(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118345
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】打栓式キャップ、及び蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/12 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
B65D47/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021256
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100226023
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 博
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC04
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC04
3E084FA09
3E084FC01
3E084GA08
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】
打栓強度が大きい打栓式キャップを提供すること。
【解決手段】
樹脂製の打栓式キャップであって、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、高密度ポリエチレン樹脂とを含み、打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量が50質量%以上である、打栓式キャップ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の打栓式キャップであって、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、高密度ポリエチレン樹脂とを含み、
前記打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量が50質量%以上である、打栓式キャップ。
【請求項2】
前記打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量が70質量%以上である、請求項1に記載の打栓式キャップ。
【請求項3】
前記打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5~30質量%である、請求項1又は2に記載の打栓式キャップ。
【請求項4】
190℃、2.16kgにおける前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが6g/10min以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の打栓式キャップ。
【請求項5】
前記高密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率が1000MPa以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の打栓式キャップ。
【請求項6】
前記高密度ポリエチレン樹脂がバイオマス由来のポリエチレン樹脂である、請求項1~5のいずれか一項に記載の打栓式キャップ。
【請求項7】
外蓋と螺合可能な雄ネジ部を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の打栓式キャップ。
【請求項8】
樹脂製の容器と、当該容器の口部に打栓されたキャップとを有し、
前記キャップが、請求項1~7のいずれか一項に記載の打栓式キャップである、蓋付き容器。
【請求項9】
前記樹脂製の容器が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項8に記載の蓋付き容器。
【請求項10】
前記ポリエチレンテレフタレートが、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含む、請求項9に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打栓式キャップ及び蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体又は液状の内容物を収容する容器の口部に打栓するキャップ(蓋)としてポリエチレン樹脂製の蓋が広く使用されている(例えば、特許文献1)。ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)がベース樹脂として幅広く用いられ、その一部を高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)等他のポリエチレン樹脂で置き換えたものなども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂として用いた樹脂製の打栓式キャップは、柔軟性があり、小さな力で容器の口部にはめられる(つまり、打栓強度が小さい)という利点があるものの、逆に外れやすい傾向がある。そのため、容器中の内圧が高まった際などに意図せずキャップが外れ、内容物が漏れる、乾燥する等する場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、打栓強度が大きい打栓式キャップを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような打栓式キャップを有する蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の打栓式キャップは、樹脂製であり、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、高密度ポリエチレン樹脂とを含み、打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量が50質量%以上である。
【0007】
上記打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量が70質量%以上であると好ましい。
【0008】
上記打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が5~30質量%であると好ましい。
【0009】
190℃、2.16kgにおける上記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが6g/10min以上であると好ましい。
【0010】
上記高密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率が1000MPa以上であると好ましい。
【0011】
上記高密度ポリエチレン樹脂がバイオマス由来のポリエチレン樹脂であると好ましい。
【0012】
