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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118222
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】操作ストラップ
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20230818BHJP
   B60N 2/844 20180101ALI20230818BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/844
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021056
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 忠志
(72)【発明者】
【氏名】石井 正吾
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DC08
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】把持部のスリット内への入り込みを合理的な構成により防止することが可能な操作ストラップを提供すること。
【解決手段】シート表面に形成されるスリットSLからシート外部へと引き出される帯状の操作ストラップ1であって、スリットSLから引き出される引出部3と、引出部3の引き出された先から折り返し状に延びて環状に閉じられるように縫合される把持部4と、把持部4の環状に縫合された先の縫い代を成し、把持部4とは反対方向に延びて引出部3と引出方向の配置が重なる延出部5と、延出部5の少なくとも一部を引出部3から厚さ方向に離間させる形に保持する離間形状保持部H1と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート表面に形成されるスリットからシート外部へと引き出される帯状の操作ストラップであって、
前記スリットから引き出される引出部と、
前記引出部の引き出された先から折り返し状に延びて環状に閉じられるように縫合される把持部と、
前記把持部の環状に縫合された先の縫い代を成し、前記把持部とは反対方向に延びて前記引出部と引出方向の配置が重なる延出部と、
前記延出部の少なくとも一部を前記引出部から厚さ方向に離間させる形に保持する離間形状保持部と、を有する操作ストラップ。
【請求項2】
請求項1に記載の操作ストラップであって、
前記離間形状保持部が、前記把持部を環状に縫合する縫合部に前記延出部の延びた先が折り返し状に重ね合わされて共縫いされることで、前記延出部を前記引出部から厚さ方向に環状に膨らませる形に保持する共縫い部から成る操作ストラップ。
【請求項3】
請求項2に記載の操作ストラップであって、
前記延出部の延びた先が、前記把持部の環状に縫合される重ね合わせ部の間に挟まれて前記離間形状保持部により共縫いされる操作ストラップ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の操作ストラップであって、
前記延出部が、前記離間形状保持部による保持により、前記引出部の撓みに伴う前記把持部の倒れ込みを前記シート表面との突き当たりにより阻止する操作ストラップ。
【請求項5】
請求項4に記載の操作ストラップであって、
前記スリットが、シートバックの上面に上向きに開口するように形成され、
当該操作ストラップが、前記把持部の引張操作により、前記シートバックに連結された可倒式のヘッドレストをシート前方に倒し込み可能な状態に切り替える操作部材とされ、
前記延出部が、前記把持部の前倒れは前記シート表面との突き当たりにより阻止するが、前記把持部の後倒れは前記シート表面との突き当たりを伴うことなく許容する操作ストラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ストラップに関する。詳しくは、シート表面に形成されるスリットからシート外部へと引き出される帯状の操作ストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シートに設けられる操作ストラップが開示されている。この操作ストラップは、シート本体のスリットから引き出される引出部と、引出部の先に形成される環状の把持部と、を有する。上記操作ストラップには、更に、把持部がスリット内に入り込むのを防止するための入り込み防止部が設けられている。
【0003】
