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特開2023-118278変速機の制御装置、変速機の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118278
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】変速機の制御装置、変速機の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/21 20060101AFI20230818BHJP
   F16H 59/18 20060101ALI20230818BHJP
   F16H 63/50 20060101ALI20230818BHJP
   F16H 59/44 20060101ALI20230818BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20230818BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20230818BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20230818BHJP
   B60W 20/30 20160101ALI20230818BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20230818BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230818BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20230818BHJP
   F16H 59/70 20060101ALI20230818BHJP
   F16H 61/18 20060101ALI20230818BHJP
   F16H 3/66 20060101ALI20230818BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20230818BHJP
【FI】
F16H61/21 ZHV
F16H59/18
F16H63/50
F16H59/44
B60K6/48
B60K6/547
B60W10/10 900
B60W20/30
B60L50/16
B60L58/12
B60L15/20 K
F16H59/70
F16H61/18
F16H3/66 A
B60W10/18 900
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021136
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 征史
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 嘉裕
(72)【発明者】
【氏名】片倉 秀策
【テーマコード(参考)】
3D202
3J528
3J552
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB15
3D202BB19
3D202BB34
3D202BB35
3D202BB40
3D202CC04
3D202CC06
3D202CC22
3D202CC52
3D202CC59
3D202CC74
3D202DD02
3D202DD05
3D202DD06
3D202DD09
3D202DD16
3D202DD24
3D202DD32
3D202DD45
3D202FF13
3J528EA21
3J528EB62
3J528EB63
3J528EB66
3J528FB12
3J528FC12
3J528GA01
3J528HC18
3J552MA02
3J552NA01
3J552NB08
3J552PA33
3J552RA09
3J552RB12
3J552RB18
3J552RC02
3J552RC07
3J552SA02
3J552SB06
3J552SB17
3J552SB33
3J552TA10
3J552UA05
3J552UA07
3J552VA32W
3J552VA37W
3J552VA66W
3J552VB01W
3J552VC01W
3J552VD02W
3J552VD11W
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BE05
5H125CA01
5H125CA09
5H125CB02
5H125DD11
5H125EE27
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】変速機の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させる。
【解決手段】第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御する変速機の制御装置であって、前記変速機は、変速段として少なくともn段とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御する変速機の制御装置であって、
前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、
前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、
前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する、
変速機の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変速機の制御装置であって、
前記第1駆動源は、内燃機関であり、
前記第2駆動源は、電動モータである、
変速機の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の変速機の制御装置であって、
前記変速機が適用される車両がコースト走行で減速しているときに、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して前記駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する、
変速機の制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の変速機の制御装置であって、
前記変速機が適用される車両は、蓄電装置を有し、
前記蓄電装置の充電状態が所定よりも低い状態で、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機を介して前記駆動輪に連れ回されるコースト状態となり、前記車両の速度が所定車速を下回ったことで前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する、
変速機の制御装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一つに記載の変速機の制御装置であって、
前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機を介して前記駆動輪に連れ回されるコースト走行中に、前記変速機が適用される車両の速度が所定車速を下回り前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合に、前記車両の要求減速度が前記n+1段の最大減速度より大きいときには、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する、
