(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118482
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】コルセット
(51)【国際特許分類】
A41C 1/00 20060101AFI20230818BHJP
A61F 5/02 20060101ALI20230818BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20230818BHJP
A41C 1/02 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A41C1/00 G
A61F5/02 K
A41D13/05 106
A41D13/05 125
A41C1/02 B
A41C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021449
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】592145028
【氏名又は名称】中山式産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】中山 資紀
【テーマコード(参考)】
3B011
3B131
4C098
【Fターム(参考)】
3B011AB08
3B011AC04
3B011AC17
3B131AA03
3B131AA29
3B131AB11
3B131BA02
3B131BA11
3B131BA21
3B131BA41
4C098AA01
4C098BB05
4C098BC03
4C098BC13
4C098BC20
4C098BD01
(57)【要約】
【課題】 長期にわたって使用しつづけても筋力の低下を可及的に防止するコルセットを提供する。
【課題を解決するための手段】
腰部に巻き付ける本体ベルトと、本体ベルトの下方に配置する補助ベルトと、を有し、本体ベルトは、補助ベルトを上下方向に移動させるために案内をする係合受け部と、補助ベルトは、上下方向に移動するために係合受け部に案内される係合部と、を有し、補助ベルトを上下方向に移動させるときに係合部が係合受け部に案内されるコルセットである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰部に巻き付ける本体ベルトと、
前記本体ベルトの下方に配置する補助ベルトと、を有し、
前記本体ベルトは、前記補助ベルトを上下方向に移動させるために案内をする係合受け部と、
前記補助ベルトは、上下方向に移動するために前記係合受け部に案内される係合部と、を有し、
前記補助ベルトを上下方向に移動させるときに前記係合部が前記係合受け部に案内されるコルセット。
【請求項2】
前記補助ベルトは、前記腰部の下部にあてがう主要部と、前記主要部の両脇に補助右端部と補助左端部と、を有し、
前記係合部は、前記主要部に配置するとともに、前記補助右端部と前記補助左端部は、前記本体ベルトに接続する請求項1記載のコルセット。
【請求項3】
前記係合受け部は、前記係合部が移動したときに、その移動した位置を維持するする係合維持部と、をさらに有し、前記係合維持部に、前記係合部が配置されることでその位置を維持する請求項1または2に記載のコルセット。
【請求項4】
前記係合維持部は、複数有する請求項3記載のコルセット。
【請求項5】
腰部に巻き付ける本体ベルトと、
前記本体ベルトの下方に配置する補助ベルトと、を有し、
前記本体ベルトは、前記補助ベルトが上下方向に移動したときに固定する被係止部と、
前記補助ベルトは、上下方向に移動して固定されるために前記被係止部と係止する係止部と、を有し、
前記係止部と前記係止受け部が係止することで、上下方向に移動した前記補助ベルトが固定するコルセット。
【請求項6】
腰部に巻き付けて締め付けるために右側に配置した一端と他端を具備する第1右ベルト部と、
腰部に巻き付けて締め付けるために左側に配置した一端と他端を具備する第1左ベルト部と、
前記第1右ベルト部の一端と、前記第1左ベルト部の一端は、前記本体ベルトの左右方向の中央に配置するとともに、
