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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118331
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】車載装置及び車両用注意喚起方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021236
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沼 和親
(72)【発明者】
【氏名】飯野 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 雄介
(72)【発明者】
【氏名】小島 幹
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA06
5H181AA21
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車両の乗員に対して適正な注意喚起を行う。
【解決手段】車載装置は、車両の周辺を撮影するカメラから撮影結果を示す画像情報を取得し(S10)、前記車両の周辺に位置する人物の内、前記車両の接近に対して認識不足と推定される人物を、前記画像情報に基づき要注意人物に設定する(S11~S15)。前記要注意人物が設定されたとき、前記車両の乗員に対して注意喚起通知を実行可能に形成される(S19)。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影するカメラから撮影結果を示す画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記車両の周辺に位置する人物の内、前記車両の接近に対して認識不足と推定される人物を、前記画像情報に基づき要注意人物に設定する処理部と、
前記要注意人物が設定されたとき、前記車両の乗員に対して注意喚起通知を実行可能に形成された通知出力部と、を備える
、車載装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記車両の周辺の監視領域内に位置する評価対象者の顔の向き又は視線の向きを前記画像情報に基づいて検出し、検出された向きに基づいて前記評価対象者が前記要注意人物に該当するかを判断する
、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記検出された向きに基づき、既定の基準時間以上継続して前記車両が前記評価対象者の視界外にあると判断されるとき、前記評価対象者を前記要注意人物に設定する
、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記要注意人物と前記車両との距離に応じて前記通知出力部に前記注意喚起通知を行わせる
、請求項1~3の何れかに記載の車載装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記要注意人物と前記車両との前記距離が基準距離以下であるとき、前記通知出力部に前記注意喚起通知を行わせる
、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記画像情報に基づく前記要注意人物の属性情報に応じて前記基準距離を設定する
、請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記車両の速度に応じて前記基準距離を設定する
、請求項5又は6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記基準距離は予め設定された固定距離である
、請求項5に記載の車載装置。
【請求項9】
前記注意喚起通知は前記通知出力部におけるスピーカからの音の出力を含み、
前記処理部は、前記通知出力部にて前記注意喚起通知が行われる際、前記要注意人物と前記車両との前記距離に応じて前記注意喚起通知の音量又は内容を設定する
、請求項4~8の何れかに記載の車載装置。
【請求項10】
前記処理部は、前記通知出力部にて前記注意喚起通知が行われる際、前記画像情報に基づく前記要注意人物の属性情報に応じて前記注意喚起通知の内容を設定する
、請求項1~9の何れかに記載の車載装置。
【請求項11】
車両の周辺を撮影するカメラから撮影結果を示す画像情報を取得する画像情報取得ステップと、
前記車両の周辺に位置する人物の内、前記車両の接近に対して認識不足と推定される人物を、前記画像情報に基づき要注意人物に設定する設定ステップと、
前記要注意人物が設定されたとき、前記車両の乗員に対して注意喚起通知を行う通知ステップと、を備える
、車両用注意喚起方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置及び車両用注意喚起方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車又は電動カートなどの車両と人物との接触を防止するための技術として様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2016/098238
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラ等を用いて車両周辺の人物を検出すれば、車両周辺の人物の存在を運転手に知らせるといった注意喚起が可能であり、注意喚起を通じて車両及び人物間の接触抑制が期待される。しかしながら、車両周辺のあらゆる人物について注意喚起を行うことは妥当とは言えない。注意喚起の必要性が高いと推定されるときに注意喚起を行うことが望ましい。
【0005】
本発明は、車両の乗員に対して適正な注意喚起を行い得る車載装置及び車両用注意喚起方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載装置は、車両の周辺を撮影するカメラから撮影結果を示す画像情報を取得する画像情報取得部と、前記車両の周辺に位置する人物の内、前記車両の接近に対して認識不足と推定される人物を、前記画像情報に基づき要注意人物に設定する処理部と、前記要注意人物が設定されたとき、前記車両の乗員に対して注意喚起通知を実行可能に形成された通知出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の乗員に対して適正な注意喚起を行い得る車載装置及び車両用注意喚起方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る車載装置の全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係り、車両に対して車載装置が搭載される様子を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係り、車両の進行方向との関係において複数の軸及び複数の向きを定義するための図である。
図4】本発明の実施形態に係り、車両の周辺に設定される監視領域を示す図である。
図5】本発明の実施形態で想定される3つの軸を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係り、車載装置におけるメインユニットの機能ブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係り、車両の周辺における評価対象者と、評価対象者における顔の向きの例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係り、評価対象者における顔の向きを評価するための注目区間を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係り、人物属性検出部の入出力情報を示す図である。
