(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118354
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】作業台荷重検出装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20230818BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B66F9/24 M
B66F11/04
B66F9/24 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021267
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕也
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB01
3F333AB04
3F333AC01
3F333AC08
3F333BD02
3F333FA09
3F333FD03
3F333FD06
3F333FG01
(57)【要約】
【課題】作業台の荷重の変化に即した荷重検出が可能となる作業台荷重検出装置を提供する。
【解決手段】ブーム側垂直部材41、上部水平リンク部材42、下部水平リンク部材43および作業台固定部材52によって構成される平行リンク機構において、ブーム側垂直部材41と作業台固定部材52との間に取り付けられ、作業台の荷重に応じて収縮するばね60と、ばね60の伸縮に伴う作業台の上下方向の変位を伝達する伝達機構61Rと、伝達機構によって伝達された作業台の変位に応じた信号を出力するポテンショメータ62Rと、を備え、ポテンショメータ62Rから出力された信号に基づいて作業台の荷重を検出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上に起伏自在に設けられたブームの先端部に平行リンク機構を介して作業台を取り付けて構成される高所作業車において前記作業台の荷重を検出する作業台荷重検出装置であって、
前記平行リンク機構は、前記ブームの先端に枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直部材と、前記ブーム側垂直部材に基端側が枢結されて水平方向に延びる上部水平リンク部材と、前記上部水平リンク部材の先端側に枢結されて垂直方向に延び、前記作業台が固定される作業台側垂直部材と、前記上部水平リンク部材の下側に位置して水平方向に延び、基端側が前記ブーム側垂直部材に枢結され、先端側が前記作業台側垂直部材に枢結された下部水平リンク部材と、により構成され、前記ブーム側垂直部材に対して前記作業台が上下方向へ変位可能であり、
前記ブーム側垂直部材と前記作業台側垂直部材との間に取り付けられ、前記作業台の荷重に応じて収縮するバネ部材と、
前記バネ部材の伸縮に伴う前記作業台の上下方向の変位を伝達する伝達機構と、
前記伝達機構によって伝達された前記作業台の変位に応じた信号を出力する変位信号出力器と、を備え、
前記変位信号出力器から出力された信号に基づいて前記作業台の荷重を検出することを特徴とする作業台荷重検出装置。
【請求項2】
前記作業台に対して下方から上方へ荷重が付与されたことにより前記バネ部材の収縮量が減少して前記作業台が上方へ変位した場合は、前記変位信号出力器から出力された信号に基づいて前記作業台に付与された下方から上方への荷重を検出することを特徴とする請求項1に記載の作業台荷重検出装置。
【請求項3】
前記変位信号出力器は、回転軸を備え、当該回転軸の回転角度に応じた電気信号を出力するロータリー型ポテンショメータであり、
前記伝達機構は、前記ポテンショメータの回転軸に一方端部が固定されたクランク部材と、
前記クランク部材の他方端部に一方端部が回転自在に取り付けられ、前記作業台側垂直部材に他方端部が回転自在に取り付けられた連結部材と、により構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業台荷重検出装置。
【請求項4】
前記変位信号出力器は、直線的に移動可能な摺動子を備え、当該摺動子の移動量に応じた電気信号を出力するリニア型ポテンショメータであり、
前記伝達機構は、前記作業台側垂直部材に固定され、前記作業台の上下方向の変位に応じて前記摺動子を摺動させる摺動作動部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業台荷重検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体上に起伏自在に設けられたブームの先端部に平行リンク機構を介して作業台を取り付けて構成される高所作業車において、作業台の荷重を検出する作業台荷重検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高所作業車は、車輪又はクローラ装置を有して走行可能な走行体と、その走行体上に水平旋回可能に設けられた旋回台と、その旋回台に起伏および伸縮可能に設けられたブームと、そのブームの先端部に首振り可能に支持された作業台とを備えている。また、作業台に操作装置を設け、この操作装置を作業台に搭乗した作業者が操作することで、旋回台の旋回作動、ブームの起伏作動および作業台の首振り作動等の制御を可能としている。
