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特開2023-118521シートガイド部材、定着装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118521
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】シートガイド部材、定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230818BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20230818BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G15/16
G03G15/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021514
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 幸太
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H033AA01
2H033BA09
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB12
2H033BB30
2H033BE00
2H033CA07
2H033CA22
2H171FA19
2H171FA22
2H171FA30
2H171GA01
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA31
2H171JA33
2H171JA42
2H171JA45
2H171JA59
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB02
2H171QB03
2H171QB04
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC37
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA15
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171XA16
2H200FA16
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA47
2H200GB22
2H200GB23
2H200GB26
2H200HA02
2H200HA12
2H200HB03
2H200HB07
2H200HB12
2H200JA02
2H200JB12
2H200JB17
2H200JB20
2H200JB50
2H200JC03
2H200PB12
(57)【要約】
【課題】画像不良を防止することができるシートガイド部材、定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像が転写されたシートをシート搬送方向Fに沿ってガイドするシートガイド部材6であって、シート搬送方向Fに直交する幅方向において、トナー像が転写可能な最大サイズのシートの幅よりも短い幅とされ、シート搬送方向Fに直交する方向における端縁部60,61は、シートから遠ざかる方向に延伸されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が転写されたシートをシート搬送方向に沿ってガイドするシートガイド部材であって、
前記シート搬送方向に直交する幅方向において、前記トナー像が転写可能な最大サイズの前記シートの幅よりも短い幅とされ、
前記シート搬送方向に直交する方向における端縁部は、前記シートから遠ざかる方向に延伸されていることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項2】
請求項1に記載のシートガイド部材であって、
前記端縁部は、前記シート搬送方向に沿う全域に亘って前記シートから遠ざかる方向に延伸されていることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシートガイド部材であって、
前記シート搬送方向に直交する方向における中央部には、開口部が設けられ、
前記開口部の周辺部は、前記シートから遠ざかる方向に凹んでいることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のシートガイド部材であって、
前記シート搬送方向に直交する方向における中央部には、開口部が設けられ、