変速機の制御装置。
【請求項6】
第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御する変速機の制御装置であって、
前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、
前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、
前記変速機が適用される車両がコースト走行で減速しているときに、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記n+1段へ前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+1段での制動力を大きくする、
変速機の制御装置。
【請求項7】
第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御する変速機の制御方法であって、
前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、
前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、
前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する、
変速機の制御方法。
【請求項8】
第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御する変速機の制御方法であって、
前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、
前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、
前記変速機が適用される車両がコースト走行で減速しているときに、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記n+1段へ前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+1段での制動力を大きくする、
変速機の制御方法。
【請求項9】
第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、
前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、
前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する手順を前記コンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項10】
第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、
前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、
前記変速機が適用される車両がコースト走行で減速しているときに、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記n+1段へ前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+1段での制動力を大きくする手順を前記コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機の制御装置、変速機の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定時間後のモータジェネレータの回転速度がクラッチの係合許可回転速度以上であると予測され、かつ所定時間後の要求減速度が所定時間後の実現可能減速度よりも所定の閾値以上大きいと予測される場合には、自動変速機の変速を許可し、それ以外の場合には、モータジェネレータを用いた回生制動中における自動変速機の変速を禁止する変速制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-137138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の変速制御装置では、自動変速機の変速が許可される場合と禁止される場合とで減速度が変化して、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、変速機の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御する変速機の制御装置であって、前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+2段から前記n+1段を介さずに前記n段に変速する、変速機の制御装置が提供される。
【0007】
また、これに対応する変速機の制御方法及びプログラムが提供される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、第1駆動源の駆動力と第2駆動源の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される変速機を制御する変速機の制御装置であって、前記変速機は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構を備え、前記変速機構における前記n+1段の変速比は、前記第1駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも大きく、前記第2駆動源からの駆動力を伝達する場合には、前記n段の変速比より小さく、かつ前記n+2段の変速比よりも小さく、前記変速機が適用される車両がコースト走行で減速しているときに、前記第1駆動源と前記第2駆動源とがそれぞれ前記変速機構を介して駆動輪に駆動力を伝達できる状態で、前記n+2段から前記n+1段へ前記変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、前記n+1段での制動力を大きくする、変速機の制御装置が提供される。
【0009】
また、これに対応する変速機の制御方法及びプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記態様では、変速機の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る変速機の制御装置が適用される車両の概略構成図である。
図2図2は、変速機構における各ギヤの噛合関係を示す図である。
図3図3は、コントローラ及びコントローラに接続される主要構成を示す構成ブロック図である。
図4図4は、各走行モードにおけるクラッチ及びブレーキの締結について説明する図である。
図5図5は、EVモードについて説明する共線図である。
図6図6は、HEVモードについて説明する共線図である。
図7図7は、電動モータの回転速度と出力軸のトルクとの関係について説明する図である。
図8図8は、減速時の変速制御について説明するフローチャートである。
図9図9は、比較例に係る減速時の変速制御について説明するタイミングチャートである。
