IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三国屋建設株式会社の特許一覧 ▶ 川崎地質株式会社の特許一覧 ▶ 協和機工株式会社の特許一覧 ▶ 西岡鉄工有限会社の特許一覧

特開2023-118542構造物設置用アタッチメント及び該アタッチメントが取り付けられた構造物の設置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118542
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】構造物設置用アタッチメント及び該アタッチメントが取り付けられた構造物の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/52 20060101AFI20230818BHJP
   E02B 17/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
E02D27/52 Z
E02B17/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021544
(22)【出願日】2022-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】511107957
【氏名又は名称】三国屋建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501254955
【氏名又は名称】川崎地質株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594125576
【氏名又は名称】協和機工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522060559
【氏名又は名称】西岡鉄工有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】和田 英司
(72)【発明者】
【氏名】松村 覚
(72)【発明者】
【氏名】川井 康右
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 理
(72)【発明者】
【氏名】有泉 真二
(72)【発明者】
【氏名】西岡 英樹
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046DA61
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水中の地盤の形状に関わらず、作業面が略平行な状態で構造物を水中の地盤に設置できる構造物設置用アタッチメント及び構造物の設置方法を提供する。
【解決手段】ガイド孔を有し構造物Sに取り付けられる本体10と、該ガイド孔に移動可能な状態で挿通されたレグ20と、レグ20が本体10に係止された状態と、そうでない状態とを形成する係止開放機構と、を備えるアタッチメント2である。複数のアタッチメント2が取り付けられ構造物Sを水中の地盤Gに設置するとき、構造物Sをレグ20が本体10に係止された状態で、作業面Mが略水平となるようにワイヤWで吊り下げるステップと、レグ20が本体10に係止されていない状態でレグ20を下面22が水中の地盤Gに当接するまで降下させるステップと、再びレグ20が本体10に係止された状態に切り替え、構造物Sを吊り下げていたワイヤWを緩めるステップとを繰り返す。
【選択図】図6C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド孔を有し構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備えたアタッチメントであって、
複数の該アタッチメントが取り付けられ前記構造物を水中の地盤に設置するとき、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返すことを特徴とする構造物設置用アタッチメント。
【請求項2】
前記係止開放機構が、
前記本体に形成され、上下方向に並んだ複数の本体側孔と、
前記レグに形成され、上下方向に並んだ複数のレグ側孔と、
前記本体側孔及び前記レグ側孔の両方を貫通するように挿入される位置決めピンと、
を備え、
前記レグの上下方向の所定の範囲内の任意に位置で、複数の前記本体側孔のうちの何れかの孔と、複数の前記レグ側孔のうちの何れかの孔との両方を貫通するように前記位置決めピンが挿入されて、前記レグが前記本体に係止されることを特徴とする請求項1に記載の構造物設置用アタッチメント。
【請求項3】
前記係止開放機構が、前記本体に取り付けられ、アクチュエータにより前記ガイド孔の対向する内面の間の距離を変更するクランプ機構から構成され、
前記対向する内面の間の距離を狭めることにより、前記対向する内面で前記レグの外面を両側から挟み込んで、前記レグが前記本体に係止された状態とし、
前記対向する内面の間の距離を広げることにより、前記ガイド孔の内面を前記レグの外面から離間させて、前記レグが前記本体に係止されていない状態にすることを特徴とする請求項1に記載の構造物設置用アタッチメント。
【請求項4】
前記レグの外面に上下方向に並んだ複数の凸部または凹部が設けられ、前記ガイド孔の前記対向する内面に前記凸部または凹部と嵌合する凹部または凸部が設けられ、
前記レグが前記本体に係止された状態で前記アクチュエータの駆動力を喪失した場合でも、該凸部及び凹部の嵌合により前記レグ及び前記本体の係止状態が保持されることを特徴とする請求項3に記載の構造物設置用アタッチメント。
【請求項5】
側面断面視で、前記ガイド孔の内面がテーパ状に形成され、
前記係止開放機構が、
側面断面視で前記ガイド孔の内面に対応したテーパを有するくさび状部材と、
前記くさび状部材を上下方向に移動させるアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータにより前記くさび状部材を上下で一方の方向に移動させて、前記ガイド孔の内面及び前記レグの外面の間の空間に前記くさび状部材を押し込むことにより、前記くさび状部材を介して前記レグが前記本体に係止された状態とし、
前記アクチュエータにより前記くさび状部材を上下で他方の方向に移動させて、前記くさび状部材を前記レグの外面から離間させることにより、前記レグが前記本体に係止されていない状態にすることを特徴とする請求項1に記載の構造物設置用アタッチメント。
【請求項6】
複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置する方法であって、
前記構造物設置用アタッチメントが、
