(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118449
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】回転電機における冷却構造
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230818BHJP
H02K 19/02 20060101ALI20230818BHJP
H02K 3/24 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K19/02
H02K3/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021405
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 光之
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠弘
【テーマコード(参考)】
5H603
5H609
5H619
【Fターム(参考)】
5H603AA11
5H603BB01
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CD12
5H603CE02
5H609BB01
5H609PP02
5H609PP09
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ12
5H609RR37
5H609RR42
5H609RR50
5H619AA11
5H619BB01
5H619PP01
5H619PP14
(57)【要約】
【課題】コイルを形成する複数の導線、及び、冷却流体が流れる流路管の互いに対する組付けにおいて作業効率が適切に確保される回転電機における冷却構造を提供すること。
【解決手段】実施形態では、回転電機における冷却構造は、コイル巻線及び流路管を備える。コイル巻線では、複数の導線が束ねられる導線束が形成される。回転電機では、複数の導線への電圧の印加によって発生する回転磁界を利用して、回転子が回転する、又は、回転子の回転によって発生する回転磁界により、複数導線に電圧が誘起される。流路管では、冷却流体が内部を流れ、流路管は、導線束の外表面に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機における冷却構造であって、
複数の導線を備えるとともに、複数の前記導線が束ねられる導線束が形成されるコイル巻線であって、複数の前記導線への電圧の印加によって発生する回転磁界を利用して回転子を回転させる、又は、回転子の回転によって発生する回転磁界により複数の前記導線に電圧が誘起されるコイル巻線と、
冷却流体が内部を流れ、前記導線束の外表面に配置される流路管と、
を具備する、冷却構造。
【請求項2】
前記コイル巻線では、前記導線束の延設方向に交差する第1の方向に沿った寸法が、前記導線束の延設方向及び前記第1の方向の両方に交差する第2の方向に沿った寸法に比べて、大きく、
前記流路管は、複数設けられ、
複数の前記流路管は、前記導線束の前記外表面において前記第1の方向に沿って並んで配置される、
請求項1の冷却構造。
【請求項3】
前記コイル巻線では、前記導線束の延設方向に交差する第1の方向に沿った寸法が、前記導線束の延設方向及び前記第1の方向の両方に交差する第2の方向に沿った寸法に比べて、大きく、
前記導線束の前記外表面は、前記第2の方向の一方側を向く第1の主面と、前記第2の方向について前記第1の主面とは反対側を向く第2の主面と、を備え、
前記流路管は、複数設けられ、
前記流路管は、前記第1の主面及び前記第2の主面のそれぞれに、1つ以上ずつ配置される、
請求項1又は2の冷却構造。
【請求項4】
前記コイル巻線では、複数の前記導線は、前記導線束の延設方向に交差する配列方向に沿って、並んで配置され、
前記流路管は、複数設けられ、
複数の前記流路管は、複数の前記導線の前記配列方向に沿って、前記導線束の前記外表面において並んで配置され、
前記配列方向について隣り合う前記流路管の間のピッチは、前記配列方向について隣り合う前記導線の間のピッチに対して、80%以上かつ120%以下の大きさとなる、
請求項1乃至3のいずれか1項の冷却構造。
【請求項5】
前記流路管は、複数設けられ、
前記導線束では、前記回転子が位置する側の端部において、前記回転子が位置する側とは反対側の端部に比べて、前記外表面に配置される前記流路管の数密度が高い、
請求項1乃至4のいずれか1項の冷却構造。
【請求項6】
非電導性を有し、前記コイル巻線から離れて配置される容器をさらに具備し、
前記流路管は、前記容器に向かって前記コイル巻線から突出する突出部を備え、
前記流路管の前記突出部は、前記容器の内部空洞に挿入される、
