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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118372
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】フレーム部材およびフェイスガード
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/02 20060101AFI20230818BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A61F9/02 315
A61F9/02 370
A41D13/11 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021295
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】508063200
【氏名又は名称】株式会社SCOPE
(74)【代理人】
【識別番号】100148895
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】福和 保夫
(57)【要約】
【課題】比較的簡単な作業で、フェイスガード用シールドを取り付け可能なフレーム部材を提供する。
【解決手段】フレーム部200は、装着者の眼を保護するシールド100が着脱自在に取り付けられるフェイスガード用のフレーム部材である。シールド100は、透明なプラスチックフィルムから成り、第1の貫通孔と、貫通孔114より外縁側に設けられた第2の貫通孔と、第2の貫通孔と外縁とを繋ぐスリットとが形成されたシールド本体110を備える。フレーム部200は、第1の貫通孔に嵌合する嵌合部234と、嵌合部234の近傍に設けられ、第2の貫通孔に挿通される挿通部236とを備える。挿通部236を第2の貫通孔に挿通し、かつ嵌合部234を第1の貫通孔に嵌合することにより、シールド100をフレーム部200に取り付けた状態で、シールド100のフレーム部200に対する回転が規制される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の眼を保護するフェイスガード用シールドが着脱自在に取り付けられるフェイスガード用のフレーム部材であって、
前記フェイスガード用シールドは、透明なプラスチックフィルムから成り、第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔より外縁側に設けられた第2の貫通孔と、前記第2の貫通孔と前記外縁とを繋ぐスリットとが形成されたシールド本体を備え、
前記フレーム部材は、前記第1の貫通孔に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の近傍に設けられ、前記第2の貫通孔に挿通される挿通部と、を備え、
前記挿通部を前記第2の貫通孔に挿通し、かつ前記嵌合部を前記第1の貫通孔に嵌合することにより、前記フェイスガード用シールドを前記フレーム部材に取り付けた状態で、前記フェイスガード用シールドの前記フレーム部材に対する回転が規制される
ことを特徴とするフレーム部材。
【請求項2】
前記挿通部は、前記スリットを介して前記第2の貫通孔に位置させることを特徴とする請求項1に記載のフレーム部材。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記フレーム部材から突出し、
前記挿通部は、前記嵌合部が突出する方向と略直交する方向に前記フレーム部材から突出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレーム部材。
【請求項4】
前記フェイスガード用シールドを前記フレーム部材に取り付けた状態で、前記シールド本体は、前記フレーム部材の前記嵌合部が突出する側の第1の面と、前記挿通部の前記嵌合部が突出するのと反対側の第2の面とに接触することを特徴とする請求項3に記載のフレーム部材。
【請求項5】
前記第1の面と前記第2の面とが同一平面上に位置していることを特徴とする請求項4に記載のフレーム部材。
【請求項6】
前記挿通部は、前記嵌合部が突出する方向と略直交する方向に前記フレーム部材から突出する首部と、前記首部から前記嵌合部が突出する側と同じ側に突出する頭部とを有することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のフレーム部材。
【請求項7】
前記頭部は、前記フレーム部材に対して位置固定されていることを特徴とする請求項6に記載のフレーム部材。
【請求項8】
前記首部の前記頭部との接続部分の形状は、前記第2の貫通孔の形状と略等しいことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のフレーム部材。
