IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通アイソテック株式会社の特許一覧

特開2023-118365発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム
<>
  • 特開-発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム 図1
  • 特開-発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム 図2
  • 特開-発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム 図3
  • 特開-発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム 図4
  • 特開-発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム 図5
  • 特開-発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118365
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20230818BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20230818BHJP
   G07B 1/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B41J5/30 B
B41J2/32 Z
G07B1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021286
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237558
【氏名又は名称】富士通アイソテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由紀夫
【テーマコード(参考)】
2C065
2C187
【Fターム(参考)】
2C065AB01
2C065AD07
2C065CZ13
2C065CZ17
2C187AC05
2C187AC08
2C187AD11
2C187BH11
2C187CD07
2C187CD08
(57)【要約】
【課題】使用される状況に対応した適切な印刷パターンを印刷して発券できる発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラムの提供を図る。
【解決手段】用紙に印刷パターンを印刷するプリンター本体1と、印刷された前記用紙の発券枚数を検知するセンサー2と、印刷された前記用紙200の発券時刻を取得するタイマー3と、前記用紙に印刷する複数の印刷パターンを格納する記憶部4(41)と、前記タイマーの出力および前記センサーの出力の少なくとも一方に基づいて、前記記憶部に格納された前記複数の印刷パターンのいずれかを選択して前記プリンター本体に出力する制御部5と、を備えるように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印刷パターンを印刷するプリンター本体と、
印刷された前記用紙の発券枚数を検知するセンサーと、
印刷された前記用紙の発券時刻を取得するタイマーと、
前記用紙に印刷する複数の印刷パターンを格納する記憶部と、
前記タイマーの出力および前記センサーの出力の少なくとも一方に基づいて、前記記憶部に格納された前記複数の印刷パターンのいずれかを選択して前記プリンター本体に出力する制御部と、を備える、
ことを特徴とする発券プリンター。
【請求項2】
前記タイマーは、前記発券プリンターの運用開始からの経過時間を計測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発券プリンター。
【請求項3】
前記制御部は、前記タイマーの出力に基づいて、所定の発券時刻を境として異なる印刷パターンを選択し、選択された前記印刷パターンを前記プリンター本体に出力する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発券プリンター。
【請求項4】
前記制御部は、前記センサーの出力に基づいて、所定の発券枚数を境として異なる印刷パターンを選択し、選択された前記印刷パターンを前記プリンター本体に出力する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発券プリンター。
【請求項5】
前記制御部は、前記タイマーの出力および前記センサーの出力の両方に基づいて印刷パターンを選択し、選択された前記印刷パターンを前記プリンター本体に出力する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発券プリンター。
【請求項6】
前記制御部は、所定の期間における発券枚数に基づいて混雑度を推定し、推定された前記混雑度に対応した印刷パターンを選択して前記プリンター本体に出力する、
ことを特徴とする請求項5に記載の発券プリンター。
【請求項7】
前記制御部は、任意のタイミングで発券される第1用紙の第1発券時刻と、前記第1用紙の直後に発券される第2用紙の第2発券時刻との時間差を算出し、算出された前記時間差に対応した印刷パターンを選択して前記プリンター本体に出力する、
