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▶ 宮丸 美柚の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118633
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】包丁安全器具
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/28 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
A47J43/28
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022033905
(22)【出願日】2022-02-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】522085895
【氏名又は名称】宮丸 美柚
(72)【発明者】
【氏名】宮丸 美柚
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA15
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】操作性を高めた使い勝手の良い包丁安全器具を提供する。
【解決手段】使用者が包丁を用いて食材を切断する際に使用可能な包丁安全器具100であって、包丁の切断方向の移動を案内する板状部材から成るガイド部2と、ガイド部2に固定されており、使用者が把持可能な持ち手部1と、持ち手部1とは反対側でガイド部2に接続された透明の素材から成り、包丁の持ち上げ移動を規制する規制部3と、を備え、持ち手部1は、使用者の手のひらに沿って湾曲し、且つ、使用者の指を挿入可能な複数の穴10が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が包丁を用いて食材を切断する際に使用可能な包丁安全器具であって、
前記包丁の切断方向の移動を案内する板状部材から成るガイド部と、
前記ガイド部に固定されており、前記使用者が把持可能な持ち手部と、
前記持ち手部とは反対側で前記ガイド部に接続された透明の素材から成り、前記包丁の持ち上げ移動を規制する規制部と、を備え、
前記持ち手部は、前記使用者の手のひらに沿って湾曲し、且つ、前記使用者の指を挿入可能な複数の穴が設けられていることを特徴とする包丁安全器具。
【請求項2】
前記規制部は、前記ガイド部に取り付け可能な突起を有することを特徴とした請求項1に記載の包丁安全器具。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記規制部を着脱することにより前記規制部の高さを調整可能な複数の高さ調整用穴が設けられていることを特徴とした請求項1又は2に記載の包丁安全器具。
【請求項4】
前記持ち手部の一端部と前記持ち手部の他端部に接続された前記ガイド部の端部とは、前記食材に沿って湾曲状に変形可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の包丁安全器具。
【請求項5】
前記規制部は、前記包丁を通過させることが可能な挿入機構を有しており、
前記挿入機構は、前記包丁を上から通過させたときに移動した後、元の位置に戻る移動部材を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の包丁安全器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が包丁を用いて食材を切断する際に使用可能な包丁安全器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小さな子供等の使用者が包丁を用いて食材を切断するときに、手の指を保護しながら包丁の使い方を練習できる包丁安全器具が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1に記載の包丁安全器具(文献では包丁補助具)は、包丁ガード前面板と包丁ガード後面板と、包丁ガード後面板に固定された持ち手とを備えている。包丁ガード前面板と包丁ガード後面板との隙間に包丁を差し込んで食材を切断する。
【0004】
