(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118408
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】サスペンションアッセンブリおよびディスク装置
(51)【国際特許分類】
G11B 5/60 20060101AFI20230818BHJP
G11B 21/21 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G11B5/60 P
G11B21/21 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021348
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 健一郎
【テーマコード(参考)】
5D059
【Fターム(参考)】
5D059AA01
5D059BA01
5D059DA26
5D059DA36
(57)【要約】
【課題】接続端子の強度を維持しつつ配線の狭ピッチ化および接続端子の接合性向上を図ることが可能なサスペンションアッセンブリおよびこれを備えるディスク装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、サスペンションアッセンブリは、支持板と、支持板に支持されたヘッドと、支持板に設置された配線部材と、を備えている。配線部材は、ヘッドに電気的に接続された先端部と、支持板の外側に延出した接続端部と、先端部と接続端部との間を延びる複数本の配線と、を有している。接続端部は、開口が設けられたカバー層と、開口に対向して、開口の長さ方向に間隔を置いて並んで配置され、それぞれ配線に接続された13以上の接続端子と、カバー層および接続端子に重ねて設けられ、それぞれ接続端子の一部に対向する複数の第1開口とそれぞれ隣り合う接続端子の間の空間部に対向する複数の第2開口とを有するベース層と、を備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板と、
前記支持板に支持されたヘッドと、
前記支持板に設置された配線部材と、を備え、
前記配線部材は、前記ヘッドに電気的に接続された先端部と、前記支持板の外側に延出した接続端部と、前記先端部と前記接続端部
との間を延びる複数本の配線と、を有し、
前記接続端部は、所定長さを有する開口が設けられたカバー層と、前記開口に対向して、前記開口の長さ方向に間隔を置いて並んで配置され、それぞれ前記配線に接続された13以上の接続端子と、前記カバー層および前記接続端子に重ねて設けられ、それぞれ接続端子の一部に対向する複数の第1開口とそれぞれ隣り合う前記接続端子の間の空間部に対向する複数の第2開口とを有するベース層と、を備えている、
サスペンションアッセンブリ。
【請求項2】
前記接続端子は、前記カバー層の前記開口および前記第1開口に開口した透孔を有している請求項1に記載のサスペンションアッセンブリ。
【請求項3】
前記接続端子は、前記開口の長さ方向に間隔を置いて対向する一対の側縁を有し、
前記透孔は、前記一対の側縁の間に位置する周縁を有し、
前記第1開口は、前記透孔よりも大きい開口であり、前記接続端子の側縁と前記透孔の周縁との間にそれぞれ位置する一対の側縁を有している請求項2に記載のサスペンションアッセンブリ。
【請求項4】
前記第2開口は、前記接続端子の側縁および前記カバー層の前記開口の側縁に間隔を置いて隣接する周縁を有している請求項3に記載のサスペンションアッセンブリ。
【請求項5】
前記第1開口は、それぞれ前記接続端子の根元部分に対向した両端部を有し、
前記両端部は、それぞれ前記接続端子の根元部に向かって幅が狭くなっている請求項3に記載のサスペンションアッセンブリ。
【請求項6】
前記接続端子の側縁および前記透孔の周縁は、それぞれ第2開口OP2の側に突出する凸部を有している請求項3に記載のサスペンションアッセンブリ。
【請求項7】
前記透孔の周縁の前記凸部は、前記第1開口の側縁を超えて前記第2開口の側に突出している、請求項6に記載のサスペンションアッセンブリ。
【請求項8】
前記13以上の接続端子は、ライトヘッド用の複数の接続端子と、リードヘッド用の複数の接続端子と、アシスト素子用の複数の接続端子と、ヒータ用の複数の接続端子と、HDIセンサ用の接続端子と、マイクロアクチュエータ用の接続端子と、を含み、
前記アシスト素子用の接続端子とリードヘッド用の接続端子との間に、前記HDIセンサ用の接続端子あるいは前記ヒータ用の接続端子が配置され、
前記アシスト素子用の接続端子とライトヘッド用の接続端子との間に、前記HDIセンサ用の接続端子あるいは前記ヒータ用の接続端子が配置されている請求項1に記載のサスペンションアッセンブリ。
【請求項9】
記録層を有するディスク状の記録媒体と、
回転自在なアクチュエータブロックと、前記アクチュエータブロックから延出する複数本のアームと、複数並んで設けられた接続パッドを有し、前記アクチュエータブロックの設置面に重ねて設けられた回路基板と、それぞれ前記接続パッドに設けられたハンダと、それぞれ前記アームに固定された請求項1に記載のサスペンションアッセンブリと、を具備するヘッドアクチュエータと、を備え、
前記配線部材の接続端部は、前記接続パッドおよび前記ハンダに重ねて前記回路基板の上に配置され、前記複数の接続端子は、前記ハンダにより前記接続パッドに接合されている、
ディスク装置。
【請求項10】
前記回路基板の各接続パッドは、前記接続端部の前記第2開口に対向する延出部を有し、