請求項1乃至5のいずれか1項の冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機における冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機では、固定子のコイル巻線に電圧(交流電圧)を印加することで、回転磁界を発生させる。そして、発生した回転磁界によって、回転子を回転させる、又は、回転磁界によって回転子に起電力を誘起させて、誘起した起電力によって回転子を回転させる。また、発電機では、回転子を回転によって発生する回転磁界により、固定子のコイル巻線に電圧(起電力)を誘起する。このような電動機及び発電機等の回転電機では、コイル巻線を冷却することにより、コイル巻線での温度上昇等を抑制している。回転電機においてコイル巻線を冷却する冷却構造として、コイル巻線を形成するコイル導体の近傍に流路管を配置し、流路管の内部に冷却流体を流す冷却構造等が、用いられている。
【0003】
前述のように流路管に流れる冷却流体によってコイル巻線を冷却する冷却構造では、コイル巻線を形成する複数の導線、及び、冷却流体が流れる流路管が、互いに対して組付けられる。この際、複数の導線及び流路管の互いに対する組付けにおける作業効率が適切に確保されることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-48154号公報
【特許文献2】特開昭58-218845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コイル巻線を形成する複数の導線、及び、冷却流体が流れる流路管の互いに対する組付けにおいて作業効率が適切に確保される回転電機における冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、回転電機における冷却構造は、コイル巻線及び流路管を備える。コイル巻線は、複数の導線を備え、コイル巻線では、複数の導線が束ねられる導線束が形成される。回転電機では、複数の導線への電圧の印加によって発生する回転磁界を利用して、回転子が回転する、又は、回転子の回転によって発生する回転磁界により、複数の導線に電圧が誘起される。流路管では、冷却流体が内部を流れ、流路管は、導線束の外表面に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電動機の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る電動機の構成を、電動機の軸方向に平行又は略平行な断面で概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る電動機において、コイル巻線の一部、及び、その近傍の構成を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る電動機において、コイル巻線に形成されるコイル辺部のある1つ、及び、その近傍の構成を概略的に示すとともに、電動機の周方向(回転軸の軸回り方向)に対して直交又は略直交する断面で被覆部材を示す概略図である。
【
図5】
図5は、
図4のB1-B1線断面を概略的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1の変形例に係る電動機において、コイル巻線に形成されるコイル辺部のある1つ、及び、その近傍の構成を、導線束の延設方向に対して直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2の変形例に係る電動機において、コイル巻線に形成されるコイル辺部のある1つ、及び、その近傍の構成を、導線束の延設方向に対して直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して、説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、実施形態の一例として第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、回転電機の一例として、電動機1について説明する。
図1及び
図2は、第1の実施形態に係る電動機1の構成を示す。電動機1は、例えば、誘導モータである。
図1及び
図2等に示すように、電動機1は、回転子2及び固定子3を備える。回転子2は、回転軸Pを中心として、固定子3に対して回転可能である。電動機1では、回転軸Pに沿う方向が、軸方向(矢印A1及び矢印A2で示す方向)として規定される。また、電動機1では、回転軸Pの軸回り方向が、周方向(矢印C1及び矢印C2で示す方向)として規定される。そして、電動機1では、軸方向及び周方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)方向が、径方向(矢印R1及び矢印R2)として規定される。電動機1では、径方向について回転軸Pに近づく側が、内周側となり、径方向について回転軸Pから離れる側が、外周側となる。なお、
図1では、固定子3の一部を省略した斜視図が示され、
図2では、電動機1の軸方向に平行又は略平行な断面が概略的に示される。
【0010】
