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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118333
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】触覚提示システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20230818BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20230818BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021241
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】辻 仁志
(72)【発明者】
【氏名】上嶋 優矢
(72)【発明者】
【氏名】末廣 隆史
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 修一
(72)【発明者】
【氏名】榮 淳
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA04
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC13
5E555CB74
5E555CC01
5E555DA24
5E555DC84
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】触覚提示情報を情報処理端末から触覚提示装置へ逐次送信することなく触覚提示装置の変位部の変位量に応じた物体の触覚を提示する。
【解決手段】触覚提示システム1は情報処理端末4と触覚提示装置6とを備える。触覚提示装置は、変位部102と磁気粘性流体装置104と装置側制御部202と変位量検知部111と装置側無線通信部203と記憶部204とを有する。情報処理端末は、物体指定受付部42と、変位部の変位量に対して電流値、周波数及び/又はduty比が対応付けられた、物体毎の触覚提示情報を取得する触覚提示情報取得部43と、端末側無線通信部46と、触覚提示情報を触覚提示装置へ送信する端末側制御部47とを更に有する。装置側制御部は、情報処理端末から受信した触覚提示情報上で変位量に対応付けられた電流値、周波数及び/又はduty比からなる電流を磁気粘性流体装置に入力する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部を有する情報処理端末と、
前記表示部に表示される映像に含まれる物体の触覚を使用者に提示する触覚提示装置と、を備える触覚提示システムであって、
前記触覚提示装置は、
使用者の操作によって変位する変位部と、
前記変位部の変位に伴って回転する回転部を有するとともに、入力された電流によって磁気粘性流体に磁場を印加することにより前記回転部に回転抵抗が生じるように構成された磁気粘性流体装置と、
前記磁気粘性流体装置に入力する電流を制御する装置側制御部と、
前記変位部の変位量を検知する変位量検知部と、
前記情報処理端末と無線通信する装置側無線通信部と、
情報を記憶する記憶部と、
を有し、
前記情報処理端末は、
触覚を提示すべき物体の指定を受け付ける物体指定受付部と、
前記変位部の多数の変位量のそれぞれに対して、電流値、周波数および/またはduty比が対応付けられた、前記物体毎の触覚提示情報を取得する触覚提示情報取得部と、
前記触覚提示装置と無線通信する端末側無線通信部と、
前記物体指定受付部が受け付けた物体に関する前記触覚提示情報を前記端末側無線通信部を介して前記触覚提示装置へ送信する端末側制御部と、
を更に有し、
前記装置側制御部は、
前記情報処理端末から受信した前記触覚提示情報上で前記変位部の変位量に対応付けられた電流値、周波数および/またはduty比からなる電流を前記磁気粘性流体装置に入力する、
ことを特徴とする触覚提示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の触覚提示システムであって、
前記端末側制御部は、前記物体指定受付部が物体の指定を受け付ける毎に、前記触覚提示装置に前記触覚提示情報を一度だけ送信する、
ことを特徴とする触覚提示システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の触覚提示システムであって、
前記装置側制御部は、前記情報処理端末に、前記変位量検知部が検知した変位量の情報を逐次送信し、
前記端末側制御部は、前記触覚提示装置から逐次受信する変位量の情報に基づいて、前記表示部に表示する物体の外観を変化させる、
ことを特徴とする触覚提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末の表示部に表示される映像に含まれる物体の触覚を使用者に提示する触覚提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
触覚提示システムとして、様々なものが提案されている。例えば、特許文献1の図1に開示されている仮想オブジェクト触覚提示装置(1)は、映像を表示する表示部を有する情報処理端末(特許文献1では「ヘッドマウントディスプレイ装置(2)」と称されている。)と、触覚提示装置(4)と、を備えている。