前記回路基板は、前記延出部に重ねて設けられ前記第2開口に対向した樹脂層を有している、請求項9に記載のディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、ディスク装置に用いるサスペンションアッセンブリおよびこれを備えるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置として、例えば、磁気ディスク装置は、一般に、ベース内に配設された磁気ディスク、磁気ディスクを支持および回転駆動するスピンドルモータ、およびヘッドアクチュエータを備えている。ヘッドアクチュエータは、それぞれ磁気ヘッドを支持した複数本のサスペンションアッセンブリを有している。各サスペンションアッセンブリは、ヘッドアクチュエータのアームの先端部に取り付けられたサスペンションと、サスペンションに設置された配線部材(フレキシャ、配線トレース)と、を備えている。配線部材のジンバル部に磁気ヘッドが支持され、ヘッドサスペンションアッセンブリが構成される。配線部材の接続端部には、複数の接続端子が設けられている。これらの接続端子は、配線部材の配線を介して磁気ヘッドに電気的に接続されている。そして、接続端部の接続端子は、アクチュエータブロックに設けられたフレキシブルプリント配線基板(FPC)の接続パッドにハンダ接合されている。
【0003】
近年の磁気ディスク装置において、更なる高密度化及び信頼性向上のために、ヘッドあるいはサスペンションアッセンブリにHDI(ヘッド・ディスク・インターフェース)センサ、多段アクチュエータ、DFH(ダイナミック・フライ・ハイト)制御機能、高周波アシスト記録もしくは熱アシスト記録等の機能を追加する検討が成されている。これに伴い、配線部材の配線数および接続端部に設ける接続端子数を更に増加する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,724,478号明細書
【特許文献2】米国特許第8,934,201号明細書
【特許文献3】米国特許第8,446,696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多数本の配線を配置する領域を確保するためには、配線幅を小さくし狭ピッチで配線を引き回す必要がある。また、狭ピッチ化するためには、配線の厚さを薄くする必要があるが、配線を薄くすると、配線と同一層で形成される接続端子(フライングリード)も薄くなり、その強度が低下する問題が生じる。
そこで、本発明の実施形態の課題は、接続端子の強度を維持しつつ配線の狭ピッチ化および接続端子の接合性向上を図ることが可能なサスペンションアッセンブリおよびこれを備えるディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、サスペンションアッセンブリは、支持板と、前記支持板に支持されたヘッドと、前記支持板に設置された配線部材と、を備えている。前記配線部材は、前記ヘッドに電気的に接続された先端部と、前記支持板の外側に延出した接続端部と、前記先端部と前記接続端部との間を延びる複数本の配線と、を有している。前記接続端部は、所定長さを有する開口が設けられたカバー層と、前記開口に対向して、前記長さ方向に間隔を置いて並んで配置され、それぞれ前記配線に接続された13以上の接続端子と、前記カバー層および前記接続端子に重ねて設けられ、それぞれ接続端子の一部に対向する複数の第1開口とそれぞれ前記隣り合う接続端子の間の空間部に対向する複数の第2開口とを有するベース層と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)の分解斜視図。
【
図2】
図2は、前記HDDのアクチュエータアッセンブリおよび基板ユニット(FPCユニット)を示す斜視図。
【
図3】
図3は、前記アクチュエータアッセンブリのサスペンションアッセンブリを示す斜視図。
【
図4】
図4は、前記アクチュエータアッセンブリのアクチュエータブロック、前記FPCユニットの接合部(FPC接合部)、およびフレキシャのテール接続端部を示す側面図。
【
図5】
図5は、前記FPCユニットの接合部の側面図。
【
図7】
図7は、前記フレキシャのテール接続端部の平面図。
【
図8】
図8は、前記テール接続端部の一部を拡大して示す平面図。
【
図9】
図9は、
図8の線A-Aに沿った前記テール接続端部の断面図。
【
図11】
図11の(a)は、前記テール接続端部を前記接合部に重ねて配置した状態を示す断面図、
図11の(b)は、ハンダで接合された前記テール接続端部および前記接合部の断面図。
【
図12】
図12の(a)は、第2実施形態に係るHDDの接合部の接続パッド、ハンダ、絶縁層を模式的に示す平面図、
図12の(b)は、ハンダで接合されたテール接続端部および接合部の断面図。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係るHDDにおけるテール接続端部の一部を拡大して示す平面図。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係るHDDに用いるフレキシャの接続端部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照しながら、実施形態に係るディスク装置ついて説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1実施形態)