図10】本発明の実施形態に属する第6実施例に係り、車載装置の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“110b”によって参照される画像情報取得部は(図1参照)、画像情報取得部110bと表記されることもあるし、取得部110bと略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
図1に本発明の実施形態に係る車載装置100の構成を示す。図2に示す如く、車載装置100は車両CRに設置される。車両CRは路面上を走行可能な自動車等である。車両CRは、車体BDYに加えて、車両CRを走行させるための駆動力を発生させる駆動力発生部(エンジン)及び二次電池から成るバッテリなどを備える(何れも図示せず)。駆動力発生部及びバッテリは車体BDYに内蔵される。駆動力発生部は内燃機関又はモータを含む。上記バッテリは走行用バッテリ及び補機用バッテリを含む。駆動力発生部がモータを含む場合、走行用バッテリの出力電圧に基づきモータが駆動する。車載装置100は補機用バッテリの出力電圧に基づき駆動する。車両CRの種類によっては走行用バッテリ及び補機用バッテリが共通とされる場合もある。
【0011】
車両CRの車室内に運転席(不図示)が設けられる。車両CRには1以上の乗員が搭乗する。車両CRに搭乗する乗員の内、運転席に座る乗員は車両CRの運転手である。運転手は車両CRに対して運転操作を行い、車両CRは運転操作に基づいて走行する。以下、単に、乗員と称した場合、それは車両CRに搭乗している乗員を指すものとする。車両CRの種類は任意である。車両CRは、乗用車、自動二輪車又はバスであっても良いし、電動カートなどであっても良い。
【0012】
車載装置100は、メインユニット110、メモリ120、通信処理部130、GPS処理部140及びインターフェース部150を備える。カメラCM及び測距センサDMは車両CRの適所に設置される。カメラCMは車載装置100の構成要素に含まれると解しても良いし、カメラCMは車載装置100の構成要素に含まれずに車載装置100に対して外部接続されると解しても良い。測距センサDMは車載装置100の構成要素に含まれると解しても良いし、車載装置100の構成要素に含まれずに車載装置100に対して外部接続されると解しても良い。
【0013】
メインユニット110は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等を含む演算処理部110aをハードウェア資源として備える。メモリ120は、ROM(Read only memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、及び、RAM(Random access memory)等の揮発性メモリを含む。メモリ120の全部又は一部はメインユニット110に内蔵されたメモリであっても良い。メインユニット110において、メモリ120に格納されたプログラムを演算処理部110aにて実行することで、後述の任意の機能ブロックが実現されて良い。
【0014】
カメラCMは、車両CRの所定位置に設置され、車両CRの周辺を撮影する。カメラCMは、車両CRの位置を基準とした撮影領域(視野)を有し、カメラCMの撮影画像(即ちカメラCMの撮影領域内の撮影画像)を表す画像情報AAを生成及び出力する。カメラCMの撮影領域は、車両CRの前方の領域を少なくとも含み、更に、車両CRの後方の領域、左方の領域及び右方の領域を含んでいて良い。車両CRの前方は車両CRの進行方向と合致する。複数のカメラCMが車両CRに設置されていても良い。
【0015】
画像情報AAにて示される二次元画像をカメラ画像と称する。カメラ画像はカメラCMによる撮影画像である。カメラCMにおいて所定のフレーム周期で順次撮影が行われ、これにより時系列上に並ぶ複数のカメラ画像が生成される。時系列上に並ぶ複数のカメラ画像により動画像が形成される。
【0016】
メインユニット110にはカメラCMから出力される画像情報AAを取得する画像情報取得部110bが設けられる。画像情報取得部110bはカメラCMから画像情報AAを受け取るためのインターフェース(フロンドエンド)であると解して良い。カメラCMから出力される画像情報AAに対し画像情報取得部110bにて必要な信号処理(例えばノイズ低減処理)を施しても良く、信号処理後の画像情報AAが演算処理部110aに供給されるようにしても良い。
【0017】
測距センサDMは車両CRの所定位置に設置され、測距を行うことで測距情報BBを生成及び出力する。測距センサDMにおいて車両CRの位置を基準とした測距領域が定義される。測距領域は車両CRの周辺の領域である。車載装置100において、測距では、測距領域内に位置する立体物と車両CR(車体BDY)との距離が検出されると共に、車両CRから見て当該立体物が何れの向きに位置しているのかも検出される。これらの検出結果を示す情報が、測距センサDMから出力される測距情報BBに含まれる。立体物は車両CRにとっての障害物に相当する。立体物は、人物を含み、且つ、人物以外の任意の三次元物体(建造物、壁、椅子等)を含む。測距センサDMは、光を利用して測距を行うLIDAR(Light Detection and Ranging)により構成されていても良いし、電波を利用して測距を行うレーダにより構成されていても良い。LIDAR及びレーダの組み合わせにて測距センサDMが構成されていても良い。複数の測距センサDMが車両CRに設置されていても良い。
【0018】
メインユニット110には測距センサDMから出力される測距情報BBを取得する測距情報取得部110cが設けられる。測距情報取得部110cは測距センサDMから測距情報BBを受け取るためのインターフェース(フロンドエンド)であると解して良い。測距センサDMから出力される測距情報BBに対し測距情報取得部110cにて必要な信号処理(例えばノイズ低減処理)を施しても良く、信号処理後の測距情報BBが演算処理部110aに供給されるようにしても良い。
【0019】
通信処理部130は所定の通信網を介して相手側装置との双方向通信を実現する。車載装置100にとっての相手側装置は、通信網に接続された任意の装置を含む。通信網NETは、インターネット、無線LAN(Local Area Network)及び近距離無線通信回線の内、全部又は一部を含む。無線LANは、例えばWi-Fi(登録商標)に準拠したものであって良い。近距離無線通信回線は、例えばBluetooth(登録商標)に準拠したものであって良い。
【0020】
GPS処理部140は、GPS(Global Positioning System)を形成する複数のGPS衛星からの信号を受信し、受信結果に基づき車両位置情報を生成する。GPS処理部140により生成される車両位置情報は、車両CR及び車載装置100の現在地(現在位置)を経度及び緯度によって表す、或いは、車両CR及び車載装置100の現在地を経度、緯度及び高度によって表す。車両位置情報は所定周期で順次生成され、生成された車両位置情報は、順次、メインユニット110に出力される。
【0021】
インターフェース部150は、任意の人物と車載装置100(メインユニット110)との間のマンマシンインフェースである。インターフェース部150はスピーカ151及び表示部152を含む。この他、乗員からの発話音声を受けるマイクロホン(不図示)、及び、乗員からの任意の操作を受ける操作部(不図示)が、インターフェース部150に設けられる。
【0022】
例えば、車載装置100はドライブレコーダであっても良い又はドライブレコーダに組み込まれる装置であっても良い。この場合、ドライブレコーダとしての車載装置100において、メインユニット110に対し不揮発性の記録媒体が接続される。そして、メインユニット110は、取得部110bにて取得される画像情報AAを、当該不揮発性の記録媒体に記録する記録処理を実行できる。或いは例えば、車載装置100はナビゲーションシステム又は運転支援システムなどに組み込まれる装置であっても良い。
【0023】
