(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118588
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】皮膜密着用の下地膜を有するガラス基材、及び皮膜を設けたガラス部品
(51)【国際特許分類】
C23C 4/11 20160101AFI20230818BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
C23C4/11
H05K1/03 610B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021603
(22)【出願日】2022-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】392020705
【氏名又は名称】テクノクオーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 征秀
(72)【発明者】
【氏名】梅津 康浩
(72)【発明者】
【氏名】松浦 陽
【テーマコード(参考)】
4K031
【Fターム(参考)】
4K031AA08
4K031AB02
4K031AB03
4K031BA01
4K031CB42
4K031CB43
4K031CB45
4K031CB46
4K031CB50
4K031DA01
4K031DA03
4K031DA04
4K031DA06
(57)【要約】
【課題】皮膜の再生に際して、基材自体の寸法や表面粗さの変化を極力減じることのできる皮膜を設けたガラス部品と、当該ガラス部品における皮膜の再生方法を提供する。
【解決手段】 金属又はセラミックスの皮膜が形成されるガラス基材であって、前記皮膜が形成される領域には、前記ガラス基材の素地面と皮膜との密着性を高める下地膜を設けたガラス基材とし、更にガラス基材に金属又はセラミックスからなる皮膜を形成してなるガラス部品とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属又はセラミックスの皮膜が形成されるガラス基材であって、
前記皮膜が形成される領域には、前記ガラス基材の素地面と皮膜との密着性を高める下地膜を設けたことを特徴とするガラス基材。
【請求項2】
前記下地膜は金属又はセラミックスからなり、気孔率が10%以下である、請求項1に記載のガラス基材。
【請求項3】
前記下地膜は、イットリアを含有する層として形成されている、請求項1又は2に記載のガラス基材。
【請求項4】
ガラス基材に金属又はセラミックスからなる皮膜を形成してなるガラス部品であって、
当該ガラス基材が請求項1~3に何れか一項に記載のガラス基材であって、
前記皮膜は前記下地膜に形成されているガラス部品。
【請求項5】
ガラス基材に、金属又はセラミックスの皮膜を形成してなるガラス部品の製造方法であって、
ガラス基材に、当該ガラス基材の素地面と皮膜との密着性を高める下地膜を形成する下地膜形成処理と、
下地膜形成処理で形成した下地膜に、金属又はセラミックスの皮膜を形成する皮膜形成処理とからなる、ガラス部品の製造方法
【請求項6】
ガラス基材に、金属又はセラミックスの皮膜を形成してなるガラス部品の再生方法であって、
当該ガラス部品は、ガラス基材にイットリアを含有する下地膜を設けた上に前記皮膜が形成されており、
前記下地膜を、当該下地膜が可溶でガラス基材が不溶である下地膜溶解成分によって溶解させる下地膜溶解処理を含むことを特徴とするガラス部品の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膜密着用の下地膜を有するガラス基材、及び皮膜を設けたガラス部品に関し、特に溶射皮膜などの金属、セラミックスの皮膜の密着性を高めたガラス基材とこれを用いたガラス部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体やフラットパネルディスプレイなどのデバイス製造装置のチャンバー構成部材として、石英ガラス材料が広汎に使われている。かかる石英ガラス製のチャンバー構成部材(以下、「ガラス基材」とする)では、用途に応じて、様々な性能を向上させるために、ガラス基材の表面を金属やセラミックス等の皮膜で被覆することが行われている。例えば特許文献1(特開2002-249864号公報)では、ハロゲンガスのプラズマに曝露される耐ハロゲンガスプラズマ用部材であって、部材の本体と、この本体の少なくとも表面に形成されている耐蝕膜とを備えており、耐蝕膜の材料を溶射して溶射膜を形成することで、前記本体に対する耐蝕膜の剥離強度を15MPa以上とした耐ハロゲンガスプラズマ用部材が提案されている。
【0003】