入り込み防止部は、把持部の環状に巻かれて縫合された先の縫い代部分が把持部の環状内部に張り出すように折り返されて形成されている。それにより、入り込み防止部は、把持部の基部の厚みを部分的に増大させる厚肉部として形成され、スリットへの入り込みをスリットの周縁との突き当たりによって規制するよう機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-17068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の構成では、入り込み防止部が把持部の環状内部に張り出して環状内部を狭める構成となっていることから、改善の余地がある。そこで、本発明は、把持部のスリット内への入り込みを合理的な構成により防止することが可能な操作ストラップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段として、本発明の操作ストラップは、次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明は、シート表面に形成されるスリットからシート外部へと引き出される帯状の操作ストラップであって、前記スリットから引き出される引出部と、前記引出部の引き出された先から折り返し状に延びて環状に閉じられるように縫合される把持部と、前記把持部の環状に縫合された先の縫い代を成し、前記把持部とは反対方向に延びて前記引出部と引出方向の配置が重なる延出部と、前記延出部の少なくとも一部を前記引出部から厚さ方向に離間させる形に保持する離間形状保持部と、を有する操作ストラップである。
【0007】
第1の発明によれば、引出部から厚さ方向に離間する形に保持される延出部により、把持部のスリット内への入り込みを延出部のシート表面への突き当たりによって規制することができる。このように、帯状の操作ストラップの巻き形状を工夫した合理的な構成により、把持部のスリット内への入り込みを防止することができる。
【0008】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、前記離間形状保持部が、前記把持部を環状に縫合する縫合部に前記延出部の延びた先が折り返し状に重ね合わされて共縫いされることで、前記延出部を前記引出部から厚さ方向に環状に膨らませる形に保持する共縫い部から成る操作ストラップである。
【0009】
第2の発明によれば、離間形状保持部の合理化を図ることができる。また、延出部が引出部に対して環状に膨らむ形に形状保持されることから、延出部によって把持部のスリット内への入り込みをより適切に防止することができる。
【0010】
本発明の第3の発明は、上記第2の発明において、前記延出部の延びた先が、前記把持部の環状に縫合される重ね合わせ部の間に挟まれて前記離間形状保持部により共縫いされる操作ストラップである。
【0011】
第3の発明によれば、延出部を、端末が外部に露出しない見栄えの良い構成とすることができる。
【0012】
本発明の第4の発明は、上記第1から第3のいずれかの発明において、前記延出部が、前記離間形状保持部による保持により、前記引出部の撓みに伴う前記把持部の倒れ込みを前記シート表面との突き当たりにより阻止する操作ストラップである。
【0013】
第4の発明によれば、延出部により、把持部のスリット内への入り込みと、引出部の撓みに伴う把持部の倒れ込みと、の双方を適切に阻止することができる。
【0014】
本発明の第5の発明は、上記第4の発明において、前記スリットが、シートバックの上面に上向きに開口するように形成され、当該操作ストラップが、前記把持部の引張操作により、前記シートバックに連結された可倒式のヘッドレストをシート前方に倒し込み可能な状態に切り替える操作部材とされ、前記延出部が、前記把持部の前倒れは前記シート表面との突き当たりにより阻止するが、前記把持部の後倒れは前記シート表面との突き当たりを伴うことなく許容する操作ストラップである。
【0015】
第5の発明によれば、把持部の前倒れが阻止されることで、把持部の倒れ込み方向を常にシートバックのシート後方へと向けることができる。したがって、使用者がシートバックのシート後方の位置から把持部を掴んで引張る操作をより行いやすくすることができる。また、シートバックが前倒し可能な仕様とされる場合には、シートバックの前倒れ時に把持部がシートバックとシートクッションとの間に挟まることを適切に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る操作ストラップの構成を表す斜視図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】操作ストラップをシートバックのスリットからシート外部へと通す作業工程を示す断面図である。
図4】把持部がシート後方に倒された状態を表す断面図である。
図5】把持部のスリット内への入り込みが規制される状態を表す断面図である。
図6】引出部の入り込みにより延出部が変形した状態を表す断面図である。
図7】シートバックが前倒れした状態を表す断面図である。
図8】第2の実施形態に係る操作ストラップの構成を表す図2に対応する断面図である。
図9】第3の実施形態に係る操作ストラップの構成を表す図2に対応する断面図である。
図10】第4の実施形態に係る操作ストラップの構成を表す図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
《第1の実施形態》
