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特開2023-118328デジタルツインモデルを構築する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118328
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】デジタルツインモデルを構築する方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/12 20200101AFI20230818BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20230818BHJP
   G06F 111/18 20200101ALN20230818BHJP
【FI】
G06F30/12
G06F30/20
G06F111:18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021231
(22)【出願日】2022-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】李柏霖
(72)【発明者】
【氏名】陳賢佑
(72)【発明者】
【氏名】邱▲イク▼▲ショウ▼
(72)【発明者】
【氏名】程文男
(72)【発明者】
【氏名】鄭志鈞
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146DC01
5B146DG02
5B146DJ11
5B146DL08
5B146EA01
(57)【要約】
【課題】デジタルツインモデルを構築する方法を提供する。
【解決手段】フィードシステムの部材に対応する簡略化幾何学体の形状及びサイズを設定する。前記簡略化幾何学体に対しサンプリングを行って第二位置データを獲得した後、モーダル解析法により前記部材の材質データ、前記第二位置データ、及び前記簡略化幾何学体の第二サイズデータに基づいて1セットモデル固有値及び1セットモデル固有ベクトルを算出し、モーダル検証法により前記部材の1セットの実際の固有ベクトルが前記1セットモデル固有ベクトルに類似していると判断した場合、前記簡略化幾何学体を前記部材のデジタルツインモデルとして定義する。前記第二位置データ及び前記第二サイズデータのデータ量は前記部材的画像の第一位置データ及び第一サイズデータのデータ量よりもずっと少ない。これにより、モデル構築速度を加速し、データ量を大幅に削減する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィードシステムの少なくとも1つの部材のデジタルツインモデルを構築するために適用されるデジタルツインモデルを構築する方法であって、
前記部材は対応する1セットの実際の固有値及び1セットの実際の固有ベクトルを有し、
前記デジタルツインモデルを構築する方法は、少なくとも1つの処理装置により実行し、
ユーザーインターフェースによりユーザーの設定を受信し、前記ユーザーの設定に基づいて幾何学体画像を設定し、前記幾何学体画像の簡略化幾何学体の輪郭は前記部材の輪郭に対応し、前記ユーザーの設定は前記簡略化幾何学体の形状及びサイズに関連するステップ(A)と、
前記幾何学体画像の前記簡略化幾何学体をサンプリングして第二位置データを獲得するステップ(B)と、
データベースから前記部材の材質データを取得するステップ(C)と、
モーダル解析法により、前記簡略化幾何学体の第二サイズデータ、前記第二位置データ、及び前記材質データに基づいて1セットモデル固有値及び1セットモデル固有ベクトルを算出するステップ(D)と、
モーダル検証法により、前記1セットの実際の固有ベクトル及び前記1セットモデル固有ベクトルの類似性を判断するステップ(E)と、
前記1セットの実際の固有ベクトルが前記1セットモデル固有ベクトルに類似していると判断した場合、前記簡略化幾何学体を前記部材の前記デジタルツインモデルと定義し、前記1セットモデル固有値及び前記1セットモデル固有ベクトルを前記部材のツイン動特性と定義するステップ(F)と、を含み、
前記第二サイズデータのデータ量は前記部材の第一サイズデータのデータ量より少なく、
前記第二位置データのデータ量は前記部材の第一位置データのデータ量より少なく、
前記第一サイズデータ及び前記第一位置データは前記データベースに保存されていると共に前記部材の部材画像から取得することを特徴とする、
デジタルツインモデルを構築する方法。
【請求項2】
前記1セットの実際の固有値及び前記1セットの実際の固有ベクトルは前記モーダル解析法により、前記第一サイズデータ、前記材質データ、及び前記第一位置データに基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインモデルを構築する方法。
【請求項3】
前記ステップ(B)及び前記部材画像から前記第一位置データを取得する方法は、有限要素法または連続体法により実行することを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインモデルを構築する方法。
【請求項4】
