(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118402
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】トレーラハウス用ミニハウス及びその組立方法、並びにその組立に用いる橋渡し部材
(51)【国際特許分類】
B60P 3/34 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
B60P3/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021340
(22)【出願日】2022-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】500310432
【氏名又は名称】株式会社ヒーローライフカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日崎 哲仁
(72)【発明者】
【氏名】八田 徹也
(72)【発明者】
【氏名】江尻 直記
(72)【発明者】
【氏名】清澤 仁志
(72)【発明者】
【氏名】江崎 賢司
(72)【発明者】
【氏名】西川 信宏
(72)【発明者】
【氏名】押田 尚久
(72)【発明者】
【氏名】横田 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】児玉 健
(72)【発明者】
【氏名】永山 敬之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 佳代
(72)【発明者】
【氏名】林 杰
(57)【要約】
【課題】ハウス本体と、これの一側壁開口を通して張出した使用位置とハウス本体内に没した格納位置との間を移動可能な可動小屋とを備えるミニハウスにおいて、可動小屋の格納時に使用されない可動支持台の格納スペースを、可動小屋の移動方向で可動小屋より外方側と床体外側端より内方側の扁平空間に確保して、ハウス本体の床体上に可動支持台の待機スペースを確保不要とし、床体を構造簡素化し小型化する。
【解決手段】ハウス本体Hの床体側部に可動支持台Sが、水平張出位置S1と床体Hf外側端よりも内方側で起立する起立待機位置S2との間で起伏回動可能に軸支され、可動小屋Kの床部に水平張出位置S1の可動支持台Sとハウス本体Hの床体とに亘って転動可能な車輪Wが軸支され、可動小屋Kが使用位置K1にあり且つ可動支持台Sが起立待機位置S2にあるときの可動支持台Sの待機スペース81が、可動小屋Kの外側端とハウス本体外側端との間に画成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走車両(V)により牽引走行可能なトレーラ(T)上に搭載可能なコンテナ状のハウス本体(H)と、このハウス本体(H)の一側壁(Hs)の開口(Hso)を通して、該ハウス本体(H)より張出した使用位置(K1)と該ハウス本体(H)内に格納された格納位置(K2)との間を移動可能な可動小屋(K)とを備え、前記可動小屋(K)は、これが前記使用位置(K1)にあるときは内部空間の少なくとも一部が前記ハウス本体(H)の拡張空間となるトレーラハウス用ミニハウスにおいて、
前記ハウス本体(H)の床体(Hf)側部には、前記使用位置(K1)の前記可動小屋(K)を下支えするための可動支持台(S)が、該床体(Hf)より外側方に水平に張出し且つ上面が該床体(Hf)の上面と略面一となる水平張出位置(S1)と、該床体(Hf)の外側端(Hfe)よりも内方側で該床体(Hf)上に略鉛直に起立する起立待機位置(S2)との間で起伏回動し得るように軸支(Sp)され、
前記可動小屋(K)の床部(Kf)下面には、前記水平張出位置(S1)での前記可動支持台(S)の上面と前記ハウス本体(H)の床体(Hf)上面とに亘って該可動小屋(K)を転動させるための複数の車輪(W)が軸支され、
前記可動小屋(K)が前記格納位置(K2)にあり且つ前記可動支持台(S)が前記起立待機位置(S2)にあるときの該可動支持台(S)の待機スペース(81)が、該可動小屋(K)の移動方向で該可動小屋(K)の外側端(Kse)と前記一側壁(Hs)の外側端(Hse)との間に、且つ該床体(Hf)の上側に画成され、
前記水平張出位置(S1)の前記可動支持台(S)は、これと地面(E)との間に介装され且つ長さ調節可能な支持脚(L)を介して接地可能であることを特徴とする、トレーラハウス用ミニハウス。
【請求項2】
前記支持脚(L)は、上下方向に直線状に延びる少なくとも1個の支持バー(Lb)と、前記1個の支持バー(Lb)に着脱可能に接続されて支持高さ調節可能なジャッキ(Lj)とを備えていて、前記可動支持台(S)に対し着脱可能に連結されることを特徴とする、請求項1に記載のトレーラハウス用ミニハウス。
【請求項3】
前記可動支持台(S)には、これが前記水平張出位置(S1)にあるときの上面に、前記車輪(W)の転動を案内すべく前記移動方向に沿って直線状に延びる案内溝(Sg)が設けられ、この案内溝(Sg)の底面は、前記可動支持台(S)が前記水平張出位置(S1)にある状態で、前記床体(Hf)上面と略同一レベルであることを特徴とする、請求項1又は2にトレーラハウス用ミニハウス。
【請求項4】
前記床体(Hf)の上面には、前記可動小屋(K)を前記格納位置(K2)から前記使用位置(K1)に向けて移動させる際に前記車輪(W)を前記案内溝(Sg)に対応する位置に向けて誘導可能なガイド部材(90)が突設されることを特徴とする、請求項3に記載のトレーラハウス用ミニハウス。
【請求項5】
前記起立待機位置(S2)にある可動支持台(S)と前記一側壁(Hs)の前記開口(Hso)の周縁部との間を着脱可能に結合して、前記ハウス本体(H)に対し該可動支持台(S)をこれの前記起立待機位置(S)で固定する第1固定装置(ST1)と、
前記起立待機位置(S2)にある可動支持台(S)と前記格納位置(K2)にある前記可動小屋(K)との間を着脱可能に結合して該起立待機位置(S)の前記可動支持台(S)に対し前記可動小屋(K)を該格納位置(K2)に固定する第2固定装置(ST2)とを備えることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のトレーラハウス用ミニハウス。
【請求項6】
