(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118582
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021595
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 基
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AA15
5H730BB11
5H730BB57
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE58
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD51
5H730FF02
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】安定した制御が可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、第1レグ31と、第2レグ32と、第1レグに並列接続される第1負荷21と、第2レグに並列接続される第2負荷22と、第1電圧信号を出力する第1電圧検出器71と、第2電圧信号を出力する第2電圧検出器72と、第1リアクトル61と、第2リアクトル62と、第1電流信号を出力する第1電流検出器81と、第2電流信号を出力する第2電流検出器82と、第2電圧信号および第1電流信号に基づいて、第1スイッチング素子41のオン時間の第1時比率および第2スイッチング素子42のオン時間の第2時比率を決定し、第1電圧信号および第2電流信号に基づいて、第3スイッチング素子43のオン時間の第3時比率および第4スイッチング素子44のオン時間の第4時比率を決定する制御回路2と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが直列接続される第1レグと、
第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とが直列接続される第2レグと、
前記第1レグに並列接続される第1負荷と、
前記第2レグに並列接続される第2負荷と、
前記第1負荷の第1電圧を検出し、第1電圧信号を出力する第1電圧検出器と、
前記第2負荷の第2電圧を検出し、第2電圧信号を出力する第2電圧検出器と、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との第1中点、および前記第3スイッチング素子に接続される第1リアクトルと、
前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との第2中点、および前記第2スイッチング素子に接続される第2リアクトルと、
前記第1リアクトルの電流を検出し、第1電流信号を出力する第1電流検出器と、
前記第2リアクトルの電流を検出し、第2電流信号を出力する第2電流検出器と、
前記第2電圧信号および前記第1電流信号に基づいて、前記第1スイッチング素子のオン時間の第1時比率および前記第2スイッチング素子のオン時間の第2時比率を決定し、前記第1電圧信号および前記第2電流信号に基づいて、前記第3スイッチング素子のオン時間の第3時比率および前記第4スイッチング素子のオン時間の第4時比率を決定する制御回路と、を備え、
前記第1スイッチング素子の前記第1中点と接続されていない端子に直流電源の正極端子が接続され、前記第4スイッチング素子の前記第2中点と接続されていない端子に前記直流電源の陰極端子が接続される、電力変換装置において、
前記制御回路は、
出力電圧指令を発生する出力電圧指令発生器と、
所定の搬送波を発生する搬送波発生器と、
前記出力電圧指令と前記第2電圧信号との第1偏差を演算する第1減算器と、
前記第1偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第1増幅信号を生成する第1増幅器と、
前記第1増幅信号と前記第1電流信号との第2偏差を演算する第2減算器と、
前記第2偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第2増幅信号を生成する第2増幅器と、
前記第2増幅信号と前記所定の搬送波とを比較し、第1比較結果を前記第1スイッチング素子へ出力する第1比較器と、
前記第1比較結果の論理否定を前記第2スイッチング素子へ出力する第1論理否定回路と、
前記出力電圧指令と前記第1電圧信号との第3偏差を演算する第3減算器と、
前記第3偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第3増幅信号を生成する第3増幅器と、
前記第3増幅信号と前記第2電流信号との第4偏差を演算する第4減算器と、
前記第4偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第4増幅信号を生成する第4増幅器と、
前記第4増幅信号と前記所定の搬送波とを比較し、第2比較結果を前記第4スイッチング素子へ出力する第2比較器と、
前記第2比較結果の論理否定を前記第3スイッチング素子へ出力する第2論理否定回路と、
