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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118256
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】容器体
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
A47J27/21 101E
A47J27/21 101L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021109
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 緑
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA13
4B055CA42
4B055CB02
4B055CD51
4B055GB14
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、容器体(例えば、電気ケトル等)において、加熱源の出力調整用の操作部(ノブ)に、加熱源等から生じる熱を伝達しにくくすることにある。
【解決手段】本発明に係る容器体100は、加熱源341を有する容器本体320と、前記容器本体に取り付けられる取っ手400と、前記取っ手に配設される操作部403Aと、前記操作部が操作されることにより前記加熱源に対して制御を実行する制御装置COとを備え、前記操作部は、回転操作および押下操作が可能である。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源を有する容器本体と、
前記容器本体に取り付けられる取っ手と、
操作部と、
前記操作部が操作されることにより前記加熱源に対して制御を実行する制御装置と
を備え、前記操作部は、回転操作および押下操作が可能であり、前記取っ手に配設される、容器体。
【請求項2】
前記取っ手は、筒状を呈する把持部を有しており、
前記操作部の回転軸は、前記把持部の軸に沿っている
請求項1に記載の容器体。
【請求項3】
前記操作部は、前記把持部の上端に配設されている
請求項2に記載の容器体。
【請求項4】
前記操作部の回転を検知する回転検知センサと、
前記回転検知センサとは別体として存在し、前記操作部の押下操作によりオン・オフを切り替える押下型スイッチとをさらに備える
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器体。
【請求項5】
前記操作部と前記押下型スイッチの間、および、前記操作部と前記回転検知センサとの間に介在する少なくとも一つの連結部材をさらに備え、
前記連結部材は、絶縁性を有し、前記操作部の操作に応じて動作し、
前記回転検知センサは、前記連結部材の回転を検知し、
前記押下型スイッチは、前記連結部材の下方への移動によりオン・オフを切り替える
請求項4に記載の容器体。
【請求項6】
前記連結部材には、軸部を有し、回転自在に配設される回転部材が含まれており
前記回転検知センサには、前記軸部を受け入れる軸受け部が設けられている
請求項5に記載の容器体。
【請求項7】
前記操作部は、前記回転部材と隙間を介して噛み合っている
請求項6に記載の容器体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケトル、電気ポット等の容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「ケトル本体上に配置され、ロータリーエンコーダに接続されたノブを備え、ロータリーエンコーダを左右に回転させて加熱温度を設定し、ロータリーエンコーダを短時間押すと加熱を開始または停止し、ロータリーエンコーダを長時間押すと保温を開始できる、電気ケトル。」が提案されている(例えば、中国実用新案第213551200号明細書等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第213551200号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の電気ケトルのように、ケトル本体に加熱源の出力調整用のノブを配設すると、ケトル本体の内部に配設される加熱源等から生じる熱により、そのノブが熱くなったり変形したりする等の不具合が発生してしまうことが懸念される。
【0005】
本発明の課題は、容器体(例えば、電気ケトル等)において、加熱源の出力調整用の操作部(ノブ)に、加熱源等から生じる熱を伝達しにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器体は、
加熱源を有する容器本体と、
前記容器本体に取り付けられる取っ手と、
操作部と、
前記操作部が操作されることにより前記加熱源に対して制御を実行する制御装置と
を備え、前記操作部は、回転操作および押下操作が可能であり、前記取っ手に配設される。
【0007】
上記構成によれば、操作部が取っ手に配設される。このため、加熱源から遠い位置に操作部が配設されることになる。このため、この容器体では、操作部に、加熱源等から生じる熱を伝達しにくくすることができる。
【0008】
本発明では、
前記取っ手は、筒状を呈する把持部を有しており、
前記操作部の回転軸は、前記把持部の軸に沿っていると好適である。
【0009】
上記構成によれば、操作部を回転させる際、操作部の回転軸が把持部の軸と直交する場合に比べて、容器体の姿勢を不安定にさせることを抑制することができる。
【0010】
本発明では、