前記開口部の周縁部は、前記シートから遠ざかる方向に延伸されていることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項5】
トナー像が転写されたシートをシート搬送方向に沿ってガイドするシートガイド部材であって、
前記シート搬送方向に直交する方向における中央部には、開口部が設けられ、
前記開口部の周辺部は、前記シートから遠ざかる方向に凹んでいることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項6】
トナー像が転写されたシートをシート搬送方向に沿ってガイドするシートガイド部材であって、
前記シート搬送方向に直交するにおける中央部には、開口部が設けられ、
前記開口部の周縁部は、前記シートから遠ざかる方向に延伸されていることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか1つに記載のシートガイド部材であって、
前記開口部の周縁は、円弧状に形成されていることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項8】
請求項4又は請求項6に記載のシートガイド部材であって、
前記開口部は、丸穴状に形成されていることを特徴とするシートガイド部材。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1つに記載のシートガイド部材と、
熱源によって加熱される加熱回転体と、
前記加熱回転体に当接する加圧回転体と、を備え、
前記シートガイド部材が前記加熱回転体と前記加圧回転体との間に形成されるニップ部に前記シートを導くことを特徴とする定着装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8までのいずれか1つに記載のシートガイド部材及び請求項9に記載の定着装置の両方又はいずれか一方を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートガイド部材、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、トナー像をシートに転写させ、その未定着のトナー像を、加熱回転体と加圧回転体との間に形成されるニップ部でシート上に定着させるものが知られている。また、トナー像が転写されたシートをシート搬送方向に沿ってガイドするために、シートガイド部材を用いることがある。
【0003】
シートガイド部材として、例えば、特許文献1に開示されたような、印字可能な最大シートの幅よりも小さい幅に設定されたものが知られている。シートガイド部材をこのような幅に設定することにより、特に、フチなし印字(余白なし印字)の際において、シートの端部から飛散するトナーによってシートガイド部材が汚れるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-7752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トナー像をシートに転写する転写手段として、転写ローラ等の転写部材にトナー像の帯電極性(例えば、負極性)に対して逆極性(例えば、正極性)の電圧を印加する場合がある。この電圧の印加によって、転写部材を通過したシートが帯電(例えば、正帯電)した状態となる。
【0006】
このため、シートガイド部材の幅よりも大きい幅を有するシートが帯電した状態でシートガイド部材上を通過すると、シートの領域のうちシートガイド部材の端縁部(エッジ部)に近接する領域において、シートがシートガイド部材の端縁部に対して放電する虞がある。シートの領域のうち放電した領域においてはトナー像を引き寄せる力が弱くなってしまうことから、シートの放電に起因してトナー像が乱れ、ひいては画像不良を引き起こすという問題がある。無論、フチなし印字(余白なし印字)の際において、上記のようなトナー像の乱れによる画像不良が顕著になる。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、画像不良を防止することができるシートガイド部材、定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願記載のシートガイド部材は、トナー像が転写されたシートをシート搬送方向に沿ってガイドするシートガイド部材であって、前記シート搬送方向に直交する幅方向において、前記トナー像が転写可能な最大サイズの前記シートの幅よりも短い幅とされ、前記シート搬送方向に直交する方向における端縁部は、前記シートから遠ざかる方向に延伸されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記シートガイド部材において、前記端縁部は、前記シート搬送方向に沿う全域に亘って前記シートから遠ざかる方向に延伸されていてもよい。