図10図10は、減速時の変速制御について説明するタイミングチャートである。
図11図11は、変形例に係る減速時の変速制御について説明するフローチャートである。
図12図12は、変形例に係る減速時の変速制御について説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する。)に係る変速機の制御装置及び変速機の制御方法について説明する。以下において、変速比(減速比)が大きい場合をLow、変速比(減速比)が小さい場合をHighと言う。また、変速比がLow側に変更されることをダウンシフトと言い、High側に変更されることをアップシフトと言う。
【0013】
まず、図1から図3を参照して、本実施形態に係る変速機100が適用される車両1について説明する。図1は、変速機100が適用される車両1の概略構成図である。図2は、遊星歯車機構10における各ギヤの噛合関係を示す図である。図3は、コントローラ2及びコントローラ2に接続される主要構成を示す構成ブロック図である。
【0014】
車両1は、エンジンENGと、スタータモータSSGと、モータジェネレータMGと、蓄電装置としてのバッテリBATと、変速機100と、駆動輪DWと、制動装置(以下、「ブレーキ」とも称する。)BRと、コントローラ2(図3参照)を備える。車両1は、エンジンENGとモータジェネレータMGとを駆動源とするハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)である。エンジンENGの動力とモータジェネレータMGの動力とは、変速機100を介して駆動輪DWに伝達される。駆動輪DWを含む各車輪には、摩擦力によって車輪の回転を制動するブレーキBRが設けられる。
【0015】
エンジンENGは、駆動輪DWを駆動する第1駆動源である。エンジンENGは、内燃機関(ICE:Internal Combustion Engine)である。エンジンENGの出力軸は、変速機100の後述する第1入力軸IS1と接続される。エンジンENGの駆動力は、変速機100を介して駆動輪DWへ伝達される。
【0016】
スタータモータSSGは、エンジンENGを始動するための電動モータである。スタータモータSSGは、エンジンENGによって駆動されている場合、又は回生制御が行われている場合には、発電機として機能する。スタータモータSSGによって発電された電気エネルギは、バッテリBATに充電される。
【0017】
モータジェネレータMGは、駆動輪DWを駆動する第2駆動源である。モータジェネレータMGは、スタータモータSSGによって発電される電気エネルギとバッテリBATに充電された電気エネルギとの少なくとも一方によって駆動輪DWを駆動する電動モータである。モータジェネレータMGの駆動力は、変速機100を介して駆動輪DWへ伝達される。モータジェネレータMGは、エンジンENGによって駆動されている場合、又は回生制御が行われている場合には、発電機として機能する。モータジェネレータMGの出力軸は、変速機100の後述する第2入力軸IS2に接続される。
【0018】
バッテリBATは、例えばリチウムイオン二次電池によって構成される。バッテリBATに代えて、キャパシタ等を蓄電装置として設けてもよい。バッテリBATには、スタータモータSSGやモータジェネレータMGがエンジンENGによって駆動されて発電した電気エネルギと、スタータモータSSG及びモータジェネレータMGが回生制御されて発電した電気エネルギとが充電される。バッテリBATは、スタータモータSSG及びモータジェネレータMGを駆動するための電気エネルギを供給する。
【0019】
変速機100は、エンジンENG及びモータジェネレータMGの駆動力を変速して駆動輪DWへ伝達する。変速機100は、変速機構としての遊星歯車機構10と、第1入力軸IS1と、第2入力軸IS2と、出力軸OSと、を有する。変速機100には、エンジンENGの駆動力が第1入力軸IS1から入力され、モータジェネレータMGの駆動力が第2入力軸IS2から入力される。即ち、変速機100には、エンジンENGの駆動力とモータジェネレータMGの駆動力とがそれぞれ異なる入力軸から入力される。
【0020】
遊星歯車機構10は、回転要素として、第1サンギヤS1と、第1ピニオンギヤP1と、第1リングギヤR1と、第2サンギヤS2と、第2ピニオンギヤP2と、第2リングギヤR2と、プラネタリキャリア(以下、単に「キャリア」と称する。)Cと、を有する。遊星歯車機構10は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する。
【0021】
キャリアCは、第1ピニオンギヤP1を回転自在に支持する。第1ピニオンギヤP1は、第1サンギヤS1及び第1リングギヤR1の双方と噛み合う。また、キャリアCは、第2ピニオンギヤP2を回転自在に支持する。第2ピニオンギヤP2は、第1サンギヤS1と軸方向に隣り合う第2サンギヤS2及び第1リングギヤR1と軸方向に隣り合う第2リングギヤR2の双方と噛み合う。第1ピニオンギヤP1は、ロングピニオンによって構成され、第2ピニオンギヤP2とも噛み合う。図2に示すように、第1ピニオンギヤP1と第2ピニオンギヤP2とは、周方向に隣接して配置されて互いに噛み合っている。
【0022】
遊星歯車機構10は、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1との間、及び第2サンギヤS2と第2リングギヤR2との間では、シングルピニオン型の遊星歯車機構として機能する。遊星歯車機構10は、第1サンギヤS1と第2リングギヤR2との間では、ダブルピニオン型の遊星歯車機構として機能する。遊星歯車機構10は、キャリアCを出力要素として、エンジンENG及びモータジェネレータMGのうち少なくともいずれかの動力を、出力軸OSを介して駆動輪DWに伝達する。
【0023】
変速機100は、締結要素として、第1クラッチCL1と、第2クラッチCL2と、第1ブレーキB1と、第2ブレーキB2と、を有する。
【0024】
第1クラッチCL1は、第1入力軸IS1と第2リングギヤR2との間を選択的に断接する。第2クラッチCL2は、第1入力軸IS1と第1リングギヤR1との間を選択的に断接する。第1ブレーキB1は、第2リングギヤR2を変速機100の固定部材であるケース11に選択的に固定する。第2ブレーキB2は、第1サンギヤS1を変速機100のケース11に選択的に固定する。第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2は油圧式の締結要素であり、後述する油圧制御回路30(図3参照)から油の供給を受けて、締結と解放とが切り換えられる。
【0025】
コントローラ2は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)21,22(図3参照)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ2は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。具体的には、コントローラ2は、変速機100を制御するATCU(オートマチックトランスミッションコントロールユニット)、シフトレンジを制御するSCU(シフトコントロールユニット)、エンジンENGを制御するECU(エンジンコントロールユニット)、等によって構成することもできる。コントローラ2は、各種センサ3等から出力される信号に基づき、モータジェネレータMG、スタータモータSSG、油圧制御回路30、エンジンENG、及びブレーキBRを制御する。
【0026】