上記打栓式キャップが、外蓋と螺合可能な雄ネジ部を有すると好ましい。
【0013】
本発明の蓋付き容器は、樹脂製の容器と、当該容器の口部に打栓されたキャップとを有し、上記キャップが上記打栓式キャップである。
【0014】
上記樹脂製の容器が、ポリエチレンテレフタレートを含むと好ましい。
【0015】
上記ポリエチレンテレフタレートが、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含むと好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、打栓強度が大きい打栓式キャップを提供することができる。また、本発明によれば、そのような打栓式キャップを有する蓋付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る打栓式キャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態の打栓式キャップは、樹脂製であり、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、高密度ポリエチレン樹脂とを含み、打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量が50質量%以上である。このような打栓式キャップは、打栓強度が高いため、一旦、容器の口部に嵌め込むと外れにくく、容器の内圧等による内容物の漏れを防ぐことができる。
【0019】
打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、50質量%より大きい、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、又は80質量%以上であってよく、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。例えば、打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、50質量%より大きく、95質量%以下であってよく、60~90質量%であってよい。上記打栓式キャップは、打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量が50質量%より以上であるため、高密度ポリエチレン樹脂以外のポリエチレン樹脂からなる打栓式キャップと比較して、打栓式キャップの打栓強度が高く、打栓した際に容器の口部から外れにくくなる。
【0020】
本明細書において、高密度ポリエチレン樹脂とは、JIS K6748:1995において定義される密度が0.942g/cm3以上のポリエチレン樹脂を意味する。高密度ポリエチレン樹脂は、エチレンの単独重合体及びエチレンとオレフィン化合物との共重合体のいずれであってもよい。高密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.948~0.970g/cm3であってよく、0.952~0.965g/cm3であってよい。高密度ポリエチレン樹脂の密度は、ASTM D 792若しくはJIS K6922-1若しくは2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0021】
上記オレフィン化合物としては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィンなどが挙げられる。高密度ポリエチレン樹脂におけるオレフィン化合物に由来する構造単位の含有量は、15質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、1~8質量%であってよい。
【0022】
190℃、2.16kgにおける高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、6g/10min以上であってよく、7g/10min以上であってよく、10~30g/10min以上であってよく、15~25g/10min以上であってよい。高密度ポリエチレン樹脂のMFRは、ASTM D1238若しくはJIS K6922-2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0023】
高密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は1000Mpa以上であってよく、1100Mpa以上であってよく、1200MPa以上であってよい。高密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、ASTM D2240若しくはJIS K6922-2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0024】
高密度ポリエチレン樹脂の破断伸びは、20%以下であってよく、3~15%であってよく、5~10%であってよい。高密度ポリエチレン樹脂の破断強度は、5~50MPaであってよく、15~35MPaであってよい。高密度ポリエチレン樹脂の破断伸び及び破断強度は、ASTM D638の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0025】
高密度ポリエチレン樹脂のショアD硬度は、50以上であってよく、55~80であってよく、58~75であってよい。高密度ポリエチレン樹脂のショアD硬度は、ASTM D2240若しくはJIS K 7215の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0026】
高密度ポリエチレン樹脂のアイゾッド衝撃強さは、10J/m以上であってよく、15~40J/mであってよい。高密度ポリエチレン樹脂のアイゾッド衝撃強さは、ASTM D256の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0027】
高密度ポリエチレン樹脂の0.455MPaでの荷重たわみ温度は、55℃以上、60~80℃、又は65~75℃であってよい。高密度ポリエチレン樹脂の0.455MPaでの荷重たわみ温度は、ASTM D648の試験法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0028】
