(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118443
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 11/00 20210101AFI20230818BHJP
G03B 17/12 20210101ALI20230818BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20230818BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20230818BHJP
【FI】
G03B11/00
G03B17/12 Z
H04N5/225 400
H04N5/225 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021398
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】黒木 博行
【テーマコード(参考)】
2H083
2H101
5C122
【Fターム(参考)】
2H083AA05
2H083AA14
2H083AA26
2H083AA34
2H101EE02
5C122EA58
5C122FB17
5C122FC01
5C122FC02
5C122GE06
5C122GE08
5C122GE11
5C122HA82
5C122HA87
(57)【要約】
【課題】複数の光学フィルタが撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置される撮像装置において、撮像素子の撮像面へのアクセスを容易にする。
【解決手段】撮像装置は、被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニット16と、第2の光学フィルタ30を備える第2のフィルタユニット18と、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれを、撮像面の前方のフィルタリング位置と撮像面の前方から外れた退避位置との間で駆動するフィルタユニット駆動機構とを有する。フィルタユニット駆動機構が、第1および第2のフィルタユニット16、18の一方がフィルタリング位置に位置するときは他方が退避位置に位置するように連動させる連動モードと、第1および第2のフィルタユニット16、18の一方を退避位置で停止させた状態で維持しつつ他方を駆動する単動モードとを選択的に実行する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、
第2の光学フィルタを備える第2のフィルタユニットと、
前記第1および第2のフィルタユニットそれぞれを、前記撮像面の前方のフィルタリング位置と前記撮像面の前方から外れた退避位置との間で駆動するフィルタユニット駆動機構と、を有し、
前記フィルタユニット駆動機構が、前記第1および第2のフィルタユニットの一方が前記フィルタリング位置に位置するときは他方が前記退避位置に位置するように連動させる連動モードと、前記第1および第2のフィルタユニットの一方を前記退避位置で停止させた状態で維持しつつ他方を駆動する単動モードとを選択的に実行する、撮像装置。
【請求項2】
前記フィルタユニット駆動機構が、
前記第1のフィルタユニットを前記フィルタリング位置と前記退避位置との間で回動させる第1の回動機構と、
前記第2のフィルタユニットを前記フィルタリング位置と前記退避位置との間で回動させる第2の回動機構と、
前記第1および第2の回動機構それぞれに対して動力を選択的に伝達する動力伝達機構と、を含み、
前記連動モードにおいて、前記動力伝達機構は、前記第1および第2の回動機構の両方に駆動連結し、
前記単動モードにおいて、前記動力伝達機構は、前記第1および第2の回動機構の一方に駆動連結しつつ他方との駆動連結を解除する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記動力伝達機構が、前記第1の回動機構に動力を伝達する第1の伝達ギヤと、前記第2の回動機構に動力を伝達する第2の伝達ギヤと、外力を受けて回転する回転体とを含み、
前記第1および第2の伝達ギヤの一方が、前記回転体に対して常時駆動連結され、
前記第1および第2の伝達ギヤの他方が、前記回転体に対して解除可能に駆動連結される、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の伝達ギヤ、前記第2の伝達ギヤ、および前記回転体が、共通の回転中心線を中心に回転し、
前記回転体が、前記第1の伝達ギヤおよび前記第2の伝達ギヤの一方と駆動連結を維持しつつ、前記回転中心線の延在方向にスライド可能に前記動力伝達機構に設けられ、
前記回転体が、スライドすることにより、前記第1および第2の伝達ギヤの他方に対して係合するまたは離間する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記動力伝達機構が、前記第1および第2の伝達ギヤの他方に向かって前記回転体を付勢するスプリングを含んでいる、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記回転体が、ユーザによって回転される回転ノブである、請求項3から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の回動機構が、前記第1のフィルタユニットに設けられた第1のピニオン部、前記第1のピニオン部に係合する第1のラック、および前記第1のラックと前記第1の伝達ギヤに係合する第1の駆動ギヤとを含み、