前記可動支持台(S)は、これの前記水平張出位置(S1)で前記床体(Hf)上面と略面一となり且つ前記起立待機位置(S2)で前記一側壁(Hs)の外側端(Hse)より外側方に食み出さずに該床体(Hf)上に起立するように、該可動支持台(S)の軸支部(Sp)は前記床体(Hf)の外側端(Hfe)又はその近傍で該床体(Hf)の上面よりも低い所定位置に配設され、前記水平張出位置(S1)にあるときの前記可動支持台(S)の内側端(Se)と前記床体(Hf)の外側端(Hfe)との間には、前記移動方向の隙間(82)が形成されることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載のトレーラハウス用ミニハウス。
【請求項7】
請求項6に記載のトレーラハウス用ミニハウスの組立方法であって、
前記可動支持台(S)が前記水平張出位置(S1)にある状態で前記隙間(82)の少なくとも一部を上方より覆う渡し部材(B)を、該可動支持台(S)と前記床体(Hf)とに渡って橋渡しするようにセットし、そのセット状態の前記橋渡し部材(B)上を、前記可動小屋(K)の移動時に前記車輪(W)が転動できるようにしたことを特徴とする、トレーラハウス用ミニハウスの組立方法。
【請求項8】
請求項7に記載のトレーラハウス用ミニハウスの組立方法に用いられる前記橋渡し部材(B)であって、
前記床体(Hf)の上面に一端部を、また前記水平張出位置(S1)での前記可動支持台(S)の上面に他端部をそれぞれ載置可能であり、且つ上面に前記車輪(W)が転動可能な帯板状の橋渡し部材本体(Bm)と、その橋渡し部材本体(Bm)に連設されて前記床体(Hf)の外側端(Hfe)及び前記可動支持台(S)の内側端(Se)に係合して該橋渡し部材本体(Bm)の前記移動方向に沿うずれ動きを規制するストッパ突起(Bs)とを有することを特徴とする、トレーラハウス用ミニハウスの組立用橋渡し部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラハウス用ミニハウス、特に自走車両により牽引走行可能なトレーラ上に搭載可能なコンテナ状のハウス本体と、このハウス本体の一側壁の開口を通して、ハウス本体より張出した使用位置とハウス本体内に格納された格納位置との間を移動可能な可動小屋とを備えるトレーラハウス用ミニハウス、及びその組立方法、並びにその組立に用いる橋渡し部材に関する。
【背景技術】
【0002】
上記したトレーラハウス用ミニハウスは、例えば特許文献1,2にも示されるように従来公知であり、このものでは、使用位置にあるときの可動小屋が、これの内部空間の少なくとも一部によりハウス本体の室内空間を拡張できる利点がある。
【0003】
そして、特許文献1,2のトレーラハウス用ミニハウスでは、使用位置の可動小屋を下支えするための可動支持台が、ハウス本体の床体側部から外側方に張出した水平張出位置と、床体内に格納された待機位置との間でスライド移動できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5002781号公報
【特許文献2】特開昭62-233381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2のトレーラハウス用ミニハウスでは、可動支持台を水平張出位置と待機位置との間でスライド移動させるスライド機構の構造が複雑であるばかりか、可動小屋の格納時に使用されない可動支持台の待機スペースをハウス本体の床体の内部又は下部に確保する必要から、床体の構造が大型化・複雑化する等の問題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従来装置の上記課題を簡単な構造で解決可能なトレーラハウス用ミニハウス及びその組立方法、並びにその組立に用いる橋渡し部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、自走車両により牽引走行可能なトレーラ上に搭載可能なコンテナ状のハウス本体と、このハウス本体の一側壁の開口を通して、該ハウス本体より張出した使用位置と該ハウス本体内に格納された格納位置との間を移動可能な可動小屋とを備え、前記可動小屋は、これの前記使用位置では該可動小屋の内部空間により前記ハウス本体の室内空間を拡張可能であるトレーラハウス用ミニハウスにおいて、前記ハウス本体の床体側部には、前記使用位置の前記可動小屋を下支えするための可動支持台が、該床体より外側方に水平に張出し且つ上面が該床体の上面と略面一となる水平張出位置と、該床体の外側端よりも内方側で該床体上に略鉛直に起立する起立待機位置との間で起伏回動し得るように軸支され、前記可動小屋の床部下面には、前記水平張出位置での前記可動支持台の上面と前記ハウス本体の床体上面とに亘って該可動小屋を転動させるための複数の車輪が軸支され、前記可動小屋が前記格納位置にあり且つ前記可動支持台が前記起立待機位置にあるときの該可動支持台の待機スペースが、該可動小屋の移動方向で該可動小屋の外側端と前記一側壁の外側端との間に、且つ該床体の上側に画成され、前記水平張出位置の前記可動支持台は、これと地面との間に介装され且つ長さ調節可能な支持脚を介して接地可能であることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記支持脚は、上下方向に直線状に延びる少なくとも1個の支持バーと、前記1個の支持バーに着脱可能に接続されて支持高さ調節可能なジャッキとを備えていて、前記可動支持台に対し着脱可能に連結されることを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記可動支持台には、これが前記水平張出位置にあるときの上面に、前記車輪の転動を案内すべく前記移動方向に沿って直線状に延びる案内溝が設けられ、この案内溝の底面は、前記可動支持台が前記水平張出位置にある状態で、前記床体上面と略同一レベルであることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記床体の上面には、前記可動小屋を前記格納位置から前記使用位置に向けて移動させる際に前記車輪を前記案内溝に対応する位置に向けて誘導可能なガイド部材が突設されることを第4の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記起立待機位置にある可動支持台と前記一側壁の前記開口の周縁部との間を着脱可能に結合して、前記ハウス本体に対し該可動支持台をこれの前記起立待機位置で固定する第1固定装置と、前記起立待機位置にある可動支持台と前記格納位置にある前記可動小屋との間を着脱可能に結合して、該起立待機位置の前記可動支持台に対し前記可動小屋を該格納位置に固定する第2固定装置とを備えることを第5の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