(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118628
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021683
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】村松 諭
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】
【課題】 水分が容量素子に浸入することが抑制された積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】 外部電極は、
Niと、
Snとを含み、容量素子および外部電極を、容量素子
の幅方向の寸法の1/2の長さのところで切断した、容量素子の側面と平行な断面を見たとき、外部電極は、容量素子の端面、および、当該端面の両側に繋がる主面に、C字形状に形成され、C字形状の外部電極は、第1領域と、第1領域を完全に囲んだ第2領域とを含み、第2領域は、
Snが偏在した領域であり、断面に現れた第2領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れる、
Niの面積と
Snの面積との合計に対する、
Snの面積が、90%以上であり、第1領域は、断面に現れた第1領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れる、
Niの面積と
Snの面積との合計に対する、
Snの面積が、90%未満であるものとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のセラミック層と複数の内部電極とを有し、高さ方向において相互に対向する1対の主面と、前記高さ方向に直交する長さ方向において相互に対向する1対の端面と、前記高さ方向および前記長さ方向に直交する幅方向において相互に対向する1対の側面とを有する容量素子と、
前記容量素子の表面に形成された少なくとも2つの外部電極と、を備えた積層セラミックコンデンサであって、
前記外部電極は、Niと、Snとを含み、
前記容量素子および前記外部電極を、前記容量素子の前記幅方向の寸法の1/2の長さのところで切断した、前記容量素子の前記側面と平行な断面を見たとき、
前記外部電極は、前記容量素子の前記端面、および、当該端面の両側に繋がる前記主面に、C字形状に形成され、
前記C字形状の前記外部電極は、第1領域と、前記第1領域を完全に囲んだ第2領域とを含み、
前記第2領域は、Snが偏在した領域であり、前記断面に現れた前記第2領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れた、前記Niの面積と前記Snの面積との合計に対する、前記Snの面積が、90%以上であり、
前記第1領域は、前記断面に現れた前記第1領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れた、前記Niの面積と前記Snの面積との合計に対する、前記Snの面積が、90%未満である、
積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記第2領域が、前記容量素子に接した内側領域と、前記容量素子に接していない外側領域とを含む、
請求項1に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記第2領域の前記外側領域の外表面に、少なくとも1層のめっき層が形成された、
請求項2に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記めっき層が、
Snめっき層を含む、
請求項3に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記めっき層が、
Niめっき層と、
前記Niめっき層の外表面に形成されたSnめっき層と、を含む、
請求項4に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項6】
前記断面を見たとき、前記外部電極は、
単位面積当たりにおける、前記Snの占める面積が、
外部側ほど大きく、内部側ほど小さい、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載された積層セラミックコンデンサ。
【請求項7】
積層された複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極用導電性ペースト層とを有し、高さ方向において相互に対向する1対の主面と、前記高さ方向に直交する長さ方向において相互に対向する1対の端面と、前記高さ方向および前記長さ方向に直交する幅方向において相互に対向する1対の側面とを有する未焼成容量素子を作製する工程と、
少なくとも、Ni粒子と、Sn粒子とを含む、外部電極用導電性ペーストを作製する工程と、