前記第2の回動機構が、前記第2のフィルタユニットに設けられた第2のピニオン部、前記第2のピニオン部に係合する第2のラック、および前記第2のラックと前記第2の伝達ギヤに係合する第2の駆動ギヤとを含み、
前記第1の駆動ギヤと前記第1の伝達ギヤとの間または前記第2の駆動ギヤと前記第2の伝達ギヤとの間に、反転ギヤが設けられている、請求項3から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、光透過率が変更可能なフィルタユニットを備える撮像装置が開示されている。フィルタユニットは、異なる複数の光学フィルタと、複数の光学フィルタを支持するディスクとを含んでいる。複数の光学フィルタは、ディスクの回転中心線を中心とする周方向に並んでディスクに設けられている。ディスクが回転することにより、1つの光学フィルタが撮像素子の撮像面の前方に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された撮像装置の場合、フィルタユニットを取り外さなければ、撮像素子の撮像面にアクセスできない。そのため、撮像素子の撮像面に付着した塵などを取り除くなどのクリーニングを簡単に行うことができない。
【0005】
そこで、本開示は、複数の光学フィルタが撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置される撮像装置において、撮像素子の撮像面へのアクセスを容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、
第2の光学フィルタを備える第2のフィルタユニットと、
前記第1および第2のフィルタユニットそれぞれを、前記撮像面の前方のフィルタリング位置と前記撮像面の前方から外れた退避位置との間で駆動するフィルタユニット駆動機構と、を有し、
前記フィルタユニット駆動機構が、前記第1および第2のフィルタユニットの一方が前記フィルタリング位置に位置するときは他方が前記退避位置に位置するように連動させる連動モードと、前記第1および第2のフィルタユニットの一方を前記退避位置で停止させた状態で維持しつつ他方を駆動する単動モードとを選択的に実行する、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数の光学フィルタが撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置される撮像装置において、撮像素子の撮像面へのアクセスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の概略的な前方斜視図
【
図2】撮像モジュールと、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図
【
図3】第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図
【
図4】第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後面図
【
図7】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図
【
図8】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に配置された状態のフィルタモジュールの後面図
【
図9】撮像モジュールと、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図
【
図10】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図
【
図12】異なる視点から見た動力伝達機構の分解斜視図
【
図15】撮像モジュールをクリーニング中のフィルタモジュールの前方斜視図
【
図16A】別の実施の形態に係る撮像装置における、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態の第1および第2の回動機構を概略的に示す図
【
図16B】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に配置された状態の第1および第2の回動機構を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置の概略的な前方斜視図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は高さ方向である。なお、撮影時に被写体が存在する側を、撮像装置の前側とする。
【0013】
図1に示すように、本開示の一実施の形態に係る撮像装置10は、フィルタモジュール12を有する。
【0014】
図2は、撮像モジュールと、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図である。また、
図3は、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図である。すなわち、
