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特開2023-118541気体漏洩判別部材、及び気体漏洩判別方法
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  • 特開-気体漏洩判別部材、及び気体漏洩判別方法 図1
  • 特開-気体漏洩判別部材、及び気体漏洩判別方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118541
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】気体漏洩判別部材、及び気体漏洩判別方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/04 20060101AFI20230818BHJP
   G01M 3/36 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G01M3/04 G
G01M3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021543
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】清田 義孝
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA16
2G067BB22
2G067CC04
2G067DD06
2G067DD14
(57)【要約】
【課題】より簡便に気体の漏洩を判別できる気体漏洩判別部材及び気体漏洩判別方法を提供すること。
【解決手段】気体漏洩判別部材は、2つの密着部材12と、判別部材11と、を有する。密着部材12は、配管20A、20Bの周方向に沿って配管20A、20Bの全周にわたり密着して配置される。また、判別部材11は、2つの密着部材12の間に2つの密着部材の隣接する端部12aと連続して設けられ、配管20A、20Bの継ぎ目22部分の全周にわたって、継ぎ目22部分を被覆するように配置される。また、判別部材11は、継ぎ目22部分から漏洩する気体によって膨張し、気体漏れしていない膨張前の非検知状態から気体漏れしている膨張後の検知状態へ形状が変化する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の周方向に沿って前記配管の全周にわたり密着して配置される2つの密着部材と、
2つの前記密着部材の間に2つの前記密着部材の隣接する端部と連続して設けられ、前記配管の継ぎ目部分の全周にわたって、前記継ぎ目部分を被覆するように配置される判別部材と、を有し、
前記判別部材は、前記継ぎ目部分から漏洩する気体によって膨張し、気体漏れしていない膨張前の非検知状態から気体漏れしている膨張後の検知状態へ形状が変化する気体漏洩判別部材。
【請求項2】
2つの前記密着部材及び前記判別部材は、一体的に形成された可撓性を有するシートである請求項1に記載の気体漏洩判別部材。
【請求項3】
前記密着部材の厚さは、略一定であり、
前記判別部材のうちの少なくとも一部の厚さは前記密着部材の厚さよりも薄い請求項1又は2に記載の気体漏洩判別部材。
【請求項4】
前記判別部材の検知状態の形状は、前記密着部材の前記配管と密着する面とは反対の面側に突出形状が突出した形状である請求項1から3の何れかに記載の気体漏洩判別部材。
【請求項5】
前記判別部材は、表面に模様又は色が付されている請求項1から4の何れかに記載の気体漏洩判別部材。
【請求項6】
2つの前記密着部材それぞれに2つの前記密着部材を固定する固定部材を有する請求項1から5の何れかに記載の気体漏洩判別部材。
【請求項7】
配管に密着可能なシート状の密着部材と、2つの前記密着部材の間に2つの前記密着部材の隣接する端部と連続して設けられる判別部材と、を有する気体漏洩判別部材を前記配管の周方向に沿って前記配管の全周にわたり、前記判別部材が継ぎ目部分の全周にわたって被覆するように、密着させ固定して、前記判別部材の非検知状態から検知状態への形状の変化により気体の漏洩を判別する気体漏洩判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体漏洩判別部材、及び気体漏洩判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から配管の継手等からのガスの漏洩対策として、特定ガスにより変色するフィルムを継手の継ぎ目部分に巻き付けておき、フィルムの変色によりガスの漏洩を判別する技術が知られている。