前記外部電極用導電性ペーストを、少なくとも、前記未焼成容量素子の前記端面、および、当該端面に繋がる前記主面および前記側面に、キャップ形状に塗布する工程と、
前記未焼成容量素子および前記外部電極用導電性ペーストを、同時に焼成する工程と、を含む積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
前記外部電極用導電性ペーストは、含有する、前記Ni粒子の重量と前記Sn粒子の重量の合計に対する、前記Sn粒子の重量が、1重量%以上、15重量%以下である、
積層セラミックコンデンサの製造方法。
【請求項8】
前記焼成の温度が、Snの溶融する温度以上であり、かつ、Niの溶融する温度未満である、
請求項7に記載された積層セラミックコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量素子の外表面に少なくとも2つの外部電極が形成された積層セラミックコンデンサに関する。また、本発明は、本発明の積層セラミックコンデンサを製造するのに適した積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサが、電子機器や電気機器に広く使用されている。特許文献1(特開2016-58719号公報)に、一般的な構造を備えた積層セラミックコンデンサが開示されている。
図5に、特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサ1000を示す。
【0003】
積層セラミックコンデンサ1000は、誘電体層101(セラミック層)と内部電極102とが積層されたセラミック素体103(容量素子)を備えている。セラミック素体103の両端部に、外部電極104が形成されている。
【0004】
外部電極104は、たとえばNi粒子などを含む導電性ペーストを焼き付けて形成した外部電極本体105と、たとえばNiなどの1層目のめっき層106と、たとえばSnなどの2層目のめっき層107とからなる多層構造に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の積層セラミックコンデンサ1000には、1層目のめっき層106や、2層目のめっき層107を形成するときに、めっき浴に含まれる水分が、外部電極本体105を経由して、セラミック素体103に浸入し、IR(絶縁抵抗)が劣化する虞があった。
【0007】
そこで本発明は、外部電極にめっき層を形成するときや、完成した製品を使用しているときに、容量素子に水分が浸入しにくい積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【0008】
なお、特許文献1の積層セラミックコンデンサ1000は、本発明とは別の手段によって、セラミック素体103(容量素子)への水分の浸入を抑制するようにしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来の課題を解決するために、本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサは、積層された複数のセラミック層と複数の内部電極とを有し、高さ方向において相互に対向する1対の主面と、高さ方向に直交する長さ方向において相互に対向する1対の端面と、高さ方向および長さ方向に直交する幅方向において相互に対向する1対の側面とを有する容量素子と、容量素子の表面に形成された少なくとも2つの外部電極と、を備えた積層セラミックコンデンサであって、外部電極は、Ni粒子と、Sn粒子とを含み、容量素子および外部電極を、容量素子の前記幅方向の寸法の1/2の長さのところで切断した、容量素子の側面と平行な断面を見たとき、外部電極は、容量素子の端面、および、当該端面の両側に繋がる主面に、C字形状に形成され、C字形状の外部電極は、第1領域と、第1領域を完全に囲んだ第2領域とを含み、第2領域は、Sn粒子が偏在した領域であり、断面に現れた第2領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れる、Ni粒子の面積とSn粒子の面積との合計に対する、Sn粒子の面積が、90%以上であり、第1領域は、断面に現れた第1領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れる、Ni粒子の面積とSn粒子の面積との合計に対する、Sn粒子の面積が、90%未満であるものとする。
【0010】
また、本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、積層された複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極用導電性ペースト層とを有し、高さ方向において相互に対向する1対の主面と、高さ方向に直交する長さ方向において相互に対向する1対の端面と、高さ方向および長さ方向に直交する幅方向において相互に対向する1対の側面とを有する未焼成容量素子を作製する工程と、少なくとも、Ni粒子と、Sn粒子とを含む、外部電極用導電性ペーストを作製する工程と、外部電極用導電性ペーストを、少なくとも、未焼成容量素子の端面、および、当該端面に繋がる主面および側面に、キャップ形状に塗布する工程と、未焼成容量素子および外部電極用導電性ペーストを、同時に焼成する工程と、を含む積層セラミックコンデンサの製造方法であって、外部電極用導電性ペーストは、含有する、Ni粒子の重量とSn粒子の重量の合計に対する、Sn粒子の重量が、1~15重量%であるものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサは、外部電極の外表面にめっき層を形成するときや、完成した製品を使用しているときに、水分が容量素子に浸入することが抑制されている。