図3は、撮像モジュールが省略された
図2に対応する。
【0015】
さらに、
図4は、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後面図である。そして、
図5および
図6は、フィルタモジュールの前方分解斜視図および後方分解斜視図である。
【0016】
図2~
図6に示すように、本実施の形態の場合、フィルタモジュール12は、筺体14と、第1のフィルタユニット16と、第2のフィルタユニット18とを有する。
【0017】
筺体14は、例えばアルミダイカストなどの金属材料から作製されており、第1および第2のフィルタユニット16、18を支持する。また、本実施の形態の場合、筺体14は、被写体からの光が透過する保護ガラス20を備える。
【0018】
図2、
図5、および
図6に示すように、保護ガラス20に間隔をあけて撮像装置10の光軸LAの延在方向(すなわち撮像装置10の前後方向(X軸方向))に対向し、被写体からの光が入射する撮像モジュール22を、撮像装置10は有する。撮像モジュール22は、その内部に撮像素子(図示せず)を備える。撮像素子は、CCD、CMOSなどの光電変換素子であって、保護ガラス20を介してその撮像面に入射した被写体からの光(被写体の像)から被写体の画像データを作成する。なお、光軸LAは、撮像素子の撮像面に対して直交し、矩形状の撮像面の中心を通過する。また、
図5に示すように、本実施の形態の場合、撮像モジュール22は、撮像素子の前方に配置され、撮像素子の撮像面を覆って保護する透明のカバーガラス24を備える。
【0019】
本実施の形態の場合、
図5および
図6に示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の光学フィルタ26と、第1の光学フィルタ26の外周部を支持する枠状の第1のフレーム構造体28とを備える。また、第2のフィルタユニット18は、第2の光学フィルタ30と、第2の光学フィルタ30の外周部を支持する第2のフレーム構造体32とを備える。
【0020】
本実施の形態の場合、第1の光学フィルタ26は、光透過率が変更可能な電子式のNDフィルタ、例えば液晶方式のフィルタである。第1の光学フィルタ26に印加する駆動電圧を変更することにより、第1の光学フィルタ26の光透過率が変化する。第2の光学フィルタ30は、光透過率が変更不可能な、すなわち光透過率が固定のフィルタ、例えばガラスである。本実施の形態の場合、第1および第2の光学フィルタ26、30は、撮像モジュール22内の撮像素子の撮像面と同様に、矩形状である。
【0021】
第1のフィルタユニット16、すなわち第1の光学フィルタ26を支持する第1のフレーム構造体28は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に延在する回転中心線C1を中心にして回動可能に、筺体14に支持されている。第2のフィルタユニット18、すなわち第2の光学フィルタ30を支持する第2のフレーム構造体32は、撮像装置10の前後方向に延在する回転中心線C2を中心にして回動可能に、筺体14に支持されている。
【0022】
本実施の形態の場合、
図5および
図6に示すように、回転中心線C1、C2は、同一直線上に位置する。そのため、第1のフィルタユニット16は、第2のフィルタユニット18に対して前方で回動する。回転中心線C1、C2が同一直線上に位置することにより、第1および第2のフィルタユニット16、18を回動可能に支持する支持シャフト34を共通化することができる。
【0023】
図5および
図6に示すように、フィルタモジュール12は、第1のフィルタユニット16を回転中心線C1を中心として回動させる第1の回動機構36と、第2のフィルタユニット18を回転中心線C2を中心にして回動させる第2の回動機構38とを有する。
【0024】
本実施の形態の場合、第1および第2の回動機構36、38は、いわゆるラックアンドピニオン機構である。
【0025】
第1の回動機構36は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在し、その左右方向に移動可能に筺体14に支持された第1のラック40と、第1のラック40と係合して左右方向に移動させる第1の駆動ギヤ42とを備える。第1のラック40は、第1のフィルタユニット16の第1のフレーム構造体28に形成された第1のピニオン部28aと係合する。第1の駆動ギヤ42の回転によって第1のラック40が左右方向に移動することにより、第1のピニオン部28aが回転中心線C1を中心にして回転する。その結果、第1のフィルタユニット16が回転中心線C1を中心にして回動する。
【0026】
第2の回動機構38は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在し、その左右方向に移動可能に筺体14に支持された第2のラック44と、第2のラック44と係合して左右方向に移動させる第2の駆動ギヤ46とを備える。第2のラック44は、第1のラック40に対して後方で且つ平行に延在している。また、第2のラック44は、第2のフィルタユニット18の第2のフレーム構造体32に形成された第2のピニオン部32aと係合する。第2の駆動ギヤ46の回転によって第2のラック44が左右方向に移動することにより、第2のピニオン部32aが回転中心線C2を中心にして回転する。その結果、第2のフィルタユニット18が回転中心線C2を中心にして回動する。
