(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118300
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】基礎体
(51)【国際特許分類】
H02S 20/10 20140101AFI20230818BHJP
【FI】
H02S20/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021182
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】596101587
【氏名又は名称】ユニバーサル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100118692
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 菜穂恵
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】西田 春樹
(57)【要約】
【課題】支柱部材に対する補強用支柱の設置位置を簡易に変更可能な基礎体を提供する。
【解決手段】被支持体(例えば太陽電池パネル取付架台52)を支持する基礎体1は、上側部分に被支持体が設けられて鉛直方向に延在する支柱部材2と、支柱部材2に対して支柱部材2の延在方向に変位可能に支柱部材2に取り付けられる取付部材4と、支柱部材2の延在方向に対して交差する方向に延在し、上側部分が取付部材4に装着される補強用支柱3a,3bと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持体を支持する基礎体であって、
上側部分に前記被支持体が設けられて鉛直方向に延在する支柱部材と、
前記支柱部材に対して前記支柱部材の延在方向に変位可能に前記支柱部材に取り付けられる取付部材と、
前記支柱部材の延在方向に対して交差する方向に延在し、上側部分が前記取付部材に装着される補強用支柱と、
を含む、基礎体。
【請求項2】
前記取付部材は、前記支柱部材の外面から張り出す張出部を有し、
前記張出部に、前記補強用支柱の上側部分が挿通される挿通部が形成されている、請求項1に記載の基礎体。
【請求項3】
前記取付部材は、前記支柱部材が挿入される筒状である、請求項1又は請求項2に記載の基礎体。
【請求項4】
上方から見て、前記支柱部材を挟んで両側に前記補強用支柱が設けられている、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の基礎体。
【請求項5】
前記支柱部材の下側部分が地中に埋設されて、前記支柱部材の上側部分が地上に露出し、該露出部分に前記取付部材が位置しており、
前記補強用支柱の下側部分が地中に埋設されて、前記補強用支柱の上側部分が地上に露出している、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の基礎体。
【請求項6】
前記被支持体は、太陽電池パネルが取り付けられる太陽電池パネル取付架台である、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の基礎体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば太陽電池パネルが取り付けられる太陽電池パネル取付架台などの被支持体を支持する基礎体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基礎体の従来技術として、本出願人による特許文献1に記載された太陽電池パネルの架台支持用支柱が知られている。この太陽電池パネルの架台支持用支柱は、地中に対して略垂直方向に一部を残して打設される支柱部材と、この支柱部材の打設方向と交差させて一部を残して地中に打設される複数の補強用支柱と、を備える。支柱部材の基端部には、太陽電池パネルが取り付けられる架台の載置面及び補強用支柱支持部を有する鍔状のベース部が設けられている。また、支柱部材の地上に残される中間部周面には中間支持部が設けられている。