【0003】
上述したような高所作業車を用いて高所に位置する作業対象物に対して作業を行う場合、作業者が工具や資材等と共に作業台に搭乗し、作業台に設けられた操作装置を作業者が操作することで、作業台を高所の作業対象物まで移動させることができる。このとき高所作業車には、車体を作業台の方向へ転倒させようとするモーメント(以下「転倒モーメント」と称する)が常に作用する。転倒モーメントは、作業台への積載荷重の増加やブームの伸長作動等によって増大するため、高所作業車の中には、作業台への積載荷重を検出し、検出した積載荷重に応じてブームの作動範囲を規制することにより、ブームの作動に応じて変化する転倒モーメントによって車体の安定性が損なわれないようにしたものがある。
【0004】
上述した作業台への積載荷重を検出する装置として、従来、ブームの先端部において平行リンク機構を介して作業台を上下方向に揺動可能に支持する高所作業車において、作業台から一体に延びる支持アームとブームの先端部側で平行リンク機構を支持する支持部材との間に支持バネを配設し、この支持バネの圧縮に応じてオンになるリミットスイッチを備えたものがある(例えば、特許文献1を参照)。この作業台荷重検出装置では、支持バネの圧縮により作業台が下方へ移動して支持アームがリミットスイッチをオンにしたときの作業台の積載荷重が許容荷重になるように設定されており、リミットスイッチのオン作動によって作業台の積載荷重が許容荷重を越えたこと(過積載)を検出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された作業台荷重検出装置は、リミットスイッチのオン作動により作業台の過積載を検出するため、例えば作業を開始する前の点検において、リミットスイッチが正常に作動するか否かを一人の作業員の体重だけで確認するのは困難であった。また、所定の作業領域(作業台の移動可能領域)における作業台の最大積載荷重は、車体の安定性を維持できる範囲内で転倒モーメントが最大となる位置に作業台があるときに、許容できる積載荷重に設定する必要がある。しかしながら、最大積載荷重を超えたときにリミットスイッチがオン作動して作業台の移動が規制される場合、例えば所定の作業領域内において、転倒モーメントが比較的小さくなる位置(上述した方法によって定められた最大
積載荷重を超過しても車体の安定性を損なわない位置)へ作業台を移動させる場合であっても、最大積載荷重を超えると作業台の移動が規制されてしまうので、安全性を維持することができるにも拘わらず作業領域が制限されてしまうことになる。
【0007】
そこで、より有効な作業台の移動を可能にするために、オン作動する作業台の積載荷重が異なる複数のリミットスイッチを配設し、各リミットスイッチのオン作動に基づいて(すなわち作業台の積載荷重に応じて)作業領域の拡大または縮小を行うことも考えられる。しかしながら、設置スペースなどの制約によって配設できるリミットスイッチの数が限られるため、このような方法では作業台の積載荷重に応じた作業範囲の制限をきめ細かく設定するのが困難であった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業台の荷重の変化に即した荷重検出が可能となる作業台荷重検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る作業台荷重検出装置は、車体上に起伏自在に設けられたブームの先端部に平行リンク機構を介して作業台を取り付けて構成される高所作業車において前記作業台の荷重を検出する作業台荷重検出装置であって、前記平行リンク機構は、前記ブームの先端に枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直部材(例えば、ブーム側垂直部材41)と、前記ブーム側垂直部材に基端側が枢結されて水平方向に延びる上部水平リンク部材(例えば、実施形態における上部水平リンク部材42)と、前記上部水平リンク部材の先端側に枢結されて垂直方向に延び、前記作業台が固定される作業台側垂直部材(例えば、実施形態における作業台固定部材52)と、前記上部水平リンク部材の下側に位置して水平方向に延び、基端側が前記ブーム側垂直部材に枢結され、先端側が前記作業台側垂直部材に枢結された下部水平リンク部材(例えば、実施形態における下部水平リンク部材43)と、により構成され、前記ブーム側垂直部材に対して前記作業台が上下方向へ変位可能であり、前記ブーム側垂直部材と前記作業台側垂直部材との間に取り付けられ、前記作業台の荷重に応じて収縮するバネ部材(例えば、実施形態におけるばね60)と、前記バネ部材の伸縮に伴う前記作業台の上下方向の変位を伝達する伝達機構(例えば、実施形態における伝達機構61R)と、前記伝達機構によって伝達された前記作業台の変位に応じた信号を出力する変位信号出力器(例えば、実施形態におけるポテンショメータ62R)と、を備え、前記変位信号出力器から出力された信号に基づいて前記作業台の荷重を検出する。