ディスク装置として、第1実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)について詳細に説明する。
図1は、トップカバーを外して示す第1実施形態に係るHDDの分解斜視図である。
HDDは、偏平なほぼ矩形状の筐体10を備えている。筐体10は、上面の開口した矩形箱状のベース12と、トップカバー14と、を有している。ベース12は、トップカバー14と隙間を置いて対向する矩形状の底壁12aと、底壁12aの周縁に沿って立設された複数の側壁12bとを有し、例えば、アルミニウムにより一体に成形されている。トップカバー14は、例えば、ステンレスにより矩形板状に形成されている。トップカバー14は、複数のねじ13によりベース12の側壁12b上にねじ止めされ、ベース12の上部開口を閉塞する。
【0010】
筐体10内には、記録媒体としての複数の磁気ディスク18、および磁気ディスク18を支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ19が設けられている。スピンドルモータ19は、底壁12a上に配設されている。各磁気ディスク18は、例えば、直径96mm(3.5インチ)の円板状に形成され、非磁性体、例えば、ガラスあるいはアルミニウムからなる基板と、基板の上面および/または下面に形成された磁気記録層とを有している。磁気ディスク18は、スピンドルモータ19の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね20によりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク18は、ベース12の底壁12aと平行に位置した状態に支持されている。複数枚の磁気ディスク18は、スピンドルモータ19により所定の回転数で回転される。なお、本実施形態では、例えば5枚の磁気ディスク18が筐体10内に収容されているが、磁気ディスク18の枚数はこれに限られない。
【0011】
筐体10内に、磁気ディスク18に対して情報の記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド17、これらの磁気ヘッド17を磁気ディスク18に対して移動自在に支持したアクチュエータアッセンブリ(キャリッジアッセンブリ)22が設けられている。また、筐体10内に、アクチュエータアッセンブリ22を回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)24、磁気ヘッド17が磁気ディスク18の最外周に移動した際、磁気ヘッド17を磁気ディスク18から離間したアンロード位置に保持するランプロード機構25、および変換コネクタ等の電子部品が実装された基板ユニット(FPCユニット)21が設けられている。アクチュエータアッセンブリ22およびVCM24は、ヘッドアクチュエータを構成している。
アクチュエータアッセンブリ22は、軸受ユニット28を介して支持シャフト26の回りで回動自在に支持されたアクチュエータブロック29と、アクチュエータブロック29から延出する複数のアーム32と、各アーム32から延出したサスペンションアッセンブリ30と、を有している。各サスペンションアッセンブリ30の先端部に磁気ヘッド17が支持されている。支持シャフト26は、底壁12aに立設されている。磁気ヘッド17は、リードヘッド、ライトヘッド、アシスト素子、ヒータ等を含んでいる。
【0012】
ベース12の底壁12aの外面には、図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。プリント回路基板は制御部を構成し、この制御部は、スピンドルモータ19の動作を制御するとともに、基板ユニット21を介してVCM24および磁気ヘッド17の動作を制御する。
【0013】
図2は、アクチュエータアッセンブリおよびFPCユニットを示す斜視図、
図3は、サスペンションアッセンブリを示す斜視図である。
図2に示すように、アクチュエータアッセンブリ22は、透孔31を有するアクチュエータブロック29と、透孔31内に設けられた軸受ユニット(ユニット軸受)28と、アクチュエータブロック29から延出する複数、例えば、6本のアーム32と、各アーム32に取付けられたサスペンションアッセンブリ30と、サスペンションアッセンブリ30に支持された磁気ヘッド17と、を備えている。アクチュエータブロック29は、軸受ユニット28により、底壁12aに立設された支持シャフト(枢軸)26の周りで、回動自在に支持されている。
【0014】
本実施形態において、アクチュエータブロック29および6本のアーム32はアルミニウム等により一体に成形され、いわゆるEブロックを構成している。アーム32は、例えば、細長い平板状に形成され、支持シャフト26と直交する方向に、アクチュエータブロック29から延出している。6本のアーム32は、互いに隙間を置いて、平行に設けられている。
アクチュエータアッセンブリ22は、アクチュエータブロック29からアーム32と反対の方向へ延出する支持フレーム36を有し、この支持フレーム36により、ボイスコイル34が支持されている。
図1に示すように、ボイスコイル34は、ベース12上にその1つが固定された一対のヨーク38間に位置し、これらのヨーク38、および何れかのヨークに固定された磁石とともにVCM24を構成している。
【0015】