前記操作部は、前記把持部の上端に配設されていると好適である。
【0011】
上記構成によれば、使用者は操作部を上側から視認しやくなる。
【0012】
本発明では、
前記操作部の回転を検知する回転検知センサと、
前記回転検知センサとは別体として存在し、前記操作部の押下操作によりオン・オフを切り替える押下型スイッチとをさらに備えると好適である。
【0013】
上記構成によれば、既成品のエンコーダ等を用いるのに比べて、設置容積を小さくすることができるだけでなく、部品のコストダウンを行うことができる。
【0014】
本発明では、
前記操作部と前記押下型スイッチの間、および、前記操作部と前記回転検知センサとの間に介在する少なくとも一つの連結部材をさらに備え、
前記連結部材は、絶縁性を有し、前記操作部の操作に応じて動作し、
前記回転検知センサは、前記連結部材の回転を検知し、
前記押下型スイッチは、前記連結部材の下方への移動によりオン・オフを切り替えると好適である。
【0015】
上記構成によれば、操作部と押下型スイッチの間、および、操作部と回転検知センサとの間に絶縁体が存在するため、操作部を作製する際に金属を用いても操作部に生じた静電気等が押下型スイッチおよび回転検知センサに流れることを防ぐことができる。このため、操作部の設計の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明では、
前記連結部材には、軸部を有し、回転自在に配設される回転部材が含まれており
前記回転検知センサには、前記軸部を受け入れる軸受け部が設けられていると好適である。
【0017】
上記構成によれば、回転部材に力がかかった場合、回転部材が回転検知センサに直結されている場合に比べ、その力の回転検知センサに対する影響を小さくすることができ、延いては回転検知センサの破損等を抑制することができる。
【0018】
本発明では、
前記操作部は、前記回転部材と隙間を介して噛み合っていると好適である。
【0019】
上記構成によれば、操作部が回転操作された際において操作部が僅かに押し下げられた場合、押下型スイッチが働かないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る電気ケトルの外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電気ケトルの平面図である。
図3図2のI-I断面図である。
図4図2のII-II断面図である。なお、本図では、蓋体付近が拡大表示されている。
図5図3中に示されるスイッチユニットの拡大図である。なお、本図では、ダイヤルボタンが押圧されていない状態が示されている。
図6図3中に示されるスイッチユニットの拡大図である。なお、本図では、ダイヤルボタンが押圧されている状態が示されている。
図7】本発明の実施の形態に係るスイッチユニットの分解斜視図である。なお、本図は、斜め上から見た場合の図である。
図8】本発明の実施の形態に係るスイッチユニットの分解斜視図である。なお、本図は、斜め下から見た場合の図である。
図9】本発明の実施の形態に係る電気ケトルの制御系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルの構成>
本発明の実施形態に係る電気ケトル100は、図1および図3に示されるように、主に、ケトル本体200および電源台600などから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0022】
1.ケトル本体
ケトル本体200は、電源台600に着脱自在に載置される。電気ケトル100の使用者は、お湯を沸かしたいときにケトル本体200を電源台600上に載置する。一方、同使用者、ケトル本体200を電源台600から取り外してカップや湯飲みなどの容器にお湯を注ぐことができる。このケトル本体200は、図1図3に示されるように、主に、本体300、取っ手400および蓋体500から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0023】
(1)本体
本体300は、図1図3に示されるように、主に、側壁部材310、容器320、収容部材330、給電ユニット340、吐出口形成部350および底センサBSなどから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0024】
(1-1)側壁部材
側壁部材310は、樹脂やステンレスなどの金属などで形成された略円筒状の部材であって、図1および図3に示されるように、本体300の外周壁を構成している。そして、図3に示されるように、この側壁部材310は、容器320および吐出口形成部350などを収容している。また、図3に示されるように、この側壁部材310は、収容部材330と協同して給電ユニット340を収容している。なお、ここで、側壁部材310の上端部は、図1図3および図4に示されるように、吐出口形成部350の上端部を支持している。また、側壁部材310の背面側の上端部には切り欠き部が形成されており、図3に示されるように、この切り欠き部に取っ手400の接合部402が嵌め込まれている。また、側壁部材310の正面側の上部には、背面側から正面側に向かうに従って上方に傾斜する部分逆円錐壁部311が形成されている。
【0025】
(1-2)容器