ガイド孔を有し、前記構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備え、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返すことを特徴とする構造物の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を水中の地盤に設置するときに用いる構造物設置用アタッチメント、及びこのアタッチメントが取り付けられた構造物の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水中の地盤に設置され、上部の作業面が水上に出た構造物が知られている。例えば、特許文献1には、下端が海底に固定され、上端が海上より上方に突出した海洋構造物の据付方法が提案されている。特許文献1に記載の据付方法では、海洋構造物を分割して製造し、順に積み重ねることにより、効率的な海洋構造物の据付を目指している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-172917公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の据付方法は、予め海底に打設されたパイルの上に据付を行うものである。このような大規模な基礎工事を伴う海洋工事は限られており、海洋構造物の設置工事の多くは、海洋構造物をそのまま海底に着座させるものである。その場合、海底が傾斜していたり、凹凸があったりすると、海上の作業面が水平になるように据え付けるのが困難となる。海上の作業面が水平になるようにするため、海底を平坦に均す工事を行えば、大きな費用及び長い期間を費やすことになる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、水中の地盤の形状に関わらず、作業面が略平行な状態で構造物を水中の地盤に設置することが可能な構造物設置用アタッチメント、及びこのアタッチメントが取り付けられた構造物の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様に係る構造物設置用アタッチメントは、
ガイド孔を有し構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備えたアタッチメントであって、
複数の該アタッチメントが取り付けられ前記構造物を水中の地盤に設置するとき、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返す。
【0007】
本発明の1つの態様に係る構造物の設置方法は、
複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置する方法であって、
前記構造物設置用アタッチメントが、
ガイド孔を有し、前記構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備え、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返す。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様では、水中の地盤の形状に関わらず、作業面が略平行な状態で構造物を水中の地盤に設置することが可能な構造物設置用アタッチメント、及びこのアタッチメントが取り付けられた構造物の設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の1つの実施形態に係る構造物設置用アタッチメントの概要を示す側面図である。
図1B】本発明の1つの実施形態に係る構造物設置用アタッチメントの概要を示す斜視図である。
図2A】複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物の一例を示す側面図である。
図2B図2Aに示す構造物の底面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る係止開放機構の概要を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る係止開放機構の概要を示す図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る係止開放機構の概要を示す側面断面図である。
図6A】複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置される工程の一部を示す図である。
図6B】複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置される工程の一部を示す図である。
図6C】複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置される工程の一部を示す図である。
図6D】複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置される工程の一部を示す図である。
図6E】複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置される工程の一部を示す図である。
図6F】複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置される工程の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では前述の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0011】
(第1の実施形態に係る)
はじめに、図1A図1B図2A及び図2Bを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る構造物設置用アタッチメントの説明を行う。図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る構造物設置用アタッチメントの概要を示す側面図であり、図1Bは斜視図である。図2Aは、複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物の一例を示す側面図であり、図2Bは、図2Aに示す構造物の底面図である。
【0012】
本実施形態に係る構造物設置用アタッチメント2は、ガイド孔12を有する本体10と、本体10のガイド孔12に、長手方向に移動可能な状態で挿通されたレグ20とを備える。更に、後述するように、構造物設置用アタッチメント2は、レグ20が本体10に係止された状態と、レグ20が本体10に係止されていない状態とを形成する係止開放機構30、40、50を備える。レグ20は、スパッドと称される場合もある。レグ20がガイド孔12に挿通される本体10は、レグキーパまたはスパッドキーパーと称される場合もある。
【0013】
図2Aに示すように、複数の構造物設置用アタッチメント2が、水中の地盤に設置される構造物Sに取り付けられる。水中の地盤に設置されたとき、構造物Sの上側の作業面Mは、水面より上側に配置されている。構造物Sとして、例えば、海上における作業台や作業足場として使用されるジャケット式架台やボーリング足場等を例示できる。ただし、海洋に接地される構造物だけでなく、湖や川(河)の底に設置される場合を含め、水中の地盤に設置される任意の用途の任意の構造物Sに構造物設置用アタッチメント2を適用することができる。構造物Sの作業面Mが水上に出ている場合だけでなく、水中に位置する場合もあり得る。何れの場合も、作業面Mが略水平となるように、構造物Sが水中の地盤に設置される。
