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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118289
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】衝撃記録装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/00 20060101AFI20230818BHJP
   G01P 15/09 20060101ALI20230818BHJP
   G01P 15/02 20130101ALI20230818BHJP
【FI】
G01P15/00 D
G01P15/09 Z
G01P15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021162
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 直
(72)【発明者】
【氏名】並木 清光
(57)【要約】
【課題】汎用性の高い衝撃検知をすることができる。
【解決手段】衝撃記録装置10は、圧電素子11と不揮発性メモリ14と処理部15とを有する。圧電素子11は、衝撃が加わることにより発電をする。不揮発性メモリ14は、発電の発生回数を記憶する。処理部15は、発電によって生じる電力で作動し、発電を検出すると発生回数を更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃が加わることにより発電をする圧電素子と、
前記発電の発生回数を記憶する不揮発性メモリと、
前記発電によって生じる電力で作動し、前記発電を検出すると前記発生回数を更新する処理部と、
を有する衝撃記録装置。
【請求項2】
前記衝撃記録装置は、前記発電の発電量を測定する測定部を有し、
前記処理部は、前記発電量が閾値より大きい場合、前記発生回数を更新する、
請求項1記載の衝撃記録装置。
【請求項3】
前記衝撃記録装置は、前記発電によって発生した電流を整流するダイオードブリッジを有し、
前記測定部は、前記ダイオードブリッジを介した前記電流に基づいて前記発電量を測定する、
請求項2記載の衝撃記録装置。
【請求項4】
前記不揮発性メモリは、前記発電量の大きさの範囲ごとの前記発生回数を記憶し、
前記処理部は、前記発電を検出すると、検出した前記発電の前記発電量の大きさに対応する前記発生回数を更新する、
請求項2または3記載の衝撃記録装置。
【請求項5】
前記衝撃記録装置は、端末からの電磁波による他の発電をし、前記端末と通信する発電通信素子を有し、
前記処理部は、前記他の発電によって作動し、前記発電通信素子に、前記発生回数を前記端末へ送信させる、
請求項1ないし4のいずれかに記載の衝撃記録装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記他の発電によって作動すると、フラグを設定し、前記発電を検出すると、前記フラグが設定されていない場合に前記発生回数を更新する、
請求項5記載の衝撃記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の荷物を運搬するときに荷物に衝撃が加わってしまうことがある。荷物運搬時の荷物への衝撃を検知することができれば、荷物の取扱者への注意喚起や故障原因の特定をすることができる。
【0003】
衝撃の検知に関する技術としては、例えば、加速度センサを用いて落下を判定することができる落下判定装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再表2012/169051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンピュータへの衝撃を検知する方法としては、例えば、当該コンピュータが搭載する加速度センサを用いることが考えられる。しかし、加速度センサを用いた衝撃検知では、電源を用いることとなり汎用性が低い。
【0006】
1つの側面では、本件は、汎用性の高い衝撃検知をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、圧電素子と不揮発性メモリと処理部とを有する衝撃記録装置が提供される。圧電素子は、衝撃が加わることにより発電をする。不揮発性メモリは、発電の発生回数を記憶する。処理部は、発電によって生じる電力で作動し、発電を検出すると発生回数を更新する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、汎用性の高い衝撃検知をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る衝撃記録装置の一例を示す図である。
図2】第2の実施の形態の概要を示す図である。
図3】衝撃記録モジュールの外観の一例を示す図である。
図4】衝撃記録装置のハードウェアの一構成例を示す図である。
図5】衝撃記録モジュールの回路図の一例を示す図である。
図6】衝撃記録装置の機能例を示すブロック図である。
図7】RAMおよび不揮発性RAMが記憶する情報の一例を示す図である。
図8】衝撃の記録および記録の送信の流れの一例を示す図である。
図9】整流および平滑化前後の電圧の一例を示す図である。
図10】起動割り込み処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11】メイン処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12】メンテナンス割り込み処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13】衝撃割り込み処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、圧電素子の発電に基づいて衝撃を記録するものである。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係る衝撃記録装置の一例を示す図である。衝撃記録装置10は、自装置に加わった衝撃を記録する装置である。衝撃記録装置10は、例えば、PC(Personal Computer)を梱包した箱に取り付けられ、PC運搬時の衝撃を記録する。
【0012】
衝撃記録装置10は、圧電素子11と、ダイオードブリッジ12と、測定部13と、不揮発性メモリ14と、処理部15と、発電通信素子16とを有する。圧電素子11は、衝撃が加わることにより発電をする。例えば、圧電素子11は、加わった衝撃を電圧に変換する圧電体を有する。ダイオードブリッジ12は、複数のダイオードを有する回路である。ダイオードブリッジ12は、交流電流を直流電流に整流する。測定部13は、電気的測定が可能な機器である。例えば、測定部13は、衝撃記録装置10を制御するコントローラ内のA/D(Analog/ Digital)コンバータである。
【0013】
不揮発性メモリ14は、電源供給なしに記憶内容を保持可能な不揮発性のメモリである。例えば、不揮発性メモリ14は、衝撃記録装置10を制御するコントローラ内の不揮発性RAM(Random Access Memory)である。
【0014】