図3を参照し、車両CRの進行方向との関係においてX軸及びY軸を定義すると共に向きDR1~DR4を定義する。X軸及びY軸は原点Oにて互いに直交する。X軸及びY軸から成る二次元座標面をXY座標面と称する。XY座標面は車両CRが走行する路面に平行である。向きDR1及びDR2はY軸に平行である。向きDR1と向きDR2とは互いに逆向きである。向きDR1は原点OからY軸の正側に向かう向きであり、向きDR2は原点OからY軸の負側に向かう向き(換言すればY軸の正側から原点Oに向かう向き)である。向きDR3及びDR4はX軸に平行である。向きDR3と向きDR4とは互いに逆向きである。向きDR3は原点OからX軸の正側に向かう向きであり、向きDR4は原点OからX軸の負側に向かう向き(換言すればX軸の正側から原点Oに向かう向き)である。
【0024】
Y軸は、車両CRの進行方向に平行であって、且つ、車体BDYの中心又は重心を通る。また、車体BDYの前端部とY軸との交点に原点Oが位置する。そして、車両CRの進行方向は原点OからY軸の正側に向かう向きであるとする。即ち、向きDR1が車両CRの進行方向に相当する。このため、車体BDYの全体はXY座標面における第3象限及び第4象限に位置する。XY座標面において第1象限及び第2象限内の領域は、車両CRの前方に位置する領域(車両CRの進行方向側に位置する領域)である。XY座標面において第3象限内の領域は、車両CRの左方又は後方に位置する領域である。XY座標面において第4象限内の領域は、車両CRの右方又は後方に位置する領域である。尚、車両CRは進行方向に常時移動するとは限らず、車両CRは進行方向へ移動にする過程で一時的に停止することもある。
【0025】
図4にメインユニット110(例えば演算処理部110a)にて設定及び定義される監視領域MRを示す。監視領域MRは、車両CRの進行方向側に位置する領域(車両CRから見て車両CRの進行方向側に位置する領域)を含む。監視領域MRはXY座標面における第1象限の一部及び第2象限の一部を含む。より具体的には例えば、原点Oに中心角が設定される扇型領域が監視領域MRとして設定される。中心角は180°以下である。監視領域MRはY軸を対称軸する線対称の形状を持つ。監視領域MRとしての扇型領域の元となる円の半径は任意であり、カメラCMの撮影領域及び測距センサDMの測距領域に基づいて決定される。尚、監視領域MRの外形形状は扇型に限定されず、任意である(例えば三角形又は四角形でも良い)。XY座標面における第3象限内の領域又は第4象限内の領域が監視領域MRに含まれることがあっても良い。
【0026】
図4において物体TOBJは監視領域MR内に位置する任意の立体物を表す。監視領域MRはカメラCMの撮影領域に内包される。このため、画像情報AAは、立体物TOBJの撮影結果を表す画像情報を含む。尚、車両CRに複数のカメラCMが設置される場合、複数のカメラCMの合成撮影領域に監視領域MRが内包されて良い。監視領域MRは測距センサDMの測距領域に内包される。このため、測距センサDMによる測距では、立体物TOBJと車両CR(車体BDY)との距離が検出され、且つ、車両CRから見て立体物TOBJが何れの向きに位置しているのかが検出される。それらの検出結果が測距情報BBに含まれる。尚、車両CRに複数の測距センサDMが設置される場合、複数の測距センサDMの合成測距領域に監視領域MRが内包される。
【0027】
尚、図5に示す如く、X軸及びY軸の夫々に直交する軸をZ軸と称する。X軸、Y軸及びZ軸は原点Oにて互いに直交する。X軸、Y軸及びZ軸を座標軸として持つ三次元座標空間をXYZ座標空間と称する。XYZ座標空間は、以下の説明において、必要に応じて参照される。
【0028】
メインユニット110(例えば演算処理部110a)は、画像情報AAに基づいて立体物TOBJの種類及び属性等を検出及び認識できる。また、メインユニット110(例えば演算処理部110a)は、測距情報BBに基づいて立体物TOBJと車両CRとの位置関係を検出及び認識できる。
【0029】
図6にメインユニット110の機能ブロック図を示す。メインユニット110は機能ブロック111~116を備える。メインユニット110において、メモリ120に格納されたプログラムを演算処理部110aにて実行することで、機能ブロック111~116の全部又は一部が実現されて良い。上述したように、メインユニット110は取得部110b及び110cを通じて画像情報AA及び測距情報BBを取得でき、メインユニット110内の任意の機能ブロックは画像情報AA及び測距情報BBを参照できる。また、機能ブロック111~116の内、一部の任意の機能ブロックにて検出、推定、導出又は設定等される情報は、他の任意の機能ブロックにて共有されて良い。機能ブロック111、112、113、114、115、116は、夫々、人物検出部、向き検出部、要注意人物設定部、通知制御部、人物属性検出部、走行制御部である。
【0030】
メインユニット110(例えば演算処理部110a)は、車両CRの周辺に位置する人物の内、車両CRの接近に対して認識不足と推定される人物を、画像情報AAに基づき要注意人物に設定する機能を持つ。車両CRの接近に対して認識不足と推定される人物とは、換言すると、車両CRが自身に対して接近していることへの認識が不足しているとメインユニット110(例えば演算処理部110a)がみなした人物である。車両CRの接近に対して認識不足と推定される人物は、車両CRの接近に気づいていないと推定される人物(車両CRを認知していないと推定される人物)に相当する。尚、或る人物について車両CRの接近とは、車両CRが当該人物に向けて移動することで車両CRが当該人物に接近することを含む他、当該人物が車両CRに向けて移動することで当該人物が車両CRに接近することも含む。
【0031】
メインユニット110(例えば演算処理部110a)は、更に、要注意人物と車両CRとの距離に応じて車両CRの乗員に対し注意喚起通知を行う機能を持つ。注意喚起通知は、通知制御部114の制御の下、インターフェース部150を用いて実現される。注意喚起通知を受ける乗員は主として車両CRの運転手であるが、運転手以外の乗員も注意喚起通知を受ける対象となり得る。以下、各機能ブロックの動作を説明する。
【0032】
人物検出部111は、画像情報AA及び測距情報BBに基づいて監視領域MR内に存在する人物を検出する人物検出処理を行う。人物検出処理は監視領域MR内に存在する立体物が人物であるかを検出する処理を含む。人物検出処理において、人物検出部111は、監視領域MR内に存在する人物の位置も検出する。検出される位置(人物の位置)はXY座標面上の位置である。即ち、人物検出処理では、監視領域MR内に人物が存在するかが検出されると共に、監視領域MR内に人物が存在するならば当該人物の位置(XY座標面上の位置)が検出される。人物の位置の検出結果に基づき、XY座標面上における車両CRと人物との位置関係が特定される。人物検出処理の検出結果はメインユニット110内の各機能ブロックにて共有される。
【0033】
人物検出部111にて検出された人物は、メインユニット110において評価対象者として取り扱われる。評価対象者は監視領域MR内に位置する。評価対象者は要注意人物の候補となる。
【0034】
向き検出部112は、画像情報AAに基づいて(換言すればカメラ画像に基づいて)評価対象者の顔の向き又は視線の向きを検出する向き検出処理を行う。評価対象者が複数存在する場合には、評価対象者ごとに向き検出処理が実行される。評価対象者の顔の向きは、評価対象者の後頭部中心から評価対象者の鼻に向かう向きに相当する。画像情報AAには評価対象者の顔及び頭部の画像情報が含まれる。このため画像情報AAに基づき評価対象者の顔の向きを検出可能である。向き検出部112は、画像情報AAに基づいて(換言すればカメラ画像に基づいて)評価対象者の視線の向きを検出できるのであれば、評価対象者の視線の向きを検出して良い。評価対象者の顔の画像情報から評価対象者の黒目部分を検出できるときに視線の向きの検出が可能となる。
【0035】