特許文献2に記載の包丁安全器具(文献では包丁支持具)は、全体が屈曲した1本の棒体から成り、包丁押え部と包丁当接部と食材押え部と把持部とを備えている。包丁押え部と包丁当接部との間には、包丁を差し込んで食材を切断するためのガイドスリットが設けられている。
【0005】
特許文献3に記載の包丁安全器具(文献では包丁練習器具)は、包丁の切断方向の動きを規制するガイドプレートと、包丁の前後方向の移動を規制するガイドクリップと、使用者が把持するグリップとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-109902号公報
【特許文献2】特開2019-126484号公報
【特許文献3】特開2013-223555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の包丁安全器具は、包丁を差し込む際、わずかな隙間に差し込む必要があるため手間がかかってしまい、持ち手が主に指の部分を固定していたため、安定せず操作することが難しかった。このように、従来の包丁安全器具は、使い勝手が悪いものであった。
【0008】
そこで本発明は、操作性を高めた使い勝手の良い包丁安全器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る包丁安全器具の特徴構成は、使用者が包丁を用いて食材を切断する際に使用可能な包丁安全器具であって、前記包丁の切断方向の移動を案内する板状部材から成るガイド部と、前記ガイド部に固定されており、前記使用者が把持可能な持ち手部と、前記持ち手部とは反対側で前記ガイド部に接続された透明の素材から成り、前記包丁の持ち上げ移動を規制する規制部と、を備え、前記持ち手部は、前記使用者の手のひらに沿って湾曲し、且つ、前記使用者の指を挿入可能な複数の穴が設けられている点にある。
【0010】
本構成の包丁安全器具は、食材をガイド部の下側に配置した状態で包丁をガイド部に沿って上下移動させて食材を切断する。このとき、ガイド部に固定された持ち手部を使用者が把持しながら、包丁の切断方向に沿った持ち上げ移動が規制部によって規制される。本構成の規制部は、持ち手部とは反対側でガイド部に接続された透明の素材であることから、ガイド部により包丁が手に当たることがなく、透明な規制部から包丁の上下移動を覗きながら包丁操作を練習できる。このように、操作性の高い包丁安全器具となっている。
【0011】
特に、本構成の持ち手部は、使用者の手のひらに沿って湾曲し、且つ、使用者の指を挿入可能な複数の穴が設けられている。つまり、持ち手部が、指を複数の穴に挿入した状態で、手のひらまで固定することが可能な湾曲構造となっているため、包丁安全器具の姿勢が安定し、子供でも簡単に操作することができる。切断されて残った食材はサイズや形状が様々であることから、このような持ち手部の構造により、包丁安全器具が傾いた場合でも手から離れずに使い勝手が良い。
【0012】
このように、本構成の包丁安全器具は、操作性を高めた使い勝手の良いものである。
【0013】
他の特徴構成は、前記規制部は、前記ガイド部に取り付け可能な突起を有する点にある。
【0014】
本構成のように、規制部がガイド部に取り付け可能な突起を有していれば、取り付けが簡単で、製造コストを抑えることができる。
【0015】
他の特徴構成は、前記ガイド部は、前記規制部を着脱することにより前記規制部の高さを調整可能な複数の高さ調整用穴が設けられている点にある。
【0016】
本構成のように、ガイド部に高さ調整用穴を設けていれば、包丁を使用する使用者の上達程度に合わせて規制部の高さを変更し、最終的に規制部が無くても包丁を操作することができるようになる。
【0017】
他の特徴構成は、前記持ち手部の一端部と前記持ち手部の他端部に接続された前記ガイド部の端部とは、前記食材に沿って湾曲状に変形可能である点にある。
【0018】
本構成では、持ち手部の一端部とガイド部の端部とを食材に沿って湾曲状に変形可能にしているため、食材に沿って包丁安全器具の形状が変形し、食材の上でも安定して操作することができる。
【0019】
他の特徴構成は、前記規制部は、前記包丁を通過させることが可能な挿入機構を有しており、前記挿入機構は、前記包丁を上から通過させたときに移動した後、元の位置に戻る移動部材を有している点にある。
【0020】