処理部15は、衝撃記録装置10を制御し、所要の処理を実行可能である。例えば、処理部15は、衝撃記録装置10を制御するコントローラ内のプロセッサまたは演算回路である。なお、処理部15は、圧電素子11による発電によって生じる電力または発電通信素子16による発電(他の発電)によって作動する。発電通信素子16は、他の機器が発生させる磁気または電波によって発電し、当該機器と無線通信をする。発電通信素子16は、例えば、近距離無線通信が可能なアンテナを有する。
【0015】
不揮発性メモリ14は、記録情報14aを記憶する。記録情報14aは、圧電素子11による発電の発生回数を記憶したものである。なお、記録情報14aには、発電量の大きさの範囲ごとの発生回数が記憶される。例えば、記録情報14aには、範囲Aに対応する回数として0回が記憶され、範囲Bに対応する回数として5回が記憶されている。
【0016】
処理部15は、圧電素子11による発生回数の記録と発生回数の送信とを実行する。発生回数の記録では、まず、圧電素子11は、衝撃が加わることにより発電をする。例えば、圧電素子11は、衝撃を交流電圧に変換する。ダイオードブリッジ12は、圧電素子11による発電によって発生した電流を整流する。例えば、ダイオードブリッジ12は、圧電素子11が衝撃を変換した交流電圧によって発生した交流電流を直流電流に整流する。整流された電流は、測定部13、不揮発性メモリ14および処理部15を有するコントローラに電源として供給される。これにより、測定部13、不揮発性メモリ14および処理部15は作動する。また、整流された電流は、コントローラの所定の端子に割り込み信号として入力される。
【0017】
次に、測定部13は、圧電素子11による発電の発電量を測定する。ここで、測定部13は、ダイオードブリッジ12を介した電流に基づいて発電量を測定する。例えば、測定部13は、コントローラにかかる電圧を測定する。
【0018】
処理部15は、圧電素子11による発電を検出すると、発生回数を更新する。例えば、処理部15は、コントローラの所定の端子に割り込み信号が入力されると、圧電素子11による発電として検出する。ここで、処理部15は、発電量が閾値より大きい場合、発生回数を更新する。例えば、処理部15は、測定部13によって測定された電圧の値を取得し、取得した電圧の値が閾値より大きい場合、発生回数を更新する。
【0019】
発生回数の更新では、処理部15は、検出した発電の発電量の大きさに対応する発生回数を更新する。例えば、処理部15は、測定部13によって測定された電圧の値が、記録情報14aのいずれの範囲に含まれるかを特定する。処理部15は、特定した範囲に対応する発生回数に1を加算する。
【0020】
発生回数の送信では、まず、発電通信素子16は、端末1からの電磁波による他の発電をし、端末1と通信する。端末1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の通信端末である。例えば、発電通信素子16は、端末1からの磁気により、誘導電流を発生させる。発電通信素子16による発電によって発生した電流は、測定部13、不揮発性メモリ14および処理部15を有するコントローラに電源として供給される。これにより、測定部13、不揮発性メモリ14および処理部15は作動する。また、発電通信素子16による発電によって発生した電流は、コントローラの、圧電素子11による発電によって発生した電流が入力される端子とは別の端子(他の端子)に割り込み信号として入力される。
【0021】
処理部15は、発電通信素子16に、発生回数を端末1へ送信させる。例えば、処理部15は、他の端子に割り込み信号が入力されると、発電通信素子16による発電として検出する。そして、処理部15は、発電通信素子16に、記録情報14aを端末1に送信させる。
【0022】
第1の実施の形態によれば、衝撃記録装置10の圧電素子11は、衝撃が加わることにより発電をする。衝撃記録装置10の不揮発性メモリ14は、発電の発生回数を記憶する。衝撃記録装置10の処理部15は、発電によって生じる電力で作動し、発電を検出すると発生回数を更新する。
【0023】
このように、衝撃記録装置10は、加わった衝撃により発電することで、衝撃を記録する処理部を作動させることができる。これにより、衝撃記録装置10は、電源を搭載することなく衝撃を記録することができる。よって、衝撃記録装置10は、汎用性の高い衝撃検知をすることができる。
【0024】
また、衝撃記録装置10の測定部13は、発電の発電量を測定する。処理部15は、発電量が閾値より大きい場合、発生回数を更新する。圧電素子11は、軽微な衝撃が加わった場合でも発電することがある。衝撃記録装置10が取り付けられたものへの影響のない軽微な衝撃は、記録されないことが好ましい。衝撃記録装置10は、発電量が閾値より大きい場合に発生回数を更新することで、一定以上の衝撃が加わった回数を記録することができる。
【0025】
また、衝撃記録装置10のダイオードブリッジ12は、発電によって発生した電流を整流する。測定部13は、ダイオードブリッジ12を介した電流に基づいて発電量を測定する。これにより、衝撃記録装置10は、一定以上の衝撃が加わったか否かを精度良く判定できる。
【0026】
また、不揮発性メモリ14は、発電量の大きさの範囲ごとの発生回数を記憶する。処理部15は、発電を検出すると、検出した発電の発電量の大きさに対応する発生回数を更新する。これにより、衝撃記録装置10は、加わった衝撃を強さごとに記録することができる。
【0027】
また、衝撃記録装置10の発電通信素子16は、端末1からの電磁波による他の発電をし、端末1と通信する。処理部15は、他の発電によって作動し、発電通信素子16に、発生回数を端末1へ送信させる。これにより、衝撃記録装置10は、電源を搭載することなく衝撃の記録を送信することができる。
【0028】
なお、処理部15は、他の発電によって作動すると、フラグを設定し、発電を検出すると、フラグが設定されていない場合に発生回数を更新してもよい。これにより、衝撃記録装置10は、衝撃の記録を送信する作業中に発生した衝撃を記録することを防止できる。
【0029】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、PCを梱包した箱に加わった衝撃を衝撃記録装置が検出するものである。
【0030】
図2は、第2の実施の形態の概要を示す図である。衝撃記録装置100は、箱20に取り付けられている。箱20は、PC21を梱包した箱である。衝撃記録装置100は、衝撃を電圧に変換する圧電素子を含む衝撃記録モジュールと、他の装置が発生させる磁気によって発電し当該装置と無線通信をする発電通信素子を含む通信モジュールとを有する。衝撃記録装置100は、箱20の運搬中の衝撃を記録する。また、衝撃記録装置100は、箱20の運搬中に発生した衝撃の回数を携帯端末30に送信する。
【0031】
携帯端末30は、磁気を発生させることで発電通信素子に発電をさせ、当該発電通信素子と通信する機能を有する端末である。携帯端末30は、例えば、箱20の運搬先の人物が操作するスマートフォン等の端末である。
【0032】
例えば、衝撃記録装置100は、箱20の運搬前に箱20に取り付けられる。箱20の運搬中、衝撃記録装置100の圧電素子は、衝撃が加わることによって発電する。すると、衝撃記録装置100のコントローラは、圧電素子の発電によって生じた電力によって作動し、衝撃を記録する。
【0033】
箱20の運搬後、衝撃記録装置100の発電通信素子は、携帯端末30がかざされると、携帯端末30からの磁気によって発電する。携帯端末30からの磁気は、第1の実施の形態に示した電磁波の一例である。すると、衝撃記録装置100のコントローラは、発電通信素子の発電によって生じた電力によって作動する。そして、衝撃記録装置100のコントローラは、発電通信素子に、衝撃の回数を携帯端末30へ送信させる。