前記ステップ(B)は、前記簡略化幾何学体を複数の第二画像ブロックに離散化するステップ(B1)と、前記各第二画像ブロックの各頂点の画素座標を前記第二位置データとして定義するステップ(B2)と、を含むことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインモデルを構築する方法。
【請求項5】
前記部材画像から前記第一位置データを取得する方法は、前記部材画像を複数の第一画像ブロックに離散化するステップ(G)と、前記各第一画像ブロックの各頂点の画素座標を前記第一位置データとして定義するステップ(H)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインモデルを構築する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルツインの分野に関し、より詳しくは、デジタルツインモデルを構築する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルツイン(Digital Twin)技術は近年工業への応用が徐々に広がっている。デジタルツイン技術は実体物の仮想モデルを構築するために用いられており、実体物と仮想モデルとの間には関連性を有している。センシングユニットにより即時返信されたデータに一連の処理を施し、解析し、判断を行った後、仮想モデルがフィードバックを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第112292702A号明細書
【特許文献2】台湾特許出願公開第668584号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第112487584号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、仮想モデルのデータ量は一般的に非常に多く、仮想モデルのフィードバック結果を取得するにも膨大なデータ演算量が必要となる。このため、膨大な演算処理リソースが必要なばかりでなく、このような仮想モデルが前記実体物の部材が異なる仕様の機械装置に適用可能か否かを評価するには不向きであった(例えば、従来の特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものである。
【0007】
本発明の第一の目的は、 仮想モデルのデータ量を大幅に削減し、仮想モデルの構築速度を加速するデジタルツインモデルを構築する方法を提供することである。
【0008】
本発明の第二の目的は、演算処理リソースの必要量を大幅に削減するデジタルツインモデルを構築する方法を提供することである。
【0009】
本発明の第三の目的は、生成する仮想モデルを前記実体物の部材が異なる仕様の機械装置に適用可能か否かを評価するために適用可能なデジタルツインモデルを構築する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明のある態様のデジタルツインモデルを構築する方法は、フィードシステムの少なくとも1つの部材のデジタルツインモデルを構築するために適用され、前記部材は対応する1セットの実際の固有値及び1セットの実際の固有ベクトルを有し、前記デジタルツインモデルを構築する方法は、少なくとも1つの処理装置により実行し、且つ、ユーザーインターフェースによりユーザーの設定を受信し、前記ユーザーの設定に基づいて幾何学体画像を設定し、前記幾何学体画像の簡略化幾何学体の輪郭は前記部材の輪郭に対応し、前記ユーザーの設定は前記簡略化幾何学体の形状及びサイズに関連するステップ(A)と、前記幾何学体画像の前記簡略化幾何学体をサンプリングして第二位置データを獲得するステップ(B)と、データベースから前記部材の材質データを取得するステップ(C)と、モーダル解析法により、前記簡略化幾何学体の第二サイズデータ、前記第二位置データ、及び前記材質データに基づいて1セットモデル固有値及び1セットモデル固有ベクトルを算出するステップ(D)と、モーダル検証法により、前記1セットの実際の固有ベクトル及び前記1セットモデル固有ベクトルの類似性を判断するステップ(E)と、前記1セットの実際の固有ベクトルが前記1セットモデル固有ベクトルに類似していると判断した場合、前記簡略化幾何学体を前記部材の前記デジタルツインモデルと定義し、前記1セットモデル固有値及び前記1セットモデル固有ベクトルを前記部材のツイン動特性と定義するステップ(F)と、を含み、前記第二サイズデータのデータ量は前記部材の第一サイズデータのデータ量より少なく、前記第二位置データのデータ量は前記部材的第一位置データのデータ量より少なく、前記第一サイズデータ、及び前記第一位置データは前記データベースに保存されていると共に前記部材の部材画像から取得する。
【0011】
本発明の一態様では、前記1セットの実際の固有値及び前記1セットの実際の固有ベクトルは前記モーダル解析法により、前記第一サイズデータ、前記材質データ、及び前記第一位置データに基づいて算出する。
【0012】
本発明の一態様では、前記ステップ(B)は、前記簡略化幾何学体を複数の第二画像ブロックに離散化するステップ(B1)と、前記各第二画像ブロックの各頂点の画素座標を前記第二位置データとして定義するステップ(B2)と、を含む。
【0013】
