IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京窯業株式会社の特許一覧

特開2023-118498非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラム
<>
  • 特開-非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラム 図1
  • 特開-非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラム 図2
  • 特開-非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラム 図3
  • 特開-非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118498
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2055 20180101AFI20230818BHJP
【FI】
G01N23/2055
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021473
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000220767
【氏名又は名称】東京窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松堂 人士
(72)【発明者】
【氏名】戸松 一郎
(72)【発明者】
【氏名】小池 康太
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA18
2G001BA22
2G001CA01
2G001KA01
2G001MA04
(57)【要約】
【課題】結晶相と非晶質相とを含む試料中の非晶質相を定量することができる非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラムを提供すること。
【解決手段】結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析装置であって、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する測定用試料調製部と、X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定するX線回折測定部と、前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部と、前記試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析装置であって、
前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する測定用試料調製部と、
X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定するX線回折測定部と、
前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部と、
前記試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部と、を備えることを特徴とする非晶質相定量分析装置。
【請求項2】
結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析装置であって、
前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する測定用試料調製部と、
前記測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定するための元素成分測定部と、
X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa、前記標準物質の定量値Xs及び前記定量不可相の定量値Xcを測定するX線回折測定部と、
前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記元素成分の質量割合Mcと前記結晶相の定量値Xaとに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部と、
前記試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部と、を備えることを特徴とする非晶質相定量分析装置。
【請求項3】
前記定量不可相が黒鉛、硫化モリブデン、硫化チタン、硫化タンタル、セレン化タングステンから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の非晶質相定量分析装置。
【請求項4】
前記定量不可相が黒鉛であることを特徴とする請求項2又は3に記載の非晶質相定量分析装置。
【請求項5】
前記試料が耐火物であることを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載の非晶質相定量分析装置。
【請求項6】
結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための定量分析方法であって、
前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程と、
X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定する第2工程と、
前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第3工程と、を含むことを特徴とする非晶質相定量分析方法。
【請求項7】
結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析方法であって、
前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程と、
前記測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する第2工程と、
X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa、前記標準物質の定量値Xs及び前記定量不可相の定量値Xcを測定する第3工程と、
前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記元素成分の質量割合Mcと前記結晶相の定量値Xaとに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程と、を含むことを特徴とする非晶質相定量分析方法。
【請求項8】
請求項6に記載の非晶質相定量分析方法を実施するために用いるコンピュータプログラムであって、
前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程と、
X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定する第2工程と、
前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第3工程と、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項7に記載の非晶質相定量分析方法を実施するために用いるコンピュータプログラムであって、
前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程と、
前記測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する第2工程と、
X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa、前記標準物質の定量値Xs及び前記定量不可相の定量値Xcを測定する第3工程と、