【0034】
なお、第2の実施の形態では、衝撃記録装置100は、PC21の入った箱20に取り付けられているが、箱20に入ったPC21に取り付けられてもよい。また、衝撃記録装置100は、PC以外の物に取り付けられていてもよい。例えば、衝撃記録装置100は、運搬されるバッテリーや食品等を梱包した箱に取り付けられてもよい。
【0035】
図3は、衝撃記録モジュールの外観の一例を示す図である。衝撃記録モジュール100aの回路の要素は、基板40に配置されている。基板40は、配置された要素それぞれを電気的に接続させる基板である。基板40には、電極板41a,41b、ダイオードブリッジ42、コンデンサ43、コントローラ101および圧電素子102が配置されている。また、基板40には、通信端子105が形成されている。
【0036】
電極板41a,41bは、圧電素子102による発電で発生した電流を基板40に配置された回路の要素に供給する。例えば、電極板41a,41bは、圧電素子102をはさむように、基板40上に配置される。
【0037】
ダイオードブリッジ42は、圧電素子102による発電で発生した電流を整流する。ダイオードブリッジ42で整流された電流は、コンデンサ43およびコントローラ101に流れる。コンデンサ43は、圧電素子102による発電で発生した電流を蓄電する。コンデンサ43は、圧電素子102からの電流が途絶えると、放電してコントローラ101に電力を供給する。
【0038】
コントローラ101は、衝撃記録装置100全体を制御する。圧電素子102は、衝撃が加わると、加わった衝撃を電極板41a,41b間の電圧に変換する。通信端子105は、衝撃記録モジュール100aと通信モジュールとを有線接続するための端子である。通信モジュールは、発電通信素子の発電によって生じた電力を通信端子105を介してコントローラ101に供給する。また、通信モジュールは、通信端子105を介してコントローラ101とデータの送受信をする。
【0039】
図4は、衝撃記録装置のハードウェアの一構成例を示す図である。衝撃記録装置100は、衝撃記録モジュール100aおよび通信モジュール100bを有する。衝撃記録モジュール100aは、コントローラ101、圧電素子102、整流・平滑化回路103、蓄電回路104および通信端子105を有する。コントローラ101は、衝撃記録モジュール100a全体を制御する。コントローラ101は、例えば、マイクロコントローラである。コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)101a、RAM101b、ROM(Read Only Memory)101c、不揮発性RAM101dおよびA/Dコンバータ101eを有する。
【0040】
CPU101aは、プログラムの命令を実行するプロセッサである。CPU101aは、ROM101cに記憶されたファームウェアを読み出して実行する。なお、CPU101aは複数のプロセッサコアを含んでもよい。また、CPU101aは、複数のプロセッサであってもよく、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)等であってもよい。また、CPU101aがプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0041】
RAM101bは、コントローラ101の主記憶装置である。RAM101bには、CPU101aによる処理に利用する各種データが格納される。なお、コントローラ101は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0042】
ROM101cは、ファームウェアを記憶する不揮発性の半導体記憶装置である。ROM101cとしては、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を用いることができる。
【0043】
不揮発性RAM101dは、CPU101aによる処理結果を記憶する不揮発性の半導体記憶装置である。ROM101cとしては、例えば、EPROMまたはEEPROMを用いることができる。
【0044】
A/Dコンバータ101eは、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する機器である。また、A/Dコンバータ101eは、入力された電流値やコントローラ101にかかる電圧を測定することが可能である。
【0045】
圧電素子102は、圧電効果を有する圧電体でできた素子である。圧電素子102は、衝撃が加わると発電する。例えば、圧電素子102は、加わった衝撃を圧電効果によって交流電圧に変換する。圧電素子102による発電により発生した電流は、整流・平滑化回路103に流れる。
【0046】
整流・平滑化回路103は、圧電素子102による発電により発生した電流の整流および平滑化をする回路である。整流・平滑化回路103は、ダイオードブリッジ42を有する。整流・平滑化回路103は、圧電素子102による発電により発生した電流をダイオードブリッジ42によって整流する。また、整流・平滑化回路103は、ダイオードブリッジ42によって整流された電流を整流・平滑化回路103が有するコンデンサによって平滑化する。整流・平滑化回路103は、整流および平滑化された電流をコントローラ101に、信号および電源として供給する。また、整流・平滑化回路103は、整流および平滑化された電流を蓄電回路104に供給する。
【0047】
蓄電回路104は、整流・平滑化回路103によって整流および平滑化された電流によって蓄電する回路である。蓄電回路104は、コンデンサ43を有する。蓄電回路104は、整流・平滑化回路103から流れる電流をコンデンサ43に蓄電する。また、蓄電回路104は、整流・平滑化回路103からの電流が途絶えると、コンデンサ43の放電によってコントローラ101に電力を供給する。
【0048】
通信端子105は、通信モジュール100bと有線接続するための端子である。コントローラ101は、通信端子105を介して、通信モジュール100bから電力の供給を受ける。また、コントローラ101は、通信端子105を介して、通信モジュール100bとデータの送受信をする。
【0049】
通信モジュール100bは、通信端子106、発電通信素子107、整流・平滑化回路108および蓄電回路109を有する。通信端子106は、衝撃記録モジュール100aと有線接続するための端子である。
【0050】
発電通信素子107は、アンテナコイルを有する素子である。発電通信素子107は、他の装置が発生させる磁気によって発電し当該装置と無線通信をする。例えば、他の装置が有するアンテナコイルが発生させた磁界によって発電通信素子107のアンテナコイルに誘導電流が発生する。発電通信素子107による発電により発生した電流は、整流・平滑化回路108に流れる。また、発電通信素子107は、アンテナコイルを用いて他の端末からデータを受信し、受信したデータを通信端子106を介して衝撃記録モジュール100aに送信する。また、発電通信素子107は、通信端子106を介して衝撃記録モジュール100aからデータを受信し、受信したデータをアンテナコイルを用いて他の端末に送信する。
【0051】
