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特開2023-118679フランジに連結される転輪用の環帯支えリム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118679
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】フランジに連結される転輪用の環帯支えリム
(51)【国際特許分類】
   B60B 17/00 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
B60B17/00 F
B60B17/00 C
B60B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023017718
(22)【出願日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】2201322
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】523045009
【氏名又は名称】アルストム トランスポート エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ガイガー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク,ビーボン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レールにより誘導されて車両が移動する環境において、車輪及び該当するフランジの加熱を、さらにはその冷却も制限することを可能にし、同時にそのようなアセンブリ内への容易な組み込みを可能にする。
【解決手段】本発明は、リムを実現する環状転輪用の環帯2支えリム1であって、リム1は、環帯を支えるための周縁と、車輪の内側部分と接触する中縁と、一方では開き面を他方では車輪のフランジの表面に対して位置決めされるように構成された押し付け面を実現する、2つの背向する面とを画定し、支えリム1が冷却装置を組み込んでおり、その冷却装置が、開き面の穴51からリムの厚さを貫く少なくとも1つの空気循環誘導路を含み、そのためその誘導路が、中縁の領域で一部分と、中縁と周縁との間の押し付け面の領域で半径方向に配置される一部分とを含む、リムを対象とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの外輪(31)を含む環状転輪用の環帯(2)を支えるリム(1)であって、前記外輪(31)の周囲にわたり円板の形で延びている部分がフランジ(4)を実現し、前記フランジの周縁の末端が誘導レールと協働するように構成されており、前記リム(1)がほぼ円状の環配列を含み、前記環配列が、
-環帯(2)を支えるための周縁(12)と、
-前記車輪の外輪(31)の内側の外表面と接触するための中縁(13)と、
-一方では開き面(11)と他方では前記転輪のフランジ(4)の表面に対して位置決めされるように構成された押し付け面(14)とを実現する、2つの背向する面と
を画定する、リムであり、
前記支えリム(1)が冷却装置(5)を組み込んでおり、前記冷却装置が、前記リム(1)の厚さを貫く少なくとも1つの空気循環誘導路(52)を含み、前記誘導路(52)が、前記リム(1)の開き面(11)の領域に位置決めされた少なくとも1つの穴(51)と、一方では少なくとも1つの第1の部分(521)が前記装置(5)の中縁(13)の領域に位置決めされており、他方では少なくとも1つの第2の部分(522)が前記押し付け面(14)の領域で半径方向に前記リム(1)の中縁(13)から前記周縁(12)に向かって位置決めされているように整えられた循環路とを含むことを特徴とする、リム。
【請求項2】
前記誘導路(52)の少なくとも一部分が、前記車輪の外輪(31)の内側の外表面の少なくとも一部分及び/又は前記車輪のフランジ(4)の表面(41)の一部分により仕切られるための開断面の形に作製されることを特徴とする、請求項1に記載のリム(1)。
【請求項3】
前記誘導路(52)が、一方では前記リム(1)の開き面(11)の領域に位置決めされた穴(51)と、他方では前記リム(1)の回転軸とを隔てる距離とは異なる、前記リム(1)の回転軸からの距離に位置決めされた第2の穴(53)を含むことを特徴とする、請求項1又は2のうちの1項に記載のリム(1)。