固定子3は、電動機1の周方向について全周に渡って、回転子2を電動機1の外周側から囲む。固定子3は、フレーム5、鉄心6及びコイル巻線7を備える。フレーム5は、鉄心6及びコイル巻線7を保持する。また、フレーム5には、回転軸Pの軸回りに回転可能な状態で、回転子2が連結される。回転子2は、図示しないベアリング等を介して、フレーム5に連結される。電動機1では、径方向について回転子2とフレーム5との間に、鉄心6及びコイル巻線7が配置される。そして、フレーム5は、電動機1の周方向について全周に渡って、鉄心6及びコイル巻線7を電動機1の外周側から囲む。また、
図1及び
図2等の一例の電動機1では、鉄心6は、径方向についてコイル巻線7の外周側に配置され、径方向についてコイル巻線7とフレーム5との間に配置される。そして、鉄心6は、電動機1の周方向について全周に渡って、コイル巻線7を電動機1の外周側から囲む。
【0011】
コイル巻線7は、導電性を有する後述のコイル導体10(
図3等参照)から形成され、コイル巻線7には、電圧を印加可能である。電動機1では、コイル巻線7に電圧(交流電圧)を印加することにより、磁界が発生する。コイル巻線7によって磁界が発生することによって、回転子2に渦電流が発生し、回転子2を回転させる駆動力が発生する。そして、コイル巻線7に交流電圧を印加する等して、コイル巻線7によって発生する磁界を経時的に変化させることにより、回転子2発生する渦電流が経時的に変化し、回転子2が回転軸Pの軸回りに回転する。ある一例では、互いに対して位相の異なる三相の交流電力が電動機1に供給される。この場合、U相、V相及びW相の3つのコイル巻線7が設けられ、互いに対して位相の異なる交流電圧が、3つのコイル巻線7に印加される。したがって、本実施形態では、コイル巻線7のコイル導体10への電圧の印加によって発生する回転磁界によって、回転子2が回転する。
【0012】
なお、ある一例では、コイル巻線7のコイル導体10への電圧の印加によって、前述のように回転磁界を発生させる。そして、発生した回転磁界によって、回転子2に起電力を誘起させて、誘起した起電力によって回転子2を回転させる。したがって、電動機1では、固定子3のコイル巻線7のコイル導体10への電圧の印加によって発生する回転磁界を利用して、回転子2を回転させる構成であればよい。
【0013】
鉄心6は、磁性体から形成され、例えば、電磁鋼板から形成される。コイル巻線7に電圧を印加することによって磁界が発生した状態では、コイル巻線7によって発生する磁界によって、鉄心6が磁化される。これにより、コイル巻線7によって発生する磁界に、磁化した鉄心6による磁界が付加され、電動機1において発生する磁界の強度が高くなる。
【0014】
図3は、コイル巻線7の一部、及び、その近傍の構成を示す。本実施形態では、
図3等に示すように、コイル巻線7は、複数(多数)のコイル導体10を接続することによって、形成される。コイル導体10のそれぞれは、延設端E1,E2を有する。コイル導体10のそれぞれでは、延設端E1によって、一端が形成され、延設端E2によって、延設端E1とは反対側の端が形成される。コイル導体10のそれぞれは、一対のコイル辺部11,12を備える。また、コイル導体10のそれぞれでは、コイル辺部11,12の間に、折返し部13が形成される。コイル導体10のそれぞれでは、コイル辺部11が延設端E1から折返し部13まで延設され、コイル辺部12が、折返し部13から延設端E2まで延設される。そして、コイル導体10のそれぞれでは、折返し部13において、コイル辺部12が、コイル辺部11に対して折返される。コイル巻線7では、隣り合う2つのコイル導体10の間において、一方のコイル導体10の延設端E1が、他方のコイル導体10の延設端E2に接続される。
【0015】
前述のようにコイル巻線7が形成されることにより、本実施形態のコイル巻線7では、コイル導体10のそれぞれは、コイル巻線7のループ部分の対応する1つを形成する。そして、コイル巻線7では、コイル巻線7の中心軸を中心とした螺旋状に、複数のコイル導体10の接続体が、延設される。本実施形態の電動機1では、コイル導体10のそれぞれにおいて、コイル辺部11,12のそれぞれは、電動機1の軸方向(回転軸P)に沿って延設される。このため、コイル導体10のそれぞれでは、折返し部13によって、電動機1の軸方向についての一方側の端が、形成される。そして、コイル導体10のそれぞれでは、延設端E1,E2のいずれかによって、電動機1の軸方向について折返し部13とは反対側の端が、形成される。また、本実施形態の電動機1では、コイル巻線7の中心軸は、電動機1の周方向(回転軸Pの軸回り方向)に沿って延設され、コイル巻線7では、電動機1の周方向に沿う中心軸を中心とした螺旋状に、複数のコイル導体10の接続体が、延設される。
【0016】
コイル巻線7を形成するコイル導体10のそれぞれでは、コイル辺部11,12のそれぞれに、1つ以上の流路管15が、設置される。コイル導体10のそれぞれでは、1つ以上の流路管15が隣接して配置される。本実施形態では、コイル導体10のそれぞれにおいて、コイル辺部11,12のそれぞれに、複数の流路管15が設置される。流路管15のそれぞれは、例えば、ステンレス等の金属から形成されるパイプであり、流路管15のそれぞれの内部には、冷却流体が流れる流路が形成される。流路管15のそれぞれに流す冷却流体としては、冷却油及び冷却水等が挙げられる。