前記第1右ベルト部の他端と、前記第1左ベルト部の他端は、前記補助ベルトの左右方向の中央に配置する請求項1から5のいずれかに記載のコルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に腰椎や骨盤を引締める力を発揮することができるコルセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
腰椎や骨盤を引き締め、固定することによって腰への負担を軽減する腰部補強ベルトが知られている。このようなものとして、特開2017―179663号公報が開示されている。この骨盤補強ベルトは、腰回りに巻回して止着し、骨盤を補強することができるベルト本体と、このベルト本体を引きつけるために、一方はベルト本体のほぼ中央に固定し、他方は第1環部を有する右腰締め付けベルトと、ベルト本体を引きつけるために、一方はベルト本体のほぼ中央に固定し、他方は第2環部を有する左腰締め付けベルトと、右腰締め付けベルトを引きつけるために、一方はベルト本体に固定し、他方はベルト本体の端部と取り外し可能に構成され、さらに、右腰締め付けベルトにおける第1環部内に挿通された右作動ベルトと、左腰締め付けベルトを引きつけるために、一方はベルト本体に固定し、他方はベルト本体の端部と取り外し可能に構成され、さらに、左腰締め付けベルトにおける第2環部内に挿通された左作動ベルトと、を具備するというものである。
【0003】
上記腰部補強ベルトは、環状を呈する第1環部および第2環部を有するともに、右作動ベルトと、左作動ベルトと、をそれぞれ引っ張ることにより、第1環部および第2環部がいわば滑車のように作用することで左腰締め付けベルトと、右腰締め付けベルトと、を引きつけることによって、女性や高齢者のように、引締め力を十分に発揮することができない者であっても、容易に腰を引締める力を発揮することができるものである。
【0004】
その腰部補強ベルトは、急性の腰痛を緩和するために使用するものであり、それによって腰部の可動部分の動作を制限することで、疼痛を緩和し、あるいは安心感を得ることができる。
【0005】
しかしながら、その腰部補強ベルトを使用し続けると筋力の低下を招く恐れがある。一方で、その使用を止めると、疼痛がぶり返す場合が考えられるとともに、安心感を得られるといった効果を失うこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、長期にわたって使用しつづけても筋力の低下を可及的に防止するコルセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、第1観点のコルセットは、腰部に巻き付ける本体ベルトと、本体ベルトの下方に配置する補助ベルトと、を有し、本体ベルトは、補助ベルトを上下方向に移動させるために案内をする係合受け部と、補助ベルトは、上下方向に移動するために係合受け部に案内される係合部と、を有し、補助ベルトを上下方向に移動させるときに係合部が係合受け部に案内されるというものである。
有する骨盤補強ベルトである。
【0009】
また、第2観点のコルセットは、第1観点において、補助ベルトは、腰部の下部にあてがう主要部と、主要部の両脇に補助右端部と補助左端部と、を有し、係合部は、主要部に配置するとともに、補助右端部と補助左端部は、本体ベルトに接続するというものである。
【0010】
また、第3観点のコルセットは、第1観点または第2観点において、係合受け部は、係合部が移動したときに、その移動した位置を維持するする係合維持部と、をさらに有し、係合維持部に、係合部が配置されることでその位置を維持するというものである。
【0011】
また、第4観点のコルセットは、第1観点から第3観点において、係合維持部は、複数有するというものである。
【0012】
また、第5観点のコルセットは、腰部に巻き付ける本体ベルトと、本体ベルトの下方に配置する補助ベルトと、を有し、本体ベルトは、補助ベルトが上下方向に移動したときに固定する被係止部と、補助ベルトは、上下方向に移動して固定されるために被係止部と係止する係止部と、を有し、係止部と前記係止受け部が係止することで、上下方向に移動した補助ベルトが固定するというものである。
【0013】
また、第6観点のコルセットは、第1観点から第5観点において、腰部に巻き付けて締め付けるために右側に配置した一端と他端を具備する第1右ベルト部と、