アクチュエータアッセンブリ22は、それぞれ磁気ヘッド17を支持した10本のサスペンションアッセンブリ30を備え、これらのサスペンションアッセンブリ30は各アーム32の先端部32aにそれぞれ取付けられている。複数のサスペンションアッセンブリ30は、磁気ヘッド17を上向きに支持するアップヘッドサスペンションアッセンブリと、磁気ヘッド17を下向きに支持するダウンヘッドサスペンションアッセンブリと、を含んでいる。これらのアップヘッドサスペンションアッセンブリおよびダウンヘッドサスペンションアッセンブリは、同一構造のサスペンションアッセンブリ30を上下向きを変えて配置することにより構成される。
本実施形態では、
図2において、最上部のアーム32にダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30が取付けられ、最下部のアーム32にアップヘッドサスペンションアッセンブリ30が取り付けられている。中間の4本のアーム32の各々には、アップヘッドサスペンションアッセンブリ30およびダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30が取り付けられている。
【0016】
図3に示すように、サスペンションアッセンブリ30は、ほぼ矩形状のベースプレート44と、細長い板ばね状のロードビーム46と、細長い帯状のフレキシャ(配線部材)48と、を有している。ロードビーム46は、その基端部がベースプレート44の端部に重ねて固定されている。ロードビーム46は、ベースプレート44から延出し、延出端に向かって先細に形成されている。ベースプレート44およびロードビーム46は、例えば、ステンレスにより形成され、支持板(サスペンション)を構成している。
【0017】
ベースプレート44は、その基端部に円形の開口およびこの開口の周囲に位置する円環状の突起部51を有している。アーム32の先端部32aに形成されたかしめ孔40にベースプレート44の突起部51を嵌合し、この突起部51をかしめることで、ベースプレート44はアーム32の先端部32aに締結されている(
図2参照)。ロードビーム46の基端部は、ベースプレート44の先端部に重ねて配置され、複数個所を溶接することによりベースプレート44に固定されている。
【0018】
サスペンションアッセンブリ30のフレキシャ48は、ベースとなるステンレス等の金属板(裏打ち層)と、この金属板上に設置されたフレキシブルプリント配線基板(FPC)と、を有し、細長い帯状の積層板をなしている。
フレキシャ48は、先端側部分48aと基端側部分48bとを有している。先端側部分48aは、ロードビーム46およびベースプレート44に取付けられている。基端側部分48bは、ベースプレート44の側縁から外側に延出し、更に、アーム32に沿ってアーム32の基端部(アクチュエータブロック29)まで延びている。
フレキシャ48は、ロードビーム46上に位置する先端部と、この先端部に形成された変位自在なジンバル部(弾性支持部)52と、有している。磁気ヘッド17はジンバル部52に搭載されている。また、マイクロアクチュエータを構成する一対の圧電素子53がジンバル部52に搭載され、磁気ヘッド17の両サイドに配置されている。フレキシャ48の先端部は、図示しない配線、接続パッドを介して、磁気ヘッド17のリードヘッド素子、ライトヘッド素子、ヒータ、アシスト素子、HDIセンサ、その他の部材、および圧電素子53に電気的に接続されている。
【0019】
フレキシャ48は、基端側部分48bの一端に設けられた接続端部(テール接続端部)48cを有している。接続端部48cは、細長い矩形状に形成されている。接続端部48cは、基端側部分48bに対してほぼ直角に折り曲げられ、アーム32に対してほぼ垂直に位置している。接続端部48cには複数、例えば、13個の接続端子(接続パッド)50が設けられている。これらの接続端子50は、フレキシャ48の配線にそれぞれ接続されている。すなわち、フレキシャ48の複数の配線は、フレキシャ48のほぼ全長に亘って延び、一端は磁気ヘッド17に電気的に接続され、他端は、接続端部48cの接続端子(接続パッド)50に接続されている。
【0020】
図2に示すように、10個のサスペンションアッセンブリ30は、6本のアーム32から延出し、互いにほぼ平行に向き合って、かつ、所定の間隔を置いて、並んで配置されている。これらのサスペンションアッセンブリ30は、5つのダウンヘッドサスペンションアッセンブリと5つのアップヘッドサスペンションアッセンブリとを構成している。各組のダウンヘッドサスペンションアッセンブリ30とアップヘッドサスペンションアッセンブリ30とは、所定の間隔を置いて互いに平行に位置し、磁気ヘッド17は、互いに向かい合って位置している。これらの磁気ヘッド17は、対応する磁気ディスク18の両面に対向して位置する。
【0021】
図2に示すように、FPCユニット21は、ほぼ矩形状のベース部60、ベース部60の一側縁から延出した細長い帯状の中継部62、中継部62の先端部に連続して設けられたほぼ矩形状の接合部(FPC接合部)64を一体に有している。これらベース部60、中継部62、接合部64は、フレキシブルプリント配線基板(FPC)により形成されている。
ベース部60の一方の表面(外面)上に、図示しない変換コネクタ、複数のコンデンサ63等の電子部品が実装され、図示しない配線に電気的に接続されている。ベース部60の他方の表面(内面)に、補強板として機能する2枚の金属板70、71がそれぞれ貼付されている。ベース部60は、筐体10の底壁12a上に配置され、2つのねじにより底壁12aにねじ止めされる。ベース部60上の変換コネクタは、筐体10の底面側に設けられる制御回路基板に接続される。
【0022】