容器320は、その内部に、例えば、液体等の物体を貯留することができる部材であって、上述したように、側壁部材310の内部に収容されている。また、容器320は、図3に示されるように、側壁部321およびヒータプレート322から形成されている。側壁部321は、樹脂や、ステンレスなどの金属などで形成された部材であって、略円筒状を呈しており、図3に示されるように、容器320の側壁を構成している。また、図3および図4に示されるように、側壁部321の上端部には、吐出口形成部350の下端部が取り付けられている。なお、側壁部321の内周面には、フッ素樹脂等の耐蝕性樹脂(図示せず)が塗装されていてもよい。ヒータプレート322は、金属製の板材であって、図3に示されるように、側壁部321の下側の開口を閉塞するように覆っている。すなわち、ヒータプレート322は、容器320の底部を構成している。図3に示されるように、このヒータプレート322の下面には、プリントヒータ341が形成されている。また、このヒータプレート322の背面側の部位に、容器320の内側に向かって底センサBSの検知部が突出するように底センサBSが貫入されている。
【0026】
(1-3)収容部材
収容部材330は、図3に示されるように、本体300の底壁を構成しており、側壁部材310の下側に取り付けられており、容器320や給電ユニット340などを下から覆っている。なお、収容部材330の中央部位には、給電端子342の下端を露出させる開口が形成されている。
【0027】
(1-4)給電ユニット
給電ユニット340は、図3に示されるように、金具(図示せず)を介して容器320のヒータプレート322に取り付けられており、主に、給電端子342および安全スイッチ(図示せず)から構成される。ケトル本体200が電源台600に載置されると、給電端子342は、電源台600に設けられた接続端子602と電気的に接続される。そして、この状態で、電気ケトル100のダイヤルボタン403Aが押圧されると、接続端子602から給電端子342を介してプリントヒータ341へと給電が行われ、その結果、プリントヒータ341が加熱する。なお、プリントヒータ341の出力は、制御機構403によって制御される。
【0028】
(1-5)吐出口形成部
吐出口形成部350は、略円筒状を呈する部材であって、図1図4に示されるように、本体300の一部を構成している。上述したように、吐出口形成部350の上端部は側壁部材310の上端部に支持されており、吐出口形成部350の下端部は、容器320の側壁部321の上端部に取り付けられている。また、図1図3に示されるように、吐出口形成部350の正面側の上部には、背面側から正面側に向かうに従って上方に傾斜する部分逆円錐壁状の注ぎ口部351が形成されている。注ぎ口部351は、図1および図3に示されるように、側壁部材310の部分逆円錐壁部311に支持されている。また、図4に示されるように、吐出口形成部350の左右部の中間部には、外方に凹む爪受け部352が形成されている。この爪受け部352に蓋体500の係止機構LMの係止レバーRLが係止される(図4参照)。また、図4に示されるように、爪受け部352の上側には外側に向かって傾斜する傾斜部353が形成されている。傾斜部353は、本体300に蓋体500が装着される際や、本体300から蓋体500が取り外される際に蓋体500の係止機構LMの係止レバーRLと当接する。
【0029】
(1-6)底センサ
底センサBSは、本体300の容器320内の液体の温度を測定するための一般的な温度センサ(例えば、熱電対やサーミスタなど)である。上述の通り、底センサBSは、容器320の内側に向かってその検知部が突出するようにヒータプレート322の背面側の部位に貫入されている。
【0030】
(2)取っ手
取っ手400は、図1図3に示されるように、主に、把持部401、接合部402、制御機構403および蒸気温度センサSSなどから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0031】
(2-1)把持部
把持部401は、樹脂や金属などで形成された筒状の部材であって、使用者がケトル本体200を持ち上げる際の持ち手としての役目を担う。把持部401は、図3に示されるように、接合部402の背面側の部位から外側(本体側の反対側)に向かうに従って下方に傾斜するように延びている。
【0032】
(2-2)接合部
接合部402は、取っ手400を本体300に接合させると共に、制御機構403を構成する部品の一部を載置する部位であって、上述の通り、本体300の側壁部材310の背面側の切り欠き部に嵌め込まれている。なお、図3に示されるように、接合部402の正面側にはセンサ配設空間402aが形成されている。図3に示されるように、センサ配設空間402aには蒸気温度センサSSが配設されている。また、図3に示されるように、センサ配設空間402aは、蓋体500の収容部材520の側壁部521の蒸気誘導孔OPを介して蓋体500の内部空間と連通している。
【0033】
また、この接合部402は、図1~3、図5および図6に示されるように、本体402Aおよびカバー部材402Bから構成されている。本体402Aは、図1図3に示されるように、略矩形の底壁部PB、一対の側壁部PSおよび突起部(図示せず)とから形成されている。側壁部PSは、底壁部PBの左右端から上方に延びている。突起部は、両側壁部PSの前端部において外側に突起するように形成されており、接合部402が本体300に接合される際の接合箇所となる。カバー部材402Bは、図5図8に示されるように、カバー部CV、側壁部PHおよび台座部PDから形成されている。カバー部CVは、図1~3、図5および図6に示されるように本体402Aの正面側の上側を覆う部位である。側壁部PHは、図5および図6に示されるようにカバー部CVと、カバー部CVの背面側の下側に位置する台座部PDとを繋ぐ部位である(すなわち、カバー部CV、側壁部PHおよび台座部PDは段形状を呈している。)。台座部PDは、先に説明した通り、カバー部CVの背面側の下側に形成されており、把持部401の上端壁(すなわち天壁)を構成している。そして、後述するように、この台座部PDには、制御機構403を構成する部品の一部が載置される。