(操作ストラップ1の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る操作ストラップ1の構成について、図1図7を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1図7のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る操作ストラップ1は、自動車のリヤシートのシートバックSBの上部に設けられた帯状の操作部材として構成される。具体的には、操作ストラップ1は、シートバックSBの上面に形成された上向き開口となる横長状のスリットSLからシート上方へと引き出されている。スリットSLは、その周囲が樹脂製のベゼルBZにより囲われた構成とされる。
【0020】
操作ストラップ1は、ポリエステルやナイロン等の高強度な長繊維が1本の帯幅一定の長尺形状に織られた帯状部材から成る。詳しくは、操作ストラップ1は、上記1本の帯状部材が所々で折り返されて環状に閉じられる形に縫合されることにより、環状の把持部4と環状の延出部5とを備える巻き形状に形成された構成とされる。
【0021】
具体的には、図2に示すように、操作ストラップ1は、シートバックSB内で不図示の操作ケーブルと接続される帯状の接続部2を有する。また、操作ストラップ1は、接続部2から図示上方に面一状に延びて、スリットSLからシート外部へと引き出される帯状の引出部3を有する。また、操作ストラップ1は、引出部3の引き出された先から図示上方に面一状に延びて、その先で図示前下方に折り返される形に延びて縫合部6により環状に閉じられる形に縫合される把持部4を有する。
【0022】
また、操作ストラップ1は、把持部4の環状に縫合された先の縫い代を成す延出部5を有する。延出部5は、縫合部6から把持部4とは反対方向となる図示下方に延びて引出部3と引出方向の配置が重なるように設けられる構成とされる。
【0023】
延出部5は、その図示下方に延びた先から図示後上方に折り返される形に延びて、その先の端末が把持部4の環状に縫合される重ね合わせ部4A,4Bの間に挟まれてこれらと縫合部6にて厚さ方向にひとまとめに共縫いされている。縫合部6は、把持部4の両重ね合わせ部4A,4Bとこれらの間に挟まれる延出部5の端末とを図示前後側から縫い合わせ糸が見えるアウトステッチの縫い方で縫合する構成とされる。
【0024】
それにより、延出部5は、引出部3の前面上に、把持部4と図示上下方向に並ぶ環状形状を成す形に縫合された構成とされる。延出部5は、その自由状態では、その環状形状の閉じ部を成す縫合部6と図示後方に対面する引出部3の前面とを支点に、引出部3から図示前方に膨らむ形に復元力を作用させる構成とされる。上記膨らみにより、延出部5は、引出部3との間でスリットSLよりも前後幅の広い太径部を形成する。
【0025】
また、延出部5は、その延びた先の端末が把持部4の重ね合わせ部4A,4Bの間に挟まれた状態に縫合されることから、端末が外部に露出しない見栄えの良い状態に仕上げられる構成とされる。このように、操作ストラップ1は、延出部5の延びた先の端末を環状に閉じる縫合部6が、延出部5を引出部3から厚さ方向となる図示前方に環状に膨らませる形に保持する離間形状保持部H1となる構成とされる。
【0026】
(操作ストラップ1の組み付け手順)
上記構成の操作ストラップ1は、次の手順により、シートバックSBのスリットSL内にシート内部側(図示下方)からシート外部側(図示上方)へと通された状態にセットされる。先ず、操作ストラップ1の接続部2に不図示の操作ケーブルを接続する。
【0027】
次に、図3に示すように、操作ストラップ1の把持部4をスリットSL内にシート内部側(図示下方)からシート外部側(図示上方)へと通す。具体的には、操作ストラップ1の帯幅方向をスリットSLの延びる横方向に向けた状態にして、操作ストラップ1を把持部4の上端側から把持部4の環状形状を押し窄めながらスリットSL内にシート内部側(図示下方)から通す。
【0028】
それにより、把持部4がスリットSL内を通過した後、延出部5がその復元力に抗して環状形状を押し窄められながら引出部3と共にスリットSL内へと通される。そして、延出部5がスリットSLをシート外部側(図示上方)へと完全に通り抜ける位置まで操作ストラップ1をスリットSL内へと通すことにより、操作ストラップ1が不図示の操作ケーブルを引張操作する前の初期位置まで引き出された状態となる。それにより、延出部5が、その復元力により、引出部3から図示前方に環状に膨らむ形に戻される。
【0029】
(操作ストラップ1の操作手順)
以上のように組み付けられた操作ストラップ1は、図1に示すように、使用者がシートバックSBのスリットSLから引き出された把持部4を手で掴んでシート上方へと引張操作することにより、シートバックSBの内部で接続された不図示の操作ケーブルを牽引操作する。それにより、不図示の操作ケーブルと繋がれた不図示のロック機構が解除され、シートバックSBの上部に装着された可倒式のヘッドレストHRの使用位置でのロック状態が解除される。このロック解除により、ヘッドレストHRが、シートバックSBに対してシート前方に倒し込み可能な状態に切り替えらえる。