【請求項9】
前記フェイスガード用シールドを前記フレーム部材に取り付けた状態で正面視したとき、前記頭部の面積は、前記第1の貫通孔の面積より大きいことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のフレーム部材。
【請求項10】
前記フェイスガード用シールドを前記フレーム部材に取り付けた状態で正面視したとき、前記頭部の幅は、前記第1の貫通孔の幅より大きいことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のフレーム部材。
【請求項11】
前記フレーム部材は、長尺状をなし、
前記嵌合部は、前記フレーム部材の長手方向の中央部に位置することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のフレーム部材。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のフレーム部材と、前記フレーム部材に取り付け可能なフェイスガード用シールドとを有することを特徴とするフェイスガード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の飛散から眼を保護するために用いられるフェイスガード(スプラッシュフェイスガード、医療用フェイスガード等)のシールド(透明フィルム)を取り付けるフレーム部材、及び該フレーム部材にシールドが取り付けられたフェイスガードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術の執刀医や助手は、手術時の血液等の飛散から眼を保護するためにフェイスガードを装着している。フェイスガードは、両眼を前方から覆うフィルム状の透明なシールドを有しており、これによって血液等の飛散物から眼を保護し、眼からの血液感染を防止している。
このような、手術用のフェイスガードにおいては、感染症罹患のリスクを減らすと共に、煩雑な滅菌処理等の不要なものが望まれ、使い捨てのシールドを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
従来のフェイスガードは、シールドをフレーム部材に形成された3つのスナップ式留具で固定するものである。具体的には、シールドは、まず、中央のスナップ式留具にシールドを固定した後、左右のスナップ式留具にシールドを固定することにより、フレーム部材に取り付けられる。
しかしながら、中央のスナップ式留具にシールドを固定する作業の際には、一方の手でフレーム部材を把持しつつ、他方の手でシールドをフレーム部材に対して位置決めし、さらにスナップ式留具による固定操作を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-042750号公報
【特許文献2】特開2018-149295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来のフェイスガードでは、両手での煩わしい取り付け作業が必要となるため、この作業の途中で、シールドやフレーム部材を落下させてしまったり、シールドに不必要に指紋を付着させてしまうことがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的簡単な作業で、フェイスガード用シールドを取り付け可能なフレーム部材、及び該フレーム部材にフェイスガード用シールドが取り付けられたフェイスガードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のフレーム部材は、装着者の眼を保護するフェイスガード用シールドを着脱自在に取り付けられ、フェイスガード用シールドは、透明なプラスチックフィルムから成り、第1の貫通孔と、第1の貫通孔より外縁側に設けられた第2の貫通孔と、第2の貫通孔と外縁とを繋ぐスリットとが形成されたシールド本体を備え、フレーム部材は、第1の貫通孔に嵌合する嵌合部と、嵌合部の近傍に設けられ、第2の貫通孔に挿通される挿通部とを備え、挿通部を第2の貫通孔に挿通し、かつ嵌合部を第1の貫通孔に嵌合することにより、フェイスガード用シールドをフレーム部材に取り付けた状態で、フェイスガード用シールドのフレーム部材に対する回転が規制されることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、挿通部を第2の貫通孔に挿通し、かつ嵌合部を第1の貫通孔に嵌合することにより、フェイスガード用シールドをフレーム部材に取り付けることができるため、その取り付け操作を比較的容易に行うことができる。また、この状態で、フェイスガード用シールドのフレーム部材に対する回転が規制されるため、フェイスガード用シールドのフレーム部材に対する固定の安定性が高い。
【0008】
また、挿通部は、前記スリットを介して第2の貫通孔に位置させることが望ましい。
【0009】