を備える電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低損失で高速なスイッチング動作が可能なスイッチング素子を備えることで、小型化および高効率化を実現した電力変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、
図3に示すように、電力変換装置1’は、直流電源10’と、同時にオンしないスイッチング素子41’,42’を直列接続したレグ31’と、同時にオンしないスイッチング素子43’,44’を直列接続したレグ32’と、レグ31’に並列接続される負荷21’と、レグ32’に並列接続される負荷22’と、スイッチング素子41’,42’の中点aと端子cとの間に接続されるリアクトル61’と、スイッチング素子43’,44’の中点dと端子bとの間に接続されるリアクトル62’と、各スイッチング素子のオン時間の時比率を決定する制御回路80’と、を備える。
【0003】
また、スイッチング素子41’と42’はそれぞれの状態が相補演算に基づいて制御される。すなわちスイッチング素子41’がオンならば42’はオフとなるように制御される。逆も同様である。スイッチング素子43’,44’も相補演算に基づいてそれぞれの状態が制御される。すなわちスイッチング素子43’がオンならば44’はオフとなる。逆も同様である。
【0004】
スイッチング素子41’は、次式により決定されるオン時間の時比率d1に基づいてスイッチング制御される。オン時間の時比率d1は、レグ31’の端子間電圧の電圧指令値VO1ref、レグ32’の端子間電圧の電圧指令値VO2ref、直流電源10’の電圧Eを用いて、次式で表される。スイッチング素子42’は、オン時間の時比率d1の論理否定に基づいてスイッチング制御される。
【0005】
【0006】
スイッチング素子44’は、次式により決定されるオン時間の時比率d4に基づいてスイッチング制御される。オン時間の時比率d4は、レグ31’の端子間電圧の電圧指令値VO1ref、レグ32’の端子間電圧の電圧指令値VO2ref、直流電源10’の電圧Eを用いて、次式で表される。スイッチング素子43’は、オン時間の時比率d4の論理否定に基づいてスイッチング制御される。
【0007】
【0008】
さらに、電力変換装置1’は、リアクトル61’の電流iL1およびリアクトル62’の電流iL2を検出し、各電流iL1,iL2にハイパスフィルタ処理を施した後、任意のゲインK1,K2を乗じることで、負荷21’の直流電圧VO1および負荷22’の直流電圧VO2を安定化させている。
【0009】
このとき、スイッチング素子41’は、次式により決定されるオン時間の時比率d1’に基づいてスイッチング制御される。オン時間の時比率d1’は、リアクトル61’の電流iL1の高周波成分を通すHPFと、任意のゲインK1を用いて、次式で表される。
【0010】
【0011】
このとき、スイッチング素子44’は、次式により決定されるオン時間の時比率d4’に基づいてスイッチング制御される。オン時間の時比率d4’は、リアクトル62’の電流iL2の高周波成分を通すHPFと、任意のゲインK2を用いて、次式で表される。
【0012】
【0013】
電力変換装置1’は、式(3)および式(4)に基づいて、各スイッチング素子を制御することで、良好な直流電圧VO1,VO2を得られるため、各スイッチング素子の印加電圧を所定の範囲内に抑制し、小型化および高効率化を実現できる。ここで、VO1は負荷21’の両端の電圧である。また、VO2は負荷22’の両端の電圧である。式(3)によってVO1は、VO1refと等しくなるように制御される。また、式(4)によってVO2は、VO2refと等しくなるように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2015/133118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の電力変換装置1’は、リアクトル61’,62’の電流を陽に制御していなかったため、各リアクトルに過電流が生じ、破損してしまう恐れがあった。
【0016】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、安定した制御が可能な電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施形態に係る電力変換装置は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが直列接続される第1レグと、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とが直列接続される第2レグと、前記第1レグに並列接続される第1負荷と、前記第2レグに並列接続される第2負荷と、前記第1負荷の第1電圧を検出し、第1電圧信号を出力する第1電圧検出器と、前記第2負荷の第2電圧を検出し、第2電圧信号を出力する第2電圧検出器と、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との第1中点、および前記第3スイッチング素子に接続される第1リアクトルと、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との第2中点、および前記第2スイッチング素子に接続される第2リアクトルと、前記第1リアクトルの電流を検出し、第1電流信号を出力する第1電流検出器と、前記第2リアクトルの電流を検出し、第2電流信号を出力する第2電流検出器と、前記第2電圧信号および前