【0010】
また、上記構成の作業台荷重検出装置において、前記作業台に対して下方から上方へ荷重が付与されたことにより前記バネ部材の収縮量が減少して前記作業台が上方へ変位した場合は、前記変位信号出力器から出力された信号に基づいて前記作業台に付与された下方から上方への荷重を検出することが好ましい。
【0011】
また、上記構成の作業台荷重検出装置において、前記変位信号出力器は、回転軸を備え、当該回転軸の回転角度に応じた電気信号を出力するロータリー型ポテンショメータ(例えば、実施形態におけるポテンショメータ62R)であり、前記伝達機構は、前記ポテンショメータの回転軸に一方端部が固定されたクランク部材(例えば、実施形態におけるクランク部材610および上部スペーサ611)と、前記クランク部材の他方端部に一方端部が回転自在に取り付けられ、前記作業台側垂直部材に他方端部が回転自在に取り付けられた連結部材(例えば、実施形態における連結シャフト612)と、により構成されることが好ましい。
【0012】
さらに、上記構成の作業台荷重検出装置において、前記変位信号出力器は、直線的に移動可能な摺動子を備え、当該摺動子の移動量に応じた電気信号を出力するリニア型ポテン
ショメータであり、前記伝達機構は、前記作業台側垂直部材に固定され、前記作業台の上下方向の変位に応じて前記摺動子を摺動させる摺動作動部材(例えば、実施形態における作業台固定部材52の上下方向の動きを水平方向の動きに変換するリンク部材など)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る作業台荷重検出装置によれば、車体上に起伏自在に設けられたブームの先端部に平行リンク機構を介して作業台が取り付けられた高所作業車において、平行リンク機構を構成するブーム側垂直部材と作業台側垂直部材との間に取り付けられ、作業台の荷重に応じて収縮するバネ部材と、バネ部材の伸縮に伴う作業台の上下方向の変位を伝達する伝達機構と、伝達機構によって伝達された作業台の変位に応じた信号を出力する変位信号出力器と、を備え、変位信号出力器から出力された信号に基づいて作業台の荷重を検出する。このように、変位信号出力器から出力される作業台の変位に応じた信号に基づいて作業台の荷重を検出するため、作業台の荷重の変化に即した荷重検出が可能となる。
【0014】
また、上記の構成の作業台荷重検出装置において、好ましくは、作業台に対して下方から上方へ荷重が付与されたことによりバネ部材の収縮量が減少して作業台が上方へ変位した場合は、変位信号出力器から出力された信号に基づいて作業台に付与された下方から上方への荷重を検出する。これにより、例えばブームを倒伏作動させたり縮小作動させたりしたときに、作業台の底面が地面や建造物等に押し付けられるなどして作業台を上方に押し上げる力が作用した場合、その力によって減少した荷重を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る作業台荷重検出装置を備える高所作業車の外観を示す側面図である。
【
図2】上記高所作業車のブーム先端部、平行リンク機構および作業台の構成を示す側面図である。
【
図3】上記高所作業車のブーム先端部および平行リンク機構の構成を示す斜視図である。
【
図4】上記高所作業車の平行リンク機構および本発明に係る作業台荷重検出装置の構成および取付位置を示す側面図である。
【
図5】上記作業台荷重検出装置を構成する伝達機構の外観を示す斜視図である。
【
図6】作業台の荷重の変化に伴う上記作業台荷重検出装置における各部の変位について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る実施形態である作業台荷重検出装置を備えた高所作業車の一例として、
図1に自走式の高所作業車1を示す。高所作業車1は、走行可能に構成された走行体10と、走行体10の上部に設けられ、水平方向に旋回可能な旋回体20と、旋回体20の上部に設けられ、起伏可能なブーム30と、ブーム30の先端部に設けられた平行リンク機構40および作業台50とを備えて構成される。なお、
図1においてはブーム30の長さを一部省略して図示している。
【0017】