【0010】
また、前記シートガイド部材において、前記シート搬送方向に直交する方向における中央部には、開口部が設けられ、前記開口部の周辺部は、前記シートから遠ざかる方向に凹んでいてもよい。
【0011】
また、前記シートガイド部材において、前記シート搬送方向に直交する方向における中央部には、開口部が設けられ、前記開口部の周縁部は、前記シートから遠ざかる方向に延伸されていてもよい。
【0012】
本願記載の他のシートガイド部材は、トナー像が転写されたシートをシート搬送方向に沿ってガイドするシートガイド部材であって、前記シート搬送方向に直交する方向における中央部には、開口部が設けられ、前記開口部の周辺部は、前記シートから遠ざかる方向に凹んでいることを特徴とするものである。
【0013】
本願記載のさらに他のシートガイド部材は、トナー像が転写されたシートをシート搬送方向に沿ってガイドするシートガイド部材であって、前記シート搬送方向に直交する方向における中央部には、開口部が設けられ、前記開口部の周縁部は、前記シートから遠ざかる方向に延伸されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記シートガイド部材において、前記開口部の周縁は、円弧状に形成されていてもよい。
【0015】
また、前記シートガイド部材において、前記開口部は、丸穴状に形成されていてもよい。
【0016】
本願記載の定着装置は、前記シートガイド部材と、熱源によって加熱される加熱回転体と、前記加熱回転体に当接する加圧回転体と、を備え、前記シートガイド部材が前記加熱回転体と前記加圧回転体との間に形成されるニップ部にシートを導くことを特徴とするものである。
【0017】
本願記載の画像形成装置は、前記シートガイド部材及び前記定着装置の両方又はいずれか一方を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1における画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
図2】実施形態1における定着装置を示す概略断面図である。
図3図2の定着装置を下方から視た概略斜視図である。
図4】実施形態1におけるシートガイド部材を示す斜視図である。
図5図4のシートガイド部材をシート側から視た平面図である。
図6図5のシートガイド部材のA-A断面図である。
図7】実施形態2におけるシートガイド部材を示す斜視図である。
図8図7のシートガイド部材をシート側から視た平面図である。
図9図8のシートガイド部材のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素について重複する説明は省略する。
【0021】
(実施形態1)
-画像形成装置の全体の構成-
先ず、実施形態1における画像形成装置Aの全体の構成について説明する。
【0022】
図1は、実施形態1における画像形成装置Aの構成を示す概略断面図である。なお、図において、符号Xは、幅方向(奥行き方向)を示しており、-X方向(マイナスX方向)を前方向とし、+X方向(プラスX方向)を後方向とする。符号Yは、幅方向Xに直交する左右方向を示しており、-Y方向(マイナスY方向)を左方向とし、+Y方向(プラスY方向)を右方向とする。符号Zは、上下方向を示しており、-Z方向(マイナスZ方向)を下方向とし、+Z方向(プラスZ方向)を上方向とする。これらの設定は、以降の実施形態においても同様である。
【0023】
画像形成装置Aは、電子写真方式の画像形成装置であり、フルカラー画像を印字可能な中間転写方式のカラー複合機である。画像形成装置Aは、画像読取部1と、画像形成部2と、転写体3と、二次転写部4と、定着装置5と、シート収容部8と、シートローラ群9と、シート排出部90と、を有している(図1参照)。画像形成装置Aには、シートが搬送されるシート搬送路Sが設けられている。本実施形態において、画像形成装置Aによる印字には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナーが用いられる。
【0024】
画像読取部1は、原稿から画像を読み取るものであり、画像形成装置Aの上部に設けられている。画像読取部1は、原稿読取装置10と、原稿載置台11と、自動原稿処理装置12と、を有している(図1参照)。
【0025】
原稿読取装置10は、原稿に光を照射し、その反射光に基づいて原稿から画像を読み取るものである。原稿読取装置10には、例えば、原稿に光を照射する光源と、レンズやイメージセンサと、原稿の反射光をレンズに導くミラー等と、が内蔵されている。レンズを介してイメージセンサに入射された原稿の反射光がイメージセンサによって光電変換されることにより、画像データが生成される。
【0026】