各種センサ3は、各種パラメータを検出するセンサである。各種センサ3は、アクセル開度(すなわち、ドライバによる加速要求)を検出するアクセル開度検出センサ31と、ブレーキBRを作動させるアクチュエータの状態を検出するブレーキ状態検出センサ32と、スタータモータSSGの回転速度を検出する第1回転速度検出センサ33と、モータジェネレータMGの回転速度を検出する第2回転速度検出センサ34と、バッテリBATの電圧値を検出するバッテリ電圧センサ35と、車両1の速度を検出する車速センサ36と、を有する。
【0027】
図3に示すように、コントローラ2は、互いに電気的に接続される入力インタフェース21、出力インタフェース22、記憶部23、スタータモータ制御部24、モータジェネレータ制御部25、油圧制御回路制御部(以下、単に「回路制御部」と称する。)26、判定部27、エンジン制御部28、及びサービスブレーキ制御部(以下、単に「ブレーキ制御部」と称する。)29を備える。スタータモータ制御部24、モータジェネレータ制御部25、回路制御部26、判定部27、エンジン制御部28、及びブレーキ制御部29は、車両1の制御を行うためのコントローラ2の機能を仮想的なユニットとしたものであり、物理的な存在を意味するものではない。
【0028】
入力インタフェース21には、各種センサ3からの出力信号が入力される。
【0029】
記憶部23は、各種センサ3からの出力信号を一時的に記憶するためのメモリである。また、記憶部23は、スタータモータ制御部24、モータジェネレータ制御部25、回路制御部26、判定部27、エンジン制御部28、及びブレーキ制御部29において実行される処理プログラム及びアルゴリズムプログラムを記憶している。本実施形態では、記憶部23は、コントローラ2に内蔵されているが、これに限定されるものではなく、例えば、コントローラ2とは別体に設けられてもよい。
【0030】
スタータモータ制御部24の処理により生成されたスタータモータ制御指令、モータジェネレータ制御部25の処理により生成されたモータジェネレータ制御指令、回路制御部26の処理により生成された回路制御指令、エンジン制御部28の処理により生成されたエンジン制御指令、及びブレーキ制御部29の処理により生成されたブレーキ制御指令は、出力インタフェース22を介してそれぞれスタータモータSSG、モータジェネレータMG、油圧制御回路30、エンジンENG、及びブレーキBRへ出力される。
【0031】
スタータモータ制御部24は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいてスタータモータ制御指令を生成し、生成したスタータモータ制御指令を出力インタフェース22を介してスタータモータSSGへ出力する。
【0032】
モータジェネレータ制御部25は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいてモータジェネレータ制御指令を生成し、生成したモータジェネレータ制御指令を出力インタフェース22を介してモータジェネレータMGへ出力する。
【0033】
回路制御部26は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいて回路制御指令を生成し、生成した回路制御指令を出力インタフェース22を介して油圧制御回路30へ出力する。回路制御部26は、クラッチ制御モジュール261と、ブレーキ制御モジュール262と、を有する。
【0034】
クラッチ制御モジュール261は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいてクラッチ制御指令を生成し、生成したクラッチ制御指令を出力インタフェース22を介して油圧制御回路30へ出力する。油圧制御回路30から油の供給を受けて、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2の締結と解放とが切り換えられる。
【0035】
ブレーキ制御モジュール262は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいてブレーキ制御指令を生成し、生成したブレーキ制御指令を出力インタフェース22を介して油圧制御回路30へ出力する。油圧制御回路30から油の供給を受けて、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の締結と解放とが切り換えられる。
【0036】
判定部27は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいて各種判定を行い、各種判定結果をスタータモータ制御部24、モータジェネレータ制御部25、回路制御部26、判定部27、エンジン制御部28、又はブレーキ制御部29へ出力する。
【0037】
エンジン制御部28は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいてエンジン制御指令を生成し、生成したエンジン制御指令を出力インタフェース22を介してエンジンENGへ出力する。
【0038】
ブレーキ制御部29は、各種センサ3から出力される出力信号に基づいてブレーキ制御指令を生成し、生成したブレーキ制御指令を出力インタフェース22を介してブレーキBRへ出力する。
【0039】
次に、図4を参照して、車両1の各走行モードについて説明する。図4は、各走行モードにおける第1クラッチCL1,第2クラッチCL2,第1ブレーキB1,及び第2ブレーキB2の締結及び解放について説明する図である。図4において、「○」は締結要素が締結状態であることを示し、空欄は締結要素が解放状態であることを示す。
【0040】
車両1は、エンジンENG及びモータジェネレータMGのうちモータジェネレータMGの駆動力のみで走行するモータ走行モードであるEV(Electric Vehicle)モードと、エンジンENGの駆動力とモータジェネレータMGの駆動力とで走行するHEV(Hybrid Electric Vehicle)モードと、を有する。
【0041】
EVモードは、EV1速(EV 1st)と、EV2速(EV 2nd)と、を有する。
【0042】
EV1速では、第1ブレーキB1のみが締結され、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、及び第2ブレーキB2は締結されていない。EV2速では、第2ブレーキB2のみが締結され、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、及び第1ブレーキB1は締結されていない。
【0043】
HEVモードは、HEV1速(HEV 1st)と、HEV2速(HEV 2nd)と、HEV3速(HEV 3rd)と、HEV4速(HEV 4th)と、を有する。なお、1速,2速,3速,及び4速は、変速機100の各変速段を示すものである。
【0044】
HEV1速では、第2クラッチCL2及び第1ブレーキB1が締結され、第1クラッチCL1及び第2ブレーキB2は締結されていない。HEV1速は、第2クラッチCL2及び第1ブレーキB1が完全締結された状態である。第2クラッチCL2及び第1ブレーキB1は、車両発進時に締結されるクラッチを構成する。
【0045】
HEV1速では、第2クラッチCL2のスリップと第1ブレーキB1の締結によりWSC制御(ウェットスタートクラッチ制御)が行われる。WSC制御は、車両発進時に行われるスリップ制御である。WSC制御では、第2クラッチCL2の作動油圧である第2クラッチ圧を完全締結圧よりも低い締結圧に設定することにより、第2クラッチCL2をスリップさせながら徐々に締結させる。締結圧は、時間経過に応じて次第に増加するように設定される。完全締結圧及び締結圧は、予め設定される。