ことを特徴とする請求項5に記載の発券プリンター。
【請求項8】
前記第1用紙および前記第2用紙は、連続して発券される2枚の用紙であり、前記連続して発券される2枚の用紙における前記時間差は、前記記憶部に複数格納され、
前記制御部は、前記記憶部に格納された複数の前記時間差に基いて混雑度を推定し、推定された前記混雑度に対応した印刷パターンを選択して前記プリンター本体に出力する、
ことを特徴とする請求項7に記載の発券プリンター。
【請求項9】
前記発券プリンターは、単独で機能するスタンドアローン型の発券プリンターである、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の発券プリンター。
【請求項10】
用紙に印刷パターンを印刷する発券プリンターの制御プログラムであって、
演算処理装置に、
印刷された前記用紙の発券枚数を検知し、
印刷された前記用紙の発券時刻を取得し、
検知された前記用紙の発券枚数および取得された前記用紙の発券時刻の少なくとも一方に基づいて、複数の印刷パターンのいずれかを選択して印刷する、処理を実行させる、
ことを特徴とする発券プリンターの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で言及する実施形態は、発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行や病院の受け付け、飲食店への入店、或いは、新製品の発売やイベント会場への入場を始めとする様々な場所で利用者の順番待ちが発生し、その順番待ちを整理するために発券プリンター(受付発券プリンター)が利用されている。
【0003】
発券プリンターは、例えば、受付番号,受付時刻,メッセージおよびバーコード情報等を、予め定められた所定のレイアウト(印刷パターン)に従って用紙(例えば、ロール紙)に印刷し、その印刷されたロール紙を切断して印刷物(券)を順次発行(発券)するようになっている。通常、このような発券プリンターは、実際の運用中に印刷パターンを変更することは行っておらず、同じ印刷パターンを継続的に使用している。
【0004】
これに対して、近年、順番待ちをする利用者へのサービス向上を図るために、例えば、発券プリンターを制御する上位システムにより、混雑状況に応じてメッセージを変更し、或いは、発券枚数が所定数に達したら整理券以外の特典(例えば、様々なクーポン)を付与して発券を行うといった実際の運用中に印刷パターンを変更することができる発券プリンター(発券プリンターシステム)が提案されている。
【0005】
さらに、上位システムによる制御を受けず、また、ネットワーク等に依存することなく単独で機能するスタンドアローン型の発券プリンターとして、それぞれ異なる印刷デザインを格納したメモリカードを差し替えることにより、実際の運用中に印刷パターンを変更可能としたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-154273号公報
【特許文献2】特開平11-242771号公報
【特許文献3】特開2002-133131号公報
【特許文献4】特開2008-009529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、従来、上位システムにより印刷パターンを変更することができる発券プリンターが提案されているが、このような発券プリンターは、上位システムとの間で情報(データ)を授受するための通信装置や専用のケーブル等が必要になる。そのため、発券プリンターの価格上昇を招くだけでなく、発券プリンターの設置場所やケーブルの取り回しといった面でも問題がある。
【0008】
さらに、メモリカードの差し替えにより、実際の運用中に印刷パターンを変更可能としたスタンドアローン型の発券プリンターは、例えば、オペレータが発券プリンターが設置された場所の状況を把握し、その状況に基づいて適切なメモリカードへの差し替えを行うといった煩雑な作業が必要になる。
【0009】
本実施形態は、上述した課題に鑑みてなされたもので、使用される状況に対応した適切な印刷パターンを印刷して発券できる発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態によれば、プリンター本体と、センサーと、タイマーと、記憶部と、制御部と、を備える発券プリンターが提供される。プリンター本体は、用紙に印刷パターンを印刷し、センサーは、印刷された用紙の発券枚数を検知する。
【0011】
タイマーは、印刷された用紙の発券時刻を取得し、記憶部は、用紙に印刷する複数の印刷パターンを格納する。制御部は、タイマーの出力およびセンサーの出力の少なくとも一方に基づいて、記憶部に格納された複数の印刷パターンのいずれかを選択してプリンター本体に出力する。
【発明の効果】
【0012】
本実施形態に係る発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラムによれば、使用される状況に対応した適切な印刷パターンを印刷して発券できるという効果を奏する。
【0013】
本発明の目的および効果は、特に請求項において指摘される構成要素および組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるであろう。前述の一般的な説明および後述の詳細な説明の両方は、例示的および説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る発券プリンターの一実施例を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す発券プリンターの一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す発券プリンターにより印刷された券の一例を説明するための図である。