走行体10は、走行体フレーム11に回転自在に設けられた左右一対の操舵輪12と、左右一対の駆動輪13を有している。走行体フレーム11の上部中央には旋回機構15が設けられ、旋回機構15によって、旋回体20を水平方向へ旋回可能に構成されている。旋回機構15は、走行体フレーム11に固定された外輪と、この外輪に係合し、旋回体20に固定された内輪と、走行体10に設けられている各種アクチュエータに作動油を供給するためのロータリーセンタージョイント(図示略)とを有している。旋回体20の上部にはブーム30が設けられており、ブーム30は枢結ピン34を軸として上下方向に揺動
自在(起伏自在)になっている。ブーム30は、旋回体20に枢結された基端ブーム31と、基端ブーム31に入れ子式に組み合わされた中間ブーム32および先端ブーム33とを有し、これらブームが伸縮自在に構成されている。
【0018】
次に
図2を参照して、ブーム30の先端部において作業台50を支持する構成について説明する。ここで、
図2は作業台50を含むブーム30の先端部の側面を示す側面図である。なお、
図2において、
図1と同一の構成については同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0019】
図2において、先端ブーム33の先端部にはブームヘッド36が設けられており、ブームヘッド36は枢結ピン36aによって作業台支持部材38と枢結している。また、作業台支持部材38は枢結ピン37aによって先端ブーム33の内部に設けられたブーム側レベリングシリンダ(図示せず)のピストンロッド37と枢結している。そして、ブーム30の起伏作動に応じてブーム側レベリングシリンダ37を伸縮作動させて作業台50のレベリング制御を行うことで、作業台50の床面を水平に保ったままブーム30の先端に対して作業台50を上下方向に揺動させることができる。
【0020】
作業台支持部材38の先端部には、作業台50を首振り作動(水平方向へ揺動)させるための首振りモータSWMが設けられている。首振りモータSWMの内部には垂直ポスト39(
図4参照)が設けられており、垂直ポスト39は平行リンク機構40を介して作業台50を水平方向に揺動可能に支持している。そして首振りモータSWMによって垂直ポスト39を軸として平行リンク機構40を水平方向へ揺動することで、作業台50の首振り作動を可能とする。また、作業台50は平行リンク機構40によって床面を水平に保ったまま作業台支持部材38の先端部に対して上下方向に揺動自在となる。
【0021】
平行リンク機構40は、主に、垂直ポスト39に固定されるブーム側垂直部材41と、作業台50が固定される作業台固定部材52と、上部水平リンク部材42および下部水平リンク部材43とを備え、上部水平リンク部材42および下部水平リンク部材43によってブーム側垂直部材41と作業台固定部材52とを互いに連結することで構成される。作業台50には操作装置51が設けられており、作業台50に搭乗した作業者が操作装置51を操作することによって、
図1に示した走行体10の走行、旋回体20の旋回作動、ブーム30の起伏作動、および作業台50の首振り作動などの制御が可能となる。
【0022】
次に、
図3および
図4を参照して平行リンク機構40およびその周辺の構成について説明する。ここで、
図3はブーム30の先端部を斜め後方から見た斜視図であり、
図4は平行リンク機構40の構成を示す側面図である。
図3においては作業台50の図示を省略している。また、
図3および
図4において、
図1と同一の構成については同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0023】
図3および
図4に示すように、平行リンク機構40は、作業台支持部材38に設けられた垂直ポスト39に平行リンク機構40を固定するためのブーム側垂直部材41と、上部水平リンク部材42と、下部水平リンク部材43と、作業台50が固定される作業台固定部材52とによって構成される。ブーム側垂直部材41は、互いに同じ形状を有し、所定の間隔をおいて向き合うように配置された左側板411Lおよび右側板411Rと、左側板411Lおよび右側板411Rの間に水平に設けられた上部平板415および下部平板416とによって構成されている。
【0024】
図4に示すように、右側板411Rの上部にはブーム側上部枢結ピン421(
図3参照)を貫通させるための上部枢結穴412が設けられ、右側板411Rの下部にはブーム側下部枢結ピン431を貫通させるための下部枢結穴413が設けられている。また、上部
枢結穴412と上部平板415との間には、扇形状の開口部414が設けられている。なお、図示は省略するが、左側板411Lにも、右側板411Rに設けられた上部枢結穴412と、下部枢結穴413と、開口部414とに対向する位置に、上部枢結穴412、下部枢結穴413および開口部414が設けられている。また、上部平板415の上面には、
図4に示すばね60の下端部が取り付けられるばね下端受部417が形成されている。
【0025】
図3に示す方向から見た作業台固定部材52の左右の側面には、