この種の技術を示すものとして、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、特定のガスと反応し発色又は変色する検知剤と検知剤を塗布された基材とからなるインジケータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-251657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、取り扱う気体(ガス)の種類が多い場合に対応する気体漏洩判別部材(インジケータ)の種類も増えてしまい、気体漏洩判別部材の設置時や交換時に管理が煩雑になるという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、より簡便に気体の漏洩を判別できる気体漏洩判別部材、及び気体漏洩判別方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る気体漏洩判別部材は、配管の周方向に沿って前記配管の全周にわたり密着して配置される2つの密着部材と、2つの前記密着部材の間に2つの前記密着部材の隣接する端部と連続して設けられ、前記配管の継ぎ目部分の全周にわたって、前記継ぎ目部分を被覆するように配置される判別部材と、を有し、前記判別部材は、前記継ぎ目部分から漏洩する気体によって膨張し、気体漏れしていない膨張前の非検知状態から気体漏れしている膨張後の検知状態へ形状が変化する。
【0007】
(1)によれば、より簡便に気体の漏洩を判別できる。
【0008】
(2) 本発明に係る気体漏洩判別部材では、2つの前記密着部材及び前記判別部材は、一体的に形成された可撓性を有するシートであることが好ましい。
【0009】
(2)によれば、気体漏洩判別フィルム10は、密着部材12と判別部材11とが一体的に形成されているため、配管への配置が容易にできる。また、気体漏洩判別フィルム10は、可撓性を有するシートであるため、膨張しやすく視認が容易であり、再利用も可能である。
【0010】
(3) 本発明に係る気体漏洩判別部材では、前記密着部材の厚さは、略一定であり、前記判別部材のうちの少なくとも一部の厚さは前記密着部材の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0011】
(3)によれば、判別部材11のうちより密着部材12よりも薄く膨張しやすい部分を設定することができ、より検知状態であることを視認しやすくできる。
【0012】
(4) 本発明に係る気体漏洩判別部材では、前記判別部材の検知状態の形状は、前記密着部材の前記配管と密着する面とは反対の面側に突出形状が突出した形状であることが好ましい。
【0013】
(4)によれば、判別部材11Bの非検知状態の形状と検知状態の形状との違いがより明確になるため、検知状態の形状を視認しやすくできる。
【0014】
(5) 本発明による気体漏洩判別部材では、前記判別部材は、表面に模様又は色が付されていることが好ましい。
【0015】
(5)によれば、判別部材11が検知状態の形状に変化した時に表面が膨張して模様や色の見え方が変化するため、より膨張を視認しやすくできる。
【0016】
(6) 本発明による気体漏洩判別部材では、2つの前記密着部材それぞれに2つの前記密着部材を固定する固定部材を有することが好ましい。
【0017】
(6)によれば、気体漏洩判別フィルム10の配管への着脱が容易にできる。
【0018】
(7) 本発明による気体漏洩判別方法では、配管に密着可能なシート状の密着部材と、2つの前記密着部材の間に2つの前記密着部材の隣接する端部と連続して設けられる判別部材と、を有する気体漏洩判別部材を前記配管の周方向に沿って前記配管の全周にわたり、前記判別部材が継ぎ目部分の全周にわたって被覆するように、密着させ固定して、前記判別部材の非検知状態から検知状態への形状の変化により気体の漏洩を判別する。
【0019】
(7)によれば、より簡便に気体の漏洩を判別できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、より簡便に気体の漏洩を判別できる気体漏洩判別部材、及び気体漏洩判別方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る気体漏洩判別フィルムが設けられた配管の継手の一例を示す模式図である。