1~第5の何れかの特徴に加えて、前記可動支持台が、これの前記水平張出位置で前記床体上面と略面一となり且つ前記起立待機位置で前記一側壁の外側端より外側方に食み出さずに該床体上に起立するように、該可動支持台の軸支部は前記床体の外側端又はその近傍で該床体上面よりも低い所定位置に配設され、前記水平張出位置にあるときの前記可動支持台の内側端と前記床体の外側端との間には、前記移動方向の隙間が形成されることを第6の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第6の特徴を有したトレーラハウス用ミニハウスの組立方法であって、前記可動支持台が前記水平張出位置にある状態で前記隙間の少なくとも一部を上方より覆う渡し部材を、該可動支持台と前記床体とに渡って橋渡しするようにセットし、そのセット状態の前記橋渡し部材上を、前記可動小屋の移動時に前記車輪が転動できるようにしたことを第7の特徴とする。
【0014】
また本発明は、第7の特徴を有したトレーラハウス用ミニハウスの組立方法に用いられる前記橋渡し部材であって、前記床体の上面に一端部を、また前記水平張出位置での前記可動支持台の上面に他端部をそれぞれ載置可能であり、且つ上面に前記車輪が転動可能な帯板状の橋渡し部材本体と、その橋渡し部材本体に連設されて前記床体の外側端及び前記可動支持台の内側端に係合して該橋渡し部材本体の前記移動方向に沿うずれ動きを規制するストッパ突起とを有することを第7の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、ハウス本体の床体側部には、ハウス本体より側方に張出した使用位置の可動小屋を下支えするための可動支持台が、床体側部より外側方に水平に張出し且つ上面が床体上面と略面一となる水平張出位置と、床体の外側端よりも内方側で床体上に略鉛直に起立する起立待機位置との間で起伏回動し得るように軸支され、可動小屋の床部には、水平張出位置での可動支持台の上面と床体上面とに亘って可動小屋を転動させるための車輪が軸支され、可動小屋の格納時に使用されない可動支持台の待機スペースが、可動小屋の移動方向で可動小屋の外側端とハウス本体一側壁の外側端との間に、且つ床体の上側に画成される。これにより、床体上において可動支持台の待機スペースを、可動小屋の移動方向で格納位置の可動小屋より外方側且つ前記一側壁の外側端よりも内方側の扁平空間に無理なく確保可能となり、床体内部や下部には可動支持台の待機スペースを特別に確保する必要はなくなるため、床体の構造簡素化と小型化に寄与することができる。しかも可動支持台は、これの水平張出位置と起立格納位置との間で単に起伏回動させるだけで済むため、その可動支持台の移動機構が単なるピボット構造(軸支部)で容易に構成でき、したがって、その移動機構の構造簡素化やコスト節減にも寄与することができる。
【0016】
その上、水平張出位置の可動支持台は、これと地面との間に介装され且つ長さ調節可能な支持脚を介して接地可能であるため、可動支持台を接地すべき地面の高さが一様でない場合でも、水平張出位置の可動支持台(従ってその上の可動小屋)を、長さ調節可能な支持脚を介して地面に安定よく強固に支持させることができる。
【0017】
また第2の特徴によれば、前記支持脚は、上下方向に直線状に延びる少なくとも1個の支持バーと、その1個の支持バーに着脱可能に接続されて支持高さ調節可能なジャッキとを備えていて、可動支持台に対し着脱可能に連結されるので、支持脚の構造簡素化と小型化が図られるばかりか、支持バーとジャッキを相互に分離可能であり、更に可動支持台からも分離可能である。従って、支持脚は、これの非使用時(例えばミニハウスの輸送中等)にはハウス本体内、その他の適所に容易に保管でき、取り扱いが頗る簡便化される。
【0018】
また第3の特徴によれば、可動支持台には、これが水平張出位置にあるときの上面に、可動小屋底面の車輪の転動を案内すべく可動小屋の移動方向に沿って直線状に延びる案内溝が設けられ、この案内溝の底面は、可動支持台が水平張出位置にある状態で、床体上面と略同一レベルであるので、可動小屋を格納位置から使用位置まで移動させるべく可動小屋底面の車輪を可動支持台上で転動させる際に、案内溝のガイド作用により車輪を的確に案内誘導できて、車輪の可動支持台上からの離脱を効果的に防止できる。
【0019】
また第4の特徴によれば、床体の上面には、可動小屋を格納位置から使用位置に向けて移動させる際に可動小屋底面の車輪を案内溝に対応する位置に向けて誘導可能なガイド部材が突設されるので、可動小屋を格納位置から使用位置まで移動させるべく可動小屋底面の車輪を床体上面から可動支持台上に向けて転動させる際に、上記ガイド部材の案内作用により車輪を可動支持台上の案内溝に的確に案内でき、これにより、車輪を案内溝内にスムーズに誘導できるため、車輪の可動支持台上からの離脱をより効果的に防止することができる。
【0020】
また第5の特徴によれば、起立待機位置にある可動支持台とハウス本体の側壁開口の周縁部との間を着脱可能に結合して、ハウス本体に対し可動支持台をこれの起立待機位置で固定する第1固定装置と、起立待機位置にある可動支持台と格納位置にある可動小屋との間を着脱可能に結合して、起立待機位置の可動支持台に対し可動小屋を格納位置に固定する第2固定装置とを備える。これにより、第1固定装置を以てハウス本体に対し可動支持台をこれの起立待機位置で固定し、また第2固定装置を以て起立待機位置の可動支持台に対し可動小屋を格納位置に固定するだけで、格納位置にある可動小屋を、可動支持台を介してハウス本体に固定可能となるため、可動小屋の格納位置固定のために可動小屋をハウス本体に直接固定する必要はなくなり、それだけ可動小屋の固定構造が簡素化され、コスト節減に寄与することができる。
【0021】
また第6の特徴によれば、可動支持台が、これの水平張出位置で床体上面と略面一となり且つ起立待機位置で前記一側壁の外側端より外側方に食み出さずに床体上に起立するように、可動支持台の軸支部は床体の外側端又はその近傍で床体上面よりも低い所定位置に配設され、水平張出位置にあるときの可動支持台の内側端と床体の外側端との間に隙間が形成される。これにより、可動支持台は、水平張出位置で床体上面と略面一となり且つ起立待機位置で前記一側壁の外側端より外側方に食み出さずに床体上に起立姿勢をとることができるため、水平張出位置にあるときは床体上面と可動支持台間での可動小屋の移動が可能となり、また起立待機位置にあるときは、ハウス本体の外側端より張り出さずに的確に格納可能となる。またこのような可動支持台の起伏回動動作を許容するために可動支持台の軸支部が低め位置となって、水平張出位置にあるときの可動支持台の内側端と床体の外側端との間に隙間が形成されても、その隙間を跨ぐ部材を隙間上に適宜設置すれば可動支持台と床体間での可動小屋の移動が可能となる。
