IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立造船株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-搬送車 図1
  • 特開-搬送車 図2
  • 特開-搬送車 図3
  • 特開-搬送車 図4
  • 特開-搬送車 図5
  • 特開-搬送車 図6
  • 特開-搬送車 図7
  • 特開-搬送車 図8
  • 特開-搬送車 図9
  • 特開-搬送車 図10
  • 特開-搬送車 図11
  • 特開-搬送車 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118603
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20230818BHJP
   B60D 1/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B62B5/00 C
B60D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021629
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田窪 芳久
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050DD03
3D050GG01
3D050KK02
(57)【要約】
【課題】牽引車両と台車との間の連結部材に負荷がかかり難い搬送車を実現する。
【解決手段】本発明の搬送車(1)は、台車(201)と連結された補正台車(102)と牽引車両(101)とを連結する連結部材(301)の一方の端部(103a)が、水平方向に平行であり牽引車両(101)と補正台車(102)とが連結される方向に垂直な方向に延伸する軸(16)を回転中心として回動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車を牽引して自律走行する搬送車であって、
牽引車両と、
前記台車と連結された補正台車と、
前記牽引車両と前記補正台車とを連結する少なくとも1つの連結部材と、を備え、
前記連結部材の一方の端部は、前記牽引車両または前記補正台車に設けられた軸であって、水平方向に平行であり前記牽引車両と前記補正台車とが連結される方向に垂直な方向に延伸する軸に取り付けられており、
前記連結部材は、前記軸を中心にして回動可能である、搬送車。
【請求項2】
前記連結部材を2つ備え、
2つの前記連結部材は、鉛直方向から見たときに互いに交差するように設けられている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記連結部材の前記一方の端部は、前記軸が延伸する方向に沿って移動可能である、請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記補正台車は、前記台車に設けられた被係合部と係合するフックを備えており、
前記フックは、電動で鉛直方向に移動することにより、前記被係合部と係合または解除する、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車を牽引して自律走行する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
台車を牽引する牽引車両を含む無人搬送車(AGV: Automatic Guided Vehicle)については、例えば特許文献1,2等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-139548号公報
【特許文献2】特開2019-139549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の無人搬送車において、牽引車両と台車とを連結する連結部材は、無人搬送車が走行する面(走行面)とほぼ平行になるように設けられている。従って、無人搬送車が走行している間、牽引車両と台車との間で高低差が生じなければ、牽引車両と台車との間の連結部材に負荷は殆どかからない。しかしながら、無人搬送車が、例えば傾斜面を含む面を走行して、牽引車両と台車との間で高低差が生じれば、牽引車両と台車との間の連結部材に負荷がかかる。牽引車両と台車との間の高低差が大きくなれば、牽引車両と台車との間の連結部材にかかる負荷が大きくなるため、無人搬送車の走行が困難になるという問題が生じる。
【0005】
