(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118390
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、調合用用品、及び、化粧品
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230818BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021319
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】秦 克年
(72)【発明者】
【氏名】高橋 純平
(72)【発明者】
【氏名】西川 清恵
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB24
5L049BB58
(57)【要約】
【課題】ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品の調合データを生成できる、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、及び、当該調合データに係る調合用用品、及び、化粧品を提供する。
【解決手段】化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムは、第1ユーザが操作する第1情報端末からリクエストを受け付け、リクエストに基づいて指定される部位を特定し、部位の色を示す第1色データを生成し、第1色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第1調合データを算出し、第1情報端末に第1調合データを出力する。調合用用品は当該調合に用いられ、化粧品は当該調合によって作成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザが操作する第1情報端末からリクエストを受け付け、
前記リクエストに基づいて指定される部位を特定し、
前記部位の色を示す第1色データを生成し、
前記第1色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第1調合データを算出し、
前記第1情報端末に前記第1調合データを出力する、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項2】
前記第1調合データに基づいて、前記第1色データによって示される色を有する第1化粧品を調合する、請求項1に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項3】
前記第1色データによって示される色を有する第1化粧品に関連付けられる第1タグ情報を、前記第1情報端末から受け付ける、請求項1又は2に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項4】
前記第1タグ情報は、前記第1化粧品を使用するシーンを示すシーン情報を含む、請求項3に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項5】
前記第1タグ情報は、前記第1ユーザの属性を示すユーザ属性情報を含む、請求項3又は4に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項6】
前記ユーザ属性情報は、前記第1ユーザの年齢層、性別、職種、行動様式、肌色、肌質の少なくともいずれかを特定する情報を含む、請求項5に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項7】
前記第1色データ及び前記第1タグ情報を組とする教師データに基づいて学習モデルを生成し、
第2ユーザが操作する第2情報端末から第2タグ情報を受け付け、
前記第2タグ情報を含む入力に対する前記学習モデルから出力される第2色データを前記第2情報端末に送信する、請求項3~6のいずれか一項に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項8】
前記第2ユーザの購入履歴に基づいて、複数の前記調合用用品の中から、前記第2ユーザに関連付けられる特定調合用用品を特定し、
前記特定調合用用品を用いた調合によって再現可能な色を示す色データの中から、前記第2色データに最も類似する特定色データを抽出し、
前記特定色データを前記第2情報端末に送信する、請求項7に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項9】
前記第2色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第2調合データを算出し、
前記第2ユーザに前記第2調合データを出力する、請求項7又は8に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項10】
前記第2調合データに基づいて、前記第2色データによって示される色を有する第2化粧品を調合する、請求項9に記載の、化粧品調合の情報処理方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化粧品調合の情報処理方法によって出力される前記第1調合データによって示される調合に用いられる調合用用品。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化粧品調合の情報処理方法によって出力される前記第1調合データによって示される調合を行って作成される化粧品。
【請求項13】
請求項9又は10に記載の化粧品調合の情報処理方法によって出力される前記第2調合データによって示される調合に用いられる調合用用品。
【請求項14】