腰部に巻き付けて締め付けるために左側に配置した一端と他端を具備する第1左ベルト部と、第1右ベルト部の一端と、第1左ベルト部の一端は、本体ベルトの左右方向の中央に配置するとともに、第1右ベルト部の他端と、第1左ベルト部の他端は、補助ベルトの左右方向の中央に配置するというものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、長期にわたって使用しつづけても筋力の低下を可及的に防止するコルセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】幅広の状態の第1実施例のコルセットの正面図である。
【
図2】幅広の状態の第1実施例のコルセットの背面図である。
【
図4】幅狭の状態及び中間幅の状態の第1実施例のコルセットの正面図である。
【
図5】幅狭の状態及び中間幅の状態の第1実施例のコルセットの背面図である。
【
図7】Aは、係合部の正面図である。Bは、係合受け部の正面図である。
【
図8】Aは、幅広の状態、幅狭の状態及び中間幅の状態の係合部と、係合受け部の概念側面図である。Bは、幅広の状態、幅狭の状態及び中間幅の状態の係合部と、係合受け部が、係合した状態の概念正面図である。
【
図9】使用者が、第1実施例のコルセットを装着しようとする正面使用状態図である。
【
図10】使用者が、第1実施例のコルセットを装着した状態の正面使用状態図である。
【
図11】使用者が、第1実施例のコルセットを装着した状態において、幅広の状態の背面使用状態図である。
【
図12】使用者が、第1実施例のコルセットを装着した状態において、幅狭状態の背面使用状態図である。
【
図13】幅広の状態の第2実施例のコルセットの正面図である。
【
図14】幅広の状態の第2実施例のコルセットの背面図である。
【
図15】Aは、
図13のXV-XV線断面図である。Bは、Aの幅狭の状態の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図示の実施形態を参照して第1実施例について説明する。第1実施例のコルセット10は、腰痛を緩和するために用いられるものであり、腰部分の動作を制限するために用いられるものである。第1実施例のコルセット10は、その幅が広い幅広H1(
図1、2、3参照)から幅が狭い幅狭H2(
図4、5、6参照)の状態へと、後述するように段階的に変更することができる。
【0017】
第1実施例のコルセット10は、使用者Pの腰部に巻き付けて締め付けるための本体ベルト100と、正面視において本体ベルト100の下方に配置する補助ベルト200と、を有するものである。本体ベルト100は、左右方向において、使用者Pの腰に巻き付けるために十分な長さを有する。
【0018】
本体ベルト100は、使用者Pの腰にあてがうための腰当部110と、その右R方向において、上下UD方向に配置された帯状を呈する右縦帯部112を介して配置する伸縮する右伸縮部120と、その腰当部110の左L方向において、上下UD方向に配置された帯状を呈する左縦帯部113を介して配置する左伸縮部130と、その右伸縮部120の右R方向に配置する右取り付け部140と、左伸縮部130の左L方向に配置する左取り付け部150とを有する。腰当部110は、文字通り使用者Pの腰に当接するものであり、上方になだらかな凸状にすることも好ましい。また、腰当部110の表面と裏面はメッシュ構造を有する高強度の布材を張ることによって通気性を確保することも好ましい。また、その表面と裏面の間に合成樹脂製であって薄板状の芯材(図示しない)が配置されている。また、腰当部110の左右方向LRの中心において、上下UD方向に配置された帯状の縦帯部111が縫着されている。
【0019】
また、伸縮する右伸縮部120は、伸縮するゴム編み物および伸縮またはストレッチ性のある生地が好ましく、トリコットと称される生地が好ましい。なお、左伸縮部130も同様である。
【0020】
また、第1実施例のコルセット10における右取り付け部140と左取り付け部150の表面は、ともに、メス型面ファスナーで構成されている。また、右取り付け部140の先端部141の裏面は、Cの字形状を呈し、オス型面ファスナーである先端オス型面ファスナー142を有している。また、右取り付け部140に裏面において、左右方向に帯状を呈するメス型面ファスナーであるメス型面ファスナー145を有している。また、左取り付け部150の先端151には、Dの字状を呈するオス型面ファスナーであるオス型面ファスナー部152が配置されている。オス型面ファスナー部152は、第1実施例のコルセット10を使用者Pの腰部分に巻き付けたときにメス型面ファスナー145と係止する。
【0021】
