(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118581
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】生体情報モニター
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
A61B5/00 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021594
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓倉 永子
(72)【発明者】
【氏名】坂田 泰典
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 健一
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA04
4C117XB03
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE23
4C117XE37
4C117XE58
4C117XE76
4C117XG01
4C117XG03
4C117XJ42
4C117XJ46
4C117XM01
4C117XM02
4C117XM04
4C117XM05
(57)【要約】
【課題】ユーザーによる動作設定値の誤入力のリスク、および、ユーザーによる動作設定値の入力の手間を低減することができる、生体情報モニターを提供すること。
【解決手段】生体情報モニターは、自装置の配置場所の情報を取得する配置場所取得部と、予め設定された動作設定に対して、配置場所取得部により取得された配置場所に応じた変更を加えて自装置の動作を制御する動作制御部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の配置場所の情報を取得する配置場所取得部と、
予め設定された動作設定に対して、前記配置場所取得部により取得された前記配置場所に応じた変更を加えて自装置の動作を制御する動作制御部と、
を備える生体情報モニター。
【請求項2】
前記動作制御部は、前記配置場所に応じて、アラーム音量またはアラーム頻度を変動させる、
請求項1に記載の生体情報モニター。
【請求項3】
前記動作制御部は、前記配置場所に応じて、ユーザーが選択できる動作モードを制限する、
請求項1に記載の生体情報モニター。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記配置場所に応じて、ユーザーによって設定可能な設定幅を制限する、
請求項1に記載の生体情報モニター。
【請求項5】
前記動作制御部は、前記配置場所に応じて、ユーザーによって設定可能なパラメーターを制限する、
請求項1に記載の生体情報モニター。
【請求項6】
前記動作制御部は、前記配置場所に応じて、表示する設定画面を変更する、
請求項1に記載の生体情報モニター。
【請求項7】
各配置場所で接続される各設置場所専用の追加モジュールまたは医療機器を接続可能な接続部を、さらに備え、
前記配置場所取得部は、前記接続部に接続された前記追加モジュールまたは医療機器の種別に基づいて前記配置場所の情報を取得する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の生体情報モニター。
【請求項8】
前記配置場所取得部は、GPSによる位置情報、ユーザーによる操作、または、セントラルモニターから送られた情報、に基づいて前記配置場所の情報を取得する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の生体情報モニター。
【請求項9】
前記配置場所には、手術室、ICU、NICUおよび病棟が含まれる、
請求項1から8のいずれか一項に記載の生体情報モニター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報モニターに関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報モニターは、生体情報(例えば、心電図、血圧および酸素飽和度など)の計測値および波形を、表示部に一括表示することができる。生体情報モニターの例としては、病室などのベッドサイドに設定して使用されるベッドサイドモニターおよびスタッフステーション(ナースステーションとも呼ばれている)などに設定して使用されるセントラルモニターなどがある。
【0003】
生体情報モニターにより表示された計測値および波形を見ることで、医療従事者(医師および看護師など)は、患者の容体を把握することができる。また、生体情報モニターは一般的に、計測値の異常などが生じたときにアラーム音などにより異常を通知するアラーム機能を有するため、医療従事者は、非常時に適切な措置を迅速にとることができる。
【0004】
このようなアラーム機能を備えた生体情報モニターは、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、生体情報モニターにおいては、ユーザーがアラーム音量などの動作設定値を変更できるようになっている。
【0007】
しかしながら、ユーザーが全ての動作設定値を自由に変更できるようにしてしまうと、ユーザーによる誤設定のリスクが高まる問題がある。
【0008】
また、生体情報モニターは、様々な処置室(病棟、手術室、ICU、NICUなど)で使用され、使用される処置室に応じてユーザーによって動作設定値を変更することがある。この場合、ユーザーは、慎重に動作設定値を入力する必要があり、手間がかかった。
【0009】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、ユーザーによる動作設定値の誤入力のリスク、および、ユーザーによる動作設定値の入力の手間を低減することができる、生体情報モニターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の生体情報モニターの一つの態様は、