高密度ポリエチレン樹脂のビカット軟化温度は、110℃以上、115~130℃、又は120~128℃であってよい。高密度ポリエチレン樹脂のビカット軟化温度は、ASTM D1525若しくはJIS K7206の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0029】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、特に制限はないが、密度が0.942未満の樹脂であってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、0.800~0.940g/cm3であってよく、0.820~0.935g/cm3であってよく、0.880~0.930g/cm3であってよく、0.900~0.925g/cm3であってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、ASTM D1505若しくはJIS K6922-1、2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0030】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、30~700MPa、50~500MPa、60~400MPa、又は65~350MPaであってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の曲げ弾性率は、JIS K 6922-2又はASTM D790の方法又はそれに準拠した方法により測定できる。
【0031】
190℃、2.16kgにおける直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、6g/10min以上であってよく、3g/10min以上であってよく、5~30g/10min以上であってよく、7~25g/10min以上であってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のMFRは、ASTM D1238若しくはJIS K6922-2の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0032】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のビカット軟化温度は、120℃以下、60~120℃、63~110℃又は、65~105℃であってよい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂のビカット軟化温度は、ASTM D1525若しくはJIS K7206の方法又はそれに準拠した方法により測定することができる。
【0033】
市販の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、LUMITAC(登録商標)43-1(東ソー株式会社製)、ノバテック(登録商標) LL UJ580(日本ポリエチレン株式会社製)、UL814(LOTTE CHEMICAL社製)等が挙げられる。
【0034】
本実施形態の打栓式キャップは、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含むため、油などの内容物に対する耐ストレスクラッキング性が高い傾向にある。ここで、耐ストレスクラッキング性とは、プラスチックを長時間、一定の応力がかかる状態で内容物中に放置し、さらにこの状態で荷重をかけ、クラックや破壊される限界の応力のことを言う。
【0035】
打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の含有量は30質量%以下であってよく、5~30質量%であってよく、10~25質量%であってよく、13~22質量%であってよい。打栓式キャップが樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含むことにより、打栓式キャップに柔軟性を付与することができる。
【0036】
打栓式キャップに含まれるポリエチレン樹脂は、バイオマス由来のポリエチレン樹脂(バイオマスポリエチレン樹脂)を含んでいてもよい。バイオマス由来のポリエチレン樹脂は、高密度ポリエチレン樹脂及び低密度ポリエチレン樹脂のいずれであってもよく、高密度ポリエチレン樹脂であってよい。ポリエチレン樹脂がバイオマス由来のポリエチレン樹脂を含む場合、化石燃料由来のポリエチレン樹脂の使用料が減少するため、環境負荷を低減することができる。
【0037】
バイオマスポリエチレン樹脂としては、植物由来のバイオマスポリエチレン樹脂が挙げられる。植物由来とは、植物を発酵させて得られたアルコールを原料として合成されたエチレンを重合して得られたポリエチレン樹脂を意味する。すなわち、植物由来のバイオマスポリエチレン樹脂は、植物由来の炭素を含むことを意味する。原材料の植物としては、特に限定するものではないがトウモロコシ、サトウキビ、ビート、マニオク、キャッサバなどが例示できる。
【0038】
バイオマスポリエチレン樹脂である高密度ポリエチレン樹脂としては、SHA7260(Braskem社製、バイオマスプラスチック度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)、SHC7260(Braskem社製、バイオマス度:94%、密度:0.959g/cm3、MFR:7.2g/10分)等が挙げられる。バイオマスポリエチレン樹脂である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂としては、SLL318(Braskem社製、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)等が挙げられる。バイオマスポリエチレン樹脂である低密度ポリエチレン樹脂としては、SBC818(Braskem社製、バイオマス度:95%、密度:0.918g/cm3、MFR:8.3g/10分)等が挙げられる。なお、樹脂のバイオマス度は、ASTM D6866の方法により測定することができる。高密度ポリエチレン樹脂がバイオマス由来のポリエチレン樹脂である場合、打栓強度をより高め、且つ開栓トルクを維持できる傾向にある。
【0039】
打栓式キャップに含まれる樹脂全体のバイオマス度は、10%以上であってよく、15%以上であってよく、20%以上であってよい。
【0040】
本実施形態の打栓式キャップは、容器の口部に打栓されるためのキャップである。当該打栓キャップは、開口を有していてよい。開口は、ノズル等の注出口であってよい。打栓式キャップは、容器の中栓であってもよい。容器としては、特に制限はないが、樹脂製の容器であってよい。容器の材質である樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂などが挙げられる。容器に収容される内容物としては、ドレッシング等の液状の調味料、飲料などが挙げられる。
【0041】
図1は、本実施形態の打栓式キャップ1の一例を示す斜視図である。打栓式キャップ1は、容器の口部に嵌合されるための嵌合部2を有する。嵌合部2は、打栓式キャップが打栓された際に容器の口部を閉塞する閉塞部2Aと、嵌合部2の側壁を構成し、打栓された際に容器の口部と当接するフランジ部2Bとを有する。閉塞部2A上には雄ネジ部3が設けられており、外蓋と螺合可能である。雄ネジ部3の上端中央には注出筒部4が設けられており、注出筒部4から容器の内容物を注出することが可能である。
【0042】