原稿載置台11は、ユーザによって原稿が載置される部分であり、原稿読取装置10の上側に設けられている(図1参照)。原稿載置台11は、透明ガラスから形成されている。自動原稿処理装置12は、ユーザによって差し込まれた原稿を原稿読取装置10へ自動的かつ連続的に搬送するものであり、原稿載置台11の上側に設けられている(図1参照)。原稿の画像は、原稿載置台11上に載置された状態で、あるいは、自動原稿処理装置12によって原稿読取装置10へ搬送された状態で、原稿読取装置10によって読み取られる。
【0027】
画像形成部2は、画像データに基づいてトナー像を形成するものであり、露光装置20と、現像装置21と、像担持体22と、帯電装置23と、クリーニングユニット24と、を有している(図1参照)。なお、画像データは、画像読取部1によって生成されたものでもよいし、外部装置から供給されたものでもよい。
【0028】
露光装置20は、帯電装置23によって帯電された像担持体22の表面を、各色に応じて露光させることにより、各色に応じた静電潜像を像担持体22上に形成するものである。露光装置20には、光源(図示しない)と、この光源から出射されたレーザビームを走査するポリゴンミラー200と、ポリゴンミラー200によって反射されたレーザ光を像担持体22に導くための光学要素(例えば、レンズ201やミラー202等)と、が内蔵されている。
【0029】
現像装置21は、それぞれの像担持体22の表面に形成された静電潜像をトナーカートリッジTから供給される各色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化(可視化)させてトナー像を形成するものである。現像装置21は、像担持体22の表面にトナーを飛翔させる現像剤担持体25を有している。現像剤担持体25に高電圧の現像バイアスが印加されることにより、トナーが像担持体22に飛翔し、像担持体22の表面に形成された静電潜像に対してトナーが供給され、像担持体22の表面にトナー像が形成される。
【0030】
像担持体22は、その表面に静電潜像が形成されるものであり、図示しないメインモータの駆動によって、所定の方向に回転駆動される。像担持体22の回転駆動によって、像担持体22上に顕像化されたトナー像が、転写体3へと搬送される。
【0031】
帯電装置23は、印加される高電圧の帯電バイアスによって、像担持体22の表面を所定の電位に均一に帯電するものである。帯電装置23には、例えば、接触型の帯電器(例えばローラ型やブラシ型のもの)や、チャージャ型の帯電器が用いられる。
【0032】
クリーニングユニット24は、現像、画像転写後における像担持体22上の表面に残留したトナーを除去、回収するものである。
【0033】
転写体3は、像担持体22の上方に配置されており、像担持体22の表面に形成された各色のトナー像が一旦転写されるものである。転写体3は、中間転写ベルト30と、駆動ローラ31と、従動ローラ32と、一次転写部33と、を有している。
【0034】
中間転写ベルト30は、所定の方向に回転される無端状のベルトであり、駆動ローラ31と従動ローラ32とに懸架されている。中間転写ベルト30の外表面は、像担持体22と接触している。像担持体22にそれぞれ顕像化された各色のトナー像は、中間転写ベルト30上に順次重ねて転写される。中間転写ベルト30上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト30の回転によって、二次転写部4へと搬送される。中間転写ベルト30は、例えば、厚さ100μm~150μm程度のフィルムから形成されている。
【0035】
駆動ローラ31は、図示しないベルトモータの駆動によって、所定の方向に回転駆動されるローラであり、転写体3の右端側に設けられている(図1参照)。駆動ローラ31の回転駆動によって、中間転写ベルト30が回転される。
【0036】
従動ローラ32は、中間転写ベルト30に沿って回転自在に設けられたローラである(図1参照)。従動ローラ32は、中間転写ベルト30の回転に従って回転される。
【0037】
一次転写部33は、トナー像を転写体3に転写するものであり、例えば、転写ローラであり、中間転写ベルト30を介して像担持体22に対応するように設けられている(図1参照)。一次転写部33に高電圧の転写バイアスが印加されることにより、像担持体22のトナー像が中間転写ベルト30に転写される。
【0038】
一次転写部33の外周面には、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等の材料からなるもの)が設けられている。この導電性の弾性材が設けられていることにより、中間転写ベルト30に対して均一に高電圧を印加することが可能となる。以下、像担持体22に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト30上に転写されることを、「一次転写」と称す。