本発明の一態様では、前記部材画像から前記第一位置データを取得する方法は、前記部材画像を複数の第一画像ブロックに離散化するステップ(G)と、前記各第一画像ブロックの各頂点の画素座標を前記第一位置データとして定義するステップ(H)と、を含む。
【0014】
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例に係るデジタルツインモデルを構築するシステムを示すブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係るデジタルツインモデルを構築する方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施例に係る第一位置データを取得する方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施例に係る第二位置データを取得する方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施例に係る機械のフィードシステムを示す概略構成図である。
図6】本発明の一実施例に係る図5の機械のフィードシステムの作業台の部材画像を示す概略構成図である。
図7】本発明の一実施例に係る図6の部材画像が離散化によって処理された概略図である。
図8】本発明の一実施例に係る幾何学体画像を示す概略構成図である。
図9】本発明の一実施例に係る図8の幾何学体画像が離散化によって処理された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0017】
まず、図1~9を参照しながら、本発明の一実施例に係るデジタルツインモデルを構築する方法(以下、構築方法と略する)とデジタルツインモデルを構築するシステム(以下、システム1と略する)を詳しく説明する。
【0018】
この構築方法はシステム1により実行される。システム1はデジタルツイン技術、機械装置のフィードシステム2の少なくとも1つの部材21の仮想モデルの構築、及びそのツイン動特性の検出に適用される。部材21は限定されないが、例えば、軸受、ボールねじ、ロータリーテーブルまたはリニアスライドレール等の伝動部材、或いは作業台22である。本発明の精神を明確に説明するため、以下、部材21を作業台22とする例について説明する。
【0019】
このシステム1はサーバーユニットで具体化されるか、相互に通信する複数のサーバーで分散的に具体化される。このシステム1は少なくとも1つの処理装置及び各処理装置と通信する少なくとも1つのストレージを備えている。このシステム1には複数のソフトウェアがインストールされ、少なくとも1つのストレージ、少なくとも1つの処理装置、及びこれらソフトウェアは運用上共同で位置サンプリングユニット11、データベース12、簡略化されていないモーダル解析ユニット13、幾何学体設定ユニット14、位置サンプリングユニット15、簡略化されたモーダル解析ユニット16、類似性判断ユニット17、及びデータベース18を構成している。
位置サンプリングユニット11及び簡略化されていないモーダル解析ユニット13はデータベース12と通信し、幾何学体設定ユニット14、位置サンプリングユニット15、簡略化されたモーダル解析ユニット16、類似性判断ユニット17、及びデータベース18は相互に通信し、類似性判断ユニット17は簡略化されていないモーダル解析ユニット13と通信し、簡略化されたモーダル解析ユニット16はデータベース12と通信する。
【0020】
作業台22のデジタルツインモデルを構築する方法(即ち、本発明の構築方法)は制限されないが、例えば、下記のステップを含む。
【0021】
まず、ステップS11では、簡略化されていないモーダル解析ユニット13がデータベース12から作業台22の第一サイズデータ、材質データ、及び第一位置データを取得する。
作業台22の第一サイズデータ、材質データ、及び第一位置データは予めデータベース12に保存され、且つデータベース12には第一サイズデータ、材質データ、及び第一位置データの対応関係が記録されている。第一サイズデータは制限しないが、例えば、システム1にインストールされているグラフィックソフトウェア(制限しないが、例えば、AutoCAD(登録商標))により作業台22の部材画像IM1を描画する際に構築または設定される。この部材画像IM1は三次元画像であり、作業台22の画像V1はその中に表現される。第一サイズデータは制限しないが、例えば、画像V1の軸方向D1上の長さL1(例えば、730mm)、軸方向D2上の幅W1(例えば、375mm)、軸方向D3上の高さH1(例えば、170mm)、スルーホールの直径、及び凹溝の深さを含み、各サイズは実際のサイズまたはアスペクト比のサイズに限定されない。軸方向D1~D3は互いに垂直になっている。材質データは制限しないが、例えば、密度及びヤング率を含む。第一位置データは制限しないが、例えば、部材画像IM1から画素座標をサンプリングして取得する。
【0022】