検出される顔の向き及び視線の向きはXY座標面上で定義される向きである。図7に、一人の任意の評価対象者である評価対象者610と、評価対象者610について検出された向きである向き620と、を示す。向き620は評価対象者610の顔の向き又は視線の向きである。図7の例において、向き620は向きDR3と合致する(図3も参照)。尚、検出される顔の向き及び視線の向きはXYZ座標空間上で定義される向きであっても良い。この場合、検出される向きはZ軸成分を含み得る。
【0036】
以下では、向き検出処理にて検出される向きを顔向きと称する。但し、顔向きは、基本的には評価対象者の顔の向きを表すが、評価対象者の視線の向きが検出された場合にあっては、顔向きは評価対象者の視線の向きを表すと解される。評価対象者の顔向きは刻一刻と変化し得る。向き検出部112は評価対象者の顔向きを所定周期(カメラCMのフレーム周期の整数倍)で次々と検出することで、評価対象者の顔向きの変化等も検出できる。
【0037】
要注意人物設定部113は 向き検出部112の検出結果に基づいて(即ち評価対象者の顔向きに基づいて)評価対象者が要注意人物に該当するかを判断する要注意判断処理を行う。要注意判断処理において、要注意人物設定部113は向き検出部112の検出結果に基づき評価対象者への車両CRの接近を評価対象者が認識しているかを推定し、認識が不足していると推定される評価対象者を要注意人物に設定する。評価対象者が複数存在する場合には、評価対象者ごとに要注意判断処理が実行される。
【0038】
要注意人物設定部113は向き検出部112の検出結果に基づき(即ち評価対象者の顔向きに基づき)、所定の要注意条件の成否を判断し、要注意条件が成立するとき、評価対象者が要注意人物に該当すると判断して評価対象者を要注意人物に設定する。要注意条件は、既定の基準時間TREF以上継続して車両CRが評価対象者の視界外にあると判断されるときに成立する。基準時間TREFは、要注意条件の成否判断に際し、予め設定された時間であり、例えば5秒である。
【0039】
図7の評価対象者610に注目して要注意判断処理を説明する。任意の注目時刻にてカメラCMの撮影により得られたカメラ画像の画像情報AAに基づき、注目時刻における評価対象者610の顔向きが向き検出部112にて検出される。要注意人物設定部113は、注目時刻における評価対象者610の顔向きに基づき、注目時刻における評価対象者610の視界に車両CRが収まっているかを推定する。この推定に際し、評価対象者610の位置(即ち、人物検出処理にて検出された、評価対象者610の位置)も参照される。
【0040】
図8には任意の注目区間630が示される。但し、注目区間630は基準時間TREF分の長さを有する。要注意判断処理において、要注意人物設定部113は、注目区間630中の各時刻にて検出された評価対象者610の顔向きに基づき、評価対象者610の視界に車両CRが収まるタイミングが注目区間630中に存在するかを推定する。この推定に際し、上述したように、評価対象者610の位置(即ち、人物検出処理にて検出された、評価対象者610の位置)も参照される。
【0041】
評価対象者610の視界に車両CRが収まるタイミングが注目区間630中に存在しないと推定される第1ケースでは、要注意条件が成立する。第1ケースにおいて、要注意人物設定部113は、評価対象者610が要注意人物に該当すると判断して評価対象者610を要注意人物に設定する。評価対象者610の視界に車両CRが収まるタイミングが1度でも注目区間630中に存在すると推定される第2ケースでは、要注意条件は不成立である。第2ケースにおいて、要注意人物設定部113は、評価対象者610が要注意人物に該当しないと判断して評価対象者610を要注意人物に設定しない。
【0042】
メインユニット110(例えば演算処理部110a)は、第1ケースにおいて、車両CRの接近に対する認識が評価対象者610において不足している(評価対象者610が車両CRの接近に気づいていない)と推定することになる。一方、メインユニット110(例えば演算処理部110a)は、第2ケースにおいて、評価対象者610が車両CRの接近を認識している(評価対象者610が車両CRの接近に気づいている)と推定することになる。以下、要注意人物に設定された評価対象者610は要注意人物610と表記され得る。
【0043】
尚、要注意条件の成立により評価対象者610が要注意人物に設定された後、所定の解除条件が成立すれば、要注意人物設定部113は、評価対象者610の要注意人物への設定を解除する(即ち、評価対象者610は要注意人物に該当しないと判断する)。解除条件は、評価対象者610の視界に車両CRが収まっていると推定された場合に成立する。従って、第1ケースにおいて評価対象者610が要注意人物に設定された後、評価対象者610における顔向き(注目区間630後の顔向き)に基づき、評価対象者610の視界に車両CRが収まっていると推定された場合、解除条件が成立する。
【0044】
通知制御部114は、要注意人物と車両CRとの距離dを監視し、距離dが基準距離dREF以下であるとき、車両CRの乗員(主として運転手)に対して注意喚起通知を行う。但し、注意喚起通知の実行主体はインターフェース部150であり、通知制御部114の制御の下で、インターフェース部150により注意喚起通知が実際に行われる。つまり、通知制御部114は、距離dが基準距離dREF以下であるとき、インターフェース部150に注意喚起通知を行わせる。尚、距離dは測距情報BBに基づき特定される。人物検出部111による人物の位置(要注意人物の位置)の検出を通じて、距離dが特定されると考えても良い。
【0045】
注意喚起通知は、車両CRの接近に気づいていない可能性の高い人物(即ち要注意人物)の存在を、車両CRの乗員(主として運転手)に知らせるための通知であり、少なくとも音による通知を含むと良い。従って、注意喚起通知はスピーカ151を用いて行われる。車両CRの乗員(主として運転手)がスピーカ151の出力音を容易に聞くことができるような位置に、スピーカ151が車両CRに設置されている。
【0046】
注意喚起通知による音は、任意であり、単純にはビープ音であって良いし、音楽であっても良い。注意喚起通知による音は、例えば、「前方の歩行者に注意して下さい」といったメッセージを示す音であっても良い。
【0047】
基準距離dREFは、単純には例えば、予め定められた固定距離であって良い。尚、注意喚起通知の内容又は基準距離dREFの設定方法に関する応用技術については後述される。応用技術の実現に際して人物属性検出部115を利用でき、人物属性検出部115の機能についても後述される。
【0048】
例えば、乗用車等の車両CRが駐車場内を走行する際に車両CRの周辺に歩行者が存在する場合がある。この場合において、歩行者が車両CRの存在に気づいてないとき、歩行者が車両CRの存在に気づいている場合よりも、車両CRの運転をより慎重に行う必要があり、慎重な運転によって、より確実に接触等の発生を防ぐことができる。注意喚起通知により慎重な運転が促される。但し、あらゆる歩行者の存在に対して注意喚起を行うなど、過度な注意喚起は運転手にとって煩わしい。また過度に注意喚起を行うと、真に注意喚起が必要なときに注意喚起の効果が低減されうる。
【0049】
これらを考慮し、メインユニット110(要注意人物設定部113)に、車両CRの接近に気づいていないと推定される人物を要注意人物に設定する機能を持たせる。そして、要注意人物が設定されたときに、車両CRの乗員(主として運転手)に対して注意喚起通知を行い得るようにする。これにより、過度に注意喚起が行われることを回避しつつ、車両CRと人物(要注意人物)との接触等を効果的に抑制することが可能となる。尚、乗用車等の車両CRが駐車場内を走行する場合を例に挙げたが、車両CRが一般道路を走行する場合、電動カートとしての車両CRがショッピングセンター又は工場内を走行する場合なども同様である。
【0050】