【0039】
二次転写部4は、中間転写ベルト30上に一次転写された各色のトナー像をシート上に転写するものである。二次転写部4は、シートと中間転写ベルト30とが対向する転写部位に設けられた二次転写ローラ40を有している。二次転写ローラ40には、中間転写ベルト30上の各色のトナー像をシートに転写させるための電圧、すなわち、トナーの帯電極性(例えば、負極性)に対して逆極性(例えば、正極性)の電圧が印加される。以下、中間転写ベルト30上に転写された各色のトナー像がシートに転写されることを、「二次転写」と称す。
【0040】
定着装置5は、シート上に二次転写されたトナー像を加熱溶融してシート上に固着させることにより、トナー像をシート上に定着させるものであり、シート搬送路Sにおいて二次転写部4の下流側に設けられている。
【0041】
シート収容部8は、画像形成装置Aの下部に配置されており、画像形成に使用するシートを収容するカセット80を有している。シート収容部8は、複数のカセット80を有していてもよい。また、複数のカセット80には、それぞれ、任意の材質やサイズのシートが収容されていてもよい。
【0042】
シートローラ群9は、ピックアップローラ9aと、搬送ローラ9b~9dと、レジストローラ9eと、を含む。
【0043】
ピックアップローラ9aは、シート収容部8の用紙束の最上層の記録用紙(シート)を引き出し、シート搬送路Sへと搬送するものである。搬送ローラ9b~9dは、シートをシート搬送路Sに沿って搬送するものである。レジストローラ9eは、シート収容部8から搬送されてくるシートを一旦停止させて、シートの先端を揃えるものである。これらのシートローラ群9は、それぞれ、図示しないモータの駆動によって回転駆動される。
【0044】
シート排出部90は、画像形成装置Aの上部に設けられており、印字済みのシートをフェイスダウンで載引するものである。
【0045】
上記の構成に加えて、画像形成装置Aには、ユーザによる入力操作等に応じて上記説明した各構成要素を制御する図示しない制御部が設けられている。
【0046】
上記のような画像形成装置Aによって、次の通りシートに対する印字が実行される。先ず、画像形成部2が、画像読取部1によって生成された、あるいは外部装置から供給された画像データに基づいてトナー像を形成する。このトナー像が転写体3の中間転写ベルト30上に一次転写される。この間、シートがピックアップローラ9aによってシート収容部8から引き出され、搬送ローラ9bによってレジストローラ9eまで搬送され、レジストローラ9eによって二次転写部4に搬送される。続いて、二次転写部4が、中間転写ベルト30上に一次転写されたトナー像をシートに二次転写する。定着装置5が、シート上に二次転写されたトナー像をシートに定着させる。その後、シートが、搬送ローラ9dによって搬送され、シート排出部90上に排出されることをもって、シートに対する印字が完了するようになっている。
【0047】
-定着装置-
図2は、実施形態1における定着装置5を示す概略断面図である。図3は、定着装置5を下方から視た概略斜視図である。図3において、シートガイド部材6の中央部における締結部材Bの図示を省略している。
【0048】
定着装置5は、加熱回転体50と、加圧回転体51と、フレーム52と、シートガイド部材6と、シートセンサ7と、を備えている。以下、定着装置5の各構成を詳述する。
【0049】
本実施形態において、加熱回転体50は、定着ローラ500と、加熱ローラ501と、熱源502と、定着ベルト503と、を有している(図2参照)。
【0050】
定着ローラ500は、X方向に沿った回転軸線方向に回転可能な状態でフレーム52によって支持されている。加熱ローラ501には、熱源502が内蔵されている。熱源502は、例えば、ハロゲンランプなどのランプヒータから構成されている。定着ベルト503は、定着ローラ500及び加熱ローラ501に懸架され、X方向に沿った回転軸線方向に回転可能な無端状のベルトであり、X方向に沿って所定の幅を有している。定着ベルト503は、熱源502によって加熱ローラ501を介して所定の温度(定着温度)に加熱される。本実施形態において、定着ベルト503は、加圧回転体51の回転駆動に伴って従動回転する。
【0051】
加圧回転体51は、加熱回転体50の定着ローラ500に向かって定着ベルト503の外側に当接するものであり、X方向に沿った回転軸線方向に回転可能な状態でフレーム52によって支持されている。加圧回転体51は、駆動部(図示しない)によって回転駆動される。また、加圧回転体51は、付勢部材(図示しない)によって定着ベルト503側に付勢されている。加圧回転体51と加熱回転体50との間には、シートが通過可能なニップ部FNがX方向に沿って形成される。ニップ部FNには、画像形成装置Aにおいて通紙可能な最大サイズのシート(例えば、縦送り方向のA3サイズ又は横送り方向のA4サイズ)が通過可能となっている。加圧回転体51と加熱回転体50とは、ニップ部FNでシート上の未定着トナーを熱で溶融して、シートを挟持搬送するようになっている。
