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特開2023-118681コップホルダユニット、コップホルダシステム、コップユニット、振動再現ユニットおよび振動再現キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118681
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】コップホルダユニット、コップホルダシステム、コップユニット、振動再現ユニットおよび振動再現キット
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/02 20060101AFI20230818BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A47G23/02 Z
A47G23/02 B
B06B1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018173
(22)【出願日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2022021327
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517069066
【氏名又は名称】ロボセンサー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】大村 昌良
【テーマコード(参考)】
3B115
5D107
【Fターム(参考)】
3B115BB01
3B115BC05
3B115DA02
3B115DA03
5D107AA03
5D107BB08
5D107CC02
5D107CC10
(57)【要約】
【課題】本発明は、リアルな振動を伝達できるコップホルダユニット、コップホルダシステム、コップユニット、振動再現ユニットおよび振動再現キットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のコップホルダユニット10は、周壁部31と底部32とを有するホルダ本体3と、周壁部31から外側に向かって突出した把手4と、ホルダ本体3に設けられ、振動を検出する線状センサ2と、線状センサ2が検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置5と、把手4に設けられ、通信装置5が受信した信号に応じた振動を発生させる第1振動体43とを備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部と底部とを有するホルダ本体と、
前記周壁部の外側に向かって突出した把手と、
前記ホルダ本体に設けられ、振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記把手に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を発生させる第1振動体とを備えたことを特徴とするコップホルダユニット。
【請求項2】
前記第1振動体は、前記把手の突出方向に向かって発振するものであることを特徴とする請求項1記載のコップホルダユニット。
【請求項3】
前記ホルダ本体に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を発生させる第2振動体を備えたことを特徴とする請求項1記載のコップホルダユニット。
【請求項4】
前記第2振動体は、前記第1振動体とは反対向きに配置され、前記第1振動体とは逆位相の振動を発生させるものであることを特徴とする請求項3記載のコップホルダユニット。
【請求項5】
前記振動センサは、前記底部に設けられたものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載のコップホルダユニット。
【請求項6】
請求項1から4のうちいずれか1項に記載のコップホルダユニットを第1コップホルダユニットとして有するとともに該第1コップホルダユニットとは別の該コップホルダユニットを第2コップホルダユニットとして有するコップホルダシステムであって、
前記第2コップホルダユニットは、前記第1コップホルダユニットの通信装置から送信された信号を該第2コップホルダユニットの通信装置で受信すると該第2コップホルダユニットの第1振動体が振動し、該第1コップホルダユニットに生じた振動を再現するものであることを特徴とするコップホルダシステム。
【請求項7】
筒状部とセンサ取付部とを有するコップ本体と、
前記筒状部の外側に向かって突出した把手と、
前記コップ本体に設けられ、振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記把手に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を発生させる振動体とを備えたことを特徴とするコップユニット。
【請求項8】
面方向に広がる面部材と、
前記面部材から突出した把手と、
前記面部材に設けられ、振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記把手に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を該把手に発生させる振動体とを備えたことを特徴とする振動再現ユニット。
【請求項9】
面部材に着脱可能に取り付けられ、該面部材に生じる振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記面部材から突出した把手に着脱可能に取り付けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を該把手に発生させる振動体とを備えたことを特徴とする振動再現キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダ本体と把手と通信装置とを備えたコップホルダユニット、そのコップホルダユニットを複数有するコップホルダシステム、コップ本体と把手と通信装置とを備えたコップユニット、面部材と把手と通信装置とを備えた振動再現ユニット、および振動センサと通信装置と振動体とを備えた振動再現キットに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるリモート飲み会などにおいて遠隔地にいる人と一緒に楽しむために乾杯などによるコップどうしの接触を検出して遠隔地にいる人のコップを振動させる乾杯演出システムが知られている(例えば、特許文献1等参照)。この特許文献1の乾杯演出システムでは、内側に携帯通信機器を格納する格納部を備えた筒状のコップ本体と把手とを有するコップを用いる。そして、コップどうしの接触を検出するとコップ本体に格納された携帯通信機器が他のコップ本体に格納された携帯通信機器の接触検出情報を送信する。他のコップ本体に格納された携帯通信機器は、接触検出情報を受信したら携帯通信機器の有する振動機能を用いて振動する。また、面部材と把手を備えた例えば卓球などのラケットや野球のバットなどのスポーツ用品やフライパンなどの調理用品などを用いて、互いに遠隔地にいる先生と生徒がリアルな振動を伝えあいつつスポーツや料理などの教授を行いたいというニーズも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019- 17557