図4に示すように上部枢結穴521および下部枢結穴522が設けられている。これら上部枢結穴521および下部枢結穴522は、作業台固定部材52の左右の側面において対向する位置に設けられている。また、上部枢結穴521および下部枢結穴522の上下方向における間隔は、ブーム側垂直部材41の左側板411Lおよび右側板411Rに設けられた上部枢結穴412と下部枢結穴413の上下方向における間隔と同じ寸法になっている。上部枢結穴521の下側には、作業台固定部材52の左側面から右側面へ至る水平板523が設けられており、水平板523の下面には、ばね60の上端部が取り付けられるばね上端受部524が形成されている。
【0026】
上部水平リンク部材42は、
図3および
図4に示すように、左上部側板420Lおよび右上部側板420Rと、ブーム側枢結ピン421および作業台側枢結ピン422とによって構成されている。左上部側板420Lおよび右上部側板420Rは、互いに同じ形状を有し、各々には
図4に示すブーム側枢結ピン421が挿入されるブーム側枢結ピン穴と、作業台側枢結ピン422が挿入される作業台側枢結ピン穴とが設けられている。これにより、左上部側板420Lおよび右上部側板420Rに設けられたブーム側枢結ピン穴の位置を、ブーム側垂直部材41の左側板411Lおよび右側板411Rに設けられた上部枢結穴412の位置に合わせ、ブーム側枢結ピン421を貫通させることでブーム側垂直部材41に上部水平リンク部材42を枢結している。また、ブーム側枢結ピン421の両端部には割りピンSPが取り付けられている。作業台50側についても、左上部側板420Lおよび右上部側板420Rに設けられた作業台側枢結ピン穴の位置を、作業台固定部材52に設けられた上部枢結穴521の位置に合わせ、作業台側枢結ピン422を貫通させてこれを固定することで作業台固定部材52に上部水平リンク部材42を枢結している。
【0027】
下部水平リンク部材43も上部水平リンク部材42と同様に、左下部側板(図示略)および右下部側板430Rと、ブーム側枢結ピン431および作業台側枢結ピン432とによって構成されている。左下部側板および右下部側板430Rは、互いに同じ形状を有し、各々には
図4に示すブーム側枢結ピン431が挿入されるブーム側枢結ピン穴と、作業台側枢結ピン432が挿入される作業台側枢結ピン穴とが設けられている。これにより、左下部側板および右下部側板430Rに設けられたブーム側枢結ピン穴の位置を、ブーム側垂直部材41の左側板411Lおよび右側板411Rに設けられた下部枢結穴413の位置に合わせ、ブーム側枢結ピン431を貫通させることでブーム側垂直部材41に下部水平リンク部材43を枢結している。また、ブーム側枢結ピン431の両端部には割りピンSPが取り付けられている。作業台50側についても、左下部側板および右下部側板430Rに設けられた作業台側枢結ピン穴の位置を、作業台固定部材52に設けられた下部枢結穴522の位置に合わせ、作業台側枢結ピン432を貫通させることで、作業台固定部材52に下部水平リンク部材43を枢結している。
【0028】
上述した平行リンク機構40には、作業台50の荷重を検出する構成として、ばね60、伝達機構61Rおよびポテンショメータ62Rが設けられている。ばね60は圧縮コイルばねであり、ブーム側垂直部材41および作業台固定部材52に、上部水平リンク部材42および下部水平リンク部材43を枢結する際に、ブーム側垂直部材41に設けられたばね下端受部417と作業台固定部材52に設けられたばね上端受部524との間に取り付けられる。ポテンショメータ62Rは、先端に雄ネジが形成された回転軸RSを有する
ロータリー型ポテンショメータであり、ブーム側垂直部材41の右側板411Rに取り付けられている。また、ポテンショメータ62Rは、回転軸RSの回動角度に応じて抵抗値が変化し、これによりポテンショメータ62Rを用いて分圧回路を構成することで、回転軸RSの回動角度に応じた電圧信号が得られるように構成されている。
【0029】
伝達機構61Rは、作業台固定部材52の上下方向の動きをポテンショメータ62Rの回転軸RSに伝達するものであり、
図5に示すようにクランク部材610、上部スペーサ611、連結シャフト612および下部スペーサ613で構成されている。クランク部材610の一方端には取付穴CHが形成されており、この取付穴CHにポテンショメータ62Rの回転軸RSを通し、
図4に示すナットNT1によって回転軸RSをクランク部材610に固定される。クランク部材610の他方端には上部スペーサ611が固定されており、上部スペーサ611は連結シャフト612の上部連結部612aと互いに回動可能に固定されている。連結シャフト612の下部連結部612bには、下部スペーサ613が回動可能に固定されている。下部スペーサ613の先端には雄ネジMCが形成されており、
図4に示すナットNT2によって作業台固定部材52に形成された取付穴BHに固定される。
【0030】
なお、
図3にはブーム側垂直部材41の左側板411Lに取り付けられたポテンショメータ62Lが図示されているが、ポテンショメータ62Lにも上述した伝達機構61Rと同様の伝達機構(図示略)が取り付けられている。
