(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118394
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
G01H 11/08 20060101AFI20230818BHJP
G01L 1/16 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G01H11/08 Z
G01L1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021326
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】517069066
【氏名又は名称】ロボセンサー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】大村 昌良
(72)【発明者】
【氏名】林 正之
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064CC41
2G064CC42
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】本発明は、耐久性の高いセンサユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のセンサユニット1は、ベース部材5と、ベース部材5の下面に接して配置され振動を検出する線状センサ2と、線状センサ2を挟んでベース部材5に対向して配置された対向部材4と、天板部31と天板部31の周縁部分から垂下した周壁部32とを有し天板部31と周壁部32によって形成された収容空間にベース部材5および線状センサ2を収容した収容部材3とを備え、周壁部32は、対向部材4の上面よりも下方まで延在したものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部とを有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した収容部材とを備え、
前記周壁部は、前記対向部材の上面よりも下方まで延在したものであることを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
前記対向部材は、前記周壁部の下端部分に圧入されたものであることを特徴とする請求項1記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記周壁部は、前記対向部材が当接してそれ以上上方に移動することを防止する第1周壁当接部が形成されたものであることを特徴とする請求項2記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記収容部材は強磁性体のものであり、
前記ベース部材は、上下方向に貫通したベース貫通孔を有するものであり、
前記ベース貫通孔内に配置された磁石を備えていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記磁石は、前記ベース部材の下端よりも下方に突出して配置されたものであり、
前記対向部材は、前記磁石の下方に該磁石の突出した部分が入り込んだ対向凹部が形成れたものであることを特徴とする請求項4記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記天板部は、前記ベース貫通孔に対向する位置に下方に向かって突出した天板凸部が形成されたものであり、
前記磁石は、前記天板凸部に磁力によって吸着したものであることを特徴とする請求項4または5記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記天板部は、前記ベース貫通孔に対向する位置に上方に向かって凹んだ天板凹部が形成されたものであり、
前記磁石は、上端部分が前記天板凹部内に配置されたものであることを特徴とする請求項4または5記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記周壁部は、下端から上方に向かって凹んだ周壁切欠部が形成されたものであることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項9】
前記ベース部材は、下側部分に側方に拡がったベース段差部を有するものであり、
前記周壁部は、前記ベース段差部が当接して前記ベース部材がそれ以上上方に移動することを防止する第2周壁当接部が形成されたものであることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項10】
前記ベース部材は、前記ベース段差部より上側部分が別体で形成されたものであることを特徴とする請求項9記載のセンサユニット。
【請求項11】
前記線状センサは、0.5周の倍数だけ渦巻状に周回して配置され、一端と他端それぞれが異なる位置で前記ベース部材を貫通したものであることを特徴とする請求項1から10のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項12】
前記線状センサの特性に基づく補正情報が記憶された記憶部と、
前記線状センサが検出した振動に関する信号を前記補正情報を用いて補正して出力する補正出力部とを備えたことを特徴とする請求項1から11のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項13】
前記線状センサは、端部が前記ベース部材を貫通したものであり、
前記ベース部材の上面部分に載置され、前記線状センサが電気的に接続された回路基板と、
前記回路基板の上面および側面を覆うシールド部材とを備え、
前記ベース部材は、前記シールド部材の下端が入り込む溝が形成されたものであることを特徴とする請求項1から12のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状センサを備えたセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
内部導体と、その内部導体の外周面に接触して設けられた圧電体と、その圧電体の外周面に接触して設けられた外部導体とをセンサ線として用いた線状センサが知られている(例えば、特許文献1等参照)。この線状センサは、外部から荷重が加わることで圧電体が変形し、内部導体と外部導体との間に電圧が誘起されるという特性を有している。この特性を利用して、圧力を検知するための圧力センサや振動を検知するための振動センサとして線状センサを利用することが検討されている。また、圧電体を用いたセンサ線の代わりに、導電ゴム等の抵抗線やキャパシタ線等をセンサ線として用いて線状センサを構成することも検討されている。
【0003】
この線状センサを、工作機械、ロボット、農業機械、車、家電などの機器や、それらの機器の構成部品などの被検出体に貼り付けて振動を検出するためのセンサとして用い、振動データを収集して分析することで故障予測や作業の効率化を行うことが検討されている。ところが、線状センサを固定テープで被検出体に貼り付けて被検出体の振動を検出すると、線状センサの被検出体への押付力が弱いため、被検出体で生じた振動の、線状センサへの伝達率が低くなってしまう。また、押付力を高めるために線状センサの延在方向の複数箇所をネジやクリップ等の複数の固定具で固定すると、各固定具における締付力のばらつきがそのまま線状センサの押付力のばらつきとして検出結果に反映されて正確な測定が困難になってしまう。更に、線状センサのうち固定具から離れている部分は被検出体への押付力が作用しないため、その部分では被検出体の振動は殆ど検出できない。これらの対策として、線状センサよりも剛性の高いベース部材を有する支持体に線状センサを取り付けてセンサユニットとし、支持体によって線状センサを被検出体に押し付けることで線状センサの検出感度を高めることが提案されている(例えば、特許文献2等参照)。この特許文献2のセンサユニットでは、線状センサの摩耗を防止するために、線状センサを挟んでベース部材と対向するように対向部材を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2019/117037
【特許文献2】特開2021-124506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のセンサユニットにおいて、接着剤を用いて線状センサをベース部材や対向部材に強力に接着すると、線状センサが変形しにくくなって検出感度が低下してしまうことが分かった。これに対し、接着剤の量を減らして線状センサが変形しやすいようにすると、今度は被検出体の振動などによってセンサユニットが振動したときに対向部材が線状センサに対してずれ動いてしまい、線状センサが傷ついたり対向部材が剥がれてしまうことがある。すなわち、センサユニットの耐久性が低下してしまう虞がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、耐久性の高いセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のセンサユニットは、
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部とを有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した収容部材とを備え、
前記周壁部は、前記対向部材の上面よりも下方まで延在したものであることを特徴とする。
【0008】
このセンサユニットによれば、前記線状センサが前記対向部材によって保護されるとともに、前記周壁部によって該対向部材の動きが抑制されるので、該対向部材が動くことによって該線状センサが傷つくことや該対向部材が剥がれてしまうことが防止される。これによって、このセンサユニットの耐久性が高まる。
【0009】
ここで、前記周壁部は、下端部分の内周面が前記対向部材の側面と対面したものであってもよく、該下端部分の内周面が前記対向部材の側面に接したものであってもよい。また、前記周壁部は、下面が前記対向部材の下面と略同じ位置まで延在したものであってもよく、下面が前記対向部材の下面よりも上方に位置したものであってもよい。
【0010】
このセンサユニットにおいて、
前記対向部材は、前記周壁部の下端部分に圧入されたものであってもよい。
【0011】
こうすることで、前記対向部材が前記収容部材に固定されるので、前記線状センサが傷つくことがより確実に防止される。また、前記収容部材と前記対向部材の圧入部分には実質的に隙間がなくなるので、被検出体の表面に油や薬品などが流れてきてもそれらがセンサユニットの内部に入り込んでしまうことを抑制できる。