【0003】
仮想オブジェクト触覚提示装置(1)では、ヘッドマウントディスプレイ装置(2)の表示部(ディスプレイ(8))に表示された仮想オブジェクトにユーザフォーカス28が重なることにより、仮想オブジェクトを選択して、選択された仮想オブジェクトの触覚提示情報(特許文献1では「触覚情報」と称されている。)をヘッドマウントディスプレイ装置(2)から触覚提示装置(4)にワイヤレス通信装置(24)を介して送信している。
【0004】
特許文献1の第4実施形態に開示されているように、触覚提示装置(4)には、変位部(102)の変位量の情報を検出する変位量検出部(111)が設けられており、変位量検出部(111)で検出された変位量の情報をワイヤレス通信装置(203)を介してヘッドマウントディスプレイ装置(2)のHMD制御装置(3)へ逐次送信している。
【0005】
ヘッドマウントディスプレイ装置(2)のHMD制御装置(3)は、触覚提示装置(4)から逐次受信した変位量の情報に対応付けられた触覚情報を触覚提示装置(4)に逐次無線で送信する。これにより、触覚提示装置(4)は、変位量に応じた物体の触覚を使用者に提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-17159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、触覚提示装置(4)で検出された変位量の情報を触覚提示装置(4)からヘッドマウントディスプレイ装置(2)へ無線で逐次送信し、変位量の情報に対応付けられた触覚情報をヘッドマウントディスプレイ装置(2)から触覚提示装置(4)へ無線で逐次送信する従来の方式では、変位量の検出から変位量に応じた触覚の提示までの処理工程に無線通信を介在させることによる触覚提示装置(4)での反応の遅延や、消費電力の増大という問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、触覚提示情報を情報処理端末から触覚提示装置へ逐次送信することなく、触覚提示装置の変位部の変位量に応じた物体の触覚を使用者に提示する触覚提示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る触覚提示システムは、映像を表示する表示部を有する情報処理端末と、前記表示部に表示される映像に含まれる物体の触覚を使用者に提示する触覚提示装置と、を備える。前記触覚提示装置は、使用者の操作によって変位する変位部と、前記変位部の変位に伴って回転する回転部を有するとともに、入力された電流によって磁気粘性流体に磁場を印加することにより前記回転部に回転抵抗が生じるように構成された磁気粘性流体装置と、前記磁気粘性流体装置に入力する電流を制御する装置側制御部と、前記変位部の変位量を検知する変位量検知部と、前記情報処理端末と無線通信する装置側無線通信部と、情報を記憶する記憶部と、を有する。前記情報処理端末は、触覚を提示すべき物体の指定を受け付ける物体指定受付部と、前記変位部の多数の変位量のそれぞれに対して、電流値、周波数および/またはduty比が対応付けられた、前記物体毎の触覚提示情報を取得する触覚提示情報取得部と、前記触覚提示装置と無線通信する端末側無線通信部と、前記物体指定受付部が受け付けた物体に関する前記触覚提示情報を前記端末側無線通信部を介して前記触覚提示装置へ送信する端末側制御部と、を更に有する。そして、前記装置側制御部は、前記情報処理端末から受信した前記触覚提示情報上で前記変位部の変位量に対応付けられた電流値、周波数および/またはduty比からなる電流を前記磁気粘性流体装置に入力する。
【0010】
かかる構成を備える触覚提示システムによれば、触覚提示装置の装置側制御部は、情報処理端末から受信し触覚提示装置の記憶部に記憶された触覚提示情報上で変位部の変位量に対応付けられた電流値、周波数および/またはduty比からなる電流を磁気粘性流体装置に入力するので、触覚提示情報を情報処理端末から触覚提示装置へ逐次送信することなく、触覚提示装置の変位部の変位量に応じた物体の触覚を使用者に提示することができる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る触覚提示システムは、第1の態様に係る触覚提示システムにおいて、前記端末側制御部は、前記物体指定受付部が物体の指定を受け付ける毎に、前記触覚提示装置に前記触覚提示情報を一度だけ送信する。
【0012】
本発明の第3の態様に係る触覚提示システムは、第1の態様または第2の態様に係る触覚提示システムにおいて、前記装置側制御部は、前記情報処理端末に、前記変位量検知部が検知した変位量の情報を逐次送信し、前記端末側制御部は、前記触覚提示装置から逐次受信する変位量の情報に基づいて、前記表示部に表示する物体の外観を変化させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、触覚提示情報を情報処理端末から触覚提示装置へ逐次送信することなく、触覚提示装置の変位部の変位量に応じた物体の触覚を使用者に提示する触覚提示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る触覚提示システムを示した図である。