【請求項4】
前記循環路の第2の部分(522)の領域の誘導路(52)が、前記循環路の第1の部分(521)の領域よりも大きな少なくとも1つの断面を有することを特徴とする、先行する請求項のうちの1項に記載のリム(1)。
【請求項5】
前記誘導路(52)の循環路の第2の部分(522)の少なくとも一部分が、その少なくとも1つの幅が前記リム(1)の厚さを少なくとも上回るような断面を有することを特徴とする、請求項4に記載のリム(1)。
【請求項6】
前記誘導路(52)が、前記リム(1)の周縁(12)の領域に位置決めされた少なくとも1つの第2の穴(53)を含むことを特徴とする、先行する請求項のうちの1項に記載のリム(1)。
【請求項7】
前記誘導路(52)が、第2の穴(53)、及び/又は、前記フランジ(4)の表面(41)に押し付けられる、前記リム(1)の面(14)の領域に位置決めされた少なくとも1つの追加の穴を含むことを特徴とする、先行する請求項のうちの1項に記載のリム(1)。
【請求項8】
前記開き面(11)が、半径方向に向けられた小翼(61)を実現する少なくとも1つの浮き彫り(6)を含むことを特徴とする、先行する請求項のうちの1項に記載のリム(1)。
【請求項9】
前記開き面が、前記周縁の近くに前記リム(1)の厚さ内のくり抜きを実現する少なくとも1つの浮き彫りを含むことを特徴とする、先行する請求項のうちの1項に記載のリム(1)。
【請求項10】
前記冷却装置(5)が、前記リム(1)の環配列内で半径方向に配置される複数の誘導路(52)を含むことを特徴とする、先行する請求項のうちの1項に記載のリム(1)。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちの1項に記載の環帯(2)を支えるリム(1)に連結されるフランジ(4)を実現する転輪を含むアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに対向して回転する車両フランジを備えた転輪機構の分野に関し、より具体的には、そのような転輪に関する熱制御システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
レールにより誘導されて車両が移動する環境において、とりわけモノレール車両の範囲において、駆動により、誘導レールと相互作用するためのフランジを備える一対の車輪の摩擦が生じる。それらの環形の車輪は、軸方向で回転するとともに、車輪のフランジを介して誘導レールにそのレールの両側で押し付けられて、レールに沿った車両の移動を可能にするように構成されている。従って車輪のフランジの回転により車両が駆動することにより、いくつかの部品はそれらの動作環境において摩擦状態にあり、加熱する。従って一方では、レール表面に接触するように車輪により支えられる又は車輪上に備え付けられる環帯の周囲表面は、車両が移動する際に加熱の対象となる。同様に、その軸回転の制御に寄与するフランジの回転機構の様々な部品は、車両の駆動及び誘導環境において加熱に耐えている。しかしながら、特に他の部品との相互作用領域及び接触領域に関するそのような車輪の加熱は、該当する表面の変形現象、例えば膨張をもたらし得る。そのような変形は、部品の相互動作の質に悪影響を及ぼし、同様に大きな応力に耐えている加熱状態の領域に部品が接触する際に、劣化をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、車輪及び該当するフランジの加熱を、さらにはその冷却も制限することを可能にし、同時にそのようなアセンブリ内への容易な組み込みを可能にする装置を提案することにより、それらの不都合な点を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って本発明は、少なくとも1つの外輪を含む環状転輪用の環帯支えリムであって、その外輪の周囲にわたり円板の形で延びている部分がフランジを実現し、そのフランジの周縁の末端が誘導レールと協働するように構成されており、そのリムがほぼ円状の環配列を含み、その環配列が、
-環帯を支えるための周縁と、
-車輪の外輪の内側の外表面と接触するための中縁と、
-一方では開き面を、他方では転輪のフランジの表面に対して位置決めされるように構成された押し付け面を実現する2つの背向する面と、
を画定し、