【0034】
(2-3)制御機構
制御機構403は、プリントヒータ341の温度(すなわち、容器320内の物体の温度)を調節するためのものであって、図1図3図5および図6に示されるように接合部402の背面側の内部空間に配設されている。
【0035】
この制御機構403は、図5図8に示されるように、主に、ダイヤルボタン403A、コイルバネ403B、シール兼付勢部材403C、台座部材403E、伝達部材403F、センサ基板403H、スイッチ基板403Jおよび支持部材403Kから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0036】
ダイヤルボタン403Aは、図5図8に示されるように、主に、ボタン本体DM、ボタンカバーDCおよび受け部材403Dから構成されており、カバー部材402Bの台座部PDの上側、すなわち、把持部401の上端に配設されている。ボタン本体DMは、図5図8に示されるように、略円盤形状を呈する樹脂製の部材(すなわち絶縁性部材)である。なお、このボタン本体DMは、図5および図6に示されるように、ビスBIおよびスリーブSBによって受け部材403Dと接合されて一体化されている。ボタンカバーDCは、ボタン本体DMの天面および側面を覆う金属製のカバー部材であって、ボタン本体DMに固定的に嵌め込まれている。すなわち、ボタン本体DM、ボタンカバーDCおよび受け部材403Dは一体物であって、これらの3つの部材のいずれかの部材が動くと、他の2つの部材もその動きに合わせて動くことになる。このボタンカバーDCは、使用者が制御機構403により容器320内の物体の温度を調整しようとする際に使用者が直接的に接する部材である。受け部材403Dは、図5図8に示されるように、略円筒形状を呈する樹脂製の部材(すなわち絶縁性部材)であって、接合部CPおよび歯受け部TPを有している。接合部CPは、上述のビスBIおよびスリーブSBによるボタン本体DMとの接合を実現するための部位である。具体的には、図5および図6に示されるように、ボタン本体DMに嵌入されたビスBIが接合部CPの上から差し込まれ、そのビスBIが、接合部CPの内側に配設されるスリーブSBに螺合される結果、受け部材403Dとボタン本体DMとが接合される。歯受け部TPは、伝達部材403Fの歯部EP(後述)を受け入れる凹部を有しており、図5に示されるように伝達部材403Fの歯部EP(後述)と一定の隙間SPをもって噛み合っている。これにより、受け部材403Dが回転すると、それに合わせて伝達部材403Fも回転することになる。
【0037】
本発明の実施の形態に係る電気ケトル100において、このダイヤルボタン403Aは、回転操作のみならず、押下操作も可能とされている。なお、本発明の実施の形態に係る電気ケトル100では、ケトル本体200が電源台600に載置された状態において、ダイヤルボタン403Aが回転操作されると、その回転を検知したポジションセンサ403Gによりプリントヒータ341の出力が調節され、ダイヤルボタン403Aが押下操作されると、その押下げを検知したタクトスイッチ403Iにより電気ケトル100の電源のオン・オフが切り換えられる。また、このダイヤルボタン403Aは、その回転軸AZが取っ手400の筒軸AYに沿うように配設されている。
【0038】
コイルバネ403Bは、図5および図6に示されるように台座部材403Eのバネ受け部RSに配設されており、ダイヤルボタン403Aを上方に向かって付勢している。すなわち、使用者が指等でコイルバネ403Bの付勢力に逆らってダイヤルボタン403Aを押し下げた後に、その指等を離すとコイルバネ403Bによってダイヤルボタン403Aが初期位置まで押し上げられる。
【0039】
シール兼付勢部材403Cは、円筒状の部材であって、図5および図6に示されるようにカバー部材402Bの台座部PDに形成されている軸受け部RXの直ぐ外周に形成されている円筒状の座部PUと、ダイヤルボタン403Aとの間に圧縮された状態で配設されており、ダイヤルボタン403Aと台座部材403Eとの隙間から水等の液体が浸入してきた場合に、その液体がセンサ基板403Hやスイッチ基板403Jにまで浸入しないようにシールしている。また、このシール兼付勢部材403Cは、シリコンゴム等の弾性体から形成されているため、コイルバネ403Bと共に、ダイヤルボタン403Aを上方に向かって付勢している。
【0040】
台座部材403Eは、略円環状を呈する部材であって、図5図8に示されるように、主に、外周壁WSおよびバネ受け部RSを有する。なお、この台座部材403Eは、図5および図6に示されるようにビスBXによりカバー部材402Bの台座部PDと接合されている。外周壁WSは、図5および図6に示されるようにダイヤルボタン403AのボタンカバーDCの側壁部DTの内周側に位置しており、その側壁部DTの下端よりも上側まで延びている。これにより、ダイヤルボタン403AのボタンカバーDCの上側から液体が流れてきた際、その液体がボタンカバーDCと台座部材403Eの隙間からその内部に浸入することを抑制することができる。バネ受け部RSは部分円筒状の溝を有しており、その溝にコイルバネ403Bが嵌め込まれて位置決めされる。
【0041】