前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記元素成分の質量割合Mcと前記結晶相の定量値Xaとに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程と、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラムに関する。更に詳しくは、X線回折法によって定量することができない相、定量不可相を含む試料に含まれる非晶質相を定量することができる非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法およびそのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる耐火物は、窯業、冶金工業、化学工業、機械工業、ガラス工業等の産業において、原料の溶融処理や材料の加熱処理を行う設備の内張りに使用されている。耐火物は、主として、鉄鋼の高炉(溶鉱炉)、熱風炉、コークス炉、転炉、電気炉等の鉄鋼設備にも使用されている。耐火物は、耐熱衝撃性向上の目的で非晶質原料が添加されることがあるが、使用中に熱を受けるとその一部が結晶質に変化することがあり、その場合は耐火物の耐熱衝撃性が低下する。このため、耐火物が熱を受けた後の非晶質割合を正確に定量したいというニーズがある。
【0003】
このような耐火物を試料とし、かかる試料に含まれる結晶相の定量分析方法として、粉末X線回折(XRD)リートベルト法が普及している。粉末X線回折(XRD)リートベルト法は、試料が結晶性化合物である場合にのみ用いることができる定量分析法である。試料に非晶質相が含まれる場合には、粉末X線回折(XRD)リートベルト法を適用して、試料に含まれる結晶相と非晶質相の定量分析を直接行うことはできない。粉末X線回折(XRD)リートベルト法を用いて、非晶質相の粉末回折パターン(非晶質ハーロー)を解析することは困難である。
【0004】
そこで、既知量の内部標準物質を混合した試料を作製し、粉末X線回折(XRD)リートベルト法を用いて、上記内部標準物質を混合した試料を解析することにより、間接的に非晶質量を測定することができる非晶質相の定量方法が提案されている。すなわち、この非晶質相の定量方法は、結晶相と非晶質相とを含む試料中に含まれる非晶質相の定量分析を行う際に上記試料に内部標準として標準物質(SRM)を添加し、標準物質の粉末回折パターンを基準に非晶質相の定量分析を行う。この非晶質相の定量方法は、添加された標準物質(SRM)が既知であることを利用している。
【0005】
上記非晶質相の定量方法において、試料に含まれる結晶相を百分率で算出した場合、試料に含有される非晶質相の量に応じて、非晶質相は、はぶかれ、結晶相と標準物質で構成されたものと見做された形で算出される。つまり、上記非晶質相の定量方法において、非晶質相は定量計算から除外され、結晶相と添加された標準物質(SRM)で構成されたものと見做された形で算出される。このため、結晶相および標準物質(SRM)の含有割合は、除外された非晶質相の割合に応じて増加する。そこで、上記非晶質相の定量方法は、標準物質(SRM)を指標として用い、上記非晶質相の量に応じて増加した試料中の結晶相の増加率を算出することにより、試料中の非晶質相を定量することができる。
【0006】
しかしながら、内部標準として標準物質(SRM)を用いた非晶質相の定量方法は、試料に含まれる複数の結晶相について、それぞれの単一結晶相の試料の入手と、検量線の作成が必要となることから、定量方法として、迅速性と汎用性に欠けるという課題があった。
【0007】
このような課題に対して、特許文献1には、1の非晶質相を含む試料の定量分析をより簡便に行うことが出来る非晶質相の定量分析装置等が提案されている。特許文献1に記載された非晶質相の定量分析装置は、試料の粉末回折パターンに対して全パターンフィッティングを施すことにより定量分析を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-184254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。すなわち、特許文献1に記載された非晶質相の定量分析装置を用いて黒鉛等のような配向性が強く、層状構造を有する相を含む試料の定量分析をする場合には、当該試料を粉砕処理によって微細化及び均一化し、定量分析に適した粉末を得る必要がある。ここで、黒鉛等を含む試料は、粉砕処理によって、相転移を起こす場合がある。
【0010】
このため、特許文献1に記載された非晶質相の定量分析装置を用いて黒鉛等を含む試料の定量分析をする場合には、粉砕処理前の試料に含まれる非晶質相の割合と粉砕処理後の試料に含まれる非晶質相の割合が一致しない場合がある。すなわち、特許文献1に記載された非晶質相の定量分析装置を用いて黒鉛等を含む試料の定量分析は、定量分析の対象が試料の粉砕処理前と粉砕処理後で相違することなる。つまり、特許文献1に記載された非晶質相の定量分析装置を用いて試料の定量分析を行っても、試料に含まれる非晶質相を正確に定量することはできないという問題点がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、結晶相と非晶質相とを含む試料中の非晶質相を定量することができる非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料中の非晶質相及び定量不可相を定量することができる非晶質相定量分析装置、非晶質相定量分析方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明にかかる第1の非晶質相定量分析装置は、結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析装置であって、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する測定用試料調製部と、X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定するX線回折測定部と、前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部と、前記試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部とを備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、上記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明にかかる第2の非晶質相定量分析装置は、結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析装置であって、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する測定用試料調製部と、前記測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定するための元素成分測定部と、X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa、前記標準物質の定量値Xs及び前記定量不可相の定量値Xcを測定するX線回折測定部と、前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記元素成分の質量割合Mcと前記結晶相の定量値Xaとに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部と、前記試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部とを備えることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明にかかる第2の非晶質相定量分析装置は、
(a)前記定量不可相が黒鉛、硫化モリブデン、硫化チタン、硫化タンタル、セレン化タングステンから選ばれる少なくとも1つを含むこと、