請求項9又は10に記載の化粧品調合の情報処理方法によって出力される前記第2調合データによって示される調合を行って作成される化粧品。
【請求項15】
第1ユーザが操作する第1情報端末からリクエストを受け付ける入力部と、
前記リクエストに基づいて指定される部位を特定し、前記部位の色を示す第1色データを生成し、前記第1色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第1調合データを算出するコントローラと、
前記第1情報端末に前記第1調合データを出力する出力部と、
を備える、化粧品調合の情報処理装置。
【請求項16】
第1ユーザが操作する第1情報端末からリクエストを受け付けるステップと、
前記リクエストに基づいて指定される部位を特定するステップと、
前記部位の色を示す第1色データを生成するステップと、
前記第1色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第1調合データを算出するステップと、
前記第1情報端末に前記第1調合データを出力するステップと、
をコンピュータに実行させる、化粧品調合の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、調合用用品、及び、化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが、ユーザ端末よりサーバにアドバイス提供を要求すると、サーバが、ユーザ端末から送信されたユーザ自身の顔画像に基づいて肌の色や状態を分析(診断)し、当該分析結果とユーザの希望とを反映して調合化粧品の調合データを作成し、調合データを含むアドバイスデータを返信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、ユーザ自身の顔画像の分析によって得られる肌の色や状態に基づいて調合化粧品の調合データが作成されるため、芸能人、インフルエンサー等を含む幅広い情報源から発信された色など、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品の調合データを生成できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品の調合データを生成できる、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、及び、当該調合データに係る調合用用品、及び、化粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一態様に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムは、第1ユーザが操作する第1情報端末からリクエストを受け付け、リクエストに基づいて指定される部位を特定し、部位の色を示す第1色データを生成し、第1色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第1調合データを算出し、第1情報端末に第1調合データを出力する。調合用用品は当該調合に用いられ、化粧品は当該調合によって作成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品の調合データを生成できる。さらに、当該調合データによって示される調合に係る調合用用品、及び、化粧品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る、化粧品調合の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0010】
[システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る、化粧品調合の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理システムは、無線又は有線のネットワーク400で互いに接続された、端末100(第1情報端末、第2情報端末)と、サーバ200(情報処理装置)と、を備える。
【0011】
ネットワーク400は、例えば、インターネットが挙げられる。ネットワーク400は、4G/LTEや、5Gなどのモバイル通信機能を利用するものであってもよい。
【0012】
端末100(第1情報端末、第2情報端末)は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に関する情報をネットワーク400に出力する。端末100は、ユーザの操作に基づいて、ユーザからの化粧品調合に関するリクエストをネットワーク400に出力するものであってもよい。端末100としては、例えば、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)が挙げられる。
【0013】
例えば、化粧品調合に関するリクエストには、ユーザが指定する部位の情報が含まれていてもよい。ここで「ユーザが指定する部位の情報」は、ユーザの身体の一部(顔など)を撮像した画像であってもよい。当該画像は、情報100に搭載された撮像部(カメラ、光学センサ)によって撮像された画像であってもよい。
【0014】
また、「ユーザが指定する部位の情報」は、芸能人、インフルエンサー等を含む幅広い情報源から発信された情報が含まれていてもよい。例えば、「ユーザが指定する部位の情報」は、雑誌、インターネット等によって公開された画像の情報が含まれていてもよい。「ユーザが指定する部位の情報」自体が画像であってもよいし、「ユーザが指定する部位の情報」は、画像の配置場所を示すロケータの情報であってもよい。
【0015】
また、端末100は、後述するサーバ200から、化粧品調合に関するリクエストに基づいて生成された調合データ(第1調合データ、第2調合データ)を受信する。例えば、端末100を操作するユーザ(第1ユーザ、第2ユーザ)は、調合データに基づいて、複数の調合用用品を調合して化粧品(第1化粧品、第2化粧品)を作成してもよい。