記第1電流信号に基づいて、前記第1スイッチング素子のオン時間の第1時比率および前記第2スイッチング素子のオン時間の第2時比率を決定し、前記第1電圧信号および前記第2電流信号に基づいて、前記第3スイッチング素子のオン時間の第3時比率および前記第4スイッチング素子のオン時間の第4時比率を決定する制御回路と、を備え、前記第1スイッチング素子の前記第1中点と接続されていない端子に直流電源の正極端子が接続され、前記第4スイッチング素子の前記第2中点と接続されていない端子に前記直流電源の陰極端子が接続される、電力変換装置において、前記制御回路は、出力電圧指令を発生する出力電圧指令発生器と、所定の搬送波を発生する搬送波発生器と、前記出力電圧指令と前記第2電圧信号との第1偏差を演算する第1減算器と、前記第1偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第1増幅信号を生成する第1増幅器と、前記第1増幅信号と前記第1電流信号との第2偏差を演算する第2減算器と、前記第2偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第2増幅信号を生成する第2増幅器と、前記第2増幅信号と前記所定の搬送波とを比較し、第1比較結果を前記第1スイッチング素子へ出力する第1比較器と、前記第1比較結果の論理否定を前記第2スイッチング素子へ出力する第1論理否定回路と、前記出力電圧指令と前記第1電圧信号との第3偏差を演算する第3減算器と、前記第3偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第3増幅信号を生成する第3増幅器と、前記第3増幅信号と前記第2電流信号との第4偏差を演算する第4減算器と、前記第4偏差がゼロまたはゼロに近い値となるように制御して第4増幅信号を生成する第4増幅器と、前記第4増幅信号と前記所定の搬送波とを比較し、第2比較結果を前記第4スイッチング素子へ出力する第2比較器と、前記第2比較結果の論理否定を前記第3スイッチング素子へ出力する第2論理否定回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、安定した制御が可能な電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る電力変換装置の構成の一例を示す図である。
【
図2A】本実施形態に係る電力変換装置のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図2B】従来に係る電力変換装置のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図3】従来に係る電力変換装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0021】
<電力変換装置の構成>
図1を参照して、本実施形態に係る電力変換装置1の構成の一例について説明する。
【0022】
電力変換装置1は、直流電源10と、第1負荷21と、第2負荷22と、第1レグ31と、第2レグ32と、第1リアクトルと61と、第2リアクトル62と、第1電圧検出器71と、第2電圧検出器72と、第1電流検出器81と、第2電流検出器82と、制御回路2と、を備える。
【0023】
直流電源10は、一方の端子(例えば、正極端子)が、第1電圧検出器71の一方の端子、第1負荷21の一方の端子、および第1レグ31の一方の端子と接続される。また、直流電源10は、他方の端子(例えば、負極端子)が、第2レグ32の他方の端子、第2負荷22の他方の端子、および第2電圧検出器72の他方の端子と接続される。
【0024】
直流電源10は、その構成が特に限定されるものではなく、例えば、バッテリである。電力変換装置1が電車に搭載される場合、直流電源10は、例えば、電車の架線、直流電力が伝送される電源系統に相当する。
【0025】
第1負荷21は、例えば、容量性負荷である。第1負荷21は、第1レグ31と並列に接続される。例えば、第1負荷21は、一方の端子が、第1レグ31の一方の端子と接続され、他方の端子が、第1レグ31の他方の端子と接続される。
【0026】
第2負荷22は、例えば、容量性負荷である。第2負荷22は、第2レグ32と並列に接続される。例えば、第2負荷22は、一方の端子が、第2レグ32の一方の端子と接続され、他方の端子が、第2レグ32の他方の端子と接続される。
【0027】
第1レグ31は、少なくとも2つのスイッチング素子を備えることが好ましい。第1レグ31は、例えば、第1スイッチング素子41と第2スイッチング素子42とが直列接続されて構成される。第1スイッチング素子41のオン時間の第1時比率、および第2スイッチング素子42のオン時間の第2時比率は、制御回路2により制御される。
【0028】
第2レグ32は、少なくとも2つのスイッチング素子を備えることが好ましい。第2レグ32は、例えば、第3スイッチング素子43と第4スイッチング素子44とが直列接続されて構成される。第3スイッチング素子43のオン時間の第3時比率、および第4スイッチング素子44のオン時間の第4時比率は、制御回路2により制御される。
【0029】