そして、各補強用支柱は、補強用支柱支持部と中間支持部とに貫通させて打設されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、支柱部材に対する補強用支柱の設置位置を変更することが難しかった。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑み、支柱部材に対する補強用支柱の設置位置(特に設置高さ)を簡易に変更可能な基礎体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、被支持体を支持する基礎体が提供される。この基礎体は、上側部分に被支持体が設けられて鉛直方向に延在する支柱部材と、支柱部材に対して支柱部材の延在方向に変位可能に支柱部材に取り付けられる取付部材と、支柱部材の延在方向に対して交差する方向に延在し、上側部分が取付部材に装着される補強用支柱と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、補強用支柱の上側部分が装着される取付部材が、支柱部材の延在方向に変位可能に支柱部材に取り付けられる。これにより、取付部材を支柱部材の延在方向に変位させることで、簡易に、支柱部材に対する補強用支柱の設置位置(特に設置高さ)を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態における基礎体の正面図である。
【
図2】前記一実施形態における基礎体の側面図である。
【
図3】前記一実施形態における基礎体の平面図である。
【
図4】前記一実施形態における取付部材の斜視図である。
【
図5】前記一実施形態における基礎体を地盤に設置する場合を示す図である。
【
図7】一参考例における基礎体の概略構成を示す図である。
【
図8】前記一参考例における支柱部材の左側面図及び右側面図である。
【
図9】前記一参考例における補強部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1~
図3は、それぞれ、本実施形態における基礎体1の正面図、側面図、及び平面図であり、基礎体1の概略構成を示している。
【0010】
基礎体1は、例えば被支持体の下方に配置されて、被支持体を下から支持するものである。この被支持体の一例として、太陽電池パネルが取り付けられる太陽電池パネル架台を挙げることができ、この例については、
図5、
図6A、及び
図6Bを用いて後述する。
【0011】
本実施形態では、基礎体1は、支柱部材2と、1つ以上の補強用支柱3(本実施形態では2つの補強用支柱3a,3b)と、取付部材4とを含む。
【0012】
支柱部材2は、例えば鋼製の角管で形成されており、鉛直方向に延在する。本実施形態では、1辺の長さが約100mmである矩形断面を有し、かつ、鉛直方向の長さが約3300mmである鋼製の角管で形成された支柱部材2について以下説明するが、支柱部材2の各寸法がこれに限るものではないことは言うまでもない。支柱部材2の鉛直方向の長さは、例えば1m~5mの範囲内である。支柱部材2の上側部分には前述の被支持体が設けられ得る。
【0013】
支柱部材2の相対する一対の側面21,22には、それぞれ、複数の孔5が貫通形成されている。本実施形態では、側面21,22の各々に孔5が5つずつ貫通形成されているが、孔5の個数はこれに限らない。本実施形態では、側面21,22の各々において、5つの孔5が、支柱部材2の延在方向に間隔をあけて貫通形成されている。孔5は、取付部材4を支柱部材2に固定するための固定孔である。孔5には、取付部材4を支柱部材2に固定する固定手段である通しボルト6の雄ねじ部が挿入される。隣り合う孔5同士の間の前記間隔(ピッチ)は、100mm~200mmの範囲内であることが好ましい。この点、本実施形態では、当該間隔(ピッチ)は150mmである。
【0014】