【0046】
HEV2速では、第2クラッチCL2及び第2ブレーキB2が締結され、第1クラッチCL1及び第1ブレーキB1は締結されていない。HEV3速では、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2が締結され、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2は締結されていない。HEV3速は、変速機100の変速比が1のいわゆる直結の状態である。HEV4速では、第1クラッチCL1及び第2ブレーキB2が締結され、第2クラッチCL2及び第1ブレーキB1は締結されていない。
【0047】
なお、車両1の後進は、EV1速若しくはEV2速にて、モータジェネレータMGを逆回転駆動することにより行われる。また、変速機100は、第1クラッチCL1,第2クラッチCL2,第1ブレーキB1,及び第2ブレーキB2のすべてを解放することで、ニュートラル状態になる。
【0048】
次に、図5から図7を参照して、車両1の各走行モードについて説明する。図5は、EVモードについて説明する共線図である。図6は、HEVモードについて説明する共線図である。図7は、モータジェネレータMGの回転速度と出力軸OSのトルクとの関係について説明する図である。
【0049】
図5及び図6に示すように、共線図では、各回転要素がギヤ比に応じた軸間距離で横軸上に配置され、縦軸は、各回転要素の回転速度を示している。共線図では、ギヤの噛み合いによる各回転要素の関係が各回転要素を直線で結んだ剛体レバーで示され、変速機100の変速が剛体レバーの回転動作により表現される。変速機100は、共線図の横軸にギヤ比に応じた間隔で5つの回転要素が第1回転要素から順に第2回転要素、第3回転要素、第4回転要素、第5回転要素と並ぶように構成される。変速機100では、5つの回転要素は、第1サンギヤS1、第2リングギヤR2、キャリアC、第1リングギヤR1、第2サンギヤS2である。
【0050】
図5に示すように、EV1速では、各回転要素の関係は、第2リングギヤR2が第1ブレーキB1によりケース11と締結される。よって、EV1速は、第2リングギヤR2上の第1ブレーキB1を中心として、第2サンギヤS2の回転速度(モータジェネレータMGの回転速度)の変化によって揺動する剛体レバーにより示される。
【0051】
EV2速では、各回転要素の関係は、第1サンギヤS1が第2ブレーキB2によりケース11と締結される。よって、EV2速は、第1サンギヤS1上の第2ブレーキB2を中心として、第2サンギヤS2の回転速度(モータジェネレータMGの回転速度)の変化によって揺動する剛体レバーにより示される。
【0052】
このように、EV1速及びEV2速では、モータジェネレータMGの回転速度によって出力軸OSの回転速度が変化する。EV1速では、モータジェネレータMGの回転速度が同じ場合に、EV2速よりも変速比(減速比)が大きい。即ち、EV1速は、EV2速よりも変速比(減速比)が大きいLow側のモータ走行モードであり、EV2速は、EV1速よりも変速比(減速比)が小さいHigh側のモータ走行モードである。
【0053】
図6に示すように、HEV1速では、各回転要素の関係は、第1リングギヤR1が第2クラッチCL2により第1入力軸IS1と締結され、第2リングギヤR2が第1ブレーキB1によってケース11と締結される。よって、HEV1速は、第1リングギヤR1上の第2クラッチCL2と第2リングギヤR2上の第1ブレーキB1とを直線で結んだ剛体レバーにより示される。
【0054】
HEV2速では、各回転要素の関係は、第1リングギヤR1が第2クラッチCL2により第1入力軸IS1と締結され、第1サンギヤS1が第2ブレーキB2によってケース11と締結される。よって、HEV2速は、第1リングギヤR1上の第2クラッチCL2と第1サンギヤS1上の第2ブレーキB2とを直線で結んだ剛体レバーにより示される。
【0055】
HEV3速では、各回転要素の関係は、第1リングギヤR1が第2クラッチCL2により第1入力軸IS1と締結され、第2リングギヤR2が第1クラッチCL1によって第1入力軸IS1と締結される。よって、HEV3速は、第1リングギヤR1上の第2クラッチCL2と第2リングギヤR2上の第1クラッチCL1とを直線で結んだ剛体レバーにより示される。
【0056】
HEV4速では、各回転要素の関係は、第2リングギヤR2が第1クラッチCL1により第1入力軸IS1と締結され、第1サンギヤS1が第2ブレーキB2によってケース11と締結される。よって、HEV4速は、第2リングギヤR2上の第1クラッチCL1と第1サンギヤS1上の第2ブレーキB2とを直線で結んだ剛体レバーにより示される。
【0057】
HEV1速からHEV2速への変速時には、第2クラッチCL2を締結させたまま、第1ブレーキB1を解放すると共に第2ブレーキB2を締結させる。即ち、剛体レバーは、第1リングギヤR1上の第2クラッチCL2を中心にして回転する。HEV2速からHEV3速への変速時には、第2クラッチCL2を締結させたまま、第2ブレーキB2を解放すると共に第1クラッチCL1を締結させる。即ち、剛体レバーは、第1リングギヤR1上の第2クラッチCL2を中心にして回転する。HEV3速からHEV4速への変速時には、第1クラッチCL1を締結させたまま、第2クラッチCL2を解放すると共に第2ブレーキB2を締結させる。即ち、剛体レバーは、第2リングギヤR2上の第1クラッチCL1を中心にして回転する。
【0058】
エンジンENGからの駆動力を伝達する場合には、HEV1速は、最も変速比の大きい変速段であり、HEV2速は、HEV1速よりも変速比が小さく、かつHEV3速よりも変速比が大きい変速段であり、HEV3速は、HEV2速よりも変速比が小さく、かつHEV4速よりも大きい変速段であり、HEV4速は、最も変速比の小さい変速段である。
【0059】
一方、モータジェネレータMGからの駆動力を伝達する場合には、HEV1速は、最も変速比の大きい変速段であり、HEV2速は、HEV1速よりも変速比が小さく、かつHEV3速よりも変速比が大きい変速段であり、HEV3速は、HEV2速よりも変速比が小さく、かつHEV4速よりも小さい変速段であり、HEV4速は、最も変速比の小さい変速段ではなく、ここではHEV2速と変速比が同じである。
【0060】
即ち、変速機100におけるHEV2速をn段(nは1以上の整数)、HEV3速をn+1段、HEV4速をn+2段とすると、エンジンENGからの駆動力を伝達する場合には、n+1段の変速比は、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも大きい。一方、モータジェネレータMGからの駆動力を伝達する場合には、n+1段の変速比は、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも小さい。
【0061】
図7に示すように、変速機100では、モータジェネレータMGの第2入力軸IS2から見たときに、HEV4速からHEV3速に変速段を低くするダウンシフトを行うと、変速比が小さくなり、出力軸OSのトルクも小さくなる。即ち、変速段を低くするダウンシフトを行ったにも関わらず、変速段を高くするアップシフトを行った場合のように変速比が小さくなる逆転現象が生じる。
【0062】