【0017】
コイル導体10のそれぞれでは、コイル辺部11,12のそれぞれは、外表面(外周面)を有し、コイル辺部11,12のそれぞれの外表面(外周面)に、流路管15が配置される。コイル辺部11のそれぞれの外表面では、延設端E1と折返し部13との間でのコイル辺部11の延設方向に沿って、1つ以上の流路管15が延設される。また、コイル辺部12のそれぞれの外表面では、延設端E2と折返し部13との間でのコイル辺部11の延設方向に沿って、1つ以上の流路管15が延設される。したがって、コイル辺部11,12のそれぞれの外表面では、電動機1の軸方向(回転軸P)に沿って、1つ以上の流路管15が延設される。
【0018】
図4は、コイル巻線7に形成されるコイル辺部11,12のある1つ、及び、その近傍の構成を示す。
図4では、コイル辺部(11又は12)は、電動機1の周方向(回転軸Pの軸回り方向)の一方側から視た状態で示され、後述する被覆部材18が、電動機1の周方向(回転軸の軸回り方向)に対して直交又は略直交する断面で示される。また、
図5は、
図4のB1-B1線断面を示す。
図5では、コイル辺部(11又は12)の延設方向に対して直交又は略直交する断面が示され、電動機1の軸方向に対して直交又は略直交する断面が示される。なお、
図4及び
図5では、コイル辺部11,12のある1つ、及び、その近傍の構成が示されるが、他のコイル辺部11,12のそれぞれ、及び、その近傍についても、
図4及び
図5の構成と同様の構成となる。
【0019】
図1乃至
図4等に示すように、電動機1の固定子3には、1つ以上の容器(第1の容器)21A、及び、1つ以上の容器(第2の容器)21Bが、設けられる。ある一例では、容器21A,21Bのそれぞれが、1つずつ設けられる。また、別のある一例では、電動機1に、複数の容器21A、及び、複数の容器21Bが設けられる。この場合、複数の容器21Aは、電動機1の周方向(回転軸Pの軸回り方向)及び電動機1の径方向の少なくとも一方に沿って並んで配置され、複数の容器21Bは、電動機1の周方向及び電動機1の径方向の少なくとも一方に沿って並んで配置される。本実施形態では、容器(第1の容器)21Aは、電動機1の軸方向の一方側へ、コイル巻線7から離れて配置される。そして、容器(第2の容器)21Bは、電動機1の軸方向について容器21Aが位置する側とは反対側へ、コイル巻線7から離れて配置される。容器21A,21Bのそれぞれは、非電導性(電気的絶縁性)を有する。また、容器21A,21Bは、非磁性体から形成されることが好ましい。ある一例では、容器21A,21Bのそれぞれは、PPS(poly phenylene sulfide)樹脂から形成される。
【0020】
また、前述のようにしてコイル巻線7に設置される流路管15のそれぞれは、コイル巻線7及び被覆部材18に対して突出する突出部31A,31Bを備える。流路管15のそれぞれでは、突出部(第1の突出部)31Aは、電動機1の軸方向について容器(第1の容器)21Aが位置する側へ、コイル巻線7から突出し、突出部(第2の突出部)31Bは、電動機1の軸方向について容器(第2の容器)21Bが位置する側へ、コイル巻線7から突出する。このため、流路管15のそれぞれでは、突出部31A,31Bは、電動機1の軸方向について互いに対して反対側へ、コイル巻線7から突出する。流路管15のそれぞれでは、突出部31Aは、1つ以上の容器21Aの対応する1つに向かって、コイル巻線7から突出し、1つ以上の容器21Aの対応する1つに接続される。そして、流路管15のそれぞれでは、突出部31Bは、1つ以上の容器21Bの対応する1つに向かって、コイル巻線7から突出し、1つ以上の容器21Bの対応する1つに接続される。
【0021】
容器21A,21Bのそれぞれの内部には、内部空洞23が形成される。流路管15のそれぞれでは、突出部(第1の突出部)31Aは、1つ以上の容器21Aの対応する1つの内部空洞23に、挿入される。また、流路管15のそれぞれでは、突出部(第2の突出部)31Bは、1つ以上の容器21Bの対応する1つの内部空洞23に、挿入される。
【0022】
ある一例では、ポンプ(図示しない)等によって、1つ以上の容器21Aのそれぞれの内部空洞23に、冷却流体が供給される。そして、流路管15のそれぞれでは、1つ以上の容器21Aの中の接続される1つの内部空洞23から、流路に冷却流体が流入する。そして、流路管15のそれぞれの流路では、1つ以上の容器21Aの中の接続される1つから、1つ以上の容器21Bの中の接続される1つに向かって、冷却流体が流れる。そして、流路管15のそれぞれでは、流路を流れた冷却流体が、1つ以上の容器21Bの中の接続される1つの内部空洞23へ、排出される。そして、1つ以上の容器21Bのそれぞれの内部空洞23から、冷却流体が排出され、ポンプ等によって、再び1つ以上の容器21Aのそれぞれの内部空洞23へ、冷却流体が供給される。
【0023】