支えリムが冷却装置を組み込んでおり、その冷却装置が、リムの厚さを貫く少なくとも1つの空気循環誘導路を含み、その誘導路が、リムの開き面の領域に位置決めされた少なくとも1つの穴と、一方では少なくとも1つの第1の部分がその装置の中縁の領域に位置決めされており、他方では少なくとも1つの第2の部分が押し付け面の領域で半径方向にリムの中縁から周縁に向かって位置決めされているように整えられた循環路とを含むことを特徴とする、リムを対象とする。
【0005】
本発明は同様に、冷却装置を組み込んだ本発明による環帯支えリムに連結されるフランジを実現する転輪を含むアセンブリに関する。
【0006】
本発明は、限定されない例として与えられるとともに付属の概略図を参照しながら説明される、好ましい実施形態に関する後の記載のために、より良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による支えリムの第1の例の概略図を、そのリムの押し付け面の側からの立体図で示す。
図2】本発明による支えリムの第1の例の概略図を、そのリムの開き面の側からの立体図で示す。
図3】本発明による支えリムの第1の例をフランジと連結させるアセンブリの概略図を、リムの開き面の側からの立体図で示す。
図4】支えリムの例の概略断面図を、関連するフランジの回転軸を通る断面図で示す。
図5】本発明による支えリムの第2の例の概略図を、そのリムの開き面側からの立体図で示す。
図6】本発明による支えリムの第2の例の概略図を、そのリムの押し付け面の側からの立体図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、少なくとも1つの外輪31を含む環状転輪用の環帯2を支えるリム1であって、外輪31の周囲にわたり円板の形で延びている部分がフランジ4を実現し、そのフランジの周縁の末端が誘導レールと協働するように構成されており、そのリム1がほぼ円状の環配列を含み、その環配列が、
-環帯2を支えるための周縁12と、
-車輪の外輪31の内側の外表面と接触するための中縁13と、
-一方では開き面11を、他方では転輪のフランジ4の表面に対して位置決めされるように構成された押し付け面14を実現する、2つの背向する面と、
を画定し、
支えリム1が冷却装置5を組み込んでおり、その冷却装置が、リム1の厚さを貫く少なくとも1つの空気循環誘導路52を含み、その誘導路52が、リム1の開き面11の領域に位置決めされた少なくとも1つの穴51と、一方では少なくとも1つの第1の部分521がその装置5の中縁13の領域に位置決めされており、他方では少なくとも1つの第2の部分522が押し付け面14の領域で半径方向にリム1の中縁13から周縁12に向かって位置決めされているように整えられた循環路とを含むことを特徴とする、リムに関する。
【0009】
従って本発明によるリム1は、空気循環誘導路52を組み込むように構成されており、その誘導路内部において、空気の移動が、加熱状態の表面からリム1の内部に向かって散逸する熱の回収及び排出手段を実現する。従って誘導循環路52は、リム1の厚さ内に気流を供給するように整えられ、従ってその気流は、リム1の加熱部分、つまり転輪及び/又は環帯2の加熱部分と接触する又は接触し得るリム1の部分のできる限り近くで移動する。従って、循環誘導路52の内部を移動する気流は、リム1の中縁13の領域の第1の部分521を介して、車輪の回転軸の近くに位置決めされた車輪の外輪31の外表面の近くに位置決めされ、その回転軸の環境においてかなり加熱に耐える車輪の回転機構3のできる限り近くにあるように循環する。同様に、移動する気流は、押し付け面14の領域で半径方向に中縁13からリム1の周縁12に向けて位置決めされた第2の部分522の領域で循環し、フランジ4及びリム1の外部又は周囲部の近くでの、レールの表面に対するその摩擦及びその回転の影響下で加熱状態の環帯2を支える周囲の領域での熱の回収を可能にする。同様に、気流が半径方向に沿ってその経路の少なくとも一部分にわたり循環することにより、車輪の回転軸の近くに及び/又はフランジ4を実現する車輪の一部分の近くに位置決めされた車輪の外輪31の外表面の加熱と接触するリム1の様々な部分の領域で、熱交換、従って冷却が行われ得ることに留意するべきである。
【0010】