本構成の規制部には、包丁を通過させることが可能な挿入機構を設け、この挿入機構が包丁を上から通過させたときに移動した後、元の位置に戻る移動部材を有している。このため、食材の上に包丁安全器具をセットした状態で包丁を上から簡単に挿入する事が可能となり、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態にかかる包丁安全器具を上から見た斜視図である。
図2】本実施形態にかかる包丁安全器具を下から見た斜視図である。
図3】本実施形態にかかる包丁安全器具の使用状態を示す図である。
図4】本実施形態にかかる包丁安全器具の変形状態を示す図である。
図5】その他の実施形態(1)にかかる包丁安全器具を上から見た斜視図である。
図6】その他の実施形態(2)にかかる包丁安全器具を上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明に係る包丁安全器具の実施形態について、図面を参照して説明する。図1図4に示す本実施形態にかかる包丁安全器具100は、使用者Uが包丁Kを用いて食材Fを切断するときに使用可能である。包丁安全器具100は、持ち手部1とガイド部2と規制部3とを備えている。
【0023】
〔ガイド部の構成〕
図1及び図3に示すように、ガイド部2は、持ち手部1及び規制部3を支持する樹脂等の硬質材料で形成されている。ガイド部2は、包丁Kの切断方向Cの移動を案内する板状部材から成り、包丁Kと接触する平坦なガイド面21を有している。このガイド部2には、規制部3を着脱することにより規制部3の高さを調整可能な複数(本実施形態では8つ)の高さ調整用穴4が設けられている。この高さ調整用穴4は、上下に長い非対称の楕円形状となっている。また、ガイド部2のガイド面21には、複数の高さ調整用穴4の並列方向に沿ってガイド溝21aが形成されており、後述する規制部3の突起31をガイド溝21aに沿って移動させることで、規制部3の位置変更が案内される。なお、図3に示すように、高さ調整用穴4を省略して、規制部3の高さが所定位置となるように、規制部3をガイド部2と固定又は一体形成してもよい。
【0024】
ガイド部2には、ガイド面21とは反対側の面に持ち手部1が接着,ボルト締結等で固定されている。持ち手部1の自由端となる一端部5aとは反対側の他端部に接続されたガイド部2の端部5bは、食材Fに沿って湾曲状に変形可能な弾力性のある材料(ゴム,シリコン等)で形成されている。食材Fをガイド部2の下側に配置した状態で包丁Kをガイド部2(ガイド面21)に沿って上下移動させて食材Fを切断することができる。
【0025】
〔持ち手部の構成〕
持ち手部1は、ガイド部2に固定されており、使用者Uの手の平に沿って湾曲し、且つ、使用者Uの指を挿入可能な複数(本実施形態では4つ)の穴10が設けられている。本実施形態における持ち手部1は、中央領域が樹脂等の硬質材料で形成されており、両端部が弾力性のある材料(ゴム,シリコン等)で形成されている。図4に示すように、持ち手部1の一端部5aとガイド部2の端部5bとは、食材Fに沿って湾曲状に変形可能であり、外力が無い状態で湾曲形状(図4の破線)となっており、外力がかかると外側に開き変形する(図4の実線)。なお、複数の穴10は2つ以上あればよいが、4つあれば親指のみ持ち手部1の背面に添わせて、使用者Uの指が自然と猫の手となる。
【0026】
このように、持ち手部1が、使用者Uの指を複数の穴10に挿入した状態で、手のひらまで固定することが可能な湾曲構造となっているため、自然と猫の手となって子供でもしっかり持つことができる。その結果、包丁安全器具100の姿勢が安定し、子供でも簡単に操作することができる。切断されて残った食材Fはサイズや形状が様々であることから、このような持ち手部1の構造により、包丁安全器具100が傾いた場合でも手から離れず、自分で包丁安全器具100の角度を調整することができるため、使い勝手が良い。
【0027】
〔規制部の構成〕
規制部3は、持ち手部1とは反対側でガイド部2(ガイド面21)に接続された透明の素材で形成されている。透明な素材としては、樹脂材料やガラス材料等が挙げられる。また、規制部3は、ガイド部2に取り付け可能な複数(本実施形態では2つ)の突起31を有している。図1図4に示すように、本実施形態の突起31は、高さ調整用穴4の長手方向から挿入した後、高さ調整用穴4の短手方向に90度回転させることにより、規制部3がガイド部2に取り付けられる。このように、ガイド部2に高さ調整用穴4を設けることで、使用者Uが包丁Kを使用する上達程度に合わせて規制部3の高さを変更し、最終的に規制部3が無くても包丁Kを操作することができるようになる。