第一位置データの取得方法は有限要素法または連続体法により実現する。有限要素法の例では(図1図3図6図7参照)、まず、ステップS31において、位置サンプリングユニット11がストレージから作業台22の部材画像IM1を取得する。次いで、ステップS32において、位置サンプリングユニット11がシステム1にインストールされたグラフィックソフトウェア(制限しないが、例えば、AutoCAD)またはコンピューター支援エンジニアリング(Computer Aided Engineering、CAE)ソフトウェア(制限しないが、例えば、ANSYS(登録商標)が販売している解析ソフトウェア)により、この部材画像IM1中の作業台22の画像V1に対し空間離散化(即ち、メッシュ法)を実行することで複数の第一画像ブロックB1(または、サブ領域或いは要素という)を獲得する。
第一画像ブロックB1のメッシュ形状は制限しないが、例えば、三角形や正方形でもよい。本実施例では、第一画像ブロックB1のメッシュ形状は三角形である。そして、ステップS33において、位置サンプリングユニット11が各第一画像ブロックB1の各頂点P1(または、ノード或いは離散点という)の画素座標を作業台22の第一位置データと定義する。最後に、位置サンプリングユニット11が第一位置データをデータベース12に保存する。
【0023】
簡略化されていないモーダル解析ユニット13が第一サイズデータ、材質データ、及び第一位置データを取得した後、ステップS12において、簡略化されていないモーダル解析ユニット13がシステム1にインストールされたCAEソフトウェアを用いてモーダル解析法により、第一サイズデータ、材質データ、及び第一位置データに基づいて作業台22の1セットの実際の固有値(即ち、実際の固有値データ)及び1セットの実際の固有ベクトル(即ち、実際の固有ベクトルデータ)を算出する。前記1セットの実際の固有値は作業台22の固有周波数であり、前記1セットの実際の固有ベクトルは作業台22のモーダルである。前記1セットの実際の固有値及び前記1セットの実際の固有ベクトルは作業台22の動特性である。
【0024】
ステップS12において、幾何学的外形、第一サイズデータ、第一位置データ、材質データ(例えば、密度、ヤング率)、及び密度の数式等を知った後、モーダル解析法により離散化した画像V1に関する式(1)を獲得する。
【0025】
一方、ステップS13において、幾何学体設定ユニット14はユーザーインターフェースによりユーザーの設定を受信し、このユーザーの設定に基づいて作業台22の輪郭に対応する幾何学体画像IM2を設定する(図8参照)。
ユーザーの設定は幾何学体画像IM2に表示する簡略化幾何学体画像V2の形状及びサイズに関連する。ユーザーインターフェースは制限しないが、例えば、幾何学体設定ユニット14にCAEソフトウェアを組み合わせて提供し、且つ処理装置と通信する表示装置に表示する。一例を挙げると、ユーザーは処理装置と通信する入力装置(制限しないが、例えば、キーボード、マウス、または表示ユニットのタッチパネル)により、作業台22の大まかな輪郭(例えば、長方形体に類似する)に基づいて、ユーザーインターフェース上に提供される仮想モデルの複数の形状オプションから、そのうちの1つの形状オプションを選択し(長方形体オプション)、作業台22の第一サイズデータ(制限しないが、例えば、画像V1の長さL1、幅W1、及び高さH1)に基づいて、長方形体形状の簡略化幾何学体画像V2に必要なサイズを入力する(制限しないが、例えば、軸方向D1上の長さL2を730mmとし、軸方向D2上の幅W2を375mmとし、軸方向D3上の高さH2を170mmとする)。
形状及びサイズに関するこれらの入力がユーザーの設定であり、幾何学体設定ユニット14に伝送される。この際、幾何学体設定ユニット14がこのユーザーの設定に基づいて、長方形体形状の簡略化幾何学体画像V2を作業台22のデジタルツインモデルとして定義し、簡略化幾何学体画像V2のサイズ(即ち、第二サイズデータ)を定義する。簡略化幾何学体画像V2を作業台22の簡略化された仮想モデルとし、簡略化幾何学体画像V2の形状及び構造は作業台22中の動特性にあまり影響を及ぼさない多くの構造的特徴(制限しないが、例えば、スルーホール、凹溝、及び凸状リブ部)を省略しており、よって、簡略化幾何学体画像V2の第二サイズデータのデータ量が作業台22の第一サイズデータのデータ量よりずっと少なくなる。
【0026】
続いて、ステップS14において、位置サンプリングユニット15は幾何学体設定ユニット14により幾何学体画像IM2を取得し、幾何学体画像IM2に対するサンプリング(または離散化)を行って、簡略化幾何学体画像V2の第二位置データを獲得する。
サンプリング方式は制限しないが、例えば、有限要素法または境界要素法により実現する。有限要素法サンプリングの例では(図1図4図8図9参照)、位置サンプリングユニット15がステップS41において幾何学体画像IM2中の簡略化幾何学体画像V2を複数の第二画像ブロックB2に空間離散化した後、ステップS42において各第二画像ブロックB2の各頂点P2の画素座標を第二位置データとして定義する。本実施例では、第二画像ブロックB2の形状は正方形であるが、他の実施例では、第二画像ブロックB2が第一画像ブロックB1と同じ形状でもよく、さらには、第二画像ブロックB2の大きさも第一画像ブロックB1の大きさと同じでも異なっていてもよい。簡略化幾何学体画像V2の形状及び構造は作業台22中の動特性にあまり影響を及ぼさない多くの構造的特徴が省略されているため、簡略化幾何学体画像V2の第二位置データのデータ量が作業台22の第一位置データのデータ量よりずっと少なくなる。
【0027】