補強用支柱3a,3bは、支柱部材2を補強するためのものである。補強用支柱3a,3bは、各々が、支柱部材2の延在方向に対して交差する方向に延在している。補強用支柱3a,3bについては、各々の上側部分が取付部材4に装着されることで、取付部材4を介して、支柱部材2と一体化され得る。補強用支柱3a,3bは、例えば鋼製の丸管(円管)で形成されている。補強用支柱3a,3bの基端部(上端部)には、それぞれ、ストッパ部3as,3bsが設けられ得る。
【0015】
取付部材4は、補強用支柱3a,3bの各々の上側部分を支柱部材2に取り付けるものである。また、取付部材4は、支柱部材2に対して支柱部材2の延在方向に変位可能に支柱部材2に取り付けられる。本実施形態において、取付部材4は、例えば鋼製である。
【0016】
図4は、取付部材4の斜視図である。
図4に示すように、取付部材4は、上面及び下面が開口し、前面(正面)40、左側面41、右側面42、及び、後面(背面)43を有する矩形筒状である。取付部材4は、上面視で、左側面41及び右側面42を長辺とし、前面40及び後面43を短辺とする矩形状をなしている。本実施形態では、この長辺の長さが約210mmであり、短辺の長さが約110mmであり、取付部材4の鉛直方向の長さが約250mmであるが、各長さはこれに限らない。取付部材4に支柱部材2が挿入された状態で、取付部材4の左側面41は支柱部材2の側面21に相対し、取付部材4の右側面42は支柱部材2の側面22に相対する。取付部材4の左側面41は支柱部材2の側面21に接触してもよい。また、取付部材4の右側面42は支柱部材2の側面22に接触してもよい。
【0017】
取付部材4の左側面41には第1孔部41a及び第2孔部41bが貫通形成されている。第1孔部41a及び第2孔部41bは、各々が、鉛直方向に長い長孔形状である。第1孔部41aは、取付部材4の左側面41の上側かつ前面40側に形成されている。第2孔部41bは、取付部材4の左側面41の下側かつ後面43側に形成されている。第1孔部41a及び第2孔部41bは、補強用支柱3a,3bを挿入可能な寸法になっている。
【0018】
取付部材4の左側面41には、2つの孔41cが、取付部材4の延在方向に間隔をあけて貫通形成されている。孔41c同士の間の間隔(ピッチ)は、前述の孔5同士の間の間隔(ピッチ)と同じである。本実施形態では、取付部材4の左側面41における、前面40から後面43に向かう方向での中央部(前後方向中央部)に2つの孔41cが位置している。孔41cは、取付部材4を支柱部材2に固定するための固定孔である。孔41cには通しボルト6の雄ねじ部が挿入される。
【0019】
取付部材4の右側面42には第1孔部42a及び第2孔部42bが貫通形成されている。第1孔部42a及び第2孔部42bは、各々が、鉛直方向に長い長孔形状である。第1孔部42aは、取付部材4の右側面42の上側かつ後面43側に形成されている。第2孔部42bは、取付部材4の右側面42の下側かつ前面40側に形成されている。第1孔部42a及び第2孔部42bは、補強用支柱3a,3bを挿入可能な寸法になっている。
【0020】
取付部材4の右側面42には、2つの孔42cが、取付部材4の延在方向に間隔をあけて貫通形成されている。孔42c同士の間の間隔(ピッチ)は、前述の孔5同士の間の間隔(ピッチ)と同じである。本実施形態では、取付部材4の右側面42における、前面40から後面43に向かう方向での中央部(前後方向中央部)に2つの孔42cが位置している。孔42cは、取付部材4を支柱部材2に固定するための固定孔である。孔42cには通しボルト6の雄ねじ部が挿入される。
【0021】
図3に示すように、取付部材4の前面40及び後面43と支柱部材2の外面との間には、補強用支柱3a,3bが通過可能な空間S1,S2が形成されている。すなわち、取付部材4は、空間S1,S2を区画形成するように支柱部材2の外面から前後に張り出しており、この張り出している部分が、本発明の「張出部」に対応している。この張出部には、第1孔部41a,42a、及び、第2孔部41b,42bを含む挿通部45が形成されており、この挿通部45には、補強用支柱3a,3b(少なくとも、補強用支柱3a,3bの上側部分)が挿通され得る。ここにおいて、第1孔部41aは、空間S1を介して、第2孔部42bに連通しており、第1孔部41aは第2孔部42bよりも上方(高位)に位置している。また、第1孔部42aは、空間S2を介して、第2孔部41bに連通しており、第1孔部42aは第2孔部41bよりも上方(高位)に位置している。