【0022】
また第7の特徴によれば、第6の特徴を有したミニハウスの組立方法の実施に当たり、前記隙間の少なくとも一部を上方より覆う渡し部材を、水平張出位置にある可動支持台と床体とに渡って橋渡しするようにセットし、そのセット状態の橋渡し部材上を、可動小屋の移動時に可動小屋底面の車輪が転動可能としたので、水平張出位置の可動支持台の内側端と床体の外側端との間に上記隙間が形成されても、その隙間上の橋渡し部材を経由して車輪を床体上面から可動支持台上にスムーズ且つ的確に向けて転動させることができ、従って、その隙間が可動小屋の移動の障害となる虞れはない。
【0023】
また第8の特徴によれば、上記橋渡し部材が、ハウス本体の床体上面に一端部を、また水平張出位置での可動支持台の上面に他端部をそれぞれ載置可能であり、且つ上面に可動小屋底面の車輪が転動可能な帯板状の橋渡し部材本体と、その橋渡し部材本体に連設されて床体の外側端及び可動支持台の内側端に係合して橋渡し部材本体のずれ動きを規制するストッパ突起とを有するので、案内溝とストッパ突起を利用した簡単な構造により、橋渡し部材が前記隙間上のセット位置に容易にセット可能となり、しかもそのセット位置から橋渡し部材が妄りにずれ動く虞れはなくなり、従って、橋渡し部材をセット位置に簡単且つ的確に保持可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るトレーラハウスの第1実施形態を示す全体平面図
【
図2】トレーラハウスの右側面図(
図1の2X矢視図)
【
図3】トレーラハウスの前面図(
図2の3X矢視図)
【
図4】トレーラハウスの右側壁から可動小屋が外側方に張出した使用位置にある状態を示す前面図(
図3対応図)
【
図5】可動小屋が前記使用位置にある状態での、ハウス本体内の間取りの一例を示す平断面図
【
図6】可動小屋が格納位置にあり且つ可動支持台が水平張出位置にある状態を、
図4と同方向から見た部分拡大図
【
図7】可動小屋が使用位置にある状態を示す部分拡大図(
図6対応図)
【
図8】可動支持台を起立待機位置にロックするロック機構の要部を示す平面図(
図3の8X-8X拡大断面図)
【
図18】可動小屋が格納位置にあるときの可動小屋ロック手段を示す要部平断面図(
図3の18X-18X線拡大平断面図)
【
図19】第2実施形態の要部、特に可動小屋が格納位置にあり且つ可動支持台が水平張出位置にある状態を示す拡大断面図(
図10対応図)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。尚、本明細書において、前後方向・左右方向とは、トレーラハウスTHが自走車両としての自動車Vで牽引走行される際の自動車Vを基準とした方向であって、自動車Vの前後方向・左右方向と一致する。
【0026】
先ず、
図1,
図2を参照して、トレーラハウスTHの概要を説明する。トレーラハウスTHは、規定サイズに製作された従来周知のコンテナ(不図示)を搭載可能なトレーラTと、トレーラT上に着脱可能に搭載されるコンテナ状のミニハウスMHとより構成され、自動車Vにより任意の設置場所まで牽引走行されて、そこにトレーラTごと設置、固定される。
【0027】
トレーラTは、従来周知のようにトレーラシャーシTsと、トレーラシャーシTsに軸支される車輪Twとを備えており、トレーラシャーシTsの上面がミニハウスMHの載置面となる。トレーラシャーシTsの前端部にはトレーラヒッチ部Thが設けられ、トレーラヒッチ部Thは、トレーラTを牽引可能な自動車Vの後端ヒッチ部に対し着脱可能に且つ旋回揺動可能に連結される。
【0028】
トレーラTを所定場所に長期に定置する場合には、必要に応じて複数のジャッキJが地面EとトレーラシャーシTsとの間に設置され、これにより、トレーラハウスTHの安定支持とタイヤの荷重負担の軽減とが図られる。尚、各ジャッキJは、トレーラTが牽引走行される際には走行の支障がないようにトレーラシャーシTsより取り外されて、ミニハウスMH内または自動車V、或いは別の運搬車両で輸送される。
【0029】
次にミニハウスMHの構造を、
図3~
図5も併せて参照して、具体的に説明する。即ち、ミニハウスMHは、トレーラT上に搭載可能な直方体状のハウス本体Hと、このハウス本体Hの内部空間を拡張するのに用いる可動小屋Kとを備える。
【0030】
ハウス本体Hは、コンテナに外形、サイズが同一又は近似したボックス状に形成され、内部には居住スペース1が画成される。その居住スペース1には、
図5で明らかなように、ベッド、ユニット式バストイレ4、台所5等の簡易な住居設備が設けられる。更にハウス本体Hの外側壁には、出入口の開閉ドア2、エアコン室外機等の機器設置用凹所3、窓6等が配備される。また、ハウス本体Hの左右一方の側壁Hs(図示例は右側壁、以下これを「特定側壁」という)には、可動小屋Kを出入れするための矩形状の開口Hsoが設けられる。
【0031】
尚、ハウス本体HとトレーラシャーシTsとの間には、その相互間を着脱可能に結合する従来周知の結合装置(発明の要部ではないので図示は省略)が介装される。
【0032】
一方、可動小屋Kは、ハウス本体Hの前記開口Hsoを通してハウス本体Hより張出した
図4に示す使用位置K1と、ハウス本体H内に没入した
図2,3に示す格納位置K2との間で左右方向に移動可能な可動小屋Kとを備える。
【0033】
可動小屋Kは、これが使用位置K1にあるときは後述するように内部空間の少なくとも一部がハウス本体Hの拡張空間として利用可能である。また可動小屋Kは、矩形状をなす水平な床部Kfと、床部Kfの外側の3辺部、即ち前後辺部及び外側辺部から一体的に立設される平面視コ字状の側壁部Ksと、側壁部Ksの上端に接続、固定されて可動小屋Kの内部空間を上方より覆う天井壁部Krとを有しており、この可動小屋Kの内部空間は、可動小屋Kの開放した内端(開放左端)を通してハウス本体Hの内部空間に直接連通している。尚、可動小屋Kの側壁部Ksには必要に応じて窓7が設けられる。また
図5では、可動小屋Kをベッドルームとしての利用した使用例が示される。
【0034】