中継部62は、ベース部60からアクチュエータアッセンブリ22に向かって延びている。中継部62の延出端に設けられた接合部64は、アクチュエータブロック29の側面(設置面)とほぼ等しい高さおよび幅の矩形状に形成されている。接合部64は、アルミニウム等で形成された裏打ち板を介して、アクチュエータブロック29の設置面に貼付され、更に、固定ねじにより設置面にねじ止め固定されている。
【0023】
10本のフレキシャ48の接続端部48cは、接合部64の複数の接続部に接合され、接合部64の配線に電気的に接続されている。複数の接続端部48cは、支持シャフト26と平行な方向に並んで配置されている。接合部64にヘッドIC(ヘッドアンプ)54が実装され、このヘッドIC54はFPCの配線を介して接続端部48cおよびベース部60に接続されている。更に、接合部64は、一対の接続パッド55を有し、これらの接続パッド55にボイスコイル34が接続されている。
アクチュエータアッセンブリ22の10個の磁気ヘッド17は、それぞれフレキシャ48の配線、接続端部48c、FPCユニット21の接合部64、中継部62を通して、ベース部60に電気的に接続される。更に、ベース部60は、変換コネクタを介して、筐体10の底面側のプリント回路基板に電気的に接続される。
【0024】
接合部64の配線構造について詳細に説明する。
図4は、アクチュエータブロックに取付けられた接合部64および複数の接続端部を示す側面図、
図5は、接続端部を接合する前の接合部64を示す側面図である。
図5に示すように、接合部64は、サスペンションアッセンブリ30の接続端部48cに対応する10個の接続パッド群72を有している。各接続パッド群72は、1列に並んで設けられた複数、例えば13個の接続パッド73を有し、各接続パッド73は、配線を介してヘッドIC54あるいはベース部60に電気的に接続されている。各接続パッド群72の13個の接続パッド73は、アーム32とほぼ平行な方向に互いに所定の間隔を置いて一列に並んでいる。また、10個の接続パッド群72は、支持シャフト26と平行な方向、すなわち、アクチュエータブロック29の高さ方向に、互いに所定の間隔を置いて、かつ、互いにほぼ平行に並んでいる。これらの接続パッド73は、後述するFPCのカバー絶縁層に形成された帯状の開口76内に位置し、この開口を介して外部に露出している。また、接続端部48cを接合する前の状態において、各接続パッド73の上にハンダ層78が形成されている。
【0025】
図4および
図5に示すように、FPCの接合部64は、裏打ち板を介してアクチュエータブロック29の設置面に固定される。フレキシャ48の接続端部48cは、接合部64の各接続パッド群72に重ねて配置されている。接続端部48cの接続端子50は、それぞれハンダ層78を介して対応する接続パッド73に当接する。後述するように、レーザー照射によって、ハンダ層78が溶融されることにより、各接続端子50が対応する接続パッド73に機械的かつ電気的にハンダ接合されている。
【0026】
次に、フレキシャ48の構成および接続端部48cの詳細な構成について説明する。
図6は、フレキシャ48の積層構造を示す断面図、
図7は、フレキシャの接続端部を拡大して示す平面図である。
図6に示すように、フレキシャ48は、ベース層となるステンレス等の金属板(裏打ち層)80と、この金属板上に形成されたフレキシブルプリント配線基板(FPC)82とを有している。本実施形態では、金属板80とFPC82との間に接着層(断熱層)84を設けている。また、FPC82は、ベース絶縁層86a、ベース絶縁層86aに積層された導電層86b、ベース絶縁層86aおよび導電層86bに重ねて積層されたカバー絶縁層(保護層)86cを有する積層体で構成されている。ベース絶縁層86aおよびカバー絶縁層86cは、例えば、ポリイミドで形成されている。導電層86bは、例えば、銅箔で形成され、この銅箔をパターニングすることにより、複数の配線、接続端子、および接続パッドを構成している。導電層(銅箔)86bの膜厚は、例えば、9μm以下に形成されている。なお、FPC82は、単層構造に限らず、複数の導電層および複数のカバー絶縁層を有する多層構造のFPCを用いることも可能である。また、接着層(断熱層)84は省略可能である。
【0027】
図7に示すように、フレキシャ48の接続端部48cは、長さL1、幅W1を有するほぼ細長い矩形状に形成されている。接続端部48cは、金属板80、金属板80上に設けられたベース絶縁層86a、ベース絶縁層86aの上に設けられ配線および接続端子を形成した導電層86b、導電層86bおよびベース絶縁層86aに重ねて形成されたカバー絶縁層86cを有している。
図7において、最下層がカバー絶縁層86c、最上層が金属板80を示している。カバー絶縁層86cの側がFPCユニットの接合部64に当接するものとしている。
カバー絶縁層86cは、その中央部に形成された矩形状の開口90を有している。開口90は、例えば、長手方向の長さL2が6mm以下、幅W2が0.5mmに形成されている。前述した13個の接続端子50は、それぞれ開口90に対向して配置され、開口90の長手方向に間隔を置いて配列されている。各接続端子50は、例えば、矩形状を有し、カバー絶縁層86cの幅方向の一端から他端に亘って延在している。接続端子50の長手方向の中央部分(フライングリード)が開口90に対向し、接続端子50の長手方向の両端部がカバー絶縁層86cに重なって位置している。
カバー絶縁層86cにおいて、開口90の幅方向の両側の領域にそれぞれ複数の配線Sが振り分けて設けられている。各接続端子50は、配線Sに接続されている。これにより、13個の接続端子50は、配線Sを介してフレキシャ48の先端部の接続パッドに電気的に接続されている。