【0014】
構造物設置用アタッチメント2は、構造物Sの下側の領域に取り付けられている。図2Bに示すように、図示した例では、15個の構造物設置用アタッチメント2が、構造物Sの底面の中心に対して対称な位置に配置されている。ただし、これに限られるものではなく、構造物の大きさや設置場所に応じて、その他の任意の個数の構造物設置用アタッチメント2を取り付けることができる。構造物Sの接地の安定性を考慮すると、構造物Sの底面形状において、点対称または線対称な位置に各構造物設置用アタッチメント2を配置するのが好ましい。
【0015】
構造物設置用アタッチメント2では、本体10が構造物Sに取り付けられる。例えば、ボルトナットのような締結部材で本体10を構造物Sに取り付けることができるし、溶接で本体10を構造物Sに取り付けることができるし、その他の任意の方法で、本体10を構造物Sに取り付けることができる。
【0016】
本体10を構造物Sに取り付ける向きについては、ガイド孔12の長手方向が上下方向となるように取り付ける、これにより、構造物Sに取り付けられた本体10のガイド孔12に挿通されたレグ20が、上下方向に移動するようになる。図示した例では、レグ20の下側の端部にレグフーチング24が取り付けられ、レグ20の下面(ここではレグフーチング24の下面)22には、先端突起24Aが形成されている。
【0017】
構造物設置用アタッチメント2が取り付けられた構造物Sがクレーンのワイヤで吊り下げられて、構造物設置用アタッチメント2を含む構造物Sの下側の領域が水中にあるとき、係止開放機構30、40、50によりレグ20が本体10に係止された状態では、レグ20は構造物Sに対して移動することなく、共にワイヤで吊り下げられた状態にある。その状態から、係止開放機構30、40、50によりレグ20が本体10に係止されていない状態にすると、レグ20は自重で下方に移動し、レグ20の下面22が水中の地盤に当接する。
【0018】
後述するように、レグ20の下面22は水中の地盤に当接し、レグ20は、設置された構造物Sの脚部として構造物Sの荷重を支える機能を果たす。レグフーチング24により地盤にかかる荷重を分散させて、構造物Sが沈み込むのを防ぐことができる。レグフーチング24の底面の大きさとしては、円形の場合の直径または正方形の場合の1辺の長さが、500mm~2000mmであることを例示できる。また、先端突起24Aが地盤にささることにより、接地された構造物の横方向のズレを防ぐことができる。ただし、地盤の硬さ等によっては、レグフーチング24や先端突起24Aを備えない場合もあり得る。
【0019】
本体10及びレグ20は、炭素鋼、スレンレス鋼をはじめとする鋼材やその他の金属材料で形成することができる。本実施形態では、レグ20は円形の断面形状を有し、レグ20として、中実の棒材を用いることもできるし、中空のパイプ材を用いることもできる。レグ20の外径として、200mm~800mmを例示することができる。
【0020】
本体10のガイド孔12の内面12Aとレグ20の外面20Aとの間の隙間は、水中において、自重でレグ20がスムーズに移動するとともに、過大なガタが生じないように設定される。具体的には、隙間として2~10mmを例示できる。また、レグ20は、円形の断面形状を有する場合に限られるものではない。例えば、レグ20が矩形の断面形状を有する場合(図3の(c)参照)もあり得るし、H型鋼をはじめとする形鋼をレグ20として用いることもできる。
【0021】
レグ20が本体10に対して上下方向に動くストロークは、構造物Sを接地する水中の地盤の傾斜の程度や凹凸の大きさ等により定められる。少なくとも、接地する領域内の最も浅い地点と最も深い地点との間の高低差よりも大きいストロークを要する。様々な形状の地盤を考慮し、レグ20が上下方向に動く最大ストロークとして、1m~10mを例示することができる。レグ20の長さは、この最大ストロークに応じて定められる。
なお、レグ20が本体10に係止されていない状態になり、レグ20が、最大長さが引き出されるまで降下したとき、端部のストッパに当接して停止するようになっている。
【0022】
(第1の実施形態に係る係止開放機構)
次に、図3を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る係止開放機構の説明を行う。図3は、本発明の第1の実施形態に係る係止開放機構の概要を示す図である。図3の(a)は、本体10のガイド孔12にレグ20が挿通された状態を示す側面図である。図3の(b)は、本体側孔32及びレグ側孔34を拡大して示す側面図である。図3の(c)は、(a)に示す本体10及びレグ20を長手方向(つまり、レグ20の移動方向)に直交する方向の断面A-Aを示す断面図である。
【0023】
本実施形態に係る係止開放機構30では、図3の(c)に示すように、レグ20及びレグ20を内面12Aで囲むガイド孔12は、矩形の断面形状を有する。また、レグ20の両側の側面からブラケット26が延びている。図3の(c)に示すように、このブラケット26を両側から囲むように、本体10のガイド孔12の枠部の外側面からブラケット14が延びている。図3の(b)に示すように、本体10のブラケット14には、上下方向に並んだ複数(ここでは4個)の本体側孔32が設けられ、レグ20のブラケット26には、上下方向に並んだ複数のリブ側孔34が設けられている。本体側孔32及びレグ側孔34は、それぞれ貫通孔になっている。
【0024】
本実施形態では、更に、図3の(c)に示すように、本体10に形成された本体側孔32及びレグ20に形成されたレグ側孔34の両方を貫通するように挿入される位置決めピン36を備える。なお、図3の(a)に示す例では、レグフーチング24が球面座を介してレグ20に取り付けられており、地盤の形状に応じて、傾きを持って地盤に設置できるようになっている。
【0025】
本実施形態では、レグ20が移動する上下方向の所定の範囲内において、任意に位置で、複数の本体側孔32のうちの何れかの孔、及び複数のレグ側孔34のうちの何れかの孔の両方を、位置決めピン36が貫通して挿入できるようになっている。これにより、レグ20が本体10に対して任意に移動した位置で、レグ20を本体10に係止することができる。
【0026】
例えば、本体側孔32の内径D1=2R、本体側孔32の配設ピッチP1=3Rとし、レグ側孔34の内径D2=2R、レグ側孔34の配設ピッチP2=4Rとする。つまり、本体側孔32の配設ピッチP1は、レグ側孔34の配設ピッチP2よりRだけ短くなっている。また、位置決めピン36の外径が、本体側孔32やレグ側孔34の内径D1、D2よりR/2以上小さく形成されている。つまり、3/2R(=2R-R/2)以下の外径を有している。
【0027】