ハウス本体Hの床体Hf側部には、使用位置K1の可動小屋Kを下支えするための可動支持台Sが回動可能に軸支される。そして、その軸支部Sp回りに可動支持台Sは、ハウス本体Hの床体Hfより外側方(図示例では右側方)に水平に張出し且つ上面が床体Hfの上面と略面一となる水平張出位置S1と、ハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hse(図示例では右側端)よりも内方側で床体Hf上に略鉛直に起立する起立待機位置S2との間で起伏回動可能である。
【0035】
可動小屋Kの床部Kfの下面には、水平張出位置S1での可動支持台Sの上面とハウス本体Hの床体Hf上面とに亘って可動小屋Kを転動させるための複数の車輪Wが軸支される。これら車輪Wの配列をより具体的に説明すると、可動小屋Kの床部Kfの下面において、左右方向に互いに間隔をおいて互いに一列に並ぶ複数の車輪Wの列が、前後方向に互いに間隔をおいて複数列(実施形態では前後2列)配列される。
【0036】
而して、可動小屋Kが格納位置K2にあり且つ可動支持台Sが起立待機位置S2にある状態での可動支持台Sの待機スペース81が、可動小屋Kの移動方向(即ち左右方向)で可動小屋Kの外側端Kse(即ち右側端)とハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hse(即ち右側端)との間に、且つ床体Hfの上側に画成される。
【0037】
ところで可動支持台Sは、前後方向に間隔をおいて並ぶ複数(実施形態は3個)の縦フレーム21と、縦フレーム21相互を一体に結合する複数(実施形態は2個)の横フレーム22とを少なくとも含む枠組み体で構成されており、横フレーム22は、縦フレーム21の外側面に接合される、幅広且つ矩形状の帯板で構成される。可動支持台Sが水平張出位置S1にあるときの各縦フレーム21の、床体Hf寄りの下面には、長い第1ヒンジプレート24が接合されており、この第1ヒンジプレート24と、ハウス本体Hの床体Hf外側面に接合した短い第2ヒンジプレート25とが、可動支持台Sの軸支部Spを構成するヒンジピン26を介して回動可能に枢支連結される。
【0038】
また可動支持台Sは、これの水平張出位置S1で縦フレーム21の上面が床体Hf上面と略面一となり、また起立待機位置S2でハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hse(右側端)より外側方に食み出さずに床体Hf上にて起立するように、可動支持台Sの軸支部Spが、床体Hfの外側端Hfe(右側端)又はその近傍で床体上面よりも低い所定位置に配設される。その結果、水平張出位置S1にあるときの可動支持台Sの内側端Seと床体Hfの外側端Hfeとの間には、
図6で明らかなように、可動小屋Kの移動方向(即ち左右方向)に隙間82が形成される。尚、床体Hfの外側端Hfeは、ハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hseと同一平面上にあるか又は僅かに張り出している。
【0039】
而して、本実施形態では、ミニハウスMHの組立方法の実施に当たり、後述するように、可動支持台Sが水平張出位置S1にある状態で隙間82の少なくとも一部を上方より覆う渡し部材Bを、可動支持台Sと床体Hfとに渡って橋渡しするようにセットし、そのセット状態の橋渡し部材B上を、可動小屋Kの移動時に可動小屋K底面の車輪Wが転動可能としている。
【0040】
実施形態の橋渡し部材Bは、上面に車輪Wが転動可能な薄肉且つ帯板状の橋渡し部材本体Bmと、その橋渡し部材本体Bmの下面に突設されるストッパ突起Bsとを有する。橋渡し部材本体Bmは、これの一端部をハウス本体Hの床体Hfの上面に載置可能であり、また他端部を、可動支持台S上の後述する案内溝Sgの底面に載置可能である。またストッパ突起Bsは、床体Hfの外側端Hfe及び可動支持台Sの内側端Seに係合して橋渡し部材本体Bmの移動方向に沿うずれ動きを規制する。
【0041】
ところで可動支持台Sは、これが水平張出位置S1にあるときに、上下方向に延び且つ長さ調節可能な支持脚Lを介して接地可能(従って支持脚Lで下支え可能)である。支持脚Lは、トレーラハウスTH内に格納されてトレーラハウスTHと共に輸送されるか、或いは別の輸送手段(例えばトラック等)で輸送されて、トレーラハウスTHの任意の設置場所まで運ぶことができる。
【0042】
支持脚Lは、上下方向に直線状に延びる少なくとも1個の支持バーLbと、1個の支持バーLbの上端又は下端(図示例は下端)に着脱可能に接続されて支持高さ調節可能なジャッキLjとを備える。ジャッキLjは、下端に台座を有したねじ棒31と、ねじ棒31に螺合されて回転操作により昇降変位可能なハンドルバー32とを備える。また支持バーLbは、実施形態では円管状に形成され、その下端開口部がジャッキLjのねじ棒31上部に嵌挿され且つハンドルバー32の上端に支持バーLbの下端が係合する。
【0043】
また水平張出位置S1にあるときの可動支持台Sの縦フレーム21の下面には、係止プレート34の両側部が抜差可能に嵌合され、且つ適当な固定手段(例えば摩擦、ねじ止め等)により縦プレート21に保持できるようになっている。この係止プレート34の中央下面には、支持バーLbの上端開口部に嵌挿、係止可能な係止突起部34tが一体に突設される。
【0044】
而して、水平張出位置S1にあるときの可動支持台Sの縦フレーム21の下面に係止プレート34の両側部を嵌装すると共に、これの中央下面の係止突起部34tを起立姿勢の支持バーLbの上端開口部に差し込むことで、可動支持台Sを支持バーLb従って支持脚Lに係止させることができる。かくして、その係止状態で、支持脚Lのねじ棒31に対しハンドルバー32を回転操作して昇降させることで、支持バーLbを追従昇降させて、水平張出位置S1にある可動支持台Sに適合させ、これにより、支持脚Lで可動支持台Sを下支えすることができる。
【0045】
ところで可動支持台Sには、これが水平張出位置S1にあるときの縦フレーム20の上面において、車輪Wの転動を案内すべく移動方向に沿って直線状に延びる案内溝Sgが設けられる。この案内溝Sgは、実施形態では縦フレーム20の前記上面に間隔をおいて平行する前後一対の帯板27,27を接合することで、その両帯板27,27の相互間に形成される。この場合の案内溝Sgの底面は、可動支持台Sが水平張出位置S1にある状態で、床体Hf上面と略同一レベルとなる。而して、案内溝Sgの特設によれば、縦フレーム20が細長い枠体であっても、車輪Wが縦フレーム20から脱線して踏み外す事態を有効に回避可能となる。
【0046】
尚、このような帯板27,27を使用せずに、縦フレーム21の前記上面に溝状窪みを直接凹設して、この溝状窪みを案内溝Sgとしてもよい。
【0047】