【0012】
ここで、前記ベース部材および前記線状センサは、前記収容部材と前記対向部材によって挟み込まれたものであってもよい。
【0013】
このセンサユニットにおいて、
前記周壁部は、前記対向部材が当接してそれ以上上方に移動することを防止する第1周壁当接部が形成されたものであってもよい。
【0014】
前記線状センサは、適度な押し付け力で押し潰された状態が最も感度が高まるという特性がある。前記対向部材が前記収容空間に入り込みすぎてしまうことを前記第1周壁当接部が防止するので、前記線状センサに強い荷重が加わりすぎてしまうことがなくなる。これにより、圧入しすぎることなく前記線状センサを設計値に沿った押し付け力で押し潰すことができるので、検出感度の高いセンサユニットを形成することができる。また、前記線状センサが押し潰されすぎて傷ついたり断線したりしてしまうことが防止できる。
【0015】
ここで、前記ベース部材は、下方に向かって突出し、前記線状センサの上端から該線状センサの直径の80%以上90%以下の高さ位置に下面が形成されたものであってもよく、その高さ位置に突出面を有するベース突出部が形成されたものであってもよい。
【0016】
例えば、前記被検出体の過振動などで前記対向部材が大きく撓み前記べ―ス側に接近しようとしても前記ベース突出部が該対向部材の撓んだ部分に突き当たり、前記線状センサが許容範囲を超えて押し潰されることがない。従って、前記対向部材の撓みによって前記線状センサが断線したり故障してしまうことを防止できる。
【0017】
また、このセンサユニットにおいて、
前記収容部材は強磁性体のものであり、
前記ベース部材は、上下方向に貫通したベース貫通孔を有するものであり、
前記ベース貫通孔内に配置された磁石を備えていてもよい。
【0018】
被検出体の表面が強磁性体で構成されている場合、このセンサユニットを前記磁石の磁力によって被検出体に吸着させることで簡便に取り付けることができる。また、前記収容部材が、前記磁石によって磁化するので、該磁石と該収容部材と被検出体の表面によって閉磁路が形成され、このセンサユニットを強固に被検出体に吸着させることができる。このとき、前記周壁部が前記対向部材の上面よりも下方まで延在しているため、磁化した周壁部と被検出体とが近接または接触し、このセンサユニットがより強固に被検出体に吸着する。被検出体に強固に吸着させることで、このセンサユニットが被検出体から外れてしまうことを抑制できるだけでなく、このセンサユニットに振動が伝わりやすくなるので、結果としてこのセンサユニットの検出感度を高めることができる。さらに、前記収容部材が強磁性体であるので前記収容空間への磁気ノイズの進入を防止することができる。
【0019】
ここで、前記対向部材は非磁性体のものであってもよい。前記対向部材が強磁性体の場合、前記磁石と前記収容部材と該対向部材によっても閉磁路が形成されるので、該対向部材が非磁性体である場合と比較して被検出体を通る磁力線が少なくなり、このセンサユニットの磁力による吸着力が弱くなってしまう。
【0020】
また、このセンサユニットにおいて、
前記磁石は、前記ベース部材の下端よりも下方に突出して配置されたものであり、
前記対向部材は、前記磁石の下方に該磁石の突出した部分が入り込んだ対向凹部が形成れたものであってもよい。
【0021】
この構成によれば、前記磁石と被検出体とを近接して配置できるので、被検出体に対するこのセンサユニットの吸着力が高まる。これにより、吸着した被検出体からこのセンサユニットが外れてしまうことが抑制され、またこのセンサユニットの検出感度を高めることができる。
【0022】
また、このセンサユニットにおいて、
前記天板部は、前記ベース貫通孔に対向する位置に下方に向かって突出した天板凸部が形成されたものであり、
前記磁石は、前記天板凸部に磁力によって吸着したものであってもよい。
【0023】
このセンサユニットの組立過程やメンテナンス時に、修理や不具合対応のために前記磁石を前記収容部材から取り外す場合がある。しかし、前記磁石を前記収容部材から取り外そうとしても該磁石が磁力により強力に該収容部材に吸着しているため取り外すことが困難になりやすい。この構成では、前記天板凸部に前記磁石が吸着しているので、該磁石を該天板凸部の周縁よりも外側まで移動させて該磁石を傾けることで、該磁石と該天板凸部との接触面積が大きく減少して吸着力が弱まるので該磁石を該収容部材から容易に取り外すことができる。
【0024】
また、このセンサユニットにおいて、
前記天板部は、前記ベース貫通孔に対向する位置に上方に向かって凹んだ天板凹部が形成されたものであり、
前記磁石は、上端部分が前記天板凹部内に配置されたものであってもよい。
【0025】
こうすることで、前記磁石の上下方向の長さを長くすることができるので該磁石の磁力が強くなり、このセンサユニットの吸着力が高まる。これにより、吸着した被検出体からこのセンサユニットが外れてしまうことが抑制され、またセンサユニットの検出感度を高めることができる。
【0026】
また、このセンサユニットにおいて、
前記周壁部は、下端から上方に向かって凹んだ周壁切欠部が形成されたものであってもよい。
【0027】
メンテナンス時などにおいて、前記収容部材と前記対向部材とを分離することがある。この構成によれば、前記周壁切欠部にマイナスドライバなどの工具の板状部材を挿入してその工具をひねることで、前記収容部材と前記対向部材を簡単に分離することができる。
【0028】
ここで、前記周壁切欠部は、複数設けられていてもよい。また、前記ベース部材は、前記周壁切欠部に対向する位置に該周壁切欠部から離間する方向に凹んだ有底のベース切欠部が形成されたものであってもよい。
【0029】
また、このセンサユニットにおいて、
前記ベース部材は、下側部分に側方に拡がったベース段差部を有するものであり、
前記周壁部は、前記ベース段差部が当接して前記ベース部材がそれ以上上方に移動することを防止する第2周壁当接部が形成されたものであってもよい。
【0030】
上述したように、前記線状センサは、適度な押し付け力で押し潰された状態が最も感度が高まるという特性がある。前記ベース部材が、前記線状センサとともに前記天板部と前記対向部材との間に挟まれた場合、該ベース部材の下端から該天板部までの距離が長いと該ベース部材が撓んでしまい、設計通りに該線状センサを押し潰すことができなくなる虞がある。この構成によれば、前記ベース部材の下端から前記ベース段差部までの距離を短くすることができるので、前記ベース部材が撓みにくくなる。これにより、設計通りに該線状センサを押し潰すことができ、所望の検出感度のセンサユニットを構成することができる。
【0031】
また、このセンサユニットにおいて、
前記ベース部材は、前記ベース段差部より上側部分が別体で形成されたものであってもよい。
【0032】
高い剛性および高い寸法精度が必要な下側部分と、比較的低い剛性で低い寸法精度でよい上側部分とを別体にすることで、前記ベース部材を安価に形成できる。その結果、このセンサユニットを安価に構成できる。
【0033】
また、このセンサユニットにおいて、
前記線状センサは、0.5周の倍数だけ渦巻状に周回して配置され、一端と他端それぞれが異なる位置で前記ベース部材を貫通したものであってもよい。
【0034】
こうすることで、前記線状センサの検出方向に指向性がなくなり、該線状センサの周回方向におけるどの方向からの振動であっても同じ条件で検出することができる。
【0035】
また、このセンサユニットにおいて、
前記線状センサの特性に基づく補正情報が記憶された記憶部と、
前記線状センサが検出した振動に関する信号を前記補正情報を用いて補正して出力する補正出力部とを備えた態様であってもよい。
【0036】
この態様によれば、前記線状センサの特性に基づく出力レベルのばらつきを取り除いたデータを出力することができる。
【0037】
また、このセンサユニットにおいて、
前記線状センサは、端部が前記ベース部材を貫通したものであり、
前記ベース部材の上面部分に載置され、前記線状センサが電気的に接続された回路基板と、
前記回路基板の上面および側面を覆うシールド部材とを備え、
前記ベース部材は、前記シールド部材の下端が入り込む溝が形成されたものであってもよい。
【0038】
前記回路基板の下方まで前記シールド部材で覆うことができるので、該回路基板にノイズが入り込みにくくなる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、耐久性の高いセンサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本実施形態の線状センサの構造を示す断面図である。
【
図2】(a)は、本実施形態のセンサユニットの平面図であり、(b)は、同図(a)に示したセンサユニットの正面図である。
【
図3】(a)は、
図2に示したセンサユニットの下面図であり、(b)は、同図(a)に示したセンサユニットから対向部材を取り外した状態を示す下面図である。
【
図4】
図2(a)に示したセンサユニットにおいて収容部材を透過して見た平面図である。
【
図7】第1変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図8】第2変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図9】第3変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図10】第4変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図11】第5変形例のセンサユニットを示す、
図6と同様のブロック図である。
【
図12】第6変形例のセンサユニットを示す、
図6と同様のブロック図である。
【
図13】第2実施形態のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図14】(a)は、第3実施形態のセンサユニットを示す平面図であり、(b)は、同図(a)に示したセンサユニットの正面図である。
【
図15】(a)は、
図14に示したセンサユニットの下面図であり、(b)は、同図(a)に示したセンサユニットから対向部材を取り外した状態を示す下面図である。
【
図16】
図14(a)に示したセンサユニットにおいて収容部材を透過して見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態のセンサユニットは、主に被検出体の表面を伝わる振動波を検出するために用いられる。先ず、本実施形態のセンサユニットに用いられる線状センサについて説明する。