本発明の一態様は、走行中の牽引車両と台車との間に高低差が生じても、牽引車両と台車との間の連結部材に負荷がかかり難い搬送車を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送車は、台車を牽引して自律走行する搬送車であって、牽引車両と、前記台車と連結された補正台車と、前記牽引車両と前記補正台車とを連結する少なくとも1つの連結部材と、を備え、前記連結部材の一方の端部は、前記牽引車両または前記補正台車に設けられた軸であって、水平方向に平行であり前記牽引車両と前記補正台車とが連結される方向に垂直な方向に延伸する軸に取り付けられており、前記連結部材は、前記軸を中心にして回動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、走行中の牽引車両と台車との間に高低差が生じても、牽引車両と台車との間の連結部材に負荷がかかり難いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る搬送車の側面図である。
図2図1に示す搬送車が傾斜面のある面を走行している状態を示す側面図である。
図3図1に示す搬送車を構成する牽引車両の背面図である。
図4図1に示す搬送車を構成する補正台車に台車を連結する方法を説明する図である。
図5】本発明の実施形態2に係る搬送車を上方から見た平面図である。
図6図5に示す搬送車を構成する牽引車両の背面図である。
図7図5に示す搬送車における連結機構の動作を説明する図である。
図8】本発明の実施形態2に係る他の搬送車を上方から見た平面図である。
図9図8に示す搬送車における連結機構の動作を説明する図である。
図10】比較例の搬送車が台車を牽引して走行する状態を上方から見た平面図である。
図11図5に示す搬送車が台車を牽引して走行する状態を上方から見た平面図である。
図12】本発明の実施形態3に係る他の搬送車を構成する牽引車両の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
(搬送車の概要)
図1は、搬送車1が平面1001からなる走行面を走行している状態を側面から示した図である。図2は、搬送車1が平面1001と傾斜面1002とを有する走行面を走行している状態を側面から示した図である。
【0011】
搬送車1は、図1に示すように、牽引車両101と、補正台車102と、牽引車両101と補正台車102とを連結する連結部材103とを含み、台車201を牽引して自律走行する、所謂、無人搬送車(AGV: Automatic Guided Vehicle)である。連結部材103は、二本の棒状部材からなり、それぞれ一端部103aが牽引車両101に取付けられ、他端部103bが補正台車102に取付けられている。なお、連結部材103は、SUS304等のステンレスを用いた金属製の棒状部材であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えばアルミニウムの金属製の棒状部材であってもよい。
【0012】
搬送車1は、例えば図2に示すように、傾斜面1002を含む走行面を走行する場合、牽引車両101と補正台車102との間に高低差が生じる。この場合、牽引車両101と補正台車102とを連結する連結部材103に上下方向に負荷がかかる。この負荷が大きくなれば、搬送車1が走行できない場合もある。本実施形態に係る搬送車1では、連結部材103に上下方向に負荷がかからないようにするための連結機構(詳細は後述)が設けられている。これにより、搬送車1が、牽引車両101と補正台車102との間に高低差が生じるような傾斜面を含む走行面を走行しても、連結部材103の上下方向にかかる負荷が軽減されるので、当該連結部材103にかかる上下方向の負荷によって搬送車1が走行できないという事態を回避することができる。ここで、牽引車両101と補正台車102との間に生じる高低差は、傾斜面、起伏(凹凸)があるところ、段差があるところを含む。
【0013】
(牽引車両の構成)
図1図3を参照しながら、牽引車両101の詳細について説明する。図3は、搬送車1を構成する牽引車両101の背面から見た図である。
【0014】
牽引車両101は、車両本体11を含む。ここで、車両本体11において走行方向(図1の矢印方向)に向かう面を正面11a、正面11aの反対側の面を背面11b、走行する走行面に対向する面を下面11c、下面11cの反対側の面を上面11dとする。
【0015】
牽引車両101は、さらに、車両本体11の下面11cの前方側に設けられたキャスター12と、車両本体11の下面11cの後方側に設けられた走行部13と、車両本体11の上面11dに設けられた操作パネル14とを含む。
【0016】
キャスター12は、車両本体11の下面11cの左右に2つそれぞれ旋回自在に設けられている。なお、キャスター12は、車両本体11が旋回する方向に自在に動けばよいので、車両本体11の下面11cに設ける数については、2つに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0017】
走行部13は、牽引車両101を自律走行させるための各種機構であり、図3に示すように、車輪13a、車輪13aを駆動する駆動モータ13b、駆動モータ13bから駆動力を伝える駆動軸13c、牽引車両101の走行方向を切替えるための操舵機構(図示せず)等を含む。