また、腰当部110において、縦帯部111の左右両脇に、後述する突起状の突起部212aを有する係合部212を案内する係合受け部115、115を有する。係合受け部115は、上方U方向に延びる、一対のレール部116、116を有し、その間の隙間sに係合部212が嵌合する。また、レール部116は、係合部212の移動した位置を維持する係合維持部116aを有する。係合維持部116aは、レール部116において、係合部212が接する接点116bと接点116bとの間に配置され、その接点116bと接点116bとの間の係合維持部116a、係合維持部116aに係合部212における突起部212aが配置されることで、その係合部212の位置が維持されるのである。すなわち、係合部212が移動する際に、突起部212aが隙間sに突出する接点116bをのり越えなくては、移動することができないが、それを越えるときの抵抗が係合部212の移動を阻むのである。この場合、さらに強い力で係合部212における突起部212aを移動させると、その突起部212aが弾性変形することで、隙間の狭い接点116bと接点116bを乗り越えて、次の隙間の広い係合維持部116a、116aにその係合部212における突起部212aが配置されることで、その位置を維持することができる。なお、一対のレール部116、116は多数の接点116bと、多数の係合維持部116aとを交互に有する。したがって、多段階にその第1実施例のコルセット10の幅を変位させることができる。なお、理解容易のためにその幅が広い幅広H1から幅が狭い幅狭H2及びそれらの間の中間幅H3の説明にとどめている(特に
図3、6、7参照)。
【0022】
補助ベルト200は、上述の通り、正面視において本体ベルト100の下方に配置されている。補助ベルト200は、使用者Pの腰部の下部にあてがう主要部210と、その左右両脇に、それぞれ補助右縦帯部214及び補助左縦帯部215を介して伸縮する補助右端部220と補助左端部230と、を有する。
【0023】
主要部210は、その表面と裏面はメッシュ生地で構成され、その間に合成樹脂製であって薄板状の芯材(図示しない)が配置されている。また、主要部210の左右方向LRの中心において、上下UD方向に帯状を呈するの補助縦帯部211が縫着されている。
【0024】
主要部210の裏面に裏面部211には、上述の係合部212、212が配置されている。係合部212、212は、突起状の突起部212a、212aを有し、その突起部212aがレール部116、116の間の隙間sに配置され、係合部212と、係合受け部115が係合する。なお、係合部212を案内する係合受け部115、115の説明はすでに述べた通りである。
【0025】
また、補助ベルト200は、本体ベルト100に接続されている。具体的には、補助右端部220の右R方向においては、本体ベルト100における後述する右縦帯部160を介して右取り付け部140に接続されている。また、補助左端部230の左L方向においては、本体ベルト100における後述する左縦帯部170を介して左取り付け部150に接続されている。また、補助右端部220および補助左端部230も、右伸縮部120および左伸縮部130と同様に伸縮性を有することが好ましく、ともに、伸縮するゴム編み物および伸縮またはストレッチ性のある生地が好ましく、トリコットと称される生地が好ましい。
【0026】
第1実施例のコルセット10において、本体ベルト100における右伸縮部120と補助ベルト200における補助右端部220とは上下に配置されるとともに、それらの右R方向は上下UD方向に帯状を呈する右縦帯部160を介して右取り付け部140に接続されている。同様に、第1実施例のコルセット10において、本体ベルト100における左伸縮部130と補助ベルト200における補助左端部230とは上下に配置されるとともに、それらの左L方向は上下UD方向に帯状を呈する左縦帯部170を介して左取り付け部150に接続されている。
【0027】
また、第1実施例のコルセット10は、使用者Pの骨盤を引き締めるために帯状の第1右ベルト部320と第1左ベルト部330とを有している。第1右ベルト部320はループ状を呈し、その一端部である右一端部321は、縦帯部111において、正面視中央においてやや右方向Rに接続されている。また、そのループ状の第1右ベルト部320は、バックル部420を有している。そのバックル部420は、第1開口部421を有し、その第1開口部421に第1右ベルト部320が、移動自由に挿通されている。また、第1右ベルト部320の他端である右他端部322は、補助ベルト200における補助縦帯部211に接続されている。なお、縦帯部111と、補助縦帯部211は上下に配置されているために、第1右ベルト部320は、横向きにV字状を呈するように配置されている。
