(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011838
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】加圧成形装置によるセルロース製品の製造方法、加圧成形装置およびセルロース製品
(51)【国際特許分類】
B29C 49/78 20060101AFI20230117BHJP
B29C 49/44 20060101ALI20230117BHJP
B29C 51/46 20060101ALI20230117BHJP
B29C 51/28 20060101ALI20230117BHJP
B27N 3/04 20060101ALI20230117BHJP
B27M 1/02 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B29C49/78
B29C49/44
B29C51/46
B29C51/28
B27N3/04 Z
B27M1/02
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176487
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2021143393の分割
【原出願日】2017-03-16
(31)【優先権主張番号】1630058-4
(32)【優先日】2016-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】518330431
【氏名又は名称】パルパック アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】PulPac AB
【住所又は居所原語表記】Amalia Jonssons gata 16,421 31 Vastra Frolunda, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーヴェ ラルソン
(72)【発明者】
【氏名】リヌス ラルソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形型を含む加圧成形装置により、平坦または非平坦な製品形状を有するセルロース製品を製造する方法および前記加圧成形装置を提供する。
【解決手段】成形型2aは、前記製品形状を規定する成形面を有する。この方法は、以下の工程:前記成形型に45質量%未満の水を含有するセルロースブランクを配置する工程;前記セルロースブランクを100℃~200℃の範囲の成形温度T
1に加熱する工程;および前記セルロースブランクを、前記成形型を用いて、前記成形面全体にわたりセルロースブランクに作用する1MPa~100MPaの範囲の成形圧P
1でプレスする工程を含む。
【選択図】
図2b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型(3)を有し、該成形型(3)は製品形状を規定する成形面を有する加圧成形装置により、平坦または非平坦な製品形状を有するセルロース製品を製造する方法であって、以下の工程:
前記成形型(3)内に45質量パーセント未満の水を含有するセルロースブランク(1a)を配置する工程;
前記セルロースブランク(1a)を、100℃~200℃の範囲の成形温度に加熱する工程;および
前記セルロースブランク(1a)を、前記成形型(3)を用いて、前記成形面全体にわたり該セルロースブランク(1a)に作用する1MPa~100MPaの範囲の成形圧でプレスする工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記成形圧が、等方圧である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記成形圧が、非等方圧である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記セルロースブランク(1a)が、25質量パーセント未満、特に15質量パーセント未満の水を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記セルロースブランク(1a)が、木材パルプ、特に少なくとも90質量パーセントの木材パルプを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記加熱工程を、少なくとも部分的に前記プレス工程の前に行う、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記成形型が、成形型部分(2a)および加圧型部分(2b)を含み、前記成形型部分および前記加圧型部分のうち少なくとも1つを、前記プレス工程の前に加熱する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記成形型(3)が流体不透過性の可撓性膜(4)を含み;かつ
前記加圧成形装置が、前記流体不透過性膜(4)を介して前記セルロースブランク(1a)に等方圧を作用させるように流体を制御するための流体制御装置をさらに含む、請求項1または請求項4から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記膜(4)を、プレス中に前記セルロースブランク(1a)に固定し;かつ
前記プレス工程の後に、新しい膜を前記成形型(3)に供給する工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記セルロースブランク(1a)が、前記成形型(3)から離れた前記セルロースブランク(1a)の側に前記膜(4)を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
セルロースブランク(1a)から出発して平坦または非平坦な製品形状を有するセルロース製品を製造するための加圧成形装置であって、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法工程を実行するように配置された、前記製品形状を規定する成形面を有する成形型(3)
を含む、装置。
【請求項12】
前記流体制御装置と前記セルロースブランク(1a)との間に配置された可撓性膜(4)を含む加圧型部分(2b)をさらに含む、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記可撓性膜(4)が、プレス中に前記セルロースブランク(1a)に固定される、請求項12記載の装置。
【請求項14】
連続したプレス操作の間に新しい膜材料を供給するための膜供給装置をさらに含む、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記成形型が、凹成形型部分と凹加圧型部分とを含む、請求項11から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記成形型が、凹成形型部分と凸加圧型部分とを含む、請求項11から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
平坦な形状または実質的に非平坦な形状を有していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法によって製造されたセルロース製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本開示は、木材パルプからセルロース製品を製造する方法、かかるセルロース製品を製造するための装置およびセルロース製品に関する。
【0002】
発明の背景