異なる構成形態に関する例によれば、誘導路52の少なくとも一部分は、車輪の外輪31の内側の外表面の少なくとも一部分及び/又は車輪のフランジ4の表面41の一部分により仕切られるための開断面の形に作製される。その異なる形態によれば、リム1内に作製される誘導路52は、その仕切りが車輪の周囲表面の少なくとも一部分と、つまり車輪の回転軸の近くに及び/又はフランジ4を実現する車輪の一部分の近くに位置決めされた車輪の外輪31の外表面の少なくとも一部分と協働することにより取得され得るような配列を有する。従ってそのような誘導路52は、その誘導路52を組み込むリム1の容易な構造を可能とする。実際に、鋳造によりリム1を作製することができ、誘導路52の全体を構成するのに、リム1に貫通穴をあける作業を必要としない。誘導路52の仕切りは、車輪の外輪31の外表面及び/又は車輪のフランジ4の表面の領域にリム1を位置決めし、組み付けることにより行われる。同様に、誘導路52のそのような構成により、リム1内での気流の循環を実現することができ、熱交換、従って冷却が、特に車輪の領域で加熱状態の様々な表面及び部品のできる限り近くで実行されることで最適化されることに留意するべきである。実際に、リム1の内部で循環する気流は、加熱状態の1つ又は複数の表面及び部品に直接接触して移動する。誘導路52は、熱交換のために誘導路52の領域で一方では中縁13及び押し付け面14と他方では車輪の外表面とを組み合わせ、形状的に協働することにより作製されるので、移動する気流が、任意の厚さのリム1が存在せずに、加熱状態の部品の表面に直接接触することにより、熱交換の質を最適化することができる。
【0011】
先述の異なる構成形態と組み合わせ可能な別の異なる構成形態に関する例によれば、誘導路52は、一方ではリム1の開き面11の領域に位置決めされた穴51と他方ではリム1の回転軸とを隔てる距離とは異なるリム1の回転軸からの距離に位置決めされた第2の穴53を含む。誘導路52の穴51、53のその特定の相互配列は、リム1の回転平面内の第1の穴51と第2の穴53との間の半径方向の位置のずれを実現する。2つの穴51、53のそのような位置のずれにより、車輪を伴うリム1の軸回転による動作の際に、リム1の回転軸から最も離れた穴の領域でより大きな遠心力を生じさせることができ、誘導路52内部の空気は、一方ではリム1の回転軸から最も離れた誘導路52の領域で自然に排出され、他方では圧力差により、リム1の回転軸から最も近い誘導路52の穴の領域で吸引されることになる。従ってその配列により、誘導路52内で空気を移動させるためのモータを組み込むことを必要とせずに、誘導路52の内部での空気の循環を実現することができる。構成例として、リム1の開き面11の領域に通じている誘導路52の第1の穴51は、第2の穴53よりもリム1の回転軸の近くに位置決めされる。従って冷却装置5の誘導路52内部の気流は、誘導路52のその第1の穴51から第2の穴53への移動を実現する。従ってその構成により、最も冷めた空気が、誘導路の第2の部分522の領域で、つまり車輪のフランジ4が備える表面41の近くで及び/又はその表面に対して循環する前に、誘導路52の第1の部分521の領域で、つまり回転機構3の最も近くの車輪の外輪31の表面の部分の近くで及び/又はその部分に対して優先的に循環するように、気流の循環を操作することができる。
【0012】
先述の異なる構成形態と組み合わせ可能な別の異なる構成形態に関する例によれば、その循環路の第2の部分522の領域の誘導路52は、その循環路の第1の部分521の領域よりも大きな少なくとも1つの断面を有する。誘導路52の異なる部分の間のその断面の差により、循環の内部の気流の移動速度を調節することができる。実際に、気流は、より小さな断面の誘導路52の部分の領域で、よりも高い移動速度を有する。従って、回転機構3に最も近い車輪の外輪31の表面の領域に位置決めされた誘導路52の第1の部分521の領域では、気流は循環速度がより大きい。そのようにして移動する気流と加熱状態の表面との間の温度の差は一定間隔で保たれ、連続的な気流は、車輪の加熱状態の表面の領域での最適化された熱交換を可能にする。他方では、誘導路52の第2の部分522の領域の断面は、リム1の内部のより大きな体積の領域で熱交換を行うように、より大きな寸法設定を有する。実際に、その第2の部分522は、車輪のフランジ4の表面41の領域で、ほぼ半径の方向に沿って配置されるように整えられる。好ましくは、その第2の部分522は、誘導路52の表面の一部が同様にリム1の厚さ内に位置決めされ、リム1の開き面11の近くに、さらにはリム1の周縁12の少なくとも一部分の近くに位置する末端の領域に位置するように構成される。従ってその配列により、さらに、フランジ4の少なくとも一部分の領域での熱回収、加熱状態の環帯2と接触するリム1の周縁12を用いた熱交換が可能になる。同様に、誘導路52のその第2の部分522の領域で移動する気流は、リム1の開き面11の近くに位置決めされた誘導路52の一部分の領域で熱を放出する形で熱交換を行い得る。その開き面11は、リム1の外部と接触しており、車両の動作時、リム1の最も熱の少ない表面のうちの1つを自然に実現する。リム1の開き面11が実現するその外表面の領域での熱放出は、そのようにして容易にされる。