また、嵌合部は、フレーム部材から突出し、挿通部は、嵌合部が突出する方向と略直交する方向にフレーム部材から突出することが望ましい。
【0010】
また、フェイスガード用シールドをフレーム部材に取り付けた状態で、シールド本体は、フレーム部材の嵌合部が突出する側の第1の面と、挿通部の前記嵌合部が突出するのと反対側の第2の面とに接触することが望ましい。
【0011】
また、第1の面と第2の面とが同一平面上に位置していることが望ましい。
【0012】
また、挿通部は、嵌合部が突出する方向と略直交する方向にフレーム部材から突出する首部と、首部から嵌合部が突出する側と同じ側に突出する頭部とを有することが望ましい。
【0013】
また、頭部は、フレーム部材に対して位置固定されていることが望ましい。
【0014】
また、首部の頭部との接続部分の形状は、第2の貫通孔の形状と略等しいことが望ましい。
【0015】
また、フェイスガード用シールドをフレーム部材に取り付けた状態で正面視したとき、頭部の面積は、第1の貫通孔の面積より大きいことが望ましい。
【0016】
また、フェイスガード用シールドをフレーム部材に取り付けた状態で正面視したとき、頭部の幅は、第1の貫通孔の幅より大きいことが望ましい。
【0017】
また、フレーム部材は、長尺状をなし、嵌合部は、フレーム部材の長手方向の中央部に位置することが望ましい。
【0018】
また、別の観点からは、本発明のフェイスガードは、上述したフレーム部材と、フレーム部材に取り付け可能なフェイスガード用シールドとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、比較的簡単な作業で、フェイスガード用シールドを取り付け可能なフレーム部材、及び該フレーム部材にフェイスガード用シールドが取り付けられたフェイスガードが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明のフェイスガードを示す斜視図である。
図2図2は、図1のフェイスガード用シールド(シールド本体)を示す平面図である。
図3図3は、図1のフレーム部を示す斜視図である。
図4図4は、図1のフレーム部の挿通部及び嵌合部の横断面図である。
図5図5は、図1のフレーム部の挿通部及び嵌合部の縦断面図である。
図6図6は、図1のフェイスガードの組立作業を説明する図である。
図7図7は、図1のフェイスガードの組立作業を説明する図である。
図8図8は、図1のフェイスガードの組立作業を説明する図である。
図9図9は、図1のフェイスガードの組立作業を説明する図である。
図10図10は、図1のフェイスガードの組立作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
図1は、本発明のフェイスガード10、すなわち本発明のフレーム部200(フレーム部材)にフェイスガード用シールド100(以下、単に「シールド100」という。)が取り付けられた組立体を示す斜視図である。図2は、フレーム部200を示す斜視図である。図3及び図4は、それぞれフレーム部200の挿通部236及び嵌合部234の横断面図又は縦断面図である。図5は、フレーム部200に取り付けられる前のシールド100を前方から見たときの平面図である。また、図6及び図7は、それぞれフェイスガード10の組立作業を説明する図である。
【0023】
本実施形態のフェイスガード10は、手術時の血液等の飛散から眼を保護するために用いられる器具であり、使い捨てのシールド100が取り付けられて使用される。なお、以下の説明においては、フェイスガード10が頭部に装着されたとき、顔が向けられる方向を前方とし、その逆方向を後方とする。また、左右上下は前方から見たときの左右上下をいう。
【0024】
図1に示すように、フェイスガード10は、装着者の眼を保護するために、装着者の眼の前方に設けられるシールド100と、シールド100を着脱自在に保持するためのフレーム部200と、フレーム部200に連結され、フェイスガード10を頭部に装着するための装着部300を備えている。
【0025】
図2図4に示すように、フレーム部200は、プラスチック製の細長の(長尺状なす)板状部材であり、前頭部の形状に沿って略U字状に湾曲して形成され、アーム210、220が支持部230の右側及び左側から後方に向って延出している。フレーム部200のアーム210、220の先端部には、それぞれ中央に連結ピン212、222が内側に向かって突出形成されている。
【0026】
また、アーム210、220の基端部に連続するように接続された支持部230には、その前面側に2つの突起231、232と、1つの嵌合部234と、1つの挿通部236と、2つのスナップ式留具233、235が設けられている。2つの突起231、232と、1つの嵌合部234と、1つの挿通部236と、2つのスナップ式留具233、235は、シールド100を位置決めすると共に支持する機構である。
【0027】
