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特開2023-118646電子文書の閲覧用電子機器、表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118646
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】電子文書の閲覧用電子機器、表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/109 20200101AFI20230818BHJP
【FI】
G06F40/109
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110074
(22)【出願日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2022021675
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518366119
【氏名又は名称】石川 多一
(72)【発明者】
【氏名】石川 多一
【テーマコード(参考)】
5B109
【Fターム(参考)】
5B109NA07
(57)【要約】
【課題】電子化された文書の視認性を向上させ、読者の読書の精度および速度を向上させること。
【解決手段】文章の一部を書式変更することで読者の注目したい部分を強調する。前記部分は以下のフローで確定される。文章の1点ないし2点を選択する。選択の後、決定をすることで前記1点ないし2点が区間指定する領域の文字列を抽出する。文章の一部(抽出された文字列と対応する)に対して、別段に自動選択された書式変更を適用する。これにより読者が読書からの集中を極力切らさない形で前記強調を達成できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書の閲覧用電子機器であって、
書式情報を有する各文節で構成される第一の文字列データを入力する文字列データ入力装置と、
前記各文節を引数としてブールを返す関数を第一要素、第一の書式変更情報を第二要素、とするタプルデータ群を入力するタプルデータ群入力装置と、
前記タプルデータ群の各々の第一要素となる前記関数を前記各文節に適用し、適用結果がTrueとなる文節に前記タプルの第二要素となる前記第一の書式変更情報を与えられた第二の文字列データを得る演算装置と
前記第二の文字列データを表示する表示装置と、を有し、
前記タプルデータ群入力装置は、前記表示装置に表示された前記第一の文字列データの1点ないし2点を入力する文字列データ選択装置と、入力後に前記1点ないし2点の範囲にある前記第一の文字列データの一部を抽出する文字列データ抽出装置と、前記第一の文字列データの一部の抽出を決定する抽出決定装置と、前記第一の文字列データの一部の抽出を取消する抽出決定装置と、書式情報を自動で選択する書式情報自動選択装置と、前記一部と書式情報を組み合わせて前記タプルデータ群を生成する生成関数とを有する、
ことを特徴とする、電子文書の閲覧用電子機器。
【請求項2】
電子文書の閲覧用電子機器であって、
書式情報を有する各文節で構成される第一の文字列データを入力する文字列データ入力装置と、
前記各文節を引数としてブールを返す関数を第一要素、第一の書式変更情報を第二要素、とするタプルデータ群を入力するタプルデータ群入力装置と、
前記タプルデータ群の各々の第一要素となる前記関数を前記各文節に適用し、適用結果がTrueとなる文節に前記タプルの第二要素となる前記第一の書式変更情報を与えられた第二の文字列データを得る演算装置と
前記第二の文字列データを表示する表示装置と、を有し、
前記タプルデータ群入力装置は、
前記表示装置に表示された前記第一の文字列データの1点ないし2点を入力する文字列データ選択装置と、
入力後に前記1点ないし2点の範囲にある前記第一の文字列データの一部を抽出する文字列データ抽出装置と、
前記第一の文字列データの一部の抽出を決定する抽出決定装置と、
書式情報を自動で選択する書式情報自動選択装置と、
前記一部と書式情報を組み合わせて前記タプルデータ群を生成する生成関数とを有し、
前記各文節は、
前記1点が自身の構成する文字列に選択された場合に即前記一部として確定する第一の文節と、