(b)前記定量不可相が黒鉛であること、
(c)前記試料が耐火物であること等がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
【0015】
さらに、本発明にかかる第1の非晶質相定量分析方法は、結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための定量分析方法であって、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程と、X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定する第2工程と、前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第3工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる第2の非晶質相定量分析方法は、結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析方法であって、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程と、前記測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する第2工程と、X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa、前記標準物質の定量値Xs及び前記定量不可相の定量値Xcを測定する第3工程と、前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記元素成分の質量割合Mcと前記結晶相の定量値Xaとに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明にかかる第1のコンピュータプログラムは、上記第1の非晶質相の定量分析方法を実施するために用いるコンピュータプログラムであって、結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための定量分析方法であって、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程とX線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定する第2工程と前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第3工程とを含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる第2のコンピュータプログラムは、上記第2の非晶質相の定量分析方法を実施するために用いるコンピュータプログラムであって、結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析方法であって、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程と、前記測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する第2工程とX線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa、前記標準物質の定量値Xs及び前記定量不可相の定量値Xcを測定する第3工程と前記標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記元素成分の質量割合Mcと前記結晶相の定量値Xaとに基づいて前記結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程と含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、結晶相と非晶質相とを含む試料中の非晶質相を定量することができる。さらに、本発明によれば、結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料中の非晶質相を定量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態にかかる非晶質相定量分析装置の構成を示すブロック図である。
図2】第2実施形態にかかる非晶質相定量分析装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態にかかる非晶質相定量分析装置が採用する非晶質相定量分析方法(処理手順)を示したフローチャートである。
図4】第2実施形態にかかる非晶質相定量分析装置が採用する非晶質相定量分析方法(処理手順)を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態にかかる非晶質相定量分析装置100の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、非晶質相定量分析装置100は、試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する測定用試料調製部101と、X線回折法により測定用試料に含まれる結晶相の定量値Xa及び上記標準物質の定量値Xsを測定するX線回折測定部102と、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsと結晶相の定量値Xaに基づいて結晶相の質量割合Maを算出することにより非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部103と上記試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部104とを備える。以下、本実施形態の非晶質相定量分析装置が備えている各部材について説明する。
なお、本実施形態の非晶質相定量分析装置100は、以下で説明する各部材を制御するプロセスコンピュータまたは分散制御システム(DCS)を含んでいてもよい。
【0022】
<測定用試料調製部>
本実施形態の非晶質相定量分析装置100は、測定用試料調製部101を備えている。測定用試料調製部101は、X線回折測定部102によってX線回折測定の対象となる測定用試料を調製する。測定用試料は、定量分析の対象となる試料と標準物質からなる。このため、測定用試料調製部101は、定量分析の対象となる所定量の試料と所定量の標準物質(内部標準)とを粉砕し、混合することによって得ることができる。このため、測定用試料調製部101は、測定用試料に含まれる定量分析の対象となる試料の質量と標準物質の質量とを計測するための計測機能を備えている。さらに、測定用試料調製部101は、定量分析の対象となる試料と標準物質とを粉砕し、混合するための撹拌機能を備えた容器であることが好ましい。例えば、測定用試料調製部101は、定量分析の対象となる試料と標準物質の一次粉砕、二次粉砕及び粉砕後の測定用試料の乾燥を行うことができる装置であってもよい。具体的には、一次粉砕を振動ミル粉砕によって行なう場合には、ステンレス製ベッセルを採用することができる。二次粉砕・混合をボールミル混合によって行う場合には、プロピレン製の広口びん(例えば、アズワン株式会社製、商品名「アイボーイ」)を混合用容器とし、粉砕用ボール(ボールミル)としてジルコニアボールを採用することができる。
【0023】
本実施形態の非晶質相定量分析装置100の定量分析の対象となる試料は、非晶質相を含む試料、又は加熱により非晶質相を形成する試料であれば、特に制限されない。さらに、上記定量分析の対象となる試料は、熱を受けることにより、その形態が結晶質相から非晶質相に変化する試料であってもよい。また、上記定量分析の対象となる試料は、結晶質と非晶質と定量不可相とを含む試料であってもよい。定量不可相には、黒鉛、硫化モリブデン、硫化チタン、硫化タンタル、セレン化タングステンから選ばれる少なくとも1つが含まれる。特に、本実施形態の非晶質相定量分析装置100は、上記定量不可相を構成する化合物の中でも黒鉛を定量不可相として含む試料の定量分析に好適に用いられる。