そして従前においては、耐プラズマエロージョン性に優れるプラズマ処理容器内部材も提案されている。例えば特許文献2(特開2001-164354号公報)では、基材の表面が、アンダーコート層として形成された金属皮膜と、そのアンダーコート層上に中間層として形成されたアルミナ(Al2O3)皮膜と、そしてその中間層上にトップコート層として形成されたイットリア(Y2O3)溶射皮膜とからなる多層複合層によって被覆されているプラズマ処理容器内部材を提案している。
【0004】
また基材の表面を皮膜で被覆した石英ガラス部品の再生技術も提案されている。例えば特許文献3(特開2008-95132号公報)では、半導体装置の製造プロセスにおける真空成膜装置、エッチング装置、プレクリーニング装置、またはアッシング装置内に配置される装置構成部品に関し、装置のメンテナンスに際して、付着した膜状の物質の除去が容易である装置構成部品として、電気絶縁性基材と、該電気絶縁性基材の表面に形成された金属溶射膜と、該金属溶射膜の表面に形成されたセラミックス溶射膜とからなり、前記セラミックス溶射膜の表面の中心線平均粗さRaが10~50μmの範囲内にある装置構成部品が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-249864号公報
【特許文献2】特開2001-164354号公報
【特許文献3】特開2008-95132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のとおり、ガラス基材の表面を皮膜で被覆することは公知であり、更に特許文献2では、耐プラズマエロージョン性を向上させるために、アルミナ(Al2O3)皮膜からなる中間層上に、トップコート層としてイットリア(Y2O3)溶射皮膜を設けたプラズマ処理容器内部材が提案されている。しかしながら、この文献における最下層(アンダーコート層)は金属皮膜であって、基材との密着性を向上させる点については一切考慮されていない。
【0007】
特に近年では、環境負荷の低減やコストダウンを目的とした消耗部材に対する3R(Reduce、Reuse、Recycle)のニーズが高まっており、例えば、保護膜としての皮膜の形成による消耗パーツの延命化、さらには消耗・劣化した皮膜の再生利用などのニーズが高まっている。これらニーズに関連し、保護膜の耐久性向上や保護膜自体に機能性パターンを形成するなどの理由から皮膜は厚膜化の傾向にある。そしてこのように厚膜化した皮膜では、従前の様な単なるブラスト粗面への溶射だけでは、膜応力の影響から膜剥離や基材破断などの不具合を起こしてしまうことも考えられる。
【0008】
そこで本発明では、皮膜を厚膜で形成した場合であっても、皮膜との密着性を十分確保できる汎用性の高いガラス基材と、これに皮膜を設けたガラス部品を提供することを課題の1つとする。
【0009】
また溶射皮膜を設けた石英ガラス部品が実際の使用場面において過度に消耗・劣化した場合には、溶射皮膜を再生して再利用されている。かかる溶射皮膜の再生方法としては、消耗・劣化した皮膜をブラスト処理等で機械的に除去するか、あるいは基材自体を化学的にエッチングする手法が一般的に行われているが、これらの方法では、基材自体に寸法や表面粗さの変化が起きてしまい、パーツ寿命を短くしてしまう問題がある。
【0010】
そこで本発明では、皮膜の再生に際して、基材自体の寸法や表面粗さの変化を極力減じることのできる皮膜を設けたガラス部品と、当該ガラス部品における皮膜の再生方法を提供することも別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題の少なくとも何れかを解決するために、本発明者らはガラス基材における皮膜形成領域に、ガラス基材の素地と皮膜との密着性を高める下地膜を設ける事を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
即ち本発明では、金属又はセラミックスの皮膜が形成されるガラス基材であって、前記皮膜が形成される領域には、前記ガラス基材の素地面と皮膜との密着性を高める下地膜を設けたガラス基材を提供する。
【0013】
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するべき、前記本発明に係るガラス基材、即ち下地膜を備えたガラス基材を用いて形成したガラス部品を提供する。即ち、ガラス基材に金属又はセラミックスからなる皮膜を形成してなるガラス部品であって、当該ガラス基材が前記本発明に係る下地膜を備えるガラス基材であって、前記皮膜は前記下地膜に形成されているガラス部品を提供する。