【0012】
また、本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサは、外部電極の外表面に現れる第2領域に、はんだ濡れ性に優れたSnが偏在しているため、外部電極の外表面にめっき層を形成しなくても、そのまま、使用することができる。すなわち、外部電極の外表面にめっき層を形成しなくても、外部電極を、基板の実装用電極などに、たとえば、リフローはんだによって接合することができる。
【0013】
本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、高い生産性で、本発明の積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】積層セラミックコンデンサ100の斜視図である。
【
図2】積層セラミックコンデンサ100の断面図である。
【
図3】
図3(A)~(B)は、それぞれ、積層セラミックコンデンサ100の製造方法の一例における工程を示す断面図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサ200の断面図である。
【
図5】従来の積層セラミックコンデンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0017】
[第1実施形態]
図1、
図2に、第1実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ100を示す。ただし、
図1は、積層セラミックコンデンサ100の斜視図である。
図2は、積層セラミックコンデンサ100の断面図である。
【0018】
図中に積層セラミックコンデンサ100の高さ方向T、長さ方向L、幅方向Wを示しており、以下の説明において、これらの方向に言及する場合がある。なお、本実施形態においては、後述するセラミック層1aの積層方向を、積層セラミックコンデンサ100の高さ方向Tと定義している。
【0019】
積層セラミックコンデンサ100は、直方体形状からなる容量素子1を備えている。容量素子1は、高さ方向Tにおいて相互に対向する1対の主面1A、1Bと、高さ方向Tに直行する長さ方向Lにおいて相互に対向する1対の端面1C、1Dと、高さ方向Tおよび長さ方向Lの両方に直行する幅方向Wにおいて相互に対向する1対の側面1E、1Fを有している。
【0020】
上述した
図2の断面図は、
図1に一点鎖線矢印X-Xで示すように、容量素子1の幅方向Wの寸法の1/2の長さのところで切断した、容量素子1の側面1E、1Fと平行な、積層セラミックコンデンサ100の断面図である。なお、この断面を、第1断面と呼ぶ場合がある。
【0021】
積層セラミックコンデンサ100の寸法は任意である。ただし、高さ方向Tの寸法は、たとえば、0.1mm~2.5mm程度とすることができる。長さ方向Lの寸法は、たとえば、0.1mm~3.2mm程度とすることができる。幅方向Wの寸法は、たとえば、0.1mm~2.5mm程度とすることができる。
【0022】
容量素子1は、複数のセラミック層1aと複数の内部電極2、3が積層されたものからなる。
【0023】
容量素子1(セラミック層1a)の材質は任意であるが、たとえば、BaTiO3を主成分とする誘電体セラミックスを使用することができる。ただし、BaTiO3に代えて、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3など、他の材質を主成分とする誘電体セラミックスを使用してもよい。
【0024】
セラミック層1aの厚さは任意であるが、たとえば、内部電極2、3が形成された容量形成の実効領域において、0.3μm~2.0μm程度とすることができる。
【0025】
セラミック層1aの層数は任意であるが、たとえば、内部電極2、3が形成された容量形成の実効領域において、1層~6000層とすることができる。
【0026】
容量素子1の上下両側に、内部電極2、3が形成されず、セラミック層1aのみで構成された外層(保護層)が設けられている。外層の厚さは任意であるが、たとえば、15μm~150μmとすることができる。なお、外層領域のセラミック層1aの厚さは、内部電極2、3が形成されている容量形成の実効領域のセラミック層1aの厚さよりも大きくしてもよい(ただし、