更に実施形態では、起立待機位置S2にある可動支持台Sと、ハウス本体Hの特定側壁Hsにおける開口Hsoの周縁部との間には、その間を着脱可能に結合してハウス本体Hに対し可動支持台Sをこれの起立待機位置Sで固定する第1固定装置ST1が設けられる。第1固定装置ST1は、
図8,9で明らかなように、ハウス本体Hの特定側壁Hsにおける開口Hsoの周縁部に固定(例えばビス止め)された第1金具51と、可動支持台Sの対応する両側縁部(より具体的には前後の縦フレーム21の対応側縁部)に固定(例えばビス止め)された第2金具52と、第1,第2金具51,51間を着脱可能に結合する係止部材53とを備える。
【0048】
そして、第1,第2金具51,51は、互いに接近する側に張り出す係合孔付きの係止凸部51a,52aを一体に有しており、その両係止凸部51a,52aの係合孔に、係止部材53両端に連設した下向きの鉤部が抜差可能に係止されることで、第1,第2金具51,51間が係止部材53を介して結合され、かくして起立格納位置S2にある可動支持台Sがハウス本体Hに固定される。
【0049】
また起立待機位置S2にある可動支持台Sと、格納位置K2にある可動小屋Kとの間には、その間を着脱可能に結合して起立待機位置Sの可動支持台Sに対し(従ってその可動支持台Sを第1固定装置ST1で固定するハウス本体H)に対し可動小屋Kを格納位置K2に固定する第2固定装置ST2が設けられる。第2固定装置ST2は、
図3,18で明らかなように、可動小屋Kの床部Kfの外側面と、可動支持台Sの各縦フレーム21の対応する側面とに跨がって当接する平面視L字状の連結板61と、連結板61に設けた複数の貫通孔に対応する位置で可動小屋Kの床部Kfと可動支持台Sの各縦フレーム21とにそれぞれ埋設・固定した複数のナット63と、連結板61を貫通して複数のナット63に螺挿される手動操作可能な複数の蝶ねじ62とを備える。
【0050】
そして、起立待機位置S2にある可動支持台Sの各縦フレーム21の側面と、格納位置K2にある可動小屋Kの床部Kfの外側面とに跨がって連結板61を当てがい、且つその連結板61を、複数の蝶ねじ62・ナット63を介して床部Kf及び各縦フレーム21にそれぞれ結合することにより、起立格納位置S2にある可動と格納位置K2にある可動小屋Kとの間を結合可能である。
【0051】
かくして、実施形態では、第1固定装置ST1を以てハウス本体Hに対し可動支持台Sをこれの起立待機位置S2で固定し、また第2固定装置ST2を以て起立待機位置S2の可動支持台Sに対し可動小屋Kを格納位置K2に固定するだけで、格納位置K2にある可動小屋Kを、可動支持台Sを介してハウス本体Hに固定可能となるため、可動小屋Kの格納位置K2固定のために可動小屋Kをハウス本体Hに直接固定する必要はなくなり、それだけ可動小屋Kの固定構造が簡素化される。
【0052】
さらに水平張出位置S1にある可動支持台Sと、使用位置K1にある可動小屋Kとの間には、その間を着脱可能に結合して水平張出位置S1にある可動支持台Sに対し可動小屋Kを使用位置K1に固定する第3固定装置ST3が設けられる。第3固定装置ST3は、
図7,11,14で明らかなように、可動小屋Kの床部Kfの外側端Kfeと、可動支持台Sの各縦フレーム21の外端面とに跨がって当接する帯板状のストッパ板71と、ストッパ板71に設けた複数の貫通孔に対応する位置で可動小屋Kの床部Kfの外側端Kfeと各縦フレーム21の外端部とにそれぞれ埋設・固定した複数のナット73と、ストッパ板71を貫通して複数のナット73に螺挿される手動操作可能な複数の蝶ねじ72とを備えている。
【0053】
そして、水平張出位置S1にある可動支持台Sの各縦フレーム21の外端面と、使用位置K1にある可動小屋Kの床部Kfの外側端Kfeとに跨がってストッパ板71を当てがい、且つそのストッパ板71を、複数の蝶ねじ72・ナット73を介して床部Kf及び各縦フレーム21にそれぞれ結合することにより、水平張出位置S1にある可動支持台Sと使用位置K1の可動小屋Kとの間を結合可能である。
【0054】
尚、ハウス本体Hの側壁Hsの開口Hsoの周縁部と、開口Hsoを出入りする可動小屋Kとの間にはクリアランスが存在するが、このクリアランスは、図示しない従来周知のシール装置によりシールされるため、このクリアランスから外部の風雨がハウス本体H内に侵入する虞れはない。
【0055】
次に第1実施形態の作用を説明する。
【0056】
ミニハウスMHのハウス本体H及び可動小屋Kは、例えば製作工場において各々の躯体が組立てられ、且つこれらの躯体に必要な設備を据え付けられて、ハウス本体H及び可動小屋Kが個別に製造される。その製造後、ハウス本体H内に可動小屋Kを格納位置K2まで押し込むようにして収納した上で、ハウス本体Hに対し可動小屋Kを格納位置K2に固定する。この場合、第1固定装置ST1を以てハウス本体Hに対し可動支持台Sをこれの起立待機位置S2で固定し、また第2固定装置ST2を以て起立待機位置S2の可動支持台Sに対し可動小屋Kを格納位置K2に固定することで、トレーラハウスTHの走行中に可動小屋Kが格納位置K2より妄りに動くことはない。
【0057】
かくして、ハウス本体H及び可動小屋Kの組立体よりなるミニハウスMHの製造、組立作業が終わる。その後、ミニハウスMHをトレーラT上に搭載してトレーラハウスTHの組立てが完了し、これを自動車Vで任意の設置場所まで牽引走行する。その牽引走行により設置場所に到着すると、トレーラハウスTHは、自動車Vとの連結が切り離されると共に、複数のジャッキJを介して設置場所に安定よく固定される。その状態で、トレーラT上のミニハウスHは、簡易の宿泊施設、仮設住宅等として有効活用可能となる。
【0058】
而して、トレーラハウスTHの設営に際しては、第1,第2固定装置ST1,ST2の固定作動を解除した上で、先ず、可動支持台Sを起立待機位置S2から水平張出位置S1まで伏倒回動させると共に、水平張出位置S1の可動支持台Sと地面Eとの間で支持脚Lを介装することで、水平張出位置S1にある可動支持台Sを支持脚Lで下支えする。このときに地面Eがいびつな場合は、ジャッキLjのレベル調整により支持脚Lの上部を可動支持台Sに適合させる。
【0059】
また水平張出位置S1にある可動支持台Sの内側端Seと床体Hfの外側端Hfeとの間には、左右方向の隙間82が存在するが、その隙間82を上方より覆う橋渡し部材Bを、可動支持台Sと床体Hfとに渡って橋渡しするようにセットすればよい。この場合、そのセット状態の橋渡し部材B上を、可動小屋Kの移動時に可動小屋K底面の車輪Wがスムーズに転動可能となる。
【0060】