自装置の配置場所の情報を取得する配置場所取得部と、
予め設定された動作設定に対して、前記配置場所取得部により取得された前記配置場所に応じた変更を加えて自装置の動作を制御する動作制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば自装置の配置場所が変更された場合における、ユーザーによる動作設定値の誤入力のリスク、および、ユーザーによる動作設定値の入力の手間を低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る生体情報モニター(ベッドサイドモニター)の外観構成を示す斜視図
【
図2】実施の形態の生体情報モニターの構成を示すブロック図
【
図3】動作制御部が配置場所に応じてアラーム音量を変動させる様子を示した図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る生体情報モニター(ベッドサイドモニター)10の外観構成を示す斜視図である。
【0015】
生体情報モニター10は、前面に表示部101が設けられている。また、生体情報モニター10の前面には、スタンバイスイッチ11およびアラームインジケーター12などが設けられている。
【0016】
生体情報モニター10の一側面には、生体情報の測定にかかわるコネクターが設けられている。具体的には、ECG(Electrocardiogram)コネクター13a、NIBP(Non-Invasive Blood Pressure)コネクター13bおよびSpO2コネクター13cなどが設けられている。また、コネクター群の下方位置には、オプションの生体情報測定処理を実現するための追加モジュールが取り付け可能な追加モジュール接続部14が設けられている。ちなみに、生体情報モニター10の他方の側面(図示せず)には、USBコネクター、LAN接続コネクターおよびレコーダーなどが設けられている。
【0017】
図2は、生体情報モニター10の構成を示すブロック図である。生体情報モニター10は、コネクター部110を介して、心電図を検出するための心電電極111、血圧を検出するための血圧測定用カフ112、体温を検出するための体温センサー113、SpO2を検出するためのSpO2センサー114、心拍出量を検出するための心拍出量センサー115および追加モジュール116などの生体情報検出部が接続されている。コネクター部110は、生体情報検出部と計測処理部104との間のインタフェースとして機能する。なお、コネクター部110には、
図1で示したECGコネクター13a、NIBPコネクター13bおよびSpO2コネクター13cが含まれる。
【0018】
計測処理部104は、記憶部105に記憶されたプログラムを実行することで、所定の計測処理を実行する。この計測処理によって、計測処理部104は、コネクター部110に接続された生体情報検出部(心電電極111、血圧測定用カフ112、体温センサー113、SpO2センサー114および心拍出量センサー115)を用いて患者の生体情報を計測する。なお、上記生体情報検出部を用いた各種生体情報の計測方法については従来周知のものを適用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0019】
また、計測処理部104は、過去に計測した生体情報を記憶部105に記憶させる動作、および、記憶部105に記憶されている生体情報を読み出す動作を行うことができるようになっている。さらに、計測処理部104によって得られた生体情報は、表示制御部102を介して表示部101に計測値または波形の形式で表示される。
【0020】
表示部101は、例えばタッチパネル付き液晶表示器であり、生体情報を表示する表示機能を有するだけでなく、ユーザーによる入力操作を受け付ける入力部としての機能も有する。具体的には、ユーザーによる表示部101のタッチ操作によって、表示制御部102による表示部101の表示や計測処理部104の処理が変更される。なお、本実施の形態では、表示部101をタッチ操作することで各種設定などのユーザー操作を受け付けるようになっているが、例えばキーボードやマウス、専用のボタンなどを使ってユーザー操作を受け付けるようにしてもよい。
【0021】
動作制御部120は、生体情報モニター10全体の動作を制御する。具体的には、動作制御部120は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを有し、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、表示制御部102、アラームインジケーター103および計測処理部104などに制御信号を出力することでこれらの動作を制御する。
【0022】
動作制御部120は、メモリー121を有し、当該メモリー121には、ユーザーによって表示部101のタッチ操作によって入力された動作設定が記憶(登録)される。動作制御部120は、メモリー121に記憶された動作設定を基に、表示制御部102、アラームインジケーター103および計測処理部104などに制御信号を出力する。
【0023】
かかる構成に加えて、本実施の形態の生体情報モニター10は、配置場所取得部130を有する。配置場所取得部130は、自装置の配置場所の情報を取得する。本実施の形態の場合、配置場所取得部130は、表示部101およびコネクター部110からの情報に基づいて配置場所を取得する。
【0024】
具体的に説明する。生体情報モニター10は、配置場所選択モードを有し、配置場所選択モード時において、表示部101に複数の配置場所が表示される。このとき表示される配置場所は、例えば、病棟、手術室、ICU(Intensive Care Unit)、NICU(Neonatal Intensive Care Unit)などの患者に対する処置内容が異なる施設の名前である。ユーザーは、表示された複数の配置場所の中から生体情報モニター10が配置される配置場所をタッチ操作により選択する。これにより、配置場所取得部130は、生体情報モニター10が配置される場所を特定できる。
