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  • 特開-蝶番 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118388
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】蝶番
(51)【国際特許分類】
   E05D 11/08 20060101AFI20230818BHJP
   E05D 5/10 20060101ALI20230818BHJP
   E05D 5/04 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
E05D11/08 A
E05D5/10 Z
E05D5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021317
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】峯村 知孝
(57)【要約】
【課題】従来の蝶番とは異なる簡易な構造で、金属同士、あるいは樹脂同士の直接接触を回避した新規の蝶番を提供する。
【解決手段】蝶番1において、ワッシャ5,6は、当接するいずれかのフランジ7a,8a,9a,10aの外周に係合するように、当該フランジ7a,8a,9a,10aの厚さ寸法より小なる高さ寸法で立ち上がる環状起立縁5a,6aを具備し、それにより、相対向する2つのフランジ7a,8a,9a,10a間に隙間G2が確保されると共に、ワッシャ5,6の内周と枢軸4の外周との間に隙間G1が確保される。これにより、金属同士、樹脂同士の接触が回避され、それに伴う粉塵の発生が回避される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一軸線上に互いに間隔を置いて対向する複数の第1軸管を有する金属製の第1羽根と、
前記第1軸管の間に軸線を一致させて介在する第2軸管を有する金属製の第2羽根と、
前記第1及び第2軸管の軸線方向の互いの対向端部内にそれぞれ嵌め込まれ、それぞれの対向端面に当接するフランジを有する合成樹脂製のブッシュと、
前記フランジの互いの対向面の間に介在する金属製のワッシャと、
前記ブッシュ及び前記ワッシャを介して前記第1及び第2軸管に挿通され、前記第1及び第2羽根を連結する枢軸とを含み、
前記ワッシャは、当接するいずれかの前記フランジの外周に係合するように、当該フランジの厚さ寸法より小なる高さ寸法で立ち上がる環状起立縁を具備し、それにより、相対向する2つの前記フランジ間に隙間が確保されると共に、前記ワッシャの内周と前記枢軸の外周との間に隙間が確保されることを特徴とする蝶番。
【請求項2】
前記枢軸は、前記第1羽根の前記第1軸管それぞれの外側端から突出した両端に拡径したかしめ部を具備し、
前記かしめ部と対向する前記第1軸管の外側端との間には、金属製の座金が前記枢軸に固定されて介設されることを特徴とする請求項1に記載の蝶番。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵や塵埃などの発生を嫌う、半導体などの精密部品を製造する工場内の装置の扉や、クリーンルームの開閉扉に使用される蝶番に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蝶番は、一般に一対の羽根と、その羽根が有する軸管に挿入され、羽根を連結する枢軸とにより構成され、装置の制御盤の扉や、部屋出入口の扉などの連結部材として使用される。通常、羽根と枢軸は強度、耐久性の観点から金属材料で形成されるが、金属同士の接触部からは、摺動摩擦に伴う金属粉が飛散し、これが製品の品質に影響するので、精密部品を製造する現場では、蝶番からの金属粉の飛散防止対策が求められている。この問題を解決する手段として、金属同士が直接接触することを避けるために、金属材料と異なる硬度の含油合成樹脂材のブッシュやワッシャを摺動部に介在させた蝶番が提案されている( 特許文献1 ) 。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-10a3378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の蝶番とは異なる簡易な構造で、金属同士、あるいは樹脂同士の直接接触を回避した新規の蝶番を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の蝶番1は、同一軸線上に互いに間隔を置いて対向する複数の第1軸管2a,2bを有する金属製の第1羽根2と、第1軸管2a,2bの間に軸線を一致させて介在する第2軸管3aを有する金属製の第2羽根3と、第1及び第2軸管2a,2b,3aの軸線方向の互いの対向端部内にそれぞれ嵌め込まれ、それぞれの対向端面に当接するフランジ7a,8a,9a,10aを有する合成樹脂製のブッシュ7,8,9,10と、フランジ7a,8a,9a,10aの互いの対向面の間に介在する金属製のワッシャ5,6と、ブッシュ7,8,9,10及びワッシャ5,6を介して第1及び第2軸管2a,2b,3aに挿通され、第1及び第2羽根2,3を連結する枢軸4とを含む。