具体的には、メインユニット110(向き検出部112及び要注意人物設定部113)において、監視領域MR内に位置する評価対象者の顔向きを検出し、顔向きの検出結果に基づいて評価対象者が要注意人物に該当するかを判断する。これにより、評価対象者が要注意人物(車両CRの接近に気づいていないと推定される人物)に該当するかを良好に判断することができる。
【0051】
より具体的には例えば、上述の如く、メインユニット110(要注意人物設定部113)において、評価対象者の顔向きに基づき基準時間TREF以上継続して車両CRが評価対象者の視界外にあると判断されるとき、評価対象者を要注意人物に設定する。これにより、車両CRの接近に気づいていないと考えられる人物を、要注意人物に設定することが可能である。
【0052】
そして例えば、通知制御部114は、要注意人物と車両CRとの距離dに応じてインターフェース部150に注意喚起通知を行わせる(換言すれば、インターフェース部150を用い、乗員に対して注意喚起通知を行う)。これにより、過度に注意喚起通知が行われることが抑制され、距離dに基づき真に注意喚起が必要と判断されるときに注意喚起通知が行われるようになる。結果、注意喚起通知の実効性が高まる。
【0053】
即ち例えば、メインユニット110は、要注意人物と車両CRとの距離dが基準距離dREF以下であるときに、インターフェース部150に注意喚起通知を行わせる(換言すれば、インターフェース部150を用い、乗員に対して注意喚起通知を行う)。これにより、過度に注意喚起通知が行われることが抑制され、距離dに基づき真に注意喚起が必要と判断されるときに注意喚起通知が行われるようになる。結果、注意喚起通知の実効性が高まる。
【0054】
次に、図9を参照して人物属性検出部115の機能を説明する。人物属性検出部115は、画像情報AAに基づき属性検出処理を実行する。属性検出処理において、人物属性検出部115は評価対象者の属性を検出し、属性の検出結果を示す属性情報を生成及び出力する。評価対象者が複数存在する場合には、評価対象者ごとに属性検出処理が実行される。評価対象者は要注意人物であり得る。故に、人物属性検出部115は要注意人物の属性を検出し、属性の検出結果を示す属性情報を生成及び出力するとも言える。要注意人物が複数存在する場合には、要注意人物ごとに属性検出処理が実行される。
【0055】
一人の任意の評価対象者である評価対象者610(図7参照)の属性情報を説明する。評価対象者610は要注意人物であり得る。評価対象者610の属性情報は、評価対象者610の年齢層を示す情報661及び評価対象者610の性別を示す情報662を含む。画像情報AAは、評価対象者610の顔の画像情報を含み、人物属性検出部115は、評価対象者610の顔の画像情報に基づき評価対象者610の年齢層及び性別を推定(換言すれば検出)できる。情報661において、評価対象者610の推定年齢が、互いに異なる複数の年齢層の何れに属するかが示される。情報662において、評価対象者610の推定性別が示される。
【0056】
評価対象者610の属性情報は、評価対象者610の外見特徴又は所持品を示す情報663を含む。例えば、評価対象者610の服装又は身長が評価対象者610の外見特徴に該当する。より具体的には例えば、評価対象者610が青い服を着用しており、青い服が画像情報AAに表れている場合、評価対象者610が青い服を着用していることが情報663に示される。また例えば、評価対象者610がスーツケース又は杖を手に持っていて、その様子が画像情報AAに表れている場合には、評価対象者610がスーツケース又は杖を手に持っていることが情報663に示される。
【0057】
この他、画像情報AAから推定可能な、評価対象者610の様々な特徴を属性情報に含めることができる。
【0058】
走行制御部116は車両CRの走行を制御する。走行制御部116は車両CRの走行全体を制御する必要はなく、安全上、必要なときのみにおいて作動するものであって良い(詳細は後述)。尚、走行制御部116はメインユニット110に設けられない場合もある。
【0059】
以下、複数の実施例の中で、車載装置100に関わる幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。人物属性検出部115又は走行制御部116の利用技術は幾つかの実施例にて説明される。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0060】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例に係る通知制御部114は、上述の基準距離dREFを要注意人物の属性情報に応じて設定する。評価対象者610(図7)が要注意人物である場合を考えて第1実施例に係る基準距離dREFの設定方法を説明する。上述したように、要注意人物に設定された評価対象者610は要注意人物610と表記され得る。第1実施例で示される距離dは、要注意人物610と車両CRとの距離(換言すれば評価対象者610と車両CRとの距離)である。
【0061】
例えば、通知制御部114は、人物属性検出部115にて検出された要注意人物610の年齢層に応じて基準距離dREFを設定することができる。具体的な例として、人物属性検出部115により、要注意人物610の年齢層が第1~第3年齢層に何れかに分類される場合を考える。第1年齢層は子供の年齢層であって、第3年齢層は高齢者の年齢層であって、且つ、第2年齢層は高齢者を除く成人の年齢層であるとする。例えば、第1年齢層は12歳以下の年齢層であって、第2年齢層は13歳以上且つ70歳未満の年齢層であって、且つ、第3年齢層は70歳以上の年齢層である。
【0062】
通知制御部114は、要注意人物610の年齢層が第1年齢層又は第3年齢層に属すると分類されたとき、要注意人物610の年齢層が第2年齢層に属すると分類されたときよりも、基準距離dREFを大きく設定することができる。例えば、要注意人物610の年齢層が第1年齢層又は第3年齢層に属すると分類されたときには所定距離dREF_Lを基準距離dREFに設定し、要注意人物610の年齢層が第2年齢層に属すると分類されたときには所定距離dREF_Mを基準距離dREFに設定することができる。ここで、距離dREF_Lは距離dREF_Mよりも大きい。第1年齢層の人物は、第2年齢層の人物と比べて、予期し難い方向に素早く動くことが多いと考えられる。故に、第1年齢層の人物に対しては安全のため基準距離dREFを相対的に大きくした方が良いと考えられる。また、第3年齢層の人物は、第2年齢層の人物と比べて、衝突等を素早く回避するといった動作を行い難いと考えられる。故に、第3年齢層の人物に対しては安全のため基準距離dREFを相対的に大きくした方が良いと考えられる。
【0063】
或いは例えば、通知制御部114は、人物属性検出部115にて検出された要注意人物610の情報663(図9参照)に応じて基準距離dREFを設定することができる。より具体的には、要注意人物610の所持品に応じて基準距離dREFを設定することができる。即ち、要注意人物610がスーツケース又は杖を手に持っていると検出されているとき、そうでないときよりも、基準距離dREFを小さく設定することができる。ここにおける杖は白状を含む。例えば、要注意人物610がスーツケース又は杖を手に持っていると検出されているときには所定距離dREF_Sを基準距離dREFに設定し、要注意人物610がスーツケースも杖も手に所持していないと検出されているときには、所定距離dREF_Mを基準距離dREFに設定することができる。ここで、距離dREF_Sは距離dREF_Mよりも小さい。要注意人物610がスーツケース又は杖を手に持っているとき、そうでないときよりも要注意人物610の移動速度は小さいと予想され、移動速度が小さいのであれば、距離dがかなり小さくなった段階で注意喚起通知を行っても問題は生じ難いと考えられるからである。
【0064】
このように、要注意人物の属性情報に応じて基準距離dREFを変設定することにより、要注意人物の属性に応じた適正な基準距離dREFを設定することが可能となる。