【0014】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するために、皮膜を設けたガラス部品の製造方法を提供する。即ち、ガラス基材に、金属又はセラミックスの皮膜を形成してなるガラス部品の製造方法であって、ガラス基材に、当該ガラス基材の素地面と皮膜との密着性を高める下地膜を形成する下地膜形成処理と、下地膜形成処理で形成した下地膜に、金属又はセラミックスの皮膜を形成する皮膜形成処理とからなるガラス部品の製造方法を提供する。
【0015】
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するために、皮膜を設けたガラス部品の再生方法を提供する。即ち、ガラス基材に、金属又はセラミックスの皮膜を形成してなるガラス部品の再生方法であって、当該ガラス部品は、ガラス基材にイットリア(Y2O3)を含有する下地膜を設けた上に前記皮膜が形成されており、前記下地膜を、当該下地膜が可溶でガラス基材が不溶である下地膜溶解成分によって溶解させる下地膜溶解処理を含むことを特徴とするガラス部品の再生方法を提供する。
【0016】
前記下地膜溶解成分は気体または液体であって良く、下地膜の材質に応じて適宜選択することができる。当該下地膜溶解成分としては、例えば硝酸、王水(塩酸と硝酸の混酸)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸の混酸)を使用することができる。特に下地膜が、イットリア(Y2O3)又はイットリアを含有する材料で形成されている場合には、当該下地膜溶解成分として硝酸水溶液、王水などの硝酸を含む薬液を使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るガラス基材は、皮膜が形成される領域に、前記ガラス基材の素地面と皮膜との密着性を高める下地膜を設けていることから、溶射皮膜などの各種皮膜の密着性を高めることができ、皮膜を厚膜で形成した場合であっても、皮膜との密着性を十分確保できる汎用性の高いガラス基材と、これに皮膜を設けたガラス部品を提供することができる。
【0018】
また当該下地膜を備えたガラス基材に皮膜を形成してなるガラス部品においては、前記下地膜だけを選択的に化学的処理などにより除去することで、その上に設けた皮膜を除去することができ、よって皮膜の再生に際して、基材自体の寸法や表面粗さの変化を極力減じることのできる皮膜を設けたガラス部品と、当該ガラス部品における皮膜の再生方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施の形態に係るガラス基材およびこれを用いた石英ガラス部品の製造工程を示す作業フロー図
【
図3】実験例2の溶射皮膜断面の気孔率を示す皮膜断面画像
【
図5】実験例4と5における引張密着強度の比較結果
【
図7】実験例6の下地膜溶解成分(硝酸水溶液)への(A)浸漬前、(B)浸漬後、(C)浸漬後の石英ガラス基材
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかるガラス基材とこれを用いて形成したガラス部品、及び当該ガラス部品の製造方法と再生方法を具体的に説明する。特に本実施の形態では板状に形成したガラス基材の一方の面に皮膜を形成した例を具体的に説明しているが、当該ガラス基材は用途に応じて各種の形状であって良く、また皮膜も何れかの面又は領域に形成することができる。
【0021】
図1は本実施の形態に係るガラス基材およびこれを用いた石英ガラス部品の製造工程を示す作業フロー図であり、
図2は本実施の形態に係るガラス部品を示す斜視図である。
【0022】
図1に示す様に本実施の形態に係るガラス部品の製造に際しては、ガラス基材10を使用する。かかるガラス基材10は、石英ガラスの他、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、または結晶化ガラスであって良い。但し半導体や液晶などのデバイス製造用途で使用されるガラス部品である場合には、用途に応じた材料特性を有するガラス基材10とすることができる。特に本実施の形態では、石英ガラスからなる石英ガラス基材10を使用している。
【0023】
そして当該ガラス基材10において、皮膜30を形成する領域、即ち下地膜20を形成する領域(以下、「対象領域」とする)に対して、その素地面の粗面加工(粗面加工処理)を行う。かかる粗面加工処理は、ガラス基材10の素地面に対する下地膜20の密着性を高める為に実施する。当該粗面加工処理は、サンドブラスト加工(以下、「ブラスト加工」とする)、ラッピング加工、ダイヤモンド工具による研削加工等のように機械的な砥粒加工の他、化学的腐食作用を利用したエッチング加工、或いは前記機械加工とエッチング加工の組合せで行うこともできる。特に本実施の形態では、ブラスト加工によって粗面加工処理を実施している。特にブラストにより粗面加工を行う場合、当該ブラスト加工に使用する砥粒は、研削対象となる材料(又は素地面)に応じて適宜選択することができ、アルミナ質研削材や炭化ケイ素質研削材などを使用することができる。本実施の形態の様に研削対象がガラス基材10である場合には、黒色炭化ケイ素質研削材(略号:C)や緑色炭化ケイ素質研削材(略号:GC)を使用することができる。