【0013】
先述の構成形態の異なる特定の構成形態に関する例によれば、誘導路52の循環路の第2の部分522の少なくとも一部分は、その少なくとも1つの幅がリム1の厚さを少なくとも上回るような断面を有する。その異なる構成形態によれば、誘導路52の第2の部分522が、一方ではリム1と他方では車輪のフランジ4の表面41の一部との間の相補的な相互作用により実現される場合、フランジ4に押し付けられるリム1は、その構造体のいくつかの断面に沿って薄くされた厚さを有する。その厚さが薄くなることは、とりわけ車輪の回転軸、従ってその車輪のフランジ4の回転軸に平行な平面内で見られることになり、リム1の高さの大部分は、車輪のフランジ4の表面41と直接相互作用する誘導路52に対応する体積により実現される。
【0014】
先述の異なる構成形態と組み合わせ可能な別の異なる構成形態に関する例によれば、誘導路52は、リム1の周縁12の領域に位置決めされた少なくとも1つの第2の穴53を含む。誘導路52の第2の穴53をリム1の周囲端に位置決めすることにより、遠心力により空気を最適に排出することができる。同様に、その配置により、環帯2を支えるためのリム1の一部分の領域で熱交換を行うことができる。他方では、リム1が環帯2に連結される際、その環帯2は、リム1の周囲端の誘導路52の穴53を塞がないように、リム1の周縁12の高さを下回る高さを有し得る。その穴53は、リム1の開き面11又は押し付け面14の近くに見出されるリム1の周縁12の末端に位置決めされている。代わりに、環帯2は同様に、リム1に組み込まれた誘導路52の第2の穴53の延長部内に位置決めされるように整えられた貫通穴531を含み得る。環帯2のその貫通穴531は、従って同様に、環帯内の加熱を制限し、さらには冷却を可能にするような、環帯2を用いた熱交換の最適化に寄与する。異なる特定の構成形態に対応する例によれば、その貫通穴531は、フランジ4に押し付けられるための環帯2の表面の領域に作製されたくり抜きにより実現され、従って貫通穴531は、フランジ4の表面41と環帯2の協働により作製される。相補的な例として、環帯2は同様に、リム1に組み込まれた誘導路52の第2の穴53の領域に位置決めされたその表面の一部分の領域で、ほぼ多孔質の材料で構成され得る。従って環帯2のその多孔性により、冷却流がリム1の誘導路52の内部で循環し得るような環帯2を通る気流の移動を可能にする透過性が可能になる。
【0015】
先述の異なる構成形態のうちの一方又は他方と組み合わせ可能な別の異なる構成形態に関する例によれば、誘導路52は、第2の穴53、及び/又は、フランジ4の表面41に押し付けられるリム1の面14の領域に位置決めされた少なくとも1つの追加の穴を含む。フランジ4の表面41の領域に位置決めされた誘導路52のその穴は、フランジ4の表面41が備えており且つ車輪のフランジ4の厚さを通して配置される誘導路の末端に対応する、穴に向き合うように用意されている。またリム1の誘導路52内で循環する気流は同様に、誘導路52の内部でのその移動の前に又は後にフランジ4の厚さを通り抜け、車輪のフランジ4の冷却に寄与する。
【0016】
冷却装置5を作製する範囲において、誘導路52が1つ又は複数の吸気口と1つ又は複数の排気口とを含み得ることに留意するべきである。実際に、誘導路52は、その末端の各々の領域で気流の循環の分枝を有し得る。
【0017】