図4図4は、図1に示す発券プリンターによる発券処理の一例を説明するための図である。
図5図5は、図1に示す発券プリンターにおける印刷パターンの変更処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、本実施形態に係る発券プリンターの一実施例におけるデータの例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る発券プリンターおよび発券プリンターの制御プログラムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る発券プリンターの一実施例を示すブロック図である。ここで、本実施例の発券プリンターは、例えば、銀行や病院の受け付け、飲食店への入店、或いは、新製品の発売やイベント会場への入場といった利用者の順番待ちが発生する様々な場所に設置される。さらに、本実施例の発券プリンターは、例えば、上位システムによる制御を受けず、また、ネットワーク等に依存することなく単独で機能するスタンドアローン型の発券プリンターである。
【0017】
図1に示されるように、発券プリンター100は、プリンター本体1,センサー2,タイマー3,記憶部4および制御部(演算処理装置)5を備え、印刷パターンが印刷された用紙(券)200を発行(発券)する。プリンター本体1は、用紙搬送モータードライバ11,用紙搬送モーター12,カッターモータードライバ13,カッターモーター14,サーマルヘッドドライバ15およびラインサーマルヘッド16を備える。
【0018】
用紙搬送モーター12は、用紙搬送モータードライバ11の出力に基づいて用紙(例えば、ロール状の感熱紙:ロール紙)を搬送し、この用紙の搬送に同期して、ラインサーマルヘッド16は、サーマルヘッドドライバ15の出力に基づいて用紙に所定の印刷パターンを印刷する。
【0019】
カッターモーター14は、カッターモータードライバ13の出力に基づいて、1枚分の用紙に対する印刷が終了したときに用紙(ロール紙)を切断し、その切断された券200を利用者に発券する。
【0020】
なお、図1では、プリンター本体1としてロール紙を使用したサーマルプリンターを適用しているが、印刷する用紙は、ロール紙に限定されず、所定サイズのカット紙であってもよく、さらに、プリンター本体1は、サーマルプリンターではなく、インクジェットプリンター等であってもよい。
【0021】
センサー2は、券200が発券されるタイミング、すなわち、利用者が印刷された券200を抜き取るタイミングを検知するもので、タイマー3の出力と関連付けることにより、利用者の混雑状況や待ち時間等を認識することができる。
【0022】
すなわち、タイマー3は、券200に発券時刻を印刷するためだけでなく、例えば、所定時間内に発券された券200の枚数(発券枚数)を算出し、若しくは、或る利用者に対して券200を発券した時刻から、その次の利用者に券200を発券した時刻までの時間差を算出するために使用される。さらに、タイマー3は、例えば、発券プリンター100の起動(運用開始)してからの経過時間を計測するためにも使用される。すなわち、発券時刻は、実際の時刻(例えば、標準時)ではなく、発券プリンター100の運用開始からの経過時間等であってもよい。これにより、発券プリンターの運用開始からの経過時間、或いは、利用者の混雑状況や待ち時間等を認識することが可能になる。
【0023】
記憶部4は、例えば、フラシュメモリやPROM(Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリ41、および、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ42を備える。不揮発性メモリ41には、例えば、制御プログラム411,印刷イメージパターン412,印刷メッセージパターン413,センサー情報414,時間経過情報415およびトリガー条件416等が格納されている。
【0024】
ここで、印刷イメージパターン412および印刷メッセージパターン413といった印刷パターンは、不揮発性メモリ41に対して、予め異なる複数の印刷パターンが格納され、これら複数の印刷パターンは、制御部5の制御に基いて選択されてプリンター本体1に出力される。
【0025】
センサー情報414は、例えば、券200の発券枚数が所定数に達したら印刷パターンを変更するといったセンサー2の出力に関連する情報である。また、時間経過情報415は、例えば、発券プリンター100を起動してから所定時間が経過したら、或いは、現在時刻が所定の時間になったら印刷パターンを変更するといったタイマー3の出力に関連する情報である。
【0026】
さらに、トリガー条件416は、例えば、センサー情報414および時間経過情報415による情報が所定の条件を満たした場合に、印刷パターンを変更するといった印刷パターン変更のトリガーに関連する条件である。
【0027】
揮発性メモリ42には、例えば、発券データ421および時間計測値422等が格納されている。発券データ421は、例えば、センサー2により検知した券200の発券枚数等のデータであり、時間計測値422は、例えば、タイマー3により計測した券200の発券時刻(発券タイミング)、或いは、発券プリンター100を起動してからの計測時間等の値である。