【0022】
挿通部45については、
図1に示すように、支柱部材2の軸線Xに対して所定の角度αを有して補強用支柱3aが第1孔部41aと第2孔部42bとに挿通され得るように形成されている。また、挿通部45については、支柱部材2の軸線Xに対して所定の角度βを有して補強用支柱3bが第1孔部42aと第2孔部41bとに挿通され得るように形成されている。ここにおいて、所定の角度α,βは同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。所定の角度α,βは、それぞれ、30°~50°の範囲内であることが好ましい。本実施形態では、所定の角度α,βは、それぞれ、約40°である。
【0023】
取付部材4を支柱部材2に固定する際には、取付部材4の孔41c,42cと支柱部材2の孔5とを貫くように通しボルト6の雄ねじ部を挿入した後、この雄ねじ部にナット7の雌ねじ部を螺合させて、通しボルト6を締めればよい。
【0024】
本実施形態では、取付部材4は、支柱部材2に対して支柱部材2の延在方向に変位可能に支柱部材2に取り付けられているので、例えば
図1に示す、支柱部材2の上端と取付部材4の基準点P(例えば取付部材4の鉛直方向中央位置)との間の距離L1を変更することができる。この距離L1については、例えば1300mm~2000mmの範囲内で変更可能であることが好ましい。この距離L1の変更可能な範囲を満たすように、支柱部材2の孔5の個数及び配置と、取付部材4の孔41c,42cの個数及び配置とが適宜設定され得る。
【0025】
図5は、基礎体1を地盤に設置する場合を示す図である。ここで、
図5(ア)及び(イ)が前述の
図1及び
図2に対応する。尚、
図5、及び、後述する
図6A及び
図6Bにおいて、二点鎖線で示されたGLは、地表面(地面)の位置を示している。また、
図5(ア)については、図示簡略化のため、通しボルト6及びナット7の図示を省略している。
【0026】
図5に示すように、基礎体1を地盤に設置する場合には、支柱部材2の一部が地上に残る(露出する)ように地面に対して略垂直に打ち込まれ、また、補強用支柱3a,3bが地面に対して斜めに打ち込まれる。
【0027】
支柱部材2については、地面より上側の部分が、地上に露出する露出部分を構成し、地面より下側の部分が、地中に埋設される埋設部分を構成する。
図5に示した例では、支柱部材2の埋設部分の長さが、露出部分の長さよりも長いが、これとは逆に、支柱部材2の埋設部分の長さが、露出部分の長さよりも短くてもよく、又は、支柱部材2の埋設部分の長さと、露出部分の長さとが同等であってもよい。
【0028】
支柱部材2の露出部分には取付部材4が支柱部材2の延在方向に変位可能に取り付けられている。取付部材4には、補強用支柱3a,3bの各々の上側部分が装着されている。
【0029】
補強用支柱3a,3bについては、地面より上側の部分が、地上に露出する露出部分を構成し、地面より下側の部分が、地中に埋設される埋設部分を構成する。
図5に示した例では、補強用支柱3a,3bの埋設部分の長さが、露出部分の長さよりも長いが、これとは逆に、補強用支柱3a,3bの埋設部分の長さが、露出部分の長さよりも短くてもよく、又は、補強用支柱3a,3bの埋設部分の長さと、露出部分の長さとが同等であってもよい。
【0030】
ここで、基礎体1を地盤に設置する方法の一例について説明する。
まず、支柱部材2を地面に対して略垂直に打ち込む。具体的には、支柱部材2の下側部分を地中に埋設させると共に、支柱部材2の上側部分を地上に露出させるように、支柱部材2を略垂直に打設する。
【0031】
次に、支柱部材2の露出部分(上側部分)に、取付部材4を取り付ける。取付部材4が支柱部材2の延在方向に変位可能であるので、取付部材4の位置調整(高さ調整)を容易に行うことができる。ここで、支柱部材2の露出部分(上側部分)において、取付部材4が、所望の範囲で支柱部材2の延在方向に変位可能に支柱部材2に取り付けられ得るように、支柱部材2の孔5の配置と、取付部材4の孔41c,42cの配置とが適宜設定され得る。