【0027】
第1の回動機構36により、第1のフィルタユニット16は、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で、回転中心線C1を中心にして回動する。また、第2の回動機構38により、第2のフィルタユニット18は、第2のフィルタリング位置と第2の退避位置との間で、回転中心線C2を中心にして回動する。
【0028】
図3および
図4に示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の回動機構36に回動されて、第1のフィルタリング位置に配置される。具体的には、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置するとき、第1の光学フィルタ26が撮像モジュール22内の撮像素子の撮像面の前方(すなわちカバーガラス24の前方)に存在する。それにより、保護ガラス20を透過して撮像素子の撮像面に到達する前の被写体からの光が、第1の光学フィルタ26を透過する。その結果、第1の光学フィルタ26によってフィルタ処理された被写体からの光が、カバーガラス24を透過して撮像モジュール22内の撮像素子の撮像面に入射する。
【0029】
また、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に配置されているとき、第2のフィルタユニット18は、第2の回動機構38に回動されて、第2の退避位置に配置される。具体的には、第2のフィルタユニット18は、第2の退避位置として、撮像モジュール22の前方から外れた位置に退避する。本実施の形態の場合、第2のフィルタユニット18は、撮像モジュール22の前方から左(撮像装置10の前方から見た場合)に退避する。これにより、被写体からの光が、第2のフィルタユニット18に妨害されることなく、すなわち第2の光学フィルタ30を透過することなく、撮像モジュール22内の撮像素子の撮像面に入射する。
【0030】
図7および
図8は、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2のフィルタリング位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図および後面図である。
【0031】
図7および
図8に示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の回動機構36に回動されて、第1の退避位置に配置される。具体的には、第1のフィルタユニット16は、第1の退避位置として、撮像モジュール22の前方から外れた位置に退避する。本実施の形態の場合、第1のフィルタユニット16は、撮像モジュール22の前方から左(撮像装置10の前方から見た場合)に退避する。これにより、被写体からの光が、第1のフィルタユニット16に妨害されることなく、すなわち第1の光学フィルタ26を透過することなく、撮像モジュール22内の撮像素子の撮像面に入射する。
【0032】
また、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置に配置されているとき、第2のフィルタユニット18は、第2の回動機構38に回動されて、第2のフィルタリング位置に配置される。具体的には、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するとき、第2の光学フィルタ30が撮像モジュール22内の撮像素子の撮像面の前方に存在する。それにより、保護ガラス20を透過して撮像素子の撮像面に到達する前の被写体からの光が、第2の光学フィルタ30を透過する。その結果、第2の光学フィルタ30によってフィルタ処理された被写体からの光が、カバーガラス24を透過して撮像素子の撮像面に入射する。なお、第2のフィルタリング位置は、第1のフィルタリング位置に対して後方に位置する。
【0033】
本実施の形態の場合、
図4および
図8に示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の回動機構36により、回転中心線C1を中心にして実質的に90度回動される。したがって、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間の位置関係は、第1のフィルタリング位置および第1の退避位置の一方に位置する第1のフィルタユニット16が90度回動すると他方に配置される位置関係である。それにより、第1のフィルタリング位置に位置する第1のフィルタユニット16の第1の光学フィルタ26の姿勢と、第1の退避位置に位置するときの第1の光学フィルタ26の姿勢が90度異なる。すなわち、第1の光学フィルタ26の長手方向が、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)から高さ方向(Z軸方向)に変化する。
【0034】
また、本実施の形態の場合、
図4および
図8に示すように、第2のフィルタユニット18は、第2の回動機構38により、回転中心線C2を中心にして実質的に90度回動される。したがって、第2のフィルタリング位置と第2の退避位置との間の位置関係は、第2のフィルタリング位置および第2の退避位置の一方に位置する第2のフィルタユニット18が90度回動すると他方に配置される位置関係である。それにより、第2のフィルタリング位置に位置する第2のフィルタユニット18の第2の光学フィルタ30の姿勢と、第2の退避位置に位置するときの第2の光学フィルタ30の姿勢が90度異なる。すなわち、第2の光学フィルタ30の長手方向が、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)から高さ方向(Z軸方向)に変化する。