前述のように、流路管15のそれぞれの流路に冷却流体を流すことにより、電動機1において、コイル巻線7が冷却される。これにより、コイル巻線7の温度上昇等が、適切に抑制される。また、前述のように冷却流体が流れるため、1つの容器21Aから複数の流路管15のそれぞれの流路へ、冷却流体が流入可能となる。そして、複数の流路管15のそれぞれの流路から1つの容器21Bへ、冷却流体を排出可能となる。なお、ある一例では、流路管15のそれぞれにおいて、1つ以上の容器21Bの中の接続される1つの内部空洞23から、冷却流体が流路に流入する。この場合、流路管15のそれぞれでは、1つ以上の容器21Aの中の接続される1つの内部空洞23へ、冷却流体が流路から排出される。
【0024】
図5等に示すように、コイル巻線7は、複数の導線16を備え、コイル巻線7では、複数の導線16が束ねられる導線束17が形成される。導線16のそれぞれは、銅線等の導電性を有する金属から形成される金属線、又は、金属線の外周を絶縁膜で覆った絶縁被覆線である。本実施形態では、コイル巻線7のコイル導体10のそれぞれにおいて、導線束17が、延設端E1から延設端E2まで、コイル辺部11、折返し部13及びコイル辺部12を順に通って、延設される。また、コイル巻線7では、導線束17は、延設軸αを有し、延設軸αを中心として延設軸αに沿って延設される。導線束17では、延設軸αに近づく側が、内周側となり、延設軸αから離れる側が、外周側となる。導線束17は、導線束17において最外周を形成する外表面(外周面)を有する。本実施形態では、コイル巻線7のコイル辺部11,12のそれぞれの外表面(外周面)は、導線束17の外表面(外周面)によって、形成される。そして、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の外表面(外周面)に、1つ以上の流路管15が配置される。
【0025】
また、
図3乃至
図5等に示すように、本実施形態では、コイル巻線7のコイル辺部11,12のそれぞれにおいて、被覆部材18が、導線束17、及び、導線束17の外表面に配置される流路管15を、導線束17の外周側から覆う。被覆部材18は、非電導性(電気的絶縁性)を有し、例えば、非電導性を有する樹脂から形成されるチューブである。コイル辺部11,12のそれぞれでは、被覆部材18は、延設軸αの軸回り方向(導線束17の周方向)について全周に渡って、導線束17、及び、導線束17の外表面に配置される流路管15を覆う。
【0026】
また、コイル巻線7において流路管15が配置される部位であるコイル辺部11,12のそれぞれでは、延設軸αに沿う方向として、導線束17の延設方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が規定される。そして、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の延設方向に対して交差する(直交又は略直交する)第1の方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、導線束17の延設方向及び第1の方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)第2の方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)が、規定される。本実施形態では、コイル辺部11,12のそれぞれにおいて、導線束17の延設方向は、電動機1の軸方向と一致又は略一致する。そして、第1の方向は、電動機1の径方向と一致又は略一致し、第2の方向は、電動機1の周方向と一致又は略一致する。
【0027】
図4では、第2の方向の一方側から視た状態でコイル辺部(11又は12)が示され、
図5では、導線束17の延設方向に直交又は略直交する断面が示される。また、コイル辺部11,12のそれぞれでは、1つ以上の流路管15が、導線束17の延設方向に沿って、導線束17の外表面(外周面)に延設される。
【0028】
コイル巻線7のコイル辺部11,12のそれぞれでは、第1の方向に沿ったコイル巻線7の寸法L1は、第2の方向に沿ったコイル巻線7の寸法L2に比べて、大きい。すなわち、導線束17の延設方向に直交又は略直交するコイル辺部11,12のそれぞれの断面形状では、第1の方向に沿った寸法L1が、第2の方向に沿った寸法L2に比べて、大きい。
【0029】
本実施形態では、コイル辺部11,12のそれぞれにおいて、導線束17の外表面(外周面)に、一対の主面25,26、及び、一対の縁部27,28が形成される。コイル辺部11,12のそれぞれでは、縁部27,28のそれぞれは、一対の主面25,26の間に、第2の方向に沿って延設される。また、導線束17においてコイル辺部11,12のそれぞれを形成する部位では、主面25,26のそれぞれは、一対の縁部27,28の間に、第1の方向に沿って延設される。
【0030】
コイル辺部11,12のそれぞれでは、主面(第1の主面)25は、第2の方向の一方側を向き、主面(第2の主面)26は、第2の方向について、主面25とは反対側を向く。このため、コイル辺部11,12のそれぞれでは、主面25は、電動機1の周方向の一方側を向き、主面26は、電動機1の周方向について、主面25とは反対側を向く。また、導線束17においてコイル辺部11,12のそれぞれを形成する部位では、主面25は、第2の方向について一方側の端を形成し、主面26は、第2の方向について主面25とは反対側の端を形成する。