ベース絶縁層86aは、カバー絶縁層68cの全面および13個の接続端子50、配線Sに重ねて設けられている。金属板80は、その中央部に形成されたほぼ矩形状の開口91を有している。開口91は、カバー絶縁層68cの開口90よりも充分に大きい長さおよび幅に形成されている。これにより、金属板80は、接続端部48cの外周縁部および基端部を覆っている。
【0028】
図8は、接続端部48cの一部を拡大して示す平面図である。
図7および
図8に示すように、カバー絶縁層68cの開口90に対向している各接続端子50の中央部分の幅(一対の側縁間の間隔)WTは、例えば、0.2mmに形成されている。接続端子50間の間隔WSは、0.15mm以上としている。開口90の長手方向の一端と接続端子50との間、および、開口90の長手方向の他端と接続端子50との間、にそれぞれ間隔WSあるいは隙間が設けられている。
接続端子50間の間隔は、均等に設定してもよいが、本実施形態では、接続端部48cの延出端側から3つの接続端子50置きに、広い間隔(例えば、0.3mm)を設定している。これらの広い間隔部は、接続端子50をハンダ接合する際の治具を設置するために設けている。
【0029】
各接続端子50の中央部に透孔50aが設けられている。透孔50aは、一例ではほぼ矩形状を有している。透孔50aの幅W3は、接続端子50の幅WTよりも小さく、長さは開口90の幅W2よりも小さい。透孔50aは、開口90に連通している。
開口90の面積に対する全接続端子50の面積(透孔部分を含む)の割合は40%以上、例えば、43%としている。
【0030】
本実施形態において、13個の接続端子50は、クロストークの影響を考慮して、以下の順番で配列されている。
図7に示すように、一例では、接続端部48cの延出端側から、リードヘッド用の4つの接続端子50(R)、HDIセンサ用の2つの接続端子50(S)、アシスト素子(高周波アシスト素子あるいは熱アシスト素子)用の2つの接続端子50(A)、ヒータ用の2つの接続端子50(H)、ライトヘッド用の2つの接続端子50(W)、および最後に、ジンバルマイクロアクチュエータ(GMA)(圧電素子53)用の1つの接続端子50(G)の順に並んで配置されている。すなわち、配列方向の中央部(基端側から6番目、7番目)にアシスト素子用の接続端子50(A)が配置され、ライトヘッド用の接続端子50(W)は接続端部48cの基端側に配置され、アシスト素子用の接続端子50(A)とライトヘッド用の接続端子50(W)との間にヒータ用の接続端子50(H)が設けられている。リードヘッド用の接続端子50(R)は接続端部48cの先端側に配置され、アシスト素子用の接続端子50(A)とリードヘッド用の接続端子50(R)との間にHDIセンサ用の接続端子50(S)が設けられている。
上記の配列によれば、ライトヘッド用の接続端子50(W)とアシスト素子用の接続端子50(A)との間の間隔、および、リードヘッド用の接続端子50(R)とアシスト素子用の接続端子50(A)との間の間隔を広くとることができ、駆動時の端子間のクロストークを防止することができる。また、ライトヘッド用の接続端子50(W)を、接続端部48cの基端部に設けることにより、接続端子50(W)と磁気ヘッド17との間の配線の長さを最も短くでき、配線のインピーダンスを小さくすることが可能となる。なお、接続端子50の配列は上記配列に限定されることなく、クロストークを避けるためには、ライトヘッド用の接続端子およびリードヘッド用の接続端子がアシスト素子用の接続端子に隣接していない配列とすればよい。
【0031】
図7および
図8に示すように、接続端子50および配線Sを覆うベース絶縁層86aは、接続端部48cの長手方向に並んだ複数の第1開口OP1と複数の第2開口OP2とを有している。複数の第1開口OP1は、それぞれ接続端子50と対向する位置に設けられている。複数の第2開口OP2は、それぞれ接続端子50間の空間部と対向する位置に設けられている。
図8に示すように、第1開口OP1は、接続端子50の透孔50aと対向している。第1開口OP1の幅W4は、透孔50aの幅W3よりも大きく、接続端子50の幅WTよりも小さい。開口90の長手方向において、第1開口OP1の側縁は、透孔50aの側縁(周縁)と接続端子50の側縁との間に位置している。開口90の幅方向において、第1開口OP1の長さは、透孔50aの長さよりも長く、接続端子50の長さ(開口90の幅W2)よりも短い。第1開口OP1のうち、透孔50aの長手方向の外側に位置する領域(両端部)は、それぞれ接続端子50の根元側に向かって幅が徐々に狭くなっている。
【0032】
複数の第2開口OP2は、隣合う2つの接続端子50の間の空間部、および、開口90の長手方向の一端および他端と接続端子50との間の空間部、にそれぞれ対向している。各第2開口OP2は、空間部の形状に対応したほぼ矩形状を有している。第2開口OP2の幅W5は、空間部の幅WSよりも小さく、第2開口OP2の長さは、開口90の幅W2よりも小さい。これにより、第2開口OP2の周縁は、接続端子50の側縁および開口90の側縁から僅かに離間している。開口90の長手方向において、各接続端子50の側縁は、第1開口OP1の側縁と第2開口OP2の側縁との間に位置している。
【0033】
図9は、
図8の線A-Aに沿った接続端部の断面図、
図10は、
図8の線B-Bに沿った接続端部の断面図である。