【0035】
図3、
図4、
図7、および
図8に示すフィルタモジュール12の状態において、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に互いに重なっていない。すなわち、第1のフィルタユニット16および第2のフィルタユニット18の両方は、互いに重なった状態でフィルタリング位置または退避位置に配置されていない。
【0036】
図9は、撮像モジュールと、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図である。また、
図10は、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニットが第2の退避位置に配置された状態のフィルタモジュールの後方斜視図である。すなわち、
図10は、撮像モジュールが省略された
図9に対応する。
【0037】
図9および
図10に示すように、第1のフィルタユニット16および第2のフィルタユニット18は、第1の退避位置および第2の退避位置にそれぞれ位置し、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に互いに重なっている。その結果、保護ガラス20と撮像モジュール22との間に、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18とが存在していない。すなわち、撮像モジュール22内の撮像素子の前方に、第1および第2の光学フィルタ26、30が存在していない状態である。
【0038】
したがって、撮像装置10は、
図3および
図4に示す第1の状態、
図7および
図8に示す第2の状態、および
図9および
図10に示す第3の状態に切換可能に構成されている。
【0039】
具体的には、本実施の形態の場合、第1の回動機構36と第2の回動機構38は、動力伝達機構から動力の供給を受ける。
【0040】
図11および
図12は、異なる視点から見た動力伝達機構の分解斜視図である。また、
図13Aは、連結状態の動力伝達機構の断面図である。そして、
図13Bは、連結解除状態の動力伝達機構の断面図である。
【0041】
図11および
図12に示すように、第1のフィルタユニット16および第2のフィルタユニット18を回動させるための動力を伝達する動力伝達機構50は、第1の回動機構36と第2の回動機構38と協働することにより、フィルタユニット駆動機構を構築する。フィルタユニット駆動機構は、第1および第2のフィルタユニット16、18の両方を駆動する連動モードと、いずれか一方のみを駆動する単動モードとを選択的に実行可能に構成されている。
【0042】
具体的には、連動モードでは、
図3、
図4、
図7、および
図8に示すように、第1および第2のフィルタユニット16、18の一方がフィルタリング位置に位置するときは他方が退避位置に位置するように、第1および第2のフィルタユニット16、18が、フィルタユニット駆動機構によって連動される。
【0043】
また、単動モードでは、
図9および
図10に示すように、第1および第2のフィルタユニット16、18の一方を退避位置で停止させた状態で、他方がフィルタユニット駆動機構によって駆動される。本実施の形態の場合、単動モードでは、第1のフィルタユニット16を第1の退避位置で停止させた状態で、第2のフィルタユニット18が駆動される。
【0044】
連動モードと単独モードを選択的に実行するために、フィルタユニット駆動機構における動力伝達機構50は、第1のフィルタユニット16を回動させる第1の回動機構36と第2のフィルタユニット18を回動させる第2の回動機構38それぞれに対して動力を選択的に伝達するように構成されている。本実施の形態の場合、連動モードでは、動力伝達機構50は、第1および第2の回動機構36、38の両方に駆動連結する。単動モードでは、第2の回動機構38に対して駆動連結しつつ、第1の回動機構36に対して駆動連結を解除する。
【0045】
図11および
図12に示すように、動力伝達機構50は、第1の回動機構36に動力を伝達する第1の伝達ギヤ52と、第2の回動機構38に動力を伝達する第2の伝達ギヤ54と、外力を受けて回転する回転体56とを含んでいる。本実施の形態の場合、回転体56はユーザによって回転される回転ノブである。
【0046】
本実施の形態の場合、
図6に示すように、第1の伝達ギヤ52は、反転ギヤ58を介して、第1の回動機構36の第1の駆動ギヤ42と係合する。第2の伝達ギヤ54は、第2の回動機構38の第2の駆動ギヤ46と直接的に係合する。
【0047】
本実施の形態の場合、第1の伝達ギヤ52、第2の伝達ギヤ54、および回転体56は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に延在する共通の回転中心線C3を中心にして回転する。また、第1の伝達ギヤ52は、回転体56に対して解除可能に駆動連結する。第2の伝達ギヤ54は、回転体56に対して常時(すなわち解除不可能に)駆動連結する。
【0048】
具体的には、
図11、