次いで、可動小屋Kを、ハウス本体Hの床体Hf上面から橋渡し部材Bを経て可動支持台Sの縦フレーム3上面(案内溝Sg)まで車輪Wを介して転動させる。そして、可動小屋Kが使用位置K1に達したら、第3固定装置ST3を固定作動させて、水平張出位置Sの可動支持台Sに対し可動小屋Kを使用位置K1に固定する。この場合、可動支持台Sが水平張出位置S1に達した時点で予め、第3固定装置ST3のストッパ板71の下半部を可動支持台Sの縦フレーム21の外端面に蝶ねじ72で結合しておけば、ストッパ板71の上半部を、可動小屋Kを使用位置K1で移動停止させるストッパ手段に兼用可能となる。そして、その可動小屋Kの移動停止後に床部Kfの外側端Kfeをストッパ板71に蝶ねじ72で結合することにより、可動支持台Sに対し可動小屋Kを使用位置K1に固定することができる。
【0061】
以上説明した第1実施形態によれば、ハウス本体Hの床体Hf側部には、使用位置K1の可動小屋Kを下支えするための可動支持台Sが回動可能に軸支Spされており、その軸支部Sp回りに可動支持台Sは、ハウス本体Hの床体Hfより外側方(右側方)に水平に張出し且つ上面が床体Hfの上面と略面一となる水平張出位置S1と、ハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hse(右側端)よりも内方側で床体Hf上に略鉛直に起立する起立待機位置S2との間で起伏回動可能である。これにより、床体Hf上における可動支持台Sの待機スペース81を、可動小屋Kの移動方向(即ち左右方向)で格納位置K2の可動小屋Kの外側端Kseとハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hseとの間の扁平空間に無理なく確保可能となり、床体Hfの内部や下部には可動支持台Sの待機スペース81を特別に確保する必要はなくなるため、床体Hfの構造簡素化と小型化に寄与することができる。しかも可動支持台Sは、これの水平張出位置S1と起立格納位置S2との間で単に起伏回動させるだけで済むため、その可動支持台Sの移動機構が単なるピボット構造(軸支部)で容易に構成でき、従って、その移動機構の構造簡素化やコスト節減にも寄与することができる。
【0062】
その上、水平張出位置S1にあるときの可動支持台Sは、これと地面Eとの間に介装され且つ長さ調節可能な支持脚Lを介して接地可能であるため、可動支持台Sを接地すべき地面Eの高さが一様でない場合でも、水平張出位置S1の可動支持台S(従ってそれが下支えする可動小屋K)を、長さ調節可能な支持脚Lを介して地面Eに安定よく強固に支持させることができる。
【0063】
また支持脚Lは、上下方向に直線状に延びる少なくとも1個の支持バーLbと、1個の支持バーLbに着脱可能に接続されて支持高さ調節可能なジャッキLjとを備えるので、支持脚Lの構造簡素化と小型化が図られるばかりか、支持バーLbとジャッキLjを分離可能であり、更に可動支持台Sからも分離可能である。従って、支持脚Lは、これの非使用時(例えばミニハウスMHの輸送時等)にはハウス本体H内、その他の適所に容易に保管でき、取り扱いが頗る簡便化される。
【0064】
また可動支持台Sには、これが水平張出位置S1にあるときの上面に、車輪Wの転動を案内すべく移動方向に沿って直線状に延びる案内溝Sgが設けられ、この案内溝Sgの底面は、可動支持台Sが水平張出位置S1にある状態で、床体Hf上面と略同一レベルである。これにより、可動小屋Kを格納位置K2から使用位K1置まで移動させるべく可動小屋K下面の車輪Wを可動支持台S上で転動させる際に、案内溝Sgのガイド作用により車輪Wを的確に案内誘導できて、車輪Wの可動支持台S上からの脱線、離脱を効果的に防止することができる。
【0065】
ところで可動支持台Sは、これの水平張出位置S1で床体Hf上面と略面一となり且つ起立待機位置S2でハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hse(右側端)より外側方に食み出さずに床体Hf上に起立するように、可動支持台Sの軸支部Spは床体Hfの外側端Hfe(右側端)又はその近傍で床体Hfの上面よりも低い所定位置に配設され、水平張出位置S1にあるときの可動支持台Sの内側端Seと床体Hfの外側端Hfeとの間には、移動方向の隙間82が形成されている。そこで、この隙間82の存在を踏まえて(即ち隙間82が在っても可動支持台Bと床体Hf上面との間で可動小屋Kの車輪Wが支障なく移動できるように)、前記した橋渡し部材Bが使用される。
【0066】
即ち、ミニハウスMHの組立時において、可動支持台Sが水平張出位置S1にある状態で隙間82の少なくとも一部を上方より覆う渡し部材Bを、可動支持台Sと床体Hfとに渡って橋渡しするようにセットし、そのセット状態の橋渡し部材B上を、可動小屋Kの移動時に可動小屋K底面の車輪Wが転動可能としている。これにより、水平張出位置S1の可動支持台Sの内側端Seとハウス本体Hの床体Hfの外側端との間に上記隙間82が形成されても、その隙間82上の橋渡し部材Bを経由して車輪Wを床体Hf上面から可動支持台S上にスムーズ且つ的確に向けて転動させることができ、従って、その隙間82が可動小屋Kの移動の障害となる虞れはない。
【0067】
また特に橋渡し部材Bは、ハウス本体Hの床体Hfの上面に一端部を、また可動支持台S(縦フレーム21)上の案内溝Sgの底面に他端部をそれぞれ載置可能であり且つ上面に車輪Wが転動可能な帯板状の橋渡し部材本体Bmと、その橋渡し部材本体Bmに連設されて床体Hfの外側端Hfe及び可動支持台Sの内側端Seに係合して橋渡し部材本体Bmの移動方向に沿うずれ動きを規制するストッパ突起Bsとを有している。これにより、案内溝Sgとストッパ突起Bsを利用した簡単な構造により、橋渡し部材Bが前記隙間82上のセット位置に容易にセット可能となり、しかもそのセット位置から橋渡し部材Bが妄りにずれ動く虞れはなくなるため、橋渡し部材Bをセット位置に簡単且つ的確に保持できる。
【0068】
次に
図19,
図20を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態では、ハウス本体Hの床体Hfの上面に、可動小屋Kを格納位置K2から使用位置K1に向けて移動させる際に車輪Wを案内溝Sgに対応する位置に向けて誘導可能なガイド部材90が突設される。ガイド部材90は、可動小屋Kの移動方向に対し平面視で傾斜した配置の帯板で構成される。従って、可動支持台Sがハウス本体Hの特定側壁Hsの外側端Hseよりも内方側で床体Hf上より略鉛直に起立する起立待機位置S2にあるときは、床体Hfの上面にガイド部材90を挟んで可動支持台Sの内側端Se(下端面)が当接、支持される支持形態となる。