【0024】
定量分析の対象となる試料は、耐火物から採取される。耐火物は、高温を扱う工業(冶金工業、化学工業、窯業、機械工業、ガラス工業など)で原料の溶融処理や材料の加熱処理を行う設備の内張りに使用する材料である。ここで、耐火物とは、1500℃以上の定形耐火物及び最高使用温度が800℃以上の不定形耐火物、耐火モルタル並びに耐火断熱れんがを意味する。耐火物は、製造様式の観点から、(i)成形れんがとブロック(電鋳耐火物、焼成耐火物、不焼成耐火物)、(ii)不定形素地(スタンプ材、吹付けと塗抹材、鋳込み素地、モルタル類)に分類される。定量分析の対象となる試料が採取される耐火物としては、石英、粘土質、ムライト質、アルミナ質、ジルコン質、ジルコニア質、ドロマイト質、マグネシア質、スピネル質、マグネシア-クロム質、炭素含有耐火物等を例示することができる。
【0025】
測定用試料調製部101により調製された測定用試料に含まれる標準物質は、測定用試料に含まれる内部標準相を形成する。上記標準物質は、いわゆる内部標準法による非晶質相の定量分析に用いられる内部標準となる。上記標準物質としては、測定対象となる試料の定量分析を正確に行うために測定用試料に含まれないものを選ぶことができる。上記測定用試料に含まれる標準物質としては、例えば、高純度シリコン粉末、六ホウ化ランタン(LaB)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(α-Al)等を挙げることができる。これらの標準物質の中でも、高純度原料の入手が容易であることから高純度シリコン粉末が好ましい。従来から高純度シリコン粉末は、粉末回折の回折ピークと回折ピークの形状の標準として採用されている。なお、高純度シリコン粉末の粒子径は、1~10μmであることが好ましい。高純度シリコン粉末の粒子径が1μm以上であれば、粉砕されたシリコンのX線回折ピークが鋭くなくなり、標準物質では不適切となる恐れがないため好ましい。また、高純度シリコン粉末の粒子径が10μm以下であれば、X線回折ピーク強度の再現性と均一混合性が悪くならないため好ましい。
【0026】
測定用試料調製部101は、調製された測定用試料の粒径が所定の範囲となるように容器の回転数、回転時間を制御する。最終的に、測定用試料調製部101は、定量分析の対象となる試料と標準物質との撹拌混合を停止して、測定用試料を得る。測定用試料調製部101は、調製された測定用試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量とを計測する。測定用試料調製部101によって調製された測定用試料は、X線回折測定部102に供給される。さらに、測定用試料調製部101は、計測された測定用試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量とを計測データとして取得する。これらの計測データは、演算処理部103に送信される。
【0027】
<X線回折測定部>
本実施形態の非晶質相定量分析装置100は、X線回折測定部102を備える。X線回折測定部102は、測定用試料調製部101から供給された測定用試料のX線回折測定(XRD測定)を行う。X線回折測定部102は、上記測定用試料に含まれる定量分析の対象となる試料中の結晶相の定量値Xa、及び標準物質の定量値Xsを測定する。なお、X線回折測定部102は、定量分析の対象となる試料中の結晶相の定量値のみを測定することができ、上記試料中の非晶質相の定量値を測定することはできない。
【0028】
X線回折測定部102は、X線入射方向に対して広角側(2θ>1~2°)の回折強度を測定することができる装置である。X線回折測定部102は、測定用試料調製部101で調製された測定用試料とX線回折測定部102との距離に応じて適宜採択される。なお、X線回折測定部102は、0次元でも、1次元でも、2次元であってもよい。
【0029】
X線回折測定部102は、測定された定量分析の対象となる試料中の結晶相の定量値Xa、及び標準物質の定量値XsをXRD定量値として取得して、これらの定量値を測定演算処理部103に送信する。
【0030】
<演算処理部>
本実施形態の非晶質相定量分析装置100は、演算処理部103を備える。演算処理部103は、測定用試料調製部101が計測データとして取得した測定用試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量、及びX線回折測定部102がXRD定量値として取得した試料中の結晶相の定量値Xa、及び標準物質の定量値Xsに基づいて、試料に含まれる非晶質相の質量割合Mbを算出する。なお、試料に含まれる非晶質相の質量割合Mbの算出方法は、特に限定されるものではない。
【0031】
例えば、演算処理部103は、測定用試料調製部101から送信された測定用試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量からなる計測データに基づいて、標準物質の質量割合Msを算出する。ここで、標準物質の質量割合Msは、標準物質の質量を定量分析する試料と標準物質からなる測定用試料の質量で除することに得られる。さらに、演算処理部103は、X線回折測定部102から送信された標準物質の定量値Xsを用いて、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を算出する。
【0032】
そして、演算処理部103は、X線回折測定部102から送信された試料中の結晶相の定量値Xaを用いて、当該試料中の結晶相の定量値Xaに上記標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を乗ずることにより、測定用試料における結晶相の質量割合Maを算出する。ここで、測定用試料は、定量分析の対象となる試料、標準物質からなり、上記定量分析の対象となる試料は、結晶質相と非晶質相から構成されている。測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計は、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Msと非晶質相の質量割合Mbとを合わせて100となる。演算処理部103は、測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計100から、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Msとを差し引きすることにより、非晶質相の質量割合Mbを算出することができる。最後に、演算処理部103は、標準物質の質量割合Msを除外して、標準物質添加前の結晶相の質量割合Maと非晶質相の質量割合Mbとの比率を算出する。
【0033】
このように、演算処理部103は、添加する標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsを測定することにより、測定対象となる試料に含まれる結晶相の質量割合Maを算出し、結晶相の質量割合Maと非晶質相の質量割合Mbとの比率を算出することにより、上記試料に含まれる非晶質相を定量することができる。
【0034】
<出力部>
本実施形態の本実施形態の非晶質相定量分析装置100は、試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部104を備える。出力部104は、たとえば、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等、任意のディスプレイを含む。出力部104は、出力データおよび信号に基づく画面を表示可能である。また、出力部104は、印字出力や印刷機、プロッターであってもよい。
【0035】
表1は、本実施形態の本実施形態の非晶質相定量分析装置100が備える出力部104によって表示及び出力された試料の定量分析結果の一例である。表1に示されるように、出力部104によれば、定量分析の対象となる試料の原料、採取箇所、加熱を受けた後の試料中に含まれる結晶質相及び非晶質相の割合を定量結果として表示することができる。