伝達部材403Fは、樹脂製の部材(すなわち絶縁性部材)であって、図5図8に示されるように、主に、基板部GV、歯部EPおよび軸部FXをから形成されている。基板部GVは、略円盤状の部位である。歯部EPは、基板部GVの上面に上方に延びるように形成されており、上述の通り、受け部材403Dの歯受け部TPと一定の隙間SPをもって噛み合っている(図5参照)。軸部FXは、図7および図8に示されるように、基板部GVの中央部位から下方に向かって延びる横断面D字の棒状部位であって、図5および図6に示されるようにポジションセンサ403Gの軸受け部PXに挿通されている。なお、ポジションセンサ403Gの軸受け部PXは回転自在とされているため、伝達部材403Fが回転すると、その軸受け部PXも回転する。ポジションセンサ403Gでは、その軸受け部PXの回転が検知されることになる。
【0042】
センサ基板403Hには、図7および図8に示されるようにポジションセンサ403GおよびマイクロコンピュータCO、その他の電子・電気部品が実装されている。ポジションセンサ403Gは、図7および図8に示されるように、主に、センサ本体BRおよび軸受け部PXから構成されている。上述の通り、ポジションセンサ403Gにおいて、軸受け部PXは回転自在であり、センサ本体BRがその軸受け部PXの回転を検知する。また、軸受け部PXには平面視において略D字状の貫通孔が形成されており、その貫通孔に伝達部材403Fの軸部FXが挿通される。このため、伝達部材403Fが回転するとそれと連動して軸受け部PXも回転することになる。なお、このポジションセンサ403Gは、図9に示されるようにマイクロコンピュータCOに接続されており、そのマイクロコンピュータCOに対して検知信号を送信する。マイクロコンピュータCOは、図9に示されるように、底センサBS、蒸気温度センサSS、ポジションセンサ403Gおよびタクトスイッチ403Iなどに接続されており、それらから検知信号等を受信し、その検知信号に基づいて電気ケトル100の発停を制御したり、プリントヒータ341の出力を制御したりする。なお、マイクロコンピュータCOにはメモリ(図示せず)が搭載されており、そのメモリに、上記制御を実現するための各種プログラムやデータなどが格納されている。
【0043】
スイッチ基板403Jには、タクトスイッチ403Iが実装されている。このスイッチ基板403Jは、センサ基板403Hに通信接続されている。すなわち、タクトスイッチ403Iは、スイッチ基板403Jおよびセンサ基板403Hを介してマイクロコンピュータCOに通信接続されている。タクトスイッチ403Iは、押圧検知式のタクトスイッチであって、市販のものであってよい。このタクトスイッチ403Iは、押圧を検知した際、検知信号を生成し、その検知信号をマイクロコンピュータCOに送信する。マイクロコンピュータCOは、その検知信号を受信する度に、電気ケトルの電源のオン・オフを切り替える。
【0044】
支持部材403Kは、図5図8に示されるようにセンサ基板403Hとスイッチ基板403Jとの間に一定の隙間が形成されるようにセンサ基板403Hおよびスイッチ基板403Jを支持している。なお、この支持部材403Kは、ビス(図示せず)によってカバー部材402Bの台座部PDに接合されている。
【0045】
(2-4)蒸気温度センサ
蒸気温度センサSSは、本体300の容器320内の液体から生じた蒸気の温度を測定するための一般的な温度センサ(例えば、熱電対やサーミスタなど)であって、上述の通り、接合部402のセンサ配設空間402aに配設されている。
【0046】
(3)蓋体
蓋体500は、本体300に対して着脱自在である略円柱状部品であって、図1図4に示されるように本体300に対して装着されている状態で本体300の上方を覆う。使用者は、蓋体500の操作レバー560を介してロック部材550(後述)を操作することで、本体300から蓋体500を取り外すことができる。使用者は、本体300から蓋体500を取り外した後、容器320内に液体等の物体を入れることが可能になる。そして、使用者は、容器320内に入れた物体を加熱するとき、蓋体500を本体300に装着して容器320内を閉空間とする。蓋体500は、図1図4に示されるように、主に、天壁部材510、収容部材520、開閉ボタン530、開閉弁540、ロック部材550、係止機構LM、操作レバー560、蒸気経路形成部570、シール部材590およびパッキンPKなどから構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0047】
(3-1)天壁部材
天壁部材510は、図1図4に示されるように、略円環形状を呈する部材であって、蓋体500の天壁を構成している。図3および図4に示されるように、この天壁部材510の中央部には開口が形成されている。この開口には、開閉ボタン530、ロック部材550の円筒壁部、操作レバー560の基体部561などが挿入されている。また、図4に示されるように、天壁部材510の下面の左右端部にはバネ位置決め部512が形成されている。図4に示されるように、このバネ位置決め部512には、ロック部材550を下方に向かって付勢するコイルバネCS2の一端が嵌め込まれている。
【0048】
(3-2)収容部材
収容部材520は、図3および図4に示されるように、主に蓋体500の底側部分を構成しており、側壁部521、底壁部522、流路形成部523および円筒壁部524から形成されている。
【0049】
側壁部521は、略円筒形状を呈する部位である。図3および図4に示されるように、側壁部521の上側は天壁部材510で覆われている。また、図4に示されるように、側壁部521の下部の左右に開口521aが形成されている。この開口521aには、係止機構LMの係止レバーRLの先端部が突出するように付勢された状態で収容されている。また、図3に示されるように、側壁部521の背面側には蒸気誘導孔OPが形成されている。図3に示されるように、この蒸気誘導孔OPは、蓋体500が本体300に装着されている状態において、取っ手400の接合部402のセンサ配設空間402aと蓋体500の内部空間とを連通させる。すなわち、天壁部材510、収容部材520および取っ手400の接合部402によって蒸気流通空間SP1が形成される(図3参照)。蒸気流通空間SP1には、容器320内で発生した蒸気が流れる蒸気経路が形成されている。