整流・平滑化回路108は、発電通信素子107による発電により発生した電流の整流および平滑化をする回路である。整流・平滑化回路108は、発電通信素子107による発電により発生した電流を、整流・平滑化回路108が有するダイオードブリッジによって整流する。また、整流・平滑化回路108は、整流された電流を整流・平滑化回路108が有するコンデンサによって平滑化する。整流・平滑化回路108は、整流および平滑化された電流を、通信端子106を介して、衝撃記録モジュール100aに供給する。また、整流・平滑化回路108は、整流および平滑化された電流を蓄電回路109に供給する。
【0052】
蓄電回路109は、整流・平滑化回路108によって整流および平滑化された電流によって蓄電する回路である。蓄電回路109は、整流・平滑化回路108から流れる電流を、蓄電回路109が有するコンデンサに蓄電する。また、蓄電回路109は、整流・平滑化回路108からの電流が途絶えると、蓄電回路109が有するコンデンサの放電によって、通信端子106を介して、衝撃記録モジュール100aに電力を供給する。
【0053】
衝撃記録装置100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示した衝撃記録装置10も、図4に示した衝撃記録装置100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、CPU101aは、第1の実施の形態に示した処理部15の一例である。また、不揮発性RAM101dは、第1の実施の形態に示した不揮発性メモリ14の一例である。また、A/Dコンバータ101eは、第1の実施の形態に示した測定部13の一例である。
【0054】
衝撃記録装置100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。衝撃記録装置100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、衝撃記録装置100のCPU101aに実行させるプログラムを、ROM101cにファームウェアとして格納しておくことができる。またCPU101aに実行させるプログラムを、光ディスク、メモリ装置、メモリカードなどの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばCPU101aからの制御により、ROM101cに書き込まれた後、実行可能となる。
【0055】
次に、衝撃記録モジュール100aの回路について説明する。
図5は、衝撃記録モジュールの回路図の一例を示す図である。回路図50は、衝撃記録モジュール100aの回路を示した回路図である。回路図50には、信号線51、コントローラ101、圧電素子102、整流・平滑化回路103、蓄電回路104および通信端子105が示されている。
【0056】
圧電素子102は、整流・平滑化回路103に含まれるダイオードブリッジ42の2つの入力端子に接続されている。ダイオードブリッジ42は、4つのダイオードを含む回路であり、入力端子から入力された交流電流を直流電流に整流して出力端子から出力する。ダイオードブリッジ42は、圧電素子102による発電によって発生した交流電流を直流電流に整流して、出力端子から出力する。
【0057】
ダイオードブリッジ42の1つの出力端子は、信号線51によってコントローラ101のRA0端子に接続されている。コントローラ101は、RA0端子からの信号を、圧電素子102による発電が発生したことによる割り込み信号として取得する。また、ダイオードブリッジ42の2つの出力端子は、整流・平滑化回路103に含まれるコンデンサ、蓄電回路104およびコントローラ101に並列に接続されている。整流・平滑化回路103に含まれるコンデンサは、ダイオードブリッジ42によって整流された電流を平滑化する。
【0058】
蓄電回路104は、2つのダイオードおよびコンデンサ43を有する。蓄電回路104は、整流・平滑化回路103に含まれるコンデンサが平滑化した電流によって、コンデンサ43に蓄電する。なお、コンデンサ43は、整流・平滑化回路103からの電流が途絶えると、放電する。
【0059】
ダイオードブリッジ42の2つの出力端子は、コントローラ101のVDD端子およびVSS端子に接続されている。コントローラ101のVDD端子およびVSS端子は、コントローラ101に電源を供給するための端子である。つまり、整流・平滑化回路103によって整流および平滑化された電流は、コントローラ101を作動させる電源として供給される。また、コンデンサ43は、コントローラ101のVDD端子およびVSS端子に接続されている。つまり、コンデンサ43は、放電することで、コントローラ101を作動させる電源を供給する。
【0060】
通信端子105は、コントローラ101のVDD端子およびVSS端子に接続されている。通信端子105に接続された通信モジュール100bは、VDD端子およびVSS端子に電流を流すことで、コントローラ101に電源供給する。また、通信端子105は、コントローラ101の送信(TX)用端子および受信(RX)用端子に接続されている。コントローラ101は、送信用端子および通信端子105を介して、通信モジュール100bにデータを送信する。また、コントローラ101は、受信用端子および通信端子105を介して、通信モジュール100bから送信されたデータを受信する。また、コントローラ101は、受信用端子および通信端子105を介して、発電通信素子107による発電が発生したことによる割り込み信号を通信モジュール100bから取得する。
【0061】
次に、衝撃記録装置100の機能について詳細に説明する。
図6は、衝撃記録装置の機能例を示すブロック図である。衝撃記録装置100のコントローラ101は、RAM101b、不揮発性RAM101d、初期設定部110、割り込み待機部120、メンテナンス部130およびカウント部140を有する。初期設定部110、割り込み待機部120、メンテナンス部130およびカウント部140は、CPU101aがROM101cに記憶されたファームウェアを実行することで実現される。
【0062】
RAM101bおよび不揮発性RAM101dは、計測中フラグ、メンテナンスフラグ、電圧計測値、電圧閾値および衝撃カウンタを記憶する。計測中フラグは、カウント部140が一度の衝撃で発生した電圧を計測中であるか否かを示すフラグである。メンテナンスフラグは、メンテナンス部130による処理が実行中であるか否かを示すフラグである。電圧計測値は、A/Dコンバータ101eによって測定された、コントローラ101にかかる電圧である。電圧閾値は、電圧計測値と比較する閾値である。衝撃カウンタは、圧電素子102による発電の発生回数をカウントするためのカウンタである。なお、衝撃カウンタは、電圧計測値の大きさの範囲ごとに設けられている。
【0063】
初期設定部110は、コントローラ101の起動時の初期設定をする。初期設定部110は、不揮発性RAM101dから、計測中フラグ、メンテナンスフラグ、電圧計測値、電圧閾値および衝撃カウンタを記憶した領域をRAM101bにコピーする。そして、初期設定部110は、RAM101bに記憶されている計測中フラグおよびメンテナンスフラグをOffに設定する。
【0064】
割り込み待機部120は、割り込み信号を待機し、割り込み信号に応じて、メンテナンス部130およびカウント部140に割り込み処理を実行させる。割り込み待機部120は、圧電素子102による発電を検出した場合、カウント部140に、衝撃割り込み処理の実行を開始させる。例えば、割り込み待機部120は、コントローラ101のRA0端子への割り込み信号を検出した場合、圧電素子102による発電を検出したと判定し、カウント部140に、衝撃割り込み処理の実行を開始させる。