【0030】
具体的には、使用者が操作ストラップ1の把持部4を手で掴んでシート上方へと引張る操作は、使用者が車両のバックドアを開けたシートバックSBのシート後方に立つ位置から行われる。その際、操作ストラップ1は、図4に示すように、シートバックSBが背凭れとして使用される起立位置にある状態では、常に、把持部4がシートバックSBの上面からシート後方へと倒された状態に設けられるようになっている。
【0031】
具体的には、図2に示すように、操作ストラップ1は、引出部3がスリットSLに通された基端を支点にシート前方に倒れようとすると、引出部3の図示前側に並ぶ延出部5の下縁がシート表面となるベゼルBZ或いはシートバックSBの上面に突き当たって前倒れが阻止されるようになっている。反対に、操作ストラップ1は、引出部3がスリットSLに通された基端を支点にシート後方に倒れようとする時には、図4に示すように、延出部5がベゼルBZやシートバックSBの上面とは突き当たらないため、後倒れが許容されるようになっている。
【0032】
したがって、操作ストラップ1の把持部4を常にシートバックSBの上面からシート後方に倒した状態に設けることができ、使用者がシートバックSBのシート後方の位置から把持部4を掴んで引張る操作を簡便に行うことができる。また、図5に示すように、操作ストラップ1は、何らかの拍子で引出部3がスリットSL内に引き込まれるような力が掛けられたとしても、延出部5の下縁がシート表面となるベゼルBZ或いはシートバックSBの上面に突き当たることで、スリットSL内への入り込みが阻止されるようになっている。
【0033】
より詳しくは、操作ストラップ1は、延出部5の下縁がベゼルBZ或いはシートバックSBの上面に突き当たった状態から更に延出部5の変形を伴って引出部3がスリットSL内に引き込まれるような強い引き込み力が掛けられたとしても、把持部4までスリットSL内に引き込まれることがないよう強い引き込みの規制力を掛けられるようになっている。具体的には、延出部5は、引出部3が縫合部6の近傍箇所までスリットSL内へと引き込まれていくに従って、その変形の起点が縫合部6へと近付けられていく。
【0034】
それに伴い、延出部5の曲げに対する抵抗力が漸次高くなっていき、スリットSL内への入り込みを阻止する力も漸次高くなっていく。更に、図6に示すように、引出部3が縫合部6の近傍箇所までスリットSL内に引き込まれた場合には、延出部5がスリットSLの周縁(ベゼルBZ)との当たりにより縫合部6を支点にシート上方に反り返るような形態となる。それにより、延出部5は、縫合部6にて縫合されている3枚の帯部分に重ね合わされてスリットSLの前後幅よりも広い5枚の重ね合わせ形状を形成する。したがって、把持部4がスリットSL内に引き込まれることが強く規制される。
【0035】
ところで、図2で前述したように、操作ストラップ1は、延出部5の突き当たりにより把持部4の前倒れが阻止されるようになっていることから、図7に示すように、シートバックSBを前倒しした際にも、シートバックSBよりシート下方へは垂れ下がらないようになっている。そのため、シートバックSBを不図示のシートクッションの上面に重ねるように前倒しした際に、操作ストラップ1がシートバックSBとシートクッションとの間に挟まることを適切に阻止することができる。
【0036】
その結果、シートバックSBとシートクッションとの双方に操作ストラップ1の挟み込みによる圧痕が形成されることを防止することができる。また、操作ストラップ1の挟み込みによる損傷や意図しない引掛かりに伴う誤操作を防止することができる。
【0037】
以上をまとめると、本実施形態に係る操作ストラップ1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0038】
すなわち、操作ストラップ(1)は、シート表面に形成されるスリット(SL)からシート外部へと引き出される帯状の操作ストラップ(1)であって、スリット(SL)から引き出される引出部(3)と、引出部(3)の引き出された先から折り返し状に延びて環状に閉じられるように縫合される把持部(4)と、把持部(4)の環状に縫合された先の縫い代を成し、把持部(4)とは反対方向に延びて引出部(3)と引出方向の配置が重なる延出部(5)と、延出部(5)の少なくとも一部を引出部(3)から厚さ方向に離間させる形に保持する離間形状保持部(H1)と、を有する。
【0039】
上記構成によれば、引出部(3)から厚さ方向に離間する形に保持される延出部(5)により、把持部(4)のスリット(SL)内への入り込みを延出部(5)のシート表面への突き当たりによって規制することができる。このように、帯状の操作ストラップ(1)の巻き形状を工夫した合理的な構成により、把持部(4)のスリット(SL)内への入り込みを防止することができる。
【0040】
また、離間形状保持部(H1)が、把持部(4)を環状に縫合する縫合部(6)に延出部(5)の延びた先が折り返し状に重ね合わされて共縫いされることで、延出部(5)を引出部(3)から厚さ方向に環状に膨らませる形に保持する共縫い部から成る。