第1スイッチング素子41、第2スイッチング素子42、第3スイッチング素子43、および第4スイッチング素子44は、例えば、IBGT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とダイオードとが逆並列接続されて構成されてよい。例えば、各スイッチング素子が、IBGTで構成される場合、第1スイッチング素子41のエミッタと第2スイッチング素子42のコレクタとが接続され、第3スイッチング素子43のエミッタと第4スイッチング素子44のコレクタとが接続される。なお、各スイッチング素子は、これに限定されず、例えば、FET(Field Effect Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などであってもよい。
【0030】
第1リアクトル61は、第1スイッチング素子41と第2スイッチング素子42との間に設けられる第1中点aと、端子cと、の間に設けられる。第1リアクトル61は、一方の端子が、第1中点aと接続され、他方の端子が、第1電流検出器81の一方の端子と接続される。
【0031】
第2リアクトル62は、端子bと、第3スイッチング素子43と第4スイッチング素子44との間に設けられる第2中点dと、の間に設けられる。第2リアクトル62は、一方の端子が、端子bと接続され、他方の端子が、第2電流検出器82の一方の端子と接続される。
【0032】
第1電圧検出器71は、第1負荷21と並列に接続される。第1電圧検出器71は、一方の端子が、第1負荷21の一方の端子および第1レグ31の一方の端子と接続され、他方の端子が、第1負荷21の他方の端子および第1レグ31の他方の端子と接続される。第1電圧検出器71は、第1負荷21の電圧(直流電圧)を検出し、第1電圧信号を、制御回路2へ出力する。
【0033】
第2電圧検出器72は、第2レグ32と並列に接続される。第2電圧検出器72は、一方の端子が、第2負荷22の一方の端子および第2レグ32の一方の端子と接続され、他方の端子が、第2負荷22の他方の端子および第2レグ32の他方の端子と接続される。第2電圧検出器72は、第2負荷22の電圧(直流電圧)を検出し、第2電圧信号を、制御回路2へ出力する。
【0034】
第1電圧検出器71および第2電圧検出器72は、直流電圧を検出する公知の電圧センサであってよく、例えば、アイソレーションアンプなどで実機構成されてよい。
【0035】
第1電流検出器81は、一方の端子が、第1リアクトル61の他方の端子と接続され、他方の端子が、端子cと接続される。第1電流検出器81は、第1リアクトル61の電流を検出し、第1電流信号を制御回路2へ出力する。
【0036】
第2電流検出器82は、一方の端子が、第2リアクトル62の他方の端子と接続され、他方の端子が、第2中点dと接続される。第2電流検出器82は、第2リアクトル62の電流を検出し、第2電流信号を制御回路2へ出力する。
【0037】
第1電流検出器81および第2電流検出器82は、例えば、CT(current transducer)であってよい。
【0038】
制御回路2は、第2電圧検出器72から入力された第2電圧信号および第1電流検出器81から入力される第1電流信号に基づいて、第1スイッチング素子41のオン時間の第1時比率および第2スイッチング素子42のオン時間の第2時比率を決定する。また、制御回路2は、第1電圧検出器71から入力された第1電圧信号および第2電流検出器82から入力される第2電流信号に基づいて、第3スイッチング素子43のオン時間の第3時比率および第4スイッチング素子44のオン時間の第4時比率を決定する。
【0039】
制御回路2は、出力電圧指令発生器101と、第1減算器201と、第2減算器202と、第3減算器203と、第4減算器204と、第1増幅器301と、第2増幅器302と、第3増幅器303と、第4増幅器304と、第1比較器401と、第2比較器402と、搬送波発生器500と、第1論理否定回路601と、第2論理否定回路602と、を備える。
【0040】
出力電圧指令発生器101は、第1負荷21の第1電圧および第2負荷22の第2電圧を、任意の直流電圧に制御するための出力電圧指令を発生する。出力電圧指令発生器101は、出力電圧指令を、第1減算器201および第3減算器203へ出力する。
【0041】
搬送波発生器500は、例えば、鋸波、三角波などの所定の搬送波を発生する。搬送波発生器500は、所定の搬送波を、第1比較器401および第2比較器402へ出力する。
【0042】
第1減算器201は、出力電圧指令発生器101から入力された出力電圧指令と第2電圧検出器72から入力された第2電圧信号との第1偏差を演算し、第1偏差を第1増幅器301へ出力する。
【0043】
第1増幅器301は、例えば、PI制御演算を行ってよく、第1減算器201から入力された第1偏差が、ゼロあるいはゼロに近い値になるように制御された第1増幅信号を生成し、第2減算器202へ出力する。例えば、第1増幅器301は、第1偏差を定数倍に増幅演算した増幅演算結果と、第1偏差を積分演算した積分演算結果と、の和を、第1増幅信号として第2減算器202へ出力してよい。
【0044】
第2減算器202は、第1増幅器301から入力された第1増幅信号と第1電流検出器81から入力された第1電流信号との第2偏差を演算し、第2偏差を第2増幅器302へ出力する。
【0045】
第2増幅器302は、例えば、PI制御演算を行ってよく、第2減算器202から入力された第2偏差が、ゼロあるいはゼロに近い値になるように制御された第2増幅信号を生成し、第1比較器401へ出力する。
【0046】