スナップ式留具233は支持部230とアーム210の略境界部に配置され、スナップ式留具235は支持部230とアーム220の略境界部に配置されている。また、嵌合部234は、支持部230の中央部に位置している。そして、突起231は、スナップ式留具233と嵌合部234の略中間の位置に配置され、突起232は、スナップ式留具235と嵌合部234の略中間の位置に配置されている。突起231、232及び嵌合部234はそれぞれ略円柱状の形状を呈し、支持部230(フレーム部22)から前方に向かって突出している。
【0028】
挿通部236は嵌合部234の近傍に設けられ、嵌合部234が突出する方向(前方)と略直交する方向(上方)に支持部230から突出している。本実施形態の挿通部236は支持部230から上方に突出する首部236aと、首部236aから嵌合部234が突出する側と同じ側(前方)に突出する頭部236bとを有している。
首部236aは柔軟性を有さず、硬質であるため、頭部236bは、支持部230(フレーム部200)に対して位置固定されている。
【0029】
スナップ式留具233、235のそれぞれは、支持部230の前面2301から突出するように形成された突起部233a、235aと、各突起部233a、235aと係合する係合部233b、235bを有している。詳細は後述するが、本実施形態の各係合部233b、235bは、支持部230の上側端面から上方に向って突出するように設けられており、各係合部233b、235bの基端部側(つまり、支持部230側)には、各係合部233b、235bを前方に折り返すことができるように、柔軟性を有した屈曲部233c、235cが形成されている。そして、各係合部233b、235bを前方に折り返すことで、各係合部233b、235bが各突起部233a、235aと係合し、シールド100が支持部230に固定されるように構成されている(図1)。
【0030】
装着部300は、プラスチック製の部材であり、後方に向かって延びるテンプル部310、320と、テンプル部310と320とを接続するブリッジ部330とが一体に成形されて構成される。図1に示すように、テンプル部310、320は、それぞれ内側に湾曲しつつ、後方に向かって延びている。また、ブリッジ部330は、テンプル部310、320から上斜め前方にアーチ状に曲げられて形成され、テンプル部310、320の前方端部を接続している。フェイスガード10が装着者の頭部に装着されると、テンプル部310、320が装着者の側頭部及び耳に当接すると共に、ブリッジ部330が装着者の前頭部に当接し、フェイスガード10は装着者の頭部に安定して固定される。
【0031】
テンプル部310、320の前方端部の近傍には、連結孔312、322がそれぞれ設けられており、連結孔312、322にフレーム部200の連結ピン212、222が挿通されている。かかる構成により、フレーム部200は、連結ピン212、222を支点に、装着部300に対して上下に回動可能に固定されている。
このように、本実施形態においては、フレーム部200を装着部300に対して相対的に回動させることにより、フレーム部200に支持されたシールド本体110の上下方向の位置が調整可能になっている。なお、本実施形態においては、フレーム部200は、テンプル部310、320に対して、一定の摩擦力が発生するように連結ピン212、222により固定されているため、外部から力が加わらない限り、フレーム部200が装着部300に対して相対的に回動することはない。
【0032】
本実施形態では、シールド100は、無色透明または彩色が施された、厚さ略100~200μmのTAC(トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose))フィルム等のプラスチックフィルムから成り、光透過性及び可撓性を有するシールド本体110で構成されている。以下、本明細書においては、シールド100を「シールド本体110」と称する場合がある。
シールド本体110の素材としては、TACフィルム以外にも、PET(ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate))フィルム、PC(ポリカーボネート(Polycarbonate))フィルム、PP(ポリプロピレン(Polypropylene)フィルム)等を用いることができる。
【0033】
図5に示すシールド本体110は、平面視略台形のシート状の形状を呈している。そして、フェイスガード10を使用する際には、シールド本体110をフレーム部200に取り付ける。
シールド本体110の上端部110U近傍には、フレーム部200の突起231、232に対応する貫通孔111、112(係合孔)と、スナップ式留具233、235に対応する貫通孔113、115(係合孔)が穿設されている。また、フレーム部200の嵌合部234に対応する貫通孔(第1の貫通孔)114と、貫通孔114より外縁(上端部110U)側に設けられ、挿通部236に対応する貫通孔(第2の貫通孔)117が穿設されている。
【0034】