図2においては、外層領域と実効領域とにおいてセラミック層1aの厚さを同じ厚さに示している)。また、外層領域のセラミック層1aの材質は、実効領域のセラミック層1aの材質と異なっていてもよい。
【0027】
内部電極2、3の主成分の材質は任意であるが、本実施形態においては、Niを使用した。ただし、Niに代えて、Cu、Ag、Pd、Auなど、他の金属を使用してもよい。また、NiやCu、Ag、Pd、Auなどは、他の金属との合金であってもよい。
【0028】
内部電極2、3の厚さは任意であるが、たとえば、0.3μm~1.5μm程度とすることができる。
【0029】
内部電極2、3と、容量素子1の側面1E、1Fとの間のギャップ寸法は任意であるが、たとえば、10μm~200μm程度とすることができる。また、内部電極3と、容量素子1の端面1C、1Dとの間のギャップ寸法は任意であるが、たとえば、0.5μm~300μm程度とすることができる。
【0030】
容量素子1の外表面に、外部電極4、5が形成されている。
【0031】
外部電極4は、容量素子1の端面1Cに形成されている。外部電極4は、キャップ形状に形成されており、縁の部分が、容量素子1の端面1Cから、主面1A、1B、側面1E、1Fに延出して形成されている。
【0032】
外部電極5は、容量素子1の端面1Dに形成されている。外部電極5は、キャップ形状に形成されており、縁の部分が、容量素子1の端面1Dから、主面1A、1B、側面1E、1Fに延出して形成されている。
【0033】
積層セラミックコンデンサ100においては、容量素子1の端面1Cに引出された内部電極2が、外部電極4に接続されている。容量素子1の端面1Dに引出された内部電極2が、外部電極5に接続されている。
【0034】
外部電極4と外部電極5とは、同じ構造をしている。
【0035】
図2に示す積層セラミックコンデンサ100の第1断面を見たとき、外部電極4、5は、それぞれ、アルファベットのC字形状をしている。また、外部電極4、5は、それぞれ、アルファベッドのU字形状をしていると言うこともできる。また、外部電極4、5は、それぞれ、日本語のカタカナ文字のコ字形状をしていると言うこともできる。
【0036】
図2の第1断面において、外部電極4、5は、それぞれ、第1領域6と、第2領域7とを含んでいる。本実施形態においては、第2領域7が、第1領域6を、完全に囲っている。
【0037】
第2領域7は、容量素子1に接した内側領域7aと、容量素子1に接していない外側領域7bとを含んでいる。
【0038】
第1領域6および第2領域7は、いずれも、NiとSnとを含んでいる。ただし、第2領域7は、Snが偏在した領域であり、第1断面に現れた第2領域7から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れた、Niの面積とSnの面積との合計に対する、Snの面積は、90%以上である。一方、第1領域は、第1断面に現れた第1領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れた、Niの面積とSnの面積との合計に対する、Snの面積は、90%未満である。なお、Niの面積やSnの面積は、走査電子顕微鏡での組成分析における、各原子の検出比率から算出して測定する。
【0039】
第1領域6と第2領域7との境界が不明瞭な場合が考えられるが、そのような場合においても、積層セラミックコンデンサ100は、第2領域7が第1領域6を完全に囲っている。
【0040】
また、別の観点でとらえると、第1断面に現れた外部電極4、5は、単位面積当たりにおけるSnの占める面積が、外部側(容量素子1に接している側、または/および、大気に接している側)ほど大きく、内部側ほど小さい。
【0041】
外部電極4、5の厚さは任意であるが、たとえば、5μm~150μm程度とすることができる。また、第1領域6の厚さ、および、第2領域7の厚さ(内側領域7aの厚さ、または/および、外側領域7bの厚さ)も、それぞれ、任意である。ただし、外部電極4、5を作製する外部電極用導電性ペーストにはNi粒子とSn粒子とが含有されるが、出発原料において、含有されるNi粒子の重量とSn粒子の重量の合計に対する、Sn粒子の重量の割合が高くなるほど、第2領域7の厚さ(内側領域7aの厚さ、または/および、外側領域7bの厚さ)は大きくなる。
【0042】
以上の構造からなる本実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ100は、外部電極4、5の外表面に現れる第2領域7(外側領域7b)に、はんだ濡れ性に優れたSnが偏在しているため、外部電極4、5の外表面にめっき層を形成しなくても、そのまま、使用することができる。すなわち、外部電極4、5の外表面にめっき層を形成しなくても、十分にはんだ濡れ性を備えるため、外部電極4、5を、基板の実装用電極など(図示せず)に、たとえば、リフローはんだによって接合することができる。
【0043】