多くの状況では、持続可能な材料で作られた2次元(2D)または3次元(3D)形状の物体を提供することが望まれている。このような状況の1つは、輸送中、保管中、またはその他の取り扱い中の例えば、機械的衝撃、振動または圧縮による、機密品の損傷を避けるための保護パッケージを必要とする機械的高精度品、電子機器、および他の家庭用品やハードウェア用品などの高感度品のパッケージに関係する。このようなパッケージには、通常、収容された商品に適合した形の保護インサートが必要であるため、商品はパッケージ内にしっかりと保持されている。このようなインサートは、通例、軽量石油由来の材料であり、かつ持続可能な材料とは見なされていない、発泡ポリスチレン(EPS)で作られている。
【0003】
インサートをパッケージングするのに、通例、使用されている低価格の材料は、成形パルプである。成形パルプには、持続可能なパッケージング材料として見なされるという利点がある。なぜなら、成形パルプは生体材料から製造されており、かつ使用後にリサイクルできるからである。結果として、成形パルプは、一次および二次のパッケージング用途(物品に密着したパッケージングおよびこのようなパッケージの集まり)の双方で人気が急速に高まっている。成形パルプは、一般に、吸引時に吸引モールドをパルプ懸濁液に浸すことによって成形され、それによってパルプの塊は繊維の堆積により所望の物品の形状で成形される。次に、吸引モールドが懸濁液から引き抜かれ、残りの液体が排出されている間、通例、吸引が続けられ、堆積した繊維を圧縮する。
【0004】
すべての湿式成形技術に共通する欠点は、成形品の乾燥が必要とされることであり、これは、時間およびエネルギーを消費する工程である。別の欠点は、しばしば水素結合として説明される強力な繊維間結合が材料中の繊維間に形成されることであり、この結合は材料の可撓性を制限する。
【0005】
また、最新のリーン生産ラインの多くには、インラインおよびオンデマンドのパッケージまたはコンポーネントの製造が必要とされるが、この場合、湿式成形プロセスは好ましくない。
【0006】
近年、3次元の物体の乾式成形を可能にするために、新しい繊維系材料が開発された。1つの手法は、国際公開第2014142714号(WO2014142714A1)に開示されている。国際公開第2014142714号(WO2014142714A1)には、40~95質量%のCTMP繊維、5~50質量%の熱可塑性材料、および0~10質量%の添加剤を含む3次元形状の物体を熱成形するための中間製品である乾式複合材ウェブが開示されており、その乾式複合材ウェブは、熱可塑性材料、ポリマーを含有する分散液、エマルションまたは溶液で含浸され、乾燥されて、50~250kg/m3の密度が得られるか、またはカレンダー加工で圧縮される場合、400~1000kg/m3の密度が得られる。国際公開第2014142714号(WO2014142714A1)によれば、ポリマーの結合は、より高い温度が熱成形プロセスで適用されることによって活性化され、熱成形された物体の最終強度に寄与する。
【0007】
国際公開第2014142714号(WO2014142714A1)に記載のポリマーは、最終強度に寄与し、かつ乾式ウェブの成形を可能にするが、このような熱可塑性成分は、複合材がリサイクルされないので、セルロースの持続可能な機能を失わせることとなる。この欠点は、再生可能でかつ堆肥化可能なバイオプラスチック、例えば、ポリラクチド(PLA)が国際公開第2014142714号(WO2014142714A1)によって提示されたように使用される場合でも該当する。なぜなら、材料をリサイクルするための物流が利用できないからである。
【0008】
最近の調査研究や政治的決定、例えば、地球温暖化2015年でのパリ合意には、消費される物およびパッケージのカーボンフットプリントが、いわゆるライフサイクル分析(LCA)において、材料のリサイクルおよび再利用の可能性の影響を強く受けると規定されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)のような再生不可能な複数回リサイクルされた材料で基準を満たすには、セルロースやPLAなどの再生可能な材料でさえリサイクルされなければならない。
【0009】
材料のリサイクルは、世界のほとんどの地域で徐々に確立され続けている。欧州は、世界で約30%のリサイクル率を誇るが、米国は10%に過ぎず、多くの開発途上国は、まだリサイクルを始めていない。すべてのリサイクル活動は、共通して、紙、厚紙、ガラス、アルミ、スチールおよびPETなどの最も頻繁に使用されている材料に焦点を当てている。これらのリサイクル可能な画分は、廃棄物の大部分を占めており、バイオポリマーのような他の画分が、近い将来に公に利用可能なリサイクル物流として確立される可能性は低い。
【0010】
したがって、プラスチックに近い機械的特性を有する再生可能でかつリサイクル可能な材料では、3D成形パッケージ、ボックス、カップ、プレート、ボウル、インサートおよびカバーに対する世界的な需要は非常に高い。
【0011】
ISBN 978-91-7501-518-7(Helena Halonen、2012年10月)では、水のみで処理された市販の化学木材パルプを圧縮成形して新しい全セルロース複合材を作り出すための手法の1つであるヒドロキシエチルセルロース(HEC)が研究されている。その目的は、加工中の構造変化、および最終的な生体複合材の機械的特性とナノスケール構造との関係の複雑さについて研究することであった。
【0012】
圧縮成形の間、高温(150℃~170℃)と高圧(45MPa)とを併用することにより、おそらくセルロース-セルロース融合結合を含むフィブリル凝集、すなわち繊維-繊維結合領域におけるフィブリル凝集が顕著に増加する。このフィブリル凝集によって、例えば、PET強度(75MPa)およびPET弾性率(PET 3GPa)と比較して改善された強度(289MPa)、弾性率(12.5GPa)および靭性(6%)などの顕著な機械的特性を有する生体複合材が得られる。
【0013】
国際公開第2014142714号(WO2014142714A1)では、リサイクル不可能な熱可塑性成分が提案されており、ISBN 978-91-7501-518-7では、リサイクル可能なセルロース繊維を成形して良好な機械的特性を得るための科学的結果が示されているが、厚紙としてリサイクル可能なプラスチックの代替品としてのセルロースのパッケージおよびグッズの商業的な生産を、適度なサイクル時間で可能にする実用的または工業的方法は、これまでに発明されていない。
【0014】
発明の概要
本発明の課題は、上記の問題が回避される、セルロース製品の製造方法、セルロース成形装置およびセルロース製品を提供することである。この課題は、独立請求項の特徴によって少なくとも部分的に解決される。従属請求項には、セルロース製品の製造方法、セルロース成形装置およびセルロース製品のさらなる発展形態が含まれている。
【0015】
多くの状況では、持続可能な材料で作られた物体を、平坦または実質的に非平坦な形状で提供することが望まれている。平坦な形状とは、概して、2次元の形状、例えばシート材またはブランクの形状を指し、実質的に非平坦な形状とは、適切な3次元の物体の形状を指す。このような状況の1つは、液状物、乾燥物、および各種の物品のパッケージングに関係しており、ここでパッケージングは、3次元の形状で作られるか、または2次元のシート材料から3次元の形状に形成され得る。
【0016】
本発明は、成形型を有し、該成形型は前記製品形状を規定する成形面を有する加圧成形装置により、平坦または非平坦な製品形状を有するセルロース製品を製造する方法であって、以下の工程:
- 前記成形型内に45質量%未満の水を含有するセルロースブランクを配置する工程;
- 前記セルロースブランクを、100℃~200℃の範囲の成形温度に加熱する工程;および
- 前記セルロースブランクを、前記成形型を用いて、前記成形面全体にわたりセルロースブランクに作用する1MPa~100MPaの範囲の成形圧力でプレスする工程
を含む、前記製造方法に関する。
【0017】
成形圧力は、等方圧または非等方圧であり得る。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、以下の工程:製品形状を規定する成形面を有する成形型と加圧型とを含む等方圧成形装置を準備する工程;45質量パーセント未満の水を含有するセルロースブランクを成形型と加圧型との間に配置する工程;セルロースブランクを100℃~200℃の範囲の成形温度に加熱する工程;およびセルロースブランクを、加圧型を用いて、成形面全体にわたりセルロースブランクに作用する実質的に等しい成形圧力で成形型に対してプレスし、ここで、該成形圧力は1MPa~100MPaの範囲にあるものとする工程を含む、非平坦な製品形状を有するセルロース製品の製造方法が提供される。
【0019】
加熱工程とプレス工程とを少なくとも部分的に同時に行うことも可能であるし、セルロースブランクを予熱しておき、プレス時にさらに熱を加えないことも可能である。
【0020】
セルロース製品は、例えば、容器または容器の一部であって、本発明の実施態様による方法を用いるセルロース製品の製造によって、例えば、よりリサイクルが困難なプラスチック製品の代替物となり得るようなものであり得る。従って、本発明の方法を用いて製造されたセルロース製品は、例えば、パッケージ、ボックス、ボウル、プレート、カップ、トレイまたはカバーのためのパッケージ、インサートであり得る。
【0021】
「等方性」という用語は、フィブリル凝集のプロセスの間に加熱された生体複合材の繊維への容積圧が、製造中の最終的な3D物体のすべての幾何学的位置において実質的に等しいことと理解されるべきである。
【0022】
「非等方性」という用語は、フィブリル凝集のプロセスの間に加熱された生体複合材の繊維への容積圧が、製造中の最終的な3D物体のすべての幾何学的位置において等しくないことが理解されるべきである。
【0023】
セルロースブランクは、様々な形で、例えば、ウェブ、ラグ、フェルト、緩やかな繊維、フォーム、シート等として準備され得る。ブランクは、強度を高め、吸湿性を低下させ、または最終コンポーネントを疎水性、難燃性にし、コンポーネントを着色するか、あるいは他の方法で最終材料の特徴を変更するための試薬の微量物質(0~10%)を含有する。しかしながら、添加剤の量は、厚紙としてリサイクル可能なコンポーネントを作製するという本発明の目的を達成する上で問題となるものであってはならない。
【0024】
ブランクは、ロール状のラグとしてパルプの加工プラントで生産され得る。
【0025】
本発明は、平坦または非平坦なセルロース製品を、等方圧成形装置を用いてより短いサイクル時間で、より均質に作製することができたことに基づいている。特に、本発明者らは、所望のセルロース製品の形状に応じて、セルロースブランクに作用する等方圧によって、同じ機械的特性の最終製品を得るのに必要な保持時間を著しく短縮できることを見出した。また、本発明者らは、所望のセルロース製品の形状に応じて、セルロースブランクに作用する非等方圧によって、セルロース製品が適切に成形され、望ましい機械的特性の最終製品が得られることも見出した。
【0026】
この文脈では、最終製品の許容可能な機械的特性を得るために必要な処理時間が、ブランクの湿度、特定の温度、および特定の等方圧または非等方圧に関連していることに留意すべきである。
【0027】
好ましくは150℃~170℃の間の温度、および好ましくは3MPa~7MPaの間の圧力によって様々な機械的特性が生じ得る。例えば、相対湿度50%の空気湿度で、等方温度168℃および等方圧4.8MPaでは、保持時間10秒で硬くかつ剛性を示すコンポーネントが形成することになる。温度および圧力を下げると、より柔らかくかつより可撓性の高いコンポーネントが得られる。
【0028】
また、ブランク内に大量の水があると、保持時間が大幅に延びることになる。ISBN 978-91-7501-518-7では、20分の保持時間が記載されており、実質的に湿潤したパルプが研究に使用されている。実験により、処理時のセルロースブランク中の最適含水量が、0.5質量%~10質量%の範囲にあるべきであることが示された。
【0029】
結合中のブランクにおいて、大きな圧力差が生じるような厳しい状況では、保持時間に関係なく、コンポーネントの各部が、決して許容し得ないものとなる。
【0030】
従来技術には、従来のプレスを使用する油圧シリンダ付きのパルプ圧縮装置が記載されており、油圧シリンダは、圧力媒体と呼ばれる油圧を、シリンダのピストンを介して工具または成形型への力に変換する。中空の3D物体のような非面状物体を成形する場合、成形型は、凸成形型部分と、凹成形型部分と、その間にあるコンポーネントの所望の厚さおよび形状を表すキャビティ(成形型キャビティと呼ばれる)とを有し、この成形型は、ピストンからの力によって圧縮される。このような形状規定型の圧縮装置では、コンポーネント厚さ対加工圧力の補正が行われなければ、熱処理中のブランクにおいて局所圧に大きな差が生じることになる。それによって、等方圧が得られるように補正を行っていない形状規定型の圧縮装置では、コンポーネントの品質が不均一になり、ほとんどの産業事例では、製造のサイクル時間が許容し得ないものとなり得る。
【0031】
さらに、本発明者らは、等方圧法を使用する場合、要求される圧力レベルを大幅に低減できることを見出した。ISBN 978-91-7501-518-7では、中空半球が、研究のための参考物として形状規定型の圧縮装置において45MPaおよび20分で使用されている。成形型キャビティ内のブランクの内圧は、上部(極部付近)で極めて高く、下部(赤道部に隣接)ではゼロに近い。本発明者らは、ここで驚くべきことに、等方圧を使用することにより、数秒の保持時間で、使用される圧力の10分の1で物体が製造され得ることを見出した。
【0032】
本発明の様々な実施形態によれば、セルロースブランクは、木材パルプを含み得る。いわゆる機械パルプをセルロースブランクに使用することができるが、化学木材パルプの方が、より優れた材料特性の製品をもたらすことが分かった。
【0033】
一実施形態では、セルロースブランクは、少なくとも90質量パーセントの木材パルプを含み、したがって、ほとんどがもっぱら容易にリサイクル可能な材料によって製造され得る。
【0034】
様々な実施形態によれば、加圧型は、有利には可撓性膜を含み、加圧成形装置は、流体不透過性膜を介してセルロースブランクに等方圧を作用させるように流体を制御するための流体制御装置をさらに含む。
【0035】
この文脈では、液体という用語は、液体と気体の双方を含むことに留意すべきである。
【0036】
いくつかの実施形態では、成形装置は、膜によって部分的に囲まれたエンクロージャー内に高圧流体を含み得る。エンクロージャー内の流体量を増やすことおよび/またはエンクロージャーのサイズを小さくすることによって、流体の圧力は上昇する。液体の圧力が上昇すると、セルロースブランクに作用する等方圧が上昇する。
【0037】
したがって、上記流体制御装置は、流体を圧縮するアクチュエータ、または加圧された流体が圧力チャンバに入るように制御可能な流体流れ制御装置であってよく、該圧力チャンバは、可撓性膜をその壁の一部として有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、上記の膜は、装置の一体部分であってよく、多数のプレス操作中に使用されてもよい。