図2】本発明の実施形態に係る触覚提示システムの触覚提示装置を示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る触覚提示システムの触覚提示装置を示した図であって、触覚提示装置が使用者に把持されている状態を示した図である。
図4】触覚提示装置の磁気粘性流体装置を示した断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る触覚提示システムの情報処理端末および触覚提示装置の機能ブロックを示した図である。
図6】触覚提示情報の一例が記載された表を示した図である。
図7】物体の選択を行うための画像を表示部に表示した情報処理端末を示した図である。
図8】物体が使用者の操作により変形する前の状態を示す画像を表示部に表示した情報処理端末を示した図である。
図9】物体が使用者の操作により変形した後の状態を示す画像を表示部に表示した情報処理端末を示した図である。
図10】本発明の実施形態に係る触覚提示システムにおいて実行される処理動作を示すフローチャートの前半部分を示した図である。
図11】本発明の実施形態に係る触覚提示システムにおいて実行される処理動作を示すフローチャートの後半部分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る触覚提示システムについて、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、触覚提示システム1は、外部サーバ2と、情報処理端末4と、触覚提示装置6と、を備えている。
【0016】
外部サーバ2は、インターネットINを介して情報処理端末4に通信可能に接続されている。外部サーバ2は、情報処理端末4および触覚提示装置6の使用者が触覚の提示を希望した場合に触覚を提示することが可能な複数の物体(本実施形態では、「物体」は仮想物体である。)の触覚提示情報を格納している。触覚提示情報とは、本実施の形態では図6に示すように、触覚提示装置6の後述する変位部102の多数の変位量のそれぞれに対して、後述する磁気粘性流体装置104に入力する電流の電流値、周波数およびduty比が対応付けられた情報の表である。触覚提示情報については、後に詳述する。
【0017】
情報処理端末4は、本実施の形態では、いわゆるスマートフォンである。情報処理端末4は、触覚提示用アプリケーションプログラム(以下「アプリ」という。)を稼働させる。以下、情報処理端末4内の各部の機能の実行および処理は、全てアプリが起動した状態で行われることを前提とする。
【0018】
情報処理端末4は、図5に示すように、映像を表示する表示部41(図1参照)と、物体指定受付部42と、触覚提示情報取得部43と、第1端末側記憶部44と、第2端末側記憶部45と、端末側無線通信部46と、端末側制御部47と、を有する。
【0019】
表示部41は、本実施の形態では、スマートフォンの画面であり、タッチパネル(タッチパネルの表示機能)を用いて構成されている。
【0020】
物体指定受付部42は、使用者が触覚の提示を希望する物体、すなわち触覚を提示すべき物体の指定を受け付ける。本実施の形態では、物体指定受付部42は、図7に示すように、端末側制御部47が表示部41に表示する画像に含まれる複数の物体(物体A、物体Bおよび物体C)の中から、使用者によりタッチされた物体を、使用者が触覚の提示を希望する物体として受け付ける。図7は、使用者の指Fが物体Aをタッチする様子を示している。本実施の形態では、物体指定受付部42は、タッチパネル(タッチパネルの入力機能)を用いて構成されている。物体指定受付部42は、使用者による指定を受け付けた物体(以下「指定された物体」ともいう。)を端末側制御部47に通知する。
【0021】
触覚提示情報取得部43は、端末側制御部47からの指示に基づき、物体指定受付部42において使用者に指定された物体毎の触覚提示情報を取得する。触覚提示情報取得部43は、本実施の形態では、Wi-Fi(登録商標)や携帯電話用通信装置を用いて構成されている。触覚提示情報取得部43は、インターネットIN等の情報通信網を介して外部サーバ2から、物体指定受付部42において使用者に指定された物体毎の触覚提示情報を取得する。
【0022】
第1端末側記憶部44は、触覚提示情報取得部43が取得した触覚提示情報を記憶する。第1端末側記憶部44は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、書き込み可能なROM(Read Only Memory)、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリを用いて構成されている。
【0023】
第2端末側記憶部45は、第1端末側記憶部44に記憶された触覚提示情報を取得して触覚提示情報を記憶する。第2端末側記憶部45は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
【0024】
端末側無線通信部46は、触覚提示装置6と無線通信する。端末側無線通信部46は、具体的には、触覚提示装置6の後述する装置側無線通信部203と無線通信する。端末側無線通信部46は、例えばブルートゥース(登録商標)を用いて無線通信する。
【0025】