シールド本体110には、貫通孔117と外縁(上端部110U)とを繋ぐスリット116が形成されている。シールド本体110をフレーム部200に取り付ける際に、このスリット116を介して、挿通部236を貫通孔117に案内して、位置させることができる。
また、シールド本体110の貫通孔113、115の上方には、フレーム部200に取り付けられる際に、スナップ式留具233、235と干渉しないように、切欠部110R、110Lが形成されている。
【0035】
図6図10は、それぞれシールド本体110をフレーム部200に取り付ける様子を順に説明する図である。
シールド本体110は、スナップ式留具233、235の各係合部233b、235bを上方に開いた状態で、裏面側をフレーム部200に向け、フレーム部200の前方に取り付けられる。
【0036】
シールド100をフレーム部200に取り付けるときには、図6に示すように、先ず、シールド本体110の左右方向(長手方向)とフレーム部200の支持部230の左右方向(長手方向)とが略直交するように配置する。
そして、シールド100のスリット116をフレーム部200の挿通部236に対して接近させ(図6)、次いで、挿通部236の首部236aをスリット116に挿入する。挿通部236の首部236aがスリット116に挿入されると、スリット116が僅かに開くため、この状態で、シールド本体110をスリット116に沿ってさらに移動させ(図7)、挿通部236の首部236aが貫通孔117に挿入されるまで移動させる(図8)。
【0037】
次に、シールド本体110の左右方向(長手方向)とフレーム部200の支持部230の左右方向(長手方向)とが略平行となるように、首部236aを中心として、シールド本体110をフレーム部200に対して相対的に(図8の矢印方向に)回転させる(図9)。
次いで、首部236aが貫通孔117に挿入された状態を維持しながら、シールド本体110の下側縁部を下方に引き下げ(つまり、シールド本体110を支持部230の左右方向(長手方向)を中心として下方に回転させ)、シールド本体110をフレーム部200の前方に位置させる(図10)。シールド本体110がフレーム部200の前方に位置すると、挿通部236の首部236aの、頭部236bとの接続部分が貫通孔117に嵌合すると共に、貫通孔114に嵌合部234が嵌合する。
その後、シールド本体110の貫通孔111に突起231を挿入し、貫通孔112に突起232挿入する。
【0038】
次に、シールド本体110の左右両端部をフレーム部200の支持部230の形状に沿うように曲げ、シールド本体110の貫通孔113に突起部233aを挿入した状態で、スナップ式留具233の係合部233bを前方に折り返してスナップ式留具233を固定し(つまり、係合部233bを突起部233aに係合させ)、シールド本体110の貫通孔115に突起部235aを挿入した状態で、スナップ式留具235の係合部235bを前方に折り返してスナップ式留具235を固定する(つまり、係合部235bを突起部235aに係合させる)。
このように、スナップ式留具233、235を固定すると、シールド本体110がフレーム部200の形状に沿うように湾曲した状態でフレーム部200に固定され、図1に示す状態(つまり、使用前の状態)となる。
【0039】
上述のように、本実施形態では、図10に示す状態、すなわち挿通部236の首部236aの、頭部236bとの接続部分が貫通孔117に嵌合すると共に、貫通孔114に嵌合部234が嵌合した状態で、前後方向を中心とするシールド本体110のフレーム部200に対する回転が規制される。このため、貫通孔111に突起231を挿入したり、貫通孔112に突起232挿入したり、スナップ式留具233、235を固定するなど、その後の作業がし易くなる。よって、比較的簡単にフェイスガード10の組立作業を行うことができる。
また、図10に示す状態で、シールド本体110は、フレーム部200の前面(嵌合部234が突出する側の第1の面)2301と、挿通部236の後面(嵌合部234が突出するのと反対側の第2の面)2361とに接触する。このため、シールド本体110のフレーム部200に対する固定力をより高めることができる。
【0040】
特に本実施形態においては、図4に示すように、フレーム部200の前面2301と、挿通部236の後面2361とが同一平面PL上に位置している。このため、図10に示す状態で、シールド本体110のフレーム部200に対するぐらつきが生じ難くなり、上記効果をさらに向上させることができる。
また、図3に示すように、首部236aの頭部236bとの接続部分の形状(断面形状)は、貫通孔117の形状と略等しくなっている。かかる構成により、図10に示す状態において、首部236aの頭部236bとの接続部分が貫通孔117に嵌合するため、シールド本体110がフレーム部200に対してしっかりと固定される。
【0041】