【0065】
また、割り込み待機部120は、発電通信素子107による発電を検出した場合、メンテナンス部130に、メンテナンス割り込み処理の実行を開始させる。例えば、割り込み待機部120は、コントローラ101の受信用端子への割り込み信号を検出した場合、発電通信素子107による発電を検出したと判定し、メンテナンス部130に、メンテナンス割り込み処理の実行を開始させる。
【0066】
メンテナンス部130は、割り込み待機部120からの指示に応じて、メンテナンス割り込み処理を実行する。メンテナンス部130は、メンテナンスフラグをOnに設定し、メンテナンス割り込み処理を開始する。まず、メンテナンス部130は、発電通信素子107を介して携帯端末30と通信のネゴシエーションをする。ここで、メンテナンス部130は、携帯端末30からコマンドを取得する。
【0067】
メンテナンス部130は、携帯端末30から取得したコマンドの先頭1バイトに応じた処理を実行する。例えば、メンテナンス部130は、取得したコマンドの先頭1バイトが「R」である場合、発電通信素子107に、衝撃カウンタを携帯端末30へ送信させる。また、例えば、メンテナンス部130は、取得したコマンドの先頭1バイトが「C」である場合、RAM101bに記憶された各衝撃カウンタを0に設定する。そして、メンテナンス部130は、RAM101bの内容を、不揮発性RAM101dにコピーすることで、不揮発性RAM101dを更新する。
【0068】
また、例えば、メンテナンス部130は、取得したコマンドの先頭1バイトが「S」である場合、取得したコマンドの先頭1バイトの次の1バイトを読み出す。メンテナンス部130は、読み出した値をRAM101bに記憶された電圧閾値に設定する。そして、メンテナンス部130は、RAM101bの内容を、不揮発性RAM101dにコピーすることで、不揮発性RAM101dを更新する。メンテナンス部130は、コマンドに応じた処理の実行が終わると、メンテナンスフラグをOffに設定する。
【0069】
カウント部140は、割り込み待機部120からの指示に応じて、衝撃割り込み処理を実行する。なお、カウント部140は、メンテナンスフラグがOffである場合に、衝撃割り込み処理を実行する。
【0070】
カウント部140は、A/Dコンバータ101eが測定したコントローラ101にかかる電圧計測値を取得し、取得した電圧計測値をRAM101bに格納する。そして、カウント部140は、計測中フラグがOffである場合、以下の処理を実行する。
【0071】
カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きいか否かを判定する。カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きいと判定した場合、計測中フラグをOnに設定する。カウント部140は、電圧計測値に対応する衝撃カウンタを選択する。例えば、カウント部140は、RAM101bに記憶された衝撃カウンタそれぞれに対応する範囲のうち、電圧計測値が含まれる範囲を特定する。カウント部140は、特定した範囲に対応する衝撃カウンタを選択する。そして、カウント部140は、選択した衝撃カウンタの値に1を加算し、RAM101bの内容で不揮発性RAM101dを更新する。
【0072】
なお、カウント部140は、計測中フラグがOnであり、電圧計測値が電圧閾値以下であると判定した場合、計測中フラグをOffに設定する。
ここで、衝撃カウンタは、第1の実施の形態に示した発電の発生回数の一例である。また、電圧計測値は、第1の実施の形態に示した発電量の一例である。また、メンテナンスフラグは、第1の実施の形態に示したフラグの一例である。また、図6に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。次に、RAM101bおよび不揮発性RAM101dが記憶する情報について詳細に説明する。
【0073】
図7は、RAMおよび不揮発性RAMが記憶する情報の一例を示す図である。初期設定部110は、コントローラ101が起動したときに、不揮発性RAM101dのアドレス070h~077hの内容を、RAM101bのアドレス070h~077hにコピーする。また、メンテナンス部130およびカウント部140は、RAM101bの内容を更新したときに、RAM101bのアドレス070h~077hの内容を、不揮発性RAM101dのアドレス070h~077hにコピーする。
【0074】
RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス070hには、計測中フラグおよびメンテナンスフラグが記憶されている。例えば、RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス070hの0ビット目に計測中フラグが記憶され、アドレス070hの1ビット目にメンテナンスフラグが記憶される。RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス071hには、電圧計測値が記憶されている。RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス072hには、電圧閾値が記憶されている。
【0075】
RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス073h~077hには、電圧計測値の範囲ごとの衝撃カウンタが記憶されている。RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス073hには、電圧閾値より大きく2V未満の電圧計測値に対応する衝撃カウンタが記憶されている。RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス074hには、2V以上3V未満の電圧計測値に対応する衝撃カウンタが記憶されている。RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス075hには、3V以上4V未満の電圧計測値に対応する衝撃カウンタが記憶されている。RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス076hには、4V以上5V未満の電圧計測値に対応する衝撃カウンタが記憶されている。RAM101bおよび不揮発性RAM101dのアドレス077hには、5V以上の電圧計測値に対応する衝撃カウンタが記憶されている。
【0076】
なお、第2の実施の形態では、各データが記憶されるRAM101bのアドレスと不揮発性RAM101dのアドレスとが一致しているが、RAM101bに記憶される場合と不揮発性RAM101dに記憶される場合とで記憶されるアドレスが異なっていてもよい。また、メンテナンス部130およびカウント部140は、RAM101bの内容を更新したときに、RAM101bの更新した部分の内容を不揮発性RAM101dの対応するアドレスにコピーしてもよい。次に、衝撃記録装置100による衝撃の記録および記録の送信の流れについて説明する。
【0077】
図8は、衝撃の記録および記録の送信の流れの一例を示す図である。カウント部140は、圧電素子102に衝撃が加わったときに衝撃カウンタを更新する。まず、圧電素子102に衝撃が加わると、圧電素子102は発電する。圧電素子102による発電により発生した電流は、整流・平滑化回路103に流れる。
【0078】