【0032】
次に、補強用支柱3aの先端部3atが第1孔部41a、空間S1、第2孔部42bの順に通過するように、補強用支柱3aを取付部材4の挿通部45に挿通させ、その後、補強用支柱3aを地面に打ち込む。補強用支柱3aは、取付部材4の挿通部45に挿通されることによって地面に対して(90°-α)の角度で傾斜する。このため、補強用支柱3aは、地面に対して斜めに打ち込まれることになる。ここにおいて、補強用支柱3aのストッパ部3asが取付部材4に当接するまで補強用支柱3aを地面に対して打ち込んでもよい。このときに、ストッパ部3asは、取付部材4(具体的には、第1孔部41aの周囲)に当接し、これによって、補強用支柱3aがそれ以上に地面に打ち込まれることを阻止することができる。このようにして、補強用支柱3aの下側部分が地中に埋設されて、補強用支柱3aの上側部分が地上に露出する。
【0033】
これと同様に、補強用支柱3bの先端部3btが第1孔部42a、第2孔部41bの順に通過するように、補強用支柱3bを取付部材4の挿通部45に挿通させ、その後、補強用支柱3bを地面に打ち込む。補強用支柱3bは、取付部材4の挿通部45に挿通されることによって地面に対して(90°-β)の角度で傾斜する。このため、補強用支柱3bは、地面に対して斜めに打ち込まれることになる。ここにおいて、補強用支柱3bのストッパ部3bsが取付部材4に当接するまで補強用支柱3bを地面に対して打ち込んでもよい。このときに、ストッパ部3bsは、取付部材4(具体的には、第1孔部42aの周囲)に当接し、これによって、補強用支柱3bがそれ以上に地面に打ち込まれることを阻止することができる。このようにして、補強用支柱3bの下側部分が地中に埋設されて、補強用支柱3bの上側部分が地上に露出する。
以上のようにして、基礎体1が地盤に設置される。
【0034】
図6Aは、太陽電池パネルの設置例を示している。
図6Aに示される設置例は、主に休遊地や空き地などの地面に太陽電池パネルを設置する場合の設置例である。本設置例において、太陽電池パネル50は、複数の基礎体51によって支持された太陽電池パネル取付架台(以下単に「架台」という)52に取り付けられるようになっている。
【0035】
複数の基礎体51のそれぞれは、その上部を地上に残す(露出する)ように地面に打ち込まれることによって所定の位置に設置されている。架台52は、所定の角度で傾斜したパネル取付部53と、パネル取付部53から下方に延びる複数の脚部(架台支柱)54と、脚部54同士を接続する複数の補強材55とを有する。架台52は、各脚部54が、対応する基礎体51の地上に残された(露出した)前記上部に、締結部材(ここではボルト56及びナット57)によって締結されて固定されている。尚、
図6Aに示す例では、架台52は4つの脚部54を有しており、架台52の4つの脚部54のそれぞれに対応するように4つの基礎体51が設置されている。そして、各基礎体51の前記上部に各脚部54が固定された架台52のパネル取付部53に、図示省略の専用の取付金具などによって太陽電池パネル50が取り付けられるように構成されている。
【0036】
前述の基礎体51として、
図5に示す基礎体1(地盤に設置される基礎体1)を用いることができる。
図6Aに示す基礎体51として
図5に示す基礎体1を用いる場合に、支柱部材2の上側部分に架台52が設けられ得ることは言うまでもない。また、この場合において、支柱部材2の上端部(基礎体1,51の上端部)に、架台52が載置されるベース部58(
図6A参照)が設けられていてもよい。ベース部58は、例えば鋼製の円形板又は矩形板で形成されてもよい。
【0037】
また、
図6Aに示す基礎体51として
図5に示す基礎体1を用いる場合においても、支柱部材2の下側部分が地中に埋設されて、支柱部材2の上側部分が地上に露出し、この露出部分に取付部材4が位置する。
【0038】
また、
図6Aに示す基礎体51として
図5に示す基礎体1を用いる場合においても、補強用支柱3a,3bの各々の下側部分が地中に埋設されて、補強用支柱3a,3bの各々の上側部分が地上に露出する。