【0042】
図1は、本実施形態の線状センサの構造を示す断面図である。
【0043】
図1に示すように、線状センサ2は、センサ線20と、内側シース24と、シールド被覆25と、外側シース26とを備えている。センサ線20は、内部導体21と圧電体22と外部導体23とから構成されている。内部導体21は、線状センサ2の中心に配置されており、7本の導体線211で構成されている。圧電体22は、内部導体21の外周に設けられている。外部導体23は、圧電体22の外周に設けられている。この線状センサ2は、主に被検出体の振動を検出するものである。
【0044】
7本の導体線211は、いずれも直径が50μmのものであって、このうち4本はステンレス製の導体線211Sであり、残りの3本は銅製の導体線211Cである。
図1では、ステンレス製の導体線211Sが左下がりのハッチングで、銅製の導体線211Cが右下がりのハッチングでそれぞれ示されている。
図1に示す内部導体21では、中心に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211S(ステンレスワイヤ)が用いられており、外周に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211Sと銅製の導体線211Cが交互に用いられている。銅製の導体線211Cは、ステンレス製の導体線211Sに比べて、電気抵抗が低く、かつ柔らかい。反対に、ステンレス製の導体線211Sは、銅製の導体線211Cに比べて、電気抵抗は高くなるが、機械的強度(例えば、引張強度等)および剛性は高くなる。
【0045】
7本の導体線211は、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置された状態になっている。これらの7本の導体線211は、一本に撚り合わされた状態のものである。すなわち、内部導体21は、7本の導体線211をその断面において最密構造に配置した上で撚り合わせたものである。なお、この場合の内部導体21の太さは最大150μmとなる。このように複数本の導体線211を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、線状センサ2に柔軟性を与えることができる。
【0046】
なお、導体線211の直径は50μmに限られず、8μm以上130μm以下であってもよく、8μm以上100μm以下にすることが好ましい。導体線211は、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度および剛性が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度および剛性が高められる。また、導体線211の太さが20μm以上であれば、低コストで製造することができ、且つ製造も容易である。また、異なる太さの導体線211を撚り合わせて内部導体21を構成してもよい。
【0047】
また、
図1に示す内部導体21は、7本の導体線211を撚り合わせたものであるが、この数については7本でなくてもよい。複数の導体線211を撚り合わせることにより、線状センサ2の柔軟性を高めることができる。また例えば、複数本を撚り合わせた束を複数用意し、これらをさらに撚り合わせる、といったように複数段階に分けて撚り合わせものであってもよい。例えば、7本の細い導体線211を撚り合わせた束を7本用意し、その束をさらに撚り合わせた構成にしてもよい。複数段階に分けて撚り合わせることで、線状センサ2の柔軟性がより高まるので、線状センサ2に加わった振動等に応じて線状センサ2が変形しやすくなる。その結果、線状センサ2における検出感度を高めることができる。なお、複数段階に分けて撚り合わせる場合のように、撚り合わせの工程が複数回ある場合には、撚り合わせる方向を異ならせてもよい。一方、複数の導体線211を撚り合わせずに、直線状に束にしたものを用いてもよい。また、例えば、撚り合わせない複数の導体線211の束と、撚り合わせた複数の導体線211を撚り合わせる、といったように、これらの構成を組み合わせてもよい。これらの場合であっても、圧電材料を塗布することで、複数の導体線211が互いに接着されて束ねられ、一本の圧電性繊維を製造することができる。
【0048】
以上説明したセンサ線20では、内部導体21を構成する導体線211として、機械的強度や電気抵抗が異なる複数種類の導体線が用いられているが、柔軟性をさらに高める場合や、電気抵抗をさらに低くする場合には、中心の導体線211を、銅製の導体線211Cに代えてもよく、あるいは、7本の導体線211の全てを銅製の導体線211Cにしてもよい。反対に、機械的強度および剛性をさらに高める場合には、7本の導体線211の全てをステンレス製の導体線211Sにしてもよい。また、ステンレス製の導体線211Sに代えて、タングステン製の導体線や、タングステン及びその合金等の高張力鋼材あるいは超高張力鋼からなる導体線を用いてもよいし、銅製の導体線211Cに代えて、チタン製の導体線や、チタン合金あるいはマグネシウムやマグネシウム合金等からなる導体線を用いてもよい。さらには、カーボンナノチューブを含む導体線であってもよいし、ピッチ系炭素繊維を含む導体線であってもよい。あるいは、弾性変形しやすいバネ鋼材からなる導体線を用いてもよい。
【0049】
圧電体22は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電材料を内部導体21に塗布することによって形成されたものである。ポリフッ化ビニリデンは、圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。圧電体22には分極処理が施されており、振動等によって圧電体22に変形が生じたときに内部導体21と外部導体23の間に電圧が誘起される。
【0050】
図1に示す圧電体22を構成する圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデンの他に、トリフルオロエチレン(TrEF)や、PVDFとTrEFの混晶材料や、ポリ乳酸、ポリ尿酸、ポリアミノ酸等の双極子モーメントをもつ高分子材料があげられる。また、圧電材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。なお、塗布する構成に限らず、例えば、帯状のPVDFフィルムを内部導体21に螺旋状に巻き付けた構成であってもよい。
【0051】
圧電体22の厚みは、導体線211の直径以上であることが好ましい。
図1に示す圧電体22の厚さは、最も薄い箇所で75μmであるが、10μm以上150μm以下であることが好ましい。なお、圧電体22の厚さは、厚ければ厚いほど検出感度が良好になるが、圧電体22の厚さの限界値は、塗布する圧電材料の粘度や塗布方法によって決まってくる。また、圧電体22の厚さが厚すぎると線状センサ2が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまうといった欠点もある。
【0052】
図1に示す内部導体21では、複数の導体線211を撚り合わせているため、導体線211同士の境目に窪みがある。この窪みの部分では、より多くの圧電材料を担持することができ、圧電材料の体積が大きく(厚く)なるため、検出感度が他の部分よりも良好になる。内部導体21には、こうした窪みによって圧電材料が他の部分よりも厚い部分が6箇所、周方向に均等間隔で存在するため、どの方向に曲げられても高感度な圧電性繊維として機能する要因になる。
【0053】
なお、
図1に示す隣り合う導体線211は互いにほぼ接しているが、わずかな隙間から毛細管現象によって圧電材料が浸透し、隣り合う導体線211同士の隙間(内部導体21の内部)が圧電材料によって埋められた状態になっている。ただし、圧電材料の粘度や塗布方法によっては、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しない場合もある。この場合でも、内部導体21の外周に面した部分に圧電材料が担持された状態となっていればよい。なお、上述した帯状のPVDFフィルムを圧電体22として用いた構成では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透していない線状センサ2になる。この線状センサ2では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しているものと比較して線状センサ2の柔軟性が高まるので、線状センサ2における検出感度が高まる。
【0054】
図1に示す外部導体23は、圧電体22の外周に、カーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料が塗布されることで形成されている。外部導体23を形成する導電性材料としては、銀の微粒子を含む高分子導電性材料や銀ペースト等であってもよい。また、この導電性材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。外部導体23の厚さは、導体線211の直径以下であることが好ましく、また、圧電体22の厚さ以下であることも好ましい。
図1に示す外部導体23の厚さは、30μmであるが、5μm以上80μm以下であることが好ましい。また、外部導体23に導電性材料を用いずに導線を用いてもよい。
【0055】
内側シース24は、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるために外部導体23の外周を覆っている。この内側シース24は、厚さが30μmに形成されている。内側シース24は、外側シース26に比べて柔らかい材料で構成されている。この内側シース24は、ポリアミド合成樹脂を塗布することで形成されているが、ポリ塩化ビニル樹脂を塗布することで形成してもよい。
【0056】
シールド被覆25は、ニッケルメッキ銅やステンレスなどの金属製の細線を編組してチューブ状にしたシールドである。なお、シールド被覆25は、内部導体21と圧電体22と外部導体23を内側に有する内側シース24に、蒸着によって銅やアルミニウム等を蒸着させることで形成してもよい。また、シールド被覆25は、スパッタ、EBD(電子線ビーム蒸着)、CVD(気相成長法)、塗布、浸漬(ドブ付け)、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて内側シース24に付着させてもよく、金属箔を巻き付けることで形成してもよい。
【0057】