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の乾杯演出システムは、コップどうしの接触を検出したら、他のコップ本体に格納された携帯通信機器に予め記憶されている所定の振動を発生させるだけである。また、携帯通信機器がコップ本体の内側に格納されているので、コップの把手を把持している人に振動が伝わりにくい。これらのため、特許文献1の乾杯演出システムでは、遠隔地にいる人が身近にいるような感覚になりえるリアルな振動を伝え合うことはできない。すなわち、遠隔地にいる者どうしがリアルな振動を伝達できないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、リアルな振動を伝達できるコップホルダユニット、コップホルダシステム、コップユニット、振動再現ユニットおよび振動再現キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のコップホルダユニットは、
周壁部と底部とを有するホルダ本体と、
前記周壁部の外側に向かって突出した把手と、
前記ホルダ本体に設けられ、振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記把手に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を発生させる第1振動体とを備えたことを特徴とする。
【0007】
このコップホルダユニットによれば、受信した信号に応じた振動を前記把手に設けられた前記第1振動体が発生させるので、該把手を把持している人にリアルな振動を伝達できる。
【0008】
ここで、前記振動センサは、線状センサであってもよい。また、前記振動センサは、前記ホルダ本体が保持しているコップに飲料が注がれた際に生じる振動を検出するものであってもよい。
【0009】
このコップホルダユニットにおいて、
前記第1振動体は、前記把手の突出方向に向かって発振するものであってもよい。
【0010】
こうすることで、前記把手を把持している人に振動がより伝達されやすい。
【0011】
このコップホルダユニットにおいて、
前記ホルダ本体に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を発生させる第2振動体を備えていてもよい。
【0012】
前記第2振動体によって、前記ホルダ本体からも前記把手に振動が伝達されるので、よりリアルな振動を該把手を把持している人に伝達できる。
【0013】
また、このコップホルダユニットにおいて、
前記第2振動体は、前記第1振動体とは反対向きに配置され、前記第1振動体とは逆位相の振動を発生させるものであってもよい。
【0014】
こうすることで、前記第1振動体が発生させた振動と前記第2振動体が発生させた振動における振幅のタイミングがほぼ一致するため、より大きな振動を発生させることができる。
【0015】
また、このコップホルダにおいて、
前記振動センサは、前記底部に設けられたものであってもよい。
【0016】
前記底部に設けられていることで、飲料が注がれた際に生じる振動を前記振動センサによって正確に検出することができる。
【0017】
ここで、前記振動センサは、前記底部に周回して配置された線状センサであってもよい。
【0018】
上記課題を解決する本発明のコップホルダシステムは、
上述のコップホルダユニットを第1コップホルダユニットとして有するとともに該第1コップホルダユニットとは別の該コップホルダユニットを第2コップホルダユニットとして有するコップホルダシステムであって、
前記第2コップホルダユニットは、前記第1コップホルダユニットの通信装置から送信された信号を該第2コップホルダユニットの通信装置で受信すると該第2コップホルダユニットの第1振動体が振動し、該第1コップホルダユニットに生じた振動を再現するものであることを特徴とする。
【0019】
このコップホルダシステムによれば、前記第1コップホルダユニットの振動センサが検出した振動を前記第2コップホルダユニットで再現して該第2コップホルダユニットの把手を把持している人にリアルな振動を伝達できる。
【0020】
また、上記課題を解決する本発明のコップユニットは、
筒状部とセンサ取付部とを有するコップ本体と、
前記筒状部の外側に向かって突出した把手と、
前記コップ本体に設けられ、振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記把手に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を発生させる振動体とを備えたことを特徴とする。
【0021】
このコップユニットによれば、受信した信号に応じた振動を前記把手に設けられた前記振動体が発生させるので、前記把手を把持している人にリアルな振動を伝達できる。
【0022】
また、上記課題を解決する本発明の振動再現ユニットは、
面方向に広がる面部材と、
前記面部材から突出した把手と、
前記面部材に設けられ、振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す 信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記把手に設けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を該把手に発生させる振動体とを備えたことを特徴とする。
【0023】
この振動再現ユニットによれば、受信した信号に応じた振動を前記把手に設けられた前記振動体が発生させるので、前記把手を把持している人にリアルな振動を伝達できる。
【0024】
ここで、前記把手は、前記面部材から突出していてもよく、該面部材に結合した他の部材を介して突出していてもよい。すなわち、前記把手は、前記面部材に直接的に連結したものであってもよく、前記面部材に間接的に連結したものであってももよい。
【0025】
また、上記課題を解決する本発明の振動再現キットは、
面部材に着脱可能に取り付けられ、該面部材に生じる振動を検出する振動センサと、
前記振動センサが検出した振動を表す信号を外部に送信し、送信されてきた振動を表す信号を受信する通信装置と、
前記面部材から突出した把手に着脱可能に取り付けられ、前記通信装置が受信した信号に応じた振動を該把手に発生させる振動体とを備えたことを特徴とする。