前記1点が自身の構成する文字列に選択された場合に即前記一部として確定せず、他の文節を選択することで、自身と前記他の文節との間を即前記一部として確定する第二の文節とを有する、
ことを特徴とする、電子文書の閲覧用電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書を閲覧する際に利用される電子機器、および電子文書データの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界では、電子文書の需要、供給が日々増大している。電子文書の例としてはインターネット上で公開される論文、電子書籍等が挙げられる。本明細書のような特許公報もその一例である。また、最終的に紙に印刷する場合でも、推敲段階では電子データであることが多い。
【0003】
文書が媒体(例えば、紙、PCやスマートフォンのディスプレイ等)に表示される際には、それを読む人が読みやすいようにするための工夫がなされたりする。例えば英語の場合、文章をスペース(デリミタ)で区切ることで単語を認識しやすいようにしている。日本語の場合は、そのようなデリミタは存在しないが、漢字、ひらがな、カタカナを使い分けることにより視認性を向上させたりする。
【0004】
電子化された文書の場合、上記の伝統的な工夫に加えて、読者が読みやすい形に加工して読むことが可能である。例えば文書中の一部の文字を書式変更する、ということが往々にしてなされる。
【0005】
1つ目の例としては、プログラムのソースコードを統合開発環境やエディタに表示する際に、各プログラミング言語ごとの文法に従って、そのソースコードが着色されたりする(シンタックスハイライト)。
【0006】
2つ目の例としては、Webブラウザ上で文書を読んでいる際に、読者が気になる単語、句、節を検索をした後で、検索語が完全一致でハイライトされるという工夫がなされたりする。他にも予め単語およびそれと対になるマーカー色を複数種登録しておいて閲覧時に単語が完全一致で存在すればそれと対となるマーカー色で強調するなどが成される。特許界隈では往々にして散見される。
【0007】
3つ目の例としては、電子文書を読んでいる最中にその文章の構成要素の一部をクリックもしくはタップすることでそれと対応する他の構成要素が一括で着色されたりする。着色される際は視認性が良くなるという観点で予め区切られた単位で着色がなされる。前記単位の一例としては名詞句単位である。ここで名詞句とは指示代名詞(「それ」、「it」など)で置き換えても文法的に問題がない単位である。詳しくは特開2021ー176068、特開2021ー043924、特開2020ー057337を参考にされたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021ー176068号公報
【特許文献2】特開2021ー043924号公報
【特許文献3】特開2020ー057337号公報
【特許文献4】特願2022-021675
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記2つ目および3つ目の先行事例ではいずれも文章中の単語およびそれと対になる色を指定する必要がある。これらを高速にかつ手数を少なく実行することは読者が読書からの集中を切らさない観点で重要である。
【0010】
本発明は上記を鑑みてなされたものであって、電子化された文書の視認性を向上させ、読者の読書の精度および速度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一のありようとして本発明である電子文書の閲覧用電子機器10は以下を有する。すなわち、
書式情報12yを有する各文節12pで構成される第一の文字列データ12xを入力する文字列データ入力装置12と、
前記各文節12pを引数としてブールを返す関数14fを第一要素、第一の書式変更情報14aを第二要素、とするタプルデータ群14tを入力するタプルデータ群入力装置14と、
前記タプルデータ群14tの各々の第一要素となる前記関数14fを前記各文節12pに適用し、適用結果がTrueとなる文節12pに前記タプルの第二要素となる前記第一の書式変更情報14aを与えられた第二の文字列データ16xを得る演算装置16と
前記第二の文字列データ16を表示する表示装置18と、を有し、