外側シース26は、内側シース24に比べて耐摩耗性が高い材料で構成されている。この外側シース26は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を塗布することで形成されている。ただし、4フッ化・6フッ化プロピレン樹脂(FEP)、4フッ化エチレンエチレン共重合(EPFE)、または4フッ化エチレンパーフロロアルコキシエチレン共重合 フッ素樹脂(PFA)を塗布することで形成してもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。また、ピンホールが発生することを考慮して複数回塗布することが好ましい。加えて、外側シース26は、内側シース24よりも厚くてもよい。さらに、内側シース24は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外側シース26は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。
【0058】
図1に示す線状センサ2の直径は0.5mmである。ただし、線状センサ2の直径はさらに太くてもよく細くてもよく、0.1~3.0mmであることが好ましい。なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」は、上限、下限を含むものとする。
【0059】
図2(a)は、本実施形態のセンサユニットの平面図であり、
図2(b)は、同図(a)に示したセンサユニットの正面図である。また、
図3(a)は、
図2に示したセンサユニットの下面図である。
図2(b)は、センサユニット1の基本姿勢を示す図であり、以下この基本姿勢における上下向を基準にして説明する。なお、センサユニット1は基本姿勢とは異なる取付姿勢で被検出体に取り付けられることも考えられるが、その場合の上下方向は取付姿勢に応じた方向になる。例えば基本姿勢から180度反転して被検出体に取り付けられた場合は取付姿勢では上下方向が逆になる。
【0060】
図2(a)および
図2(b)に示すように、センサユニット1は、高さが7.4mmで直径が25mmの円柱状をしている。なお、センサユニット1は、使用条件等に応じて任意の大きさのものが用いられる。センサユニット1は、上述した線状センサ2と、収容部材3と、対向部材4と、ベース部材5と、磁石6と、回路基板7と、信号ケーブル8とを備えている。センサユニット1が被検出体に取り付けられた状態では、
図2(b)の下側に被検出体があり、センサユニット1は被検出体に磁力によって吸着する。線状センサ2の両端部はベース部材5の上面にあるが、線状センサ2の大部分はベース部材5の下面側にあり、ベース部材5の下面に接して配置されている。線状センサ2の配置については後述する。
【0061】
図2(b)に示すように、収容部材3は、天板部31と周壁部32とが一体に形成された強磁性体のステンレス製のものである。収容部材3は、ステンレス以外の材質で構成されていてもよいが、強磁性体で構成されていることが好ましく、軟磁性材料によって構成されていることがより好ましい。一方、収容部材3を硬磁性材料で構成してもよく、その場合、磁石6を省略してもよい。なお、
図2(b)では、収容部材3の内側面とベース部材5とが区別できるようにベース部材5は少し小さく描かれているが、実際にはベース部材5の上面は収容部材3の天板部31の下面と接している。そして、ベース部材5およびベース部材5の下面にある線状センサ2は、天板部31と対向部材4によって挟み込まれることで固定されている。また、ベース部材5の側面と周壁部32の内周面との間には僅かな隙間しか存在していない。
【0062】
天板部31は円盤状をしている。この天板部31はセンサユニット1の上面を構成している。周壁部32は、天板部31の周縁部分から垂下している。これらの天板部31と周壁部32によって下方が開口した収容空間が形成されている。すなわち、天板部31の下面と周壁部32の内周面によって収容空間が画定されている。線状センサ2、対向部材4、ベース部材5、磁石6および回路基板7は、この収容空間に収容されている。周壁部32には、下端から上方に向かって凹んだ2つの第1周壁切欠部321が形成されている。
図2(b)では2つの第1周壁切欠部321のうちの一方が示されている。もう一方の第1周壁切欠部321は、周壁部32の周方向において間隔をあけて180度回転した位置に形成されている。これらの第1周壁切欠部321は、周壁切欠部の一例に相当する。2つの第1周壁切欠部321は、同一形状をしており、その上端位置は対向部材4の上面よりも高い位置である。また、周壁部32は、第1厚肉部分32aと下端部の薄肉部分32bとから構成されており、その第1厚肉部分32aと薄肉部分32bの境界に第1周壁当接部322が形成されている。さらに、
図3(a)に示すように、周壁部32には、下端から上方に向かって凹み、信号ケーブル8が通るための第2周壁切欠部323が形成されている。なお、第2周壁切欠部323の上端位置は、第1周壁切欠部321の上端位置よりも高い位置である。
図2(b)に示した第1周壁当接部322は、これらの第1周壁切欠部321と第2周壁切欠部323が形成された部分を除いて周壁部32全周に形成されている。
【0063】
図2(b)に示すように、対向部材4は、センサユニット1の下端部分でベース部材5に対向して配置され、収容部材3下端に形成された開口を塞いだ板状の部材である。この対向部材4は、板厚1.0mmのアルミ製のものである。対向部材4の材質は他の金属や樹脂であってもよいが、非磁性体で構成することが好ましい。また、板厚は材実などに応じた任意の厚みで構わない。
図3(a)に示すように、対向部材4は、円盤状をした円盤部40と、円盤部40から側方に突出した2つの側方突出部41とを有している。円盤部40の外径は、周壁部32の薄肉部分32b(
図2(b)参照)の内径よりもほんの少しだけ大きい。そして、円盤部40は、周壁部32の薄肉部分32bに入り込んでいる。すなわち、円盤部40は、薄肉部分32bの内側に圧入されている。対向部材4の下面は周壁部32の下面と一致している。周壁部32は、対向部材4の上面よりも下方まで延在していればよいが、周壁部32の下面が対向部材4の下面と略一致する位置まで延在していることが好ましく、周壁部32の下面が対向部材4の下面よりも上方に位置して対向部材4の厚み範囲内にあることも好ましい。また、周壁部32は、対向部材4の側面との間に隙間を設けて対向部材4に対向していてもよいがその隙間は可能な限り小さいことが好ましく、対向部材4の側面と接していることがより好ましい。円盤部40上面の中央部分には、下方に窪んだ対向凹部42が形成されている。対向凹部42は、磁石6の外径よりも少し大きな径の円形状に形成されており、対向凹部42内部には磁石6の下端部分が入り込んでいる。また、側方突出部41の幅は、第1周壁切欠部321の内幅よりほんの少しだけ小さい。そして、側方突出部41は、第1周壁切欠部321内に入り込んでいる。第1周壁切欠部321は、側方突出部41の上面よりも上方まで切り欠かれている。メンテナンス時などにおいて、このセンサユニット1を分解する際には、第1周壁切欠部321内にマイナスドライバなどの工具の先端に形成された板状部材を挿入して工具をひねることで収容部材3と対向部材4を分離することができる。側方突出部41は省略してもよいが、側方突出部41が存在することで、分離作業における工具の先端の引っ掛かり長さを長くすることができるので分離作業性を高めることができる。また、
図2(b)に示すように、円盤部40の周縁部分は第1周壁当接部322に当接している。これにより、対向部材4がそれ以上上方に移動することが防止されている。
【0064】
図3(b)は、同図(a)に示したセンサユニットから対向部材を取り外した状態を示す下面図である。
【0065】
図3(b)に示すように、ベース部材5は、中心部分に上下方向に貫通したベース貫通孔55が形成された概して中空円柱状をした樹脂製のものである。ベース部材5の外径は、周壁部32の第1厚肉部分32aの内径よりほんの少しだけ小さい。ベース貫通孔55は、磁石6の外径よりも少し大きな径に形成されている。ベース部材5の下面には、螺旋溝56が形成されている。螺旋溝56は、渦巻状に略4周周回して形成されている。より正確には、螺旋溝56は、4周より少しだけ長く形成されている。螺旋溝56の両端には、ベース部材5の内周側と外周側それぞれで上下方向に貫通した引出孔52が2つ形成されている。線状センサ2は、その螺旋溝56に沿って延在している。そして、線状センサ2の一端はベース部材5の外周側に形成された引出孔52を貫通してベース部材5の上面側に達し、線状センサ2の他端はベース部材5の内周側に形成された引出孔52を貫通してベース部材5の上面側に達している。螺旋溝56において引出孔52の間近部分は、線状センサ2が急激に折れ曲ががらないように側面から見て上方に向かうR形状に形成されている。このR形状部分にある線状センサ2の一部は対向部材4に接触しない。その接触しない長さを考慮して螺旋溝56を4周より長く形成することで、ベース部材5の下面に配置された線状センサ2の機能発揮部分が4周になるように設計されている。線状センサ2の周回数は4周に限られないが、0.5周の倍数周であることが好ましい。0.5周の倍数周であれば、センサユニット1の径方向におけるどの方向から伝達された振動であっても同じ条件で検出することができる。これにより、線状センサ2の検出方向の指向性をなくすことができる。
【0066】
図4は、
図2(a)に示したセンサユニットにおいて収容部材を透過して見た平面図である。
【0067】
図4に示すように、ベース部材5の上面には、線状センサ2の両端部、回路基板7、信号ケーブル8の一端部分などが配置される空間を画定するベース上面凹部51が形成されている。上下方向に貫通した2つの引出孔52は、ベース上面凹部51内に繋がっている。これらの引出孔52を貫通した線状センサ2の両端部は、ベース上面凹部51内に配置された入力側端子部材27に接続されている。入力側端子部材27は、線状センサ2の両端部を包み込ように折り曲げられることで重ね合わせられたフィルム状をした、いわゆるフレキシブルプリント配線板である。
図1に示した線状センサ2の内部導体21、外部導体23、シールド被覆25は、それぞれ個別に入力側端子部材27にハンダによって接続されている。入力側端子部材27は、回路基板7に接続されている。
【0068】
ベース上面凹部51は、ベース部材5の外周端まで延びたケーブル案内部51aを有している。ケーブル案内部51aには、信号ケーブル8の一端部分が嵌め込まれている。ケーブル案内部51aには、溝幅方向中心側に向かって突出した複数の突起が形成されている。信号ケーブル8は、これらの突起によって挟み込まれることで、信号ケーブル8の長手方向への移動が防止されるとともに、信号ケーブル8がケーブル案内部51aから抜けることも抑制されている。また、ベース部材5の周縁部分には、周方向に間隔をあけて180度回転した位置にベース切欠部53が2つ形成されている。これらのベース切欠部53は、第1周壁切欠部321(