【0039】
他の実施形態では、膜は、例えば接着剤によって、プレス中にセルロースブランクに固定され、この方法は、プレス工程に続いて新しい膜を設ける工程をさらに含み得る。これらの実施形態では、膜は、例えばロール上に提供され、かつ製造された製品に付与されて、製品に機能性を加え得る。
【0040】
さらに別の実施形態では、上記の膜は、セルロースブランク上に提供されてもよい。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、セルロースブランクから出発して平坦または非平坦な製品形状を有するセルロース製品を製造するための等方圧成形装置であって、製品形状を規定する成形面を有する成形型と、セルロースブランクに等方圧を作用させてセルロースブランクを成形面に押し付けるように流体を制御するための流体制御装置とを含む等方圧成形装置が提供される。
【0042】
成形型は、凹成形型部分および凹加圧型部分を含み得る。
【0043】
成形型は、凹成形型部分および凸加圧型部分を含み得る。
【0044】
本発明は、記載された方法によって製造されたセルロース製品にも関する。セルロース製品は、平坦な形状または実質的に非平坦な形状を有している。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、等方圧は、動力規定型の圧縮装置で得られ、ここで、前記圧縮装置は、ブランクを取り囲みかつブランクを圧力媒体、例えばガス、油圧オイル、詰めるべき水、飲料、エラストマーまたはダイラタント材から隔離する可撓性バリアまたは膜を含む。
【0046】
本発明の実施形態による方法および装置は、ボトル、牛乳のパッケージ、缶および瓶のような中空3D物体のブロー成形に関する。乳製品やジュース用の従来のセルロースベースのパッケージは、ブロー成形されたペットボトルとの競争を経ている。セルロースおよび紙ベースのパッケージは、再生可能でかつリサイクル可能であるが、折り畳まれた紙パッケージの普及は、ブロー成形されたPETの成形性によって制限された。
【0047】
前記ブロー成形の実施形態によれば、前記装置は、前記セルロース繊維を取り囲む少なくとも2つの凹成形型と、最終コンポーネントと一体化した部分となる単回使用のフィルム層バリアとを含み、ここで前記セルロース繊維および前記フィルム層バリアを、管形状で成形型のキャビティに提供し、前記フィルム層バリアによって、前記管形状での充填時に圧力媒体がセルロース繊維から隔離され、前記圧力媒体を加圧して、前記成形型に向けて前記セルロース繊維の全ての部分に等方圧をかける。
【0048】
したがって本発明は、方法、管形状のブランク、ブロー成形装置、および熱可塑性プラスチックと同様の特性を有する再生可能なパッケージを提供し、前記パッケージは、紙および厚紙としてリサイクル可能である。
【0049】
このようなブロー成形装置は、好ましくは、前記圧力媒体として、詰めるべき飲料または液体を使用して、乳製品工場、醸造工場またはジュース工場の現場で充填装置を構成し得る。
【0050】
他の実施形態によれば、等方圧は、2つの硬質の成形型(一方は凸型で、もう一方は凹型)を有する形状規定型の圧縮装置で得られ、ここで、閉じた成形型の間のキャビティによって、最終的な3次元物体の形状が規定され、前記キャビティの厚さまたは前記ブランクの厚さは、前記成形型に向けて前記セルロース繊維の全ての部分に等方圧がかかるように設計されている。
【0051】
本発明のこれら態様および他の態様は、ここで本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照してより詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1a~
図1cは、従来のプレス方法、圧縮装置およびコンポーネントを模式的に示す。
【
図2a】
図2aは、本発明の例示的な実施形態による初期段階を示す、複数回使用の膜を使用する、圧縮装置の代替構成を模式的に示す。
【
図2b】
図2bは、本発明の例示的な実施形態による圧縮段階を示す、複数回使用の膜を使用する、圧縮装置の代替構成を模式的に示す。
【
図3】
図3a~
図3bは、本発明の例示的な実施形態による初期段階(a)および圧縮段階(b)を示す、単回使用材料の一体化バリアを含む、圧縮装置の代替構成を模式的に示す。
【
図4】
図4a~
図4dは、本発明の例示的な実施形態による初期段階(aおよびb)ならびに圧縮段階(c)を示す、単回使用材料の一体化バリアおよびブロー成形を使用する、圧縮装置およびコンポーネントの代替構成を模式的に示す。
【
図5】
図5a~
図5bは、本発明の例示的な実施形態による初期段階(a)および圧縮段階(b)を示す、複数回使用の膜を使用する、圧縮装置の代替構成を模式的に示す。
【
図6】
図6a~
図6cは、本発明の例示的な実施形態による初期段階(aおよびb)ならびに圧縮段階(c)を示す、キャビティ補正圧力制御を用いる、圧縮装置の代替構成を模式的に示す。
【
図7】
図7a~
図7bは、本発明の例示的な実施形態による、初期段階(a)および圧縮段階(b)を示す、ブランク厚さ補償を用いる、圧縮装置の代替構成を模式的に示す。
【
図8】
図8a~
図8cは、大きな可撓性膜を使用する、圧縮装置の代替構成を模式的に示す。
【
図9】
図9a~
図9cは、大きな可撓性膜を使用する、圧縮装置の別の代替構成を模式的に示す。
【0053】
例示的な実施形態の説明
本開示の様々な態様は、以下において添付の図面と併せて説明され、本開示を例示するが、限定するものではなく、その際、同様の名称は同様の要素を指し、記載された態様の変形は、具体的に示された実施形態に限定されず、本開示の他の変形に適用可能である。
【0054】
本発明の詳細な説明では、セルロース製品の製造方法、加圧成形装置、およびセルロース製品について説明する。
【0055】
本開示によるシート材またはブランクの種々の実施形態は、主に、成形するための成形型内の位置に、平坦な形状で配置されたセルロースブランクに関して論じられている。これは、本発明の範囲を決して制限するものではなく、例えば3次元物体に予め成形されたブランクを同様に含むことに留意すべきである。例えば、ブランクは、所望の最終形状の物体に似た形状で成形型に提供され得る。別の実施形態は、ロール上のウェブの状態で成形型に供給されるセルロースブランクを含み得る。
【0056】
平面形状とは、例えば、ブランクまたはシート材の形状などの一般的に2次元(2D)形状を意味し、実質的に非平面形状とは、適切な3次元(3D)形状を意味し得る。本開示による対象物は、2次元形状、3次元形状で作られ得るか、または2次元のブランクまたはシート材から3次元形状に成形され得る。
【0057】
さらに、セルロース繊維のコヒーレントシートを模式的に示すことにより、これは本発明の範囲を決して限定するものではなく、例えば、成形型に緩やかでかつ隔離された繊維が適用されたブランクを同様に含む。
【0058】
本発明の詳細な説明では、形成されるべき3次元の対象物および本発明による物体を形成する成形型の様々な実施形態が、主に、概して均一な厚さを有する中空ボウル、中空カップまたは中空ボトルに関して論じられている。これは決して本発明の範囲を限定するものではなく、例えば厚さが異なる複雑な形状、非中空部分または大きな物体も同様に含むことに留意すべきである。例えば、物体は、有利には、スティフナー、折り目、穴、3D形状のテキスト、ヒンジ、ロック、スレッド、スナップ、フィート、ハンドルまたは表面のパターンを含み得る。
【0059】
図1a~
図1cは、従来のプレス方法、圧縮装置、ならびに非等方圧法および装置で製造されたコンポーネントを示す。