【0031】
コイル辺部11,12のそれぞれでは、縁部(第1の縁部)27は、第1の方向の一方側を向き、縁部(第2の縁部)28は、第1の方向について、縁部27とは反対側を向く。また、導線束17においてコイル辺部11,12のそれぞれを形成する部位では、縁部27は、第1の方向について一方側の端を形成し、縁部28は、第1の方向について縁部27とは反対側の端を形成する。本実施形態では、コイル辺部11,12のそれぞれにおいて、縁部27は、電動機1の径方向の一方側を向き、縁部28は、電動機1の径方向について、縁部27とは反対側を向く。
【0032】
また、コイル辺部11,12のそれぞれでは、縁部27は、電動機1の内周側を向き、回転子2が位置する側を向く。そして、コイル辺部11,12のそれぞれでは、縁部28は、電動機1の外周側を向き、回転子2が位置する側とは反対側を向く。このため、導線束17においてコイル辺部11,12のそれぞれを形成する部位では、縁部27によって、回転子2が位置する側の縁が形成され、縁部28によって、回転子2が位置する側とは反対側の縁が形成される。
【0033】
コイル辺部11,12のそれぞれでは、複数の導線16が配列された導線列32が、導線束17に形成される。
図5等の一例では、コイル辺部11,12のそれぞれにおいて、3つの導線列32が導線束17に形成され、導線列32のそれぞれにおいて、7つの導線16が配列される。導線列32のそれぞれでは、第1の方向に沿って、複数の導線16が並んで配置される。このため、コイル巻線7のコイル辺部11,12のそれぞれでは、導線列32のそれぞれにおける導線16の配列方向は、第1の方向と一致又は略一致し、導線束17の延設方向に対して交差する(直交又は略直交する)。
【0034】
また、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の外表面において一対の主面25,26のそれぞれに、流路管15が1つ以上ずつ配置される。そして、コイル辺部11,12のそれぞれでは、一対の主面25,26のそれぞれに、複数の流路管15が配列された流路管列33が形成される。
図5等の一例では、コイル辺部11,12のそれぞれにおいて、主面25,26のそれぞれに、1つの流路管列33が形成され、流路管列33のそれぞれでは、7つの流路管15が配列される。コイル辺部11,12のそれぞれでは、流路管列33のそれぞれにおいて、第1の方向に沿って、複数の流路管15が並んで配置される。このため、コイル辺部11,12のそれぞれでは、流路管列33のそれぞれにおける流路管15の配列方向は、第1の方向と一致又は略一致し、導線列32のそれぞれにおける導線16の配列方向と一致又は略一致する。
【0035】
ここで、導線列32のそれぞれにおいて配列方向(コイル辺部11,12のそれぞれでの第1の方向)について隣り合う導線16の間のピッチ(第1のピッチ)β1、及び、流路管列33のそれぞれにおいて配列方向について隣り合う流路管15の間のピッチ(第2のピッチ)β2を、規定する。ピッチβ2は、ピッチβ1に対して、80%以上かつ120%以下の大きさとなる。したがって、ピッチβ1とピッチβ2との差分(差の絶対値)は、ピッチβ1に対して20%以内となる。
【0036】
また、導線16のそれぞれについて、延設方向(導線束17の延設方向)に直交又は略直交する断面において外周で囲まれた部分の断面形状を、断面形状(第1の断面形状)γ1として規定する。同様に、流路管15のそれぞれについて、延設方向(コイル辺部11,12のそれぞれでの導線束17の延設方向)に直交又は略直交する断面において外周で囲まれた部分の断面形状を、断面形状(第2の断面形状)γ2として規定する。複数の導線16の間では、断面形状γ1は、互いに対して合同形状又は略合同形状となる。そして、複数の流路管15の間では、断面形状γ2は、互いに対して合同形状又は略合同形状となる。
【0037】
ある一例では、流路管15のそれぞれの断面形状γ2は、導線16のそれぞれの断面形状γ1に対して、合同形状又は略合同形状となる。また、別のある一例では、流路管15のそれぞれの断面形状γ2は、導線16のそれぞれの断面形状γ1に対して、相似形状又は略相似形状となる。この場合、流路管15のそれぞれの断面形状γ2の断面積は、導線16のそれぞれの断面形状γ1の断面積に対して、80%以上かつ120%以下の大きさとなる。したがって、断面形状γ1の断面積と断面形状γ2の断面積との差分(差の絶対値)は、断面形状γ1の断面積に対して20%以内となる。
【0038】
図5等の一例では、断面形状γ1,γ2のそれぞれは、円形状又は略円形状となる。そして、導線束17の一対の主面25,26のそれぞれは、導線列32の対応する1つによって、形成される。