【0036】
【表1】
【0037】
以上説明したように、本実施形態の非晶質相定量分析装置は、測定用試料調製部とX線回折法により測定用試料に含まれる結晶相の定量値Xa及び上記標準物質の定量値Xsを測定するX線回折測定部と標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsと結晶相の定量値Xaに基づいて、非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部とを備えているので、結晶質相と非晶質相とを含む試料に含まれている非晶質相を定量することができる。
【0038】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態にかかる非晶質相定量分析装置の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、本実施形態にかかる非晶質相定量分析装置200は、試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する測定用試料調製部201と、X線回折法により測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa、前記標準物質の定量値Xs及び定量不可相の定量値Xcを測定するX線回折測定部202と、測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定するための元素成分測定部203と、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsと元素成分の質量割合Mcと結晶相の定量値Xaとに基づいて結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部204と、試料の定量分析結果の表示及び出力を行う出力部205とを備えることを特徴とする。
【0039】
本実施形態の非晶質相定量分析装置200は、結晶質相と非晶質相と定量不可相を有する試料の定量分析に用いられる。特に、非晶質相定量分析装置200は、定量不可相を構成する化合物の中でも黒鉛を定量不可相として含む試料に含まれる非晶質相の定量分析に好適に用いられる。
【0040】
ここで、非晶質相定量分析装置200が定量分析の対象とする試料に含まれる定量不可相を構成する化合物は、黒鉛、硫化モリブデン、硫化チタン、硫化タンタル、セレン化タングステンから選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。定量不可相を構成するこれらの化合物は、層間化合物である。層間化合物は、その層内は強い共有結合により形成され、その層間はファンデルワールス力により形成されている。また、層間化合物は、剥離し易い性質を有し、配向性が高く、その層数の偏りも大きくなっている。このため、層間化合物にX線回折法を適用することにより層間化合物の定量値を測定して、黒鉛等の層間化合物を定量することは困難である。しかも、X線回折法を適用し、黒鉛等の層間化合物の定量値を測定するためには、試料に含まれる層間化合物を細かく粉砕する必要がある。試料に含まれる層間化合物を細かく粉砕することにより、当該層間化合物は、相転移する。このように粉砕により相転移した層間化合物を含む試料をX線回折法により定量しようとしても、試料に含まれる黒鉛等の層間化合物を正確に定量することはできない。
【0041】
このような観点から、本実施形態の非晶質相定量分析装置200は、黒鉛等の定量不可相を含む試料中の非晶質相を定量することができるものであって、非晶質相を定量するために測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定するための元素成分測定部203と、非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部204とをさらに備えている点に技術的特徴を有する。以下、本実施形態の非晶質相定量分析装置200が備えている特徴的な各部材について説明する。
【0042】
<元素成分測定部>
本実施形態の非晶質相定量分析装置200は、測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定するための元素成分測定部203を備える。元素成分測定部203は、定量分析の対象となる試料に含まれる定量不可相を構成する元素成分のトータル質量(T.E)を全元素値(T.E値)として測定する。元素成分測定部203は、試料に含まれる定量不可相を構成する元素成分のトータル質量(T.E)を測定することができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、元素成分測定部203は、燃焼分析による元素分析測定装置、誘導結合プラズマ(ICP)装置等これらの組み合わせからなる装置であってもよい。
【0043】
例えば、試料に含まれる定量不可相が黒鉛を含む場合には、元素成分測定部203は、全炭素値(T.C値)を測定できる装置であることが必要となる。具体的に元素成分測定部203は、JIS R2011:2007に準拠する燃焼-赤外線吸収法を適用した炭素分析装置であってもよい。ここで、上記炭素装置は、加熱燃焼方式により、高周波誘導加熱炉と管状電気抵抗炉とに大別される。本実施形態の非晶質相定量分析装置200が備えている元素成分測定部203は、いずれの方式を採用した炭素装置であってもよい。元素成分測定部203は、黒鉛等の定量不可相を含む試料が完全燃焼する際に発生する二酸化炭素(CO)及び一酸化炭素(CO)を赤外線吸収法により測定する。元素成分測定部203は、測定された二酸化炭素(CO)及び一酸化炭素(CO)の測定結果を用いて、完全燃焼前の試料に含まれていた炭素等の元素量を測定する。なお、二酸化炭素(CO)及び一酸化炭素(CO)の測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いてもよい。
【0044】
<演算処理部>
さらに、本実施形態の非晶質相定量分析装置200は、結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部204を備える。演算処理部204は、測定用試料調製部201が計測データとして取得した測定用試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量、及びX線回折測定部202がXRD定量値として取得した試料中の結晶相の定量値Xa、標準物質の定量値Xs、及び試料に含まれる元素成分の全元素値(T.E値)に基づいた元素成分の質量割合Mcに基づいて、試料に含まれる非晶質相の質量割合Mbを算出する。なお、試料に含まれる非晶質相の質量割合Mbの算出方法は、特に限定されるものではない。
【0045】
例えば、演算処理部204は、測定用試料調製部201から送信された測定試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量からなる計測データに基づいて、標準物質の質量割合Msを算出する。ここで、標準物質の質量割合Msは、標準物質の質量を定量分析する試料と標準物質からなる測定用試料の質量で除することにより得られる。さらに、演算処理部204は、X線回折測定部202から送信された標準物質の定量値Xsを用いて、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を算出する。
【0046】