【0018】
操作パネル14は、搬送車1を使用する使用者が牽引車両101の走行動作を制御するためのパネルである。例えば使用者は、操作パネル14を操作することで、牽引車両101の走行経路等を設定する。これにより、牽引車両101は、操作パネル14によって設定された走行経路等の内容に従って走行部13の駆動モータ13bおよび上記操舵機構を駆動させて、所望する走行経路上を自律走行する。
【0019】
なお、牽引車両101における自律走行の方法については、特に限定されるものではなく、既知の自律走行の方法であればどのような方法であってもよい。
【0020】
車両本体11の背面11bの下方側には、図3に示すように、2つの取付部15が設けられている。取付部15は、それぞれ本体部151を含み、それぞれの本体部151の上部151aにおいて連結部材103の一端部103aを回動自在に取付けている。また、取付部15は、それぞれ本体部151の下部151bにおいて車両本体11の幅方向(図1に示す矢印方向と直交する方向)に張架された軸16に回動自在に支持されている。すなわち、二本の連結部材103の一端部103aは、それぞれ取付部15に取付けられ、当該取付部15を介して、水平方向に平行であり牽引車両101と補正台車102とが連結される方向に垂直な方向に延伸する軸16に取り付けられており、二本の連結部材103は、軸16を中心にして回動可能である。ここで、二本の連結部材103は、牽引車両101と補正台車102との間で同じ動作をするので、説明の便宜上、以下では、「二本の」を付けずに連結部材103としている。
【0021】
従って、図1に示すように、搬送車1が平面1001のみの走行面を走行する場合、牽引車両101と補正台車102との間に高低差が生じないので、取付部15の本体部151は傾斜せず、ほぼ垂直方向で維持される。一方、図2に示すように、搬送車1が傾斜面1002を含む走行面を走行する場合、牽引車両101と補正台車102との間に高低差が生じる。このとき、補正台車102に取付けられた連結部材103の一端部103aを取付けている取付部15の本体部151は生じた高低差分だけ軸16を回転中心として回転する。例えば、図2に示すように、牽引車両101が平面1001を走行し、補正台車102が平面1001から下方に傾く傾斜面1002を走行している場合、取付部15の本体部151は軸16を回転中心として補正台車102側に傾く方向に回転する。この場合、図2に示すように、平面1001に対して傾斜面1002が下方に傾斜している角度が例えば6°であれば、取付部15の本体部151が垂直状態から補正台車102側に向かって6°回転する。このように、牽引車両101と補正台車102との間に生じる高低差が、牽引車両101側が高く、補正台車102側が低い場合に生じた高低差であれば、取付部15の本体部151は垂直状態から補正台車102側に回転する。一方、牽引車両101と補正台車102との間に生じる高低差が、牽引車両101側が低く、補正台車102側が高い場合に生じた高低差であれば、取付部15の本体部151は垂直状態から牽引車両101側に回転する。これにより、牽引車両101と補正台車102との間に生じる高低差に起因する負荷、すなわち取付部15に取付けられた連結部材103における上下方向の負荷を軽減することが可能となる。以上の連結部材103の取付部15への取付け構造が上述した連結部材103に上下方向に負荷がかからないようにするための連結機構といえる。
【0022】
(補正台車の構成)
補正台車102は、牽引車両101と台車201と間に介在する台車である。すなわち、補正台車102は、連結部材103によって牽引車両101と連結される一方、台車201が連結される。補正台車102は、後述する着脱機構26によって台車201を着脱するようになっている。
【0023】
補正台車102は、筐体21を含み、筐体21の上部側において連結部材103の他端部103bを固定する固定部22が設けられている。固定部22は、二本の連結部材103毎に設けられており、それぞれ筐体21の底部23で固定され垂直方向に延伸する軸24に固定されている。また、筐体21の下部には、キャスター25が旋回自在に設けられている。キャスター25は、筐体21の下部の長方向両側に設けられている。但し、キャスター25を設ける数は限定しない。
【0024】
補正台車102は、台車201の取付け、取外しを行うための着脱機構26が牽引車両101に対して反対側に設けられている。着脱機構26は、台車201に設けられた被係合部(係合部材221)に係合するフック27を備えている。このフック27は、電動で鉛直方向に移動することで、台車201の係合部材221に係合または解除する。
【0025】
具体的には、フック27は、断面略L字状の金属製の板状部材からなり、台車201の係合部材221に係合するように、先端部27a(L字の下方の先端部)が上側に折り返されている。一方、フック27における後端部27b(L字の上方の先端部)は、走行面に平行であり、筐体21内の軸24と当該軸24に並列して配置された軸28に貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0026】