整流・平滑化回路103は、圧電素子102による発電により発生した電流を整流および平滑化する。整流・平滑化回路103は、整流および平滑化した電流をコントローラ101に電源(VCC)として供給する。これにより、コントローラ101は、作動する。ここで、A/Dコンバータ101eは、コントローラ101にかかる電圧を測定する。また、整流・平滑化回路103は、整流した電流を割り込み信号としてコントローラ101のRA0端子へ入力する。
【0079】
割り込み待機部120は、RA0端子への割り込み信号が入力されると、圧電素子102による発電があったと検出し、カウント部140に衝撃割り込み処理を実行させる。衝撃割り込み処理では、カウント部140は、電圧計測値に対応する衝撃カウンタを1増加させる。
【0080】
メンテナンス部130は、携帯端末30が発電通信素子107にかざされると、発電通信素子107に、衝撃カウンタを携帯端末30へ送信させる。まず、発電通信素子107に携帯端末30がかざされると、発電通信素子107は発電する。発電通信素子107による発電により発生した電流は、整流・平滑化回路108に流れる。
【0081】
整流・平滑化回路108は、発電通信素子107による発電により発生した電流を整流および平滑化する。整流・平滑化回路108は、整流および平滑化した電流をコントローラ101に電源(VCC)として供給する。これにより、コントローラ101は、作動する。また、発電通信素子107は、割り込み信号をコントローラ101の受信用端子に入力する。
【0082】
割り込み待機部120は、受信用端子への割り込み信号が入力されると、発電通信素子107による発電があったと検出し、メンテナンス部130にメンテナンス割り込み処理を実行させる。メンテナンス部130は、発電通信素子107を介して携帯端末30と通信のネゴシエーションをする。そして、メンテナンス部130は、衝撃カウンタを要求するコマンドを携帯端末30から受け取ると、回答として、発電通信素子107に、衝撃カウンタを携帯端末30へ送信させる。
【0083】
このようにして、カウント部140は、衝撃が発生した回数を記録し、メンテナンス部130は、カウント部140が記録した衝撃の発生回数を携帯端末30に送信できる。メンテナンス部130およびカウント部140を有するコントローラ101は、圧電素子102または発電通信素子107による発電によって作動する。よって、メンテナンス部130およびカウント部140は、衝撃記録装置100に電源を搭載することなく、衝撃が発生した回数の記録と送信をすることができる。
【0084】
次に、整流・平滑化回路103による整流および平滑化について説明する。
図9は、整流および平滑化前後の電圧の一例を示す図である。グラフ60は、整流および平滑化前後の、圧電素子102による発電によって発生した電圧を示すグラフである。グラフ60の縦軸は、電圧(V)を示す。また、グラフ60の横軸は、時間(t)を示す。グラフ60は、曲線61,62および閾値線63を有する。
【0085】
曲線61は、圧電素子102に衝撃が加わった場合の出力電圧の時間変化を示す曲線である。曲線61は、減衰波の形状をしている。つまり、曲線61は、圧電素子102による出力電圧が、時間経過によって減衰する交流電圧であることを示す。曲線62は、整流・平滑化回路103による整流および平滑化後の電圧の時間変化を示す曲線である。曲線62は、山なりの形状をしている。つまり、曲線62は、整流および平滑化後の電圧が、時間経過によって減衰する直流電圧であることを示す。閾値線63は、電圧閾値を示す横軸に平行な直線である。
【0086】
ここで、圧電素子102に加わった衝撃が強いほど曲線61の振幅は大きくなる。しかし、交流電圧である出力電圧は、一時的に電圧値が0付近になることもあり、振幅を測ることが難しい。一方、整流および平滑化後の電圧は、直流電圧であるため、継続的に正の値となる。したがって、カウント部140は、整流および平滑化後の電圧と電圧閾値とを比較することで、一定以上の衝撃が加わったか否かを判定することができる。このように、整流・平滑化回路103は、圧電素子102による発電によって発生した電流を整流および平滑化することで、カウント部140に、一定以上の衝撃が加わったか否かを精度良く判定させることができる。
【0087】
以下、衝撃記録装置100が実行する処理の手順について、詳細に説明する。まず、コントローラ101が起動したときの処理について説明する。
図10は、起動割り込み処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0088】
[ステップS11]初期設定部110は、不揮発性RAM101dから、計測中フラグ、メンテナンスフラグ、電圧計測値、電圧閾値および衝撃カウンタを記憶した領域をRAM101bにコピーする。例えば、初期設定部110は、不揮発性RAM101dのアドレス070h~077hの内容を、RAM101bのアドレス070h~077hにコピーする。
【0089】
[ステップS12]初期設定部110は、RAM101bに記憶されている計測中フラグおよびメンテナンスフラグをOffに設定する。例えば、初期設定部110は、RAM101bのアドレス070hの0ビット目および1ビット目を0に設定する。
【0090】
このようにして、初期設定部110は、衝撃の記録および衝撃カウンタの送信に用いるデータをRAM101bにコピーすることができる。次に、メイン処理について説明する。
【0091】
図11は、メイン処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS21]割り込み待機部120は、圧電素子102による発電を検出したか否かを判定する。例えば、割り込み待機部120は、コントローラ101のRA0端子への割り込み信号を検出した場合、圧電素子102による発電を検出したと判定する。割り込み待機部120は、圧電素子102による発電を検出したと判定した場合、処理をステップS22に進める。また、割り込み待機部120は、圧電素子102による発電を検出していないと判定した場合、処理をステップS23に進める。
【0092】
[ステップS22]割り込み待機部120は、カウント部140に、衝撃割り込み処理の実行を開始させる。衝撃割り込み処理の詳細については後述する(図13参照)。
[ステップS23]割り込み待機部120は、発電通信素子107による発電を検出したか否かを判定する。例えば、割り込み待機部120は、コントローラ101の受信用端子への割り込み信号を検出した場合、発電通信素子107による発電を検出したと判定する。割り込み待機部120は、発電通信素子107による発電を検出したと判定した場合、処理をステップS24に進める。割り込み待機部120は、発電通信素子107による発電を検出していないと判定した場合、処理をステップS21に進める。
【0093】
[ステップS24]割り込み待機部120は、メンテナンス部130に、メンテナンス割り込み処理の実行を開始させる。メンテナンス割り込み処理の詳細については後述する(図12参照)。そして、処理がステップS21に進む。
【0094】
このように、割り込み待機部120は、圧電素子102または発電通信素子107による発電があったことを示す割り込みを待機する。そして、割り込み待機部120は、割り込みの種類に応じて、メンテナンス部130またはカウント部140に、割り込み処理を実行させる。次に、メンテナンス部130によるメンテナンス割り込み処理について説明する。
【0095】