【0050】
底壁部522は、平面視において略円環形状を呈する部位である。なお、底壁部522は、縦断面視において段構造を形成している。また、図3および図4に示されるように、底壁部522の下側には開閉弁540が配設されている。開閉弁540が閉状態のとき、開閉弁540のパッキン543が、底壁部522の下面と密着する(図3および図4参照)。これにより、開閉弁540は、閉状態であるときに容器320内の物体が吐出流路DP(後述)を流れることを防止する。そして、開閉弁540が開状態のとき、開閉弁540のパッキン543と底壁部522の下面との間に隙間が生じる。これにより、容器320内の物体が吐出流路DPを流れることを可能な状態となる。また、図3および図4に示されるように、底壁部522の中央部には中央開口(図示せず)が形成されており、この中央開口の縁から上方に延びる円筒壁部524が形成されている。また、図3に示されるように、底壁部522のうち中央開口よりやや後側の部位には第1連通穴522aが形成されている。第1連通穴522aは、開閉弁540が閉状態のとき開閉弁540のパッキン543と当接して閉じられた状態となり、開閉弁540が開状態のとき開かれた状態となって容器320の内部空間と蒸気流通空間SP1とを連通させる。また、図3に示されるように、底壁部522のうち第1連通穴522aより後側の部位には蒸気口522cが形成されている。蒸気口522cは、第1連通穴522aとは異なり常に開かれた状態となっており、容器320の内部空間と蒸気流通空間SP1とを連通させている。また、図3に示されるように、底壁部522の中央開口より正面側且つ流路形成部523より後側の部位には第2連通穴522bが形成されている。第2連通穴522bは、パッキンPKにより開状態とされているとき、蒸気流通空間SP1と吐出流路DPとを連通させる(図3参照)。
【0051】
流路形成部523は、容器320内の物体をケトル本体200の注ぎ口部351へ導いて外部に吐出するための吐出流路DPを形成する部位である。開閉弁540が開状態である時に注ぎ口部351が下方に向くようにケトル本体200が正面側に傾けられると、容器320内の物体は、流路形成部523の後端側から吐出流路DPを介して注ぎ口部351へと導かれて吐出される。すなわち、流路形成部523の後端側の部位が、容器320内の液体の吐出時において、吐出流路DPの入口として機能する。
【0052】
円筒壁部524は、上述の通り、底壁部522の中央部に形成されており、底壁部522の中央開口の縁から上方に延びている。図3および図4に示されるように、円筒壁部524の内部には、開閉弁540の軸部542が嵌め込まれる。
【0053】
(3-3)開閉ボタン
開閉ボタン530は、図3および図4に示されるように、天壁部材510の開口に挿通されており、開閉弁540の軸部542の先端に連結されている。図3および図4に示されるように、開閉ボタン530の側壁部の周囲にはロック部材550の円筒壁部が配置されている。また、開閉ボタン530は、開閉弁540の軸部542を取り囲むように配置されたコイルバネCS1(図3および図4参照)によって上方に向かって付勢されている。そして、使用者によってコイルバネCS1の付勢力に逆らって開閉ボタン530が下方に向かって押圧されると、その押圧動作に連動して開閉弁540が下方に移動する。これにより、開閉弁540が開状態となる。
【0054】
(3-4)開閉弁
開閉弁540は、図3および図4に示されるように、弁本体部541、軸部542およびパッキン543から構成されている。弁本体部541は、略円盤形状を呈しており、図3および図4に示されるように、蓋体500の収容部材520の下側に配置されている。軸部542は、図3および図4に示されるように、弁本体部541の上面の背面側部位から上方に向かって延びる棒状部材である。上述したように、軸部542は収容部材520の底壁部522の中央開口に挿通され、軸部542の先端は開閉ボタン530と連結されている。パッキン543は、略円環形状を呈しており、図3および図4に示されるように、弁本体部541の外縁部に取り付けられている。
【0055】
(3-5)ロック部材
ロック部材550は、本体300に蓋体500が装着された状態において本体300に対して蓋体500をロック(図4参照)させるためのものである。なお、本体300に対して蓋体500がロックされている状態(以下、「ロック状態」という。)において、ロック部材550は、コイルバネCS2によって下方に向かって付勢され、係止機構LMの係止レバーRLと嵌合している。また、ロック部材550の中心部から上方に延びる円筒壁部は、図3および図4に示されるように、開閉ボタン530と操作レバー560との間に挟まれており、操作レバー560とのみ連結されている。このため、操作レバー560およびロック部材550は互いに連動するが、開閉ボタン530およびロック部材550は互いに連動しない。
【0056】
(3-6)係止機構
係止機構LMは、主に、係止レバーRL(図4参照)およびトーションバネ(図示せず)から構成される。係止レバーRLは、蓋体500内において固定される軸AX(図4参照)を中心として回動可能であり、本体300の吐出口形成部350の爪受け部352に対して係止することができる(図4参照)。なお、ロック状態では、係止レバーRLは、ロック部材550と嵌合するため、本体300の吐出口形成部350の爪受け部352に対して係止している状態から回動することができない。トーションバネは、係止レバーRLを本体300の吐出口形成部350の爪受け部352に係止させる方向に付勢するためのものであり、軸AXの外周に配設されている。