本実施形態の打栓式キャップは、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、高密度ポリエチレン樹脂とを含む樹脂組成物から形成される。樹脂組成物は、樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂と、高密度ポリエチレン樹脂とを含む樹脂組成物以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂等が挙げられる。その他の樹脂の含有量は、打栓式キャップに含まれる樹脂の総量に対して15質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってよい。
【0043】
樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、着色剤、滑り材、各種フィラーなどの各種添加剤を配合してもよい。樹脂組成物に含まれる添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して15質量部以下であってよく、10質量部以下であってよく、5質量部以下であってよい。打栓式キャップの開栓トルクを下げる目的の場合、樹脂組成物における滑り材の含有量は、5質量部以下であってよく、0.01~3質量部であってよく、0.05~2.5質量部であってよく、0.5~2.5質量部であってよい。また、打栓式キャップの開栓トルクを高く維持する場合、樹脂組成物における滑り材の含有量は、樹脂組成物に含まれる樹脂100質量部に対して1.5質量部以下であってよく、1質量部以下であってよく、0.5質量部以下であってよく、0.3質量部以下であってよく、0.1質量部以下であってよい。滑り材は、シリコーンを含むと好ましく、樹脂と樹脂に充填されたシリコーンを含んでいてよい。
【0044】
本実施形態の打栓式キャップを装着する容器としては、特に限定されないが、樹脂製、ガラス製等であってよく、樹脂製の容器であってよい。つまり、本実施形態の蓋付き容器は容器と、当該容器の口部に打栓されたキャップを有していてよい。容器に含まれる樹脂としては、樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。樹脂は、機械強度などの点から、PETを含むことが好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート樹脂であってよく、バイオマス由来のものと石油由来のものを併用してもよい。
PETとしては、化石燃料由来のPET、及び、植物由来のPETが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。PETが植物由来のPETを含む場合、ボトルの機械的強度の低下及び外観の劣化を抑制することができる。PETが植物由来のPETを含む場合、化石燃料由来のPETの使用量が減少するため、環境負荷を低減することができる。
【0045】
本実施形態では、容器と、容器の口部に打栓された上記打栓式キャップとを備える組み合わせ品も提供する。当該組み合わせ品は、更に打栓式キャップを覆う外蓋を有していてよい。外蓋は容器に装着されていてもよく、打栓式キャップが雄ネジ部を有する場合、当該雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部により打栓式キャップに螺合されていてもよい。外蓋は樹脂製であってよい。外蓋に含まれる樹脂としては、特に制限はないが、熱可塑性樹脂であってよく、ポリオレフィン樹脂であってよく、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂の少なくとも一方であってよく、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂の混合物であってもよい。ポリエチレン樹脂としては、バイオマス由来のポリエチレン樹脂であってよく、高密度ポリエチレン樹脂であってよい。
【実施例0046】
(キャップの作製)
表1に示す組成で直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)と、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)とを混合して得られた樹脂組成物を調製し、押出成形を行うことにより
図1に示す形状の打栓式キャップを作製した。なお、表1における略称は以下のものを示す。なお、表1におけるバイオマス度は、打栓式キャップ全体のバイオマス度である。
SHA7260:バイオマス高密度ポリエチレン樹脂
UL814:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
43-1:LUMITAC(登録商標) 43-1、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
UJ580:ノバテック(登録商標) LL UJ580、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
着色剤:TET29780(クリーム)、東洋インキ株式会社製
ML-950:シリコーンマスターバッチ、株式会社ヘキサケミカル製
【0047】
(打栓強度)
打栓強度は、圧縮試験機(株式会社島津製作所製、型式:オートグラフ AGS-X 5kN)を使用して測定した。具体的には、ポリエチレンテレフタレート製のボトルの口部に実施例及び比較例の各打栓式キャップを置き、打栓式キャップに治具を被せ、圧縮試験機により治具を介して打栓式キャップを押し込んだ際の最大試験力(N)を測定した。測定は、各実施例及び比較例毎に16個のサンプルについて行い、その平均値を打栓強度とした。結果を表1に示す。なお、測定条件は、降下スピード:10mm/分、圧縮方向のボトルの歪量:3.5mmであった。また、ボトルは、バイオマス由来のPET(商品名「PAPET BIO BCB80」、LOTTE CHEMICAL社製)と緑着色マスターバッチ(商品名「PT-RM-SAB 16C2125 TGN」、大日精化工業製)とを=95.2:4.8(質量比)で混合した樹脂組成物から形成したものである。
【0048】
(開栓トルク)
打栓式キャップをボトルの口部に打栓し、装着して得られた中栓付ボトルに樹脂製の外蓋を装着した。外蓋は、打栓式キャップの雄ネジに外蓋の雌ネジを螺合することにより装着された。外蓋が装着されたボトルの開栓トルクをデジタルトルクメータ(株式会社東日製作所製、型式:2TME1000CN2)を使用して測定した。開栓トルクは、各測定におけるトルクの最大値である。測定は、各実施例及び比較例毎に16個のサンプルについて行い、その平均値を開栓トルクとした。結果を表1に示す。なお、外蓋は、ポリプロピレン樹脂及びバイオマス高密度ポリエチレン樹脂とを含む樹脂組成物から形成されたものである。
【0049】
【0050】
実施例1~3と比較例1及び2との対比から明らかなように、本実施形態の打栓式キャップは、打栓強度に優れていた。そのため、打栓式キャップが容器から外れにくく、内容物の膨圧等による打栓式キャップのずれ等を抑制することができる。また、実施例1及び2と比較例1及び2とを対比すると、実施例1及び2では、十分な開栓トルクを維持できており、輸送中などの振動によって外蓋が外れることを十分に抑止できる。なお、開栓のしやすさを重視する用途では、実施例3のように滑り材を添加することにより打栓強度を維持したまま開栓トルクを大きく下げることもできる。