図12は、メンテナンス割り込み処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS31]メンテナンス部130は、メンテナンスフラグをOnに設定する。例えば、メンテナンス部130は、RAM101bのアドレス070hの1ビット目を1に設定する。
【0096】
[ステップS32]メンテナンス部130は、発電通信素子107を介して携帯端末30と通信のネゴシエーションをする。ここで、メンテナンス部130は、携帯端末30からコマンドを取得する。
【0097】
[ステップS33]メンテナンス部130は、ステップS32で携帯端末30から取得したコマンドの先頭1バイトを読み出す。
[ステップS34]メンテナンス部130は、ステップS33で読み出した1バイトが「R」であるか否かを判定する。メンテナンス部130は、読み出した1バイトが「R」であると判定した場合、処理をステップS35に進める。また、メンテナンス部130は、読み出した1バイトが「R」ではないと判定した場合、処理をステップS36に進める。
【0098】
[ステップS35]メンテナンス部130は、発電通信素子107に、衝撃カウンタを携帯端末30へ送信させる。例えば、メンテナンス部130は、発電通信素子107に、RAM101bのアドレス073h~077hの内容を携帯端末30へ送信させる。そして、処理がステップS40へ進む。
【0099】
[ステップS36]メンテナンス部130は、ステップS33で読み出した1バイトが「C」であるか否かを判定する。メンテナンス部130は、読み出した1バイトが「C」であると判定した場合、処理をステップS37に進める。また、メンテナンス部130は、読み出した1バイトが「C」ではないと判定した場合、処理をステップS38に進める。
【0100】
[ステップS37]メンテナンス部130は、衝撃カウンタを0に設定する。例えば、メンテナンス部130は、RAM101bのアドレス073h~077hの値を0に更新する。メンテナンス部130は、RAM101bのアドレス070h~077hの内容を、不揮発性RAM101dのアドレス070h~077hにコピーすることで、不揮発性RAM101dを更新する。そして、処理がステップS40へ進む。
【0101】
[ステップS38]メンテナンス部130は、ステップS33で読み出した1バイトが「S」であるか否かを判定する。メンテナンス部130は、読み出した1バイトが「S」であると判定した場合、処理をステップS39に進める。また、メンテナンス部130は、読み出した1バイトが「S」ではないと判定した場合、処理をステップS40に進める。
【0102】
[ステップS39]メンテナンス部130は、携帯端末30から取得したコマンドの先頭1バイトの次の1バイトを読み出す。メンテナンス部130は、読み出した値を電圧閾値に設定する。例えば、メンテナンス部130は、RAM101bのアドレス072hの値を、コマンドの先頭1バイトの次の1バイトの値に更新する。メンテナンス部130は、RAM101bのアドレス070h~077hの内容を、不揮発性RAM101dのアドレス070h~077hにコピーすることで、不揮発性RAM101dを更新する。そして、処理がステップS40に進む。
【0103】
[ステップS40]メンテナンス部130は、メンテナンスフラグをOffに設定する。例えば、メンテナンス部130は、RAM101bのアドレス070hの1ビット目を0に設定する。
【0104】
このように、メンテナンス部130は、携帯端末30から取得したコマンドの内容に応じた処理を実行する。メンテナンス部130は、携帯端末30からのコマンドに応じて、発電通信素子107に、衝撃カウンタを携帯端末30へ送信させる。CPU101aは、発電通信素子107による発電によって発生する電力によって作動するため、メンテナンス部130は、衝撃記録装置100に電源を搭載することなく衝撃カウンタを衝撃記録装置100の外部に送信することができる。
【0105】
また、メンテナンス部130は、携帯端末30からのコマンドに応じて、衝撃カウンタを0に更新(つまり、リセット)する。これにより、メンテナンス部130は、衝撃記録装置100を再利用できるように設定することができる。また、メンテナンス部130は、携帯端末30からのコマンドに応じて、電圧閾値を更新する。これにより、メンテナンス部130は、衝撃記録装置100を再利用する際に設定を変更することができる。
【0106】
なお、上記のメンテナンス割り込み処理では、メンテナンス部130は、コマンドの先頭によってコマンドの内容を判定しているが、コマンドごとに異なる信号線から受信し、コマンドを受信した信号線によってコマンドの内容を判定してもよい。次に、カウント部140による衝撃割り込み処理について説明する。
【0107】
図13は、衝撃割り込み処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS51]カウント部140は、メンテナンスフラグがOnであるか否かを判定する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス070hの1ビット目が1である場合、メンテナンスフラグがOnであると判定し、0である場合、メンテナンスフラグがOffであると判定する。カウント部140は、メンテナンスフラグがOnであると判定した場合、処理を終了する。また、カウント部140は、メンテナンスフラグがOffであると判定した場合、処理をステップS52に進める。
【0108】
[ステップS52]カウント部140は、A/Dコンバータ101eが測定したコントローラ101にかかる電圧計測値を取得し、取得した電圧計測値をRAM101bに格納する。例えば、カウント部140は、取得した電圧計測値をRAM101bのアドレス071hに格納する。
【0109】
[ステップS53]カウント部140は、計測中フラグがOnであるか否かを判定する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス070hの0ビット目が1である場合、計測中フラグがOnであると判定し、0である場合、計測中フラグがOffであると判定する。カウント部140は、計測中フラグがOnであると判定した場合、処理をステップS61に進める。また、カウント部140は、計測中フラグがOffであると判定した場合、処理をステップS54に進める。
【0110】
[ステップS54]カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きいか否かを判定する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス071hに記憶された値がRAM101bのアドレス072hに記憶された値より大きい場合、電圧計測値が電圧閾値より大きいか否かを判定する。カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きいと判定した場合、処理をステップS55に進める。カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値以下であると判定した場合、処理をステップS51に進める。
【0111】
[ステップS55]カウント部140は、計測中フラグをOnに設定する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス070hの0ビット目を1に設定する。