端末側制御部47は、物体指定受付部42において使用者に指定された物体に関する触覚提示情報を触覚提示情報取得部43を介して外部サーバ2に要求する。また、端末側制御部47は、触覚提示情報取得部43により取得され、第1端末側記憶部44および第2端末側記憶部45に記憶された触覚提示情報を端末側無線通信部46を介して触覚提示装置6へ無線で送信する。また、端末側制御部47は、図8に示すように、物体指定受付部42において使用者に指定された物体(本実施形態では物体A)を表示部41に表示する。さらに、端末側制御部47は、触覚提示装置6から逐次受信する後述の変位部102の変位量の情報に基づいて、表示部41に表示する物体の外観を変化させる。変位部102の変位量の情報に基づいて、表示部41に表示する物体の外観が変化する過程は、触覚提示システム1の処理動作を示す図10および図11に示すフローチャートとともに、後述する。
【0026】
触覚提示装置6は、情報処理端末4の表示部41に表示される映像に含まれる物体の触覚を使用者に提示する。触覚提示装置6は、図3に示すように、使用者の手に収まる形状および大きさに形成されており、使用者の手に操作されることができる。
【0027】
触覚提示装置6は、図2図3および図5に示すように、変位部102、回転軸103、磁気粘性流体装置104、ケーシング105、支軸109、変位量検知部111(図5参照)、電池部201(図5参照)、装置側制御部202(図5参照)、装置側無線通信部203(図5参照)、装置側記憶部204(図5参照)等を有している。また、触覚提示装置6は、持ち部106を有している。
【0028】
変位部102は、使用者の操作によってケーシング105に対して変位するように設けられている。変位部102は、一端部が、ケーシング105の一端側(使用者から視て手前側)に軸支されている支軸109に回動自在に支持されている。変位部102は、支軸109回りに回動してケーシング105に対して接近または離反する。変位部102は、円弧状に湾曲した湾曲板を含んで構成されている。変位部102が使用者の操作力によって回動されると、その操作力は、リンク機構110を介して、回転部である回転軸103に伝達される。
【0029】
変位部102は、所定範囲内で回動できるように構成されている。本実施形態では、変位部102には、リターンスプリング等が設けられていない。そのため、触覚提示装置6を使用するに当たっては、例えば図3に示すように、使用者の人差し指125と変位部102とを例えば面ファスナー付結束具112を使用して結束することが好ましい。これにより、使用者は、変位部102を指先によってケーシング105側に押し込んだ後、再び元の位置に引き戻すことができる。
【0030】
リンク機構110は、変位部102の支軸109回りの回動と回転軸103の回動とを連動させるように構成されている。さらに、リンク機構110には、図示されていないワンウェイクラッチが介在している。ワンウェイクラッチは、使用者によって変位部102がケーシング105側に押し込まれる際に、変位部102からリンク機構110を介して伝達される操作力を回転軸103および磁気粘性流体装置104に伝達する。一方、ユーザによって変位部102がケーシング105側から引き戻される際は、ワンウェイクラッチは、変位部102からリンク機構110を介して伝達される操作力を回転軸103および磁気粘性流体装置104に伝達しない。
【0031】
磁気粘性流体装置104は、変位部102の変位に伴って回転する回転軸103を有するとともに、入力された電流によって磁気粘性流体に磁場を印加することにより回転軸103に回転抵抗が生じるように構成されている。磁気粘性流体装置104は、回転軸103に回転抵抗を与えることにより、変位部102に回動抵抗(変位抵抗)を与える。本実施形態における磁気粘性流体装置104は、電池部201および装置側制御部202から供給される電流の大きさに応じた強さの磁場を磁気粘性流体に印加することにより、電流の大きさに応じた回転抵抗を回転軸103に与える。この磁気粘性流体装置104の外形は略円柱状に形成されており、その一方の端面から回転軸103が突出している。磁気粘性流体装置104の内部構造の具体例については後に詳述する。なお、回転軸103の軸線と支軸109の軸線とは略平行になっている。
【0032】
ケーシング105は、内部に収容部107を有している。この収容部107には、磁気粘性流体装置104、変位量検知部111、電池部201、装置側制御部202、装置側無線通信部203、装置側記憶部204等が収容されている。収容部107のうち、磁気粘性流体装置104を収容する部分は、磁気粘性流体装置104の外周部(後述するケース133)が嵌まり込む形状になっている。
【0033】
ケーシング105の外形は、略円柱状に形成され、図2に示すように、その一部から外側(使用者から視て手前側)に向かって支持アーム113が延出している。支持アーム113の先端部には、既述した支軸109が架設されている。
【0034】
持ち部106は、磁気粘性流体装置104において、使用者が、変位部102を操作しながら、指で挟み持つことができる部分である。持ち部106は、図3に示すように、変位部102と、ケーシング105の変位部102と反対側の側部126とによって形成されている。使用者は、ケーシング105の変位部102と反対側の側部126に親指123を沿わせ、人差し指125を変位部102に沿わせることで、磁気粘性流体装置104を挟み持つことができる。これにより、使用者は、磁気粘性流体装置104を手に持ちながら、人差し指125で変位部102を操作することができる。
【0035】