【0028】
制御部5は、記憶部4に格納された制御プログラム411を実行し、センサー2およびタイマー3の出力を受け取り、記憶部4との間でデータの授受を行い、プリンター本体1を制御して、その時の状況に対応した適切な印刷パターンが印刷された券200をそれぞれの利用者に対して発券する。
【0029】
図2は、図1に示す発券プリンターの一例を模式的に示す斜視図である。図2に示されるように、発券プリンター100は、例えば、銀行や病院の受け付け、飲食店への入店、或いは、新製品の発売やイベント会場への入場といった利用者が順番待ちする様々な場所に設置され、利用者は、発券プリンター100により印刷された券(用紙)200を順番に抜き取る。
【0030】
なお、図2において、発券プリンター100は、一例としてロール状の感熱紙に所定の印刷パターンを印刷した後、カッターで切断した券200を発券するサーマルプリンターとして描かれているが、必ずしもサーマルプリンターに限定されず、例えば、所定サイズのカット紙に対して印刷するインクジェットプリンター等であってもよい。
【0031】
すなわち、発券プリンター100としては、様々なプリンターを適用することができ、また、券200に使用する用紙も様々なものが適用可能である。さらに、本実施例の発券プリンターは、上位システムによる制御を受けないスタンドアローン型として適用できるため、設置場所の制限やケーブルの取り回しが不要(例えば、発券プリンターの電源プラグを商用電源のコンセントに差し込むだけで運用可能)であり、また、オペレータによるメモリカードの差し替え等の面倒な作業も不要である。
【0032】
図3は、図1に示す発券プリンターにより印刷された券の一例を説明するための図である。図3に示されるように、発券プリンター100から発券される券200には、例えば、受付番号,受付時間,待ち人数,メッセージおよびクーポン等が印刷されている。なお、図3に示す券200は、単なる例であり、例えば、他にバーコード等の一次元コードやQRコード(登録商標)等の二次元コード、或いは、様々な模様やイラスト等が印刷されてもよい。また、図3において、券200には、実際の時間(受付時間)が印刷されているが、この時間は、例えば、発券プリンター100を起動してからの経過時間であってもよく、さらに、必ずしも時間を印刷しなくてもよい。ここで、実際の受付時間や発券プリンター100を起動してからの経過時間は、タイマー3により計測されるが、例えば、発券プリンター100の起動時において実際の時間に同期させるといった処理を行うことも可能なのはいうまでもない。
【0033】
図4は、図1に示す発券プリンターによる発券処理の一例を説明するための図である。図4に示されるように、例えば、利用者Aが発券プリンター100から第1印刷パターンが印刷された用紙(券)200aを抜き取ると、センサー2およびタイマー3により、その時の時刻(時間)および発券枚数(抜き取り回数)が発券データ421および時間計測値422として揮発性メモリ42に格納される。
【0034】
ここで、制御プログラム411を実行している制御部(演算処理装置)5が、例えば、揮発メモリ42に格納された発券データ421および時間計測値422、並びに、不揮発性メモリ41に格納されたセンサー情報414,時間経過情報415およびトリガー条件416に基づいて、第1印刷パターンを第2印刷パターンに変更すると判定した場合、発券プリンター100は、それまでの第1印刷パターンを第2印刷パターンに変更し、用紙に第2印刷パターンが印刷された券200bを発券する。
【0035】
これにより、利用者Aの次の利用者Bは、発券プリンター100から第2印刷パターンが印刷された券200bを抜き取ることになる。ここで、第1印刷パターンの券100aを第2印刷パターンの券100bに変更するトリガー条件416としては、例えば、タイマー3の出力(時間計測値422)を参照して、所定の発券時刻を境として(例えば、発券時刻が16:30:00以降ならば)印刷パターンを変更する、或いは、センサー2の出力(発券データ421)を参照して、所定の発券枚数を境として(例えば、発券枚数(待ち人数)が25人以上ならば)、印刷パターンを変更するといったものが考えられる。
【0036】
また、トリガー条件416としては、例えば、発券データ421を参照して、発券プリンター100を稼働してから所定の発券枚数(例えば、発券枚数が700枚)を超えたら印刷パターンを変更する、或いは、受付番号が切りのいい数(例えば、受付番号が100,200,300,…)のときにだけ印刷パターンを変更するといったものも考えられる。
【0037】
また、トリガー条件416としては、例えば、時間計測値422を参照して、発券プリンター100を稼働してから所定の時間(例えば、稼働してから7時間30分)経過したら印刷パターンを変更する、或いは、任意の利用者に発券した時から所定の時間(例えば、30分)経過したら、印刷パターンを変更するといったものであってもよい。
【0038】