図示のように、各接続端子50の両側縁部はベース絶縁層86aで覆われている。また、各接続端子50の長手方向の両端部、すなわち、両側の根元部分は、ベース絶縁層86aで覆われている。接続端子50の透孔50aは、第1開口OP1および開口90に開口している。ベース絶縁層86aの第2開口OP2は、カバー絶縁層86cの開口90に開口している。
上記構成によれば、各接続端子50の周縁部はベース絶縁層86aで覆われベース絶縁層86で支持されている。そのため、接続端子50を形成している導電層(銅箔)の膜厚を薄くした場合でも、接続端子50の剛性を維持することが可能となる。
【0034】
図11(a)は、フレキシャの接続端部48cを接合部64の接続パッド群72に重ねて配置した状態を示す断面図、
図11(b)は、ハンダで接合された接続端部および接合部の断面図である。
上記のように構成されたフレキシャ48の接続端部48cをFPCユニットの接合部64にハンダ接合する場合、
図11(a)に示すように、接続端部48cを接合部64の接続パッド群72に重ねて配置する。接続端部48cは、カバー絶縁層68cが接合部64と対向する向きで配置される。13個の接続端子50は、開口90を介して接合部64の対応する接続パッド73およびハンダ層78に重ねて配置される。
【0035】
この状態で、接続端部48cの側から接続端部48cおよび接合部64にレーザー光が照射される。レーザー光は、接続端部48cの第1開口OP1を通して接続端子50およびハンダ層78に照射される。接続端子50およびハンダ層78が直接的に吸熱することでハンダ層78が溶融し、接続端子50と接続パッド73とがハンダ接合される。同時に、レーザー光は、接続端部48cの第2開口OP2および開口90を通して接合部(FPC)64に照射され、接合部64が加熱される。接合部64の熱は、接続パッド73を介してハンダ層78に伝わり、ハンダ層78の溶融に寄与する。
図11(b)に示すように、溶融したハンダ層78は、接続端子50のカバー絶縁層68cの側の表面に塗れ広がるとともに、接続端子50の透孔50aを通して第1開口OP1内に流れ、接続端子50の反対側の表面にも接合される。これにより、接続端子50と接続パッド73とがハンダ層78により電気的、かつ、機械的に接合され、これらの間の導電性が確保される。
【0036】
図1に示すように、上記のように構成されたアクチュエータアッセンブリ22およびFPCユニット21をベース12に組み込んだ状態において、アクチュエータアッセンブリ22は、支持シャフト26の回りで回動自在に支持されている。各磁気ディスク18は2本のサスペンションアッセンブリ30間に位置する。HDDの動作時、サスペンションアッセンブリ30に取付けられた磁気ヘッド17は、磁気ディスク18の上面および下面にそれぞれ対向する。FPCユニット21のベース部60は、ベース12の底壁12aに固定されている。
【0037】
以上のように構成されたHDDおよびサスペンションアッセンブリによれば、フレキシャ48の接続端部48cにおいて、各接続端子50の周縁部をベース絶縁層68aで覆って支持している。そのため、接続端子50を形成している導電層(銅箔)の膜厚を薄くした場合でも、接続端子50の強度、剛性を維持し、製造工程中における接続端子の折れ曲り等を防止することができる。そして、導電層の膜厚を薄くすることにより、導電層で形成される配線Sのピッチをより狭くすることが可能となる。配線ピッチの縮小により、接続端部48cの幅W1を縮小し、フレキシャ48および接続端部48cの小型化を図ることが可能となる。また、本実施形態では、接続端部48cにおいて、第1開口OP1の両端部の幅を狭くすることにより、接続端子の両根元部分は広い範囲に亘りベース絶縁層68aで覆われている。そのため、接続端子の強度、剛性を効率よく向上することができる。
【0038】
更に、接続端部48cにおいて、ベース絶縁層68aはそれぞれ接続端子間の空間部に対向した複数の第2開口OP2を有する構成としている。そのため、接続端部48cの接合時、第2開口OP2を通してFPCの接合部64にレーザー光を当てることが可能となり、接合部64の発熱によりハンダ層の溶融を促進することができる。これにより、ハンダの溶融不足、未接着を無くし、接続端子の接合の信頼性を向上することができる。
以上のことから、本実施形態によれば、接続端子の強度を維持しつつ配線の狭ピッチ化および接続端子の接合性向上を図ることが可能なサスペンションアッセンブリおよびこれを備えるディスク装置が得られる。
【0039】
次に、他の実施形態に係るHDDおよびサスペンションアッセンブリについて説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第2実施形態)
図12(a)は、第2実施形態に係るHDDにおけるFPCの接合部64の一部を示す平面図、
図12(b)は、フレキシャの接続端部48cを接合部64の接続パッド群72に重ねて配置した状態を示す断面図である。
図示のように、第2実施形態によれば、接合部64の各接続パッド73は、接続端部48cの第2開口OP2と対向する位置まで延出した延出部73aを一体に有している。延出部73aおよび接合部64に重ねてポリイミド等の樹脂層(絶縁層)88が設けられている。樹脂層88は、第2開口OP2に対向している。
【0040】
図12(b)に示すように、接合時にレーザー照射した場合、レーザー光は、接続端部48cの第1開口OP1を通して接続端子50およびハンダ層78に照射される。接続端子50およびハンダ層78が直接的に吸熱することでハンダ層78が溶融し、接続端子50と接続パッド73とがハンダ接合される。同時に、レーザー光は、接続端部48cの第2開口OP2および開口90を通して接合部(FPC)64の樹脂層88に照射され、樹脂層88に吸熱される。樹脂層88の熱は、接続パッド73を介してハンダ層78に伝わり、ハンダ層78の溶融に寄与する。これにより、ハンダの溶融性を一層向上させることが可能となる。