【0060】
図1aは、上部の凹成形型102bと、下部の凸成形型102aと、セルロース繊維シート101aとを有する非圧縮状態の従来技術の圧縮装置の模式的な側面図である。
【0061】
図1bは、上部の凹成形型102bと、下部の凸成形型102aと、セルロース繊維シート101aとを有する圧縮状態の従来技術の圧縮装置であって、熱および圧力Pを用いて所望の最終形状101bを形成する力Fによって部分的に圧縮された、前記圧縮装置の模式的な側面図である。
【0062】
慣例として、最終的なコンポーネント101bの厚さは均一であり、したがって、2つの成形型102aと102bとの間のキャビティの厚さt1=rb-raは均一である。圧縮のための従来の工具は、剛性金属または同様の非可撓性材料で作られており、かつ乾燥セルロース繊維は、圧力均等化流体として挙動しないので、前記キャビティ内の圧力Pは、当該ブランク101の量および局所圧の発生原理に依存する。
【0063】
圧力P2およびP5での局所圧の発生原理は、力Fによって定義される。P4での局所圧の発生原理は、キャビティの幾何形状と当該ブランク101の量によって定義される。局所圧P3は、力と形状規定圧力の発生原理とを組み合わせることによって求められる。
【0064】
P4のような形状規定圧力は、ブランク101の実際の現在量に大きく依存する。局所的な材料供給において通常は小さな確率的変動は、得られた局所圧に大きな影響を及ぼすことになる。動力で規定される圧力は、線形利得を有し、工業利用のためのはるかに頑健なプロセスである。
【0065】
図1cは、上記の従来の圧縮方法で製造された3次元物体、コンポーネント、半球101bを示す。ブランク101aが下部の成形型102aの上で曲がる際にブランク101aの一部が伸びる可能性があるので、上部の加圧型102bがブランク101aの上の工具を閉じる際に、機械的特性は、最終的なコンポーネント101bの位置101b P
4と位置101b P
2とで異なる。
【0066】
本開示の例示的な実施形態による動力規定型の圧縮装置を、ここで
図2a~
図2bを参照して説明する。
図2aでは、熱を使用するセルロース繊維の成形型3の形態の圧縮装置または加圧成形装置の模式的な側面図が開いた状態で示されている。圧縮装置または成形型は、セルロース製品を成形する際に等方圧が適用されるように構成され得る。また、適用される圧力は、セルロース製品を成形する際に成形型3の様々な部分に様々な圧力レベルが適用されるように非等方性であってもよい。成形型3は、前記製品形状を規定する少なくとも1つの成形面を有する。
【0067】
本開示のこの実施形態の成形型3は、複数回使用の膜4の下に配置された1つの剛性の成形型部分2aを使用する。膜4は、図示されていない圧力チャンバ内に収容された、例えば油圧オイルなどの圧力媒体または流体5のためのシールを構成する。ダイアフラムとも呼ばれる膜4は、好ましくはゴム、シリコーン、エラストマーまたはポリウレタンで作られ得る。
【0068】
同様のプレス装置は、まったく別の産業にも見られ、例えば、航空機用の金属板の成形または金属粉を均一な材料に加工する際に見られる。例えば、従来の目的のための等方プレスでは、通常、非常に高い圧力、例えば1000~2000バールの範囲の圧力が使用されている。
【0069】
主としてセルロース繊維をいくつかの添加剤や試薬とともに含むセルロースブランク1aは、
図2aに示すように、膜4と、
図2aでは膜4の下に配置されている剛性の成形型部分2aとの間の隙間に配置されている。また、セルロースブランク1aは、多量の水分を含有し、この水分は、例えば周囲大気の湿度に応じて変化し得る。
【0070】
セルロースブランク1aからセルロース製品またはセルロース製品の一部を形成するために、セルロースブランク1aは、成形温度T1(100℃~200℃の範囲にあり得る)に加熱されなければならない。成形型部分2aが、所望の温度T2に加熱され、熱がセルロースブランク1aに伝達されて、セルロースブランク1aがその成形温度T1に達するようにされ得る。成形型3は、成形型部分2aの内部チャネル7に加熱されたオイルを圧送することにより、例えば150℃~170℃の温度に予熱され得る。成形型3を予熱するための代替法は、図示されていない一体型の電気抵抗器を使用することである。セルロースブランク1aは、例えば、工具に入れる前に赤外線を用いて予熱することもできる。また、圧力媒体5を圧力媒体温度T5に加熱することも、適切な代替法であり得る。
【0071】
図2bでは、油圧オイル5は、少なくとも1MPaの圧力に加圧されており、膜4は、加熱された成形型2aを、圧縮材料1bと一緒に包み、その間でセルロース製品を形成する。セルロース製品を成形する際の適切な圧力P
1は、1~100MPaの範囲内であり得る。適切な圧力P
1を適用することにより、セルロース繊維が圧縮される。適用される圧力P
1は、成形型2a上の相対位置や繊維の実際の局所量にかかわらず、セルロース繊維を均一に圧縮するために、均一または等方性であり得る。代替的な実施形態では、圧力は、非等方性であってもよく、成形型3の様々な部分で様々な圧力レベルが、セルロース製品を成形するために使用されている。これは、例えば、セルロース製品の様々な部分で様々な構造特性が望まれる場合に使用され得る。
【0072】
圧縮装置は、流体制御装置(図示せず)を備えていてもよく、流体5を圧縮するアクチュエータであってもよく、または加圧された流体5が圧力チャンバに入るように制御可能な流体流れ制御装置であってもよく、圧力チャンバは、その壁の一部として可撓性膜4を有する。装置は流体5を含んでよく、または流体5は周囲大気から取り込まれた空気であってもよい。
【0073】
本発明者らは、セルロース製品を成形する際に160℃の温度で4MPa(40バール)の圧力P1を加えることで、10秒の保持時間後に多くの熱可塑性プラスチックに匹敵するフィブリル凝集がセルロース繊維において起こることを見出した。
【0074】
圧縮材料1bからセルロース製品への工業生産のサイクル時間を短縮するために、前記圧縮材料1bの冷却は、例えば、冷却された油を、成形型部分2aに配置された内部チャネル7または圧力チャンバに圧入することによって行われてよく、その際、セルロース繊維におけるフィブリル凝集が完了した後、成形型部分2aの温度T2および圧力媒体5の温度T5は、急速に低下し得る。
【0075】
プロセスおよび装置は、圧力媒体5を大気圧P
0に下げることによって
図2aに示される開かれた状態に戻り、その際、前記膜4は、多かれ少なかれ平らな初期状態に戻り、完成したセルロース製品が取り出され、不要な残留圧縮セルロース繊維または非圧縮セルロース繊維は、好ましくはカットされて除去され得る。
【0076】
セルロース製品の最終厚さt1は、セルロース繊維の実際の局所量に応じてわずかに変動し得る。
【0077】
別の実施形態では、可撓性または柔軟性の膜4の代わりに剛性の成形型部分が使用されてよく、これは、セルロース製品を成形する際に様々な圧力レベルが望ましい場合に適切であり得る。可撓性膜4を使用すると、等方圧縮法がもたらされ、その結果、高強度でかつ製造サイクル時間が短い均一なセルロース製品が得られる。
【0078】
等方圧を用いる際の本発明の圧縮法および
図2a~
図2bの装置と、従来技術の方法および
図1a~
図1bの装置との間の相違の1つは、剛性の上部の成形型102bの代わりに可撓性または柔軟性の膜4を使用する構成にある。等方圧縮法および装置により、高強度でかつ製造サイクル時間が短い均質なコンポーネントが得られる。
【0079】
上記では、等方圧縮法および装置の1つの例示的な実施形態が、
図2a~