【0065】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例に係る通知制御部114は、上述の基準距離dREFを車両CRの速度に応じて設定する。車両CRの速度とは車両CRの移動速度である。車両CRには車両CRの速度に応じた車速信号を生成及び出力する車速センサ(不図示)が設置されており、通知制御部114は車速センサからの車速信号を受信することで車両CRの速度を認識できる。
【0066】
通知制御部114は、車両CRの速度の増加に伴って基準距離dREFを増加させて良い。車両CRの速度が大きいほど、距離dがより大きい段階から注意喚起通知を行った方が安全上好ましいからであり、第2実施例により、車両CRの速度に応じた適正な基準距離dREFを設定することが可能となる。例えば、車両CRの速度を記号“CRSPD”で表した場合、式“dREF=kSPD×CRSPD+d”に従って基準距離dREFを設定して良い。ここで、kSPDは正の係数であり、dは正の所定値を持つ。積“kSPD×CRSPD”及び値“d”は距離を次元とする物理量である。
【0067】
第2実施例は第1実施例と組み合わせることができる。即ち、通知制御部114は、基準距離dREFを要注意人物の属性情報と車両CRの速度とに応じて設定しても良い。例えば、通知制御部114は、式“dREF_M=kSPD×CRSPD+d”に従って距離dREF_Mを求めた後、距離dREF_Mを基準に、第1実施例に示した方法に従って要注意人物の属性情報に基づき基準距離dREFを設定して良い。例えば、第1実施例に示した方法に従い、距離dREF_Mを基準に、要注意人物の属性情報に応じて基準距離dREFを距離dREF_M、dREF_L及びdREF_Sの何れかに設定することができる(ここで、“dREF_S<dREF_M<dREF_L”)。
【0068】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。以下、注意喚起通知が行われる区間(即ち通知制御部114がインターフェース部150に注意喚起通知を行わせる区間)を、注意喚起区間と称する。第3実施例に係る通知制御部114は、注意喚起区間において、要注意人物と車両CRとの距離dに応じ注意喚起通知の音量又は内容を設定する(換言すれば、距離dに応じ注意喚起通知の音量又は内容を変化させる)。注意喚起通知の音量は、注意喚起通知においてスピーカ151から出力される音の大きさを表す。評価対象者610(図7)が要注意人物に設定された場合を考えて第3実施例に係る方法を説明する。第3実施例で示される距離dは、要注意人物610と車両CRとの距離である。
【0069】
例えば、注意喚起区間において、通知制御部114は、距離dが減少するにつれて注意喚起通知の音量を増大させることができる。従って例えば、注意喚起区間において、通知制御部114は、“dREF2<d≦dREF”であれば注意喚起通知の音量を第1音量に設定し、“d≦dREF2”であれば注意喚起通知の音量を第2音量に設定することができる。ここで、dREF2は基準距離dREFよりも小さな距離(例えば基準距離dREFの半分)である。第2音量は第1音量よりも大きい。ここでは音量を2段階に設定(可変設定)しているが、距離dに応じて音量を3段階以上に可変設定するようにしても良い。
【0070】
或いは例えば、注意喚起区間において、通知制御部114は、“dREF2<d≦dREF”であればスピーカ151から第1注意喚起音を出力させることで注意喚起通知を実現し、“d≦dREF2”であればスピーカ151から第2注意喚起音を出力させることで注意喚起通知を実現しても良い。第1注意喚起音の内容と第2注意喚起音の内容は互いに相違する。例えば、第1注意喚起音はビープ音であり、第2注意喚起音は「前方の歩行者に注意して下さい」といったメッセージを示す音である。或いは例えば、第1注意喚起音は第1メッセージ「前方の歩行者に注意して下さい」を示す音である一方、第2注意喚起音は第2メッセージ「前方注意、前方注意」を示す音である。この際、第1メッセージの音量を第1音量に設定し、第2メッセージの音量を第2音量に設定しても良い。
【0071】
距離dに応じて注意喚起通知の音量又は内容を設定することで、距離dに適応した注意喚起を行うことができ、車両CRと人物(要注意人物)との接触等を効果的に抑制することが可能となる。
【0072】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例に係る通知制御部114は、注意喚起区間において、要注意人物の属性情報に応じて注意喚起通知の内容を設定する。評価対象者610(図7)が要注意人物に設定された場合を考えて第4実施例に係る方法を説明する。
【0073】
注意喚起区間において、通知制御部114は、人物属性検出部115にて検出された要注意人物610の情報661、662又は663(図9参照)に応じ、注意喚起通知の内容を設定できる。この際、更に、人物検出部111により検出される要注意人物610の位置も考慮して、注意喚起通知の内容を設定して良い。
【0074】
具体的には例えば、車両CRの運転手から見て(原点Oから見て)左斜め前方に要注意人物610が存在し、且つ、要注意人物610が青い服を着た女性であることが要注意人物610の属性情報(情報662及び663)に示されている場合を考える。この場合、注意喚起区間において、通知制御部114は、メッセージ「左斜め前方の青い服を着た女性に注意して下さい」を注意喚起通知にてスピーカ151から出力させることができる。
【0075】
或いは例えば、車両CRの運転手から見て(原点Oから見て)右斜め前方に要注意人物610が存在し、且つ、要注意人物610が杖を持った男性であることが要注意人物610の属性情報(情報662及び663)に示されている場合を考える。この場合、注意喚起区間において、通知制御部114は、メッセージ「右斜め前方の杖を持った男性に注意して下さい」を注意喚起通知にてスピーカ151から出力させることができる。
【0076】
更に或いは例えば、車両CRの運転手から見て(原点Oから見て)左斜め前方に要注意人物610が存在し、且つ、要注意人物610が第1年齢層の人物であることが要注意人物610の属性情報(情報661)に示されている場合を考える。この場合、注意喚起区間において、通知制御部114は、メッセージ「左斜め前方の子供に注意して下さい」を注意喚起通知にてスピーカ151から出力させることができる。
【0077】
このように、要注意人物の属性情報に応じて注意喚起通知の内容を設定することにより、どの人物に対して注意を払うべきかが車両CRの乗員(運転手)にとって分かりやすく伝達される。結果、車両CRと人物(要注意人物)との接触等を効果的に抑制することが可能となる。
【0078】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。第5実施例でも、評価対象者610が要注意人物に設定された場合を想定する。第5実施例で示される距離dは、要注意人物610と車両CRとの距離である。
【0079】
距離dが基準距離dREF以下となったことに伴って注意喚起通知が開始された後、距離dが更に減少した場合を考える。注意喚起区間において距離dが基準距離dREFよりも小さな所定の第1安全確保距離dLIM1以下になったとき、走行制御部116は第1安全制動処理を行う。第1安全制動処理において、走行制御部116は車両CRを減速させる。第1安全制動処理による車両CRの減速では、例えば、車両CRの速度を所定の最徐行速度(1km/時など)にまで低下させる。注意喚起区間において距離dが第1安全確保距離dLIM1以下になったとき、車両CRの運転手が車両CRに対して行った運転操作(アクセルペダルへの踏み込み操作等)に依らず、第1安全制動処理が実行される。
【0080】
尚、第1安全制動処理は“d>dLIM1”の成立状態から“d≦dLIM1”の成立状態へ遷移した時点において、車両CRの速度が最徐行速度を超えているときにのみ有意に実行される。“d>dLIM1”の成立状態から“d≦dLIM1”の成立状態へ遷移した時点において、車両CRの速度が既に最徐行速度以下であれば、第1安全制動処理は有意な処理ではなく、第1安全制動処理は行われないと解される。