磁気粘性流体装置104の構成例を図4に基づいて説明する。図4に例示する磁気粘性流体装置104は、回転部を構成する回転軸103、円板128、ヨーク129,130、コイル131、磁気粘性流体132、ケース133等で構成されている。
【0036】
円板128は、磁気粘性流体装置104の内部で回転する内部ロータであって磁性体を用いて構成されている。円板128の裏面128bの中心部には、回転軸103が垂直に接続されている。したがって、円板128と回転軸103は一体に回転する。回転軸103は、ベアリング135を介してヨーク130に設けられた軸穴136に支持されている。なお、回転軸103には非磁性体が用いられることが望ましい。
【0037】
ヨークは、第1ヨーク129および第2ヨーク130で構成されている。第1ヨーク129は、円板128の表面128aに対して微小隙間を介して対向しており、円板状の部材で構成されている。この第1ヨーク129は、円筒状のケース133に嵌め込まれて固定されている。
【0038】
第2ヨーク130は、円板128の裏面128bに対して微小隙間を介して対向する対向面130aを有する。この第2ヨーク130は、円筒状のケース133の内側に嵌め込まれて固定されている。なお、磁気粘性流体装置104の外周部であるケース133は、ケーシング105に対して回転しないように固定されている。本実施形態では図2に示すように、ホーローセット127を用いてケース133がケーシング105に対して固定されている。
【0039】
第1ヨーク129の中心部に形成された凹部と、回転軸103の端面の中心に形成された凹部とで形成されるスペースに非磁性体からなる球体137が収容されている。
【0040】
コイル131は、第2ヨーク130に形成された環状の溝に沿って配設されている。このコイル131には、装置側制御部202から電流が入力される。
【0041】
磁気粘性流体132は、円板128と、第1ヨーク129および第2ヨーク130との隙間に封入されている。この磁気粘性流体132は、磁性粒子を分散媒に分散させてなる液体である。磁性粒子として、例えばナノサイズの金属粒子(金属ナノ粒子)からなるものを使用することができる。磁性粒子は磁化可能な金属材料からなり、金属材料に特に制限はないが軟磁性材料が好ましい。軟磁性材料としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル及びパーマロイ等の合金が挙げられる。分散媒は、特に限定されるものではないが、一例として疎水性のシリコーンオイルを挙げることができる。磁気粘性流体における磁性粒子の配合量は、例えば3~40vol%とすることができる。磁気粘性流体にはまた、所望の各種特性を得るために、各種の添加剤を添加することも可能である。
【0042】
上記構成を備える磁気粘性流体装置104において、コイル131に電流が印加されると、例えば図4に示す矢印Pが示す方向に沿って円板128、第1ヨーク129、第2ヨーク130内に磁路が形成される。この磁路は、円板128の表面128aと第1ヨーク129との隙間に介設する磁気粘性流体132、および、円板128の裏面128bと第2ヨーク130との隙間に介在する磁気粘性流体132を貫通する。これにより、磁気粘性流体132には、磁場の強さに応じた粘度(ずり応力)が発現し、円板128とヨーク129,130との間で伝達されるトルクが磁場の強さに応じて大きくなる。すなわち、磁気粘性流体装置104は、コイル131に印加される電流値に応じた大きさの回転抵抗を回転軸103に与える。
【0043】
回転軸103の周囲には、回転軸103の回転角度を検知する変位量検知部111が設けられている。これにより、変位量検知部111は、回転軸103にリンク機構110を介して連動する変位部102の変位量を検知することができる。変位量検知部111は、回転軸103の回転角度の変化に応じて、任意の変位量を検知することができる。
【0044】
電池部201は、磁気粘性流体装置104、変位量検知部111、装置側制御部202、装置側無線通信部203および装置側記憶部204に電流を供給する。
【0045】
装置側制御部202は、電池部201から磁気粘性流体装置104に入力する電流を制御する。具体的には、装置側制御部202は、装置側無線通信部203が情報処理端末4から受信した触覚提示情報上で変位部102の変位量に対応付けられた電流値、周波数およびduty比からなる電流を磁気粘性流体装置104に入力する。装置側制御部202は、磁気粘性流体装置104に入力する電流を制御することにより、回転軸103に付与する回転抵抗、すなわち変位部102の変位抵抗を制御することができる。
【0046】
また、装置側制御部202は、変位量検知部111が検知した変位部102の変位量の情報を装置側無線通信部203を介して情報処理端末4に逐次送信する。
【0047】
装置側無線通信部203は、情報処理端末4と無線通信する。装置側無線通信部203は、具体的には、情報処理端末4の端末側無線通信部46と無線通信する。装置側無線通信部203は、例えばブルートゥース(登録商標)を用いて無線通信する。
【0048】
装置側記憶部204は、装置側無線通信部203を介して情報処理端末4から受信した触覚提示情報を記憶する。装置側記憶部204は、例えば、RAMである。
【0049】