【0039】
図6Bは、
図6Aに示す設置例の変形例を示す。
図6Bでは、基礎体51と脚部54とが一体化された脚部一体型基礎体59が採用されている。
【0040】
本変形例では、前述の脚部一体型基礎体59として、
図5に示す基礎体1(地盤に設置される基礎体1)を用いることができる。
図6Bに示す脚部一体型基礎体59として
図5に示す基礎体1を用いる場合に、支柱部材2の上側部分にパネル取付部53が直接的又は間接的に取り付けられ得る。また、この場合において、支柱部材2の上端部(基礎体1,59の上端部)に、パネル取付部53が載置されるベース部(図示せず)が設けられていてもよい。尚、この場合において、脚部一体型基礎体59によって支持される被支持体はパネル取付部53であり、すなわち、架台52の一部である。
【0041】
また、
図6Bに示す脚部一体型基礎体59として
図5に示す基礎体1を用いる場合においても、支柱部材2の下側部分が地中に埋設されて、支柱部材2の上側部分が地上に露出し、この露出部分に取付部材4が位置する。
【0042】
また、
図6Bに示す脚部一体型基礎体59として
図5に示す基礎体1を用いる場合においても、補強用支柱3a,3bの各々の下側部分が地中に埋設されて、補強用支柱3a,3bの各々の上側部分が地上に露出する。
【0043】
本実施形態によれば、被支持体(例えば架台52)を支持する基礎体1は、上側部分に被支持体(例えば架台52)が設けられて鉛直方向に延在する支柱部材2と、支柱部材2に対して支柱部材2の延在方向に変位可能に支柱部材2に取り付けられる取付部材4と、支柱部材2の延在方向に対して交差する方向に延在し、上側部分が取付部材4に装着される補強用支柱3a,3bと、を含む。ゆえに、取付部材4を支柱部材2の延在方向に変位させることで、簡易に、支柱部材2に対する補強用支柱3a,3bの設置位置を変更することができる。
【0044】
また本実施形態によれば、取付部材4は、支柱部材2の外面から張り出す張出部(例えば、取付部材4における空間S1,S2を区画する部分)を有し、この張出部に、補強用支柱3a,3bの上側部分が挿通される挿通部45が形成されている。これにより、補強用支柱3a,3bの上側部分の取付部材4への装着を挿通部45を介して簡易に行うことができる。
【0045】
また本実施形態によれば、取付部材4は、支柱部材2が挿入される筒状である。これにより、取付部材4を簡素な構成とすることができる。
【0046】
また本実施形態によれば、上方から見て、支柱部材2を挟んで両側に補強用支柱3a,3bが設けられている(
図3参照)。ゆえに、支柱部材2を補強用支柱3a,3bでバランスよく補強することができる。
【0047】
また本実施形態によれば、支柱部材2の下側部分が地中に埋設されて、支柱部材2の上側部分が地上に露出し、この露出部分に取付部材4が位置している。また、補強用支柱3a,3bの下側部分が地中に埋設されて、補強用支柱3a,3bの上側部分が地上に露出している。このようにして、基礎体1を地盤に設置することができる。
【0048】
また本実施形態によれば、基礎体1によって支持される被支持体の一例として、太陽電池パネル50が取り付けられる太陽電池パネル取付架台52が挙げられている。つまり、本実施形態では、基礎体1を地上設置型の太陽光発電設備に適用する例を示している。この点、基礎体1については、地上設置型の太陽光発電設備に適用されるに限らず、水上設置型の太陽光発電設備に適用されてもよい。また、基礎体1は、例えば、軟弱地層用の基礎ベース、農地用仮設基礎、及び、仮設床のいずれかとして用いられ得る。
【0049】
本実施形態では、1つの支柱部材2に対して2つの補強用支柱3(3a,3b)が設けられている例について説明したが、1つの支柱部材2に対して1つの補強用支柱3が設けられてもよいし、又は、1つの支柱部材2に対して3つ以上の補強用支柱3が設けられてもよい。この点、1つの支柱部材2に対して設けられる補強用支柱3の個数に応じて、取付部材4の第1孔部41a,42a及び第2孔部41b,42bの個数及び配置が適宜設定され得ることは言うまでもない。
【0050】