【0024】
かかる粗面加工処理によって前記対象領域の表面は粗面化されることになるが、その表面粗さは、使用するガラス基材10の材質や下地膜20の材質によって適宜調整することができる。例えば石英ガラス基材10に対してイットリアの下地膜20を形成する場合には、当該粗面加工により、対象領域の表面粗さは、算術平均粗さRaが3.5μm~5.5μm、又は最大高さ粗さRmaxが35μm~55μmとするのが望ましい。
【0025】
かかる粗面加工処理の後には、酸・アルカリによる化学的洗浄や超音波を用いた物理的洗浄などの洗浄処理を実施しても良い。特に粗面加工処理を機械加工で行った素地面は、研削材や研削スラッジなどが残留しており、次工程にすすむ前に清浄にしておくことが望ましい。
【0026】
上記粗面加工処理の後において、対象領域に対して下地膜20を形成する下地膜20形成処理を行う。かかる下地膜形成処理では、前記対象領域内に、金属又はセラミックスからなる下地膜20を形成するものであり、当該下地膜20はその上に形成される皮膜30の密着性を高める為に機能する。
【0027】
かかる下地膜20は、アルミニウム、タングステン、モリブデン、チタン、クロム、シリコン、セリア、ジルコニア、酸化ランタン、イットリア、アルミナ、チタニア、クロミア、マグネシア、YAG、イットリア安定ジルコニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化ケイ素、炭化アルミニウム、ヨウ化イットリウム、フッ化イットリウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシム等を含有する膜として形成することができる。特に本実施の形態では石英ガラス基材10を使用していることから、下地膜20はイットリア(Y2O3)又はシリコン(Si)、特にY2O3を含有する膜として形成するのが望ましい。よって本実施の形態では、当該下地膜20はY2O3を主成分として、Y2O3を90wt%以上、特に99wt%以上含有する層として形成することが望ましい。なお、ガラス基材10が他の材料で形成されている場合には、当然に他の材料からなる下地膜20とすることができる。
【0028】
上記下地膜20は、溶射法によって形成する他、化学気相成長法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、塗布法によって形成することができる。但し、成膜時間やコスト、半導体や液晶などのデバイス製造用途、及び密着性などを考慮すれば、溶射法によって形成するのが望ましい。特に溶射法によって下地膜20を形成する場合には、ガス式溶射(フレーム溶射、高速フレーム溶射、爆発溶射)、電気式溶射(アーク溶射、プラズマ溶射、又は線爆溶射)、コールドスプレーによって形成することができる。本実施の形態では、溶射法によって当該下地膜20を形成している。
【0029】
そして上記下地膜20は、気孔率が10%以下、より好ましくは5%以下となる様に形成するのが望ましい。ここで当該下地膜20の気孔率が10%を超えると、下地膜20と基材素地の界面付近に分布する空隙又は気孔がアンカー効果に起因する密着性を低下させてしまうことや、下地膜自体の脆弱化が起きてしまうことが考えられる。それゆえ、下地膜20の気孔率を10%以下、より好ましくは5%以下にすることで、下地膜20の密着性やバルク強度に係る問題を解消できる。本実施の形態に示す様にイットリア(Y2O3)からなる下地膜20は溶射法(例えば大気プラズマ溶射法)等によって、前記気孔率に制御することもできる。また下地膜20の気孔率は、例えば皮膜断面の拡大写真から気孔部分の面積を計測するなどの方法に基づいて算出することができる。
【0030】
かかる下地膜20の厚さは、少なくともガラス基材10の素地面の最大高さ粗さRmaxの値以上であって、更に望ましくはガラス基材10の素地面の最大高さ粗さRmaxの値に下地膜20の最大高さ粗さRmaxの値を加算した値以上に形成することが望ましい。これにより下地膜20を備えたガラス基材10と皮膜30との密着性を高めることができる他、後述のガラス部品の再生に際して、皮膜30と下地層を確実に除去することができる。
【0031】
以上の下地膜20形成処理によって、下地膜20を備えたガラス基材10を形成することができる。かかるガラス基材10は下地膜20を有することから、その上に設けた皮膜30との密着性を向上させることができ、また当該下地膜20だけを薬液などで除去することにより、既設の皮膜30を除去することができ、ガラス部品の再生に貢献することができる。