【0016】
ここで、化粧品調合に用いる調合用用品の形状については特に制限はない。例えば、調合用用品は、ユーザが個別に調合する用途で利用しやすいように、カプセルや、定量容器、使用時に溶解する包装材料など一定容量の容器に個包装された化粧品原料であってもよい。また、調合量を簡便に調整できるように、例えば、調合用用品は、目盛りのついた計量可能な容器に個包装された化粧品原料であってもよい。また、調合用用品は、スポイト、計量スプーン、メスシリンダー、ピペット、ストローなど一定容量を測り取れる付帯品とセットになっていてもよい。
【0017】
また、化粧品調合に用いる調合用用品は、混合などにより調合が可能であれば特に制限はない。例えば、調合用用品は、チクソ性が付与されたリキッド、あるいは、ジェルタイプの化粧品原料であっても、ペースト状、クリーム状、ケーキタイプ、パウダータイプの化粧品原料であってもよい。その他、複数の調合用用品は、種々のバリエーションを有するものであって、例えば、カラー、ラメの有無で互いに区別されるものであってもよい。さらには、複数の調合用用品は、光沢、クリア等の機能性や、保湿等の美容成分の有無で互いに区別されるものであってもよい。
【0018】
端末100は、ユーザ(第1ユーザ)が指定する部位の色を有する化粧品(第1化粧品)に関連付けられるタグ情報(第1タグ情報)を、送信するものであってもよい。その他、端末100は、ユーザ(第2ユーザ)が化粧品を使用するシーンや、ユーザの属性を示す属性情報を含む、タグ情報(第2タグ情報)を、送信するものであってもよい。
【0019】
ここで、「タグ情報」には、化粧品を使用するシーンを示すシーン情報が含まれていてもよいし、ユーザの属性を示すユーザ属性情報が含まれていてもよい。なお、ユーザ属性情報は、ユーザの年齢層、性別、職種、行動様式、肌色、肌質の少なくともいずれかを特定する情報を含むものであってもよい。化粧品を使用するシーンとしては、特に制限はなく、例えば、時間、特定の場所、特定のイベントなどが挙げられる。従って、これらのシーンを示すシーン情報がタグ情報に含まれていてもよい。また、例えば、食品、キャラクター、有名人、色の名前、年間行事、四季、年代による催しなど、SNSのハッシュタグ等として用いられる識別情報を「タグ情報」として適宜用いることもできる。
【0020】
サーバ200には、端末100から発信された、化粧品調合に関するリクエストが入力される。また、サーバ200は、端末100から発信されたタグ情報が入力されるものであってもよい。その他、サーバ200からは、化粧品調合に関するリクエストに基づいて生成された調合データが出力される。
【0021】
サーバ200から出力された調合データは、端末100に送信されるものであってもよいし、図示しない外部サーバ(化粧品又は調合用用品を提供、販売する企業が管理するサーバなど)に送信されるものであってもよい。
【0022】
化粧品又は調合用用品を提供、販売する企業は、送信された調合データに基づいて、複数の調合用用品を調合して化粧品(第1化粧品、第2化粧品)を作成してもよい。そして、化粧品又は調合用用品を提供、販売する企業は、作成した化粧品をユーザに配送するものであってもよい。
【0023】
サーバ200には、化粧品又は調合用用品を提供、販売する企業が管理するサーバに搭載されるものであってもよいし、端末100に搭載されるものであってもよい。
【0024】
以下では、ネットワーク400を介して、端末100、サーバ200は互いに双方向に通信可能であるとする。
【0025】
[サーバの構成]
次に、サーバ200(情報処理装置)について説明する。
図1に示すように、サーバ200は、通信部210(入力部、出力部)と、データベース220と、コントローラ230と、を備える。
【0026】
通信部210は、複数の端末100のうち、第1ユーザが操作する端末100(第1情報端末)から化粧品調合に関するリクエストを受け付ける。また、通信部210は、第1ユーザが操作する端末100(第1情報端末)に対して、化粧品調合に関するリクエストに基づいて生成された調合データ(第1調合データ)を出力する。
【0027】
また、通信部210は、調合データによって調合され、ユーザが指定する部位の色を有する化粧品(第1化粧品)に関連付けられるタグ情報(第1タグ情報)を受け付けるものであってもよい。
【0028】
その他、通信部210は、複数の端末100のうち、第2ユーザが操作する端末100(第2情報端末)から、第2タグ情報を受け付けるものであってもよい。そして、通信部210は、第2タグ情報に基づいて生成された調合データ(第2調合データ)を出力するものであってもよい。
【0029】
データベース220は、通信部210によって受け付けた、化粧品調合に関するリクエストを記憶する。また、データベース220は、通信部210によって受け付けた、タグ情報を記憶するものであってもよい。さらに、データベース220は、後述する学習部237によって生成した学習モデルを記憶するものであってもよい。
【0030】
また、データベース220は、化粧品調合に用いる調合用用品ごとに、調合用用品に含まれる顔料の情報を記憶するものであってもよい。また、データベース220は、調合用用品ごとに、調合用用品の色を示す色データを記憶するものであってもよい。データベース220は、調合用用品の色をL*a*b*表色系において表現した値を、調合用用品の色を示す色データとして記憶するものであってもよい。
【0031】
コントローラ230は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ230には、情報処理システムの一部として機能させるためのコンピュータプログラム(情報処理プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ230は、複数の情報処理回路(231、233、235、237)として機能する。