図2図1に示す非検知状態の気体漏洩判別フィルムのA-A線に沿った断面の一部を示す断面図である。
図3図2において継手の継ぎ目部分から気体が漏洩して検知状態となった場合の気体漏洩判別フィルムの断面の一部を示す断面図である。
図4図1に示すA-A線に沿って変形例に係る非検知状態の気体漏洩判別フィルムの断面の一部をとった場合の断面図である。
図5図4において継手の継ぎ目部分から気体が漏洩して検知状態となった場合の気体漏洩判別フィルムの断面の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<本実施形態に係る気体漏洩判別フィルム>
以下、本発明の一実施形態に係る気体漏洩判別部材としての気体漏洩判別フィルム10の一例について、図1~3を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10が配置された配管20Aと配管20Bとの継手の一例を示す模式図である。図2は、図1に示すA-A線に沿って変形例に係る非検知状態の気体漏洩判別フィルム10の断面の一部を取った場合の断面図である。図3は、図2において継手の継ぎ目22から気体が漏洩した場合の断面図である。
【0024】
本発明の一実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10は、2つの配管20Aと配管20Bとの継手の継ぎ目22からの気体の漏洩の抑制と気体の漏洩判別を行うために用いられる。配管20Aと配管20Bは、内部に気体を流通させるための配管である。配管20Aと配管20Bは、配管20Aと配管20Bのそれぞれの開口部を対向させて配管20Aのフランジ21Aと配管20Bのフランジ21Bとを合わせてボルト等により締結することで固定される。締結されたフランジ21Aとフランジ21Bは、配管20Aと配管20Bの継ぎ手部分を構成している。
【0025】
気体漏洩判別フィルム10は、気体透過性の低い部材により形成され、フランジ21Aとフランジ21Bとにより構成される継手の継ぎ目22の全周に巻き付けて配置される。なお、継ぎ目22から漏洩する気体は、気体漏洩判別フィルム10とフランジ21A及びフランジ21Bとの間に溜まり、外部への漏洩が抑制される。
【0026】
気体漏洩判別フィルム10は、図2に示すように配管の周方向に沿って配管の全周にわたり密着して配置される密着部材12と、2つの密着部材12の間に2つの密着部材12の隣接する端部12aと連続して設けられる判別部材11と、を有する。本実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10は、例えば、2つの密着部材12及び判別部材11が一体的に形成された可撓性を有するフィルムであることが好ましい。
【0027】
密着部材12は、厚さが略一定である。また、判別部材11の厚さのうちの少なくとも一部は、密着部材12の厚さよりも薄くなるように形成される。本実施形態に係る判別部材11は、全体として密着部材12の厚さより薄く形成されていてもよい。このため、判別部材11は、気体漏洩判別フィルム10と配管との間に溜まる気体により変形しやすい。
【0028】
なお、判別部材11の厚さは、全体として密着部材12の厚さよりも薄い構成には限定されず、例えば、判別部材11の一部だけ、密着部材12の厚さよりも薄くても良いし、判別部材11の密着部材12の厚さより薄い一部は、間欠的に設けられても良い。
【0029】
判別部材11は、密着部材12が配管に密着して配置される際に、配管の継ぎ目22部分の全周にわたって、継ぎ目22部分を被覆するように配置される。また、判別部材11は、継ぎ目22部分から漏洩する気体によって膨張し、気体漏れしていない膨張前の非検知状態から気体漏れしている膨張後の検知状態へ形状が変化する。上記の構成を有する気体漏洩判別フィルム10により、判別部材11の非検知状態から検知状態への形状の変化によって気体漏洩を判別できる。本実施形態に係る気体漏洩判別方法について、以下に説明する。
【0030】
<本実施形態に係る気体漏洩判別フィルムの配置方法>
まず、本実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10の配置方法について説明する。本実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10は、2つの密着部材12それぞれに2つの密着部材12を結束することで固定する固定部材としての結束バンド30を有する。なお、固定部材は、結束バンド30に限らず、例えば粘着テープでも良い。