【0041】
上記構成によれば、離間形状保持部(H1)の合理化を図ることができる。また、延出部(5)が引出部(3)に対して環状に膨らむ形に形状保持されることから、延出部(5)によって把持部(4)のスリット(SL)内への入り込みをより適切に防止することができる。
【0042】
また、延出部(5)の延びた先が、把持部(4)の環状に縫合される重ね合わせ部(4A,4B)の間に挟まれて離間形状保持部(H1)により共縫いされる。上記構成によれば、延出部(5)を、端末が外部に露出しない見栄えの良い構成とすることができる。
【0043】
また、延出部(5)が、離間形状保持部(H1)による保持により、引出部(3)の撓みに伴う把持部(4)の倒れ込みをシート表面との突き当たりにより阻止する。上記構成によれば、延出部(5)により、把持部(4)のスリット(SL)内への入り込みと、引出部(3)の撓みに伴う把持部(4)の倒れ込みと、の双方を適切に阻止することができる。
【0044】
また、スリット(SL)が、シートバック(SB)の上面に上向きに開口するように形成される。操作ストラップ(1)が、把持部(4)の引張操作により、シートバック(SB)に連結されたヘッドレスト(HR)をシート前方に倒し込み可能な状態に切り替える操作部材とされる。延出部(5)が、把持部(4)の前倒れはシート表面との突き当たりにより阻止するが、把持部(4)の後倒れはシート表面との突き当たりを伴うことなく許容する。
【0045】
上記構成によれば、把持部(4)の前倒れが阻止されることで、把持部(4)の倒れ込み方向を常にシートバック(SB)のシート後方へと向けることができる。したがって、使用者がシートバック(SB)のシート後方の位置から把持部(4)を掴んで引張る操作をより行いやすくすることができる。また、シートバック(SB)が前倒し可能な仕様とされる場合には、シートバック(SB)の前倒れ時に把持部(4)がシートバック(SB)とシートクッションとの間に挟まることを適切に阻止することができる。
【0046】
《第2の実施形態》
続いて、本発明の第2の実施形態に係る操作ストラップ1の構成について、図8を用いて説明する。本実施形態に係る操作ストラップ1は、把持部4の環状に縫合された先の縫い代を成す延出部52が、図示上方には折り返されず、引出部3から図示前方に側面視U字状を成す形に曲げ返されて、その先の端末が別の縫合部7により引出部3に縫合された構成とされる。上記別の縫合部7は、把持部4を環状に縫合する縫合部6から図示下側に離れた位置で延出部52の端末を引出部3に縫合する構成とされる。
【0047】
縫合部6と別の縫合部7との間の距離は、これらの間で図示前方に側面視U字状に曲げ返される延出部52の周長よりも短くなっている。そのため、引出部3の縫合部6と別の縫合部7との間で、延出部52が引出部3から図示前方に環状に膨らむ形に保持されて、この延出部52により把持部4のスリットSL内への入り込みが適切に阻止されるようになっている。また、上記膨らみにより、延出部52は、引出部3がスリットSLに通された基端を支点にシート前方に倒れようとする動きをベゼルBZ或いはシートバックSBの上面との突き当たりによって阻止できるようになっている。
【0048】
このように、操作ストラップ1は、上記別の縫合部7が、延出部52を引出部3から厚さ方向となる図示前方に環状に膨らませる形に保持する離間形状保持部H2を成す構成とされる。上記別の縫合部7は、縫合部6と同様、延出部52の端末を引出部3に対して図示前後側から縫い合わせ糸が見えるアウトステッチの縫い方で縫合する構成とされる。上記縫合により、延出部52は、縫合部6から図示下方に延び出すと共に、別の縫合部7から図示上方に延び出す構成となり、これらによって図示前方に押し出される形に適切に保持されるようになっている。
【0049】
なお、上記以外の構成は、第1の実施形態で示した操作ストラップ1と実質的に同一の構成となっている。したがって、上記以外の構成については、第1の実施形態で示した操作ストラップ1と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
《第3の実施形態》
続いて、本発明の第3の実施形態に係る操作ストラップ1の構成について、図9を用いて説明する。本実施形態に係る操作ストラップ1は、把持部4の環状に縫合された先の縫い代を成す延出部53が、その図示下方に延びた先から図示前上方に折り返される形に延びて、その先の端末が把持部4の環状に縫合される図示前側の重ね合わせ部4Aの前面に重ね合わされて、両重ね合わせ部4A,4Bと縫合部6にて厚さ方向にひとまとめに共縫いされている。縫合部6は、延出部53の端末と把持部4の両重ね合わせ部4A,4Bとをひとまとめに図示前後側から縫い合わせ糸が見えるアウトステッチの縫い方で縫合する構成とされる。
【0051】
上記縫合により、延出部53は、引出部3の前面上に、把持部4と図示上下方向に並ぶ環状形状を成す形に縫合された構成とされる。延出部53は、その自由状態では、その環状形状の閉じ部を成す縫合部6と図示後方に対面する引出部3の前面とを支点に、引出部3から図示前方に膨らむ形に復元力を作用させる構成とされる。