【0028】
また、第1左ベルト部330はループ状を呈し、その一端部である左一端部331は、縦帯部111において、正面視中央においてやや左方Lに接続されている。また、そのループ状の第1左ベルト部330は、バックル部420を有している。そのバックル部420は、第1開口部421を有し、その第1開口部421に第1左ベルト部330は、移動自由に挿通されている。また、第1左ベルト部330の他端である左他端部332は、補助ベルト200における補助縦帯部211に接続されている。なお、縦帯部111と、補助縦帯部211は上下に配置されているために、第1左ベルト部330も、横向きにV字状を呈するように配置されている。
【0029】
第1実施例のコルセット10は、使用者Pが、引き付けるための右引手ベルト510を有している。一方で、上述のバックル部420は、第1開口部421と並んで、第2開口部422を有し、その第2開口部422に、上述の右引手ベルト510が移動自由に挿通されている。
【0030】
右引手ベルト510の一端である右引手一端部511は、右縦帯部160に接続されている。右引手ベルト510の他端である右引手他端部512は、使用者Pが把持するためのものであり、その裏面にオス型面ファスナー513が配置されている。したがって上述のメス型面ファスナーで構成されている右取り付け部140に、着脱可能に取り付けることができる。また、オス型面ファスナー513に右引手ベルト510の垂れ下がりを防止するための支持ベルト560が取り付けられている。なお、支持ベルト560は伸縮性を有するものである(
図9参照)。
【0031】
第1実施例のコルセット10は、使用者Pが、引き付けるための左引手ベルト520を有している。一方で、上述のバックル部420は、第1開口部421と並んで、第2開口部422を有し、その第2開口部422に、上述の左引手ベルト520が移動自由に挿通されている。
【0032】
左引手ベルト520の一端である左引手一端部521は、左縦帯部170に接続されている。左引手ベルト520の他端である左引手他端部522は、使用者Pが把持するためのものであり、その裏面にオス型面ファスナー523が配置されている。したがって上述のメス型面ファスナーで構成されている左取り付け部150に、着脱可能に取り付けることができる。また、オス型面ファスナー523に左引手ベルト520の垂れ下がりを防止するための支持ベルト560が取り付けられている。なお、支持ベルト560は伸縮性を有するものであることは上述の通りである。
【0033】
次に、第1実施例のコルセット10の使用方法について説明する。使用者Pの腰痛が初期の段階において、あらかじめ、補助ベルト200を、本体ベルト100に対して、下げるように配置する。この第1実施例のコルセット10は幅広の状態となったコルセット10を使用者Pの腰にあてがい、腹の部分において、Cの字形状を呈する先端オス型面ファスナー152を、メス型面ファスナーで構成されている右取り付け部140に取り付ける。このように第1実施例のコルセット10は、上記の通り幅が広い幅広の状態となり、使用者Pの腰部分の可動域を制限しつつ急性の腰痛を緩和することができる。
【0034】
このとき、係合部212が係合受け部115の最下部Xに位置すると(
図8B参照)、接点116bと接点116bの間にその係合部212が配置されているのでその位置を維持することができる(
図1等参照)。従って、第1実施例のコルセット10は、幅広H1の状態となる。
【0035】
次に、使用者Pの腰痛が緩和するに従い、その使用者Pの腰痛が中期の段階において中間位置Yに位置すると(
図8B参照)、そのコルセット10の幅を狭くするために、補助ベルト200aを、本体ベルト100に対して、上方に引き上げるように移動させる(
図4、5の補助ベルト200a参照)。このとき、第1実施例のコルセット10は、中間幅H3の状態となる(
図6参照)。
【0036】
係合部212が係合受け部115の最下部から上方の位置に移動する。このとき、係合部212がその接点116bと116bを乗り越えるように移動するたびに、クリックする感覚を感じ、補助ベルト200が上方に移動したことを知らせつつ、その移動の抵抗ともなる。