【0032】
上記下地膜20を備えたガラス基材10の下地膜20には、皮膜形成処理によって皮膜30を形成することにより、本実施の形態に係るガラス部品を形成する。かかる皮膜30は、ガラス部品の用途に応じた様々な機能や性能を向上させるために設けることができ、特に最表面に露出するトップコート膜として形成することができる。特に本実施の形態において、この皮膜30(トップコート膜)は前記下地膜20に形成されていることから、前記下地膜20を設けずにガラス基材10の素地面に直接皮膜30を形成した場合に比べ、ガラス基材10との密着性を大幅に向上させることができる。
【0033】
かかる皮膜30は、金属又はセラミックスによって形成することができ、形成するガラス部品の用途に応じた機能や性能に基づいて特定することができる。また当該皮膜30は前記下地膜20との密着性を考慮して選択することもできる。即ち、前記下地膜20との組み合わせにおいて最も密着性の高い材料を用いて皮膜30を形成することができる。ここで、当該皮膜30は前記下地膜20と異なる材料、厚さ及び/又は表面粗さで形成する必要がある。前記下地膜20は専らガラス基材10の素地面との密着性の観点から材料、厚さ及び/又は表面粗さが特定され、皮膜30は形成するガラス部品の用途に応じた機能や性能の観点から材料、厚さ及び/又は表面粗さが特定される為である。その結果、本実施の形態に係るガラス部品は、ガラス基材10の素地面に対して、2層の皮膜30を形成したガラス部品と捉えることもできる。更に下地膜20に設ける皮膜30は、材料、厚さ及び/又は表面粗さが異なる2層以上で形成することもできる。その結果、前記下地膜20も皮膜30として捉えた場合には、ガラス基材10の素地面に3層以上の皮膜30を形成したガラス部品と捉えることもできる。但し、この場合でも、下地膜20と皮膜30とは同時には形成されない事から、下地膜20を形成した時点で、本実施の形態に係る下地膜20を有するガラス基材10と捉えることができる。
【0034】
かかる皮膜30は、溶射によって形成する他、化学気相成長法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、塗布法によって形成することができる。但し、成膜に係る時間やコスト、半導体や液晶などのデバイス製造用途で求められる材料特性、及び密着性などを総合的に考慮すれば、溶射法によって形成するのが望ましい。特に溶射法によって皮膜30を形成する場合には、ガス式溶射(フレーム溶射、高速フレーム溶射、爆発溶射)、電気式溶射(アーク溶射、プラズマ溶射、又は線爆溶射)、コールドスプレーであって良い。また当該皮膜30の膜厚が300μm以上である場合に、本発明における基材素地面と密着性の向上効果が顕著となることから、当該皮膜30の膜厚が300μm以上の膜厚である場合に有利となる。
【0035】
以上の様に形成したガラス部品(
図2参照)では、皮膜30は前記下地膜20によって確実にガラス基材10に密着することから、皮膜30の剥離の問題を解決することができる。また、当該ガラス部品ではガラス基材10と皮膜30との密着性が向上していることから、皮膜30の膜厚を増加させた場合であっても、それに伴う膜剥離や基材破断のリスクを解消して過酷な使用環境に耐えることができるガラス部品とすることができる。更に当該ガラス部品では、前記下地膜20を下地膜20溶解成分としての薬液などによって除去することにより、その上に設けられている皮膜30も除去できることから、皮膜30および下地膜20を新規に形成することで当該ガラス部品の再生にも大きく貢献することができる。
【実施例0036】
以下では本実施の形態に係るガラス基材及びガラス部品の効果を確認する為に、幾つかの実験を行った。特に以下の実験例では、ガラス基材として石英ガラスを使用し、皮膜は溶射によって溶射皮膜を形成して実験を行った。
【0037】
〔実験例1〕
この実験例では、石英ガラス基材の素地面に膜厚300μmを超える厚膜の溶射皮膜を直接形成した場合における素地面と皮膜の密着性を確認した。この実験例で使用した溶射用粉末材料は、アルミナ(Al2O3)粉、シリコン(Si)粉、イットリア(Y2O3)粉、アルミナ(Al2O3)粗粉(前記アルミナ粉より粗い粒度の粉末)、イットリア安定化ジルコニア(Y2O3-stabilizedZrO2/略号:YSZ) 粉とした。前記YSZ粉の化学組成は、ZrO2(8wt%Y2O3)とした。
【0038】