【0032】
なお、ここでは、ソフトウェアによってコントローラ230が備える複数の情報処理回路(231、233、235、237)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(231、233、235、237)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(231、233、235、237)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0033】
コントローラ230は、複数の情報処理回路(231、233、235、237)として、部位特定部231、色データ特定部233、算出部235、学習部237を備える。
【0034】
部位特定部231は、リクエストに基づいて指定される部位を特定する。より具体的には、リクエストに含まれる「ユーザが指定する部位の情報」を抽出し、後述する色データ特定部233によって色データを生成する対象となる部位を特定する。
【0035】
例えば、部位特定部231は、ユーザの身体の一部(顔など)を撮像した画像に画像認識の処理を行うものであってもよい。画像認識の処理の一例として、部位特定部231は、画像内に映りこむ顔の輪郭を判定し、顔にある目、鼻、口、頬、眉など、顔を構成するパーツの位置を特定するものであってもよい。
【0036】
また、部位特定部231は、雑誌、インターネット等によって公開された画像に対して、画像認識の処理を行うものであってもよい。
【0037】
色データ特定部233は、部位特定部231によって特定された部位の色を示す色データ(第1色データ)を生成する。例えば、色データ特定部233は、特定された部位が写っている画像の箇所の輝度情報を含むRGBデータを、輝度情報を含むL*a*b*表色系において表現した値に変換するものであってもよい。そして、色データ特定部233は、変換によって得られるL*a*b*表色系において表現した値を、第1色データとするものであってもよい。
【0038】
RGBデータを、L*a*b*表色系において表現した値に変換する方法として、輝度情報を含むRGBデータを、「輝度データを分離したRGB」値の白点(標準光源「D65」または「D50」光源)を指定することで「CIE XYZ」値に変換し、変換された「CIE XYZ」値から「L*a*b*」値に変換する方法を用いてもよい。
【0039】
その他、色データ特定部233は、特定された部位が写っている画像の所定範囲を走査することで、輝度データ(例えば、後述する「スパークル感」「粒子感」を示すデータ)を抽出し、第1色データとして生成するものであってもよい。
【0040】
ここで、「スパークル感」とは、画像内における暗い箇所と明るい箇所の差を示す指標であり、いわゆる人の目で見て「キラキラ」と輝く様子を示す指標である。また、「粒子感」とは、画像内で、周辺より明るい箇所がどの程度の粒径で集合しているかを示す指標である。例えば、「粒子感」は、ピクセル数によって評価することもできる。
【0041】
上述した「スパークル感」及び「粒子感」の評価には、個人差が生じる場合がある。そのため、例えば、あらかじめ試験画像に基づいて評価者が官能評価を行って得られる「スパークル感」及び「粒子感」を機械学習によって学習し、当該評価者による官能評価の結果を再現する評価用学習モデルを生成してもよい。当該評価用学習モデルを用いて、与えられた画像に基づく輝度データを抽出しててもよい。
【0042】
なお、評価者は、ユーザ(第1ユーザ、第2ユーザ)であってもよいし、化粧品又は調合用用品を提供、販売する企業が選定した評価者であってもよい。評価者の例は、これに限定されない。
【0043】
「スパークル感」及び「粒子感」の評価、その他、輝度データの抽出は、上述した例に限定されない。
【0044】
その他、色データ特定部233は、特定された部位が写っている画像の所定範囲を走査することで、当該部位におけるパール感(真珠やシャボン玉にできる虹のような色と輝きを発する仕上がり)の程度を数値として取得し、第1色データとして生成するものであってもよい。
【0045】
なお、色データ特定部233によって生成された色データは、データベース220に送信されるものであってもよい。データベース220は、リクエストが送信された端末100を操作するユーザのアカウント情報に紐づけて、色データ特定部233によって生成された第1色データを記憶するものであってもよい。
【0046】
算出部235は、第1色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す調合データ(第1調合データ)を算出する。例えば、算出部235は、データベース220を参照し、調合用用品に含まれる顔料の情報、及び、調合用用品の色を示す色データを取得する。そして、算出部235は、調合用用品に含まれる顔料の情報、及び、調合用用品の色を示す色データに基づいて、複数の調合用用品を調合して得られる化粧品の色を示す色データが、第1色データと一致する際の、複数の調合用用品の調合の比率を算出し、第1調合データを生成する。例えば、算出部235は、輝度データを考慮したメタリックマッチを含むCCM(Computer Color Match)計算を行って、複数の調合用用品の調合の比率を算出するものであってもよい。
【0047】
また、算出部235は、後述する学習部237によって算出された第2色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す調合データ(第2調合データ)を算出するものであってもよい。
【0048】
算出部235における第2調合データの算出の方法は、第1調合データの算出の方法と同様であってもよいし、第2ユーザの購入履歴に基づいて第2調合データを算出するものであってもよい。
【0049】