[ステップS56]カウント部140は、電圧計測値に対応する衝撃カウンタを選択する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス073h~077hに記憶された衝撃カウンタそれぞれに対応する範囲のうち、電圧計測値が含まれる範囲を特定する。そして、カウント部140は、特定した範囲に対応する衝撃カウンタを選択する。
【0112】
[ステップS57]カウント部140は、ステップS56で選択した衝撃カウンタの値が上限であるか否かを判定する。カウント部140は、選択した衝撃カウンタの値が上限であると判定した場合、処理をステップS59に進める。また、カウント部140は、選択した衝撃カウンタの値が上限ではないと判定した場合、処理をステップS58に進める。
【0113】
[ステップS58]カウント部140は、ステップS56で選択した衝撃カウンタの値に1を加算する。
[ステップS59]カウント部140は、RAM101bの内容で不揮発性RAM101dを更新する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス070h~077hの内容を、不揮発性RAM101dのアドレス070h~077hにコピーする。
【0114】
[ステップS60]カウント部140は、所定時間(例えば、0.02秒)待機する。そして、処理がステップS51に進む。
[ステップS61]カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きいか否かを判定する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス071hに記憶された値がRAM101bのアドレス072hに記憶された値より大きい場合、電圧計測値が電圧閾値より大きいか否かを判定する。カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きいと判定した場合、処理をステップS51に進める。カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値以下であると判定した場合、処理をステップS62に進める。
【0115】
[ステップS62]カウント部140は、計測中フラグをOffに設定する。例えば、カウント部140は、RAM101bのアドレス070hの0ビット目を0に設定する。
[ステップS63]カウント部140は、所定時間(例えば、0.05秒)待機する。
【0116】
このようにして、カウント部140は、衝撃を記録する。CPU101aは、圧電素子102による発電によって発生する電力によって作動するため、カウント部140は、衝撃記録装置100に電源を搭載することなく衝撃記録装置100に加わった衝撃を記録できる。
【0117】
カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きい場合に、衝撃カウンタに1を加算する。これにより、カウント部140は、衝撃記録装置100に一定以上の衝撃が加わった回数を記録することができる。また、カウント部140は、電圧計測値に対応する衝撃カウンタを選択し、選択した衝撃カウンタを更新する。圧電素子102に加わる衝撃が強いほど電圧計測値は大きくなるため、カウント部140は、加わった衝撃を強さごとに記録することができる。
【0118】
なお、衝撃の記録を携帯端末30に送信する作業で衝撃が加わることがある。箱20の運搬時の衝撃を記録する場合、送信作業中に発生した衝撃は記録されないことが好ましい。そこで、カウント部140は、メンテナンスフラグがOffの場合に衝撃カウンタを更新することで、送信作業中に発生した衝撃を記録することを防止できる。
【0119】
また、グラフ60の曲線62に示されるように、圧電素子102による発電では、一度の衝撃で一定期間電圧の発生が継続する。よって、所定の時間間隔で、電圧が発生している場合に衝撃の発生とカウントする方法では、一度の衝撃を複数回の衝撃としてカウントしてしまうことがある。そこで、カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きくなった場合計測中フラグをOnに設定し、衝撃カウンタを更新する。そして、カウント部140は、計測中フラグがOnの間は衝撃カウンタを更新せず、電圧計測値が電圧閾値以下になったときに計測中フラグをOffに設定する。これにより。カウント部140は、一度の衝撃を複数回の衝撃としてカウントしてしまうことを防止することができる。
【0120】
第2の実施の形態によれば、圧電素子102は、衝撃が加わることにより発電をする。不揮発性RAM101dは、衝撃カウンタを記憶する。CPU101aは、圧電素子102による発電によって生じる電力で作動し、発電を検出すると衝撃カウンタを更新する。これにより、衝撃記録装置100は、電源を搭載することなく衝撃を記録することができる。よって、衝撃記録装置100は、汎用性の高い衝撃検知をすることができる。
【0121】
また、A/Dコンバータ101eは、電圧計測値を測定する。カウント部140は、電圧計測値が電圧閾値より大きい場合、衝撃カウンタを更新する。これにより、衝撃記録装置100は、一定以上の衝撃が加わった回数を記録することができる。
【0122】
また、ダイオードブリッジ42は、発電によって発生した電流を整流する。A/Dコンバータ101eは、ダイオードブリッジ42を介した電流に基づいて電圧計測値を測定する。これにより、衝撃記録装置100は、一定以上の衝撃が加わったか否かを精度良く判定できる。
【0123】
また、不揮発性RAM101dは、電圧計測値の大きさの範囲ごとの衝撃カウンタを記憶する。カウント部140は、発電を検出すると、検出した発電の電圧計測値の大きさに対応する衝撃カウンタを更新する。これにより、衝撃記録装置100は、加わった衝撃を強さごとに記録することができる。
【0124】
また、発電通信素子107は、携帯端末30からの電磁波による他の発電をし、携帯端末30と通信する。CPU101aは、発電通信素子107による発電によって作動し、発電通信素子107に、衝撃カウンタを携帯端末30へ送信させる。これにより、衝撃記録装置100は、電源を搭載することなく衝撃の記録を送信することができる。
【0125】
また、メンテナンス部130は、発電通信素子107による発電によって作動すると、メンテナンスフラグを設定し、カウント部140は、圧電素子102による発電を検出すると、メンテナンスフラグが設定されていない場合に衝撃カウンタを更新する。これにより、衝撃記録装置100は、衝撃の記録を送信する作業中に発生した衝撃を記録することを防止できる。
【0126】
なお、衝撃記録装置100は、携帯端末30との通信開始時に、携帯端末30が正当な通信相手であることを確認する機能を有していてもよい。例えば、衝撃記録装置100は、携帯端末30から送信された暗号鍵や電子証明書を、不揮発性RAM101dに保存した暗号鍵や電子証明書とを比較する。そして、衝撃記録装置100は、携帯端末30から送信された暗号鍵や電子証明書が正当な通信相手が送信する暗号鍵や電子証明書と一致することを確認することで携帯端末30が正当な通信相手であることを確認する。
【0127】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 端末
10 衝撃記録装置
11 圧電素子
12 ダイオードブリッジ
13 測定部
14 不揮発性メモリ
14a 記録情報
15 処理部
16 発電通信素子
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