図2(b)参照)に対向する位置に形成されている。ベース切欠部53は、第1周壁切欠部321から離間する方向に凹み上方と側方とが開口した有底の切欠きである。メンテナンス時などにおいて、第1周壁切欠部321を通してマイナスドライバなどの工具に形成された板状部材をこのベース切欠部53内に挿入して工具をひねることで収容部材3(
図2参照)とベース部材5を分離することができる。ただし、ベース切欠部53は省略してもよい。なお、メンテナンス時などにおいて、センサユニット1を分解する際には、まず収容部材3から対向部材4を外した後、上述したように収容部材3からベース部材5を分離する2段階の作業を行う。収容部材3に対向部材4が圧入されている状態でベース切欠部53内に工具を挿入してひねることで、対向部材4とベース部材5を収容部材3から同時に取り外すことも可能だが、線状センサ2を押し潰してしまう虞もあるため2段階に分けて外すことが好ましい。
【0069】
磁石6は、円柱状をしたネオジウム磁石である。なお、磁石6は、ネオジウム磁石以外の硬磁性材料で構成された磁石、例えばサマリウムコバルト系磁石であってもよい。強い磁力を有する磁石であれば、小型でもより強く被検出体にセンサー面を吸着させることができ、これによりセンサー感度が向上するため好ましい。磁石6の殆どの部分は、ベース貫通孔55内に配置されているが、下端部分はベース部材5よりも下方に突出しており上述したように対向凹部42(
図3(a)参照)内に入り込んでいる。
【0070】
回路基板7は、ベース上面凹部51内に配置されている。この回路基板7には、各種電子部品が実装されている。回路基板7は、上面に配線パターンが形成され、下面にはグランドパターンが形成されている。回路基板7の構成については後に詳述する。
【0071】
信号ケーブル8は、信号線と、シグナルグランド線と、アース線と、電源線とを内部に有し、外側がプロテクションチューブによって覆われたケーブルである。信号ケーブル8は、線状センサ2で得られ回路基板7によって調整された信号を外部機器に伝達するためのものである。信号ケーブル8の一端は、ベース上面凹部51内に配置された出力側端子部材81に接続されている。出力側端子部材81は、入力側端子部材27と同様のものであり、信号ケーブル8の一端を包み込ように折り曲げられることで重ね合わせられたフィルム状をした、いわゆるフレキシブルプリント配線板である。信号ケーブル8の、信号線、シグナルグランド線、アース線および電源線は、それぞれ個別に出力側端子部材81にハンダによって接続されている。出力側端子部材81は、回路基板7に接続されている。プロテクションチューブは、ステンレス製のチューブの周囲がPVCやオレフィン系エラストマーなどによって被覆されたものである。このプロテクションチューブによって、内部にある信号線などが保護されている。プロテクションチューブは、収容部材3(
図2参照)の外側から収容部材3の内側まで延在している。信号ケーブル8の、収容部材3から延び出した直ぐの部分は強い曲げ応力を受けやすいが、その部分がプロテクションチューブで保護されることで内部の信号線などの断線が防止されている。
【0072】
図5は、
図2(a)のA-A断面図である。
図5では、磁石6のハッチングは省略している。
【0073】
図5に示すように、収容部材3の天板部31の中央には下方に向かって突出した天板凸部311が形成されている。天板凸部は、ベース貫通孔55に対向する位置に形成され、先端部分はベース貫通孔55内に挿入されている。天板凸部は、磁石6の外径よりも少し大きな外径の円柱状をしていている。磁石6は、この天板凸部の下面に磁力によって吸着している。
【0074】
ベース部材5の上面は、天板部31の下面に接している。また、対向部材4は、線状センサ2を挟んでベース部材5に対向している。
図5に丸で囲った拡大図に示すように、線状センサ2は、対向部材4とベース部材5に挟まれることで高さ方向に押し潰され、高さ方向の径がh1になっている。本実施形態では、線状センサ2の高さがh1になるように、ベース部材5の高さ、螺旋溝56の深さ、天板部31から第1周壁当接部322までの距離が設定されている。このh1は、螺旋溝56の深さと概略一致している。線状センサ2をh1まで押し潰し、その状態で線状センサ2が更に微小量変形できるように、螺旋溝56の深さは、0より大きくh1以下であることが好ましい。また、対向部材4とベース部材5に挟まれることで線状センサ2は楕円状に変形して横幅が拡がるため、螺旋溝56の幅は、線状センサ2の直径よりも広く設定されている。
図5では挟み込まれる前(無負荷状態)の線状センサ2を一点鎖線で示している。無負荷状態の線状センサ2は、外径がh2であり、h1はh2の90%である。線状センサ2は、無負荷状態に対して径方向に80%以上90%以下になるように挟み込んだ状態にすることで振動などの検出感度が最も高まる特性がある。無負荷状態に対して径方向に80%未満になるように線状センサ2を挟み込むと線状センサ2が変形しにくくなり検出感度が低下する。一方で、無負荷状態に対して径方向に90%を超えるように線状センサ2を挟み込むと、振動による変位が大きいときに線状センサ2が対向部材4またはベース部材5と離間してしまい振動の一部が検出ができなくなるため検出感度が低下する。このため、h1/h2が80%以上90%以下になるように線状センサ2を挟み込むことが好ましい。また、螺旋溝56の深さがh1と一致しているので、対向部材4が上側に撓もうとしてもベース部材5の下面によって撓みが防止され、線状センサ2はh1を超えて強く押し潰されることはない。これにより、対向部材4が撓むことで線状センサ2が断線したり故障してしまうことが防止されている。なお、この実施形態では、ベース部材5の下面は螺旋溝56を除いて平坦であるが、螺旋溝56の深さを浅くし、ベース部材5の下面に突出面の高さ位置が螺旋溝56底面からh1の位置になるベース突出部を形成してもよい。また、回路基板7は、シールド層が2層の絶縁層の間に挟まれたシールドシート79に上面と側面を覆われている。シールドシート79は、いわゆるフレキシブル基板である。シールド層は、回路基板7に形成されたグランドに電気的に接続されている。シールドシート79は、下面がベース上面凹部51の底面に接着剤によって貼り付けられている。また、回路基板7の下面はシールドシート79に接着剤によって貼り付けられている。なお、シールドシート79の上側の折り重なった部分どうしを接着テープで固定してもよい。回路基板7は、シールドシート79とグランドパターンによって全体が覆われることで外部からのノイズが入り込みにくくなっている。これらの回路基板7とシールドシート79の代わりに、回路基板7とシールドシート79とを一体化したリジッドフレキシブル基板を用いてもよい。リジッドフレキシブル基板のシールド層は回路部分のグランドと電気的に接続されている。リジッドフレキシブル基板を用いる場合は、回路基板7の下面をシールドシート79に貼り付ける必要がないので、製造工程の削減が見込める。
【0075】
【0076】
図6に示すように、回路基板7は、プリアンプ71と、A/D変換部72と、イコライザー73と、記憶部74と、補正値選択部76と、温度センサ77と、プロトコル処理部78とを有している。プリアンプ71は、線状センサ2の出力信号を増幅するためのものである。プリアンプ71は、線状センサ2からの信号電圧を±5V程度の範囲に収まるように調整されたゲインで増幅する。なお、プリアンプ71のゲインは回路基板7に設けられたつまみを用いて調整可能である。また、このプリアンプ71は、線状センサ2側である入力側のインピーダンスが高く、出力側のインピーダンスは入力側よりも低い。入力側のインピーダンスは、10kΩ以上10MΩ以下が好ましい。出力側のインピーダンスは、10Ω以上100kΩ以下が好ましい。本実施形態では、入力側のインピーダンスは1MΩで、出力側のインピーダンスは50Ωに設定している。こうすることで、プリアンプ71に入力した信号は、電圧が増幅されてプリアンプ71から出力される。A/D変換部72は、プリアンプ71によって増幅された信号をデジタル変換するものである。
【0077】
イコライザー73は、線状センサ2が検出した振動における周波数特性を補正する。このイコライザー73は、補正出力部の一例に相当する。イコライザー73は、A/D変換部72から出力されたデジタル信号を補正して出力する。このデジタル信号が、振動に関する信号の一例に相当する。
【0078】
記憶部74には、線状センサ2の特性に基づく補正情報が記憶されている。センサの構成上、線状センサ2には感度の高い周波数と感度の低い周波数が存在する。このため、線状センサ2から得られる信号の出力レベルには線状センサ2の特性に基づくばらつきが生じてしまう。また、線状センサ2の特性は雰囲気温度によって変化する。記憶部74には、線状センサ2から得られる信号における出力レベルのばらつきを周波数ごとに補正するための情報が補正情報として雰囲気温度ごとに記憶されている。この補正情報として、ここでは各周波数ごとの増幅度を示すデジタル値が記憶部74に保存されている。
【0079】
補正値選択部76は、温度センサ77から得られた雰囲気温度の情報を取得する。そして、記憶部74に記憶された補正情報の中から雰囲気温度の情報に応じた補正情報を選択してイコライザー73に伝達する。イコライザー73は補正値選択部76から受け取った補正情報を用いて周波数特性を補正することで、線状センサ2の特性に基づく出力レベルのばらつきを補正して出力する。従って、線状センサ2の特性によらず、周波数毎に同じ条件によるデータを出力することができる。なお、本実施形態のイコライザー73はCPUとプログラムによって構成されているが、その一部または全部をFPGAで構成してもよい。ここで、記憶部74に記憶されている補正情報は、周波数ごとに乗算する係数(増幅度)であってもよい。その場合、データが不要な周波数に0を記憶させておけば、イコライザー73をバンドパスフィルターとしても利用できる。
【0080】
プロトコル処理部78は、イコライザー73によって補正されたデジタル信号を、TCP/IPなどの通信規格に適した形式に変換して出力する。なお、プロトコル処理部78に代えてD/A変換部を設けてアナログ信号を出力するようにしてもよい。
【0081】
続いて、このセンサユニット1の組立方法を説明する。
【0082】