【0081】
その後、更に距離dが減少することで、注意喚起区間において距離dが第1安全確保距離dLIM1よりも小さな所定の第2安全確保距離dLIM2以下になったとき、走行制御部116は第2安全制動処理を行う。第2安全制動処理において、走行制御部116は車両CRを停止させる(即ち車両CRの移動を停止させる)。注意喚起区間において距離dが第2安全確保距離dLIM2以下になったとき、車両CRの運転手が車両CRに対して行った運転操作(アクセルペダルへの踏み込み操作等)に依らず、第2安全制動処理が実行される。第2安全制動処理の実行により車両CRが停止した後、注意喚起通知が停止されるようにしても良いし、注意喚起通知が継続実行されるようにしても良い。
【0082】
尚、第2安全制動処理は“d>dLIM2”の成立状態から“d≦dLIM2”の成立状態へ遷移した時点において、車両CRが走行しているときにのみ(即ち車両CRの速度がゼロでないときにのみ)有意に実行される。“d>dLIM2”の成立状態から“d≦dLIM2”の成立状態へ遷移した時点において、車両CRの速度がゼロであれば(即ち車両CRが停止しているのであれば)、第2安全制動処理は有意な処理ではなく、第2安全制動処理は行われないと解される。
【0083】
各安全制動処理により、車両CRと人物(要注意人物)との接触等を抑制することが可能となる。尚、注意喚起区間において、距離dが所定の第1安全確保距離dLIM1以下になったとき、第1安全制動処理ではなく第2安全制動処理が実行されるようにしても良い。
【0084】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。図10は、上述した各事項を実現する車載装置100の動作フローチャートである。図10の動作フローチャートに沿って車載装置100(主としてメインユニット110)の動作の流れを説明する。上述の各実施例にて示した技術を第6実施例に適用できる。
【0085】
まずステップS10において、取得部110b及び110cにて画像情報AA及び測距情報BBの取得が開始される。以後、最新の画像情報AA及び測距情報BBが次々と取得部110b及び110cにて取得される。ステップS10の後、ステップS11に進む。
【0086】
ステップS11において、人物検出部111は、画像情報AA及び測距情報BBに基づく人物検出処理により、監視領域MR内の人物を検出すると共に監視領域MR内の人物の位置も検出する。検出された監視領域MR内の人物は評価対象者として取り扱われる。ここでは、一人の評価対象者610(図7参照)に注目して以後の各ステップの処理内容を説明するが、評価対象者が複数存在する場合には、評価対象者ごとに以後の各ステップの処理が行われる。尚、評価対象者610としての人物の位置が監視領域MR内から監視領域MR外へと変化した場合には、当該人物は評価対象者として機能しなくなる。ステップS11の後、ステップS12に進む。
【0087】
ステップS12において、向き検出部112は、画像情報AAに基づく向き検出処理により、評価対象者610の顔向きを検出する。ステップS12の後、ステップS13に進む。
【0088】
ステップS13において、要注意人物設定部113は上述の要注意判断処理を行う。即ち、ステップS13において、要注意人物設定部113は、向き検出部112の検出結果に基づき(即ち評価対象者610の顔向きに基づき)評価対象者610が要注意人物に該当するかを判断する。ステップS13の後、ステップS14に進む。
【0089】
ステップS14では、要注意人物設定部113により評価対象者610が要注意人物に該当すると判断されたかが確認される。評価対象者610が要注意人物に該当すると判断された場合(即ち上述の要注意条件が成立している場合)には(ステップS14のY)、ステップS14からステップS15に進む。評価対象者610が要注意人物に該当すると判断されなかった場合には(ステップS14のN)、ステップS14からステップS11に戻る。ステップS11に戻った後は、ステップS11及びそれ以降のステップの処理が繰り返される。
【0090】
ステップS15において、要注意人物設定部113は、評価対象者610を要注意人物に設定する。評価対象者610が要注意人物に設定された後は、評価対象者610は要注意人物610と表記され得る。ステップS15の後、ステップS16に進む。
【0091】
ステップS16において、要注意人物設定部113は、上記解除条件の成否を確認する。上述したように、評価対象者610が要注意人物に設定された後、評価対象者610における顔向きに基づき、評価対象者610の視界に車両CRが収まっていると推定された場合、解除条件が成立する。ステップS16において解除条件が成立している場合には(ステップS16のY)、ステップS16からステップS23に移行する。ステップS23にて、要注意人物設定部113は評価対象者610の要注意人物への設定を解除する(即ち、評価対象者610は要注意人物に該当しないと判断する)。ステップS23の後は、ステップS11に戻る。ステップS16において解除条件が成立していない場合には(ステップS16のN)、ステップS17に進む。
【0092】
ステップS17において、通知制御部114は、要注意人物610と車両CRとの距離dを基準距離dREFと比較する。尚、通知制御部114により要注意人物610と車両CRとの距離dが継続監視される。ステップS17の後、ステップS18に進む。
【0093】
ステップS18にて、ステップS17での比較結果が参照され、“d≦dREF”の成否が確認される。“d≦dREF”が成立する場合には(ステップS18のY)、ステップS19に進む。“d≦dREF”が不成立の場合には(ステップS18のN)、ステップS16に戻る。
【0094】
ステップS19において、通知制御部114は、インターフェース部150を用いた、車両CRの乗員(主として運転手)に対する注意喚起通知を開始する。注意喚起通知の開始後、ステップS20に進む。
【0095】
ステップS20において、要注意人物設定部113は、上記解除条件の成否を確認する。解除条件については上述した通りである。解除条件が成立していない場合には(ステップS20のN)、ステップS20からステップS21に進む。解除条件が成立している場合には(ステップS20のY)、ステップS20からステップS22に進む。
【0096】
ステップS21において、走行制御部116は距離dに応じ、第5実施例に示した方法に従って上述の安全制動処理(第1又は第2安全制動処理)を実行する。距離dによっては安全制動処理は実行されない。ステップS21の後は、ステップS20に戻る。
【0097】
ステップS22において、要注意人物設定部113は、評価対象者610の要注意人物への設定を解除する(即ち、評価対象者610は要注意人物に該当しないと判断する)。また、ステップS22において、通知制御部114は、インターフェース部150を用いた、車両CRの乗員(主として運転手)に対する注意喚起通知を停止する(即ち注意喚起通知を終了する)。ステップS22の後は、ステップS11に戻る。
【0098】
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。上述の各説明では、スピーカ151を用いた音の出力により注意喚起通知を行うことを主として想定しているが、注意喚起通知は音による通知に限定されない。
【0099】
例えば、視覚的な通知を注意喚起通知に含めても良い。より具体的には例えば、表示部152を用いた表示による通知を注意喚起通知に含めても良い。
【0100】
表示部152が液晶ディスプレイパネル等にて構成された表示画面(不図示)を有する場合には、当該表示画面に所定の映像を表示することによる通知を注意喚起通知に含めることができる。車両CRの乗員(主として運転手)が当該表示画面を容易に視認できる位置に当該表示画面が設置されているものとする。表示部152における表示画面は、車両CRの運転手の視界に映像を映し出すヘッドアップディスプレイであっても良い。