【0025】
これとは別に、配置場所取得部130は、コネクター部110に接続された追加モジュール116の種別に基づいて、生体情報モニター10が配置される場所を特定できる。ここで、追加モジュール116は、各設置場所(ICU、NICUなど)での生体情報の測定に特化した各設置場所専用のモジュールなので、その追加モジュール116が接続されたということは、生体情報モニター10がその追加モジュール116に対応する場所で使用されることを意味するので、配置場所取得部130は、接続された追加モジュール116の種別に基づいて生体情報モニター10の配置場所を特定できるようになる。
【0026】
なお、設置場所取得部130は、これらに限らず、例えばGPS(Global Positioning System)の情報や、セントラルモニターからの情報に基づいて、自装置の設置場所の情報を取得してもよい。さらには、ネットワーク上のどこの部門のセントラルモニターに付随しているのかに基づいて設置場所の情報を取得してもよい。また、接続された医療機器の種類に基づいて設置場所の情報を取得してもよい。例えば麻酔ガスモニターが接続されれば、生体情報モニターの設置場所が手術室であると特定できる。
【0027】
動作制御部120は、予め設定された動作設定に対して、配置場所取得部130により取得された配置場所に応じた変更を加えて自装置の動作を制御する。つまり、上述したようにメモリー121には、予めユーザー操作により設定された或いは初期設定として、動作設定が記憶(登録)されるが、動作制御部120はこの動作設定に対して、配置場所に応じた変更を加えて自装置の動作を制御する。
【0028】
例えば、動作制御部120は、配置場所に応じて、アラーム音量またはアラーム頻度を変動させる。
【0029】
図3は、動作制御部120が配置場所に応じてアラーム音量を変動させる様子を示した図である。表示部101には、図中の左端に示したようなアラーム音量設定画像が表示され、ユーザーはこのアラーム音量設定画像をタッチ操作することでアラーム音量を設定する。図の例では、アラーム音量が10段階中の4のレベルに設定されている。
【0030】
動作制御部120は、アラームインジケーター103から出力するアラームの実音量を配置場所に応じて変動させる。図の例では、NICUの音量がNICU以外の音量よりも低くなるようにされている。例えば、ユーザーによる音量設定値が4の場合には、NICU以外では実音量が50とされるのに対して、NICUでは実音量が45とされる。
【0031】
このようにすることで、NICU内の新生児がアラーム音により起きてしまう確率を小さくできる。一方で、NICU以外に配置された場合には、自動的にアラーム音量が復帰されるので、アラーム音の聞き逃しが防止される。
【0032】
また、例えば、動作制御部120は、設置場所に応じて、アラーム頻度を変動させるようにしてもよい。例えば、常に生体情報モニター10の近くに医療従事者がいるICUなどの配置場所では、アラームを聞き逃す可能性が低いので、アラーム音を出力する頻度を低く制御する。このようにすることで、アラーム音による煩わしさを低減できる。
【0033】
また、動作制御部120は、配置場所に応じて、ユーザーが選択できる動作モードを制限してもよい。例えば、病棟で選択できる動作モードを手術室で選択できる動作モードよりも少なくなるように制限してもよい。実際には、表示部101に表示される動作モード設定画面において、ユーザーが設定できる動作モードの種類を配置場所に応じて制限する。このようにすることで、ユーザーが全ての動作モードの中から動作モードを選択する場合と比較して、ユーザーによる誤設定のリスクを低減できるとともに、設定操作が容易となる。
【0034】
また、動作制御部120は、配置場所に応じて、ユーザーによって設定可能な設定幅を制限してもよい。このようにすることで、ユーザーが全ての設定幅の中から設定値を選択する場合と比較して、ユーザーによる誤設定のリスクを低減できるとともに、設定操作が容易となる。
【0035】
また、動作制御部120は、配置場所に応じて、ユーザーによって設定可能なパラメーターを制限してもよい。このようにすることで、ユーザーが全てのパラメーターの中から所望のパラメーターを選択する場合と比較して、ユーザーによる誤設定のリスクを低減できるとともに、設定操作が容易となる。
【0036】
また、動作制御部120は、配置場所に応じて、表示部101に表示する設定画面を変更してもよい。このようにすることで、配置場所に適した設定画面を表示することができるようになるので、ユーザーによる誤設定のリスクを低減できるとともに、設定操作が容易となる。
【0037】
ちなみに、上述した動作制御部120による配置場所に応じた動作の変更は、生体情報モニター10がロケーションモードとされているときに行われる。ユーザーは、ロケーションモードにするか否かの設定を、例えばメンテナンスメニューにて選択できるようになっている。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、自装置の配置場所の情報を取得する配置場所取得部130と、予め設定された動作設定に対して、配置場所取得部130により取得された配置場所に応じた変更を加えて自装置の動作を制御する動作制御部120と、を設けたことにより、ユーザーによる動作設定値の誤入力のリスク、および、ユーザーによる動作設定値の入力の手間を低減することができる、生体情報モニター10を実現できる。
【0039】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、配置場所が変更される可能性がある生体情報モニターに好適である。
【符号の説明】
【0041】
10 生体情報モニター
101 表示部
102 表示制御部
103 アラームインジケーター
104 計測処理部
105 記憶部
110 コネクター部
120 動作制御部
121 メモリー
130 配置場所取得部