図12、
図13A、および
図13Bに示すように、第2の伝達ギヤ54と回転体56は、連結シャフト60を介して、駆動連結されている。連結シャフト60は、六角形断面を備える軸部60aと、軸部60aの一方の端(前方側の端)に設けられた頭部60bとを備える。第2の伝達ギヤ54と回転体56には、連結シャフト60の軸部60aが通過する六角形状の貫通穴54a、56aが形成されている。この連結シャフト60により、第2の伝達ギヤ54と回転体56は、互いに常時駆動連結され、同期回転する。なお、第2の伝達ギヤ54が連結シャフト60から抜け落ちないように、連結シャフト60の軸部60aの他方の端(後方側の端)に、ストッパねじ62が取り付けられている。
【0049】
第1の伝達ギヤ52は、第2の伝達ギヤ54に回転可能に支持されている。具体的には、第1の伝達ギヤ52は、円筒部52aと、その円筒部52aの後端に設けられ、反転ギヤ58と係合するギヤ部52bとを備える。第2の伝達ギヤ54は、円筒部54bと、その円筒部54bの後端に設けられ、第2の駆動ギヤ46と係合するギヤ部54cとを備える。第1の伝達ギヤ52の円筒部52a内に第2の伝達ギヤ54の円筒部54bが挿入されることにより、第1の伝達ギヤ52が第2の伝達ギヤ54に回転可能に支持される。
【0050】
また、第1の伝達ギヤ52は、回転体56と第2の伝達ギヤ54との間に配置され、回転体56に対して、回転中心線C3の延在方向(X軸方向)に係合する。
【0051】
【0052】
図12および
図14に示すように、回転体56は、ユーザに把持される外側円筒部56bと、第1の伝達ギヤ52の円筒部52a内に挿入される内側円筒部56cとを備える。外側円筒部56bと内側円筒部56cとの間に、第1の伝達ギヤ52に向かって突出し、回転中心線C3の延在方向視(X軸方向視)で円弧状の2つの係合爪部56dが同心に形成されている。
【0053】
図11に示すように、回転体56の2つの係合爪部56dと係合する2つの係合爪部52cが、第1の伝達ギヤ52の円筒部52aの先端に形成されている。
図14に示すように、この第1の伝達ギヤ52の2つの係合爪部52cが、回転体56の2つの係合爪部56dの間のスペースに進入することにより、第1の伝達ギヤ52と回転体56が互いに係合して駆動連結する。その結果、回転体56が回転中心線C3を中心にして回転すると、第1の伝達ギヤ52が回転する。
【0054】
なお、
図14に示すように、回転体56において、外側円筒部56bと2つの係合爪部56dとの間には、回転中心線C3の延在方向視(X軸方向視)で円弧状のスペース56eが設けられている。このスペース56eには、
図5に示す筺体14の円弧状突起部14aが配置される。回転体56が回転すると、円弧状突起部14aがスペース56e内を移動する。この円弧状突起部14aにより、回転体56の回転ストロークが規制されている。
【0055】
回転体56は、回転中心線C3の延在方向にスライド可能に動力伝達機構50に設けられている。本実施の形態の場合、回転体56は、連結シャフト60の軸部60aに沿ってスライドする。このスライドにより、回転体56が、第1の伝達ギヤ52に対して係合するまたは離間する。その結果、回転体56と第1の伝達ギヤ52とが互いに駆動連結するまたは駆動連結を解除する。
【0056】
なお、回転体56と第1の伝達ギヤ52の係合(駆動連結)を維持するために、回転体56は、スプリング64によって第1の伝達ギヤ52に向かって付勢されている。回転体56の前端には、連結シャフト60の頭部60bとスプリング64を収容する凹部56fが形成されている。スプリング64は、連結シャフト60の頭部60bと回転体56の凹部56fの底面に挟まれて圧縮されている。
【0057】
このようなフィルタユニット駆動機構(その動力伝達機構50)によれば、ユーザが回転体56をスプリング64の付勢力に逆らって前方にスライドさせると、第1の伝達ギヤ52と回転体56との係合(駆動連結)が解除される。すなわち、連動モードから単動モードに切り替わる。
【0058】
連動モード(ユーザが回転体56を前方にスライドさせていない状態)において、ユーザが回転体56を回転させると、第1の伝達ギヤ52と第2の伝達ギヤ54の両方が同期回転する。これにより、第1の伝達ギヤ52と駆動連結する第1の駆動ギヤ42が第1のラック40を移動させ、それにより第1のフィルタユニット16のフレーム構造体28の第1のピニオン部28aが回転する。その結果、第1のフィルタユニット16が回転中心線C1を中心にして回動する。それと同時に、第2の伝達ギヤ54と駆動連結する第2の駆動ギヤ46が第2のラック44を移動させ、それにより、第2のフィルタユニット18のフレーム構造体32の第2のピニオン部32aが回転する。その結果、第2のフィルタユニット18が回転中心線C2を中心にして回動する。このとき、第1の伝達ギヤ52と第1の駆動ギヤ42との間に反転ギヤ58が存在するため、第2のフィルタユニット18は、第1のフィルタユニット16に対して逆方向に回動する。
【0059】
したがって、連動モードにおいては、ユーザが回転体56を一方の回転方向に回転させると、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置から第1の退避位置に移動すると同時に、第2のフィルタユニット18が第2の退避位置から第2のフィルタリング位置に移動する。また、回転体56を他方の回転方向に回転させると、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置から第1のフィルタリング位置に移動すると同時に、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置から第2の退避位置に移動する。