これらの溶射材料を、ブラスト処理(ブラスト材:炭化ケイ素砥粒C#80、吐出エア圧力:0.4MPa)によって粗面加工した石英ガラス基材(縦50mm×横50mm×厚さ3mm)の素地面に、大気プラズマ溶射(APS)によって、膜厚300μm~400μmの溶射皮膜を形成した。但し、実験した溶射材料のうちイットリア安定化ジルコニア(YSZ)についてのみ、大気プラズマ溶射(APS)の他に水プラズマ溶射(WPS)でも成膜を行った。半導体製造用途の石英ガラス部品おける一般的な溶射皮膜の厚みは概ね150μm~200μmであり、熱膨張係数が極めて小さい石英ガラス基材に対し、膜厚300μm以上の溶射皮膜形成は過酷な実験条件となる。
【0039】
そして各溶射材における素地面の表面粗さ、溶射皮膜の膜厚、溶射皮膜の表面粗さを検討した。表面粗さは、溶射前後において任意の三か所で測定した結果の平均値を求めた。その結果を以下の表1に示す。表1において、「YSZ-APS」は大気プラズマ溶射(APS)で形成したYSZを表し、「YSZ-WPS」は水プラズマ溶射(WPS)で形成したYSZを表している。
【0040】
【0041】
この実験において、溶射材料としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた場合には、厚さ200μm程度までであれば石英ガラス基材上に溶射皮膜を形成できたが、300μm超える厚膜形成は困難であった。また前記YSZ皮膜を形成する溶射方法として、大気プラズマ溶射(APS)及び水プラズマ溶射(WPS)の何れの場合でも、溶射施工中に皮膜が基材から剥離した。
【0042】
〔実験例2〕
この実験では、実験例1で確認した溶射材料を溶射して形成した溶射皮膜の気孔率を測定した。特にイットリア安定化ジルコニア(YSZ)は、大気プラズマ溶射(APS)で形成したYSZ(YSZ-APS)皮膜、及び水プラズマ溶射(WPS)で形成したYSZ(YSZ-WPS)皮膜について、後述する実験例4の下地膜を設けた溶射皮膜を形成し測定した。
【0043】
溶射皮膜の気孔率の測定方法は、まず溶射皮膜断面の拡大像(撮影倍率:200倍)を撮影し、次いで画像解析ソフト(三谷商事株式会社製「WinROOF」)により皮膜断面像の気孔部分の面積の計測を行い算出した。各溶射皮膜について5視野(視野1~5)を測定した気孔率を表2に、画像解析で二値化処理された皮膜断面像(表1中の※の視野)を
図3に示す。皮膜断面像における気孔率測定領域のサイズは500μm×200μmとした。
【0044】
【0045】
〔実験例3〕
この実験では、石英ガラスからなる基材にブラスト処理(ブラスト材:炭化ケイ素砥粒C#80、吐出エア圧力:0.4MPa)よって粗面化された素地に、溶射材料として、アルミナ(Al2O3)粉、シリコン(Si)粉、イットリア(Y2O3)粉、アルミナ(Al2O3)粗粉(前記アルミナ粉より粗い粒度の粉末)を使用して大気プラズマ溶射によって、膜厚300μm~400μmの溶射皮膜を形成した。そして各溶射膜について溶射皮膜の膜厚と表面粗さ、石英ガラス基材の表面粗さ、皮膜の引張密着強度(以下、引張強度とする)を測定した。YSZ粉は、実験1の結果と同様に石英ガラス基材に皮膜形成できなかったことから実験例3の測定対象から外した。
【0046】
皮膜の引張強度は、JIS H 8402『溶射皮膜の引張密着強さ試験方法』を参考に測定した。即ち前記石英ガラス基材(外径25mm、厚さ5mm)の粗面化された一方の面に前記溶射材料を溶射した試験片を作成し、次いで前記溶射した試験片の両端面にステンレス鋼(SUS304)製の六角ボルトの頭部を突き合わせ接着した。前記接着には、2液混合型エポキシ接着剤(スリーエムジャパン株式会社製 商品名「DP-460」)を使用し、予め石英ガラスとSUS304の接着品が約50MPaの引張接着強度であることを確認した。このように製作した試験片について、精密万能試験機(株式会社島津製作所製「AG-100kNX」)によって、引張強度を測定した。当該試験の条件は、JIS H 8402に準じて、引張速度1mm/分、試験片数 N=3とした。
【0047】
各溶射膜について溶射皮膜の膜厚と表面粗さ、石英ガラス基材の表面粗さ、引張強度を測定し、剥離面の状態を以下の表3に示し、気孔率と引張強度の関係を
図4に示す。
す。
【0048】
【0049】
この実験結果において、溶射材料ごとの試験片3本に外観上の大きな個体差はなく、全て皮膜と基材の界面で剥離した。
【0050】
またイットリア安定化ジルコニア(YSZ)溶射皮膜は、300μmを越える厚膜を形成できなかったことから、引張試験を行うことができなかったが、これは石英ガラスとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の熱膨張係数の差が大きすぎることが主因と考えられる。
【0051】
そしてアルミナとアルミナ粗粉の実験結果から、気孔率が異なる同一材料の溶射皮膜において密着性に差が生じることを確認した。これはポーラス質より緻密質の皮膜の方が高い引張強度となっており、皮膜と基材素地の接触面積の違いによりアンカー効果に差が生じたと考えられる。