図3の(b)において、下側の本体側孔32(1)の中心位置と、下側のレグ側孔34(1)の中心位置が一致している場合を仮定する。この状態からレグ20を降下させると、本体側孔32(1)の中心位置とレグ側孔34(1)の中心位置がずれていくが、Rだけ降下すると、本体側孔32(2)の中心位置とレグ側孔34(2)の中心位置が一致するようになる。
【0028】
この間の過程を考えると、レグ20が、本体側孔32(1)の中心位置とレグ側孔34(1)の中心位置が一致している状態からR/2の距離を降下するまでの間は、外径が3/2R以下の位置決めピン36を、本体側孔32(1)及びレグ側孔34(1)を貫通するように挿入することができる。その後、レグ20が、R/2からRまでの距離を降下する間は、外径が3/2R以下の位置決めピン36を、本体側孔32(2)及びレグ側孔34(2)を貫通するように挿入することができる。
【0029】
本体側孔32(2)及びレグ側孔34(2)の中心が一致したところから、レグ20が更にRの距離を降下すると、本体側孔32(3)及びレグ側孔34(3)の中心が一致する。その間、中心が一致した位置からR/2まで降下する間は、位置決めピン36を、本体側孔32(2)及びレグ側孔34(2)を貫通するように挿入することができ、R/2からRまで降下する間は、位置決めピン36を、本体側孔32(3)及びレグ側孔34(3)を貫通するように挿入することができる。
【0030】
本体側孔32(3)及びレグ側孔34(3)の中心が一致したところから、レグ20が更にRの距離を降下すると、本体側孔32(4)及びレグ側孔34(4)の中心が一致する。その間、中心が一致した位置からR/2まで降下する間は、位置決めピン36を、本体側孔32(3)及びレグ側孔34(3)を貫通するように挿入することができ、R/2からRまで降下する間は、位置決めピン36を、本体側孔32(4)及びレグ側孔34(4)を貫通するように挿入することができる。
【0031】
そして、本体側孔32(1)の中心位置及びレグ側孔34(1)の中心位置が一致している状態から、レグ20が4Rの距離を降下すると、本体側孔32(1)の中心位置とレグ側孔34(2)の中心位置が一致するようになる。これにより、再び上記の過程が繰り返されることになる。よって、本体側孔32は上下に4個並んでいれば、レグ側孔34が形成された範囲において、任意の位置で、何れかの本体側孔32及びレグ側孔34の両方に、位置決めピン36が貫通できるようになる。レグ側孔34が形成される範囲、個数は、レグ20の上下方向の移動ストロークに応じて定まる。
【0032】
具体的には、本実施形態では、本体側孔32の内径D1が50mmで、本体側孔32の配設ピッチP1が75mmとなっている(つまりR=25mmになっている)。一方、レグ側孔34の内径D2が50mmで、レグ側孔34の配設ピッチP2が100mmとなっている。置決めピン36が37mmとなっている。このような寸法を採用することにより、上下方向におけるレグ20の任意の位置で、本体側孔32及びレグ側孔34の何れかの対に位置決めピン36を挿入することができ、その位置で固定することができる。なお、置決めピン36及び孔32、34の間の隙間の分は動くが、その値は最大値でも僅か(50mm-37mm=13mm)であり、地盤に構造物Sを設置する観点では問題のない範囲内にある。
【0033】
本実施形態に係る係止開放機構30では、水中に潜ったダイバーが、本体側孔32及びレグ側孔34を貫通するように位置決めピン36を挿入することにより、レグ20が本体10に係止された状態を形成できる。このとき、位置決めピン36の先端部分に面取りを施したり、テーパを付けることにより、より容易に位置決めピン36を挿入することができる。一方、ダイバーが、本体側孔32及びレグ側孔34に挿入された位置決めピン36を抜き取ることにより、レグ20が本体10に係止されていない状態を形成できる。
【0034】
本体側孔32の個数、内径及び配設ピッチや、レグ側孔34の個数、内径及び配設ピッチや、位置決めピン36の外径は、上記に限られるものではない。レグ20の上下方向の所定の範囲内の任意に位置で、複数の本体側孔32のうちの何れかの孔と、複数のレグ側孔34のうちの何れかの孔との両方を貫通するように位置決めピン36が挿入されて、レグ20が本体10に係止されるのであれば、その他の任意の個数及び寸法を採用できる。
【0035】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る係止開放機構30は、本体10に形成され、上下方向に並んだ複数の本体側孔32と、レグ20に形成され、上下方向に並んだ複数のレグ側孔34と、本体側孔32及びレグ側孔34の両方を貫通するように挿入される位置決めピン36と、を備え、レグ20の上下方向の所定の範囲内の任意に位置で、複数の本体側孔32のうちの何れかの孔と、複数のレグ側孔34のうちの何れかの孔との両方を貫通するように位置決めピン36が挿入されて、レグ20が本体10に係止されるようになっている。
【0036】
更に、本実施形態では、図3(c)に示すように、先端にレグ押付パッド38Aを備えたジャッキボルト38を用いて、上下方向の任意の位置で、レグ20を本体10に仮固定することができる。本体10のガイド孔12の枠部の4つの外側面のうち、ブラケット14が取り付けられていない対向する2つの外側面の対向する位置に、貫通孔であるネジ孔18が設けられている。そして、このネジ孔18にジャッキボルト38がねじ込まれている。ジャッキボルト38の先端には、弾性部材からなるレグ押付パッド38Aが取り付けられている。2つのジャッキボルト38の先端の間隔が狭まるように、両側からねじ込むことにより、2つのジャッキボルト38で両側からレグ20を挟み込むことができる。これによりレグ押付パッド38Aの摩擦力で、上下方向の任意の位置でレグ20を本体10に仮固定できる。
【0037】
上記のように、位置決めピン36を本体側孔32及びレグ側孔34の両方を貫通するように挿入するとき、波浪などの影響で本体10が上下に動揺して、位置決めピン36を挿入するのが困難な場合がある。また、レグ20を自由落下させるために位置決めピン36を引き抜くときにも、摩擦力で位置決めピン36を引き抜くのが困難な場合がある。そのような場合でも、ジャッキボルト38を用いた仮固定機構により、上下方向の任意の位置でレグ20を本体10に仮固定することができるので、様々な状況において、位置決めピン36の挿入、引き抜きを容易に行うことができる。
【0038】
これにより、動力を用いないシンプルな構造で、位置決めピン36の挿入及び抜き取りにより、確実に、レグ20が本体10に係止された状態と、レグ20が本体10に係止されていない状態とを形成することができる。
【0039】
(第2の実施形態に係る係止開放機構)
次に、図4を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る係止開放機構の説明を行う。図4は、本発明の第2の実施形態に係る係止開放機構の概要を示す図である。図4の(a)は、本実施形態に係る係止開放機構40の概要を示す側面図(上側)及び平面図(下)側である。図4の(b)は、本体10側に形成された凹部16及びレグ20側に形成された凸部28の嵌合状態を拡大して示す側面断面図である。図4の(c)は、係止開放機構40の外形を示す斜視図(写真)である。