その後、簡略化されたモーダル解析ユニット16はステップS15において、データベース12から材質データを取得し、且つステップS16において、幾何学体設定ユニット14から第二サイズデータを取得し、位置サンプリングユニット15から第二位置データを取得した後、簡略化されていないモーダル解析ユニット13と同じ方式を採用し、モーダル解析法により、第二サイズデータ、第二位置データ、及び材質データに基づいて簡略化幾何学体画像V2の1セットモデル固有値及び1セットモデル固有ベクトルを算出する。モデル固有値は簡略化幾何学体画像V2の固有周波数であり、モデル固有ベクトルは簡略化幾何学体画像V2のモーダルである。
【0028】
簡略化されていないモーダル解析ユニット13が前記1セットの実際の固有値及び前記1セットの実際の固有ベクトルを計算して獲得すると、簡略化されたモーダル解析ユニット16が前記1セットモデル固有値及び前記1セットモデル固有ベクトルを計算して獲得した後、類似性判断ユニット17がステップS16において、簡略化されていないモーダル解析ユニット13により前記1セットの実際の固有ベクトルを取得し、及び簡略化されたモーダル解析ユニット16により前記1セットモデル固有ベクトルを取得する。その後、モーダル検証法により、前記1セットの実際の固有ベクトルと前記1セットモデル固有ベクトルとの類似性を判断する。モーダル検証法は制限しないが、例えば、モード信頼性評価基準、平均位相偏移法、またはモーダルフェーズ共線性法でもよい。
【0029】
次いで、ステップS18において、類似性判断ユニット17が前記1セットの実際の固有ベクトルが前記1セットモデル固有ベクトルに類似していると判断した場合、前の簡略化幾何学体画像V2が作業台22と同等であることを示す。この際、類似性判断ユニット17はステップS19において、簡略化幾何学体画像V2を作業台22のデジタルツインモデルとして定義し、前記1セットモデル固有値及び前記1セットモデル固有ベクトルを作業台22のツイン動特性として定義する。
また、ステップS19において、類似性判断ユニット17が幾何学体設定ユニット14が幾何学体画像IM2及びその第二サイズデータをデータベース18に保存したことを通知し、位置サンプリングユニット15が第二位置データをデータベース18に保存したことを通知し、簡略化されたモーダル解析ユニット16がツイン動特性及び材質データをデータベース18に保存したことを通知する。なお、データベース18には幾何学体画像IM2、第二サイズデータ、第二位置データ、材質データ、及びツイン動特性の対応関係も記録されている。
【0030】
反対に、ステップS18において、類似性判断ユニット17が前記1セットの実際の固有ベクトルが前記1セットモデル固有ベクトルと類似していないと判断した場合、その時点での簡略化幾何学体画像V2が作業台22と同等とはならず、類似性判断ユニット17は簡略化幾何学体画像V2を作業台22のデジタルツインモデルと定義せず、前記1セットモデル固有値及び前記1セットモデル固有ベクトルを作業台22のツイン動特性と定義しない。
【0031】
上述のステップS13~S16の過程により、本発明は仮想モデルのデータ量を大幅に削減し、仮想モデルの構築速度を加速している。同時に、演算処理リソースの必要量も大幅に削減し、作業台22を異なる仕様の機械装置に適用可能か否かを評価するのに適用可能にしている。
【0032】
上述のステップS17~S18の検証過程により、データ量を削減した仮想モデルを作業台22と同等に保つ。
【0033】
上述の実施例のステップS13~S16の実行順序はステップS11~S12から独立しているが、しかしながら、本発明はこのフローチャートの例に制限されない。他の実施例では、ステップS13~S16がステップS17の前の任意の時間点で実行可能である。
【0034】
このほか、上述の実施例は作業台22を例として説明しているが、実際には、本発明に係るシステム1及び方法はフィードシステム2の他の部材(制限しないが、例えば、ねじ)のデジタルツインモデル及びそのツイン動特性を構築するために適用可能であり、或いは機械装置のフィードシステム2以外の装置の部材のデジタルツインモデル及びそのツイン動特性を構築するためにも適用可能である。
【0035】
上述の実施例のデータベース12及び18は別々に構築されているが、本発明はこの実施態様に限定されない。他の実施例では、データベース12及び18を1つに統合するように変更してもよい。
【0036】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 デジタルツインモデルを構築するシステム
11 位置サンプリングユニット
15 位置サンプリングユニット
12 データベース
18 データベース
13 簡略化されていないモーダル解析ユニット
14 幾何学体設定ユニット
16 簡略化されたモーダル解析ユニット
17 類似性判断ユニット
2 フィードシステム
21 部材
22 作業台
B1 第一画像ブロック
B2 第二画像ブロック
D1 軸方向
D2 軸方向
D3 軸方向
H1 高さ
H2 高さ
IM1 部材画像
IM2 幾何学体画像
L1 長さ
L2 長さ
P1 頂点
P2 頂点
V1 画像
V2 簡略化幾何学体画像
W1 幅
W2 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9