この場合、積層セラミックコンデンサ100は、外部電極4、5にめっき層を形成しない分だけ、全体の寸法を小さくでき、または/および、静電容量を大きくすることができる。すなわち、一般的に、電子部品の寸法は、めっき層を含んだ外部電極の寸法を含めて規定されるが、(a)静電容量が一定であれば、外部電極4、5にめっき層を形成しない分だけ、全体の寸法を小さくでき、(b)全体の寸法が一定であれば、外部電極4、5にめっき層を形成しない分だけ、容量素子1の寸法を大きくして、静電容量を大きくすることができる。
【0044】
また、積層セラミックコンデンサ100は、外部電極4、5に、1層、または、複数層のめっき層を形成したうえで使用することができる。たとえば、外部電極4、5の第2領域7の外側領域7bの外表面に、Snめっき層を形成して使用することができる。あるいは、外部電極4、5の第2領域7の外側領域7bの外表面に、1層目にSnめっき層を形成し、2層目にSnめっき層を形成して使用することができる。なお、めっき層の層数や材質は、これらには限られず、種々、変更することができる。
【0045】
積層セラミックコンデンサ100は、外部電極4、5にめっき層を形成するときに、水分が容量素子1に浸入することが抑制されている。この効果については、後述する(耐湿負荷試験)において詳しく説明するが、外部電極4、5の第2領域7のSnが偏在している内側領域7aが、容量素子1への水分の浸入の抑制に大きく寄与しているものと考えられる。なお、第2領域7にSnが偏在している程度については、Niの面積とSnの面積との合計に対する、Snの面積が、90%以上であることが、必要かつ十分な条件であると考えられる。
【0046】
(積層セラミックコンデンサ100の製造方法の一例)
第1実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ100の製造方法の一例を、
図3(A)~(C)を参照して説明する。
【0047】
なお、実際の積層セラミックコンデンサの製造ラインにおいては、マザーセラミックグリーンシートを使用し、多数の積層セラミックコンデンサを一括して製造することが一般的であるが、ここでは説明の便宜上、1つの積層セラマックコンデンサを製造する場合を例にして説明する。
【0048】
まず、
図5(A)に示す、未焼成容量素子11を作製する。
【0049】
図示は省略するが、誘電体セラミックスの粉末、バインダー樹脂、溶剤などを用意し、これらを湿式混合してセラミックスラリーを作製する。
【0050】
次に、キャリアフィルム上に、セラミックスラリーをダイコータ、グラビアコーター、マイクログラビアコーターなどを用いてシート状に塗布し、乾燥させて、セラミックグリーンシート12を作製する。
【0051】
次に、所定のセラミックグリーンシート12の主面に、内部電極2、3を形成するために、予め用意した内部電極用導電性ペーストを所望のパターン形状に塗布(たとえば印刷)して、内部電極用導電性ペースト層13を形成する。ただし、外層となるセラミックグリーンシート12には、内部電極用導電性ペーストは塗布しない。なお、内部電極用導電性ペーストには、たとえば、金属粒子(Ni粒子など)、バインダー樹脂、溶剤などを混合したものを使用することができる。
【0052】
次に、セラミックグリーンシート12を所定の順番に積層し、加熱圧着して一体化させ、
図5(A)に示す、未焼成容量素子11を作製する。
【0053】
次に、外部電極用導電性ペーストを作製する。外部電極用導電性ペーストは、Ni粒子とSn粒子とを含む。外部電極用導電性ペーストは、さらに、たとえば、バインダー樹脂、溶剤などを含む。外部電極用導電性ペーストは、ガラス成分を含んでもよい。これらの材料を混合して、外部電極用導電性ペーストを作成する。Ni粒子およびSn粒子と、バインダー樹脂と、溶剤などとの配合比率は、適宜、選定することができる。
【0054】
ただし、本実施形態における外部電極用導電性ペーストは、重量において、Ni粒子よりもSn粒子を多く含んでいる。具体的には、外部電極用導電性ペーストは、Ni粒子の重量とSn粒子の重量の合計を100重量%としたとき、Sn粒子を1~15重量%含んでいる。これは、
図2に示した第1断面において、第2領域7が、第1領域6を、完全に囲うようにするためである。すなわち、外部電極用導電性ペーストにおいて、Sn粒子の量が不足すると、Snが偏在する第2領域7の形成が不十分になるからである。たとえば、Sn粒子が不足すると、第2領域7として、外側領域7bが形成されても、内側領域7aが不完全に形成されたり、内側領域7aが形成されなかったりする場合があるからである。内側領域7aが不完全に形成されるとは、内側領域7aが、連続的に形成されず、断続的に形成されるような場合である。
【0055】
次に、
図5(B)に示すように、未焼成容量素子11の端面1Cを含む端部、および、端面1Dを含む端部に、それぞれ、外部電極用導電性ペースト14をキャップ状に塗布する。
【0056】
次に、未焼成容量素子11(セラミックグリーンシート12、内部電極用導電性ペースト層13)と、外部電極用導電性ペースト14とを同時に焼成する。この結果、
図5(C)に示すように、セラミックグリーンシート12は容量素子1になり、内部電極用導電性ペースト層13は内部電極2、3になり、外部電極用導電性ペースト14は外部電極4、5になる。