【0040】
本実施形態に係る係止開放機構40は、構造物設置用アタッチメント2の本体10側に取り付けられたクランプ機構である。係止開放機構40は、ガイド孔12の内面12Aの半分を構成する内面12Aaを有するクランプ部42Aと、ガイド孔12の内面12Aの半分を構成する内面12Abを有するクランプ部42Bとを有する。クランプ部42A及びクランプ部42Bの一方の端部どうしがリンク軸44を介して繋がり、他方の端部どうしがアクチュエータ46を介して繋がっている。内面12Aaと内面Abとは、対向するように配置されている。
【0041】
本実施形態では、アクチュエータ46として、ロック機構を備えた油圧シリンダを採用することが好ましい。例えば、締り嵌めの原理で、シリンダ及びピストンまたはロッドの間をロックし、圧油を注入してシリンダ側を膨らませて、ロック状態を解除する機構を採用することができる。この場合、アクチュエータ46は、圧油が途絶えた場合にロックの状態となるフェイルセーフの思想に基づいている。アクチュエータ46の駆動力として、20~60tonを例示することができる。
【0042】
アクチュエータ46が縮んだとき、ガイド孔12の内面12Aを構成する対向する内面12Aa及び内面12Abの間の距離を狭めることができる。一方、アクチュエータ46が伸びたとき、ガイド孔12の内面12Aを構成する対向する内面12Aa及び内面12Abの間を離間させることができる。
【0043】
よって、アクチュエータ46を縮めて、対向する内面12Aa、12Abの間の距離を狭めることにより、対向する内面12Aa、12Abでレグ20の外面20Aを両側から挟み込んで、レグ20が本体10に係止された状態を形成できる。アクチュエータ46が縮んだ状態のとき、仮に油圧が作動しない状態となっても、上記のロック機構により、レグ20が本体10に係止された状態を保持できるようになっている。
一方、アクチュエータ46を伸ばして、対向する内面12Aa、12Abの間の距離を広げることにより、ガイド孔12の内面12Aa、12Abをレグ20の外面20Aから離間させて、レグ20が本体10に係止されていない状態を形成することができる。
【0044】
更に、本実施形態では、ガイド孔12の対向する内面12Aa、12Abに、全周にわたって凹部16が形成されている。凹部16は、上下方向で少なくとも1段設けられている。レグ20を保持する強度を考慮すると、凹部16を複数段設けるのが好ましい。
一方、レグ20の外面20Aには、全周にわたって凸部28が設けられている。ガイド孔12の内面12Aa、12Abに凹部16が複数段設けられている場合には、凹部16の上下方向の設置ピッチが、凸部28の上下方向の設置ピッチに一致するようになっている。
【0045】
これにより、対向する内面12Aa、12Abの間の距離を狭めて、対向する内面12Aa、12Abでレグ20の外面20Aを両側から挟み込むとき、図4の(b)に示すように、本体10側の凹部16と、レグ20側の凸部28とが互いに勘合する状態となる。上下方向で、凹部16の位置と凸部28の位置とが少しずれていても、凹部16に設けられた斜面(図4の(b)の矢印X参照)により、内面12Aa、12Abの間の距離が狭まったとき、凹部16及び凸部28が互いに勘合するように上下方向のずれが修正される。このときの上下方向の移動量は僅かであり、地盤に構造物Sを設置する観点では問題のない範囲内にある。
【0046】
このような凹凸の勘合機構により、レグ20が本体10に係止された状態で、仮にアクチュエータ46の駆動力を喪失した場合でも、凸部28及び凹部48の嵌合により、レグ20及び本体10の係止状態を保持することができる。凸部28及び凹部48は金属で形成することができるが、一部にゴムのような弾性材料を用いることもできる。また、上記とは凹凸を逆にして、本体10側に凸部を設け、レグ20側に凹部を設けることもできる。
【0047】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る係止開放機構40は、本体10に取り付けられ、アクチュエータ46によりガイド孔12の対向する内面12Aa、12Abの間の距離を変更するクランプ機構から構成され、対向する内面12Aa、12Abの間の距離を狭めることにより、対向する内面12Aa、12Abでレグ20の外面20Aを両側から挟み込んで、レグ20が本体10に係止された状態とし、対向する内面12Aa、12Abの間の距離を広げることにより、ガイド孔12の内面12Aa、12Abをレグ20の外面20Aから離間させて、レグ20が本体10に係止されていない状態にすることができる。
【0048】
本実施形態では、油圧回路を制御する制御装置を用いてアクチュエータ46の作動を制御することにより、レグ20が本体に係止された状態と、係止されていない状態とに切り替えることができる。よって、ダイバーが潜水することなく、水上からアクチュエータ46を制御して、レグ20及び本体10の係止及び非係止を行うことができる。これにより、容易にかつ効率的にレグ20が本体10に係止された状態と、レグ20が本体10に係止されていない状態とを形成することができる。
【0049】
更に、本実施形態では、レグ20の外面20Aに上下方向に並んだ複数の凸部28または凹部が設けられ、ガイド孔12の対向する内面12Aa、12Abに凸部28または凹部と嵌合する凹部16または凸部が設けられ、レグ20が本体10に係止された状態でアクチュエータ46の駆動力を喪失した場合でも、凸部28及び凹部16等の嵌合によりレグ20及び本体10の係止状態が保持される。
【0050】
本実施形態に係るアクチュエータ46は機械的なロック機構を有しているが、更に、凸部28及び凹部16等の嵌合により、アクチュエータ46の駆動力を喪失した場合でも、レグ20及び本体10の係止状態が保持される安全機能を有する。
【0051】
(第3の実施形態に係る係止開放機構)
次に、図5を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る係止開放機構の説明を行う。図5は、本発明の第3の実施形態に係る係止開放機構の概要を示す側面断面図である。
本実施形態では、ガイド孔12の内径が、下から上に行くにつれて小さくなるように形成されている。つまり、側面断面視で、ガイド孔12の内面12Aがテーパ状に形成されている。
【0052】
本実施形態に係る係止開放機構50は、側面断面視でガイド孔12の内面12Aに対応したテーパを有するくさび状部材52と、くさび状部材52を上下方向に移動させるアクチュエータ54とを備えるクランプ機構である。少なくとも2つのくさび状部材52が、ガイド孔12の中心に対して反対側の対向する位置に配置されている。アクチュエータ54として、油圧シリンダや油圧ジャッキを用いることができる。アクチュエータ54の駆動力として、20~60tonを例示することができる。