【0028】
図3に示すように、規制部3は、包丁Kの持ち上げ移動を規制する平面視半円形状で構成されている。なお、規制部3は、矩形状でもよいし、突起31は、フック形状や凹凸形状でもよい。また、規制部3のガイド部2に対する着脱構造は、ボルト,ナット固定やフック係止でもよいし、規制部3を省略してもよい。
【0029】
食材Fを切断するとき、ガイド部2に固定された持ち手部1を使用者Uが把持しながら、包丁Kの切断方向Cの沿った持ち上げ移動が規制部3によって規制される。本実施形態の規制部3は、持ち手部1とは反対側でガイド部2に接続された透明の素材であることから、ガイド部2により包丁Kが手に当たることがなく、透明な規制部3から包丁Kの上下移動を覗きながら包丁操作を練習できる。このように、操作性の高い包丁安全器具100となっている。
【0030】
〔固定部の構成〕
図2及び図3に示すように、持ち手部1の一端部5aとガイド部2の端部5bとに、食材Fに沿って湾曲状に変形可能な固定部5が形成されている。図2及び図4に示すように、固定部5は、持ち手部1の一端部5aと持ち手部1の他端部に接続されたガイド部2の端部5bとは、弾力性のあるゴム素材となっている。このため、食材Fに沿って湾曲状に変形可能である。固定部5の材料は、ゴム以外にシリコン、スポンジでもよい。
【0031】
〔挿入機構の構成〕
図1に示すように、挿入機構6は、規制部3にあり、包丁Kを上から通過させたときに移動した後、元の位置に戻る移動部材62を有している。本実施形態における挿入機構6は、規制部3のガイド部2側に設けられたスリット61と、スリット61の一対の内壁に固定された弾力性のあるゴム素材等の一対の移動部材62とで構成されている。なお、挿入機構6を省略して、包丁Kを規制部3の横から挿入してもよい。
【0032】
一対の移動部材62は、上からの包丁Kがスリット61を通過したときに下側に開くが、包丁Kが通過し終えたときに弾性力により元の位置に戻る。また、一方の移動部材62には、他方の移動部材62の下側に当たる段差が形成されており、この段差により包丁Kの抜け出しが防止される。挿入機構6を設けることにより、食材Fの上に包丁安全器具100をセットした状態で包丁Kを上から簡単に挿入する事が可能となり、使い勝手が良い。
【0033】
[その他の実施形態]
(1)図5に示すように、規制部3の突起31は、規制部3の本体を持ち手部1側からガイド部2の高さ調整用穴4に挿入可能な形状としてもよい。この突起31は、規制部3の本体よりも幅広形状で構成されており、横長の高さ調整用穴4よりも幅が広い。このため、規制部3の本体を持ち手部1側から高さ調整用穴4に挿入すると、突起31がガイド部2に当たって、規制部3が係止される。この場合、規制部3の形状が簡単なものとなるため、製造コストを低減できる。このように、突起31は、規制部3をガイド部2に取り付け可能な突起31であれば、如何なる形状であってもよい。
(2)図6に示すように、挿入機構6は、スリット61と、一対の移動部材62と、移動部材62を元の位置に戻す引張バネ63とを有している。一対の移動部材62は、上からの包丁Kがスリット61を通過したときに下側に開くが、包丁Kが通過し終えたときに引張バネ63により元の位置に戻る。この場合、引張バネ63により一対の移動部材62を初期の位置に確実に戻すことができる。このように、挿入機構6は、包丁Kを上から通過させたときに移動した後、元の位置に戻る移動部材62を有していれば、如何なる機構であってもよい。
(3)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、使用者が包丁を用いて食材を切断する際に使用可能な包丁安全器具に利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 :持ち手部
2 :ガイド部
3 :規制部
4 :高さ調整用穴
5 :固定部
5a :一端部
5b :端部
6 :挿入機構
10 :穴
21 :ガイド面
21a :ガイド溝
31 :突起
61 :スリット
62 :移動部材
63 :引張バネ
100 :包丁安全器具
C :切断方向
F :食材
K :包丁
U :使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6