次に、一参考例における基礎体1’について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は本参考例における基礎体1’の概略構成を示す図である。詳しくは、
図7(ア)及び(イ)は、基礎体1’の平面図及び正面図である。
図8(ア)及び(イ)は、基礎体1’を構成する支柱部材2’の左側面図及び右側面図である。
前述の
図1~
図6A及び
図6Bに示した実施形態と異なる点について説明する。
【0051】
本参考例では、前述の取付部材4が省略されており、基礎体1’が、支柱部材2’と、1つ以上の補強用支柱3(本参考例では2つの補強用支柱3a,3b)とを含む。
【0052】
支柱部材2’は、例えばハット形鋼で形成されており、鉛直方向に延在する。本参考例では、
図7(ア)に示す寸法H,A,Cが、それぞれ、H=約100mm、A=約100mm、C=約30mmであり、かつ、鉛直方向の長さが約4500mmであるハット形鋼で形成された支柱部材2’について以下説明するが、支柱部材2’の各寸法がこれに限るものではないことは言うまでもない。支柱部材2’の鉛直方向の長さは、例えば1m~5mの範囲内である。支柱部材2’の上側部分には前述の被支持体が設けられ得る。
【0053】
図8(ア)に示すように、支柱部材2’の左側面21’には、上から下に向かって順に、第1孔部61a、第2孔部61b、第3孔部61c、及び第4孔部61dが、千鳥配置で貫通形成されている。第1孔部61a~第4孔部61dは、各々が、鉛直方向に長い長孔形状である。第1孔部61a及び第3孔部61cは、支柱部材2’の左側面21’の前面(正面)側に形成されている。第2孔部61b及び第4孔部61dは、支柱部材2’の左側面21’の後面(背面)側に形成されている。第1孔部61a~第4孔部61dは、補強用支柱3a,3bを挿入可能な寸法になっている。本参考例では、支柱部材2’の上端から第1孔部61aまでの距離が約2500mmである。また、支柱部材2’の延在方向における第1孔部61a、第2孔部61b、第3孔部61c、及び第4孔部61dの相互間の間隔(ピッチ)は例えば80mm~110mmの範囲内である。
【0054】
図8(イ)に示すように、支柱部材2’の右側面22’には、上から下に向かって順に、第1孔部62a、第2孔部62b、第3孔部62c、及び第4孔部62dが、千鳥配置で貫通形成されている。第1孔部62a~第4孔部62dは、各々が、鉛直方向に長い長孔形状である。第1孔部62a及び第3孔部62cは、支柱部材2’の右側面22’の後面(背面)側に形成されている。第2孔部62b及び第4孔部62dは、支柱部材2’の右側面22’の前面(正面)側に形成されている。第1孔部62a~第4孔部62dは、補強用支柱3a,3bを挿入可能な寸法になっている。本参考例では、支柱部材2’の上端から第1孔部62aまでの距離が約2500mmである。また、支柱部材2’の延在方向における第1孔部62a、第2孔部62b、第3孔部62c、及び第4孔部62dの相互間の間隔(ピッチ)は例えば80mm~110mmの範囲内である。
【0055】
本参考例では、第1孔部61a,62a、第2孔部61b,62b、第3孔部61c,62c、及び第4孔部61d,62dを含む挿通部65が支柱部材2’に形成されており、この挿通部65には、補強用支柱3a,3b(少なくとも、補強用支柱3a,3bの上側部分)が挿通され得る。ここにおいて、第1孔部61aは、第2孔部62bよりも上方(高位)に位置している。第3孔部61cは、第4孔部62dよりも上方(高位)に位置している。第1孔部62aは、第2孔部61bよりも上方(高位)に位置している。第3孔部62cは、第4孔部61dよりも上方(高位)に位置している。
【0056】
挿通部65については、
図7に示すように、支柱部材2’の軸線X’に対して所定の角度αを有して補強用支柱3aが第1孔部61aと第2孔部62bとに挿通され得るように形成されており、また、支柱部材2’の軸線X’に対して所定の角度αを有して補強用支柱3aが第3孔部61cと第4孔部62dとに挿通され得るように形成されている。尚、
図7では、補強用支柱3aが第1孔部61aと第2孔部62bとに挿通されている状態を示している。