【0052】
フレーム52は、例えば、亜鉛メッキ鋼板などの金属材から形成されている。フレーム52において、ニップ部FNに対するシート搬送方向Fの上流側には、導入口53が形成され、ニップ部FNに対するシート搬送方向Fの下流側には、排出口54が形成されている(図2参照)。
【0053】
図4は、実施形態1におけるシートガイド部材6を示す斜視図である。図5は、図4のシートガイド部材6をシート側から視た平面図である。図6は、図5のシートガイド部材6のA-A断面図である。
【0054】
シートガイド部材6は、トナー像が転写されたシートをシート搬送方向Fに沿ってガイドするものであり、導入口53においてフレーム52にビス等の締結部材Bによって固定されている(図3参照)。本実施形態において、シートガイド部材6は、ニップ部FNにシートを導くものである。シートガイド部材6は、例えば、ステンレス鋼板などの金属材から形成されている。シートガイド部材6は、シート搬送方向Fに直交する幅方向(本実施形態では、X方向)において、トナー像が転写可能な最大サイズのシート(例えば、縦送り方向のA3サイズ又は横送り方向のA4サイズ)の幅よりも短い幅とされている。
【0055】
本実施形態において、シート搬送方向Fに直交する方向(X方向)におけるシートガイド部材6の端縁部60,61(-X方向側の端縁部60及び+X方向側の端縁部61)は、シートから遠ざかる方向に延伸されている(図4図6参照)。端縁部60,61の延伸量は、例えば、約2~3mm程度である。
【0056】
端縁部60,61がシートから遠ざかる方向に延伸されていることにより、画像不良を防止することができるという効果が生じる。具体的には、次の通りである。
【0057】
シートは、上記の二次転写部4を経てシートガイド部材6を通過する。すなわち、シートガイド部材6を通過するシートは、二次転写時の電圧によって、帯電(本実施形態では、正帯電)した状態となる。ここで、シート搬送方向Fに直交する方向(X方向)において、シートがシートガイド部材6の幅よりも大きい幅を有する場合、帯電したシートがシートガイド部材6の端縁部60,61に近接する。
【0058】
仮に、端縁部60,61がシートから遠ざかる方向に延伸されていないとすると、シートと端縁部60,61との間の距離は、シートが端縁部60,61に対して放電するに十分なほど小さくなる虞がある。特に、厚紙、コート紙等のような高抵抗シートにおいては、二次転写時に過度に帯電する場合があり、この場合、端縁部60,61に対するシートの放電が発生しやすくなる。シートがシートガイド部材6を通過するときに端縁部60,61に対するシートの放電が発生すると、電荷の乱れによって、シート上の未定着のトナー像が乱れてしまう。特に、フチなし印字(余白なし印字)の場合において、シートの側端縁部のトナー像が乱れてしまう。トナー像の乱れは、画像不良の原因となる。
【0059】
上記のように、端縁部60,61がシートから遠ざかる方向に延伸されていることにより、シートと端縁部60,61との間に、端縁部60,61に対するシートの放電を抑止するに十分な距離が確保される。このため、仮に高抵抗シートがシートガイド部材6を通過する場合であっても、シートの放電が抑止され、シートの放電によるトナー像の乱れが防止される。これにより、画像不良を防止することができる。
【0060】
本実施形態において、端縁部60,61は、シート搬送方向Fに沿う全域に亘ってシートから遠ざかる方向に延伸されている(図4参照)。これにより、シート搬送方向Fに沿う全域に亘って、シートと端縁部60,61との間に、端縁部60,61に対するシートの放電を抑止するに十分な距離が確保されることから、シートの放電を確実に抑止することができる。
【0061】
本実施形態において、シート搬送方向Fに直交する方向(X方向)におけるシートガイド部材6の中央部には、略ホームベース状の開口部62が設けられている(図3図6参照)。開口部62には、シートセンサ7が取り付けられている(図2参照)。
【0062】
シートセンサ7は、シートガイド部材6の開口部62に臨んでシートの通過を非接触で検知するセンサであり、例えば、反射型のフォトセンサから構成されている。
【0063】
本実施形態において、シートガイド部材6における開口部62の周辺部63は、シートから遠ざかる方向に凹んでいる(図5図6参照)。周辺部63の凹み量は、例えば、2~3mm程度である。
【0064】
シートガイド部材6における開口部62の周辺部63がシートから遠ざかる方向に凹んでいることにより、画像不良を防止することができるという効果が生じる。具体的には、次の通りである。