これにより、フック27は、後端部27bの貫通孔に貫通している軸24および軸28に沿って上下方向に移動するようになっている。フック27の上下方向の移動にかかる駆動力は図示しない駆動機構から供給される。この駆動機構は、フック27における筐体21の側面に沿った側面部に設けられたスイッチ30を押下することで起動する。つまり、スイッチ30が押下されると、駆動機構が起動し、フック27を上下方向に移動させる。
【0027】
筐体21内には、軸24および軸28に貫通し、且つ、牽引車両101が走行する走行面から所定の高さの位置に、フック27の下方への移動を規制するための係止部材29が設けられている。係止部材29の位置は、フック27の下方への移動距離に応じて自由に設定可能とする。
【0028】
なお、フック27の上方への移動の規制は、筐体21内の軸24の上部に設けられた固定部22によって行われる。
【0029】
(台車の着脱)
図4は、図1に示す搬送車1に台車201を装着する手順を説明する図である。なお、図4では、説明の便宜上、台車201を直接装着する補正台車102を残し、搬送車1の牽引車両101は省略している。また、図4に示す左向きの矢印方向は、台車201の前進方向、逆向きの矢印方向は、台車201の後退方向を示す。ここでは、補正台車102は停止した状態とし、台車201を補正台車102側に移動させることで、台車201を補正台車102に装着する手順について説明する。
【0030】
まず、図4の符号1041に示すように、台車201の前面板201aの下部の底板201bの下側であって、キャスター211の上部側に設けられた係合部材221の前面221aを補正台車102の着脱機構26に対向させる。このとき、係合部材221の前面221aに設けられた突起部222の走行面からの高さを、補正台車102の着脱機構26におけるフック27に設けられたスイッチ30の走行面からの高さと同じにする。
【0031】
次に、図4の符号1042に示すように、台車201を補正台車102側に移動、すなわち前進させて、係合部材221の突起部222によってフック27のスイッチ30を押下する。スイッチ30が押下されることで、駆動機構が起動してフック27が上方に移動し、図4の符号1043に示すように、所定の位置で止まる。この所定の位置は、台車201が後退して、フック27の先端部27aによって係合部材221が係合する位置とする。
【0032】
最後に、図4の符号1044に示すように、図4の符号1043に示す状態から台車201を後退させることで、係合部材221をフック27の先端部27aに係合させる。これにより、台車201の補正台車102への取付けが完了する。
【0033】
補正台車102に取付けられた台車201を取外す場合は、補正台車102に台車201を装着する手順の逆を行えばよい。すなわち、図4の符号1044に示すように、係合部材221がフック27の先端部27aに係合した状態から、台車201を前進させて、図4の符号1043に示す状態とする。その後、フック27を下方に移動させて、図4の符号1042に示す状態とし、さらに、台車201を後退させることで、図4の符号1041に示すように、当該台車201を補正台車102から取外す。
【0034】
ここで、補正台車102は、フック27の底部(走行面に平行な部分)の長さをできるだけ短くすることで、装着した台車201との間隔をできるだけ短くし、フック27における上下方向の移動に伴う負荷がかかり難いようにしている。
【0035】
ところで、搬送車1は、自律走行する際に、左右に曲がる必要があるので、搬送車1を適切に曲げるには、牽引車両101と補正台車102との間は適度な間隔を開ける必要がある。つまり、連結部材103は、搬送車1が適切に曲がるために、ある程度の長さが必要となる。しかしながら、連結部材103が長くなれば、上下方向に負荷がかかり易くなる。つまり、牽引車両101と補正台車102との間に高低差が生じれば、連結部材103に負荷がかかる。
【0036】
上記構成の搬送車1では、牽引車両101における連結部材103を取付ける取付部15が軸16を回転中心として回動自在である。このため、牽引車両101と補正台車102との間に高低差が生じた場合、連結部材103における上下方向の負荷がかかり難い方向に当該取付部15が回転する。例えば、牽引車両101が補正台車102よりも高い位置にあるときに生じる高低差であれば、補正台車102に近づく方向に取付部15が回転する。一方、牽引車両101が補正台車102よりも低い位置にあるときに生じる高低差であれば、補正台車102から遠ざかる方向に取付部15が回転する。
【0037】
なお、本実施形態では、牽引車両101と補正台車102との間に生じる高低差に起因する連結部材103への負荷を軽減する例について説明した。下記の実施形態2では、実施形態1と同様に連結部材103への負荷の軽減を行い、且つ、牽引車両101が左右に曲がる際に台車201が左右に振られるのを防ぐための例について説明する。