【0057】
なお、外部電極4、5は、第1断面を見たとき、それぞれ、アルファベットのC字形状をしている。また、外部電極4、5は、第1断面を見たとき、第1領域6と第2領域7とを含み、第2領域7が第1領域6を完全に囲っている。Snが偏在した第2領域7は、焼成のときに、外部電極用導電性ペースト14に含まれるSnが溶融し、外部電極4、5の外部側(容量素子1に接している側、および、大気に接している側)に偏析して形成されたものである。本実施形態の積層セラミックコンデンサ100においては、第2領域7が良好に形成され、第2領域7は容量素子1に接した内側領域7aと容量素子1に接していない外側領域7bとを含み、第2領域7が内側領域7aと外側領域7bとで第1領域6を完全に囲っている。
【0058】
なお、第2領域7を良好に形成するためには、外部電極用導電性ペーストが、Ni粒子の重量とSn粒子の重量の合計を100重量%としたとき、Sn粒子を1~15重量%含むことが好ましい。また、未焼成容量素子11(セラミックグリーンシート12、内部電極用導電性ペースト層13)と外部電極用導電性ペースト14とを同時焼成する温度は、Snの融点する温度である約232℃以上、Niの溶融する温度である約1455℃未満であることが好ましい。以上の2つの条件を満たせば、Sn粒子が不足せず、かつ、Ni粒子とSn粒子との合金化も抑制され、良好に第2領域7が形成される。なお、Ni粒子とSn粒子との合金化が進んでしまうと、外部電極4、5の容量素子1と接する領域にSn粒子が偏在せず、内側領域7aが形成されなくなる。
【0059】
以上により、第1実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ100が完成する。
【0060】
(耐湿負荷試験)
本発明の有効性を確認するために、以下の耐湿負荷試験をおこなった。
【0061】
まず、第1実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ100を作製し、実施例にかかる試料とした。実施例にかかる試料の作製に使用した外部電極用導電性ペーストは、Ni粒子の重量とSn粒子の重量の合計を100重量%としたとき、Sn粒子を15重量%含んでいる。実施例にかかる試料の作成個数は、100個とした。
【0062】
また、比較のために、積層セラミックコンデンサ100の構成の一部に変更を加えた積層セラミックコンデンサを作製し、比較例にかかる試料とした。比較例にかかる試料の作製には、積層セラミックコンデンサ100の作製に使ったものよりも、Sn粒子の含有量が少ない外部電極用導電性ペーストを使用した。具体的には、比較例にかかる試料の作製には、Ni粒子の重量とSn粒子の重量の合計を100重量%としたとき、Sn粒子を30重量%含む外部電極用導電性ペーストを使用した。実施例にかかる試料の作成個数は、101個とした。
【0063】
作製した比較例にかかる試料の積層セラミックコンデンサを、1個、第1断面と同じ部分で切断し、外部電極の断面の状態を調べた。比較例にかかる試料では、外部電極に、第1領域は形成されていた。しかしながら、Snが偏在した領域である第2領域については、容量素子に接していない外側領域は形成されていたが、容量素子に接した内側領域は不完全にしか形成されていなかった。具体的には、内側領域は、部分的に、しかも小さな厚みで、不連続にしか形成されていなかった。この結果、比較例にかかる試料の積層セラミックコンデンサでは、第2領域が第1領域を完全には囲っていなかった。
【0064】
次に、実施例にかかる試料と比較例にかかる試料とを、各100個ずつ、共晶半田を用いてガラスエポキシ基板に実装した。続いて、各試料の絶縁抵抗値を測定した。
【0065】
次に、ガラスエポキシ基板を高温高湿槽内に入れ、125℃、相対湿度95%RHの環境下において、各試料に対して、3.2Vの電圧を72時間印加した。続いて、耐湿負荷試験後の各試料の絶縁抵抗値を測定した。
【0066】
各試料において、耐湿負荷試験の前後において、1桁以上、絶縁抵抗値が低下したものを不良としてカウントした。その結果、実施例にかかる試料においては、100個のうち、不良と判定されたものは0個であった。一方、比較例にかかる試料においては、100個のうち、10個が不良と判定された。
【0067】
以上の耐湿負荷試験により、本発明の有効性が確認できた。すなわち、積層セラミックコンデンサ100において、外部電極4、5の第2領域7の内側領域7aが、外部電極4、5の外表面にめっき層を形成するときや、完成した製品を使用するときなどに、容量素子1に水分が浸入するのを抑制するのに大きく寄与していることが確認できた。
【0068】
[第2実施形態]
図5に、第2実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ200を示す。ただし、
図5は、積層セラミックコンデンサ200の断面図である。より具体的には、
図5は、積層セラミックコンデンサ200を容量素子1の幅方向Wの寸法の1/2の長さのところで切断した、容量素子1の側面1E、1Fと平行な断面を示している。なお、この断面を、第2断面と呼ぶ場合がある。