以上の構成を備える触覚提示装置6を使用する場合、図3に示すように、触覚提示装置6を指で挟み持ちながら、変位部102を人差し指125で押し込み、または、引き戻す操作を行う。変位部102を押し込むときは、変位部102が受けた操作力がワンウェイクラッチを介して磁気粘性流体装置104に伝達されるため、変位部102を押し込む動きに対して、磁気粘性流体装置104に入力される電流に応じた抵抗が発生し、その抵抗が触覚として使用者に提示される。逆に、変位部102を引き戻す際は、変位部102が受けた操作力がワンウェイクラッチから磁気粘性流体装置104側に伝達されないため、変位部102を引き戻す動きに対して殆ど抵抗が発生しない。このため、使用者は変位部102を引き戻すときは軽い力で引き戻すことができる。
【0050】
ここで、触覚提示情報について、説明する。触覚提示情報は、図6に示すように、変位部102の多数の変位量、すなわち回転軸103の多数の回転角度のそれぞれに対して対応付けられた、磁気粘性流体装置104に入力する電流の多数のパラメータ情報を示す表である。電流のパラメータ情報とは、電流値、周波数およびduty比からなるパラメータである。例えば、図6に示すように、回転軸103の回転角度が0°以上10°未満のとき、電流値がX0、周波数がY0、duty比がZ0となる電流のパラメータ情報が対応づけられている。回転軸103の回転角度が10°以上20°未満のとき、電流値がX1、周波数がY1、duty比がZ1となる電流のパラメータ情報が対応づけられている。同様に、他の回転角度についても、電流値、周波数およびduty比が対応付けられている。この触覚提示情報を装置側制御部202が装置側記憶部204に照会しながら、装置側制御部202は、その時の回転角度に対して対応付けられた電流を磁気粘性流体装置104に入力する。なお、本明細書において、X0、Y0、Z0等は、変数ではなく定数である。
【0051】
次に、触覚提示システム1において実行される処理動作について図10および図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
まず、触覚提示システム1の使用者は、触覚提示装置6の電源を入れる(S1)とともに、情報処理端末4上でアプリを起動させる(T1)。これにより、図7に示すように、情報処理端末4の端末側制御部47が表示部41に、使用者が触覚の提示を希望した場合に触覚を提示することが可能な複数の物体(図7の物体A、物体Bおよび物体C)の選択画像を表示する(T2)。
【0053】
使用者は、表示部41に表示された画像に含まれる複数の物体のいずれかをタッチすることで、触覚の提示を希望する物体(図7の物体A)を選択する。これにより、物体指定受付部42が、触覚を提示すべき物体の指定を受け付ける(T3)。物体指定受付部42は、端末側制御部47に、指定を受け付けた物体を通知する。
【0054】
端末側制御部47は、指定を受け付けた物体(物体A)の触覚提示情報を触覚提示情報取得部43を介して、外部サーバ2に要求し(T4)、外部サーバ2は、情報処理端末4から、指定を受け付けた物体(物体A)の触覚提示情報の要求を受信する(U1)。
【0055】
外部サーバ2は、要求された物体(物体A)の触覚提示情報を情報処理端末4に送信し(U2)、情報処理端末4の触覚提示情報取得部43は、物体指定受付部42が指定を受け付けた物体(物体A)の触覚提示情報を、外部サーバ2から受信して取得する(T5)。なお、外部サーバ2は、触覚提示情報の送信後、待機状態となる。
【0056】
触覚提示情報取得部43が取得した触覚提示情報は、端末側制御部47により図5に示す第1端末側記憶部44に記憶され、さらに端末側制御部47により第2端末側記憶部45に記憶される。
【0057】
つぎに、端末側制御部47は、図8に示すように、指定を受け付けた物体(物体A)を表示部41に表示する(T6)。また、端末側制御部47は、第2端末側記憶部45に記憶された物体(物体A)の触覚提示情報を、端末側無線通信部46を介して触覚提示装置6に送信する(T7)。なお、上記T6の処理動作と上記T7の処理動作は順序が逆になってもよし、同時に実行されてもよい。
【0058】
装置側無線通信部203は、端末側無線通信部46が送信した物体(物体A)の触覚提示情報を受信する(S2)。受信された触覚提示情報は、装置側記憶部204に記憶される。
【0059】
つぎに、使用者が変位部102を操作することにより(S3)、変位部102がケーシング105に接近するように変位すると、その操作力がリンク機構110を介して、磁気粘性流体装置104の回転軸103を回転させる。このとき、変位量検知部111は、変位部102の変位量を検知する(S4)。変位量検知部111は、検知した変位量の情報を装置側制御部202に伝送する。
【0060】
装置側制御部202は、装置側記憶部204に記憶されている触覚提示情報から、変位量検知部111が検知した変位量に対応付けられた電流値、周波数およびduty比を読み出し、読み出した情報からなる電流を磁気粘性流体装置104に入力する(S5)。
【0061】
また、装置側制御部202が、変位量検知部111から伝送された変位量の情報を装置側無線通信部203を介して情報処理端末4に送信し(S6)、情報処理端末4の端末側制御部47は、端末側無線通信部46を介して変位量の情報を受信する(T8)。なお、上記S5の処理動作と上記S6の処理動作は、順序が逆になってもよし、同時に実行されてもよい。
【0062】
端末側制御部47は、装置側制御部202から受信した変位量の情報に基づいて、例えば図9に示すように、表示部41に表示する物体の外観を変化させる(T9)。