【0038】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0039】
(搬送車の概要)
図5は、本実施形態にかかる搬送車2の上方から見た平面図である。図6は、搬送車2を構成する牽引車両101Aを車両本体11の背面11b側から見た図である。
【0040】
搬送車2は、前記実施形態1の搬送車1とほぼ同じ構成であるが、牽引車両101Aと補正台車102Aと連結する連結部分が異なる。すなわち、搬送車2では、2本の連結部材(第1連結部材301、第2連結部材302)を備え、第1連結部材301と第2連結部材302とは、鉛直方向から見たときに互いに交差するように設けられている。
【0041】
第1連結部材301は、前記実施形態1の連結部材103と同様の素材で構成された棒状部材からなり、一端部301aが牽引車両101Aに取付けられ、他端部301bが補正台車102Aに取付けられている。第1連結部材301と同様に、第2連結部材302は、前記実施形態1の連結部材103と同様の素材で構成された棒状部材からなり、一端部302aが牽引車両101Aに取付けられ、他端部302bが補正台車102Aに取付けられている。
【0042】
牽引車両101Aの車両本体11の背面11bの下方側には、2つの取付部(第1取付部15A、第2取付部15B)が設けられている。第1取付部15Aは、図6に示すように、本体部315を含み、本体部315の下部315bにおいて車両本体11の幅方向に張架された軸16を中心に回動自在に支持されている。また、第1取付部15Aは、本体部315の上部315aにおいて第1連結部材301の一端部301aが、当該第1連結部材301が軸16の延伸方向に対して平行方向に回動自在に取付けられている。
【0043】
第1取付部15Aと同様に、第2取付部15Bは、図6に示すように、本体部316を含み、本体部316の下部316bにおいて車両本体11の幅方向に張架された軸16を中心に回動自在に支持されている。また、第2取付部15Bは、本体部316の上部316aにおいて第2連結部材302の一端部302aが、当該第2連結部材302が軸16の延伸方向に対して平行方向に回動自在に取付けられている。
【0044】
補正台車102Aは、前記実施形態1の補正台車102の固定部22の代わりに、2つの取付部(第1取付部22A、第2取付部22B)を備えている。第1取付部22Aは、図5に示すように、第1連結部材301の他端部301bが、当該第1連結部材301が軸16の延伸方向に対して平行方向に回動自在に取付けられている。第1取付部22Aと同様に、第2取付部22Bは、図5に示すように、第2連結部材302の他端部302bが、当該第2連結部材302が軸16の延伸方向に対して平行方向に回動自在に取付けられている。
【0045】
なお、補正台車102Aの構成は、第1取付部22A、第2取付部22B以外、前記実施形態1の補正台車102の構成とほぼ同じ構成である。このため、他の構成について説明は省略する。
【0046】
補正台車102A側に取付けられた、第1連結部材301および第2連結部材302のそれぞれの他端部301bおよび他端部302bは、牽引車両101Aの軸16の延伸する方向に沿って移動可能となる。この第1連結部材301および第2連結部材302の移動動作によって、補正台車102Aは左右に振られることなく牽引車両101Aに追従することが可能となる。この補正台車102Aの追従動作について以下に説明する。
【0047】
(動作)
図7は、搬送車2が左右方向に曲がるときの第1連結部材301と第2連結部材302とが動く状態を示す図である。
【0048】
まず、図7の符号1071に示す搬送車2が直進している状態から、右側に曲がる場合、符号1072に示すように、牽引車両101Aと補正台車102Aとを連結する第1連結部材301が補正台車102Aに近づくように移動し、第2連結部材302が補正台車102Aから遠ざかるように移動する。これにより、搬送車2が右に曲がるときに、曲がる方向と逆の左方向に働く遠心力が吸収されるため、補正台車102Aは左側に振られないで牽引車両101Aに追従する。
【0049】
一方、図7の符号1071に示す搬送車2が直進している状態から、左側に曲がる場合、符号1073に示すように、牽引車両101Aと補正台車102Aとを連結する第1連結部材301が補正台車102Aから遠ざかるように移動し、第2連結部材302が補正台車102Aに近づくように移動する。これにより、搬送車2が左に曲がるときに、曲がる方向と逆の右方向に働く遠心力が吸収されるため、補正台車102Aは右側に振られないで牽引車両101Aに追従する。
【0050】