前記タプルデータ群入力装置14は、前記表示装置18に表示された前記第一の文字列データ12xの1点ないし2点を入力する文字列データ選択装置20xと、入力後に前記1点ないし2点の範囲にある前記第一の文字列データ12xの一部12xpを抽出する文字列データ抽出装置20yと、前記第一の文字列データの一部12xpの抽出を決定する抽出決定装置20aと、前記第一の文字列データの一部12xpの抽出を取消する抽出取消装置20bと、書式情報12yを自動で選択する書式情報自動選択装置20zと、前記一部12xpと書式情報12yを組み合わせて前記タプルデータ群14tを生成する生成関数20wとを有する。
【0012】
第二の別のありようとして、本発明である電子文書の閲覧用電子機器10は以下を有する。すなわち、
書式情報12yを有する各文節12pで構成される第一の文字列データ12xを入力する文字列データ入力装置12と、
前記各文節12pを引数としてブールを返す関数14fを第一要素、第一の書式変更情報14aを第二要素、とするタプルデータ群14tを入力するタプルデータ群入力装置14と、
前記タプルデータ群14tの各々の第一要素となる前記関数14fを前記各文節12pに適用し、適用結果がTrueとなる文節12pに前記タプルの第二要素となる前記第一の書式変更情報14aを与えられた第二の文字列データ16xを得る演算装置16と
前記第二の文字列データ16を表示する表示装置18と、を有し、
前記タプルデータ群入力装置14は、
前記表示装置18に表示された前記第一の文字列データ12xの1点ないし2点を入力する文字列データ選択装置20xと、
入力後に前記1点ないし2点の範囲にある前記第一の文字列データ12xの一部12xpを抽出する文字列データ抽出装置20yと、
前記第一の文字列データの一部12xpの抽出を決定する抽出決定装置20aと、
書式情報12yを自動で選択する書式情報自動選択装置20zと、
前記一部12xpと書式情報12yを組み合わせて前記タプルデータ群14tを生成する生成関数20wとを有し、
前記各文節12pは、
前記1点が自身の構成する文字列に選択された場合に即前記一部12xpとして確定する第一の文節12pSと、
前記1点が自身の構成する文字列に選択された場合に即前記一部12xpとして確定せず、他の文節12p2を選択することで、自身と前記他の文節12p2との間を即前記一部12xpとして確定する第二の文節12pLと、を有する。
【発明の効果】
【0013】
文章の1点ないし2点を選択するだけで書式変更設定を1つ生成することができる。これにより読者が読書からの集中を切らさないことができる。
【0014】
更に第一のありようでは、抽出の決定・取消を制御できる装置を用意することで1点ないし2点選択の誤選択を回避できる。これにより決定プロセスが1つ増え2つ(1点選択の場合)ないし3つ(2点選択の場合)となってしまうが、代わりに前記択時の安心感を得ることができる。特に文字データが小さい場合、選択がマウスではなく指でタッチパネルで行われる際に有効である。
【0015】
更に第二のありようでは、抽出の取消の余地を削減することで誤選択のリスクは増えるが、これにより第一のありように比べて1つ減る。これは書式変更時に集中が切れるリスクを大きく削減してくれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の特徴を最もよく表す代表図であり、特許法第35条第1項に本発明を適用したものである。
図2図2は、本発明の構成要素を本発明の工程の流れとともに示した図である。
図3図3は、従来技術である。
図4図4は、別の従来技術である。
図5図5は、特許法第35条第1項の初期状態である
図6図6は、図5にさらに本発明を適用したものである。
図7図7は、図6にさらに本発明を適用したものである。
図8図8は、図7にさらに本発明を適用したものである。
図9図9は、図8にさらに本発明を適用したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について詳細を説明する。
【0018】
まず、第一の文字列データ12xを入力する文字列データ入力装置12を用意する。第一の文字列データ12xは書式情報12yを有する各文節12pで構成される。第一の文字列データ12xは例えばhtml、pdf、電子書籍(epub,mobi,azw3)、tex、md、docx等の形で与えられる。他にも、それらの情報が予め得られていないもの(例えば紙の文書)に対しては、光学的文字認識(OCR)を適用することにより、前記情報を得ることも可能である。ここで書式情報12yとは、フォント名(Times New Roman, 明朝体等)、太字(ボールド体)、斜体(イタリック体)、下線(アンダーライン)、マーカー、色、大きさなどの、読者の視認性に影響する情報を指す。文字列データ入力装置12は、HDDやSSDなどの記憶装置や、サーバーを想定しているが、文字列データを与えるものであれば何でも良い。