【0052】
更に、気孔率が同程度であるイットリア(Y2O3)とシリコン(Si)については、熱膨張係数は 「Si<Y2O3」であり、Siの熱膨張係数の方が基材の石英ガラスに近いにもかかわらず、引張強度は、「Si<Y2O3」となり、基材の石英ガラスより熱膨張係数の大きいY2O3の方が引張強度は高い事を確認した。
【0053】
以上から、同一の条件で素地調整を行った石英ガラス基材に対する各溶射皮膜の引張強度の大小関係は、皮膜の熱膨張係数や気孔率だけで判断することができない事を確認した。更にイットリア(Y2O3)の溶射皮膜と石英ガラス基材との密着性が特に高いことも見出した。
【0054】
〔実験例4〕
前記実験例3の結果において、特にイットリア(Y2O3)の溶射皮膜と石英ガラス基材との密着性が高いことに着目し、以下ではイットリア(Y2O3)を下地膜として使用することで、石英ガラス基材に対して厚膜での形成が困難であったイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を厚膜で形成することを確認した。
【0055】
即ち、石英ガラスからなる基材(縦50mm×横50mm×厚さ3mm)の対象領域を、ブラスト処理(ブラスト材:炭化ケイ素砥粒C#80、吐出エア圧力:0.4MPa)によって粗面加工し、下地膜として大気プラズマ溶射(APS)によって膜厚100μm以上のイットリア(Y2O3)皮膜を形成した。そしてこの下地膜の上に、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を大気プラズマ溶射(APS)及び水プラズマ溶射(WPS)によって、膜厚300μmμm以上のトップコート膜(皮膜)を形成した。そして下地膜と皮膜の膜厚、皮膜の気孔率と表面粗さを測定し、皮膜の形成の有無を調べた。その結果を、実験例1の結果と共に、以下の表4に示す。
【0056】
【0057】
これらの実験から、石英ガラス基材に直接皮膜形成できなかったイットリア安定化ジルコニア(YSZ)であっても、気孔率5%未満のイットリア(Y2O3)からなる下地膜を形成し、これに溶射することで、厚膜形成が可能である事を確認した。
【0058】
特にこの実験例において、下地膜はその表面粗さにおける最大高さRmaxの値以上の厚さが無いと、基材素地を完全に被覆できない。またブラスト処理した石英ガラス基材の対象領域も粗面化に伴う凹凸があり、この凹凸を下地膜で被覆する為の膜厚も必要となる。この為、基材素地を下地膜で確実に被覆する為には、下地膜における表面粗さ(最大高さRmax)の値と石英ガラス基材の対象領域における表面粗さ(最大高さRmax)の値の合計以上の膜厚として下地膜を形成するのが望ましい。この為、本実験例では、下地膜となるイットリア(Y2O3)膜の表面粗さ(Rmax:51μm)と石英ガラス基材の対象領域における表面粗さ(Rmax:47μm)の合計である98μmの厚さになるため、ばらつき量も考慮し100μm以上の膜厚になるようにイットリア(Y2O3)からなる下地膜を形成した。
【0059】
〔実験例5〕
この実験例では、前記実験例3及び4に関連して、各種溶射材料を用いた溶射皮膜に対しても、前記イットリア(Y2O3)からなる下地膜を形成し、その密着性を確認する為に引張密着強度試験を行った。
【0060】
即ち、石英ガラスからなる基材(縦50mm×横50mm×厚さ3mm)の対象領域を、実験例4と同様にブラスト処理(ブラスト材:炭化ケイ素砥粒C#80、吐出エア圧力:0.4MPa)により粗面加工し、下地膜として大気プラズマ溶射(APS)によって膜厚100μm以上のイットリア(Y2O3)皮膜を形成した
【0061】
そしてこの下地膜の上に、アルミナ(Al2O3)、シリコン(Si)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、アルミナ(Al2O3)粗粉を大気プラズマ溶射(APS)によって溶射して、膜厚300μm以上のトップコート膜(皮膜)を形成した。そして下地膜と皮膜の膜厚、皮膜と基材の表面粗さ、引張強度を測定し、剥離面の状態を調べた。引張強度は、前記実験例3と同様の方法で測定した。その結果を、以下の表5に示す
【0062】
【0063】
この実験例において、引張試験後の剥離面を観察した所、下地膜が石英ガラス素地から剥離したものはなかった。即ち、この実験結果から、イットリア(Y
2O
3)からなる下地膜と石英ガラス素地面との密着性が極めて高いことに示す試験結果となった。またイットリア(Y
2O
3)からなる下地膜の上にアルミナ(Al
2O
3)、シリコン(Si)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、アルミナ(Al