例えば、算出部235は、通信部210を介して、図示しない外部サーバ(化粧品又は調合用用品を提供、販売する企業が管理するサーバなど)から、第2ユーザの購入履歴を取得する。そして、算出部235は、第2ユーザが所持する調合用用品(特定調合用用品)によって再現可能な色データの範囲の中から、第2色データに最も近い色データ(特定色データ)を抽出するものであってもよい。算出部235は、抽出した特定色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す調合データを算出するものであってもよい。
【0050】
学習部237は、第1色データ及び第1タグ情報を組とする教師データに基づいて学習モデルを生成する。より具体的には、学習部237は、第1色データ及び第1タグ情報を組とする教師データに対して機械学習による学習モデルを生成する。
【0051】
機械学習による学習モデルを作成する手法として、例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、Random Forest、XGBoost、LightGBM、PLS回帰、Ridge回帰、Lasso回帰のうち,1つまたは2つ以上の組み合わせを用いる手法が挙げられる。機械学習によって学習モデルを作成する手法は、ここに挙げた例に限定されない。
【0052】
例えば、学習部237は、第1色データをニューラルネットワークに入力した際に得られる出力と、入力した第1色データに対応する第1タグ情報の誤差を算出する。そして、学習部237は、誤差が最小となるようにニューラルネットワークを定義するパラメータの調整を行って、教師データを表現する特徴を学習する。この場合、学習モデルはニューラルネットワークによって表現される。
【0053】
例えば、上記ニューラルネットワークは、第1色データが入力される入力層、出力値が出力される出力層、入力層と出力層の間に設けられる少なくとも1層以上の隠れ層とを含み、入力層、隠れ層、出力層の順番に信号が伝搬する。入力層、隠れ層、出力層の各層は、1つ以上のユニットから構成される。層間のユニット同士が結合しており、各ユニットは活性化関数(例えば、シグモイド関数、正規化線形関数、ソフトマックス関数など)を有する。ユニットへの複数の入力に基づいて重み付きの合計が算出され、合計値を変数とする活性化関数の値が、ユニットの出力となる。
【0054】
例えば、学習部237は、ニューラルネットワークを定義するパラメータのうち、各ユニットで重み付き合計を算出する際の重みを調整することにより、ニューラルネットワークの出力と分類データとの間の誤差を最小化する。複数の教師データに対して、ニューラルネットワークの出力に関する誤差の最小化には、最尤推定法などが適用可能である。
【0055】
ニューラルネットワークの出力に関する誤差を最小化するため、例えば、学習部237は、勾配降下法、確率的勾配降下法などを用いてもよい。学習部237は、勾配降下法、確率的勾配降下法での勾配計算のため、誤差逆伝搬法を用いてもよい。
【0056】
その他、学習部237は、第2タグ情報を学習モデルに入力した際に学習モデルから出力される値を、第2色データとして算出するものであってもよい。
【0057】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムは、第1ユーザが操作する第1情報端末からリクエストを受け付け、リクエストに基づいて指定される部位を特定し、部位の色を示す第1色データを生成し、第1色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第1調合データを算出し、第1情報端末に第1調合データを出力する。
【0058】
これにより、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品の調合データを生成できる。さらに、当該調合データによって調合を行うことで、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品をユーザに提供することができる。
【0059】
特に、芸能人、インフルエンサー等を含む幅広い情報源から発信された色を反映した調合化粧品を、企業による商品化を待つことなく、ユーザが自身で作成することができる。その結果、種々の化粧品の色が、ユーザが属するコミュニティ内で共有され、色を介した生活文化創造に寄与することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムにおいて、第1調合データに基づいて、第1色データによって示される色を有する第1化粧品が調合されるものであってもよい。これにより、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品を、ユーザに提供することができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムは、第1色データによって示される色を有する第1化粧品に関連付けられる第1タグ情報を、第1情報端末から受け付けるものであってもよい。これにより、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品に関連付けられるタグ情報を取得でき、ユーザのニーズを企業が迅速に把握することができる。さらに、タグ情報を介してユーザ間で調合化粧品に関する情報が共有され、色を介した生活文化創造に寄与することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムにおいて、第1タグ情報は、第1化粧品を使用するシーンを示すシーン情報を含むものであってもよい。これにより、第1色データによって示される色を有する第1化粧品をどのようなシーンで使用したいか、というユーザのニーズを企業が迅速に把握することができる。
【0063】