【0019】
次に、 タプルデータ群14tについて、以下に詳細を述べる。タプルデータ群14tは前記各文節12pを引数としてブールを返す関数14fを第一要素、第一の書式変更情報14aを第二要素、とする。さらに前記タプルデータ群入力装置14は以下を有する。すなわち前記表示装置18に表示された前記第一の文字列データ12xの1点ないし2点を入力する文字列データ選択装置20xと、入力後に前記2点の範囲にある前記第一の文字列データ12xの一部12xpを抽出する文字列データ抽出装置20yと、書式情報12yを自動で選択する書式情報自動選択装置20zと、前記一部12xpと書式情報12yを組み合わせて前記タプルデータ群14tを生成する生成関数20wとである。
【0020】
一例として前記第一要素は前記一部12xpと完全に一致する箇所についてはtrue、それ以外にはfalseを返すブール関数が想定される。逆算するようではあるが、前記各文節12pはこの完全一致を以て可変的に決定される運用もありうる。完全一致でなくとも前記第一の文字列データ12を予め分節しておいてそこに部分一致することをもって真、それ以外を偽とするパターンもありうる。分節方法としては名詞句およびそれ以外が一例としてあげられる。ここでの名詞句とは指示代名詞「それ」で置き換え可能な単位を指す。前記第一要素と対になる第一の書式変更情報14aは例としては文字の色変更、もしくはマーカーが想定される。
【0021】
表示装置18としては、例えばパソコンやタブレット、スマートフォンのグラフィックボードとディスプレーの構成が挙げられる。2点の入力は例えばパソコンであればマウスで文字をクリック、タブレットスマートフォンであれば指やスタイラスで文字をタップすることでなされる。書式情報12yの自動選択は、例えば各書式にインデックスを振っておいて、読書開始時にインデックス0を与えておく。前記2点の入力の度にその時点でのインデックスと対応する書式を自動選択する、と同時に前記インデックスを1つ繰り上げる、以下それを続けるという運用が考えられる。他にも読者が実際に見ている領域に注目し、同領域に存在する書式とかぶらない書式を自動選択するという運用も考えられる。
【0022】
前記1点ないし2点の点の選び方は何らかの最小単位、文節12pを決めておく事になる。これは読者がこれ以上小さくは指定する必要がないような最大領域を選ぶのが好ましい。例えば英語の場合は各単語以下での指定は無視するとして、スペースで区切られた各単語を点とみなすことができる。もし最小単位を文字とすると一単語を指定する際には2点を選択する必要があるが、最小単位をこのような単語としておくと、単語を指定する際には1回の選択で十分となる。これは読書からの集中を切らさない観点で効果的である。複数単語で構成されるフレーズを指定する際はこの限りでなく2回選択が必要となることを付言する。日本語の場合はスペースのようなデリメタが存在せず分かち書きが成されない。形態素解析を行う、もしくは以下の選択を取りうる。すなわち、カタカナ、アルファベット、数字は一つの塊とし、漢字、ひらがなは一文字が一文字とする。
【0023】
本発明の第一のありようでは、前記タプルデータ群入力装置14はさらに以下を有する。すなわち、前記第一の文字列データの一部12xpの抽出を決定する抽出決定装置20aと、前記第一の文字列データの一部12xpの抽出を取消する抽出取消装置20bと、である。抽出の決定は例えば画面上に予め設けられたボタンを押下することで成される。他にも前記1点自体もしくは2点を結ぶ領域を選択することで決定される運用も考えられる。その際は前記領域をマーカーで表示、決定もしくは取消した後は前記マーカー表示を消すという運用が好ましい。抽出の取消は例えば画面上に予め設けられたボタンを押下することで成される。他にも前記1点自体もしくは2点を結ぶ領域「以外」を選択することで決定される運用も考えられる。
【0024】