【0057】
また、挿通部65については、支柱部材2’の軸線X’に対して所定の角度βを有して補強用支柱3bが第1孔部62aと第2孔部61bとに挿通され得るように形成されており、また、支柱部材2’の軸線X’に対して所定の角度βを有して補強用支柱3bが第3孔部62cと第4孔部61dとに挿通され得るように形成されている。尚、
図7では、補強用支柱3bが第1孔部62aと第2孔部61bとに挿通されている状態を示している。
【0058】
ここにおいて、所定の角度α,βは同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。所定の角度α,βは、それぞれ、30°~50°の範囲内であることが好ましい。本参考例では、所定の角度α,βは、それぞれ、約40°である。
【0059】
本参考例では、
図9に示す補強部材70を支柱部材2’内(左側面21’と右側面22’との間)に配置することで、支柱部材2’の第1孔部61a,62a、第2孔部61b,62b、第3孔部61c,62c、及び第4孔部61d,62dの近傍の補強を行ってもよい。ここで、
図9は、補強部材70の斜視図である。補強部材70は、コ字状(U字状)断面を有する鋼材などで形成されている。補強部材70の左側面71に貫通形成されている第1孔部71a、第2孔部71b、第3孔部71c、及び第4孔部71dは、それぞれ、支柱部材2’の左側面21’の第1孔部61a、第2孔部61b、第3孔部61c、及び第4孔部61dに相対するように配置され得る。補強部材70の右側面72に貫通形成されている第1孔部72a、第2孔部72b、第3孔部72c、及び第4孔部72dは、それぞれ、支柱部材2’の右側面22’の第1孔部62a、第2孔部62b、第3孔部62c、及び第4孔部62dに相対するように配置され得る。
【0060】
本参考例においても、前述の
図5に示したように基礎体1’を地盤に設置してもよい。また、基礎体1’によって支持される被支持体の一例として、前述の太陽電池パネル50が取り付けられる太陽電池パネル取付架台52を挙げることができる。この点、基礎体1’については、地上設置型の太陽光発電設備に適用されるに限らず、水上設置型の太陽光発電設備に適用されてもよい。また、基礎体1’は、例えば、軟弱地層用の基礎ベース、農地用仮設基礎、及び、仮設床のいずれかとして用いられ得る。
【0061】
本参考例では、1つの支柱部材2’に対して2つの補強用支柱3(3a,3b)が設けられている例について説明したが、1つの支柱部材2’に対して1つの補強用支柱3が設けられてもよいし、又は、1つの支柱部材2’に対して3つ以上の補強用支柱3が設けられてもよい。この点、1つの支柱部材2’に対して設けられる補強用支柱3の個数に応じて、支柱部材2’の第1孔部61a,62a、第2孔部61b,62b、第3孔部61c,62c、及び第4孔部61d,62dの個数及び配置が適宜設定され得ることは言うまでもない。この点は補強部材70についても同様である。
【0062】
以上からわかるように、前述の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
1,1’…基礎体、2,2’…支柱部材、3,3a,3b…補強用支柱、3as,3bs…ストッパ部、3at,3bt…先端部、4…取付部材、5…孔、6…通しボルト、7…ナット、21,22…側面、21’…左側面、22’…右側面、40…前面(正面)、41…左側面、41a,42a…第1孔部、41b,42b…第2孔部、41c,42c…孔、42…右側面、43…後面(背面)、45…挿通部、50…太陽電池パネル、51…基礎体、52…太陽電池パネル取付架台、53…パネル取付部、54…脚部、55…補強材、56…ボルト、57…ナット、58…ベース部、59…脚部一体型基礎体、61a,62a,71a,72a…第1孔部、61b,62b,71b,72b…第2孔部、61c,62c,71c,72c…第3孔部、61d,62d,71d,72d…第4孔部、65…挿通部、70…補強部材、71…左側面、72…右側面、GL…地表面(地面)、L1…距離、P…基準点、S1,S2…空間、X,X’…軸線、α,β…角度