【0065】
シートと開口部62の周縁部62aとの距離によっては、開口部62の周縁部62aに対するシートの放電が発生する虞がある。開口部62の周縁部62aに対するシートの放電は、上記の端縁部60,61に対するシートの放電と同様であるが、シートガイド部材6の幅に対するシートの幅によらずシートの放電が起こりうる点で異なる。
【0066】
上記のように、シートガイド部材6における開口部62の周辺部63がシートから遠ざかる方向に凹んでいることにより、シートと開口部62の周縁部62aとの間に、開口部62の周縁部62aに対するシートの放電を抑止するに十分な距離が確保される。このため、シートの放電が抑止され、シートの放電によるトナー像の乱れが防止される。これにより、画像不良を防止することができる。
【0067】
なお、上記説明した定着装置5の構成は、いわゆるベルト定着方式であるが、これに限られず、加圧回転体51で定着ローラ500を直接押圧する構成としてもよい。
【0068】
また、上記説明した端縁部60,61の形状及び延伸量は例示であり、要は、シートと端縁部60,61との間に、端縁部60,61に対するシートの放電を抑止するに十分な距離が確保される程度であればよい。
【0069】
また、上記説明した開口部62の周辺部63の凹み量は例示であり、要は、シートと開口部62の周縁部62aとの間に、開口部62の周縁部62aに対するシートの放電を抑止するに十分な距離が確保される程度であればよい。
【0070】
また、開口部62の形状は例示であり、例えば、開口部62の周縁が円弧状に形成されていてもよい。開口部62の周縁が円弧状に形成されている場合、開口部62の周縁部62aにおける電荷の局所的な集中が回避されることから、開口部62の周縁部62aに対するシートの放電を効率的に抑止することができる。
【0071】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、上記実施形態1とは異なる点についてのみ説明する。
【0072】
図7は、実施形態2におけるシートガイド部材6を示す斜視図である。図8は、図7のシートガイド部材6をシート側から視た平面図である。図9は、図8のシートガイド部材6のB-B断面図である。
【0073】
実施形態2において、シート搬送方向Fに直交する方向(X方向)におけるシートガイド部材6の中央部には、丸穴状の開口部64が設けられている(図7図9参照)。開口部64の周縁部64aは、シートから遠ざかる方向に延伸されている(図7、9参照)。周縁部64aの延伸量は、例えば、約2~3mm程度である。
【0074】
開口部64の周縁部64aがシートから遠ざかる方向に延伸されていることにより、シートと開口部64の周縁部64aとの間に、開口部64の周縁部64aに対するシートの放電を抑止するに十分な距離が確保される。このため、シートの放電が抑止され、シートの放電によるトナー像の乱れが防止される。これにより、画像不良を防止することができる。
【0075】
また、実施形態2において、開口部64の周縁が円弧状に形成されていることにより、開口部64の周縁部64aにおける電荷の局所的な集中が回避されることから、開口部64の周縁部64aに対するシートの放電を効率的に抑止することができる。
【0076】
また、開口部64を丸穴状とすることにより、例えば、バーリング加工を用いて、開口部64の周縁部64aをシートから遠ざかる方向に延伸された形状とすることができる。すなわち、シートと開口部64の周縁部64aとの間に、開口部64の周縁部64aに対するシートの放電を抑止するに十分な距離を容易に確保することができる。
【0077】
以上説明した実施形態では、シートガイド部材6を定着装置5におけるニップ部FNにシートを導くものとしたが、シートガイド部材6は、トナー像が転写されたシートをシート搬送方向Fに沿ってガイドするものであればよく、シートへのトナーの転写工程以降であって定着工程までのシート搬送路S上に適用可能である。例えば、シートガイド部材6を、転写ローラ(この例では二次転写部4)のニップ部にシートを導くガイド部材として適用してもよい。
【0078】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0079】
A 画像形成装置
5 定着装置
50 加熱回転体
500 定着ローラ
501 加熱ローラ
502 熱源
503 定着ベルト
51 加圧回転体
52 フレーム
6 シートガイド部材
60,61 端縁部
62 開口部
62a 周縁部
63 周辺部
64 開口部
64a 周縁部
7 シートセンサ
F 搬送方向
FN ニップ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9