【0053】
アクチュエータ54によりくさび状部材52を上方向に移動させて、ガイド孔12の内面12A及びレグ20の外面20Aの間の空間にくさび状部材52を押し込む。アクチュエータ54による上側への押込力をFとし、テーパの角度をθとすると、くさび状部材52はガイド孔12の内面12Aから、F/Sinθの面反力Pを受ける。角度θが小さい値のとき、F/Sinθは大きな値となり、くさび効果が生じる。よって、くさび状部材52はくさび効果で、内側方向へ大きな力が加わり、その力を接しているレグ20の外面20Aに伝える。よって、くさび状部材52は、両側からレグ20を強い力で挟み込むことになる。このようなくさび効果で、くさび状部材52を介してレグ20を強く保持することができ、レグ20が本体10に係止された状態にすることができる。
【0054】
この状態から、アクチュエータ54によりくさび状部材52を下方向に移動させることにより、くさび状部材52をレグ20の外面20Aから離間させることができる。これにより、レグ20が本体10に係止されていない状態にすることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、アクチュエータ54により、くさび状部材52を上側に移動させて、くさび状部材52をガイド孔12の内面12A及びレグ20の外面20Aの間に押し込むようになっているが、これに限られるものではない。例えば、逆に、アクチュエータ54によりくさび状部材52を下側に移動させて、くさび状部材52を押し込むようにすることもできる。
【0056】
以上のように、本実施形態では、側面断面視で、ガイド孔12の内面12Aがテーパ状に形成され、係止開放機構50が、側面断面視でガイド孔12の内面12Aに対応したテーパを有するくさび状部材52と、くさび状部材52を上下方向に移動させるアクチュエータ54と、を備え、アクチュエータ54によりくさび状部材52を上下で一方の方向に移動させて、ガイド孔12の内面12A及びレグ20の外面20Aの間の空間にくさび状部材52を押し込むことにより、くさび状部材52を介してレグ20が本体10に係止された状態とし、アクチュエータ54によりくさび状部材52を上下で他方の方向に移動させて、くさび状部材52をレグ20の外面20Aから離間させることにより、レグ20が本体10に係止されていない状態にすることができる。仮にアクチュエータ54の駆動力を喪失した場合であっても、くさび効果で、レグ20が本体に係止された状態を維持することが期待できる。
【0057】
本実施形態でも、油圧回路を制御する制御装置を用いてアクチュエータ54の作動を制御することにより、レグ20が本体に係止された状態と、係止されていない状態とに切り替えることができる。よって、ダイバーが潜水することなく、水上からアクチュエータ54を制御して、レグ20及び本体10の係止及び非係止を行うことができる。これにより、容易にかつ効率的に、レグ20が本体10に係止された状態と、レグ20が本体10に係止されていない状態とを形成することができる。
【0058】
なお、係止開放機構は、上記の第1、第2、第3の実施形態に係る係止開放機構30、40、50に限られるものではなく、レグ20が本体10に係止された状態と、レグ20が本体10に係止されていない状態とを形成できるものであれば、その他の任意の機構を採用することができる。
【0059】
(構造物の設置方法)
次に、図6Aから図6Fを参照しながら、上記の実施形態に係る構造物設置用アタッチメント2が複数取り付けられた構造物Sを水中の地盤Gに設置する方法の説明を行う。図6Aから図6Fを、それぞれ、複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置される工程の一部を示す図である。図6Aから図6Fでは、図2Aに示す構造物Sの下側の領域を示し、上側にクレーンのワイヤWで構造物Sを吊り下げている場合と、ワイヤWを緩ませている場合とを模式的に示している。また、作業面Mを構造物Sの下側の領域に示してある。
【0060】
はじめに、クレーンからのワイヤWを構造物Sの上部に掛けて、クレーンで構造物Sを吊り下げる。このとき、係止開放機構30、40、50により、レグ20は本体10に係止された状態になっている。そして、図6Aに示すように、構造物Sを接地位置の水中の地盤Gまで降下させる。構造物Sの底部が地盤Gに当接した後、更にワイヤWを巻下げてワイヤWを緩めて、構造物Sを一度、地盤Gに着座させる。このとき、地盤Gの形状により、構造物Sは傾斜して着座した状態になる。
【0061】
次に、図6Bに示すように、ワイヤWを巻上げて構造物Sを吊り直す。構造物Sが地盤Gと干渉せず、構造物Sの作業面Mが略水平な状態になったところで、ワイヤWの巻上げを停止する。次に、構造物Sの作業面Mが略水平になるように吊り下げられた状態で、係止開放機構30、40、50により、レグ20が本体10に係止された状態から係止されない状態に切り替える。これにより、図6Cに示すように、レグ20が自重で下方へ降下し、各々のレグ20の下面22が地盤Gに当接する。各々のレグ20が地盤Gに当接するまでの降下距離は、地盤Gの傾斜の度合いや凹凸の大きさ等によって異なる。
【0062】
レグ20が本体10に係止された状態から係止されない状態に切り替える場合、第1の実施形態に係る係止開放機構30では、潜水したダイバーが位置決めピン36を引き抜いて、レグ20が本体10に係止されない状態にする。また、レグ20が本体10に係止されていない状態から係止された状態に切り替えるときには、潜水したダイバーが、位置決めピン36を本体側孔32及びレグ側孔34の両方を貫通するように挿入する。
このとき、レグ押付パッド38Aを備えたジャッキボルト38でレグ20を本体10に仮固定することにより、様々な状況において、位置決めピン36の挿入、引き抜きを容易に行うことができる。
【0063】
一方、第2、第3の実施形態に係る係止開放機構40、50では、水上から制御装置を用いてアクチュエータ46、54を作動させて、レグ20が本体10に係止された状態から係止されない状態に切り替えることができ、逆に、レグ20が本体10に係止されない状態から係止された状態に切り替えることができる。
【0064】
次に、図6Dに示すように、各々のレグ20の下面22が地盤Gに当接した状態で、係止開放機構30、40、50により、レグ20が本体10に係止されない状態から係止された状態に切り替える。そして、ワイヤWを巻下げてワイヤWを緩めて、構造物Sを地盤Gに着座させる。このとき、構造物Sの重さで地盤Gに接したレグ20の下面22が地盤Gの中に埋め込まれて沈み込んで、構造物Sが傾く可能性がある。
【0065】
この場合には、再びワイヤWを巻上げて構造物Sを吊り直す。構造物Sの作業面Mが略水平な状態になったところで、ワイヤWの巻上げを停止する。次に、構造物Sの作業面Mが略水平になるように吊り下げられた状態で、係止開放機構30、40、50により、レグ20が本体10に係止された状態から係止されない状態に切り替える。これにより、図6Eに示すように、レグ20を自重で下方へ降下させて、地盤Gに当接させて、各々のレグ20の高さ調整を行うことができる。例えば、前回、レグ20が地盤Gの中に沈み込んだ領域では、レグ20で押し込まれて凹んだ地盤Gに当接するように、レグ20が前回より更に長く伸ばされる。