ここで、バッテリBATの充電状態(SOC:State of Charge)が適切な範囲にある場合には、車両1の減速時に第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2を解放状態にしてエンジンENGを切り離す。これにより、駆動輪DWの回転によってエンジンENGが連れ回されることがないため、モータジェネレータMGの回生量を最大にすることができる。
【0063】
しかしながら、エンジンENGを切り離すと、運転者がアクセルペダルを再度踏み込んだ際に、モータジェネレータMGによるアシストとスタータモータSSGによるエンジンENGの再始動により電力の消費量が多くなる。そのため、バッテリBATのSOCが極端に少ない場合(閾値SOC1よりも少ない場合)には、電力の消費を抑制するために、エンジンENGを接続したままモータジェネレータMGで回生を行う。
【0064】
上述したように、変速機100では、モータジェネレータMGの第2入力軸IS2から見たときに、HEV4速からHEV3速に変速段を低くするダウンシフトを行うと、変速段を低くするダウンシフトを行ったにも関わらず、変速段を高くするアップシフトを行った場合のように変速比が小さくなる逆転現象が生じる。そのため、要求される減速度を実現できずに、運転者に違和感を与えるおそれがある。そこで、変速機100では、運転者に与える違和感を低減させるために、以下のような制御を実行している。
【0065】
次に、図8を参照して、車両1における減速時の変速制御について説明する。図8は、減速時の変速制御について説明するフローチャートである。減速時の変速制御は、図8のフローをコントローラ2にて一定時間ごとに繰り返し実行して行われる。図8のフローは、運転者による車両1の減速要求があった場合に実行される。具体的には、例えば運転者がアクセルペダルの操作をオフにした状態、即ち車両1がコースト走行(駆動源であるエンジンENGやモータジェネレータMGが駆動力を出力せずに走行している状態)で減速しているときに実行される。このとき、運転者によってブレーキペダルが操作されてモータジェネレータMGによる回生制御(回生ブレーキ)が行われていてもよい。なお、1ペダルモードが選択されているときには、アクセルペダルの操作がオフになった場合だけでなく、アクセルペダルの操作量が小さくなった場合にもモータジェネレータMGによる回生制御(回生ブレーキ)が行われる。このように、減速要求があったことは、車両1の速度等の走行状態と運転者の操作とに基づいて判定される。
【0066】
ステップS11では、コントローラ2は、バッテリBATのSOCが極端に少ないか否かを判定する。具体的には、コントローラ2は、バッテリ電圧センサ35が検出したバッテリBATの電圧値からバッテリBATのSOCを推定し、推定したSOCが所定(閾値SOC1)より低いか否かを判定する。閾値SOC1は、運転者がアクセルペダルを再度踏み込んだ際に、モータジェネレータMGによるアシストとスタータモータSSGによるエンジンENGの再始動のための電力を供給可能な最低限のSOCの値に予め設定され、記憶部23に記憶されている。
【0067】
ステップS11にて、SOCが閾値SOC1未満である(SOC<SOC1)であると判定された場合には、ステップS12に移行する。一方、ステップS11にて、SOCが閾値SOC1未満でない、即ちSOCが閾値SOC1以上である(SOC≧SOC1)であると判定された場合には、ステップS17に移行する。
【0068】
ステップS12では、バッテリBATのSOCが極端に少ないので、エンジンENGを切り離さないHEV(Hybrid Electric Vehicle)優先モードを選択し、エンジンENGを接続したままモータジェネレータMGで回生を行う。即ち、変速機100は、エンジンENGとモータジェネレータMGとがそれぞれ遊星歯車機構10を介して駆動輪DWに駆動力を伝達できる状態を維持する。
【0069】
ステップS13では、コントローラ2は、1ペダルモードが選択されているか否かを判定する。1ペダルモードは、運転者がアクセルペダルのみを操作して車速をコントロールする運転モードである。即ち、1ペダルモードでは、アクセルペダルの操作量が小さくなったときの車両1の減速度は、1ペダルモードでないときの減速度よりも大きい。
【0070】
ステップS13にて、1ペダルモードが選択されていると判定された場合には、要求減速度がHEV3速の最大限速度以上である場合が多いので、ステップS16に移行する。一方、ステップS13にて、1ペダルモードが選択されていないと判定された場合には、ステップS14に移行する。
【0071】
ステップS14では、車両1がHEV4速にて走行中か否かを判定する。ステップS14にて、車両1がHEV4速にて走行中であると判定された場合には、ステップS15に移行する。一方、ステップS14にて、車両1がHEV4速にて走行中でないと判定された場合には、ステップS17に移行する。
【0072】
ステップS15では、車両1の要求減速度がHEV3速の最大限速度以上であるか否かを判定する。ステップS15にて、車両1の要求減速度がHEV3速の最大限速度以上であると判定された場合には、ステップS16に移行する。一方、ステップS15にて、車両1の要求減速度がHEV3速の最大限速度以上でないと判定された場合には、ステップS17に移行する。
【0073】
ステップS16では、コントローラ2は、コースト走行時のHEV4速からHEV3速への変速を禁止し、HEV4速からHEV3速を介さずにHEV2速に変速させる。即ち、変速機100は、n+2段から変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+2段からn+1段を介さずにn段に変速する。
【0074】
一方、ステップS17では、コントローラ2は、車両1の要求減速度が比較的小さいので、通常変速を行う。即ち、コントローラ2は、HEV4速からHEV3速に変速を行い、更に減速した場合にはHEV3速からHEV2速に変速を行う。
【0075】
続いて、図9及び図10を参照して、車両1における減速時の変速制御について具体的に説明する。図9は、比較例に係る減速時の変速制御について説明するタイミングチャートである。図10は、減速時の変速制御について説明するタイミングチャートである。
【0076】
先に、図9を参照して、比較例について説明する。この比較例は、車両1の要求減速度がHEV3速の最大限速度以上であると判定された場合に、図8のステップS16の処理に代えてステップS17の通常変速を行った場合を示すものである。
【0077】
図9に示すように、時刻T1では、運転者による減速要求があったと判定される。ここでは、減速要求としてアクセルペダルの操作がオフにされた場合を例として説明する。アクセルペダルの操作がオフにされると、車両1は、コースト走行を開始する。コースト走行が開始されると、車両1の減速度は時間の経過と共に要求減速度に向かって大きくなり、車両1の速度もまた時間の経過と共に低下する。時刻T2では、減速度が要求減速度に達したので一定になるが、車両1の速度は時間の経過と共に低下し続ける。
【0078】
時刻T3では、車両1の速度が、HEV4速からダウンシフトを行うための所定車速を下回ったので、HEV4速からHEV3速に変速段を低くするダウンシフトが行われる。また、時刻T4では、車両1の速度が、HEV3速からダウンシフトを行うための所定車速を下回ったので、HEV3速からHEV2速に変速段を低くするダウンシフトが行われる。
【0079】