【0069】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、第2実施形態の各構成要素には、第1実施形態の対応する構成要素と同じ参照符号を付すにとどめ、それ以上の説明は省略する。
【0070】
而して、第2実施形態においても、第1実施形態の作用効果と基本的に同じ作用効果を達成可能であるが、第2実施形態では、さらにに次のような作用効果も併せて達成可能である。
【0071】
即ち、第2実施形態によれば、可動小屋Kを格納位置K2から使用位置K1まで移動させるべく可動小屋K下面の車輪Wを床体Hf上面から水平張出位置S1の可動支持台S上に向けて転動させる際に、上記ガイド部材90の案内作用により車輪Wを可動支持台S上の案内溝Sgに的確に案内できる。これにより、車輪Wを案内溝Sg内にスムーズに誘導できるため、車輪Wの可動支持台S上からの離脱をより効果的に防止可能となる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0073】
例えば、前記実施形態では、ハウス本体Hの左右一側壁Hs(図示例は右側壁)に設けた開口Hsoを通して可動小屋Kが格納位置K2と使用位置K1との間を移動できるようにしたものを示したが、ハウス本体Hの後側壁Hsに設けた開口Hsoを通して可動小屋Kが格納位置K2と使用位置K1との間を移動できるようにしてもよい。
【0074】
また前記実施形態では、水平張出位置S1にある可動支持台Sの内側端Seと床体Hfの外側端Hfeとの間に隙間82が存在するが、その隙間82を上方より覆う橋渡し部材Bは、実施形態の構造に限定されない。即ち、本発明の橋渡し部材は、少なくとも水平張出位置S1にある可動支持台Sと床体Hfとの間に配置可能であり、且つ上面を可動小屋Kの車輪Wが転動可能な構造のものであればよい。
【符号の説明】
【0075】
B・・・・・橋渡し部材
Bm・・・・橋渡し部材本体
Bs・・・・ストッパ突起
H・・・・・ミニハウスのハウス本体
Hf・・・・ハウス本体の床体
Hfe・・・床体の外側端
Hs・・・・ハウス本体の一側壁としての右側壁(特定側壁)
Hse・・・一側壁としての右側壁の外側端
Hso・・・開口
K・・・・・可動小屋
Kf・・・・可動小屋の床部
Kse・・・可動小屋の外側端
K1,K2・・使用位置,格納位置
L・・・・・支持脚
Lb・・・・支持バー
Lj・・・・ジャッキ
MH・・・・トレーラハウス用ミニハウス
S・・・・・可動支持台
Se・・・・可動支持台の内側端
Sg・・・・案内溝
Sp・・・・軸支部
S1,S2・・水平張出位置,起立待機位置
T・・・・・トレーラ
V・・・・・自走車両としての自動車
W・・・・・車輪
81・・・・格納スペース
82・・・・隙間
90・・・・ガイド部材
【手続補正書】
【提出日】2022-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
【
図1】本発明に係るトレーラハウスの第1実施形態を示す全体平面図
【
図2】トレーラハウスの右側面図(
図1の2X矢視図)
【
図3】トレーラハウスの前面図(
図2の3X矢視図)
【
図4】トレーラハウスの右側壁から可動小屋が外側方に張出した使用位置にある状態を示す前面図(
図3対応図)
【
図5】可動小屋が前記使用位置にある状態での、ハウス本体内の間取りの一例を示す平断面図
【
図6】可動小屋が格納位置にあり且つ可動支持台が水平張出位置にある状態を、
図4と同方向から見た部分拡大図
【
図7】可動小屋が使用位置にある状態を示す部分拡大図(
図6対応図)
【
図8】可動支持台を起立待機位置にロックするロック機構の要部を示す平面図(
図3の8X-8X拡大断面図)
【
図18】可動小屋が格納位置にあるときの可動小屋ロック手段を示す要部平断面図(
図3の18X-18X線拡大平断面図)
【
図19】第2実施形態の要部、特に可動小屋が格納位置にあり且つ可動支持台が水平張出位置にある状態を示す拡大断面図(
図10対応図)
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
前記起立待機位置(S2)にある可動支持台(S)と前記一側壁(Hs)の前記開口(Hso)の周縁部との間を着脱可能に結合して、前記ハウス本体(H)に対し該可動支持台(S)をこれの前記起立待機位置(S2)で固定する第1固定装置(ST1)と、
前記起立待機位置(S2)にある可動支持台(S)と前記格納位置(K2)にある前記可動小屋(K)との間を着脱可能に結合して該起立待機位置(S2)の前記可動支持台(S)に対し前記可動小屋(K)を該格納位置(K2)に固定する第2固定装置(ST2)とを備えることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のトレーラハウス用ミニハウス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
更に実施形態では、起立待機位置S2にある可動支持台Sと、ハウス本体Hの特定側壁Hsにおける開口Hsoの周縁部との間には、その間を着脱可能に結合してハウス本体Hに対し可動支持台Sをこれの起立待機位置S
2で固定する第1固定装置ST1が設けられる。第1固定装置ST1は、
図8,9で明らかなように、ハウス本体Hの特定側壁Hsにおける開口Hsoの周縁部に固定(例えばビス止め)された第1金具51と、可動支持台Sの対応する両側縁部(より具体的には前後の縦フレーム21の対応側縁部)に固定(例えばビス止め)された第2金具52と、第1,第2金具51,51間を着脱可能に結合する係止部材53とを備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
また起立待機位置S2にある可動支持台Sと、格納位置K2にある可動小屋Kとの間には、その間を着脱可能に結合して起立待機位置S
2の可動支持台Sに対し(従ってその可動支持台Sを第1固定装置ST1で固定するハウス本体H)に対し可動小屋Kを格納位置K2に固定する第2固定装置ST2が設けられる。第2固定装置ST2は、
図3,18で明らかなように、可動小屋Kの床部Kfの外側面と、可動支持台Sの各縦フレーム21の対応する側面とに跨がって当接する平面視L字状の連結板61と、連結板61に設けた複数の貫通孔に対応する位置で可動小屋Kの床部Kfと可動支持台Sの各縦フレーム21とにそれぞれ埋設・固定した複数のナット63と、連結板61を貫通して複数のナット63に螺挿される手動操作可能な複数の蝶ねじ62とを備える。