図2bを参照して説明された。水だけで処理した木材パルプの加熱圧縮成形を用いる全セルロース複合材の3次元物体の成形が、他の方法でも等方圧で行われ得ることが理解されたい。
【0080】
図3a~
図3bを参照すると、
図2a~
図2bの複数回使用の膜4は、薄膜バリア6を含む単回使用の膜で置き換えられており、その際、前記バリア6は、セルロースブランク1aを製造する際にセルロースブランク1aに予め適用されるか、または膜バリア6は、例えば、図示されていないロールから圧縮装置に供給され、セルロースブランク1aが等方圧である間にセルロースブランク1aに適用されてよい。
【0081】
前記薄膜バリア6は、PETまたはPLAのような熱可塑性材料で作られ、1~700μmの範囲内の厚さを有し得る。
【0082】
図3aは、その初期の開いた状態の圧縮装置または成形型3を含み、セルロース繊維1aに適用された薄膜バリア6を使用し、温度T
2に予熱された下部の凹成形型部分2bと、圧力チャンバ(図示されていない)に収容された圧力媒体または流体5、好ましくは大気圧のガスまたは空気とを含む、方法を模式的に示す。
【0083】
図3bは、圧縮された状態の、
図3aに示したのと同じ装置およびセルロースブランク1aを示し、前記圧力媒体5、好ましくは圧縮空気または水などの非汚染液体が、圧力P
1まで加圧され、薄膜バリア層6は、セルロースブランク1aの圧縮材料1bから圧力媒体を隔離してシールし、前記圧力媒体5および膜6は、前記成形型部分2bの温度T
2でもって、加熱された成形面全体にわたり等しい圧力をセルロース繊維に加える。
【0084】
一定の時間Xの間、温度T1で等しい圧力P1を保持することにより、セルロース繊維においてフィブリル凝集が起こり、熱可塑性プラスチックに近い機械的特性を有する圧縮材料1bの生体複合材のコンポーネントが作り出される。例として、圧力P1が4MPa(40バール)であり、成形温度T1が140℃であり、成形型部分2bの温度T2が160℃であり、かつ時間Xが10秒である場合、熱可塑性プラスチックに近い機械的特性を有する圧縮材料1bの生体複合材のコンポーネントが得られる。
【0085】
圧力媒体5を除去し、時間X後に大気圧P0まで減圧することにより、圧縮材料1bによって形成されたセルロース製品が取り出され、必要に応じてその最終形状に切断され得る。
【0086】
図3a~
図3bで論じた方法の利点の1つは、膜バリア6は、製品の使用中にコンポーネントにさらされる他の媒体に対するバリアとしても機能し得ることである。例えば、膜バリア6を備えたセルロース製品が、テイクアウト用のサラダボウルである場合、圧縮材料1b中のセルロース繊維を野菜との接触から保護し、かつボウルの吸湿特性を低下させる。この方法は、液体製品用のボトルまたは容器の製造にも使用することができ、したがって、セルロース製品は、炭酸化液体を含む様々な種類の液体または飲料を詰めるのに適切であり得る。
【0087】
図4a~
図4dを参照すると、成形型3は、膜バリア6を含む管形状のセルロースブランク1aを取り囲む、少なくとも2つの開閉可能な凹型成形表面または部分2a、2bを含み、その際、外層は、非圧縮セルロース1a繊維であり、その添加剤および内層6は、薄膜バリア6を含む単回使用の膜である。ブランクは、好ましくは、平坦な形状で、ロール(図示されていない)から圧縮装置に供給することができ、その際、ブランクは、圧力媒体ノズル8を取り囲む、管(図示されていない)の形状に形成される。
【0088】
図4aでは、成形面または部分2a、2bを有する成形型3は、成形型温度T
2に予熱されており、その成形プロセス方法の開いた初期段階において模式的に示されている。膜バリア6を有する管形状のセルロースブランク1aは、固定された圧力媒体ノズル8を取り囲む上部から供給され、このことは、膜バリア6を有する管形状のセルロースブランク1aが、上から成形面2a、2bへの方向に供給されることを意味する。
【0089】
予熱された成形型3は、閉じ力F
cによって閉じられ、この力は、
図4cに示される圧力媒体ノズル8からの圧力媒体に基づいて成形型3の内側に加えられる圧力P
1によって生じる開く力よりも大きい。成形面2a、2bを有する成形型3の閉じた状態は、
図4b~cに模式的に示されている。閉じ力F
cとキャビティの上下に隣接する成形面2a、2bの構成により、セルロースブランク1aの内容積は、外気圧P
0からシールされることになる。別の実施形態では、セルロースブランクは、成形型3を閉じる際に、成形型によって残留材料から切断され得る。
【0090】
図4cは、本発明の方法のフィブリル凝集相および成形を示し、ここで、前記ブランクの内部容積は、圧力媒体ノズル8からの圧力媒体9で満たされ、かつ圧力P
1に加圧され、ここで、圧力媒体9および単回使用の膜6は、前記成形型の加熱された成形面2aおよび2b全体にわたり等しい圧力をセルロース繊維に加える。
【0091】
充填プロセスは、
図4bおよび
図4cに示された工程の間に行われ、空気チャネル10が、成形型3のキャビティ内の膜バリア6を有するセルロースブランク1aの外側の空気を、ブランクの膨張プロセスの間に排出できるようにすることが求められている。
【0092】
図4dは、圧縮材料1bおよび膜バリア6から作られた中空物体の形の3次元のセルロース製品、例えば、前記圧力媒体9が充填された
図4a~
図4cに記載された方法によって成形された飲料用ボトルであって、該膜バリア6が、圧力媒体9を該圧縮セルロース繊維1bから隔てている、飲料用ボトルを示す。
【0093】
本開示によれば、圧力媒体9は、セルロース製品に充填されることが意図された飲料、例えば、ミルク、ジュース、水および炭酸飲料によって構成される。
【0094】
膜バリア6は、好ましくは、PETまたはPLAのような薄い熱可塑性材料で作られており、1~700μmの範囲の厚さを有し、ここで、従来から飲料用の紙パッケージに適用されている膜バリア6も、セルロース製品の貯蔵および使用の間の飲料9との接触からセルロース繊維1bをシールする。
【0095】
図4cに示すプロセス工程のサイクル時間は、飲料9が、例えば1~20℃の温度T
9に冷却され、急速に、好ましくは1秒未満に充填される場合、短縮され得る。成形面2a、2bを有する成形型3が、例えば、200℃の成形温度T
2に予熱され、かつブランクが例えば140℃の温度T
1に予熱される場合、圧縮媒体温度T
9によって、充填されたボトルを、数秒またはそれ以下のサイクル時間で成形型3から取り出すことができる。
【0096】
図5a~
図5bは、本開示の別の原理を模式的に示しており、ここで、圧縮装置は、少なくとも1つの凸成形型部分2aと、少なくとも1つの凹加圧型部分(成形型部分)2bと、複数回使用の予備成形膜4とを備え、セルロースブランク1aを取り囲む成形型部分2aおよび2bが閉じられた後、圧力媒体5は圧力P
1まで加圧される。
【0097】
セルロースブランク1aのセルロース繊維においてフィブリル凝集が起こる最終成形段階を、
図5bに示す。
図5bに示す拡大断面図は、圧力媒体5が、上部の凹加圧型部分2bと膜4との間の成形型3内にどのように浸透するかを示しており、ここで、圧力P
1によって、セルロースブランク1bは、予熱された下部の凸成形型2aの成形面に向かって均一に圧縮される。圧力媒体5の浸透は、圧力媒体5のマイクロチャネルとして作用する上部の凹加圧型部分2bの表面において、図示されていない小さな凹みによって容易にすることができる。
【0098】
より短いサイクル時間が好ましい場合には、
図2a~
図2bに記載の方法よりも
図5a~
図5bによる圧縮装置の実施形態の方が有益であり得る。
図5a~
図5bに示す実施形態では、膜4を同じ程度まで変形させる必要はない。
【0099】
上記の圧縮方法の例は、
図2~