【0057】
ここで、本発明の実施形態に係る電気ケトル100におけるロック状態を解除する操作について説明する。まず、使用者は、操作レバー560の鍔部562に片方の手の指を引っ掛け、もう片方の手で本体300を押さえながら、操作レバー560を上方向に持ち上げる。なお、このとき、操作レバー560の動きに連動して、ロック部材550もコイルバネCS2の付勢力に逆らって上方向に持ち上げられる。これにより、ロック部材550および係止機構LMの係止レバーRLの嵌合状態が解除され、係止機構LMの係止レバーRLが軸AXを中心として回動可能となり、ロック状態が解除される。そして、使用者は、操作レバー560の鍔部562に指を引っ掛けたまま、操作レバー560をさらに上方向に持ち上げることで蓋体500全体を上方向に持ち上げて、蓋体500を本体300から取り外すことができる。
【0058】
(3-7)操作レバー
操作レバー560は、ロック状態を解除する際に使用者に操作されるものであり、上述したように、ロック部材550と連結されている。操作レバー560は、図3および図4に示されるように、基体部561および鍔部562から形成される。基体部561は、略円筒状を呈しており、図3および図4に示されるように天壁部材510の開口に挿通されている。鍔部562は、使用者が操作レバー560を指で支えるための略円盤形状部位であって、図3および図4に示されるように基体部561の上端部から外方に向かって延びている。図3および図4に示されるように、この鍔部562の中央部には開孔が形成されており、この開孔を通じて開閉ボタン530が露出している。また、鍔部562の下面には溝部が形成されている。この溝部は、使用者の指の滑り止めとして機能する。
【0059】
(3-8)蒸気経路形成部
蒸気経路形成部570は、蒸気流通空間SP1における蒸気経路の一部を形成するための樹脂製部材であり、図3に示されるように収容部材520の底壁部522の上側に配置される。なお、このとき、蒸気経路形成部570に形成される上側に凹む受け部に、収容部材520の後方突起部、前方突起部および周囲突起部がそれぞれ嵌まり込むことで、蒸気経路形成部570が収容部材520の底壁部522に固定される。
【0060】
(3-9)シール部材
シール部材590は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される円環状の部材であって、図3および図4に示されるように収容部材520の底壁部522の外周部に取り付けられている。そして、シール部材590は、図3および図4に示されるように、本体300に蓋体500が装着されている場合において容器320と収容部材520との間の隙間を塞ぐ(言い換えれば、容器320と収容部材520とを密に保つ)役目を担っている。
【0061】
(3-10)パッキン
パッキンPKは、可撓性を有する材料から形成される部材であって、収容部材520の第2連通穴522bを下側から塞ぐ逆止弁としての役目を担っている(図3参照)。なお、容器320内で発生した蒸気が、収容部材520の第2連通穴522bを通過しようとする時、パッキンPKは、蒸気に押されて下側に撓垂れ、収容部材520の第2連通穴522bを開状態とする。
【0062】
2.電源台
電源台600は、ケトル本体200へ電気を供給する給電部品である共に、ケトル本体200の台座の役割を果たす。電源台600は、図1および図3に示されるように、主に、電源コード601、電源プラグ(図示せず)、接続端子602から構成される。ケトル本体200が電源台600に載置され、給電ユニット340の給電端子342と接続端子602とが接続されると、電源供給回路が形成される。そして、電気ケトル100の電源がオンにされると、給電ユニット340およびマイクロコンピュータCOに通電することができる。なお、電源台600については、従来公知の電気ケトルの電源台と同様の構成が適用できる。
【0063】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルの特徴>
(1)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、取っ手400の把持部401の上端にダイヤルボタン403Aが配設されている。このため、この電気ケトル100では、従前よりも遠い位置にダイヤルボタン403Aが位置することになり、プリントヒータ341から生じる熱をダイヤルボタン403Aに伝達しにくくすることができる。また、この電気ケトル100では、使用者がダイヤルボタン403Aを上側から視認しやくなっている。
【0064】
(2)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、ダイヤルボタン403Aの回転軸AZが取っ手400の筒軸AYに沿うようにダイヤルボタン403Aが配設されている。このため、ダイヤルボタン403Aを回転させる際、ダイヤルボタン403Aの回転軸AZが把持部401の筒軸AYと直交する場合に比べて、電気ケトル100の姿勢を不安定にさせることを抑制することができる。
【0065】
(3)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、ポジションセンサ403Gとタクトスイッチ403Iが別体として存在している。このため、この電気ケトル100では、既成品のエンコーダ等を用いるのに比べて、設置容積を小さくすることができるだけでなく、部品のコストダウンを行うことができる。
【0066】