2O
3)粗粉の溶射皮膜を形成した場合、当該下地膜を設けず溶射皮膜を直接形成した場合に比べて大幅に引張密着強度が向上したことを確認した。この比較結果を
図5に示す。
【0064】
この
図5に示す様に、イットリア(Y
2O
3)の下地膜の上にシリコン(Si)の溶射皮膜をトップコート膜として形成することにより、Y
2O
3の下地膜を設けない場合に比べ引張強度が1.9倍に向上した。またイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の場合は、石英ガラス素地面には皮膜を形成できなかったが、Y
2O
3の下地膜を設ける事により皮膜形成することができた。そしてアルミナ(Al
2O
3)の溶射皮膜をトップコート膜として形成する際には、Y
2O
3の下地膜を設ける事により、当該下地膜を設けない場合に比べて引張強度が2.1倍に向上し、また同一の材料であるAl
2O
3の粗粉(Al
2O
3粗粉)の溶射皮膜をする形成する際には、Y
2O
3の下地膜を設ける事により、当該下地膜を設けない場合に比べて引張強度が2.2倍に向上した。そしてこれらの実施形態では、何れの最表面に存在するトップコート膜は、当初目的の溶射材料からなる溶射皮膜が存在する事から、初期の効果を得ることができる。
【0065】
〔実験例6〕
上記実験例5及び6に示す様に、イットリア(Y2O3)の下地膜を設けた上に、トップコート膜としての溶射皮膜を形成することにより、石英ガラス素地に対するトップコート膜の密着性を高めることができる。更に当該下地膜を設けた上に、トップコート膜としての溶射皮膜を形成することにより、下地膜の耐薬品特性を利用して当該ガラス部品の再生を行うことができる。そこで本実験例では、石英ガラス基材および下地膜であるY2O3の耐薬品特性を利用した溶射皮膜の再生を確認する。具体的には硝酸に対し、石英ガラス基材は不溶であり、Y2O3は可溶である事から、この化学薬品特性を応用してガラス部品の再生を行う。この時、トップコート膜が硝酸に不溶ある材料からなり気孔を有さない膜質(緻密質)であっても、トップコート膜端部から薬液が浸透することによるサイドエッチングにより下地膜のY2O3膜が溶解される。またトップコート膜が溶射皮膜である場合は、気孔を有する膜質(多孔質)であることから、皮膜の最表面から最下面(下地膜との界面)までの薬液浸透が起きやすく、下地膜の Y2O3膜が容易に溶解される。
【0066】
本実験例では、外径18mm×内径16mm×長さ200mmの円筒状の石英ガラス基材の表面をブラスト処理(ブラスト材:炭化ケイ素砥粒C#80、吐出エア圧力:0.4MPa)によって粗面加工した後、粗面加工した領域にイットリア(Y
2O
3)からなる膜厚110μmの下地膜を形成し、この下地膜の上に、大気プラズマ溶射(APS)により皮膜(トップコート膜)を形成した。特にこの実験例では、トップコート膜として、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)及びアルミナ(Al
2O
3)を用いて膜厚500μmの溶射皮膜を形成しており、当該トップコート膜は
図6に示す様に、円筒状の石英ガラス基材に対して円周を被覆するよう帯状に形成した。
【0067】
その後、下地膜溶解成分としての硝酸水溶液(容積比で、61wt%硝酸(原液):純水=1:10)に、24時間浸漬した。
図7に、当該下地膜溶解成分(硝酸水溶液)への(A)浸漬前、(B)浸漬後、(C)浸漬後の石英ガラス基材の状態を示す。
図7(B)に示す様に下地膜溶解成分(硝酸水溶液)に24時間浸漬した後においては、下地膜であるイットリア(Y
2O
3)が溶解し、皮膜(トップコート膜)として形成した帯状の溶射皮膜は円筒状基材から自由に移動可能となり、その長さ方向一端部に寄っている。そして
図7(C)に示す様に、下地膜溶解成分(硝酸水溶液)に浸漬した後においても、粗面加工を施した石英ガラス基材にはダメージが存在せず、皮膜(トップコート膜)と下地膜を新規に形成するために基材を再利用できることを確認した。
本発明に係る皮膜密着用の下地膜を有するガラス基材、皮膜を設けたガラス部品は、溶射皮膜などの金属やセラミックスの皮膜の密着性を高めたガラス基材とこれを用いたガラス部品に使用することができ、特に望ましくは半導体やフラットパネルディスプレイなどのデバイス製造装置のチャンバー構成部材として利用することができる。また本発明にかかる下地膜を設けたガラス基材と、これを用いたガラス部品は、ガラス基材の再生利用に利用することができる
前記下地膜が形成される石英ガラス基材における対象領域の表面粗さは、算術平均粗さRaが3.5μm~5.5μmであり、最大高さ粗さRmaxが35μm~55μmである、請求項1に記載の石英ガラス基材。