【0037】
さらに、使用者Pの腰痛が緩和するに従い、その使用者Pの腰痛が後期の段階において、いつまでも第1実施例のコルセット10を腰に装着すると筋力の低下を招く恐れがあるために、そのコルセット10の幅を狭くする必要がある。そのために、補助ベルト200を、本体ベルト100に対して、上方に引き上げるように移動させる。最終的には、補助ベルト200は、本体ベルト100に重なるような位置Zに配置され(
図8B参照)、そのコルセット10は、最も幅狭H2の状態となる(
図4、5、6参照)。
【0038】
使用者Pは、右引手ベルト510と左引手ベルト520を引っ張ると、上述のバックル部420、420がそれぞれ左方向Lおよび右方向Rに移動する。バックル部420、420における第1開口部421、421に挿通された第1右ベルト部320および、第1左ベルト部330は、それぞれ右方向Rおよび左方向Lに引かれ、それらはともに伸縮性を有しているために、その弾力性による緊締力は、腹部および腰回りに伝えられ、腹部および腰回りを締め付けることができる。
【0039】
第1実施例のコルセット10における係合受け部115は、多数の係合維持部116a、116aを有するのでその数だけ、係合部212の位置を維持することができる。したがって、第1実施例のコルセット10は、補助ベルト200の位置を多段階に維持することができるので使用者Pの体格に合わせて、その補助ベルト200の上下UD方向の任意の位置を維持することで、その幅を任意に変更することができる。よって、第1実施例のコルセット10は、幅を任意に調整することができるいわば調整機能を有するものである。
【0040】
このように、第1実施例のコルセット10は、腰痛の初期、中期、後期と、腰痛が完治するまでの間において、その幅を調整しつつ使用しつづけても、その幅を任意に調整することができるので筋力の低下を可及的に防止することができる。
【0041】
また、第2実施例のコルセット12は、第1実施例のコルセット10における本体ベルト100に配置されている係合受け部115に代えて、第2本体ベルト100’においてオス型面ファスナーで構成された被係止部610を配置したものである。また、補助ベルト200に配置された係合部212に代えて、第2補助ベルト200’において係止部620を配置したものである。他の構成は、第1実施例のコルセット10と同様であるために、同一の符号を付しその説明は省略する。
【0042】
係止部620は、第2補助ベルト200’において、上下に長い帯状を呈するもので、その上端部201’と、下端部202’にかけて配置されている。したがって、第2実施例のコルセット12の幅を最大限にする場合において第2補助ベルト200’を、第2本体ベルト100’に対して下方に配置する場合と、第2実施例のコルセット12の幅を最小限にする場合において第2補助ベルト200’を、第2本体ベルト100’に対して上方に配置する場合と、の間で、その第2補助ベルト200’を無段階に配置することができる。したがって、第2実施例のコルセット12は、腰痛の初期、中期、後期と、腰痛が完治するまでの間に割立て、その幅を調整しつつ使用しつづけても、その幅を任意に調整することができるのでその症状に合わせて筋力の低下を可及的に防止することができる。
【0043】
また、図示しないが、第2補助ベルト200’において、上、中、下と3か所のホックを取り付けるとともに、そのホックと係止する被ホック部を第2本体ベルト100’にはいちすることで、上記と同様に腰痛の初期、中期、後期と、腰痛が完治するまでの間に割立て、その幅を調整しつつ使用しつづけても、その幅を任意に調整することができるので筋力の低下を可及的に防止することができる。
【0044】
なお、上記の第1実施例のコルセット10または第2実施例のコルセット12において、オス型面ファスナーとメス型面ファスナーにし、メス型面ファスナーを、オス型面ファスナーにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 第1実施例のコルセット
12 第2実施例のコルセット
100 本体ベルト
110 腰当部
112 右縦帯部
115 係合受け部
116 レール部
116a 係合維持部
116b 接点
200 補助ベルト
210 主要部
212 係合部
212a 突起部
100’ 第2本体ベルト
200’ 第2補助ベルト
610 被係止部
620 係止部
s 隙間