【0031】
次に
図6を参照して作業台50の荷重の変化に伴う作業台荷重検出装置の各部の変位について説明する。
図6において、
図4に示した構成と同一の構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。また、
図6において、点Aはブーム側枢結ピン421の中心位置、点A’ は作業台側枢結ピン422の中心位置、点Bはポテンショメータ62Rの
回転軸RSの中心位置、点Cは下部連結部612bの中心位置、点Dは上部連結部612aの中心位置を各々示している。また、作業台50に荷重が付与されていない状態における点Aと点A’とを結ぶ線を基準線RL1とし、作業台50にL[kg]の荷重が付与されたときの点Aと点A’とを結ぶ線をLL1とした場合において、RL1とLL1とが成す角度をθ1とする。さらに、作業台50に荷重が付与されていない状態における点Bと点Dとを結ぶ線を基準線RL2とし、作業台50にL[kg]の荷重が付与されたときの点Bと点Dとを結ぶ線をLL2とした場合において、RL2とLL2とが成す角度をθ2とする。
【0032】
作業台50に荷重が付与されると作業台固定部材52は下方向へ移動し、この移動量は伝達機構61Rによってポテンショメータ62Rの回転軸RSに対する角度θ2に変換される。これにより、ポテンショメータ62Rによって角度θ2に対応する電圧値の電圧信号が生成され、この電圧信号に基づいて、例えば図示しないコントローラにおいて作業台50に付与された荷重を検出する。この荷重の検出方法としては、例えば作業台50に付与される荷重の大きさに対する、ポテンショメータ62Rによって生成される電圧信号の電圧値の大きさの特性を予め測定しておき、測定した特性に基づいて荷重を検出することが考えられる。
【0033】
図6に示すように、作業台50に荷重が付与されたことにより作業台固定部材52は下方向へ移動した場合、前述した角度θ1よりも角度θ2の方が大きくなっている。このため、単位荷重あたりのポテンショメータ62Rの回転軸RSの回動角度が大きくなり、その結果、検出する荷重の精度を高めることができる。また、角度θ1に対する角度θ2の大きさは、ポテンショメータ62Rの回転軸RSの位置、点Bと点Dとの間の長さ(すなわちクランク部材610の長さ)、点Dと点Cとの間の長さ(すなわち連結シャフト612の長さ)、作業台固定部材52に設けられた取付穴BHの位置、ばね60の自由高さや
バネ定数などを適宜選択することで調整することができる。
【0034】
このように、本実施形態の作業台荷重検出装置は、作業台50に付与された荷重によって作業台固定部材52が下方向へ移動すると、その動きを伝達機構61Rによってポテンショメータ62Rの回転軸RSの回動運動に変換し、ポテンショメータ62Rから出力される電圧信号に基づいて作業台50に付与された荷重を検出する。これにより、作業台50に付与される荷重の大きさに対応する値が検出可能となり、かつ、荷重の変化(増加および減少)に即した荷重検出が可能となるため、作業台の積載荷重の大きさに応じた作業範囲の制限をきめ細かく設定することが可能となる。また、ポテンショメータを用いているため、例えばロードセルを用いて荷重を検出する場合に比べてコストを低減することができる。
【0035】
上述した実施形態では、ブーム側垂直部材41の右側板411Rに取り付けられたポテンショメータ62Rおよび伝達機構61Rに加えて、左側板411Lにもポテンショメータ62L(
図3参照)およびそれに対応する伝達機構(図示略)も設けている。これにより、例えばいずれか一方のポテンショメータまたは伝達機構に不具合が生じても、他方のポテンショメータおよび伝達機構によって作業台50の荷重を検出することができる。また、双方のポテンショメータから出力された電圧値を例えば平均化するなどして、検出する荷重の精度を向上させることができる。これに対して、ポテンショメータ62Lとその伝達機構は削除し、ポテンショメータ62Rおよび伝達機構61Rのみを設けてもよい。
【0036】
また、本実施形態におけるポテンショメータ62Rは、ロータリー型ポテンショメータを用いたが、直線的な移動が可能なつまみ(摺動子)を備え、当該つまみの移動量に応じて抵抗値が変化するようなリニア型ポテンショメータを用いてもよい。この場合、例えば作業台固定部材52の上下方向の動きを水平方向の動きに変換するリンク部材を用い、このリンク部材にリニア型ポテンショメータのつまみを取り付けることで、作業台固定部材52の上下方向の動きによってリニア型ポテンショメータのつまみを水平方向へ移動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
40 平行リンク機構
41 ブーム側垂直部材
42 上部水平リンク部材
43 下部水平リンク部材
50 作業台
51 作業台固定部材
60 ばね
61R 伝達機構
62R ポテンショメータ