まず、ベース部材5の螺旋溝56底面に仮止め用の接着剤を塗布し、線状センサ2の一端を引出孔52に差し込んで線状センサ2を螺旋溝56に沿って配線する。なお、接着剤の代わりに、螺旋溝56の底部に両面テープを貼り付けて線状センサ2を仮止めしてもよい。そして、線状センサ2の他端をもう一方の引出孔52を通し、線状センサ2の両端を入力側端子部材27に接続する。また、信号ケーブル8の一端に出力側端子部材81を接続する。そして、ベース上面凹部51に回路基板7を嵌めこみ、その回路基板7に入力側端子部材27と出力側端子部材81をそれぞれ接続する。
【0083】
次に、収容部材3を天板部31が下方になるようにして置き、天板凸部311に磁石6を吸着させる。その後、線状センサ2、回路基板7および信号ケーブル8が組み込まれたベース部材5アッシーを、ベース上面凹部51が天板部31側(下方側)になるようにして収容部材3内に嵌め込む。その際、信号ケーブル8が第2周壁切欠部323に入り込むように収容部材3とベース部材5アッシーとの相対的な回転位置を調整し、またベース貫通孔55内に磁石6が入り込むようにする。
【0084】
最後に、対向部材4の対向凹部42が磁石6側(下方側)に向くようにして、収容部材3の開口を塞ぐように対向部材4を周壁部32の薄肉部分32bに圧入する。その際、対向部材4の側方突出部41が第1周壁切欠部321に入り込むように収容部材3と対向部材4との相対的な回転位置を調整してから、円盤部40の周縁部分が第1周壁当接部322に突き当たるまで対向部材4を圧入する。対向部材4は、周壁部32に形成された第1周壁当接部322に当接したあとは、それ以上上方に移動することは防止される。以上により、センサユニット1の組立が完了する。
【0085】
以上説明した実施形態のセンサユニット1によれば、最も繊細な線状センサ2が、収容部材3と対向部材4に覆われて保護されている。また、対向部材4が横方向に動くと線状センサ2に負荷が加わって線状センサ2が傷ついたり断線したりしてしまうことがある。これに対し、この実施形態のセンサユニット1では、周壁部32が対向部材4の上面よりも下方まで延在することで対向部材4の横方向の動きが周壁部32によって規制されるので、対向部材4の横方向の動きによって線状センサ2が傷つくことを防止できる。これらにより、このセンサユニット1の耐久性が高まっている。特に本実施形態では、対向部材4が周壁部32に圧入されて収容部材3に固定されているので、対向部材4が横方向に動くことがなく線状センサ2が傷つくことを確実に防止できる。さらに、収容部材3に対向部材4が圧入され、圧入部分には実質的に隙間がないので、被検出体の表面に油や薬品などが流れてきてもそれらが隙間を通ってセンサユニット1の内部に入り込んでしまうことも抑制できる。これによっても、センサユニット1の耐久性が高まっている。また、周壁部32に第1周壁当接部322が形成されているので、必要以上に線状センサ2が押し潰されて線状センサ2を傷つけてしまうことがない。また、線状センサ2を適度な押し付け力で押し潰した状態にできるので、検出感度の高いセンサユニット1を形成することができる。
【0086】
また、このセンサユニット1は、被検出体の強磁性体で構成されている部分に磁石6の磁力を利用して吸着することで取付可能に構成されている。そして、収容部材3が強磁性体であるので、磁石6によって収容部材3が磁化し、磁石6、収容部材3および被検出体の表面によって閉磁路が形成される。ここで、周壁部32の下面は対向部材4の下面の高さ位置が一致し被検出体に接するので閉磁路における磁束密度が高まり、センサユニット1を被検出体に強固に吸着させることができる。被検出体に強固に吸着させることで、センサユニット1が被検出体から外れてしまうことを抑制できるだけでなく、センサユニット1に振動がより伝わりやすくなるので、結果としてセンサユニット1の検出感度を高めることができる。ただし、周壁部32は、対向部材4の上面よりも下方まで延在していれば、周壁部32の下面と対向部材4の下面の高さ位置が一致していなくても磁化した周壁部32と被検出体とが近接するので、センサユニット1の被検出体への吸着力をある程度高めることができる。一方、周壁部32の下面が対向部材4の下面よりも下方まで延びていると、対向部材4が被検出体から離間し、周壁部32を経由しないと線状センサ2に振動が伝わらなくなるので、周壁部32の下面は、対向部材4の厚み範囲内にあることが好ましい。なお、対向部材4は非磁性体で構成されているので被検出体の表面を通る磁力線が多くなり、磁石6、収容部材3および被検出体の表面によって形成される閉磁路の磁束密度がより高まっている。加えて、収容部材3が強磁性体であるので、外来の磁気ノイズが収容部材3によって形成された収容空間へ進入してしまうことを防止できる。またさらに、磁石6の下端がベース部材5の下端よりも下方に突出して対向凹部42に入り込んでいるので、磁石6と被検出体とが近接して配置される。これにより、被検出体に対するセンサユニット1の吸着力がより高まる。
【0087】
また、センサユニット1の組立過程において、磁石6を収容部材3に吸着させた後、修理や不具合対応のために磁石6を収容部材3から取り外すことがある。しかし、磁石6を強力にすればするほど磁石6の収容部材3からの取り外しが困難になる。この実施形態では、天板部31に磁石6が吸着する天板凸部311が形成されているので、磁石6を天板凸部311の周縁よりも外側まで移動させて磁石6を傾けることができる。磁石6を傾けることで磁石6と天板凸部311との接触面積が大きく減少して吸着力が弱まるので磁石6を収容部材3から容易に取り外すことができる。
【0088】
また、メンテナンス時などにおいて、収容部材3と対向部材4とを分離することがあるが圧入によって結合されているので分離が困難になりやすい。また、例えば収容部材3と対向部材4を接着剤などの圧入以外の方向で結合した場合も同様に分離が困難になる。この実施形態では、周壁部32に第1周壁切欠部321を形成しているので、その第1周壁切欠部321にマイナスドライバなどの工具の板状部材を挿入してその工具をひねることで、収容部材3と対向部材4を簡単に分離することができる。
【0089】
以上説明したセンサユニット1からは以下の発明概念も抽出できる。
【0090】
上下方向に貫通したベース貫通孔を有するベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部を有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した収容部材と、
前記ベース貫通孔内に配置された磁石とを備え、
前記磁石は、前記ベース部材の下端よりも下方に突出して配置されたものであり、
前記対向部材は、前記磁石の下方に該磁石の突出した部分が入り込む対向凹部が形成れたものであることを特徴とするセンサユニット。
【0091】
また、以上説明したセンサユニット1からは以下の発明概念も抽出できる。
【0092】
上下方向に貫通したベース貫通孔を有するベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部を有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した強磁性体の収容部材と、
前記ベース貫通孔内に配置された磁石とを備え、
前記天板部は、前記ベース貫通孔に対向する位置に下方に向かって突出した天板凸部が形成されたものであり、
前記磁石は、前記天板凸部に磁力によって吸着したものであることを特徴とするセンサユニット。
【0093】
また、以上説明したセンサユニット1からは以下の発明概念も抽出できる。
【0094】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部を有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した収容部材とを備え、
前記線状センサは、0.5周の倍数だけ渦巻状に周回して配置され、一端と他端それぞれが異なる位置で前記ベース部材を貫通したものであることを特徴とするセンサユニット。
【0095】
また、以上説明したセンサユニット1からは以下の発明概念も抽出できる。
【0096】
振動を検出する線状センサと、
前記線状センサの特性に基づく補正情報が記憶された記憶部と、
前記線状センサが検出した振動に関する信号を前記補正情報を用いて補正して出力する補正出力部とを備えたことを特徴とする請求項1から11のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【0097】
次に、第1変形例のセンサユニット1について説明する。これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0098】
図7は、第1変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0099】
図7に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とは天板部31の形状と、磁石6の大きさが異なる。天板部31には、天板凸部311(
図5参照)がなく、代わりに天板凹部312が形成されている。天板凹部312は、天板部31の中央でベース貫通孔55に対向する位置に形成されている。天板凹部312は、磁石6の外径よりも少し大きな外径の円形をした上方に向かって凹んだ窪みである。磁石6は、先の実施形態のものよりも上下方向に長いものであり、上端が天板凹部312内に入り込んで天板凹部312の底面に磁力によって吸着している。
【0100】
この第1変形例では、先の実施形態と同様の効果に加え、磁石6の上下方向の長さを長くすることができるので磁石6の体積を大きくし磁力が強くすることができるといった効果を奏する。これにより、センサユニット1の被検出体への吸着力が高まり、吸着した被検出体からセンサユニット1がより外れにくくなる上に、センサユニット1の検出感度も高まる。なお、磁石6を収容部材3から取り外す場合には、先の実施形態と同様に磁石6を天板凹部312の周縁に接するまで移動させ、磁石6の下端側部分に横方向に向かう荷重を加えることで磁石6を傾ける。先の実施形態と比較して磁石6を傾ける際に多少強い荷重が必要になるが、磁石6を傾かせた後は先の実施形態と同様に磁石6を収容部材3から容易に取り外すことができる。
【0101】
以上説明した第1変形例のセンサユニット1からは以下の発明概念を抽出できる。
【0102】
上下方向に貫通したベース貫通孔を有するベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部を有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した強磁性体の収容部材と、
前記ベース貫通孔内に配置された磁石とを備え、