【0031】
まず、気体漏洩判別フィルム10を、図1、2に示すように上述のように配管20Aのフランジ21Aと配管20Bのフランジ21Bとの継手に判別部材11が継ぎ目22部分の全周にわたって、継ぎ目22部分を被覆するように巻き付け、2本の結束バンド30によりそれぞれ2つの密着部材12を結束して固定する。
【0032】
判別部材11は、図2に示すように、フランジ21A及びフランジ21Bの外周面に密着せずに離間できる。また、密着部材12は、結束バンド30によってフランジ21A及びフランジ21Bの外周面に密着するように、気体漏洩判別フィルム10がフランジ21Aとフランジ21Bに固定される。判別部材11は、2つの密着部材12の端部12aに連続して設けられているため、判別部材11と配管の間は、外部から密閉される。
【0033】
<本実施形態に係る気体漏洩判別方法>
次に、図2~3を用いて、継手に設けられた本実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10の非検知状態から検知状態への形状の変化による気体漏洩判別方法について説明する。
【0034】
図2に示すように継手の継ぎ目22から配管20Aと配管20B内部の気体が漏洩した場合は、漏洩した気体は判別部材11と配管との間に留まるため、気体漏洩判別フィルム10の外部には漏洩しない。また、判別部材11は、継ぎ目22から漏洩した気体によって気体漏れしていない非検知状態である図2の膨張前の形状から、膨張して気体漏れしている検知状態である図3の膨張後の形状へ変化する。判別部材11の膨張が確認できた場合に継ぎ目22から気体が漏洩していると判別する。なお、図2、3では、判別部材11と配管との間には隙間ができているが、隙間がなく密着しても良い。
【0035】
[変形例]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0036】
<変形例に係る気体漏洩判別フィルム>
以下に変形例に係る気体漏洩判別フィルム10Bの詳細について、図4、5を用いて説明する。図4は、図1に示すA-A線に沿って変形例に係る気体漏洩判別フィルム10Bの断面の一部をとった場合の断面図であり、気体漏洩判別フィルム10Bの判別部材11Bが非検知状態である場合を示している。図5は、図4において継手の継ぎ目22から気体が漏洩し、判別部材11Bが非検知状態から検知状態へと形状が変化した場合の断面図である。なお、上述の実施形態と同様の構成は、同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
【0037】
上述の実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10の判別部材11は、平坦な形状であったが、これに限らない。例えば変形例に係る気体漏洩判別フィルム10Bの判別部材11Bは、図4に示す非検知状態において、密着部材12Bの密着する面とは反対の面側に突出した先端部を有し、非検知状態において上記先端部が下方に垂下した形状である。また、判別部材11Bは、図5に示す検知状態においては、上記先端部に継ぎ目22部分から漏洩する気体が溜まることにより、上記先端部が突出する突出形状である。なお、判別部材11Bは、継ぎ目22部分の周方向の一部から突出する、1つの突出形状を有していても良く、周方向の全周にわたって突出する突出形状を有していてもよく、周方向の複数の箇所から突出する、複数の突出形状を有していても良い。
【0038】
変形例に係る気体漏洩判別フィルム10Bは、2つの密着部材12B及び判別部材11Bが一体的に形成された可撓性を有するフィルムである。気体漏洩判別フィルム10Bは、上述の実施形態の気体漏洩判別フィルム10と同様に配管の周方向に沿って配管の全周にわたり密着して配置される密着部材12Bと、2つの密着部材12Bの間に2つの密着部材12Bの隣接する端部12Baと連続して設けられる判別部材11Bと、を有する。
【0039】
密着部材12Bは、厚さが略一定である。また、判別部材11Bは、厚さのうち少なくとも一部は、密着部材12Bの厚さよりも薄く形成される。本変形例に係る判別部材11Bは、全体として厚さが密着部材12Bの厚さよりも薄く形成される。判別部材11Bは、密着部材12Bが配管に密着して配置されるときに配管の継ぎ目22部分の全周にわたって、継ぎ目22部分を被覆するように配置される。本変形例に係る判別部材11Bの配置後の非検知状態の形状は、上述のように密着部材12Bの配管と密着する面とは反対の面側に突き出た形状である。また、判別部材11Bは、継ぎ目22部分から漏洩する気体によって膨張し、気体漏れしていない膨張前の非検知状態から気体漏れしている膨張後の検知状態へ形状が変化する。