【0063】
そして、端末側制御部47は、変位部102の変位量が触覚提示情報上の最大値となっているか否かを判断する(T10)。端末側制御部47は、変位量が最大値でなければ(T10:NO)、処理をT8に戻し、変位量が最大値であれば(T10:YES)、処理をT2に戻す。
【0064】
このように、端末側制御部47は、変位量が最大値になるまで、T8からT10の処理を繰り返しながら、触覚提示装置6から逐次受信する変位量の情報に基づいて、表示部41に表示する物体(物体A)の外観を逐次変化させる。例えば、端末側制御部47は、逐次受信する変位量の情報に基づいて、物体Aが図8から図9に徐々に変化していくアニメーションを表示部41に表示する。
【0065】
装置側制御部202は、S6において変位量の情報を装置側無線通信部203を介して情報処理端末4に送信した後、変位部102の変位量が触覚提示情報上の最大値となっているか否かを判断する(S7)。装置側制御部202は、変位量が最大値でなければ(S7:NO)、処理をS4に戻し、変位量が最大値であれば(S7:YES)、磁気粘性流体装置104への電流の入力を停止させる(S8)。その後、触覚提示装置6は、待機状態となる。
【0066】
このように、装置側制御部202が、変位量が最大値になるまで、S4からS7までの処理を繰り返すことにより、使用者に変位量に応じた触覚を提示するとともに、情報処理端末4に、変位量検知部111が検知した変位量の情報を逐次送信することとなる。
【0067】
また、端末側制御部47は、変位量が最大値になると処理をT2に戻すため、T2からT10までの処理を繰り返す。T2からT10までの処理の中で、情報処理端末4の端末側制御部47は、使用者が指定した物体の触覚提示情報をT7において一度だけ触覚提示装置6に送信する。すなわち、端末側制御部47は、T2からT10までの処理を繰り返す中で、T3において物体指定受付部42が物体の指定を受け付ける毎に、触覚提示装置6に、使用者が指定した物体の触覚提示情報を一度だけ送信する。
【0068】
(作用効果)
以上に説明した本実施形態に係る触覚提示システム1によれば、触覚提示装置6の装置側制御部202は、情報処理端末4から受信し触覚提示装置6の装置側記憶部204に記憶された触覚提示情報上で変位部102の変位量に対応付けられた電流値、周波数およびduty比からなる電流を磁気粘性流体装置104に入力するので、触覚提示情報を情報処理端末4から触覚提示装置6へ逐次送信することなく、触覚提示装置6の変位部102の変位量に応じた物体の触覚を使用者に提示することができる。したがって、触覚提示装置6において、変位量の情報の検知(S4参照)から変位量に応じた物体の触覚の提示(S5参照)までの処理工程に無線通信が介在しないこととなり、反応の遅延の抑制や消費電力の低減を図ることができる。これにより、触覚提示装置6の電池部201を小型化することができ、電池部201を触覚提示装置6のケーシング105内に収容することができる。
【0069】
さらに、触覚提示システム1によれば、情報処理端末4の端末側制御部47は、物体指定受付部42が物体の指定を受け付ける毎に、触覚提示装置6に触覚提示情報を一度だけ送信するので、触覚提示情報を情報処理端末4から触覚提示装置6へ送信する頻度を最小限に留めることができ、更なる消費電力の低減を図ることができる。
【0070】
さらに、触覚提示システム1によれば、触覚提示装置6の装置側制御部202は、情報処理端末4に、変位量検知部111が検知した変位量の情報を逐次送信し、端末側制御部47は、触覚提示装置6から逐次受信する変位量の情報に基づいて、表示部41に表示する物体の外観を変化させるので、使用者は、触覚提示装置6の変位部102を変位させると、直ちに情報処理端末4の表示部41に表示される物体の外観が変化することとなり、当該物体に仮想的に触れていることを視覚的にも認識することができる。
【0071】
(変形例)
次に、上記の実施形態に係る触覚提示システム1の変形例を説明する。各変形例については、上記の実施形態に係る触覚提示システム1との相違点のみを説明し、触覚提示システム1における各装置・各部と同じ機能を果たす同じ装置・部については同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、情報処理端末4がスマートフォンであることを前提として説明を行ったが、情報処理端末4は、スマートフォンに限定されず、例えば、ヘッドマウントディスプレイ装置やパーソナルコンピュータであってもよいし、ゲーム機であってもよい。
【0073】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、触覚提示情報は、変位部102の多数の変位量のそれぞれに対して、電流値、周波数およびduty比が対応付けられたものであったが、電流値、周波数またはduty比が対応付けられたものであってもよい。すなわち、電流のパラメータ情報は、電流値、周波数およびduty比のうちの少なくとも1つからなるものであってもよい。