【0066】
そして、図6Fに示すように、各々のレグ20の下面22が地盤Gに当接した状態で、係止開放機構30、40、50により、レグ20が本体10に係止されない状態から係止された状態に切り替える。そして、ワイヤWを巻下げてワイヤWを緩めて、構造物Sを地盤Gに着座させる。まだ、レグ20の下面22が地盤Gの中に埋め込まれて沈み込みが生じる場合には、構造物を再度吊り上げて上記の工程を繰り返す。
【0067】
一方、既に地盤Gが固まって、レグ20の地盤Gへの沈み込みが生じない場合には、作業面Mが平行な状態で構造物Sを水中の地盤Gに着座させることができたと判断して、一連の工程を終了する。ワイヤWを構造部Sから外して、ワイヤWを巻上げる。これにより、水中の地盤Gが傾斜していたり、凹凸がある場合でも、地盤Gの形状に関わらず、構造物Sをその作業面Mが略水平になるような状態で水中の地盤Gに設置することができる。
【0068】
なお、ワイヤWは水上に出た構造物Sの上部に取り付けられているので、水上の作業で構造物Sからワイヤを外すことができる。よって、水上からの操作でレグ20が本体10に係止された状態及び係止されていない状態を切り替えることができる第2、第3の実施形態に係る係止開放機構40、50を用いる場合には、全て水上からの操作で構造物Sの水中の地盤Gへの設置工事を行うことができる。この場合、水中カメラを用いて、レグ20の地盤Gへの沈み込みを遠隔監視しながら、設置工事を行うのが好ましい。
【0069】
以上のように、上記の実施形態に係る構造物設置用アタッチメント2は、ガイド孔12を有し構造物Sに取り付けられる本体10と、構造物Sに取り付けられた本体10のガイド孔12に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグ20と、レグ20が本体10に係止された状態と、レグ20が本体10に係止されていない状態とを形成する係止開放機構30、40、50と、を備え、複数の構造物設置用アタッチメント2が取り付けられ構造物Sを水中の地盤Gに設置するとき、構造物Sを、レグ20が本体10に係止された状態で、構造物Sの作業面Mが略水平となるようにワイヤWで吊り下げるステップと、レグ20が本体10に係止されていない状態に切り替えて、レグ20を下面22が水中の地盤Gに当接するまで自重で降下させるステップと、再びレグ20が本体10に係止された状態に切り替え、構造物Sを吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、を含む設置工程を、ワイヤWを緩めたときに、作業面Mが略水平となった状態で構造物Sが水中の地盤Gに設置されるようになるまで繰り返す。
【0070】
また、上記の実施形態に係る構造物設置用アタッチメント2が複数の取り付けられた構造物Sを水中の地盤Gに設置する方法では、構造物設置用アタッチメント2が、ガイド孔12を有し、構造物Sに取り付けられる本体10と、構造物Sに取り付けられた本体10のガイド孔12に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグ20と、レグ20が本体10に係止された状態と、レグ20が本体10に係止されていない状態とを形成する係止開放機構30、40、50と、を備え、構造物Sを、レグ20が本体10に係止された状態で、構造物Sの作業面Mが略水平となるようにワイヤWで吊り下げるステップと、レグ20が本体10に係止されていない状態に切り替えて、レグ20を下面22が水中の地盤Gに当接するまで自重で降下させるステップと、再びレグ20が本体10に係止された状態に切り替え、構造物Sを吊り下げていたワイヤWを緩めるステップと、を含む設置工程を、ワイヤWを緩めたときに、作業面Mが略水平となった状態で構造物Sが水中の地盤Gに設置されるようになるまで繰り返す。
【0071】
従来、海上等における作業台(作業足場)として使用されているジャケット式架台やボーリング用足場等は、基本的に海底面が平坦な場所に設置することで作業ステージ(海面上)が水平に設置されている。しかしながら、海底面が傾斜している場所や岩礁・消波ブロック等で凹凸している場所に設置した場合、必然的にジャケット架台やボーリング用足場等は斜めになったり、不安定な状態になってしまい、作業面上での作業等に支障が出てしまう。これに対処するため、ジャケットやボーリング用足場等を設置する前に海底面を平坦に均す工事を行えば、大きな費用及び長い期間を費やすことになる。
【0072】
しかし、このような従来のジャケット式架台やボーリング用足場(構造物)の底盤部に傾斜補正用の本実施形態に係る構造物設置用アタッチメント2を装着することにより、上記の問題を解決することができる。
海底面に傾斜や凹凸があっても、ジャケット式架台やボーリング用足場等(構造物)が水平に設置できるので、今まで設置できなかった場所でも、ジャケット式架台やボーリング用足場等が使用でき、工事や調査・測量に有効的に使用する事が可能になる
【0073】
以上のように、上記の実施形態によれば、水中の地盤Gの形状に関わらず、作業面Mが略平行な状態で構造物Sを水中の地盤Sに設置することが可能な構造物設置用アタッチメント2及びこのアタッチメント2が取り付けられた構造物Sの設置方法を提供することができる。
なお、上記の実施形態は、海だけでなく、湖、池、川(河)をはじめとする任意の水中の地盤に任意の用途、任意の形状の構造物を設置するときに適用することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施形態及び実施例における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0075】
2 構造物設置用アタッチメント
10 本体
12 ガイド孔
12A、12Aa、12Ab 内面
14 ブラケット
16 凹部
18 ネジ孔
20 レグ
20A 外面
22 下面(レグフーチングの下面)
24 レグフーチング
24A 先端突起
26 ブラケット
28 凸部
30 係止開放機構
32 本体側孔
34 レグ側孔
36 位置決めピン
38 ジャッキボルト
38A レグ押付パッド
40 係止開放機構
42A、42B クランプ部
44 リンク軸
46 アクチュエータ
50 係止開放機構
52 くさび状部材
54 アクチュエータ
W ワイヤ
G 地盤
S 構造物
M 作業面
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド孔を有し構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備えたアタッチメントであって、
複数の該アタッチメントが取り付けられ前記構造物を水中の地盤に設置するとき、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返し、