なお、本実施形態2において、牽引車両101Aのキャスター12は2つの例、すなわち走行部13の車輪13aを含めて四輪の場合について説明したが、上述したように、キャスター12の数については特に限定されるものではない。例えばキャスター12が一つの場合、すなわち、走行部13の車輪13aを含めて三輪の場合であってもよい。この場合、図8に示すように、牽引車両101Bでは、車両本体11の下面11cの前方側の中央にキャスター12が設けられる。
【0051】
図8に示すように、一つのキャスター12が設けられた牽引車両101Bを備えた搬送車2は、図9に示すように動作する。この動作は、図7に示すキャスター12を2つ備えた場合の動作とほぼ同じである。すなわち、図9の符号1091に示す搬送車2が直進している状態から、右側に曲がる場合、符号1092に示すように、牽引車両101Bと補正台車102Aとを連結する第1連結部材301が補正台車102Bに近づくように移動し、第2連結部材302が補正台車102Aから遠ざかるように移動する。これにより、搬送車2が右に曲がるときに、曲がる方向と逆の左方向に働く遠心力が吸収されるため、補正台車102Aは左側に振られないで牽引車両101Bに追従する。
【0052】
一方、図9の符号1091に示す搬送車2が直進している状態から、左側に曲がる場合、符号1093に示すように、牽引車両101Bと補正台車102Aとを連結する第1連結部材301が補正台車102Aから遠ざかるように移動し、第2連結部材302が補正台車102Aに近づくように移動する。これにより、搬送車2が左に曲がるときに、曲がる方向と逆の右方向に働く遠心力が吸収されるため、補正台車102Aは右側に振られないで牽引車両101Bに追従する。
【0053】
(効果)
図10は、比較例の搬送車が台車を牽引して走行する状態を上方から見た平面図である。図11は、本実施形態に係る搬送車が台車を牽引して走行する状態を上方から見た平面図である。ここで、台車の車輪は、全て回旋自在なキャスターとする。
【0054】
図10に示すように、比較例の搬送車は、牽引車両2001と、一端部が牽引車両2001に水平方向に回動自在に支持された連結部材2002とを含み、連結部材2002の他端部に台車201を着脱自在に接続されている。台車201と連結部材2002の他端部とは接続状態では、台車201から連結部材2002が動かないようになっている。従って、台車201は牽引車両2001に対して、連結部材2002を介して水平方向に回動自在に接続された状態となっている。
【0055】
このため、牽引車両2001が台車201を牽引した状態で走行した場合、図10に示すように、当該牽引車両2001が右側に曲がると、曲がる方向と逆方向に働く遠心力により台車201は牽引車両2001の進行方向に対して左側に大きく振られる。この状態で、牽引車両2001は、台車201を牽引していくことになる。
【0056】
これに対して、本実施形態に係る搬送車2では、牽引車両101Aが台車201を牽引した状態で走行した場合、図11に示すように、当該牽引車両101Aが右側に曲がると、曲がる方向と逆方向に働く遠心力を補正台車102Aと牽引車両101Aとを接続する第1連結部材301および第2連結部材302の回転動作により吸収することができる。これにより、台車201は、牽引車両101Aの進行方向に対して左側に大きく振られることなく、当該牽引車両101Aに追従していくことになる。なお、図11では、牽引車両101Aの例を示しているが、キャスター12が一つの牽引車両101Bであっても同様の効果を奏する。
【0057】
なお、第1取付部15Aおよび第2取付部15Bは、軸16を回転中心として回動自在に設けられているが、さらに、軸16の軸方向にスライド自在に設けられていてもよい。この場合、補正台車102Aを補正台車102Aに近づけることで、第1連結部材301が第1取付部15Aを軸16の軸に沿って外向きにスライドさせ、第2連結部材302が第2取付部15Bを軸16に沿って第1取付部15Aと反対側の方向にスライドさせる。これにより、第1連結部材301と第2連結部材302は互いに近接した状態となり、牽引車両101Aまたは補正台車102Aの何れかに格納することが可能となる。このように、牽引車両101Aと補正台車102Aとを近接させることが可能となるので、使用しない搬送車2を載置するためのスペースの省スペース化を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態の搬送車2においても、前記実施形態1の搬送車1と同様に、第1連結部材301および第2連結部材302の一端部301aおよび一端部302aは、牽引車両101A内の軸16を回転中心に回動する第1取付部15Aおよび第2取付部15Bに取付けられている。これにより、走行面に高低差が生じることによって、牽引車両101Aと補正台車102Aとの間に高低差が生じた場合であっても、生じた高低差に起因する負荷、すなわち第1連結部材301および第2連結部材302における上下方向の負荷を軽減することができる。
【0059】