本発明の第二のありようでは、文節12pは2つの種類がありうる。すなわち、前記1点が自身の構成する文字列に選択された場合に即前記一部12xpとして確定する第一の文節12pSと、前記1点が自身の構成する文字列に選択された場合に即前記一部12xpとして確定せず、他の文節12p2を選択することで、自身と前記他の文節12p2との間を即前記一部12xpとして確定する第二の文節12pLと、である。一例としては、スペースを有する言語の場合は第一の文節12pSのみとする。これにより読者は当該第一の文節12pSを一度指定するのみで書式変更を実行することが出来る。この意思決定のスピード感は読書からの集中を切らさない点でメリットが大きい。日本語であれば、一例としてカタカナ、アルファベット、数字それぞれが連続する領域は第一の文節12pSとし、漢字、ひらがなは一文字ずつを12pLとする。前者はこれ以上区切りにくい単位であることが多く、後者はそれ単体で意味を持つことが多い一方で、複数を人まとまりで扱いたい局面が多いからである。
【0025】
本発明の第二のありようでは、前記タプルデータ群入力装置14はさらに以下を有する。すなわち、前記第一の文字列データの一部12xpの抽出を決定する抽出決定装置20aと、前記第一の文字列データの一部12xpの抽出を取消する抽出取消装置20bと、である。抽出の決定は前記第一および第二の文節の説明でなされたプロセスでなされる。第二の文節12pLの場合は第一点を選択した時点でその選択を取り消す余地がある。取り消しは例えば画面上に予め設けられたボタンを押下することで成される。他にも文字領域外を選択することで決定される運用も考えられる。その際は前記第一点の選択領域をマーカーで表示、決定もしくは取消した後は前記マーカー表示を消すという運用が好ましい。
【0026】
次に、 演算装置16について、以下に詳細を述べる。演算装置16は前記タプルデータ群14tの各々の第一要素となる前記関数14fを前記各文節12pに適用し、適用結果が真となる文節12pに前記タプルの第二要素となる前記第一の書式変更情報14aを与えられた第二の文字列データ16xを得る。
【0027】
最後に前記第二の文字列データ16xを表示装置18へ入力し、書式変更された電子文書を読者に表示する。先述のとおり表示装置18としては、例えばパソコンやタブレット、スマートフォンのグラフィックボードとディスプレーの構成が挙げられる。
【0028】
以上が本発明の実施の形態である。次に具体的な実施例として日本語の文書に対して本発明を適用した結果を示す。なお色を変更もしくはマーカーを付与するのが視認性を最も向上させるが、特許文書の都合上、カラー表示はできないので、それ以外の書式を変えて説明している。
【実施例0029】
図1図4ないし図6は、特許法第三十五条(職務発明)の一部を修正したものに、本発明を適用したものの一例である。修正点は「従業員等」を「EMPLOYEE」としている点である。前者および後で述べる「職務発明」は本発明でいう第二の文節12pL、後者は第一の文節12pSの具体例である。以下、これらを得るまでの手順を具体的に説明する。
【0030】
図1の文章(第一の文字列データ12x)は「職務発明」という概念について説明している。これに関わる箇所の書式12yを変更するのは視認性向上の観点で有効である。なのでこの「職務発明」をできるだけ安価に指定するのが大事になってくる。
【0031】
従来技術の一例としては、図3のように所定の入力欄にキーボードで「職務発明」と打ち込むやり方がある。この場合は読書からの集中が著しく切れやすい。打ち込む際に文章中の「職務発明」部を矩形指定し、コピーして打ち込み欄にペーストするやり方もある。こちらは直打ちよりは安価ではあるが矩形指定、コピー起動、ペースト起動の選択が高価であり改善の余地がある。例えば矩形指定はマウスボタンのプレス、マウス移動、前記マウスボタンのリリースでなされるが3アクション必要なのとアクションの種類がプレス・リリースと移動といった2種類で構成されており読者側に負担になる。さらにタッチパネルを使うスマートフォン、タブレットの場合はこれを適用できない。他の矩形指定方法としては該当箇所をダブルクリックもしくはダブルタップし、所定の範囲を選択というのがありうる。前記所定の範囲は例えば予め形態素解析を行うことで成される。しかし形態素解析は比較的重たい処理である。パソコンの場合には負荷がかかるのみで済むが、スマートフォン、タブレットの場合は2021年現在であれば独立して形態素解析するのは性能が追いつかないため、サーバーと連携するという複雑な構成を取る必要が出てくる。高価な形態素解析を避けるには、例えば漢字の連続、カタカナの連続、といった単位で区切ることも可能である。しかし漢字の連続以下の単位を指定することが出来なくなる。「職務発明」はまさにその例で、「職務」や「発明」のみを指定することができなくなってしまう。タッチパネルの場合の矩形範囲の別の例は画面を一定時間タップすることで一定の矩形をデフォルト表示し、その両端部をスライドさせることで細やかな範囲選択をする運用である。しかし著しく選択の手間がかかるのは言うまでもない。