【0069】
第2実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ200は、上述した第1実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ100に、新たな構成を追加した。具体的には、積層セラミックコンデンサ100は、外部電極4、5の外表面にめっき層は形成されていなかった。これに対し、積層セラミックコンデンサ200は、外部電極4、5の外表面に、第1層目としてNiめっき層8が形成され、第2層目としてSnめっき層9が形成されている。積層セラミックコンデンサ200の他の構成は、積層セラミックコンデンサ100と同じにした。
【0070】
なお、積層セラミックコンデンサ200も、第2断面を見たとき、外部電極4、5において、Snが偏在した領域である第2領域7が、第1領域6を完全に囲っている。
【0071】
積層セラミックコンデンサ200は、Niめっき層8やSnめっき層9を形成するときや、完成した製品を使用するときなどに、外部電極4、5の第2領域7(特に内側領域7a)によって、水分が容量素子1の内部に浸入することが抑制されている。
【0072】
以上、実施形態にかかる積層セラミックコンデンサについて説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って種々の変更を加えることができる。
【0073】
たとえば、上記実施形態では、積層セラミックコンデンサが2つ外部電極を備えていたが、外部電極の個数を増やし、3端子型などの積層セラミックコンデンサにしてもよい。
【0074】
本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサは、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0075】
この積層セラミックコンデンサにおいて、第2領域が、容量素子に接した内側領域と、容量素子に接していない外側領域とを含むことも好ましい。この場合には、内側領域によって、積層セラミックコンデンサの耐湿性を向上させることができる。また、外側領域によって、外部電極のはんだ濡れ性を向上させることができる。
【0076】
第2領域の外側領域の外表面に、少なくとも1層のめっき層が形成されることも好ましい。この場合において、めっき層がSnめっき層を含むものとすることができる。さらに、めっき層が、Niめっき層と、Niめっき層の外表面に形成されたSnめっき層とを含むものとすることができる。
【0077】
また、断面を見たとき、外部電極は、単位面積当たりにおける、Snの占める面積が、外部側ほど大きく、内部側ほど小さいことも好ましい。この場合も、水分が容量素子に浸入することを抑制することができる。
【0078】
本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0079】
この積層セラミックコンデンサの製造方法において、焼成の温度が、Snの溶融する温度以上であり、かつ、Niの溶融する温度未満であることも好ましい。この場合には、外部電極に、良好に第2領域を形成することができる。
【符号の説明】
【0080】
1・・・容量素子
1a・・・セラミック層
2、3・・・内部電極
4、5・・・外部電極
6・・・第1領域
7・・・第2領域
7a・・・内側領域
7b・・・外側領域
8・・・Niめっき層
9・・・Snめっき層
【手続補正書】
【提出日】2023-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上述した従来の課題を解決するために、本発明の一実施態様にかかる積層セラミックコンデンサは、積層された複数のセラミック層と複数の内部電極とを有し、高さ方向において相互に対向する1対の主面と、高さ方向に直交する長さ方向において相互に対向する1対の端面と、高さ方向および長さ方向に直交する幅方向において相互に対向する1対の側面とを有する容量素子と、容量素子の表面に形成された少なくとも2つの外部電極と、を備えた積層セラミックコンデンサであって、外部電極は、Niと、Snとを含み、容量素子および外部電極を、容量素子の幅方向の寸法の1/2の長さのところで切断した、容量素子の側面と平行な断面を見たとき、外部電極は、容量素子の端面、および、当該端面の両側に繋がる主面に、C字形状に形成され、C字形状の外部電極は、第1領域と、第1領域を完全に囲んだ第2領域とを含み、第2領域は、Snが偏在した領域であり、断面に現れた第2領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れる、Niの面積とSnの面積との合計に対する、Snの面積が、90%以上であり、第1領域は、断面に現れた第1領域から任意に10μm×10μmの正方形の測定領域を選んだとき、当該測定領域に現れる、Niの面積とSnの面積との合計に対する、Snの面積が、90%未満であるものとする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