前記係止開放機構が、
前記本体に形成され、上下方向に並んだ複数の本体側孔と、
前記レグに形成され、上下方向に並んだ複数のレグ側孔と、
前記本体側孔及び前記レグ側孔の両方を貫通するように挿入される位置決めピンと、
を備え、
前記レグの上下方向の所定の範囲内の任意に位置で、複数の前記本体側孔のうちの何れかの孔と、複数の前記レグ側孔のうちの何れかの孔との両方を貫通するように前記位置決めピンが挿入されて、前記レグが前記本体に係止されることを特徴とする構造物設置用アタッチメント。
【請求項2】
ガイド孔を有し構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備えたアタッチメントであって、
複数の該アタッチメントが取り付けられ前記構造物を水中の地盤に設置するとき、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返し、
前記係止開放機構が、前記本体に取り付けられ、アクチュエータにより前記ガイド孔の対向する内面の間の距離を変更するクランプ機構から構成され、
前記対向する内面の間の距離を狭めることにより、前記対向する内面で前記レグの外面を両側から挟み込んで、前記レグが前記本体に係止された状態とし、
前記対向する内面の間の距離を広げることにより、前記ガイド孔の内面を前記レグの外面から離間させて、前記レグが前記本体に係止されていない状態にすることを特徴とする構造物設置用アタッチメント。
【請求項3】
前記レグの外面に上下方向に並んだ複数の凸部または凹部が設けられ、前記ガイド孔の前記対向する内面に前記凸部または凹部と嵌合する凹部または凸部が設けられ、
前記レグが前記本体に係止された状態で前記アクチュエータの駆動力を喪失した場合でも、該凸部及び凹部の嵌合により前記レグ及び前記本体の係止状態が保持されることを特徴とする請求項に記載の構造物設置用アタッチメント。
【請求項4】
ガイド孔を有し構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備えたアタッチメントであって、
複数の該アタッチメントが取り付けられ前記構造物を水中の地盤に設置するとき、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返し、
側面断面視で、前記ガイド孔の内面がテーパ状に形成され、
前記係止開放機構が、
側面断面視で前記ガイド孔の内面に対応したテーパを有するくさび状部材と、
前記くさび状部材を上下方向に移動させるアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータにより前記くさび状部材を上下で一方の方向に移動させて、前記ガイド孔の内面及び前記レグの外面の間の空間に前記くさび状部材を押し込むことにより、前記くさび状部材を介して前記レグが前記本体に係止された状態とし、
前記アクチュエータにより前記くさび状部材を上下で他方の方向に移動させて、前記くさび状部材を前記レグの外面から離間させることにより、前記レグが前記本体に係止されていない状態にすることを特徴とする構造物設置用アタッチメント。
【請求項5】
複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置する方法であって、
前記構造物設置用アタッチメントが、
ガイド孔を有し、前記構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備え、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返し、
前記係止開放機構が、
前記本体に形成され、上下方向に並んだ複数の本体側孔と、
前記レグに形成され、上下方向に並んだ複数のレグ側孔と、
前記本体側孔及び前記レグ側孔の両方を貫通するように挿入される位置決めピンと、
を備え、
前記レグの上下方向の所定の範囲内の任意に位置で、複数の前記本体側孔のうちの何れかの孔と、複数の前記レグ側孔のうちの何れかの孔との両方を貫通するように前記位置決めピンが挿入されて、前記レグが前記本体に係止されることを特徴とする構造物の設置方法。
【請求項6】
複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置する方法であって、
前記構造物設置用アタッチメントが、
ガイド孔を有し、前記構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備え、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返し、
前記係止開放機構が、前記本体に取り付けられ、アクチュエータにより前記ガイド孔の対向する内面の間の距離を変更するクランプ機構から構成され、
前記対向する内面の間の距離を狭めることにより、前記対向する内面で前記レグの外面を両側から挟み込んで、前記レグが前記本体に係止された状態とし、
前記対向する内面の間の距離を広げることにより、前記ガイド孔の内面を前記レグの外面から離間させて、前記レグが前記本体に係止されていない状態にすることを特徴とする構造物の設置方法。
【請求項7】
複数の構造物設置用アタッチメントが取り付けられた構造物を水中の地盤に設置する方法であって、
前記構造物設置用アタッチメントが、
ガイド孔を有し、前記構造物に取り付けられる本体と、
前記構造物に取り付けられた前記本体の前記ガイド孔に、上下方向に移動可能な状態で挿通されたレグと、
前記レグが前記本体に係止された状態と、前記レグが前記本体に係止されていない状態とを形成する係止開放機構と、
を備え、
前記構造物を、前記レグが前記本体に係止された状態で、前記構造物の作業面が略水平となるようにワイヤで吊り下げるステップと、
前記レグが前記本体に係止されていない状態に切り替えて、前記レグを下面が水中の地盤に当接するまで自重で降下させるステップと、
再び前記レグが前記本体に係止された状態に切り替え、前記構造物を吊り下げていたワイヤを緩めるステップと、
を含む設置工程を、
前記ワイヤを緩めたときに、前記作業面が略水平となった状態で前記構造物が水中の地盤に設置されるようになるまで繰り返し、
側面断面視で、前記ガイド孔の内面がテーパ状に形成され、
前記係止開放機構が、
側面断面視で前記ガイド孔の内面に対応したテーパを有するくさび状部材と、
前記くさび状部材を上下方向に移動させるアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータにより前記くさび状部材を上下で一方の方向に移動させて、前記ガイド孔の内面及び前記レグの外面の間の空間に前記くさび状部材を押し込むことにより、前記くさび状部材を介して前記レグが前記本体に係止された状態とし、
前記アクチュエータにより前記くさび状部材を上下で他方の方向に移動させて、前記くさび状部材を前記レグの外面から離間させることにより、前記レグが前記本体に係止されていない状態にすることを特徴とする構造物の設置方法。