前記天板部は、前記ベース貫通孔に対向する位置に上方に向かって凹んだ天板凹部が形成されたものであり、
前記磁石は、上端部分が前記天板凹部内に配置されたものであることを特徴とするセンサユニット。
【0103】
図8は、第2変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0104】
図8に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とは収容部材3とベース部材5の形状が異なる。収容部材3の周壁部32は、第1厚肉部分32aと薄肉部分32bと第2厚肉部分32cから構成されている。第1厚肉部分32aと薄肉部分32bは、第2厚肉部分32cよりも下端側に形成されている。第2厚肉部分32cは、第1厚肉部分32aよりも更に厚肉の部分であり、その第1厚肉部分32aと薄肉部分32bの境界に第2周壁当接部324が形成されている。第2周壁当接部324は、
図3(a)に示した第1周壁切欠部321と第2周壁切欠部323が形成された部分を除いて周壁部32全周に形成されている。ベース部材5は、下側部分全周に側方に拡がったベース段差部57を有している。ベース部材5は、周壁部32に形成された第2周壁当接部324にベース段差部57が当接することで、それ以上上方に移動することが防止されている。
【0105】
上述したように、線状センサ2は、適度な押し付け力で押し潰された状態が最も感度が高まるという特性がある。ベース部材5が、線状センサ2とともに天板部31と対向部材4との間に挟まれた場合、ベース部材5の下端から天板部31までの距離が長く、ベース部材5が柔軟な材質のものであるとベース部材5が撓んでしまう虞がある。ベース部材5が撓んでしまうと、線状センサ2を押す荷重が小さくなるため設計通りに線状センサ2を押し潰すことができなくなる。この第2変形例では、先の実施形態と同様の効果に加え、ベース部材5上向きの荷重が加わるベース部材5の下端と、加わった上向きの荷重を受け止める第2周壁当接部324に接するベース段差部57との距離を短くできるので、ベース部材5が撓みにくいといった効果を奏する。このため、設計通りの押し付け力で線状センサ2を押し潰すことができる。その結果、所望の検出感度のセンサユニット1を得られる。
【0106】
以上説明した第2変形例のセンサユニット1からは以下の発明概念を抽出できる。
【0107】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部を有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した収容部材とを備え、
前記ベース部材は、下側部分に側方に拡がったベース段差部を有するものであり、
前記周壁部は、前記ベース段差部が当接して前記ベース部材がそれ以上上方に移動することを防止する第2周壁当接部が形成されたものであることを特徴とするセンサユニット。
【0108】
図9は、第3変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。この第3変形例の説明では、主に第2変形例のセンサユニット1との相違点を中心に説明する。
【0109】
図9に示すセンサユニット1は、第2変形例のセンサユニット1とはベース部材5が二体化されている点が異なる。ベース部材5は、ベース段差部57より上側部分5Uがベース段差部57以下の下側部分5Dとは別体で形成されている。上側部分5Uは樹脂製であり、下側部分5Dはアルミ製である。なお、これらの材質は、任意に選択できるが、下側部分5Dは上側部分5Uよりも高い剛性のものであることが好ましい。また、下側部分5Dは上側部分5Uよりも加工性のよいものであることが好ましい。
【0110】
この第3変形例では、第2変形例と同様の効果に加え、高い剛性と高い寸法精度が必要な下側部分5Dと比較的低い剛性で低い寸法精度でよい上側部分5Uとを別体にすることで、上側部分5Uを安価なものにできるので、結果としてベース部材5を安価に構成できるといった効果を奏する。
【0111】
以上説明した第3変形例のセンサユニット1からは以下の発明概念を抽出できる。
【0112】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部を有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した収容部材とを備え、
前記ベース部材は、下側部分に側方に拡がったベース段差部を有し、該ベース段差部より上側部分が該ベース段差部以下の下側部分とは別体のものであり、
前記周壁部は、前記ベース段差部が当接して前記ベース部材がそれ以上上方に移動することを防止する第2周壁当接部が形成されたものであることを特徴とするセンサユニット。
【0113】
図10は、第4変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0114】
図10に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とはベース部材5の形状が異なる。具体的には、ベース上面凹部51の、回路基板7が配置される部分の下面にシールド用掘込部511が形成されている。シールド用掘込部511は、回路基板7の全周縁に沿って形成されている。シールド用掘込部511は、外側面は下方に向かうに従って内側になるように傾斜し、内側面は垂直方向に延在し、下端が水平方向になった溝である。ただし、シールド用掘込部511の外側面を垂直方向に延在するように形成してもよい。上述したように、シールドシート79は、シールド層が2層の絶縁層の間に挟まれたシート状の部材である。このシールドシート79は、シールド部材の一例に相当する。シールドシート79は、回路基板7の上面と側面を覆い、回路基板7よりも下方まで延在し、下端がシールド用掘込部511内に入り込んでいる。シールド層は、回路基板7に形成されたグランドに電気的に接続されている。回路基板7の下面に形成されたグランドパターンとシールドシート79によって、回路基板7は全体がシールドに覆われている。これにより、外部からのノイズが回路基板7に入り込みにくくなっている。
【0115】
この第4変形例では、先の実施形態と同様の効果に加え、回路基板7の下方までシールドシート79で覆うことができるので、ノイズが回路基板7により侵入しにくくなるといった効果を奏する。また、シールド用掘込部511の外側面が下方に向かうに従って内側になるように傾斜しているので、入り込んだシールドシート79の下端が回路基板7の下側方向(内側方向)に折れ曲がるので、よりノイズを侵入しにくくできる。
【0116】
以上説明した第4変形例のセンサユニット1からは以下の発明概念を抽出できる。
【0117】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
天板部と該天板部の周縁部分から垂下した周壁部を有し、該天板部と該周壁部によって形成された収容空間に前記ベース部材および前記線状センサを収容した収容部材と、
前記ベース部材の上面部分に載置され、該ベース部材を貫通した前記線状センサの端部が電気的に接続された回路基板と、
前記回路基板の上面および側面を覆うシールド部材とを備え、
前記ベース部材は、前記シールド部材の下端が入り込む溝が形成されたものであることを特徴とするセンサユニット。
【0118】
図11は、第5変形例のセンサユニットを示す、
図6と同様のブロック図である。
【0119】
図11に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とはアナログ信号のまま処理している点で異なる。この第5変形例の回路基板7は、
図6に示した回路基板7に対してA/D変換部72とプロトコル処理部78が設けられていない。記憶部74には、先の実施形態と同様に、線状センサ2から得られる信号における出力レベルのばらつきを周波数ごとに補正するための情報が補正情報として雰囲気温度ごとに記憶されている。ただし、この補正情報は、各周波数ごとの増幅度を示す抵抗値である。なお、イコライザー73の出力を増幅して外部にアナログ信号を出力する出力アンプを設けてもよい。さらに、その出力アンプに代えて、イコライザー73の出力をA/D変換するA/D変換部と、そのA/D変換した信号を通信規格に適した形式に変換してデジタル信号を出力するプロトコル処理部とを設けてもよい。
【0120】
図12は、第6変形例のセンサユニットを示す、
図6と同様のブロック図である。
【0121】
図12に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とは回路基板7の構成が異なる。この第6変形例の回路基板7は、
図6に示した回路基板7に対してイコライザー73(
図6参照)がない代わりにFFT78と補正出力部75が設けられている。
【0122】
FFT78は、線状センサ2が検出した振動における時間軸波形信号を周波数スペクトル信号に変換する。このFFT78は周波数分析部の一例に相当し、周波数スペクトル信号は振動に関する信号の一例に相当する。なお、FFTは、Fast Fourier Transformの略である。FFT78は、A/D変換部72から出力されたデジタル信号に対して処理を行って周波数スペクトル信号を補正出力部75に出力する。
【0123】
補正出力部75は、補正値選択部76から受け取った補正情報を用いてFFT78から出力された周波数スペクトル信号を補正することで、線状センサ2の特性に基づく出力レベルのばらつきを補正して出力する。従って、線状センサ2の特性によらず、周波数毎に同じ条件によるデータを出力することができる。また、補正出力部75は、FFT78が分析した結果に対して補正しているので、線状センサ2が検出した波形そのものを補正する場合と比較して、補正におけるデータ処理が少なくてすむ。これにより、補正出力部75を安価な素子で構成できる。本実施形態のFFT78および補正出力部75はCPUとプログラムによって構成されているが、その一部または全部をFPGAで構成してもよい。ここで、記憶部74に記憶されている補正情報は、周波数ごとに乗算する係数がであってもよい。その場合、データが不要な周波数に0を記憶させておけば、補正出力部75をバンドパスフィルターとしても利用できる。
【0124】
以上説明した第6変形例のセンサユニット1からは以下の発明概念を抽出できる。
【0125】
振動を検出する線状センサと、
前記線状センサの特性に基づく補正情報が記憶された記憶部と、
前記線状センサが検出した振動の周波数成分を分析する周波数分析部と、
前記周波数分析部が分析した結果を前記補正情報を用いて補正して出力する補正出力部とを備えたことを特徴とする請求項1から11のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【0126】
