長部139は、操作部材側突起部173の傾斜面174により下方に押し下げられるようにして操作部材側突起部173を乗り越える。
【0099】
(3)操作部材133Aの装着後
操作部材側突起部173の係止面175が車幅方向左側の前側作用部135aに対向して、操作部材133Aの前方(抜け方向)への移動が規制される。また、操作部材133Aの後端面が移動規制突起147dに対向して、操作部材133Aの後方(押込み方向)へのそれ以上の移動が規制される。
【0100】
図23に示すように、アッパレール105のアッパ側壁105bには、レバー部材131Aが軸部材115により回動可能に支持され、付勢部材132Aが係止部105gにより下方への移動を規制するように係止される。また、アッパレール105の左右両アッパ側壁105bには、車両前後方向において軸受孔105fの前方の位置に、両アッパ側壁105bから互いに対向する側に向けて屈曲するようにして突出する後側下部支持部としての後側下部突起148が形成される。この後側下部突起148は、アッパ側壁105bから内側に向けて切起こして形成されたものである。
【0101】
付勢部材132Aの一対の前側作用部135aは、前側上部支持面157aと後側上部支持面158aとの間の下方の位置において操作部材133Aの後端部の下面(上面169b1の内面)に下方から係合して、操作部材133Aを上方に付勢している。これにより、操作部材133Aの上面169b1が一対の上部支持面(前側上部支持面157a、後側上部支持面158a)に接触している。このとき、レバー部材131Aに設けられた前側下部支持面147cと、操作部材133Aの後端部の下面169b3との間、及び、アッパレール105に設けられた後側下部支持面148aと、操作部材133Aの後端部の下面169b3との間には、それぞれ上下方向のクリアランスC1,C2が設けられている。
【0102】
ところで、図23に示すように、一方側(車幅方向右側)においては、係止部105gと付勢部材132の中間支持部137の接点(支持点P0)と、レバー部材131の前端部と付勢部材132の前側作用部135aの接点(前側作用点P1b)との間の長さL1bは、係止部105gと付勢部材132Aの中間支持部137の接点(支持点P0)と、レバー部材131Aの後端部と付勢部材132Aの後側作用部136aの接点(後側作用点P2)との間の長さL2よりも短い(L1b<L2)。
【0103】
その一方、他方側(車幅方向左側)においては、係止部105gと付勢部材132Aの中間支持部137の接点(支持点P0)と、レバー部材131Aの前端部と付勢部材132Aの前側作用部135aの接点(前側作用点P1a)との間の長さL1aは、係止部105gと付勢部材132の中間支持部137の接点(支持点P0)と、レバー部材131Aの後端部と付勢部材132Aの後側作用部136aの接点(後側作用点P2)との間の長さL2とほぼ同じ長さである(L1a≒L2)。
【0104】
支持点P0における回転モーメントは、前側作用点P1a,P1bに作用する付勢力を前側付勢力F1a,F1bとし、後側作用点P2に作用する付勢力を後側付勢力F2としたとき、モーメントのつり合い「M0=(F1a×L1a+F1b×L1b)-F2×L2=0」から、「F1a×L1a+F1b×L1b=F2×L2」である。ここで、この実施形態では、支持点P0と一方の前側作用点P1bとの間の長さL1bを、支持点P0と後側作用点P2との間の長さL2よりも短くしている(L1b<L2)。その一方、この実施形態では、支持点P0と他方の前側作用点P1aとの間の長さL1aは、支持点P0と後側作用点P2との間の長さL2とほぼ同じ長さになっている(L1a≒L2)。つまり、レバー部材131Aの前端部を上方(ロック解除方向)に付勢する力(F1a+F1b)は、レバー部材131Aの後端部を上方(ロック方向)に付勢する力F2よりも大きくなる((F1a+F1b)>F2)。
【0105】
ここで、レバー部材131Aの回動中心Qと、レバー部材131Aの前端部と付勢部材132Aの前記他方の前側作用部135aの接点(前側作用点P1a)との間の長さを「L3a」とする。その一方、レバー部材131Aの回動中心Qと、レバー部材131Aの前端部と付勢部材132Aの前記一方の前側作用部135aの接点(前側作用点P1b)との間の長さを「L3b」とする。また、レバー部材131Aの回動中心Qと、レバー部材131Aの後端部と付勢部材132Aの後側作用部136aの接点(後側作用点P2)との間の長さを「L4」とする。このとき、レバー部材131Aの回動中心Qにおける回転モーメントが、後端部側のモーメント(Mb=F2×L4)の方が前端部側のモーメントの合計Ma(Ma1+Ma2=F1a×L3a+F1b×L3b)よりも大きくなるように、前述の長さL3a,L3b,L4が設定される。
【0106】
この実施形態では、前述の長さL3aを長さL1aよりも短くし(L1a>L3a)、且つ前述の長さL3bを長さL1bよりも短くする(L1b>L3b)と共に、前述の長さL2を長さL4よりも短くしている(L2<L4)。このようにすることにより、レバー部材131Aの回動中心Qにおける回転モーメントが、後端部側のモーメント(Mb=F2×L4)の方が前端部側のモーメントの合計Ma(Ma1+Ma2=F1a×L3a+F1b×L3b)よりも大きくなる。