第1比較器401は、第2増幅器302から入力された第2増幅信号と搬送波発生器500から入力された所定の搬送波とを比較し、第1比較結果を、第1スイッチング素子41および第1論理否定回路601へ出力する。例えば、第1比較器401は、第2増幅信号と所定の搬送波との大小を比較し、その比較結果に基づいて、PWM制御されたオン時間の時比率を示す制御信号を、第1スイッチング素子41および第1論理否定回路601へ出力する。これにより、第1スイッチング素子41のオン時間の第1時比率が決定されて、第1スイッチング素子41の開閉状態が制御される。
【0047】
第1論理否定回路601は、第1比較器401から入力された第1比較結果の論理否定を、第2スイッチング素子42へ出力する。例えば、第1論理否定回路601は、PWM制御されたオン時間の時比率を示す制御信号の論理否定信号を、第2スイッチング素子42へ出力する。これにより、第2スイッチング素子42のオン時間の第2時比率が決定されて、第2スイッチング素子42の開閉状態が制御される。
【0048】
第3減算器203は、出力電圧指令発生器101から入力された出力電圧指令と第1電圧検出器71から入力された第1電圧信号との第3偏差を演算し、第3偏差を第3増幅器303へ出力する。
【0049】
第3増幅器303は、例えば、PI制御演算を行ってよく、第3減算器203から入力された第3偏差が、ゼロあるいはゼロに近い値になるように制御された第3増幅信号を生成し、第4減算器204へ出力する。例えば、第3増幅器303は、第3偏差を定数倍に増幅演算した増幅演算結果と、第3偏差を積分演算した積分演算結果と、の和を、第3増幅信号として第4減算器204へ出力してよい。
【0050】
第4減算器204は、第3増幅器303から入力された第3増幅信号と第2電流検出器82から入力された第2電流信号との第4偏差を演算し、第4偏差を第4増幅器304へ出力する。
【0051】
第4増幅器304は、例えば、PI制御演算を行ってよく、第4減算器204から入力された第4偏差が、ゼロあるいはゼロに近い値になるように制御された第4増幅信号を生成し、第2比較器402へ出力する。
【0052】
第2比較器402は、第4増幅器304から入力された第4増幅信号と搬送波発生器500から入力された所定の搬送波とを比較し、第2比較結果を、第4スイッチング素子44および第2論理否定回路602へ出力する。例えば、第2比較器402は、第4増幅信号と所定の搬送波との大小を比較し、その比較結果に基づいて、PWM制御されたオン時間の時比率を示す制御信号を、第4スイッチング素子44および第2論理否定回路602へ出力する。これにより、第4スイッチング素子44のオン時間の第4時比率が決定されて、第4スイッチング素子44の開閉状態が制御される。
【0053】
第2論理否定回路602は、第2比較器402から入力された第2比較結果の論理否定を、第3スイッチング素子43へ出力する。例えば、第2論理否定回路602は、PWM制御されたオン時間の時比率を示す制御信号の論理否定信号を、第3スイッチング素子43へ出力する。これにより、第3スイッチング素子43のオン時間の第3時比率が決定されて、第3スイッチング素子43の開閉状態が制御される。
【0054】
本実施形態に係る電力変換装置1は、上述した制御回路2を備えることで、安定した制御が可能となる。また、第1増幅器301、第2増幅器302、第3増幅器303、および第4増幅器304に対して、PI制御などの従来から知られる一般的なフィードバック制御理論を応用することができる。また、ラウス・フルビッツの安定判別法にしたがってPI制御のゲインの限界値を定量的に算出すること、ボード線図を用いて直並列チョッパ回路を定量的に解析し、その安定性が理論的に保証されるように、電力変換装置1全体を設計することができる。また、第1リアクトル61および第2リアクトル62の電流を陽に制御することで、可能な限り過電流による破損を防止しつつ安定的な動作が可能な電力変換装置1を実現できる。また、第1負荷21の第1電圧および第2負荷22の第2電圧を、任意かつ安定的な直流電圧として制御可能な電力変換装置1を実現できる。
【0055】
<シミュレーション結果>
図2Aに示されるように、本実施形態に係る電力変換装置1は、コイル電流を制御しているため、アンバランスな回路定数、アンバランスな負荷電流、入力電圧が変動するなどの悪条件下においても、第1負荷21の直流電圧V
O1および第2負荷22の直流電圧V
O2が、比較的、指令の500Vに追従していることがわかる。
【0056】
一方、
図2Bに示されるように、従来に係る電力変換装置1’は、コイル電流を制御していないため、過大な電流が機器に生じる可能性があることがわかる。
【0057】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 電力変換装置
2 制御回路
10 直流電源
21 第1負荷
22 第2負荷
31 第1レグ
32 第2レグ
61 第1リアクトル
62 第2リアクトル
71 第1電圧検出器
72 第2電圧検出器
81 第1電流検出器
82 第2電流検出器
101 出力電圧指令発生器
201 第1減算器
202 第2減算器
203 第3減算器
204 第4減算器
301 第1増幅器
302 第2増幅器
303 第3増幅器
304 第4増幅器
401 第1比較器
402 第2比較器
403 第3比較器
404 第4比較器
500 搬送波発生器
601 第1論理否定回路
602 第2論理否定回路