(4)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、ダイヤルボタン403Aが、絶縁体である伝達部材403Fを介してポジションセンサ403Gに連結されると共に、タクトスイッチ403Iに当接可能とされている。このため、この電気ケトル100では、ダイヤルボタン403AのボタンカバーDCに静電気が生じた場合、その静電気がポジションセンサ403Gおよびタクトスイッチ403Iに流れることを防ぐことができる。このため、この電気ケトル100では、ダイヤルボタン403Aの設計の自由度を高めることができる。
【0067】
(5)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、ポジションセンサ403Gの軸受け部PXに伝達部材403Fの軸部FXが挿通されている。このため、この電気ケトル100では、伝達部材403Fに力がかかった場合、伝達部材403Fがポジションセンサ403Gに直結されている場合に比べ、その力のポジションセンサ403Gに対する影響を小さくすることができ、延いてはポジションセンサ403Gの破損等を抑制することができる。
【0068】
(6)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、受け部材403Dの歯受け部TPが伝達部材403Fの歯部EP(後述)と一定の隙間SPをもって噛み合っている。このため、この電気ケトル100では、ダイヤルボタン403Aが回転操作された際においてダイヤルボタン403Aが僅かに押し下げられた場合、タクトスイッチ403Iが働かないようにすることができる。
【0069】
<変形例>
(A)
先の実施形態に係る電気ケトル100では取っ手400の把持部401の上端にダイヤルボタン403Aが配設されていたが、ダイヤルボタン403Aは、本発明の主旨を損なわない限り、取っ手400の任意の場所、例えば、接合部402や、把持部401の側壁や底壁等に配設されてもよい。
【0070】
(B)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、ダイヤルボタン403Aの回転軸AZが取っ手400の筒軸AYに沿うようにダイヤルボタン403Aが配設されていたが、ダイヤルボタン403Aは、その回転軸AZが取っ手400の筒軸AYと交差するように配設されてもよい。
【0071】
(C)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、ポジションセンサ403Gとタクトスイッチ403Iがそれぞれ採用されていたが、これらの代わりに一体型のもの、例えば、ロータリーエンコーダ等が採用されてもよい。
【0072】
(D)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、ダイヤルボタン403Aが、一つの伝達部材403Fを介してポジションセンサ403Gに連結されると共に、タクトスイッチ403Iに当接可能とされていたが、ダイヤルボタン403Aがポジションセンサ403Gに直結されておりタクトスイッチ403Iに直接当接可能とされてもよいし、ダイヤルボタン403Aが複数の伝達部材403Fを介してポジションセンサ403Gに連結されると共に、タクトスイッチ403Iに当接可能とされていてもよい。
【0073】
(E)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、ポジションセンサ403Gの軸受け部PXに伝達部材403Fの軸部FXが挿通されていたが、ポジションセンサ403Gの軸受け部PXにダイヤルボタン403Aが直結されてもよい。
【0074】
(F)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、受け部材403Dの歯受け部TPが、伝達部材403Fの歯部EPと一定の隙間SPをもって噛み合っていたが、受け部材403Dの歯受け部TPが、伝達部材403Fの歯部EPと隙間なく噛み合っていてもよい。
【0075】
(G)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、制御機構403のコイルバネ403Bおよびシール兼付勢部材403Cのいずれか一方が省かれてもよい。
【0076】
(H)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、ボタンカバーDCが金属で形成されていたが、ボタンカバーDCが樹脂等の他の材料で形成されていてもよいし、材料を複合させて形成されていてもよい。
【0077】
(I)
先の実施形態において各部材の材料等を例示しているが、各部材の材料等は本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に選択し得る。
【0078】
(J)
先の実施形態では本発明が電気ケトル100に適用されたが、本発明は、電気ポットや、他の容器体に適用されてもよい。
【0079】
なお、上記変形例は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 電気ケトル(容器体)
320 容器(容器本体)
341 プリントヒータ(加熱源)
400 取っ手
401 把持部
403A ダイヤルボタン(操作部)
403F 伝達部材(連結部材,伝達部材)
403G ポジションセンサ(回転検知センサ)
403I タクトスイッチ(押下型スイッチ)
AY 把持部の筒軸(把持部の軸)
AZ ダイヤルボタンの回転軸(操作部の回転軸)
CO マイクロコンピュータ(制御装置)
FX 軸部
PX 軸受け部
SP 隙間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9