先述の異なる構成形態と組み合わせ可能な別の異なる構成形態に関する例によれば、開き面11は、半径方向に向けられた小翼61を実現する少なくとも1つの浮き彫り6を含む。従ってリム1の開き面11は、転輪を用いてそのリムを軸回転させる環境において、リム1の表面の領域で乱流を生成する能力のある配列を有する。その表面起伏により実現されるその少なくとも1つの小翼61は、リム1の開き面11上で半径方向に向けられており、その小翼により、リム1の表面の領域に存在する空気の攪拌及び送風を最適化することができる。リム1の表面11の領域での空気の動きは、誘導路52の第1の穴51の領域で冷気を吸引するのを容易にし、同様にリム1の開き面11の領域に空気を再供給するのに寄与する。他方では、リム1の表面11でのその少なくとも1つの小翼61は、リム1の開き面11上の気流を誘導路52の第1の穴51に向けて誘導するように整えられ得る。一実施例によれば、小翼61は、その突き出た浮き彫りの両側に位置決めされるくり抜き62の形で作製された1つ又は複数の浮き彫り6と組み合わされた突き出た浮き彫り6を生じさせ得る。そのような配列により、リム1の厚さを増加させることを必要とせずに、小翼61の攪拌表面を最適化することができる。従って小翼61は、リム1の高さを越えることなく、リム1の表面で空気を効果的に攪拌することができる。特定の異なる構成形態に対応する例によれば、リム1の開き面11の表面の領域で形成される浮き彫り6は、誘導路52の表面の一部分の形に少なくとも部分的に合致することで、リム1の厚さ内の誘導路52の面のうちの1つの近くに位置決めされるように配置される。同様に、転輪を伴うリム1の回転軸に平行な断平面において、リム1の表面11の領域で小翼61を実現する浮き彫り6は、リム1により実現される誘導路52の形に少なくとも部分的に合致する。リム1が、複数の各々の誘導路52の形に作製された冷却装置5を含む場合、各々の誘導路52は各々の小翼61と連結され得る。その小翼は、リム1の開き面11の領域で突き出しを実現し、リム1の開き面11は、それらの小翼の間に、少なくとも1つのくり抜き62を有する。特定の且つ先の特定の異なる形態と組み合わせ可能な、別の異なる構成形態に対応する例によれば、リム1の開き面11は、半径方向に配置される複数の小翼61を含む。その複数の小翼61により、一方ではレールと相互作用する車輪のフランジ4の、他方では環帯2の動作環境において回転し始めるとすぐに、それらの様々な部品及び表面の領域に現れる熱が効果的に排出され得るように、リム1に接触する空気を効果的に再供給することを可能にする乱流機構を支えるリム1の開き面11を実現することができる。
【0018】
先述の異なる構成形態と組み合わせ可能な別の異なる構成形態に関する例によれば、リム1の開き面11は、周縁12の近くにリム1の厚さ内のくり抜き62を実現する少なくとも1つの浮き彫り6を含む。その特定の構成が、とりわけ少なくとも1つの小翼61の実現に寄与する突き出た浮き彫り6の存在と組み合わされることなる場合、その構成により、最も長い経路を有する、従って最大の移動速度を有するリム1の一部分の領域で空気の乱流及び移動を生成するのに寄与し得る手段を、リム1の表面11上に位置決めすることができる。同様に、少なくとも1つのくり抜き61により実現される浮き彫り6は、リム1の開き面11の最も周辺の部分の領域に位置決めされることで、リム1の表面で乱流の生成を最大にすることができる。その浮き彫り6は同様に、リム1の熱交換表面を増加させる、従って冷却効果を増加させることができる。
【0019】
先述の異なる構成形態と組み合わせ可能な別の異なる構成形態に関する例によれば、冷却装置5は、リム1の環配列内で半径方向に配置される複数の誘導路52を含む。冷却装置5を形成する様々な誘導路52のその特定の配列により、一方では回転機構3に最も近い車輪の外輪31の表面の領域での、他方ではリム1に連結された車輪のフランジ4の表面41の領域での、しかしさらにはリム1を包囲する環帯2の環構造全体の領域での熱交換及び熱排出が可能になる。他方では、冷却装置5のその誘導路52の半径方向の分配は同様に、リム1の開き面11上で半径方向に配置された複数の小翼61の配列に連動し得る。
【0020】
本発明は同様に、本発明による環帯2を支えるリム1に連結されるフランジ4を実現する転輪を含むアセンブリに関する。環帯2を支えるリム1は、先に詳述されたような冷却装置5を組み込んでいる。
【0021】
当然、本発明は、記載されるとともに付属の図面で表示された実施形態に限定されない。変更は、特に様々な要素の構成の観点から、又は技術的に等価なものへの置き換えにより、本発明の保護範囲を逸脱することがない限り可能なままである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】