図5を参照して、等方圧を加えるために使用され得る可撓性膜4を含む。水だけで処理された木材パルプの加熱圧縮成形を用いる全セルロース複合材の3次元物体の成形は、従来の工具を用いて、依然として等方圧を得ながら行えることを理解されたい。
【0100】
図6a~
図6cを参照すると、上部の予熱された凹状の非可撓性加圧型部分2bと、下部の予熱された凸状の非可撓性成形型部分2aとがセルロースブランク1aを取り囲み、ここで、下部の予熱された凸状の非可撓性成形型部分2aと上部の予熱された凹状の非可撓性加圧型部分2bとの間のキャビティ厚さt(P)は、公称上の均一厚から逸脱しており、そのずれは、理論上および/または事実上立証されており、成形型部分2aおよび2bが力Fで一緒に圧縮される際に該成形型部分に向かってセルロースブランク1aのすべての部分に等方圧P
1が加えられることになる。
【0101】
図6aは、成形型部分に供給される連続したウェブ1aの平坦な状態のセルロースブランクを有する初期の開いた状態の実施形態を模式的に示す。
図6cは、圧縮された非平坦状態のセルロースブランク1aを有する閉じた状態の実施形態を模式的に示す。
図6bは、圧縮されていない非平坦状態にある、開いた状態と閉じた状態の中間の実施形態を模式的に示す。
【0102】
図6a~
図6cは、中空ボウル用の圧縮装置の一例を示しており、凸成形型部分2aが、公称の好ましい形状を有し、凹加圧型部分2bが、等しい圧力P
1を得るために調整された形状を有する。
【0103】
図6bに示すように、ブランクは2つのモールド部2a、2bによって変形され、セルロースブランク1aの厚さtは、摩擦およびセルロースブランク1aに残留するひずみによって変化する。多くの方法で変更され得る、この模式的な例では、セルロースブランク1aは、加圧型部分2bのキャビティ入口の近傍で最も薄い厚さt
minになり、成形型2aの上部で最も厚い厚さt
maxになる。
【0104】
したがって、セルロースブランク1aを、凹加圧型部分2bを用いて、成形面全体にわたりセルロースブランク1aに作用する実質的に等しい成形圧力P1で凸成形型2aに対してプレスすることによって、最も狭いキャビティ厚さsminは、セルロースブランクの最も薄いtminの近傍に位置し、かつ最も広いキャビティ厚さsmaxは、圧縮されていないセルロースブランク1aの最も厚いtmaxの近傍に位置するので、2つの成形型部分2aと2bとの間のキャビティの厚さsは補償若しくは調整されている。
【0105】
また、セルロースブランクの厚さtと、キャビティの厚さsと、最終的なキャビティ形状との間の関係も、キャビティの幾何学的な圧力の発生に関係している。力Fによって、凸成形型部分2aの上部の圧力P1が決定され、最も狭いキャビティ厚さsmin近傍のキャビティの凸面、厚さおよび角度が最終圧力P1を決定する。
【0106】
本発明者らは、実質的に等方の圧力P1を得るために、キャビティの最終形状が複雑なアルゴリズムt(P)であることを見出し、その際、数学的な解析法、好ましくは有限要素法(FEM)と、実証試験、好ましくは試行錯誤との双方が、コンポーネントの全体にわたって等しい圧力を得るために必要である。
【0107】
可撓性膜を用いない本開示の別の実施形態によれば、
図6a~
図6cの幾何学的に圧力調整されたキャビティは、セルロースブランクの厚さ補償(調整)によって置き換えることができる。
【0108】
図7a~
図7bは、好ましく等しい公称のキャビティ厚さtをもたらす従来の圧力調整されていない凹成形型部分2bおよび調整されていない凸成形型部分2aを、に模式的に示し、ここで、ブランクは、
図6a~
図6cに関して論じられた実施形態について説明されたのと同じ理論および同じ方法で確立されたt
min-t
max間の圧力調整された厚さを有する。
【0109】
図6a~
図6cおよび
図7a~
図7bに関して示された、可撓性膜を用いずに等方圧を生じさせる方法の選択は、圧縮装置のサイクル時間の短縮およびコストの削減に関連する。しかしながら、剛性を示す成形型を使用する方法では、開発努力に、より多くのコストがかかる可能性がある。
【0110】
図6a~
図6cに関して記載された方法に対して
図7a~
図7bに関して記載された方法を用いることの利点は、均一な厚さt
1を有する最終セルロース製品が得られることである。しかしながら、ブランクは、
図7a~
図7bに記載された方法で製造することでよりコストがかかる可能性がある。
【0111】
代替法として、成形型3は、大きな分厚い可撓性膜構造として構成された膜により形成してもよい。
図8a~
図8cには、凹成形型部分2bと凸成形型部分2aとを有する別の成形型3が模式的に示されている。凸成形型部分2aは、セルロース製品を成形する際に、セルロースブランク1aに等方圧をかけている大きな分厚い可撓性膜4に成形圧力Fを加えている。大きな可撓性膜とは、上記の実施形態で説明した膜構造と同様の、セルロースブランク1aに等方圧をかける能力を有するが、より薄い膜構造と比較してより大きな弾性変形領域を有する可撓性構造を意味する。大きな可撓性膜4は、厚膜構造で構成されてよく、またはさらに均質な可撓性材料の塊で作られてもよい。可撓性材料は、その塊に圧力が加えられる際に成形型部分の間に材料を浮かせるような特性を有し得る。
図8a~
図8cに示す実施形態では、大きな可撓性膜4は、均質な可撓性材料の塊から構成されている。
【0112】
別の実施形態では、大きな可撓性膜4は、様々な厚さを有してよく、その際、大きな可撓性膜は、例えば、様々な厚さの構造に成形または鋳造される。様々な厚さを有する大きな可撓性膜の薄い領域および厚い領域は、セルロースブランク1aにかけられた圧力を均等または一定にするために膜の小さな変形または大きな変形を必要とする成形型部分の領域を補償し得る。大きな可撓性膜構造を使用することで、成形型をより安価でかつより簡単な構造で作製することができる。
【0113】
大きな可撓性膜4は、圧力Fが成形型部分から加えられると、大きな可撓性膜4が変形し、等方圧を加えるように構成されている。大きな可撓性膜4は、例えばゴム、シリコーン、ポリウレタンまたは他のエラストマーなどの適切なエラストマー材料で作られてよい。大きな可撓性膜4の可撓性のために、大きな可撓性膜4は、等方圧をセルロースブランク1aに加える。
【0114】
図8aでは、セルロースブランク1aは、凹成形型部分2bと大きな可撓性膜4との間に配置されている。
図8a~
図8bに示すように、成形圧力Fが成形型部分に加えられる際に、凸成形型部分2aは、大きな可撓性膜4およびセルロースブランク1aを、凹成形型部分2bに押し込んでいる。セルロース製品を成形する際に、凹成形型部分2bは、成形型部分温度T
2に加熱され、成形プロセスの間、セルロースブランク1aは、成形温度T
1に加熱される(
図8a~
図8cを参照のこと)。
【0115】
図9a~
図9cには、凹成形型部分2bと凸成形型部分2aとを有する別の代替的な成形型3が、模式的に示されている。凹成形型部分2bは、セルロース製品を成形する際に、成形圧力Fを大きな可撓性膜4に加え、これは等方圧をセルロースブランク1aに加える。大きな可撓性膜4は、圧力Fが成形型部分から加えられると、大きな可撓性膜4が変形し、等方圧を加えるように構成されている。大きな可撓性膜4は、
図8a~
図8cに示された実施形態に関して上記されたものと同じ構造のものであってもよい。
図9a~
図9cに示された実施形態では、大きな可撓性膜4は、凸成形型2aの形状に合わせて変化した厚さを有する。大きな可撓性膜4の可撓性のために、大きな可撓性膜4は、セルロースブランク1aに等方圧を加える。
【0116】
図9aでは、セルロースブランク1aは、凸成形型部分2aと大きな可撓性膜4との間に配置される。