ここで、上述したように、変速機100では、モータジェネレータMGの第2入力軸IS2から見たときに、HEV4速からHEV3速に変速段を低くするダウンシフトを行うと、変速段を低くするダウンシフトを行ったにも関わらず、変速段を高くするアップシフトを行った場合のように変速比が小さくなる逆転現象が生じる。そのため、HEV4速からHEV3速に変速段を低くするダウンシフトが行われてから、HEV3からHEV2速に変速段を低くするダウンシフトが行われるまでの間、回生トルクを大きくできなければ、減速度は要求減速度よりも小さくなる。このように、変速機100の変速に伴う減速度の変化によって運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0080】
これに対して、図10に示すように、変速機100では、時刻T3にて、車両1の速度が、HEV4速からダウンシフトを行うための所定車速を下回り、かつ要求減速度がHEV3速における最大限速度よりも大きいので、HEV4速からHEV3速を介さずにHEV2速に変速段を低くするダウンシフトが行われる。これにより、HEV4速からHEV3速にダウンシフトを行うことによる減速度の減少を防止することができる。したがって、変速機100の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0081】
このように、エンジンENGとモータジェネレータMGとがそれぞれ変速機100を介して駆動輪DWに連れ回されるコースト走行中に、変速機100が適用される車両1の速度が所定車速を下回ったことでn+2段から変速段を低くするダウンシフトを行う場合に、車両1の要求減速度がn+1段の最大減速度より大きいときには、n+2段からn+1段を介さずにn段に変速する。よって、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うことによる減速度の減少を防止することができる。したがって、変速機100の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0082】
次に、図11及び図12を参照して、変形例に係る減速時の変速制御について説明する。図11は、変形例に係る減速時の変速制御について説明するフローチャートである。図12は、変形例に係る減速時の変速制御について説明するタイミングチャートである。
【0083】
この変形例では、コントローラ2は、図8のステップS16に代えて、ステップS26の処理を実行する。
【0084】
図11のステップS26では、コントローラ2は、コースト走行時のHEV4速からHEV3速への変速は禁止せずに、HEV3速における制動力を増加させる。即ち、変速機100が適用される車両1がコースト走行で減速しているときに、エンジンENGとモータジェネレータMGとがそれぞれ遊星歯車機構10を介して駆動輪DWに駆動力を伝達できる状態で、n+2段からn+1段へ変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+1段での制動力を大きくする。この制動力の増加は、モータジェネレータMGの回生量を増加させることによって行われるか、ブレーキBRを作動させて行われるか、若しくはこれら両方によって行われる。
【0085】
これにより、図12に示すように、時刻T3では、車両1の速度が、HEV4速からダウンシフトを行うための所定車速を下回ったので、HEV4速からHEV3速に変速段を低くするダウンシフトが行われるが、変速比が小さくなることで減速度が小さくなった分、制動力を大きくすることで、減速度の減少が相殺されて、車両1は一定の減速度で減速し続けることになる。
【0086】
即ち、変速機100におけるHEV2速をn段(nは1以上の整数)、HEV3速をn+1段、HEV4速をn+2段としたとき、モータジェネレータMGからの駆動力を伝達する場合に、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うと変速比が小さくなるので、その分、制動力を大きくして相殺する。よって、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うことによる減速度の減少を防止することができる。したがって、変速機100の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0087】
以上の本実施形態の構成及び作用効果について、まとめて説明する。
【0088】
(1)(7)(9)第1駆動源(エンジンENG)の駆動力と第2駆動源(モータジェネレータMG)の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸(IS1,IS2)から入力される変速機100を制御する変速機の制御装置において、変速機100は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構(遊星歯車機構10)を備え、変速機構(遊星歯車機構10)におけるn+1段の変速比は、第1駆動源(エンジンENG)からの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも大きく、第2駆動源(モータジェネレータMG)からの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも小さく、第1駆動源(エンジンENG)と第2駆動源(モータジェネレータMG)とがそれぞれ変速機構(遊星歯車機構10)を介して駆動輪DWに駆動力を伝達できる状態で、n+2段から変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+2段からn+1段を介さずにn段に変速する。
【0089】
この構成では、n+1段の変速比は、エンジンENGからの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも大きく、モータジェネレータMGからの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも小さい。そのため、モータジェネレータMGからの駆動力を伝達する場合に、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うと変速比が小さくなるので、n+2段からn+1段を介さずにn段にダウンシフトを行い、変速比を大きくする。よって、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うことによる減速度の減少を防止することができる。したがって、変速機100の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0090】
特に、最大回生トルクが大きくないモータジェネレータMGを用いた場合には、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うことによる減速度の減少を、モータジェネレータMGの回生トルクを最大にしても吸収できないおそれがある。これに対して、変速機100では、n+2段からn+1段を介さずにn段にダウンシフトを行うことで、最大回生トルクが大きくないモータジェネレータMGを用いた場合にも、減速度の減少を防止することができる。また、減速度の減少を防止するためにブレーキBRによる制動を行う必要がないので、回生制御によって回収できるエネルギの減少を防止することができる。
【0091】
(2)また、第1駆動源は、内燃機関としてのエンジンENGであり、第2駆動源は、電動モータとしてのモータジェネレータMGである。