また、図1図10に示すように、シールド本体110がフレーム部200に取り付けられた状態で正面視したとき、頭部236bの面積は、貫通孔117の面積より大きくなっている。かかる構成により、シールド本体110がフレーム部20から離脱するのを防止することができる。
特に、シールド本体110がフレーム部200に取り付けられた状態で正面視したとき、頭部236bの幅は、貫通孔117の幅より大きくなっている。これにより、シールド本体110のフレーム部20からの離脱防止効果を好適に維持しつつ、フェイスガード10のサイズが縦方向に大きくなるのを防止することができる。
なお、頭部236bの高さが貫通孔117の高さより大きくなっていてもよく、頭部236bの幅及び高さの双方がそれぞれ貫通孔117の幅及び高さより大きくなっていてもよい。
【0042】
また、他の態様として、シールド100は、シールド本体110の表面に密着して被覆する保護シールを有していてもよい。この場合、好ましくは、先端部がシールド本体110及び保護シールの左側に突出するように、保護シールの表面にピックアップテープが取り付けられる。フェイスガード10を使用する際には、シールド100をフレーム部200に取り付けた後、ピックアップテープの先端部を把持し、ゆっくりと右方向に移動させて、保護シールをシールド本体110から剥がして使用する。
なお、保護シールには、PEフィルム、PCフィルム、PPフィルム等を用いることができる。また、ピックアップテープには、TACフィルム、PETフィルム、PCフィルム、PPフィルム等を用いることができる。
【0043】
この保護シールには、シールド本体110の突出部118を被覆するように略同一の形状を呈する突出部が設けられている。好ましくは、シールド本体110の突出部118及び保護シールの突出部の幅は、ピックアップテープの幅と略等しく(例えば、略10mm)、突出量は略2mmに設定されている。
また、保護シールは、好ましくは、裏面側(シールド本体110側)にシリコーン樹脂などの剥離性付与剤がコーティングされ、保護シールをシールド本体110から剥がしたときに、シールド本体110上に接着剤等が残存することがないようになっている。
かかる構成によれば、使用前の状態のときに、シールド本体110が保護シールによって被覆されており、シールド本体110に埃や汚れが付着したり、傷がつくことを防止することができる。
【0044】
さらに、他の態様として、シールド100は、シールド本体110の下端部側を覆う保護カバーを有していてもよい。この保護カバーは、白色又は彩色が施された、厚さ略0.08~0.20mmのシート材を貼り合わせて、例えば矩形の袋状に形成される。保護カバーのシート材には、紙、PCフィルム、PPフィルムのような肉薄柔軟な樹脂フィルム、又は紙と樹脂フィルムの複合体等を用いることができる。
なお、シールド本体110が保護カバーに収容されている状態では、シールド本体110の表面及び裏面と保護カバーの内面との間で摩擦力が働くため、保護カバーがシールド本体110から容易に脱落することが防止されている。
【0045】
かかる構成によれば、シールド本体110の下端部側が保護カバーに収容されている状態で、シールド100がフレーム部200に取り付けられる。従って、シールド本体110の下端部側(つまり、保護カバーによって覆われている部分)には取り付け作業者の指紋が付着することを防止することができる。また、使用直前まで、シールド本体110が保護カバーによって覆われているため、シールド本体110に埃や汚れが付着したり、傷がつくことも防止することができる。
【0046】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、本実施形態においては、シールド本体110は、光透過性を有するTAC等のプラスチックフィルムであるとしたが、光透過性及び可撓性を有するものであれば、これに限定されるものではない。また、シールド本体110の表面又は裏面に、紫外線や赤外線をカットするコーティングや、反射を防止するコーティング(いわゆる、マルチコーティング)を施すことも可能である。
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
10 フェイスガード
100 フェイスガード用シールド
110 シールド本体
110U 上端部
110R、110L 切欠部
111、112、113、114、115、117 貫通孔
116 スリット
118 突出部
200 フレーム部
210、220 アーム
212、222 連結ピン
230 支持部
2301 前面
231、232 突起
233、235 スナップ式留具
233a、235a 突起部
233b、235b 係合部
233c、235c 屈曲部
234 嵌合部
236 挿通部
236a 首部
236b 頭部
300 装着部
310、320 テンプル部
312、322 連結孔
330 ブリッジ部
PL 平面

図1
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図10