図5等の一例では、コイル辺部11,12のそれぞれにおいて、導線束17の主面25,26のそれぞれは、凸部分と凹部分が第1の方向に沿って交互に配置される凸凹形状に、形成される。主面25,26のそれぞれの凸凹形状では、凸部分が、第2の方向の外側(外周側)に突出し、凹部分が、第2の方向の内側(内周側)へ凹む。そして、導線束17の主面25,26のそれぞれでは、対応する導線列32において配列方向に隣り合う導線16の間の部分によって、凸凹形状の凹部分が形成される。コイル辺部11,12のそれぞれでは、主面25,26のそれぞれに形成される前述の凸凹形状において、凹部分のそれぞれに流路管15の対応する1つが配置される。
【0039】
本実施形態では、コイル巻線7において、複数の導線16が束ねられる導線束17が、形成される。そして、導線束17の外表面(外周面)に、流路管15が配置される。このため、導線束17の内部に流路管15が配置される場合等に比べて、コイル巻線7に流路管15を設置し易くなる。すなわち、導線束17の内部に流路管15が配置される場合等に比べて、複数の導線16及び流路管15を、互いに対して組付け易くなる。これにより、コイル巻線7への流路管15の設置における作業効率、すなわち、複数の導線16及び流路管15の互いに対する組付けにおける作業効率が、適切に確保される。
【0040】
また、流路管15が配置されるコイル辺部11,12のそれぞれでは、第1の方向に沿ったコイル巻線7の寸法L1は、第2の方向に沿ったコイル巻線7の寸法L2に比べて、大きい。そして、導線束17においてコイル辺部11,12のそれぞれを形成する部分では、複数の流路管15は、第1の方向に沿って並んで配置される。これにより、流路管15のそれぞれの流路を流れる冷却流体によって、コイル辺部11,12を含むコイル巻線7が有効に冷却される。
【0041】
また、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の外表面に、一対の主面25,26が形成され、主面25,26は、第2の方向について互いに対し反対側を向く。そして、コイル辺部11,12のそれぞれでは、両方の主面25,26のそれぞれに流路管15が配置される。これにより、流路管15のそれぞれの流路を流れる冷却流体によるコイル巻線7の冷却性能が、向上する。
【0042】
また、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の導線列32のそれぞれにおいて、第1の方向(配列方向)に沿って、複数の導線16が並んで配置される。そして、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の外表面において、第1の方向(配列方向)に沿って、流路管列33を形成する複数の流路管15が並んで配置される。そして、配列方向について隣り合う流路管15の間のピッチβ2は、配列方向について隣り合う導線16の間のピッチβ1に対して、80%以上かつ120%以下の大きさとなる。このような構成であるため、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の外表面に第1の方向(導線16の配列方向)に沿って形成される前述の凸凹形状において、凹部分に流路管15が適切に配置される。また、本実施形態では、ピッチβ2をピッチβ1に対して80%以上とすることより、隣り合う流路管15の間のピッチβ2が小さくなり過ぎない。これにより、流路管15のそれぞれの肉厚が増大することが、防止され、流路管15のそれぞれにおいて冷却流体の流量が減少することが、防止される。
【0043】
導線束17の外表面に形成される凸凹形状のそれぞれでは、凹部分に流路管15が配置されることにより、凹部分に配置された流路管15の導線束17(コイル巻線7)への接触範囲が増加する。流路管15の1つ以上において導線束17との接触範囲が増加することにより、流路管15のそれぞれの流路を流れる冷却流体によるコイル巻線7の冷却性能が、向上する。
【0044】
(変形例)
なお、前述の実施形態では、導線16のそれぞれの断面形状γ1、及び、流路管15のそれぞれの断面形状γ2は、円形状又は略円形状であるが、これに限るものではない。
図6に示す第1の変形例では、導線16のそれぞれの断面形状γ1、及び、流路管15のそれぞれの断面形状γ2は、四角形状又は略四角形状に形成される。本変形例でも、コイル巻線7のコイル辺部11,12のそれぞれにおいて、導線束17の外表面(外周面)に流路管15が配置される。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、複数の導線16及び流路管15の互いに対する組付けにおける作業効率が、適切に確保される。
【0045】
また、本変形例でも、コイル辺部11,12のそれぞれにおいて、第1の方向に沿ったコイル巻線7の寸法L1は、第2の方向に沿ったコイル巻線7の寸法L2に比べて、大きい。そして、コイル辺部11,12のそれぞれでは、導線束17の外表面に、複数の流路管15が、第1の方向に沿って並んで配置される。また、コイル辺部11,12のそれぞれでは、一対の主面25,26のそれぞれに、流路管15が配置される。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、流路管15のそれぞれの流路を流れる冷却流体によるコイル巻線7の冷却性能が、向上する。
【0046】