続いて、第2実施形態のセンサユニット1について説明する。この第2実施形態のセンサユニット1は、磁石6による磁力ではなくネジによって被検出体に取り付けられることを想定したものである。
【0127】
図13は、第2実施形態のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0128】
図13に示すセンサユニット1は、収容部材3、対向部材4およびベース部材5それぞれの形状が異なる点と磁石6(
図5参照)がない点で、
図1~
図6に示した先の実施形態のセンサユニット1と異なる。収容部材3は、天板部31の形状が先の実施形態と異なる。天板部31は、天板凸部311(
図5参照)が形成されておらず、中央に天板貫通孔313が形成されている。なお、この第2実施形態の収容部材3は、磁化する必要がないので樹脂製などの非磁性体で構成してもよい。対向部材4は、対向凹部42(
図5参照)が形成されておらず、中央に対向貫通孔43が形成されている。また、ベース部材5の対向貫通孔43は、先の実施形態よりも径が小さい。これら、天板貫通孔313、対向貫通孔43およびベース貫通孔55は、同一の径で平面視で同一位置に形成されている。これらの孔は、センサユニット1を被検出体に取り付けるためのネジを通すためのものである。なお、このネジとして第2実施形態ではM6のものを想定しているが、天板貫通孔313、対向貫通孔43およびベース貫通孔55の直径に応じて任意のものを用いることができる。
【0129】
この第2実施形態のセンサユニット1においても磁石6(
図5参照)に関するものを除いて先の実施形態と同様の効果を奏する。
【0130】
次に、第3実施形態のセンサユニット1について説明する。この第3実施形態のセンサユニット1は、磁石6とネジの何れによっても被検出体に取り付けられるように構成したものである。
【0131】
図14(a)は、第3実施形態のセンサユニットを示す平面図であり、
図14(b)は、同図(a)に示したセンサユニットの正面図である。また、
図15(a)は、
図14に示したセンサユニットの下面図である。
図14(b)は、
図2(b)と同様にセンサユニット1の基本姿勢を示す図であり、第3実施形態のセンサユニット1の説明でもこの基本姿勢における上下向を基準にして説明する。
【0132】
図14(a)、
図14(b)および
図15(a)に示すセンサユニット1は、収容部材3、対向部材4、ベース部材5、磁石6、回路基板7それぞれの形状が異なる点と磁石6が2つ配置されている点で、
図1~
図6に示した先の実施形態のセンサユニット1と異なる。
図14(a)および
図14(b)に示すように、センサユニット1は、長手方向の長さが40mmで短手方向の長さが32mmで高さが6.1mmの概して板状(直方体)をしている。センサユニット1が被検出体に取り付けられた状態では、
図14(b)の下側に被検出体があり、センサユニット1は被検出体に磁力またはネジによって取り付けられる。なお、
図14(b)では、収容部材3の内側面とベース部材5とが区別できるようにベース部材5は少し小さく描かれているが、実際にはベース部材5の上面は収容部材3の天板部31の下面と接している。また、ベース部材5の側面と周壁部32の内周面との間には僅かな隙間しか存在していない。ベース部材5およびベース部材5の下面にある線状センサ2は、天板部31と対向部材4によって挟み込まれることで固定されている。
【0133】
天板部31は平面視で四角形状をしている。また、天板部31の筋向いの角部近傍にはそれぞれ上下に貫通した天板貫通孔313が形成されている。この第3実施形態の収容部材3の周壁部32には、第1周壁切欠部321(
図2(b)参照)が形成されていない。周壁部32は、第1厚肉部分32aと下端部の薄肉部分32bとから構成されており、その第1厚肉部分32aと薄肉部分32bの境界に第1周壁当接部322が形成されている。さらに、
図15(a)に示すように、周壁部32には、下端から上方に向かって凹み、信号ケーブル8が通るための第2周壁切欠部323が形成されている。第1周壁当接部322は、第2周壁切欠部323が形成された部分を除いて周壁部32全周に形成されている。
【0134】
図14(b)に示すように、対向部材4は、センサユニット1の下端部分でベース部材5に対向して配置され、収容部材3下端に形成された開口を塞いだ板状またはシート状の部材である。この対向部材4は、板厚0.1mmの非磁性のステンレス製のものである。
図15(a)に示すように、対向部材4は、収容部材3の天板部31(
図14(b)参照)とほぼ同形状の四角形状をしている。対向部材4は、
図14(b)に示す薄肉部分32bの内周面よりもほんの少し小さい。対向部材4は、第1周壁当接部322に接着されている。なお、対向部材4は、ベース部材5の下面に接着剤などで接着されていてもよい。対向部材4の下面は周壁部32の下面と一致している。周壁部32は、対向部材4の上面よりも下方まで延在していればよいが、周壁部32の下面が対向部材4の下面と略一致する位置まで延在していることが好ましく、周壁部32の下面が対向部材4の下面よりも上方に位置して対向部材4の厚み範囲内にあることも好ましい。対向部材4には、上下に貫通した2つの対向貫通孔43が形成されている。対向貫通孔43は、天板貫通孔313と同一の径で平面視において天板貫通孔313と同一の位置に形成されている。
【0135】
図15(b)は、同図(a)に示したセンサユニットから対向部材を取り外した状態を示す下面図である。
【0136】
図15(b)に示すように、ベース部材5は、上下方向に貫通したベース貫通孔55が2つ形成された概して板状をした樹脂製のものである。ベース貫通孔55は、天板貫通孔313(
図14(a)参照)と同一の径で平面視において天板貫通孔313と同一の位置に形成されている。すなわち、天板貫通孔313、対向貫通孔43およびベース貫通孔55は、同一の径で平面視で同一位置に形成されている。これらの孔は、センサユニット1を被検出体に取り付けるためのネジを通すためのものである。なお、このネジとして第3実施形態ではM5のものを想定しているが、天板貫通孔313、対向貫通孔43および対向貫通孔43の直径に応じて任意のものを用いることができる。ベース部材5の外周形状は、周壁部32の第1厚肉部分32aの内周形状とほぼ同一である。ただし、ベース部材5の外周の方が第1厚肉部分32aの内周よりもほんの少しだけ小さい。ベース部材5の下面には、概して六角形の螺旋溝56が形成されている。螺旋溝56は、渦巻状に略6周周回して形成されている。線状センサ2は、その螺旋溝56に沿って延在している。そして、線状センサ2の一端はベース部材5の外周側に形成された引出孔52を貫通してベース部材5の上面側に達し、線状センサ2の他端はベース部材5の内周側に形成された引出孔52を貫通してベース部材5の上面側に達している。
【0137】
図16は、
図14(a)に示したセンサユニットにおいて収容部材を透過して見た平面図である。
【0138】
図16に示すように、ベース部材5の上面には、下方に凹んだベース上面凹部51が形成されている。上下方向に貫通した2つの引出孔52は、ベース上面凹部51内に繋がっている。これらの引出孔52を貫通した線状センサ2の両端部は、不図示の入力側端子部材を介して回路基板7に接続されている。ベース上面凹部51には、ベース上面凹部51よりも下方に凹んだ、基板用掘込部512、ケーブル用掘込部513および2つの磁石用掘込部514が形成されている。回路基板7は、基板用掘込部512に配置されている。ケーブル用掘込部513は、ベース部材5の外周端まで延びている。ケーブル用掘込部513には、信号ケーブル8の一端部分が嵌め込まれている。信号ケーブル8の一端は、不図示の出力側端子部材を介して回路基板7に接続されている。2つの磁石用掘込部514それぞれには、磁石6が嵌め込まれている。磁石6は、板状のネオジウム磁石である。
【0139】
図17は、
図14(a)のB-B断面図である。なお、この
図17では、シールドシート79は図示省略している。
【0140】
図17に示すように、ベース部材5の上面は、天板部31の下面に接している。また、対向部材4は、線状センサ2を挟んでベース部材5に対向している。線状センサ2近傍の拡大図に示すように、線状センサ2は、対向部材4とベース部材5に挟まれることで高さ方向に押し潰され、高さ方向の径がh1になっている。この第3実施形態では、対向部材4の厚みが薄く線状センサ2を押し潰す力が弱いため、螺旋溝56の深さをh1よりも少し浅くしている。
図14では挟み込まれる前(無負荷状態)の線状センサ2を一点鎖線で示している。無負荷状態の線状センサ2は、外径がh2であり、h1はh2の90%である。なお、螺旋溝56の深さは、線状センサ2の外形の75%であるが、この深さは線状センサ2の硬度、対向部材4の硬度および対向部材4の取付方法などに応じて適宜設定すればよい。
【0141】
収容部材3の下端縁近傍の拡大図に示すように、周壁部32の薄肉部32b内周面と対向部材4の外周面との間にはほんの少し隙間が形成されている。ただし、対向部材4の側面と周壁部32の薄肉部32b内周面は接していてもよい。
【0142】
この第3実施形態のセンサユニット1においても先の実施形態と同様の効果を奏する。また、磁石6とネジの何れによってもセンサユニット1を被検出体に取り付けることができるといった効果も奏する。
【0143】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、圧電体22を用いた線状センサ2について説明したが、導電ゴム等の抵抗線やキャパシタ線等を用いた線状センサ2に変更してもよい。また、ベース部材5の下面において線状センサ2を渦巻状になるように配置する例を示したが、線状センサ2は、ベース部材5の下面において波形状またはつづら折り状に配置してもよく、ベース部材5の内周側と外周側に向かって複数回屈曲しながら周回することで星状または歯車の歯先状になるように配置してもよい。さらに、回路基板7を省略して線状センサ2と信号ケーブル8とを直接または端子部材によって接続してもよい。またさらに、収容部材3とベース部材5の接触部にゴムや発泡ゴムなどの弾性体を配置してもよい。加えて、収容部材3と対向部材4は、接着剤や両面テープなどによって接合してもよく、収容部材3とベース部材5も接着剤や両面テープなどによって接合してもよい。
【0144】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 センサユニット
2 線状センサ
3 収容部材
4 対向部材
5 ベース部材
31 天板部
32 周壁部