ワッシャ5,6は、当接するいずれかのフランジ7a,8a,9a,10aの外周に係合するように、当該フランジ7a,8a,9a,10aの厚さ寸法より小なる高さ寸法で立ち上がる環状起立縁5a,6aを具備し、それにより、相対向する2つのフランジ7a,8a,9a,10a間に隙間G2が確保されると共に、ワッシャ5,6の内周と枢軸4の外周との間に隙間G1が確保され、金属同士、樹脂同士の接触が回避される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来の蝶番とは異なる簡易な構造で、金属同士、あるいは樹脂同士の接触を回避するコストパフォーマンスの良好な新規の蝶番を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る蝶番の正面図である。
図2図1の蝶番の軸部の拡大断面図である。
図3図2のIII部拡大図である。
図4図2のIV部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図において、蝶番1は、第1及び第2の一対の羽根2,3と、枢軸4と、ワッシャ5,6と、ブッシュ7,8,9,10、座金11とを含む。
【0009】
第1の羽根2は、金属製で、一側縁に2つの第1の軸管2a,2bを具備する。軸管2a,2bは、羽根2の一側縁に、枢軸4の、図において上下方向の軸線に沿って、上下に相互間隔を置いて設けられる。
【0010】
第2の羽根3は、金属製で、一側縁の上下方向中間部に第2の軸管3aを具備する。軸管3aは、軸管2a,2b間に介在して、それらと軸線を一致させるように設けられる。
【0011】
ブッシュ7,8,9,10は、含油合成樹脂製で、それぞれ一端部にフランジ7a,8a,9a,10aを具備する。フランジ7a,8a,9a,10aを除くブッシュ7,8,9,10の外径は、軸管2a,2b,3aに嵌め込み固定が可能で、両者間に相対的に回動が生じないようになっている。
【0012】
フランジ7a,8a,9a,10aの外径は、軸管2a,2b,3aの外径よりも小さい寸法を有している。
【0013】
ワッシャ5,6は、平丸形の金属製で、周縁に環状の起立縁5a,6aを具備する。起立縁5a,6aは、フランジ7a,8a,9a,10aの厚さ寸法より小さい高さ寸法で、それらの外周面に沿う内径に形成される。
【0014】
枢軸4は、金属製で、ブッシュ7,8,9,10に相対摺回動可能に挿入され、第1の軸管2a,2bの上下端から突出し、軸管2a,2bの上下端との間に金属製の座金11を介在させて軸線方向に圧潰してかしめられ、枢軸4、座金11羽根2の三者が相対回転しないように、一体化される。
【0015】
以上の各部材を有する蝶番1においては、図2に示すように、羽根2の軸管2aに、その下端部からブッシュ7が、羽根3の軸管3aにその上下両端部からブッシュ8,9が嵌め込み固定され、また、羽根2の軸管2bにその上端部からブッシュ10が嵌め込み固定されている。
【0016】
この状態では、ブッシュ7のフランジ7aが羽根2の軸管2aの下端面に、ブッシュ8,9のフランジ8a,9aが羽根3の軸管3aの上下両端面に、また、ブッシュ10のフランジ10aが羽根2の軸管2bの上端面に、それぞれ当接している。
【0017】
枢軸4の軸方向において互いに対向するブッシュ7,8のフランジ7a,8aの間にワッシャ5が、また、同方向において互いに対向するブッシュ9,10のフランジ9a,10aの間にワッシャ6が、それぞれ介設されている。
【0018】
この状態では、ワッシャ5の環状の起立縁5aが、フランジ8aの外周に、また、ワッシャ6の環状の起立縁6aが、フランジ9aの外周にそれぞれ嵌合している。したがって、図3,4によく示すように、枢軸4の外周とワッシャ5,6の内周との間には隙間G1が形成される。
【0019】
また、ワッシャ5,6の環状の起立縁5a,6aの起立高さは、フランジ8a,9aの厚さ寸法より小さいので、図3,4によく示すように、起立縁5aの下端と軸管3aの上端との間、起立縁6aの上端と軸管3aの下端との間にはそれぞれ隙間G2が形成される。したがって、ワッシャ5,6は枢軸4に接触することがなく、また軸管2a,3aに接触することもない。
【0020】
例えば、蝶番1が取り付けられた扉が開閉されるとき、羽根2,3が枢軸4を中心として相対的に旋回し、ブッシュ7,8,9,10がワッシャ5,6を介して軸管2a,3a ,2bと一体的に枢軸4の周りを摺回動する。その摺回動の際、ブッシュ7,8間、ブッシュ8,9間にはそれぞれワッシャ5,6が介在するので、樹脂同士の摺動摩擦が生じない。また、ワッシャ5,6と枢軸4との間には隙間G1があり、ワッシャ5,6の環状起立縁5a,6aと軸管8との間には隙間G2があるので,それらの間の金属同士の摺動摩擦が生じない。
【符号の説明】
【0021】
1 蝶番
2 第1羽根
2a 第1軸管
2b 第1軸管
3 第2羽根
3a 第2軸管
4 枢軸
5 ワッシャ
5a 起立縁
6 ワッシャ
6a 起立縁
7 ブッシュ
7a フランジ
8 ブッシュ
8a フランジ
9 ブッシュ
9a フランジ
10 ブッシュ
10a フランジ
11 座金
G1 隙間
G2 隙間
図1
図2
図3
図4