また、前記実施形態1および2において、牽引車両101または牽引車両101A側で軸16を回転中心に回動自在な取付部15または第1取付部15Aおよび第2取付部15Bを設けて、上記高低差によって生じる負荷を吸収するようにしていたが、これに限定されるものではない。例えば、補正台車102または補正台車102A側の固定部22または第1取付部22Aおよび第2取付部22Bを、補正台車102または補正台車102A内に、回転中心となる軸(補正台車102または補正台車102Aの幅方向に張架された軸)を設けて回動させる構成としてもよい。あるいは、牽引車両101および牽引車両101Aの取付部15または第1取付部15Aおよび第2取付部15Bと、補正台車102および補正台車102Aの固定部22または第1取付部22Aおよび第2取付部22Bとの両方を回動させる構成としてもよい。具体的には、取付部15または第1取付部15Aおよび第2取付部15Bを、軸16を回転中心として回動させ、固定部22または第1取付部22Aおよび第2取付部22Bを、補正台車102および補正台車102A内に設けられた軸(補正台車102または補正台車102Aの幅方向に張架された軸)を回転中心として回動させる構成としてもよい。
【0060】
また、前記実施形態1および2においては、連結部材が2本の場合の例について説明したが、連結部材は少なくとも1本あればよいので、連結部材の本数については特に限定されない。下記の実施形態3では、連結部材が1本の場合の例について説明する。
【0061】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0062】
図12は、搬送車3を構成する牽引車両101Cの背面から見た図である。牽引車両101Cは、前記実施形態1の牽引車両101とほぼ同じ構成であり、連結部材103を取付ける取付部15が一つである点で相違している。この場合、図示しないが搬送車3を構成する補正台車102においても連結部材103を固定する固定部22も一つである。つまり、本実施形態の搬送車3では、牽引車両101Cと図示しない補正台車102とを連結する連結部材103は1本である。
【0063】
連結部材103が1本であっても、連結部材103の一端部103aは、取付部15に取付けられ、当該取付部15を介して、水平方向に平行であり牽引車両101と補正台車102とが連結される方向に垂直な方向に延伸する軸16に取り付けられており、連結部材103は、軸16を中心にして回動可能に構成されている。これにより、前記実施形態1の搬送車1と同様の効果を奏する。すなわち、搬送車3が図1に示すような平面1001のみの走行面を走行する場合、牽引車両101Cと補正台車102との間に高低差が生じないので、取付部15の本体部151は傾斜せず、ほぼ垂直方向で維持される。一方、搬送車3が、図2に示すような傾斜面1002を含む走行面を走行する場合、牽引車両101Cと補正台車102との間に高低差が生じる。このとき、補正台車102に取付けられた連結部材103の一端部103aを取付けている取付部15の本体部151は生じた高低差分だけ軸16を回転中心として回転する。このように、牽引車両101Cと補正台車102との間に生じる高低差が、牽引車両101C側が高く、補正台車102側が低い場合に生じた高低差であれば、取付部15の本体部151は垂直状態から補正台車102側に回転する。一方、牽引車両101Cと補正台車102との間に生じる高低差が、牽引車両101C側が低く、補正台車102側が高い場合に生じた高低差であれば、取付部15の本体部151は垂直状態から牽引車両101C側に回転する。これにより、牽引車両101Cと補正台車102との間に生じる高低差に起因する負荷、すなわち取付部15に取付けられた連結部材103における上下方向の負荷を軽減することが可能となる。
【0064】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1、2、3 搬送車
11 車両本体
12 キャスター
13 走行部
13a 車輪
13b 駆動モータ
13c 駆動軸
14 操作パネル
15 取付部
15A 第1取付部
15B 第2取付部
21 筐体
22 固定部
22A 第1取付部
22B 第2取付部
23 底部
25 キャスター
26 着脱機構
27 フック
27a 先端部
27b 後端部
29 係止部材
30 スイッチ
1001 平面
1002 傾斜面
101、101A、101B、101C 牽引車両
102、102A 補正台車
103 連結部材
103a 一端部
103b 他端部
151 本体部
151a 上部
151b 下部
201 台車
201a 前面板
201b 底板
211 キャスター
221 係合部材
221a 前面
222 突起部
301 第1連結部材
301a 一端部
301b 他端部
302 第2連結部材
302a 一端部
302b 他端部
315 本体部
315a 上部
315b 下部
316 本体部
316a 上部
316b 下部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12