【0060】
単動モード(ユーザが回転体56を前方にスライドさせて維持した状態)において、ユーザが回転体56を回転させると、第2の伝達ギヤ54のみが回転する。その一方、回転体56は、第1の伝達ギヤ52に対して空転する。
【0061】
このような単動モードによれば、
図9および
図10に示すように、第1のフィルタユニット16を第1の退避位置に配置するとともに第2のフィルタユニット18を第2の退避位置に配置することができる。
【0062】
まず、連動モードにより、
図7および
図8に示すように、第1のフィルタユニット16を第1の退避位置に配置するとともに、第2のフィルタユニット18を第2のフィルタリング位置に配置する。この状態で単動モードに切り替える。単動モードに切り替えた状態で、回転体56が回転すると、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置で停止した状態を維持しつつ、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置から第2の退避位置に移動する。これにより、保護ガラス20と撮像モジュール22との間に、第1および第2のフィルタユニット16、18が存在しない状態になる。その結果、撮像モジュール22に対して前方からアクセスすることが可能になる。
【0063】
図15は、撮像モジュールをクリーニング中のフィルタモジュールの前方斜視図である。
【0064】
保護ガラス20と撮像モジュール22との間に第1および第2のフィルタユニット16、18が存在しない場合、
図15に示すように撮像モジュール22のカバーガラス24に前方からアクセス可能になる。本実施の形態の場合、保護ガラス20は、支持フレーム70に支持されている。その支持フレーム70は、複数の固定ねじ72を介して筺体14に固定されている。したがって、支持フレーム70を筺体14から取り外すと、保護ガラス20によって塞がれていた筺体14の開口14bを介して、撮像モジュール22のカバーガラス24が外部に露出する。その結果、カバーガラス24にアクセスすることができる。例えば、カバーガラス24に付着した塵などをクリーニングによって取り除くことができる。
【0065】
なお、撮像モジュール22のカバーガラス24だけでなく、第1および第2のフィルタユニット16、18の光学フィルタ26、30の前面にも同様にアクセス可能である。すなわち
図3および
図4に示すように、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置するときは、第1の光学フィルタ26の前面にアクセス可能である。また、
図7および
図8に示すように、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するときは、第2の光学フィルタ30の前面にアクセス可能である。
【0066】
以上のような本実施の形態によれば、第1および第2の光学フィルタ26、30が撮像素子の撮像面(具体的には撮像モジュール22のカバーガラス24)の前方に選択的に配置される撮像装置10において、撮像素子の撮像面へのアクセスが容易になる。
【0067】
具体的には、第1および第2の光学フィルタ26、30をそれぞれ備える第1および第2のフィルタユニット16、18の両方を、撮像素子の撮像面の前方から退避させることができる。その結果、第1および第2のフィルタユニット16、18を取り外すことなく、撮像素子の撮像面にアクセスすることができる。
【0068】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0069】
例えば、上述の実施の形態の場合、単動モードにおいて、回転体56と第1の伝達ギヤ52(すなわち第1のフィルタユニット16)の駆動連結は解除され、回転体56と第2の伝達ギヤ54(すなわち第2のフィルタユニット18)の駆動連結は維持される。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。単動モードにおいて、回転体と第1のフィルタユニットの駆動連結が維持され、回転体と第2のフィルタユニットの駆動連結が解除されてもよい。
【0070】
上述の実施の形態の場合、第1および第2のフィルタユニット26、30それぞれは、
図5および
図6に示すように、第1および第2の回動機構36、38、いわゆるラックアンドピニオン機構によって回動される。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0071】
図16Aおよび
図16Bは、別の実施の形態に係る撮像装置における、第1および第2の回動機構を概略的に示す図である。
図16Aは、第1のフィルタユニット116が第1のフィルタリング位置に配置され且つ第2のフィルタユニット118が第2の退避位置に配置された状態を示している。また、
図16Bは、第1のフィルタユニット116が第1の退避位置に配置され且つ第2のフィルタユニット118が第2のフィルタリング位置に配置された状態を示している。
【0072】
図16Aおよび