そして、演算処理部204は、X線回折測定部202から送信された試料中の結晶相の定量値Xaを用いて、当該試料中の結晶相の定量値Xaに上記標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を乗ずることにより、測定用試料における結晶相の質量割合Maを算出する。ここで、測定用試料は、定量分析の対象となる試料、標準物質からなり、上記定量分析の対象となる試料は、結晶質相と定量不可相と非晶質相から構成されている。測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計は、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Msと非晶質相の質量割合Mbと定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcとを合わせて100となる。演算処理部204は、測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計100から、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Msと定量不可相の質量割合Mcを差し引きすることにより、非晶質相の質量割合Mbを算出することができる。最後に、演算処理部204は、標準物質の質量割合Msを除外して、結晶相の質量割合Maと定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcと非晶質相の質量割合Mbとの比率を算出する。
【0047】
このように、演算処理部204は、添加する標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsを測定し、さらに、測定用試料に含まれる定量不可相を構成する元素成分の質量割合Mcを用いることにより、測定対象となる試料に含まれる結晶相の質量割合Maを算出し、結晶相の質量割合Maと定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcと非晶質相の質量割合Mbとの比率を算出することにより、上記試料に含まれる非晶質相を定量することができる。
【0048】
表2は、本実施形態の本実施形態の非晶質相定量分析装置200が備える出力部205によって表示及び出力された試料の定量分析結果の一例である。表2に示されるように、出力部205によれば、定量分析の対象となる試料の原料、採取箇所、加熱を受けた後の試料中に含まれる結晶相、定量不可相(黒鉛等)及び非晶質相の割合を定量結果として表示することができる。
【0049】
【表2】
【0050】
以上説明したように、本実施形態の非晶質相定量分析装置200は、測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定するための元素成分測定部203と標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsと元素成分の質量割合Mcと結晶相の定量値Xaとに基づいて結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを定量する演算処理部204とをさらに備えているので、結晶質相と非結晶相と定量不可相とを含む試料に含まれている非結晶相を定量することができる。
【0051】
[第3実施形態]
第3実施形態は、結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための定量分析方法である。図3は、上記実施形態にかかる非晶質相定量分析装置を用いた非晶質相定量分析方法(処理手順)を示したフローチャートである。図3に示されるように、本実施形態の非晶質相定量分析方法は、前記試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程S301と、X線回折法により前記測定用試料に含まれる前記結晶相の定量値Xa及び前記標準物質の定量値Xsを測定する第2工程S302と、標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを定量する第3工程S303と、を含むことを特徴とする。以下、本実施形態の非晶質相定量分析方法に含まれる各工程について説明する。
なお、本実施形態の非晶質相定量分析方法に含まれる各工程は、上記実施形態の非晶質相定量分析装置が含んでいるプロセスコンピュータまたは分散制御システム(DCS)によって管理されてもよい。
【0052】
<試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程>
本実施形態の非晶質相定量分析方法は、測定用試料を調製する第1工程S301を含む。第1工程は、測定用試料調製工程であり、第2工程において用いるX線回折測定の対象となる測定用試料が調製される。測定用試料は、定量分析の対象となる試料と標準物質からなる。第1工程は、定量分析の対象となる所定量の試料と所定量の標準物質(内部標準)とを粉砕し、混合することによって行う(S301)。
【0053】
<X線回折法により各成分の定量値を測定する第2工程>
本実施形態の非晶質相定量分析方法は、X線回折法により各成分の定量値を測定する第2工程S302を含む。第2工程は、第1工程において調製された測定用試料のX線回折測定(XRD測定)を行う。第2工程において、上記測定用試料に含まれる定量分析の対象となる試料中の結晶相の定量値Xa、及び標準物質の定量値Xsが測定される(S302)。
【0054】
<非晶質相の質量割合Mbを定量する第3工程>
本実施形態の非晶質相定量分析方法は、結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを定量する第3工程S303を含む。第3工程は、非晶質相算出工程である。第3工程において、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsと結晶相の定量値Xaに基づいて結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを算出し、当該非晶質相を定量する。
【0055】
第3工程において、第1工程において計測された測定用試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量からなる計測データに基づいて、標準物質の質量割合Msが算出される。ここで、標準物質の質量割合Msは、標準物質の質量を定量分析する試料と標準物質からなる測定用試料の質量で除することに得られる。さらに、第3工程において、第2工程において測定された標準物質の定量値Xsを用いて、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)が算出される。
【0056】
そして、第3工程において、第2工程において測定された試料中の結晶相の定量値Xaを用いて、当該試料中の結晶相の定量値Xaに上記標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を乗ずることにより、測定用試料における結晶相の質量割合Maが算出される。ここで、本実施形態の非晶質相定量分析方法が適用される測定用試料は、定量分析の対象となる試料、標準物質からなり、上記定量分析の対象となる試料は、結晶質相と非晶質相とから構成されている。測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計は、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Msと非晶質相の質量割合Mbとを合わせて100となる。第3工程において、測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計100から、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Msとを差し引きすることにより、非晶質相の質量割合Mbが算出される。最後に、第3工程において、結晶相の質量割合Maと非晶質相の質量割合Mbとの比率が算出される。
【0057】