【0040】
本変形例に係る判別部材11Bの検知状態の形状は、密着部材12Bの配管と密着する面とは反対の面側に突出形状が突出した形状である。気体漏洩判別フィルム10Bは、判別部材11Bの非検知状態から検知状態への形状の変化によって気体漏洩を判別できる。本変形例に係る気体漏洩判別方法については、以下に説明する。
【0041】
<変形例に係る気体漏洩判別フィルムの配置方法>
【0042】
まず、変形例に係る気体漏洩判別フィルム10Bの配置方法について説明する。気体漏洩判別フィルム10Bを、上述の実施形態と同様に判別部材11Bが継ぎ目22部分の全周にわたって、継ぎ目22部分を被覆するように配管20Aのフランジ21Aと配管20Bのフランジ21Bの継手に巻き付け、2本の結束バンド30によりそれぞれ2つの密着部材12Bを結束して固定する。
【0043】
なお、図4に示すように判別部材11Bを、予めフランジ21A及びフランジ21Bと判別部材11Bとの間の空気を抜いた状態で、継手への気体漏洩判別フィルム10Bを巻き付けて固定を行う。このため、判別部材11Bは、気体漏洩判別フィルム10Bがフランジ21Aとフランジ21Bの継手に固定された時点では、図4に示すように前述の先端部が下方に垂下した、非検知状態の形状となる。
【0044】
<変形例に係る気体漏洩判別方法>
次に、図4~5を用いて、継手に設けられた本実施形態に係る気体漏洩判別フィルム10Bの非検知状態から検知状態への形状の変化による気体漏洩判別方法について説明する。
【0045】
継手の継ぎ目22から配管20Aと配管20B内部の気体が漏洩した場合は、漏洩した気体は判別部材11Bと配管との間に留まるため、気体漏洩判別フィルム10Bの外部には漏洩しない。また、判別部材11Bは、前述の非検知状態において下方に垂下した先端部に継ぎ目22から漏洩した気体が溜まることによって、先端部が検知状態である突出した突出形状へ変化する。判別部材11Bの先端部が下方に垂下した形状から先端部が突出した突出形状に変化したことが確認できた場合に継ぎ目22から気体が漏洩していると判別する。
【0046】
以上により、構成される気体漏洩判別フィルム10Bにおける、判別部材11Bの検知状態の形状は、密着部材12Bの配管と密着する面とは反対の面側に突出した突出形状である。
【0047】
これにより、判別部材11Bの非検知状態の形状と検知状態の形状との違いがより明確になるため、検知状態の形状を視認しやすくできる。
【0048】
[その他の変形例]
また、上述の変形例では、判別部材11Bの検知状態をより明確にするために判別部材11Bの検知状態の形状を突出形状であるものとして説明したが、これに限らない。例えば、判別部材11Bの検知状態の形状を単純な突出形状とせずに、複数の細かい突起形状を設けて当該突起形状により模様が構成されるように形成しても良い。この場合、検知状態では突起形状が突出することで模様が現れ検知状態をより明確に視認可能になる。
【0049】
また、一実施形態に係る判別部材11の表面に模様や色を付することで漏洩による膨張が客観的に把握できるようにしても良い。例えば、予め密着部材12及び判別部材11の表面に等間隔で複数の水玉模様を付しておく。判別部材11が気体漏洩により検知状態の形状に変化した時に判別部材11の表面が膨張して水玉模様の間隔が広がる。このとき、密着部材12と判別部材11とで水玉模様の間隔が異なるため、判別部材11が膨張していることがより明確に視認できる。
【0050】
なお、本実施形態では、気体漏洩判別部材として気体漏洩判別フィルム10が配管の継手に設けられていたが、これに限らず、フィルムを構成する樹脂は、常温で可撓性を有している樹脂であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であっても良い。上記樹脂としては、例えば、ゴム、エラストマー等が挙げられる。
【0051】
また、上述の実施形態では、継手としてのフランジに気体漏洩判別フィルム10が貼付されていたが、フランジ以外の継手にも気体漏洩判別フィルム10を貼付することができる。
【符号の説明】
【0052】
10、10B 気体漏洩判別フィルム(気体漏洩判別部材)
11、11B 判別部材
12、12B 密着部材
12a、12Ba 端部(隣接する端部)
20A、20B 配管
22 継ぎ目(継ぎ目部分)
図1
図2
図3
図4
図5