【0092】
この構成によれば、モータジェネレータMGにて回生電力を得ながら、ダウンシフト時の変速比の逆転現象による減速度の変化を抑制できるので、運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0093】
(3)また、変速機100が適用される車両1がコースト走行で減速しているときに、エンジンENGとモータジェネレータMGとがそれぞれ遊星歯車機構10を介して駆動輪DWに駆動力を伝達できる状態で、n+2段から変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+2段からn+1段を介さずに前記n段に変速する。
【0094】
この構成によれば、コースト走行中のダウンシフト時の変速比の逆転現象による減速度の変化を抑制できるので、運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0095】
(4)また、変速機100が適用される車両1は、バッテリBATを有し、バッテリBATのSOCが所定よりも低い状態で、エンジンENGとモータジェネレータMGとがそれぞれ変速機100を介して駆動輪DWに連れ回されるコースト状態となり、車両1の速度が所定車速を下回ったことでn+2段から変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+2段からn+1段を介さずにn段に変速する。
【0096】
この構成によれば、バッテリBATのSOCが低い状態であっても、エンジンENGは駆動輪DWの回転によって連れ回されているので、再加速の要求があっても、エンジンENGを再始動する必要がない。また、モータジェネレータMGの回生電力によりバッテリBATを充電しながら、ダウンシフト時の変速比の逆転現象による減速度の変化を抑制できるので、運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0097】
(5)また、エンジンENGとモータジェネレータMGとがそれぞれ変速機100を介して駆動輪DWに連れ回されるコースト走行中に、変速機100が適用される車両1の速度が所定車速を下回ったことでn+2段から変速段を低くするダウンシフトを行う場合に、車両1の要求減速度がn+1段の最大減速度より大きいときには、n+2段からn+1段を介さずにn段に変速する。
【0098】
この構成によれば、要求減速度がn+1段の最大減速度よりも大きいときには、n+2段からn+1段を介さずにn段に変速するので、ダウンシフトしたにも関わらず減速度が低下する違和感を運転者に与えることを抑制することができる。
【0099】
(6)(8)(10)また、第1駆動源(エンジンENG)の駆動力と第2駆動源(モータジェネレータMG)の駆動力とがそれぞれ異なる入力軸(IS1,IS2)から入力される変速機100を制御する変速機の制御装置において、変速機100は、変速段として少なくともn段(nは1以上の整数)とn+1段とn+2段とを有する変速機構(遊星歯車機構10)を備え、変速機構(遊星歯車機構10)におけるn+1段の変速比は、第1駆動源(エンジンENG)からの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも大きく、第2駆動源(モータジェネレータMG)からの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも小さく、変速機100が適用される車両1がコースト走行で減速しているときに、第1駆動源(エンジンENG)と第2駆動源(モータジェネレータMG)とがそれぞれ変速機構(遊星歯車機構10)を介して駆動輪DWに駆動力を伝達できる状態で、n+2段からn+1段へ変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+1段での制動力を大きくする。
【0100】
この構成では、n+1段の変速比は、エンジンENGからの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも大きく、モータジェネレータMGからの駆動力を伝達する場合には、n段の変速比より小さく、かつn+2段の変速比よりも小さい。そのため、モータジェネレータMGからの駆動力を伝達する場合に、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うと変速比が小さくなるので、n+1段での制動力を大きくする。よって、n+2段からn+1段にダウンシフトを行うことによる減速度の減少を防止することができる。したがって、変速機100の変速に伴う減速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0102】
例えば、上記実施形態では、コースト走行時のダウンシフト(コーストダウン)を行う場合について説明した。しかしながら、これに限らず、運転者がアクセルペダルを踏み込んで加速する際のキックダウン時のダウンシフトを行う場合に上記実施形態の変速制御を適用してもよい。キックダウン時のダウンシフトに適用した場合には、車両1の要求加速度がHEV3速の最大加速度よりも大きいときに、HEV4速からHEV3速を介さずにHEV2速に変速する。これにより、変速機100の変速に伴う加速度の変化によって運転者に与える違和感を低減させることができる。
【0103】
また、変速機100は、上記実施形態ではHEV1速からHEV4速の4段の変速段を有するが、少なくとも3段以上の変速段を有するものであればよい。
【0104】
なお、上述した変速機100における一連の処理は、コンピュータにこれを実行さるためのプログラムとして提供されてもよい。
【0105】
即ち、本実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、変速機100が適用される車両1がコースト走行で減速しているときに、第1駆動源(エンジンENG)と第2駆動源(モータジェネレータMG)とがそれぞれ変速機構(遊星歯車機構10)を介して駆動輪DWに駆動力を伝達できる状態で、n+2段からn+1段へ変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+1段での制動力を大きくする手順、又は変速機100が適用される車両1がコースト走行で減速しているときに、第1駆動源(エンジンENG)と第2駆動源(モータジェネレータMG)とがそれぞれ変速機構(遊星歯車機構10)を介して駆動輪DWに駆動力を伝達できる状態で、n+2段からn+1段へ変速段を低くするダウンシフトを行う場合には、n+1段での制動力を大きくする手順を実行させるものである。
【0106】
上述した一連の処理を実行するためのプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体によって提供される。コントローラ2においては、記憶部23に記憶されていてもよい。
【0107】
また、コンピュータが実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0108】
100 変速機
1 車両
10 遊星歯車機構(変速機構)
BAT バッテリ(蓄電装置)
BR ブレーキ(制動装置)
DW 駆動輪
ENG エンジン(第1駆動源,内燃機関)
MG モータジェネレータ(第2駆動源,電動モータ)
SSG スタータモータ
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