【0052】
上記膨らみにより、延出部53は、引出部3との間でスリットSLよりも前後幅の広い太径部を形成し、把持部4のスリットSL内への入り込みを適切に阻止できるようになっている。また、上記膨らみにより、延出部53は、引出部3がスリットSLに通された基端を支点にシート前方に倒れようとする動きをベゼルBZ或いはシートバックSBの上面との突き当たりによって阻止できるようになっている。
【0053】
このように、操作ストラップ1は、延出部53の延びた先の端末を環状に閉じる縫合部6が、延出部53を引出部3から厚さ方向となる図示前方に環状に膨らませる形に保持する離間形状保持部H3となる構成とされる。なお、上記以外の構成は、第1の実施形態で示した操作ストラップ1と実質的に同一の構成となっている。したがって、上記以外の構成については、第1の実施形態で示した操作ストラップ1と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
《第4の実施形態》
続いて、本発明の第4の実施形態に係る操作ストラップ1の構成について、図10を用いて説明する。本実施形態に係る操作ストラップ1は、把持部4の環状に縫合された先の縫い代を成す延出部54が、その縫合部6に近い基端部位に形成されたクセ付け部8によって、自由状態では図示前下方に斜めに折れ曲がる形を成すようにクセ付けされた構成とされる。
【0055】
上記クセ付けにより、延出部54は、自由状態では、その延びた先の端末が、引出部3に対して図示前下方に斜めに張り出す形に保持される構成とされる。上記張り出しにより、延出部54は、引出部3との間でスリットSLよりも前後幅の広い太径部を形成し、把持部4のスリットSL内への入り込みを適切に阻止できるようになっている。また、上記張り出しにより、延出部54は、引出部3がスリットSLに通された基端を支点にシート前方に倒れようとする動きをベゼルBZ或いはシートバックSBの上面との突き当たりによって阻止できるようになっている。
【0056】
このように、操作ストラップ1は、延出部54を折り曲げた状態にクセ付けするクセ付け部8が、延出部54を引出部3から厚さ方向となる図示前方に張り出させる形に保持する離間形状保持部H4として形成された構成とされる。なお、上記以外の構成は、第1の実施形態で示した操作ストラップ1と実質的に同一の構成となっている。したがって、上記以外の構成については、第1の実施形態で示した操作ストラップ1と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を4つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0058】
1.本発明の操作ストラップは、シートバックの上面に形成されるスリットから引き出される構成の他、シートバックの側面や後面に形成されるスリットから引き出される構成であっても良い。また、操作ストラップは、シートクッションの上面や側面、後面に形成されるスリットから引き出される構成であっても良い。操作ストラップによる操作対象は、特に限定されず、シートバックのリクライニング機構やシートクッションのフロアに対する跳ね上げ機構、スライド機構、チップアップ機構等の可倒式ヘッドレスト以外の機構であっても良い。
【0059】
シートは、自動車等の車両に搭載されるシートの他、航空機・船舶等の車両以外の乗物に搭載されるシートであっても良い。また、シートは、スポーツ施設や劇場、コンサート会場、イベント会場等の各種施設に設置される観覧席やマッサージシート等の乗物以外のシートであっても良い。
【0060】
操作ストラップは、スリットの形状に合わせて、帯幅が前後左右等の横方向(水平方向)に延びる向きでスリットから引き出されるものの他、帯幅が縦方向(鉛直方向)に延びる向きでスリットから引き出されるものであっても良い。
【0061】
2.離間形状保持部、すなわち延出部の少なくとも一部を引出部から厚さ方向に離間させる形に保持する離間形状保持部は、延出部を引出部との間或いはそれ自体で環状に縫合することに加えて、延出部を引出部からより所望の形に離間させられるよう延出部の一部を折曲げ状にクセ付け及び/又は折り畳み状に縫合したりする構成とされても良い。
【0062】
3.延出部により引出部の撓みに伴う把持部の倒れ込みを阻止する方向は、特に限定されず、適用箇所に応じて適宜設定することができるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 操作ストラップ
2 接続部
3 引出部
4 把持部
4A 重ね合わせ部
4B 重ね合わせ部
5 延出部
6 縫合部
7 別の縫合部
8 クセ付け部
52 延出部
53 延出部
54 延出部
SB シートバック
SL スリット
BZ ベゼル
HR ヘッドレスト
H1 離間形状保持部
H2 離間形状保持部
H3 離間形状保持部
H4 離間形状保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10