さらに、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムにおいて、第1タグ情報は、第1ユーザの属性を示すユーザ属性情報を含むものであってもよい。これにより、第1色データによって示される色を有する第1化粧品がどのような属性を有するユーザに好まれているかを、企業が迅速に把握することができる。得られたユーザの嗜好を、将来の商品開発に活用することができる。さらには、同じ属性を有するユーザ間で調合化粧品に関する情報が共有され、色を介した生活文化創造に寄与することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムにおいて、ユーザ属性情報は、第1ユーザの年齢層、性別、職種、行動様式、肌色、肌質の少なくともいずれかを特定する情報を含むものであってもよい。これにより、第1色データによって示される色を有する第1化粧品がどのような属性を有するユーザに好まれているかを、企業が迅速かつ精緻に把握することができる。得られたユーザの嗜好を、将来の商品開発に活用することができる。
【0065】
さらに、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムは、第1色データ及び第1タグ情報を組とする教師データに基づいて学習モデルを生成し、第2ユーザが操作する第2情報端末から第2タグ情報を受け付け、第2タグ情報を含む入力に対する学習モデルから出力される第2色データを第2情報端末に送信するものであってもよい。これにより、タグ情報を用いた調合化粧品の提案をユーザに対して行うことができる。
【0066】
また、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムは、第2ユーザの購入履歴に基づいて、複数の調合用用品の中から、第2ユーザに関連付けられる特定調合用用品を特定し、特定調合用用品を用いた調合によって再現可能な色を示す色データの中から、第2色データに最も類似する特定色データを抽出し、特定色データを第2情報端末に送信するものであってもよい。これにより、ユーザが過去に購入して所持している調合用用品によって再現可能な色の範囲内で、タグ情報を用いた調合化粧品の提案をユーザに対して行うことができる。
【0067】
さらに、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムは、第2色データに基づいて、複数の調合用用品の調合の比率を示す第2調合データを算出し、第2ユーザに第2調合データを出力するものであってもよい。これにより、ユーザが化粧品を使用したいシーンや、ユーザの属性に合わせた調合化粧品の調合データを生成できる。さらに、当該調合データによって調合を行うことで、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品をユーザに提供することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムにおいて、第2調合データに基づいて、第2色データによって示される色を有する第2化粧品が調合されるものであってもよい。これにより、ユーザが化粧品を使用したいシーンやユーザの属性に合わせた調合化粧品を、ユーザに提供することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る調合用用品は、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムによって出力される第1調合データによって示される調合に用いられるものであってもよい。これにより、欲しいと思う色を反映した調合化粧品を、ユーザ自身が調合することができる。その結果、企業による商品化を待つことなく、欲しいと思う色を反映した調合化粧品をユーザは入手できる。
【0070】
また、本実施形態に係る化粧品は、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムによって出力される第1調合データによって示される調合を行って作成されるものであってもよい。これにより、ユーザが欲しいと思う色を反映した調合化粧品を、ユーザに提供することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る調合用用品は、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムによって出力される第2調合データによって示される調合に用いられるものであってもよい。これにより、ユーザが化粧品を使用したいシーンや、ユーザの属性に合わせた調合化粧品を、ユーザ自身が調合することができる。その結果、企業による商品化を待つことなく、ユーザが化粧品を使用したいシーンやユーザの属性に合わせた調合化粧品をユーザは入手できる。
【0072】
また、本実施形態に係る化粧品は、化粧品調合の情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムによって出力される第2調合データによって示される調合を行って作成されるものであってもよい。これにより、ユーザが化粧品を使用したいシーンやユーザの属性に合わせた調合化粧品を、ユーザに提供することができる。
【0073】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0074】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述および図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0075】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0076】
100 端末(第1情報端末、第2情報端末)
200 サーバ(情報処理装置)
210 通信部(入力部、出力部)
220 データベース
230 コントローラ
231 部位特定部
233 色データ特定部
235 算出部
237 学習部
400 ネットワーク