図16Bに示す別の実施の形態に係る撮像装置において、第1のフィルタユニット116および第2のフィルタユニット118それぞれを回動させる第1の回動機構136および第2の回動機構138は、いわゆるてこクランク機構である。なお、第1の回動機構136と第2の回動機構138は実質的に同一の構成である。また、第1のフィルタユニット116の回転中心線C1と第2のフィルタユニット118の回転中心線C2は、同一直線上に位置する。
【0073】
いわゆるてこクランク機構である第1の回動機構136は、回転体156に一端が連結されたクランク170と、第1のフィルタユニット116に一端が連結されたてこ172と、クランク170の他端に回動可能に連結する一端およびてこ172の他端に回動可能に連結する他端を備えるリンク174とを含んでいる。
【0074】
また、いわゆるてこクランク機構である第1の回転機構138は、回転体156に一端が連結されたクランク176と、第2のフィルタユニット118に一端が連結されたてこ178と、クランク176の他端に回動可能に連結する一端およびてこ172の他端に回動可能に連結する他端を備えるリンク180とを含んでいる。
【0075】
図16Aに示すように、回転体156が回転中心線C3を中心にして時計方向に回転すると、クランク170が、リンク174を介して、てこ172を引っ張る。それにより、第1のフィルタユニット116は、回転中心線C1を中心に時計方向に回転し、第1のフィルタリング位置から
図16Bに示す第1の退避位置に移動する。それと同時に、クランク176が、リンク180を介して、てこ178を押す。それにより、第2のフィルタユニット118が回転中心線C2を中心にして反時計方向に回転し、第2の退避位置から
図16Bに示す第2のフィルタリング位置に移動する。
【0076】
図16Bに示すように、回転体156が回転中心線C3を中心にして反時計方向に回転すると、クランク170、てこ172、およびリンク174を介して、第1のフィルタユニット116が回転中心線C1を中心にして反時計方向に回転する。それにより、第1のフィルタユニット116は、第1の退避位置から
図16Aに示す第1のフィルタリング位置に移動する。それと同時に、クランク176、てこ178、およびリンク180を介して、第2のフィルタユニット118が回転中心線C2を中心にして時計方向に回転する。それにより、第2のフィルタユニット118は、第2のフィルタリング位置から
図16Aに示す第2の退避位置に移動する。
【0077】
この別の実施の形態の場合、第1の回動機構136におけるクランク170および第2の回動機構138におけるクランク176の一方が、回転体156に対して常時駆動連結し、他方が回転体156に対して解除可能に駆動連結する。
【0078】
また、上述の実施の形態の場合、回転体56は、ユーザによって回転されるとともに、ユーザによって回転中心線C3の延在方向(X軸方向)にスライドされる。しかしながら、本開示の実施の形態にこれに限らない。例えば、回転体は、モータによって回転駆動され、アクチュエータによってスライドされてもよい。すなわち、モータの出力シャフトに回転体がモータの回転中心線の延在方向にスライド可能に設けられ、アクチュエータがその回転中心線の方向に回転体をスライドさせる。
【0079】
さらに、上述の実施の形態の場合、第1のフィルタユニット16は、第1の回動機構36によって第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で回動する。また、第2のフィルタユニット18は、第2の回動機構38によって第2のフィルタリング位置と第2の退避位置との間で回動する。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。第1および第2のフィルタユニットは、フィルタリング位置と退避位置との間で平行移動してもよい。
【0080】
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、広義には、被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、第2の光学フィルタを備える第2のフィルタユニットと、前記第1および第2のフィルタユニットそれぞれを、前記撮像面の前方のフィルタリング位置と前記撮像面の前方から外れた退避位置との間で駆動するフィルタユニット駆動機構と、を有し、前記フィルタユニット駆動機構が、前記第1および第2のフィルタユニットの一方が前記フィルタリング位置に位置するときは他方が前記退避位置に位置するように連動させる連動モードと、前記第1および第2のフィルタユニットの一方を前記退避位置で停止させた状態で維持しつつ他方を駆動する単動モードとを選択的に実行する。
【0081】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0082】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示は、複数の光学フィルタが撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置される撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
16 第1のフィルタユニット
18 第2のフィルタユニット
26 第1の光学フィルタ
30 第2の光学フィルタ