例えば、定量分析の対象となる試料が結晶相と非晶質相を各一相含む場合について説明する。上記試料に結晶性の標準物質を測定用試料中に10質量%添加する。定量分析の対象となる試料に上記標準物質が添加された後に調製された測定用試料に含まれる標準物質の定量値Xsは、15.6であり、結晶相の定量値Xaは、84.4であった。その結果、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)は、10/15.6となり、結晶相の定量値Xaである84.4に標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)である10/15.6を乗じることにより、上記測定用試料に含まれる結晶相の質量割合Maが84.4×10/15.6により、54質量%と算出される。試料全体100から標準物質及び結晶相の質量割合(10質量%+54質量%)を差し引くことにより、非晶質相の質量割合Mbが36質量%と算出される。結晶相の質量割合Maである54質量%と非晶質相の質量割合Mbである36質量%の比率を算出し、標準物質添加前の試料中の非晶質相を定量することができる。
【0058】
このように、第3工程において、第1工程において添加される標準物質の質量割合Msと第2工程において測定される標準物質の定量値Xsを用いることにより、測定対象となる試料に含まれる結晶相の質量割合Maを算出し、結晶相の質量割合Maと非晶質相の質量割合Mbとの比率が算出され、上記試料に含まれる非晶質相が定量される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の非晶質相定量分析方法は、標準物質の質量割合Msと前記標準物質の定量値Xsと前記結晶相の定量値Xaに基づいて結晶相の質量割合Maを算出することにより、結晶質相と非晶質相とを含む試料に含まれている非晶質相を定量することができる。
【0060】
[第4実施形態]
第4実施形態は、結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための定量分析方法である。図4は、上記非晶質相定量分析装置が採用する非晶質相定量分析方法(処理手順)を示したフローチャートである。図4に示されるように、本実施形態の非晶質相定量分析方法は、試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程S401と、X線回折法により測定用試料に含まれる結晶相の定量値Xa、標準物質の定量値Xs及び前記定量不可相の定量値Xcを測定する第2工程S402と、測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する第3工程S403と、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsと前記元素成分の質量割合Mcと前記結晶相の定量値Xaとに基づいて結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程S404をさらに含むことを特徴とする。
【0061】
ここで、本実施形態の非晶質相定量分析方法は、測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する第3工程S403と、結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程S404に技術的特徴を有する。以下、本実施形態の非晶質相定量分析方法に含まれる各工程について説明する。
【0062】
<試料に標準物質を添加して測定用試料を調製する第1工程>
本実施形態の非晶質相定量分析方法は、測定用試料を調製する第1工程S401を含む。第1工程は、測定用試料調製工程であり、第2工程において用いられるX線回折測定の対象となる測定用試料、及び第3工程において用いられる元素成分の全元素値(T.E値)を測定するための対象となる測定用試料が調製される。測定用試料は、定量分析の対象となる試料と標準物質からなる。第1工程は、定量分析の対象となる所定量の試料と所定量の標準物質(内部標準)とを粉砕し、混合することによって行う(S401)。なお、本実施形態の非晶質相定量分析方法に含まれる第1工程において、定量分析の対象となる試料は、結晶質、非晶質、黒鉛等の定量不可相を含んでいる。
【0063】
<X線回折法により各成分の定量値を測定する第2工程>
本実施形態の非晶質相定量分析方法は、X線回折法により各成分の定量値を測定する第2工程S402を含む。第2工程は、第1工程において調製された測定用試料のX線回折測定(XRD測定)を行う。第2工程において、上記測定用試料に含まれる定量分析の対象となる試料中の結晶相の定量値Xa、及び標準物質の定量値Xsが測定される(S402)。なお、定量不可相の定量値Xcも算出されてくるが、測定のための粉砕で相転移が起こり、当該定量値Xcの値は正確ではない。
【0064】
<元素成分の質量割合Mcを測定する第3工程>
本実施形態の非晶質相定量分析方法は、測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する第3工程S403を含む。第3工程は、第1工程において調製された測定用試料に含まれる定量不可相を構成する黒鉛等の元素成分の質量分析を行う。第3工程において、定量分析の対象となる試料に含まれる定量不可相を構成する元素成分のトータル質量(T.E)が全元素値(T.E値)として測定される。第3工程において、例えば、試料に含まれる定量不可相が黒鉛から形成される場合には、全炭素値(T.C値)が測定される。
【0065】
<非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程>
本実施形態の非晶質相定量分析方法は、結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを定量する第4工程S404を含む。第4工程は、非晶質相算出工程である。第4工程において、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsと結晶相の定量値Xa及び定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcに基づいて、結晶相の質量割合Maを算出することにより、非晶質相の質量割合Mbを算出し、当該非晶質相を定量する。
【0066】
第4工程において、第1工程において計測された測定用試料の質量、当該測定用試料に含まれる試料の質量と標準物質の質量からなる計測データに基づいて、標準物質の質量割合Msが算出される。ここで、標準物質の質量割合Msは、標準物質の質量を定量分析する試料と標準物質からなる測定用試料の質量で除することに得られる。さらに、第4工程において、第2工程において測定された標準物質の定量値Xsを用いて、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)が算出される。
【0067】
そして、第4工程において、第2工程において測定された試料中の結晶相の定量値Xaと、第3工程において測定された試料中の黒鉛等の定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcを用いて、当該試料中の結晶相の定量値Xaに上記標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を乗ずることにより、測定用試料における結晶相の質量割合Maが算出される。ここで、本実施形態の非晶質相定量分析方法が適用される測定用試料は、定量分析の対象となる試料、標準物質からなり、上記定量分析の対象となる試料は、結晶質相と非晶質相及び黒鉛等の定量不可相とから構成されている。測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計は、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Msと非晶質相の質量割合Mb及び黒鉛等の定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcとを合わせて100となる。第4工程において、測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計100から、結晶相の質量割合Maと標準物質の質量割合Ms及び黒鉛等の定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcとを差し引きすることにより、非晶質相の質量割合Mbが算出される。最後に、第4工程において、標準物質の質量割合Msを除外して、結晶相の質量割合Maと黒鉛等の定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcと非晶質相の質量割合Mbとの比率が算出される。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の非晶質相定量分析方法は、測定用試料に含まれる元素成分の質量割合Mcを測定する工程と、結晶相の質量割合Maを算出することにより、前記非晶質相の質量割合Mbを定量する工程とを含んでいるので、結晶質相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれている非晶質相を定量することができる。