【0101】
表示部152が発光ダイオード等にて構成された発光部を有する場合には、当該発光部の発光による通知を注意喚起通知に含めることができる。車両CRの乗員(主として運転手)が当該発光部を容易に視認できる位置に当該発光部が設置されているものとする。
【0102】
この他、車両CRの乗員(主として運転手)が知覚しうる任意の通知を注意喚起通知に含めることができる。
【0103】
<<第8実施例>>
第8実施例を説明する。第8実施例では、上述の各事項に対する変形技術又は補足事項等を説明する。
【0104】
監視領域MRに位置する人物である評価対象者610(図7参照)が特定の条件を満たす場合、要注意人物設定部113は、評価対象者610の顔向きに依らず、評価対象者610を要注意人物に設定するようにしても良い。即ち、評価対象者610が特定の条件を満たす場合には、評価対象者610が車両CRの存在に気付いていると判断されるときにおいても、評価対象者610を要注意人物に設定して良い。
【0105】
例えば、要注意人物設定部113は、評価対象者610の属性情報(図9参照)に基づき特定の条件の成否を判断できる。より具体的には例えば、評価対象者610の年齢層が上記第1年齢層又は第3年齢層に属すると分類されているとき、特定の条件が成立して良い。第1年齢層又は第3年齢層の人物は特に注意が払われるべきと考えられるからである。或いは例えば、評価対象者610が杖(白状を含む)を手に持っていると検出されたとき、特定の条件が成立して良い。杖を持つ人物は特に注意が払われるべきと考えられるからである。
【0106】
向き検出部112は、画像情報AAに基づき、評価対象者610が電子機器(不図示)を手に持っているかを判断して良い。ここにおける電子機器は表示画面を有する電子機器であり、例えば、スマートホン、ゲーム機器又は携帯型情報端末である。向き検出部112は、評価対象者610が電子機器を手に持っていると判断したとき、評価対象者610の顔(例えば眉間中心)から電子機器の表示画面に向かう向きが、評価対象者610の顔向きであると検出(推定)するようにしても良い。これは、評価対象者610が電子機器の表示画面を見ていると推定することに相当する。
【0107】
評価対象者610の顔(例えば眉間中心)から電子機器の表示画面に向かう向きが評価対象者610の顔向きであると検出されたとき、要注意人物設定部113において、車両CRは評価対象者610の視界外にあると推定されるようにして良い。評価対象者610が電子機器の表示画面を見ているとき、評価対象者610の実質的な視界が狭くなり、評価対象者610が車両CRに気付きにくくなると考えられるからである。
【0108】
カメラCMは車両CRに設置されると上述したが、変形として、カメラCMは車両CRに設置されたカメラ以外のカメラ(以下、外部カメラと称する;不図示)であっても良い。カメラCMとしての外部カメラは、車両CRの周辺を撮影し、外部カメラの撮影画像(即ち外部カメラの撮影領域内の撮影画像)を表す画像情報を生成及び出力する。この場合、外部カメラから出力される画像情報が画像情報AAに含まれ、図4の監視領域MRは外部カメラの撮影領域に内包される。画像情報取得部110bは、通信処理部130と協働し、上記通信網を介して外部カメラから出力される画像情報を取得できる。
【0109】
外部カメラは複数あっても良く、各外部カメラの撮影画像を表す画像情報が画像情報AAに含まれていても良い。外部カメラは任意の静止物に固定された定点カメラ(監視カメラ等)であっても良い。車両CRが走行する道路周辺に設置された定点カメラ(監視カメラ等)を外部カメラとして利用できる。外部カメラは、移動体(車両CR以外の車両、ロボット、又は、ドローン等)に設置されたカメラであっても良い。車両CRに設置されたカメラの撮影画像を表す画像情報と、外部カメラの撮影画像を表す画像情報とが、画像情報AAに含まれていても良い。
【0110】
メインユニット110で実現されると述べた上述の複数の機能の内、幾つかの機能は、外部装置(不図示)にて実現されて良い。ここで、外部装置とは、車載装置100とは異なる任意の演算装置であり、車載装置100と双方向通信が可能に接続される。外部装置は、車載装置100がアクセス可能なネットワーク上に設けられたサーバ装置であって良く、クラウドコンピューティングを用いて形成されるクラウドサーバであっても良い。従って例えば、図1に示される画像情報取得部110b及び測距情報取得部110cの内の少なくとも一方は、外部装置に設けられても良い。同様に例えば、図6に示される機能ブロック111~116の全部又は一部は外部装置に設けられても良い。以下、画像情報取得部110b及び測距情報取得部110cを、便宜上、機能ブロック110b及び110cと称する。
【0111】
外部装置は演算処理部及びメモリを備えたコンピュータ装置である。外部装置において、演算処理部がメモリに格納されたプログラムを実行することで機能ブロック110b、110c及び111~116の全部又は一部が実現されて良い。
【0112】
機能ブロック110b、110c及び111~116の内、全部又は一部は、複数の外部装置にて実現されても良い。単純には例えば、機能ブロック110b、110c及び111~116は、夫々、互いに異なる第1~第8外部装置に設けられても良い。各外部装置は演算処理部及びメモリを備えたコンピュータ装置であり、第i外部装置において、演算処理部がメモリに格納されたプログラムを実行することで第i機能ブロックが実現されて良い(iは整数)。ここで、第1~第8機能ブロックは、夫々、機能ブロック110b、110c及び111~116に相当する。機能ブロック110b、110c及び111~116を実現する複数の外部装置は互いに双方向通信に接続され、互いに任意のデータの送受信が可能とされる。第1~第8機能ブロックの内、任意の2以上の機能ブロックを単一の外部装置にて実現しても良い。
【0113】
本実施形態で具体化された本発明に係る車載装置(100)は、車両(CR)の周辺を撮影するカメラから撮影結果を示す画像情報(AA)を取得する画像情報取得部(110b)と、前記車両の周辺に位置する人物の内、前記車両の接近に対して認識不足と推定される人物を、前記画像情報に基づき要注意人物に設定する処理部(110a)と、前記要注意人物が設定されたとき、前記車両の乗員に対して注意喚起通知を実行可能に形成された通知出力部(150)と、を備える。
【0114】
演算処理部110aは上記処理部の例であり、インターフェース部150は上記通知出力部の例である。本発明に係る車載装置において実現される方法を、例えば車両用注意喚起方法と称することができる。
【0115】
本発明の実施形態にて述べた任意の方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び、そのプログラムを記録した記録媒体であって且つコンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体は、本発明の実施形態の範囲に含まれる。本発明の実施形態における任意の処理は、半導体集積回路等のハードウェア、上記プログラムに相当するソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現されて良い。
【0116】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0117】
100 車載装置
CR 車両
BDY 車体
CM カメラ
DM 測距センサ
110 メインユニット
110a 演算処理部
110b 画像情報取得部
110c 測距情報取得部
111 人物検出部
112 向き検出部
113 要注意人物設定部
114 通知制御部
115 人物属性検出部
116 走行制御部
120 メモリ
130 通信処理部
140 GPS処理部
150 インターフェース部
151 スピーカ
152 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10