第2実施形態において、接続端部48cおよび接合部64の他の構成は、前述した第1実施形態における接続端部および接合部と共通である。第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係るHDDにおけるフレキシャの接続端部の一部を拡大して示す平面図である。
図示のように、第3実施形態によれば、接続端子50の両側縁および透孔50aの両側縁は、直線ではなく、それぞれ第2開口OP2の側に突出した円弧状の凸部50b、51aを有している。凸部50bは、透孔50aの側縁の長手方向のほぼ中央部に位置し、第1開口OP1の側縁を超えて第2開口OP2の側に延出している。同様に、凸部51aは、接続端子50の側縁の長手方向のほぼ中央部に位置し、凸部50bと幅方向に対向している。凸部50bおよび凸部51aは、ベース絶縁層68aで覆われている。
【0042】
上記のように、透孔50aの側縁および接続端子50の側縁に凸部50b、51aをそれぞれ設けることにより、接続端子50の剛性を維持しつつ、透孔50aの面積を増大し、接続端子50とハンダとの接触面積を増大することができる。それにより、接続端子50に対するハンダの接合強度を向上することが可能となる。
第3実施形態において、接続端部48cの他の構成は、前述した第1実施形態における接続端部と共通である。第3実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態に係るHDDにおけるフレキシャの接続端部の平面図である。
第4実施形態によれば、接続端部48cは、14個の接続端子50を備えた構成としている。図示のように、カバー絶縁層は、例えば、長さL2が約6mm、幅W2が0.5mmの開口90を有している。14個の接続端子50は、それぞれ開口90に対向して配置され、開口90の長手方向に間隔を置いて配列されている。
各接続端子50の幅WTは、第1実施形態と同様に、0.2mmに設定されている。本実施形態では、マイクロアクチュエータ(圧電素子)用の接続端子50(G)が1つ追加されている。この接続端子50(G)は、開口90の最も基端側の端部に配置されている。他の13個の接続端子50の配列は、第1実施形態と同様に設定されている。
【0044】
一例では、接続端部48cの延出端側から、リードヘッド用の4つの接続端子50(R)、HDIセンサ用の2つの接続端子50(S)、アシスト素子(高周波アシスト素子あるいは熱アシスト素子)用の2つの接続端子50(A)、ヒータ用の2つの接続端子50(H)、ライトヘッド用の2つの接続端子50(W)、および最後に、ジンバルマイクロアクチュエータ(GMA)(圧電素子53)用の2つの接続端子50(G)の順に並んで配置されている。配列方向の中央部(基端側から6番目、7番目)にアシスト素子用の接続端子50(A)が配置され、ライトヘッド用の接続端子50(W)は接続端部48cの基端側に配置され、アシスト素子用の接続端子50(A)とライトヘッド用の接続端子50(W)との間にヒータ用の接続端子50(H)が設けられている。リードヘッド用の接続端子50(R)は接続端部48cの先端側に配置され、アシスト素子用の接続端子50(A)とリードヘッド用の接続端子50(R)との間にHDIセンサ用の接続端子50(S)が設けられている。
【0045】
接続端子50および配線Sを覆うベース絶縁層86aは、接続端部48cの長手方向に並んだ複数の第1開口OP1と複数の第2開口OP2とを有している。複数の第1開口OP1は、それぞれ14個の接続端子50と対向する位置に設けられている。複数の第2開口OP2は、それぞれ接続端子50間の空間部、および、開口90の長手方向の一端および他端と接続端子との間の空間部、と対向する位置に設けられている。
第4実施形態において、接続端部48cの他の構成は、第1実施形態における接続端部48cの構成と同じである。14個の接続端子を有する第4実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
磁気ディスクは5枚に限らず、4枚以下あるいは6枚以上としてもよく、サスペンションアッセンブリの数および磁気ヘッドの数も磁気ディスクの設置枚数に応じて増減すればよい。サスペンションアッセンブリの接続端部において、接続端子の形状、大きさ、並びに、第1開口および第2開口の形状、大きさ等は、上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて種々変更可能である。接続端子の種類、機能は、前述した実施形態に限定されることなく、磁気ヘッドおよびサスペンションアッセンブリの機能に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
10…筺体、12…ベース、12a…底壁、12b…側壁、14…トップカバー、
18…磁気ディスク、17…磁気ヘッド、19…スピンドルモータ、
21…FPCユニット、22…アクチュエータアッセンブリ、
30…サスペンションアッセンブリ、48…フレキシャ(配線部材)、
48c…接続端部(テール接続端部)、50…接続端子、64…接合部、
68a…ベース絶縁層、68b…導電層、68c…カバー絶縁層、
72…接続パッド群、73…接続パッド、90…開口、OP1…第1開口、
OP2…第2開口