また、前述の実施形態等では、導線束17の外表面において、一対の縁部27,28に流路管15が配置されていない。ただし、ある変形例では、導線束17の外表面において、一対の縁部27,28のいずれかに流路管15が配置されてもよい。この場合も、導線束17の外表面に流路管15が配置されるため、前述の実施形態等と同様に、複数の導線16及び流路管15の互いに対する組付けにおける作業効率が、適切に確保される。
【0047】
図7に示す第2の変形例でも、コイル巻線7のコイル辺部11,12のそれぞれにおいて、導線束17の外表面(外周面)に流路管15が配置される。ただし、コイル辺部11,12のそれぞれでは、縁部(第1の縁部)27及びその近傍を含む領域S1において、縁部(第2の縁部)28及びその近傍を含む領域S2に比べて、導線束17の外表面に配置される流路管15の数密度が高い。したがって、コイル辺部11,12のそれぞれでは、回転子2が位置する側(電動機1の内周側)の端部において、回転子2が位置する側とは反対側(電動機1の外周側)の端部に比べて、外表面に流路管15が密に配置される。
【0048】
コイル辺部11,12を含むコイル巻線7では、回転子2に近い部位ほど、回転子2に発生する前述の渦電流に起因する熱の影響を受け易くなり、温度が上昇し易い傾向にある。本変形例のコイル辺部11,12のそれぞれでは、前述のように、領域S1等の回転子2が位置する側の端部において、流路管15の数密度が高くなる。このため、回転子2が回転している状態でのコイル巻線7(コイル辺部11,12)における温度分布に対応させて、コイル巻線7において温度が上昇し易い領域に、適切に流路管15が配置される。これにより、回転子2が回転している状態等では、コイル巻線7において温度が上昇し易い領域が、適切に冷却される。
【0049】
また、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、導線束17の外表面に、流路管15が配置される。このため、コイル巻線7への流路管15の設置等では、コイル巻線7において温度が上昇し易い領域等の、コイル巻線7における温度分布に対応した適切な領域に、流路管15を容易かつ適切に配置可能となる。
【0050】
また、前述の実施形態等では、コイル巻線7の中心軸は、電動機1の周方向に沿うが、コイル巻線7の構成はこれに限るものではない。コイル巻線7(コイル巻線7を形成する導線16)に電圧(交流電圧)が印加されることにより前述のように回転磁界が発生し、コイル巻線7によって発生する回転磁界によって、回転子2が回転する構成であれば、コイル巻線7の構成は、特に限定されない。
【0051】
また、前述の実施形態等では、流路管15のそれぞれにおいて、突出部31Aは、電動機1の軸方向の一方側へコイル巻線7から突出し、突出部31Bは、電動機1の軸方向について突出部31Aが突出する側とは反対側へコイル巻線7から突出するが、突出部31A,31Bの突出方向は、前述の実施形態等の構成に限るものではない。電動機1では、容器21Aが、コイル巻線7から離れて配置され、容器21Bが、容器21Aが位置する側とは反対側へコイル巻線7から離れて配置されていればよい。そして、容器21Aに向かってコイル巻線7から突出する突出部31Aが、容器21Aの内部空洞23に挿入され、容器21Bに向かってコイル巻線7から突出する突出部31Bが、容器21Bの内部空洞23に挿入されればよい。
【0052】
前述したいずれの変形例においても、第1の実施形態等と同様に、コイル巻線7において、複数の導線16が束ねられる導線束17が形成される。そして、導線束17の外表面(外周面)に、流路管15が配置される。このため、いずれの変形例においても、第1の実施形態等と同様に、複数の導線16及び流路管15の互いに対する組付けにおける作業効率が、適切に確保される。
【0053】
また、前述の実施形態等においてコイル巻線7を冷却する冷却構造は、発電機においてコイル巻線を冷却する冷却構造としても、適用可能である。発電機では、回転子を回転することにより、回転磁界が発生する。そして、回転子の回転によって発生する回転磁界により、固定子のコイル巻線に電圧(起電力)を誘起する。発電機においても、前述の実施形態等と同様の冷却構造によって、固定子のコイル巻線が冷却される。したがって、前述した実施形態等の冷却構造は、電動機及び発電機等の回転電機において適用可能である。
【0054】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、コイル巻線では、複数の導線が束ねられる導線束が形成され、流路管は、導線束の外表面に配置される。これにより、コイル巻線を形成する複数の導線、及び、冷却流体が流れる流路管の互いに対する組付けにおいて作業効率が適切に確保される回転電機における冷却構造を提供することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…電動機、2…回転子、3…固定子、7…コイル巻線、15…流路管、16…導線、17…導線束、21A,21B…容器、23…内部空洞、25…主面(第1の主面)、26…主面(第2の主面)、27,28…縁部、31A,31B…突出部、32…導線列、33…流路管列。