【0074】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1は、外部サーバ2を備えていたが、外部サーバ2を備えていなくてもよい。上記の実施形態では、情報処理端末4の端末側制御部47は、外部サーバ2に、指定を受け付けた物体毎の触覚提示情報を要求していたが、例えば、第1端末側記憶部44に予め複数の物体の触覚提示情報が記憶されていて、第1端末側記憶部44に、指定を受け付けた物体毎の触覚提示情報を要求してもよい。すなわち、情報処理端末4にアプリをインストールする際に第1端末側記憶部44に記憶される情報の中に複数の物体の触覚提示情報が含まれていてもよい。この場合、触覚提示情報取得部43は、第1端末側記憶部44から、指定を受け付けた物体毎の触覚提示情報を取得する。
【0075】
また、触覚提示システム1が外部サーバ2を備えない場合において、触覚提示情報は、例えば、紙等に表示されたQRコード(登録商標)に含まれるものであってもよい。この場合、情報処理端末4の触覚提示情報取得部43は、情報処理端末4のカメラ装置であってもよい。
【0076】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、物体指定受付部42は表示部41が兼ねており、使用者が触覚の提示を希望する物体の選択(指定の受付)は、図7に示すように、情報処理端末4の表示部41に表示された複数の物体をタッチすることによって行われていたが、例えば、使用者が情報処理端末4のカメラ装置を、触覚の提示を希望する物体に向けることによって物体の選択が行われてもよい。すなわち、情報処理端末4の物体指定受付部42は、情報処理端末4のカメラ装置であってもよい。
【0077】
また、物体指定受付部42は表示部41が兼ねている場合において、表示部41に表示される画像(物体選択画像)は、図7に示す各物体の形状を表す画像に限定されず、各物体の名前や説明文等のテキストであってもよい。
【0078】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、情報処理端末4の触覚提示情報取得部43は、図10のT4において、指定を受け付けた物体のみの触覚提示情報を外部サーバ2に要求しているが、使用者が触覚の提示を希望した場合に触覚を提示することが可能な複数の物体(図7に示す物体A、物体Bおよび物体C)の触覚提示情報の全てを外部サーバ2に要求してもよい。この場合、外部サーバ2は、要求された全ての物体の触覚提示情報を情報処理端末4に送信する。
【0079】
また、情報処理端末4の触覚提示情報取得部43は、触覚提示情報のみを取得するものに限定されず、例えば、指定を受け付けた物体の画像データを取得するものであってもよい。
【0080】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、端末側無線通信部46および装置側無線通信部203は、いずれもブルートゥース(登録商標)を用いて互いに無線通信するものであったが、これに限定されずその他の無線通信方式を用いるものであってもよく、例えばWi-Fi(登録商標)を用いて互いに無線通信するものであってもよい。
【0081】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、触覚提示装置6は、検知部として変位量検知部111のみを有しているが、他の検知部を更に有しているものであってもよい。例えば、触覚提示装置6は、使用者の体温を検知する体温検知部、変位部102の変位速度を検知する変位速度検知部、変位部102を操作する指にかかる圧力を検知する圧力検知部、回転軸103にかかるトルクを検知するトルク検知部、回転軸103にかかるせん断力を検知するせん断力検知部を有しているものであってもよい。装置側制御部202は、それらの検知部が検知した情報を装置側無線通信部203を介して情報処理端末4に送信することにより、情報処理端末4の端末側制御部47は、表示部41に表示される画像に含まれる物体の外観において、体温情報に基づいて物体の色の変化を生じさせて使用者の体温を表現し、変位速度情報に基づいて物体の変形速度を表現し、圧力情報、トルク情報またはせん断力情報に基づいて物体の動きにくさ(硬さ)を表現することができる。
【0082】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、図11のT9において、変位量の情報に基づいて物体の外観が変化するものであるが、物体の外観の変化を図9に示すように表示部41に表示される物体の画像のみで表現するものに限定されず、物体が潰れていく様子を表す効果音を鳴らして表現してもよいし、表示部41にテキストを表示して表現してもよい。
【0083】
また、上記の実施形態に係る触覚提示システム1では、情報処理端末4は、第1端末側記憶部44と第2端末側記憶部45とを共に有していたが、どちらか一方のみを有しているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、例えば、情報処理端末の表示部に表示される映像に含まれる物体の触覚を使用者に提示する触覚提示システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 触覚提示システム
4 情報処理端末
42 物体指定受付部
43 触覚提示情報取得部
46 端末側無線通信部
47 端末側制御部
6 触覚提示装置
102 変位部
104 磁気粘性流体装置
111 変位量検知部
202 装置側制御部
203 装置側無線通信部
204 装置側記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11