さらに、印刷パターンを変更するトリガー条件416としては、発券データ421および時間計測値422(センサー2の出力およびタイマー3の出力)の両方を参照して、利用者の混雑具合を予測し、その予測した混雑具合に対応した適切な印刷パターン(印刷イメージパターン412、および/または、印刷メッセージパターン413)を変更するといったものであってもよい。或いは、任意のタイミングで発券される第1用紙(券200)の第1発券時刻と、第1用紙の直後に発券される第2用紙の第2発券時刻との時間差、すなわち、連続して発券される2枚の用紙の時間差に基いて印刷パターンを選択して印刷してもよい。また、連続して発券される2枚の用紙の時間差を記憶部4に複数格納し、その記憶部4格納された複数の時間差に基いて混雑度を推定し、推定された混雑度に対応した印刷パターンを選択して印刷することも可能である。このように、トリガー条件416としては、発券プリンター100を適用する場所や要求される機能等に基いて様々な設定が可能である。
【0039】
図5は、図1に示す発券プリンターにおける印刷パターンの変更処理の一例を説明するためのフローチャートである。図5に示されるように、印刷パターンの変更処理の一例が開始(START)すると、ステップST1において、印刷パターン変更条件の登録を行う。例えば、前述した図1における記憶部4におけるセンサー情報414および時間経過情報415により印刷パターンの変更条件を登録、或いは、予め登録しておいた複数の印刷パターンの変更条件から最適なものを選択する。すなわち、上述したトリガー条件416の設定を行う。このトリガー条件416の設定は、例えば、発券プリンター100の初期設定時や発券プリンター100の電源投入時(運用開始時)等に行うことができる。
【0040】
次に、ステップST2において、利用者による発券要求を受け付け、ステップST3に進んで演算を行い、ステップST4に進んで、変更条件を満たしているかどうかを判定する。ここで、ステップST2における発券要求の受け付けは、例えば、利用者による発券ボタンのタッチや押圧、或いは、人感センサーによる利用者の認識等に基づいて行うことができる。
【0041】
ステップST4において、変更条件を満たしていないと判定すると、ステップST6に進んで、利用者に対して印刷パターンを変更せずに発券し、処理を終了(END)する。一方、ステップST4において、変更条件を満たしていると判定すると、ステップST5に進んで、印刷パターンを変更し、利用者に対して変更された印刷パターンの券を発券し、処理を終了(END)する。
【0042】
図6は、本実施形態に係る発券プリンターの一実施例におけるデータの例を説明するための表を示す図である。図6に示す表において、事前登録データは、例えば、図1における記憶部4の不揮発性メモリ41に格納されるデータであり、動的生成データは、例えば、図1における記憶部4の揮発性メモリ42に格納されるデータである。
【0043】
事前登録データとしては、例えば、図1を参照して説明した印刷イメージパターン(412),印刷メッセージパターン(413),発券カウント値のしきい値(センサー情報414),経過時間のしきい値(時間経過情報415),並びに,確率条件(重みづけ)および混雑度を示す管理値(トリガー条件416)等が含まれる。
【0044】
ここで、印刷イメージパターンは、例えば、印刷パターンのイメージデータリストであり、印刷メッセージパターンは、例えば、印刷するキャラクタデータのリストである。なお、発券カウント値のしきい値,経過時間のしきい値,確率条件および混雑度を示す管理値は、印刷パターンの変更条件を構成することになる。
【0045】
動的生成データとしては、例えば、発券カウント値(発券データ421),運用経過時間(時間計測値422)および混雑度等が含まれる。なお、混雑度は、例えば、発券カウント値および運用経過時間に基づいて算出される。
【0046】
ここで、発券カウント値は、例えば、センサー(抜き取り待ちセンサー)2から取得するカウントデータ、すなわち、センサー2により検知された発券枚数の値であり、運用経過時間は、例えば、受付番号”0001”が発券されたタイミングを開始時間として計測した時間計測データである。
【0047】
一例として、混雑度は、発券カウント値と運用経過時間から導き出した単位時間当たりの混雑の様子とすることができ、例えば、15分当たりの発券カウント(発券枚数)が30を超えたら「M:すぐ案内します。そのままお待ちください。」から、「N:混雑しています。ご案内まで時間がかかります。」にメッセージを変更する。
【0048】
なお、上述した発券プリンターによる処理は、演算処理装置に実行させる制御プログラムとして実施することができる。また、トリガー条件および印刷パターン等は、様々な変形および変更が可能である。さらに、本実施形態に係る発券プリンターは、上位システムによる制御を受けず、また、ネットワーク等に依存することなく単独で機能するスタンドアローン型の発券プリンターとして適用可能であるが、例えば、他の機能を実現するためにスタンドアローン型ではない発券プリンターに対しても適用することができるのは言うまでもない。
【0049】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではない。また、明細書のそのような記載は、発明の利点および欠点を示すものでもない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0050】
1 プリンター本体(サーマルプリンター)
2 センサー
3 タイマー
4 記憶部
5 制御部(演算処理装置)
11 用紙搬送モータードライバ
12 用紙搬送モーター
13 カッターモータードライバ
14 カッターモーター
15 サーマルヘッドドライバ
16 ラインサーマルヘッド
41 不揮発性メモリ
42 揮発性メモリ
100 発券プリンター
200,200a,200b 券(印刷された用紙)
図1
図2
図3
図4
図5
図6