【0032】
「職務発明」の指定の後にそれと対応する書式を選択する必要がある。図3の従来例であれば各書式に入力欄を用意しておいてそこに入力、決定することを以て書式選択としている。しかしどの欄に書き込むかという自由度は読書からの集中を著しく切らす原因となる。別の従来例としては図4のように矩形選択時にパレットを表示して対応する書式を選ぶという運用である。こちらは図3の例よりは安価であるが、それでも改善の余地がある。本発明の書式選択方法は一連のフローの最後に述べる。
【0033】
一連のフローに戻る。本発明では第一の文字列データ12xの1点ないし2点を指定する。いずれにせよまずは1点を指定することとなる。初期状態である図5に対して、「職務発明」の端点となる「職」をクリックもしくはタップすると図6の状態になる。以下選択部をボールド体+アンダーラインで示す。
【0034】
「職」のみを書式変更したい場合は、この選択状態の後に後述の抽出決定装置20aを起動することになる。また、この1点目の選択状態を抽出取消装置20bで解除することも可能である。抽出取消装置20bは一例としては所定の位置に設けられたボタンを押すことで成される。別の例としては文字が存在しない領域をクリックもしくはタップすることで成される。文字が存在する領域をクリックもしくはタップするのは、後述の2点目の選択に必要なので1点目の選択取消しには使えない。
【0035】
次に2点目を選択する。選択は1点目と同様、文章の一部をクリックもしくはタップでなされる。「職務発明」の端点となる「明」をクリックもしくはタップする。これにより「職務発明」が図7のように選択された。
【0036】
ここから先、本発明の第一のありようでは、選択状態は例えば2点選択で選ばれた「職務発明」箇所にマーカーを引くことで読者に示したりする。前記選択は1点目の選択状態解除と同様の抽出取消装置20bで解除することも可能である。この2回目の場合は文章の他の位置を選択でも取消可能である。他にも文章の他の位置を選択で選択領域を伸ばすことも可能である。例えば「職」「務」の2点をタップすることで「職務」を選択した後で「明」をタップすることで「職務発明」を選択するというやり方である。
【0037】
先述の2点目の選択時に戻ると、本発明の第二のありようではこの「明」をクリックもしくはタップした時点で抽出が確定する。これにより誤タップの可能性がありうるが代わりにテンポの良い書式変更を可能とし、読書からの集中を切らさない効果が出てくる。
【0038】
抽出の確定後にそれと対応する書式を選択する必要があるが、本発明ではそれは自動で成される。発明の実施形態で述べたようにインデックスで管理したり、表示されている書式を元に自動調整したりする運用がありうる。
【0039】
次に図7のように、条文中の「職務発明」に該当する箇所を前記自動選択された書式で変更し、読者に表示される。以上が「職務発明」、すなわち第二の文節12pLに関わる具体例である。
【0040】
次に第一の文節12pSの具体例を挙げる。図8のように、条文中の「EMPLOYEE」に該当する箇所をタップすると即座にEMPLOYEEが抽出確定され、「職務発明」と同様に書式が自動選択され、文章全体で「EMPLOYEE」に該当する箇所が前記自動選択された書式で変更し、読者に表示される。
【符号の説明】
【0041】
10 電子文書の閲覧用電子機器
12 文字列データ入力装置
12x 第一の文字列データ
12y 書式情報
12p 文節
12pS 第一の文節
12pL 第二の文節
14 タプルデータ群入力装置
14t タプルデータ群
14f ブール関数
14a 書式変更情報
14n ノード部
16 演算装置
16x 第二の文字列データ
18 表示装置
20x 文字列データ選択装置
20y 文字列データ抽出装置
20a 抽出決定装置
20b 抽出取消装置
20z 書式情報自動選択装置
20w 生成関数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9