【0069】
[第5実施形態]
第5実施形態は、結晶相と非晶質相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析方法を実施するために用いるコンピュータプログラム、又は結晶相と非晶質相と定量不可相を含む試料に含まれる非晶質相を定量するための非晶質相定量分析方法を実施するために用いるコンピュータプログラムである。すなわち、本実施形態のコンピュータプログラムは、上記実施形態の非晶質相定量分析方法を実施するために用いるコンピュータプログラムである。
【0070】
すなわち、本実施形態のコンピュータプログラムは、上記実施形態の非晶質相定量分析装置の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムまたはプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得る。本発明の技術的範囲には、これらも包含されると理解されたい。本実施形態のコンピュータプログラムは、システムあるいは装置に直接又は遠隔から供給されていてもよい。従って、本発明の上記実施形態をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、又は当該プログラムを格納した媒体、当該プログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバーも、本発明の技術的範囲の範疇に含まれる。さらに、上記実施形態の非晶質相定量分析方法を実施するための処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体は、本発明の技術的範囲の範疇に含まれる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態のコンピュータプログラムは、上記実施形態の非晶質相定量分析方法の各工程を実現することができるように構成されているので、結晶相と非晶質相とを含む試料、又は結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料中の非晶質相を定量することができる。
【0072】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【実施例0073】
以下、本発明の効果を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
最初に、本発明の非晶質相定量分析装置による測定用試料であるAl-SiO-C系耐火物を製造した。Al-SiO-C系耐火物の組成成分として、酸化アルミニウム(Al)、黒鉛(C)、ガラス(SiO)を使用した。Al-SiO-C系耐火物の標準物質としてシリコン(Si)を使用した。Al-SiO-C系耐火物と標準物質であるシリコン(Si)からなる測定試料を構成する組成成分の割合を酸化アルミニウム(Al)が63質量%、黒鉛(C)が9質量%、ガラス(SiO)が18質量%、シリコン(Si)が10質量%とした。表3に実施例1で製造した測定用試料である製造例1の配合値を示す。
【0074】
【表3】
【0075】
測定用試料に含まれる試料中の結晶相(Al)の定量値Xa、及び標準物質(Si)の定量値XsをX線回折法により定量した。上記X線回折法による各測定用試料のXRD定量値の定量は、X線回折測定装置(株式会社リガク製:製品名「RINT-UltimaIII」)を使用して行った。X線回折測定装置により、測定用試料に含まれる結晶相の定量値Xa、標準物質の定量値Xs及び定量不可相(黒鉛)の定量値Xcを測定した。
【0076】
上記測定用試料において、標準物質の質量割合Msを算出し、上記測定した標準物質の定量値Xsを用いて、標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を算出した。試料中の結晶相の定量値Xaを用いて、当該試料中の結晶相の定量値Xaに上記標準物質の質量割合Msと標準物質の定量値Xsとの比率(Ms/Xs)を乗ずることにより、測定用試料における結晶相の質量割合Maを算出した。測定用試料を構成する各成分の質量割合の合計100から、結晶相の質量割合Maと定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcと標準物質の質量割合Msとを差し引きすることにより、非晶質相の質量割合Mbを算出した。最後に、標準物質の質量割合Msを除外して、結晶相の質量割合Maと非晶質相の質量割合Mbと定量不可相を形成する元素成分の質量割合Mcの比率を算出し、各試料に含まれる非晶質相(ガラス:非晶質)の定量値とした。表4に本発明の非晶質相定量分析装置を用い、測定用試料の組成成分の定量分析を行った結果を示す。
【0077】
【表4】
【0078】
(実施例2~8)
Al-SiO-C系耐火物と標準物質であるシリコン(Si)からなる測定試料を構成する組成成分の割合を変化させた以外は、実施例1と同様にして製造例2~8の測定用試料を製造した。表3に製造例2~8で製造した測定用試料の配合値を示す。さらに、各製造例2~8で得られた測定用試料の定量分析を行い、測定用試料の組成成分の定量分析を行った。表4に測定用試料の組成成分の定量分析を行った結果を示す。
【0079】
表3中の製造例1~8と、表4中の対応する実施例1~8とをそれぞれ対比すると、両者の測定用試料の組成成分は、ほぼ一致していることが明らかとなった。例えば、実施例1に着目すると、表1中の測定用試料である製造例1の組成成分は、酸化アルミニウム(Al)63質量%、黒鉛(C)9質量%、ガラス(SiO)18質量%、シリコン(Si)10質量%となっている。これに対して、表2中の実施例1の組成成分が、酸化アルミニウム(Al)の質量割合:Ma62.5質量%、黒鉛(C)の質量割合:Mc9.1質量%、ガラス(非晶質)の質量割合Mb:18.4質量%、金属シリコン(Si)の質量割合:Ms10質量%として算出されている。すなわち、本発明の非晶質相定量分析装置等によれば、耐火物に含まれる非晶質相の割合を正確に定量することができる。
【0080】
以上、本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各工程等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段およびステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、結晶相と非晶質相と定量不可相とを含む試料に含まれる非晶質相を定量する技術にかかるものであり、試料に含まれる非晶質相の一部が熱を受けることにより結晶相に変化した後の試料中の非晶質相を定量するために好適に使用することができる。このため、本発明は、耐火物等の試料に含まれる非晶質相の定量に好適に用いられるものであり、窯業、冶金工業、化学工業、機械工業、ガラス工業等の産業上きわめて有用である。
【符号の説明】
【0082】
100 非晶質相定量分析装置
101 測定用試料調製部
102 X線回折測定部
103 演算処理部
104 出力部
200 非晶質相定量分析装置(定量不可相含有試料用)
201 測定用試料調製部
202 X線回折測定部
204 演算処理部
203 元素成分測定部
205 出力部
図1
図2
図3
図4