図9a~
図9bに示すように、成形圧力Fが成形型部分に加えられる際に、凸成形型部分2aは、セルロースブランク1aを、大きな可撓性膜4に向かって凹成形型部分2b内に押し込んでいる。セルロース製品を成形する際に、凸成形型部分2aは、成形型部分温度T
2に加熱され、成形プロセスの間、セルロースブランク1aは、成形温度T
1に加熱される(
図9a~
図9cを参照のこと)。
【0117】
特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という用語は、他の要素または工程を除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外していない。特定の測定値が、互いに異なる従属請求項に記載されているという事実だけでは、これらの測定値の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0118】
上記の説明は本質的に単に例示的なものであり、本開示、その用途または使用を限定するものではないことが理解されることになる。特定の例が明細書に記載され、かつ図面に示されているが、当業者であれば、特許請求の範囲に規定された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてよく、かつ等価物がその要素の代わりに用いられてもよいことを理解することになる。さらに、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を、本開示の教示に適合させるために改変がなされてもよい。
【0119】
したがって、本開示は、図面によって示され、かつ本開示の教示を実施するための現在考えられる最良の形態として明細書に記載された特定の例に限定されるものではなく、本開示の範囲は、前述の説明および添付の特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むことになる。
【0120】
特許請求の範囲に記載された参照符号は、特許請求の範囲によって保護されている事項の範囲を限定するものと見なすべきではなく、その唯一の機能は、特許請求の範囲を理解しやすくすることである。
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-12-02
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0023
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0023】
セルロースブランクは、様々な形で、例えば、ウェブ、ラグ、フェルト、緩んだ繊維、フォーム、シート等として準備され得る。ブランクは、強度を高め、吸湿性を低下させ、または最終コンポーネントを疎水性、難燃性にし、コンポーネントを着色するか、あるいは他の方法で最終材料の特徴を変更するための試薬の微量物質(0~10%)を含有する。しかしながら、添加剤の量は、厚紙としてリサイクル可能なコンポーネントを作製するという本発明の目的を達成する上で問題となるものであってはならない。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0057
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0057】
さらに、セルロース繊維のコヒーレントシートを模式的に示すことにより、これは本発明の範囲を決して限定するものではなく、例えば、成形型に適用された緩んで分離した繊維を含むブランクを同様に含む。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸および凹成形型部分を有する成形型(3)を有し、該成形型(3)は製品形状を規定する成形面を有する加圧成形装置により、非平坦な製品形状を有するセルロース製品を製造する方法であって、以下の工程:
初期の開いた状態の前記成形型(3)内に成形するための位置に45質量パーセント未満の水を含有する緩んで分離したセルロース繊維(1a)を配置する工程;
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)を、100℃~200℃の範囲の成形温度に加熱する工程;および
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)を、前記成形型(3)を用いて、前記成形面全体にわたり該緩んで分離したセルロース繊維(1a)に作用する1MPa~100MPaの範囲の成形圧でプレスする工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記成形圧が、非等方圧である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、初期の開いた状態の前記成形型(3)内に成形するための位置に45質量パーセント未満の水を含有する前記緩んで分離したセルロース繊維を含むセルロースブランク(1a)を配置する工程を含み、
前記セルロースブランク(1a)は、シート材または2次元の形状を有するブランクであるか、または、前記セルロースブランク(1a)は、2次元のシート材料から3次元の形状に成形されたものである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)が、25質量パーセント未満の水を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)が、15質量パーセント未満の水を含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)が、木材パルプを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)が、少なくとも90質量パーセントの木材パルプを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記加熱工程を、少なくとも部分的に前記プレス工程の前に行う、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記成形型(3)が、成形型部分(2a)および加圧型部分(2b)を含み、前記成形型部分および前記加圧型部分のうち少なくとも1つを、前記プレス工程の前に加熱する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)は、前記成形型(3)を閉じる際に、前記成形型(3)によって残留材料から切断される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記緩んで分離したセルロース繊維(1a)の前記加熱およびプレスによって、フィブリル凝集がセルロース繊維において起こる、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
緩んで分離したセルロース繊維(1a)から出発して非平坦な製品形状を有するセルロース製品を製造するための加圧成形装置であって、
前記加圧成形装置は、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法工程を実行するように配置された、前記製品形状を規定する成形面を有する、凸および凹成形型部分を有する成形型(3)
を含む、装置。
【請求項13】
圧縮された緩んで分離した繊維を含む非平坦な形状を有するセルロース製品。
【請求項14】
前記セルロース製品は、均一な厚さを有する、請求項13記載のセルロース製品。
【外国語明細書】