【0107】
したがって、レバー部材131Aの回動中心Qにおける回転モーメントは、レバー部材131Aの後端部(ロック部材117)をロック方向に付勢する付勢力として作用することになる。
【0108】
次に、上記のように構成されたシートスライド装置101Aの動作を図24図25に示す。ただし、動作については、前述の第1の実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0109】
以下、第2の実施形態に係わるシートスライド装置101Aの作用効果を説明する。なお、前述の第1の実施形態と共通する作用効果については説明を省略する。
【0110】
第2の実施形態では、付勢部材132Aは、略平行に延びる左右一対の棒状の部材から形成されると共に、レバー部材131Aの前端部を上方に付勢するようにレバー部材131Aの前端部にそれぞれ当接する左右一対の前側作用部135aと、レバー部材131Aの後端部を上方に付勢するようにレバー部材131Aの後端部にそれぞれ当接する左右一対の後側作用部136aと、車両前後方向及び上下方向に関して同じ位置に形成された左右一対の係止部105gにそれぞれ係止される左右一対の中間支持部137と、左右一対の後側作用部136aの後端部同士を連結する連結部136bと、を有して平面視において略U字状に形成される。少なくとも一方の係止部105gと付勢部材132Aの中間支持部137の接点と、レバー部材131Aの前端部と少なくとも一方の前側作用部135aの接点との間の長さL1bは、少なくとも一方の係止部105gと付勢部材132Aの中間支持部137の接点と、レバー部材131Aの後端部と少なくとも一方の後側作用部136aの接点との間の長さL2よりも短い。
【0111】
レバー部材131Aの後端部にロック方向への回転モーメントを発生させつつ、レバー部材131Aの前端部における付勢部材132Aの上方への付勢力を強くすることができる。
【0112】
支持点P0における回転モーメントは、モーメントのつり合いから、「F1a×L1a+F1b×L1b=F2×L2」である。ここで、前述の長さを「L1b<L2」とすることで、「L3b<L1b<L2<L4」となると共に、前述の付勢力は「(F1a+F1b)>F2」となる。
【0113】
このため、レバー部材131Aの後端部にロック方向への回転モーメントを発生させつつ、レバー部材131Aの前端部における付勢部材132Aの上方への付勢力を強くすることができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。
【0115】
例えば、前述の実施形態では、左右一対の後側作用部136aの後端部同士を連結部136bで連結しているが、連結することなく、それぞれ別々にレバー部材131の後端部を上方に付勢するようにしてもよい。また、付勢部材132は、左右一対の棒状部材から形成されているが、左右一方(片側)のみに設けるようにしてもよい。
【0116】
さらに、支持点P0と前側作用点P1との間の長さL1を、支持点P0と後側作用点P2との間の長さL2よりも短くしているが、ほぼ同じ長さとしてもよい。なお、操作部材133を介してレバー部材131の前端部を上方に付勢しない(別の付勢部材を設ける)場合等、前側付勢力F1が小さくてもよい場合には、長さL1を長さL2よりも長くすることもできる。
【0117】
また、付勢部材132の前側作用部135aを操作部材133の内部に挿入しているが、外側下面(下面169b3)を下側から上方に付勢するようにしてもよい。
【0118】
さらにまた、上部突起157,158は、両側壁147の上端部にそれぞれ設けられているが、一方の側壁147の上端部にのみ設けるようにしてもよい。
【0119】
また、レバー部材131の前端部の下端部は、前部下壁147bにより相互につながっているが、前側上部突起157を相互につながる形状としてもよい。この場合、レバー部材131は、左右の側壁147の下端相互をつなぐ下壁134が上端相互をつなぐ上壁となった、下方が開放した逆向きU字形状となる。
【符号の説明】
【0120】
101,101A シートスライド装置
103 ロアレール
105 アッパレール
105b アッパ側壁
105g 係止部
115 軸部材
117 ロック部材
125b ロック歯
127 ロック溝
131,131A レバー部材
132,132A 付勢部材
133,133A 操作部材
135 前側付勢部材
135a 前側作用部
136 後側付勢部材
136a 後側作用部
136b 連結部
137 中間支持部
147 側壁
147b 前部下壁
147e 凹部
148 後側下部突起
157 前側上部突起
158 後側上部突起
169 接続端部
P0 支持点
P1 前側作用点
P1a 前側作用点
P1b 前側作用点
P2 後側作用点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
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図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25