【
図1】積層セラミックコンデンサ100の斜視図である。
【
図2】積層セラミックコンデンサ100の断面図である。
【
図3】
図3(A)~
(C)は、それぞれ、積層セラミックコンデンサ100の製造方法の一例における工程を示す断面図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサ200の断面図である。
【
図5】従来の積層セラミックコンデンサの断面図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
積層セラミックコンデンサ100は、直方体形状からなる容量素子1を備えている。容量素子1は、高さ方向Tにおいて相互に対向する1対の主面1A、1Bと、高さ方向Tに直交する長さ方向Lにおいて相互に対向する1対の端面1C、1Dと、高さ方向Tおよび長さ方向Lの両方に直交する幅方向Wにおいて相互に対向する1対の側面1E、1Fを有している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
また、積層セラミックコンデンサ100は、外部電極4、5に、1層、または、複数層のめっき層を形成したうえで使用することができる。たとえば、外部電極4、5の第2領域7の外側領域7bの外表面に、Snめっき層を形成して使用することができる。あるいは、外部電極4、5の第2領域7の外側領域7bの外表面に、1層目にNiめっき層を形成し、2層目にSnめっき層を形成して使用することができる。なお、めっき層の層数や材質は、これらには限られず、種々、変更することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
まず、
図3(A)に示す、未焼成容量素子11を作製する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
次に、セラミックグリーンシート12を所定の順番に積層し、加熱圧着して一体化させ、
図3(A)に示す、未焼成容量素子11を作製する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
次に、
図3(B)に示すように、未焼成容量素子11の端面1Cを含む端部、および、端面1Dを含む端部に、それぞれ、外部電極用導電性ペースト14をキャップ状に塗布する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
次に、未焼成容量素子11(セラミックグリーンシート12、内部電極用導電性ペースト層13)と、外部電極用導電性ペースト14とを同時に焼成する。この結果、
図3(C)に示すように、セラミックグリーンシート12は容量素子1になり、内部電極用導電性ペースト層13は内部電極2、3になり、外部電極用導電性ペースト14は外部電極4、5になる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
なお、第2領域7を良好に形成するためには、外部電極用導電性ペーストが、Ni粒子の重量とSn粒子の重量の合計を100重量%としたとき、Sn粒子を1~15重量%含むことが好ましい。また、未焼成容量素子11(セラミックグリーンシート12、内部電極用導電性ペースト層13)と外部電極用導電性ペースト14とを同時焼成する温度は、Snの溶融する温度である約232℃以上、Niの溶融する温度である約1455℃未満であることが好ましい。以上の2つの条件を満たせば、Sn粒子が不足せず、かつ、Ni粒子とSn粒子との合金化も抑制され、良好に第2領域7が形成される。なお、Ni粒子とSn粒子との合金化が進んでしまうと、外部電極4、5の容量素子1と接する領域にSn粒子が偏在せず、内側領域7aが形成されなくなる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
また、比較のために、積層セラミックコンデンサ100の構成の一部に変更を加えた積層セラミックコンデンサを作製し、比較例にかかる試料とした。比較例にかかる試料の作製には、積層セラミックコンデンサ100の作製に使ったものよりも、Sn粒子の含有量が多い外部電極用導電性ペーストを使用した。具体的には、比較例にかかる試料の作製には、Ni粒子の重量とSn粒子の重量の合計を100重量%としたとき、Sn粒子を30重量%含む外部電極用導電性ペーストを使用した。比較例にかかる試料の作成個数は、101個とした。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
[第2実施形態]
図4に、第2実施形態にかかる積層セラミックコンデンサ200を示す。ただし、
図4は、積層セラミックコンデンサ200の断面図である。より具体的には、
図4は、積層セラミックコンデンサ200を容量素子1の幅方向Wの寸法の1/2の長さのところで切断した、容量素子1の側面1E、1Fと平行な断面を示している。なお、この断面を、第2断面と呼ぶ場合がある。