【0026】
この振動再現キットによれば、前記面部材と前記把手を有する任意の用品に前記振動センサと通前記信装置と前記振動体とを取り付けることで、該把手を把持している人にリアルな振動を伝達できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、リアルな振動を伝達できるコップホルダユニット、コップホルダシステム、コップユニット、振動再現ユニットおよび振動再現キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に用いられる線状センサの構造を示す断面図である。
図2】本実施形態のコップホルダユニットの斜視図である。
図3図2に示したコップホルダの平面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図2に示したコップホルダの使用状態を示す正面図である。
図6図2に示したコップホルダユニットを複数有するコップホルダシステムがネットワークに接続された状態を示すブロック図である。
図7】本実施形態のコップユニットを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ここでは、一例としてコップホルダユニットおよびコップユニットに本発明を適用する例を用いて説明する。先ず、本実施形態のコップホルダユニットおよびコップユニットに用いられる線状センサについて説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に用いられる線状センサの構造を示す断面図である。
【0031】
図1に示すように、線状センサ2は、センサ線20と、内側シース24と、シールド被覆25と、外側シース26とを備えている。線状センサ2は、線状センサ2に加わった圧力や振動を検出するものである。この線状センサ2は、振動センサの一例に相当する。センサ線20は、内部導体21と圧電体22と外部導体23とから構成されている。内部導体21は、線状センサ2の中心に配置されており、7本の導体線211で構成されている。圧電体22は、内部導体21の外周に設けられている。外部導体23は、圧電体22の外周に設けられている。この線状センサ2は、主に被検出体に生じた振動や被検出体に加わった衝撃を検出するものである。
【0032】
7本の導体線211は、いずれも直径が50μmのものであって、このうち4本はステンレス製の導体線211Sであり、残りの3本は銅製の導体線211Cである。図1では、ステンレス製の導体線211Sが左下がりのハッチングで、銅製の導体線211Cが右下がりのハッチングでそれぞれ示されている。図1に示す内部導体21では、中心に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211S(ステンレスワイヤ)が用いられており、外周に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211Sと銅製の導体線211Cが交互に用いられている。銅製の導体線211Cは、ステンレス製の導体線211Sに比べて、電気抵抗が低く、かつ柔らかい。反対に、ステンレス製の導体線211Sは、銅製の導体線211Cに比べて、電気抵抗は高くなるが、機械的強度(例えば、引張強度等)および剛性は高くなる。
【0033】
7本の導体線211は、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置された状態になっている。これらの7本の導体線211は、一本に撚り合わされた状態のものである。すなわち、内部導体21は、7本の導体線211をその断面において最密構造に配置した上で撚り合わせたものである。なお、この場合の内部導体21の太さは最大150μmとなる。このように複数本の導体線211を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、線状センサ2に柔軟性を与えることができる。
【0034】
なお、導体線211の直径は50μmに限られず、8μm以上130μm以下であってもよく、8μm以上100μm以下にすることが好ましい。導体線211は、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度および剛性が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度および剛性が高められる。また、導体線211の太さが20μm以上であれば、低コストで製造することができ、且つ製造も容易である。また、異なる太さの導体線211を撚り合わせて内部導体21を構成してもよい。
【0035】
また、図1に示す内部導体21は、7本の導体線211を撚り合わせたものであるが、この数については7本でなくてもよい。複数の導体線211を撚り合わせることにより、線状センサ2の柔軟性を高めることができる。また例えば、複数本を撚り合わせた束を複数用意し、これらをさらに撚り合わせる、といったように複数段階に分けて撚り合わせものであってもよい。例えば、7本の細い導体線211を撚り合わせた束を7本用意し、その束をさらに撚り合わせた構成にしてもよい。複数段階に分けて撚り合わせることで、線状センサ2の柔軟性がより高まるので、線状センサ2に加わった振動等に応じて線状センサ2が変形しやすくなる。その結果、線状センサ2における検出感度を高めることができる。なお、複数段階に分けて撚り合わせる場合のように、撚り合わせの工程が複数回ある場合には、撚り合わせる方向を異ならせてもよい。一方、複数の導体線211を撚り合わせずに、直線状に束にしたものを用いてもよい。また、例えば、撚り合わせない複数の導体線211の束と、撚り合わせた複数の導体線211を撚り合わせる、といったように、これらの構成を組み合わせてもよい。これらの場合であっても、圧電材料を塗布することで、複数の導体線211が互いに接着されて束ねられ、一本の圧電性繊維を製造することができる。
【0036】
以上説明したセンサ線20では、内部導体21を構成する導体線211として、機械的強度や電気抵抗が異なる複数種類の導体線が用いられているが、柔軟性をさらに高める場合や、電気抵抗をさらに低くする場合には、中心の導体線211を、銅製の導体線211Cに代えてもよく、あるいは、7本の導体線211の全てを銅製の導体線211Cにしてもよい。反対に、機械的強度および剛性をさらに高める場合には、7本の導体線211の全てをステンレス製の導体線211Sにしてもよい。また、ステンレス製の導体線211Sに代えて、タングステン製の導体線や、タングステン及びその合金等の高張力鋼材あるいは超高張力鋼からなる導体線を用いてもよいし、銅製の導体線211Cに代えて、チタン製の導体線や、チタン合金あるいはマグネシウムやマグネシウム合金等からなる導体線を用いてもよい。さらには、カーボンナノチューブを含む導体線であってもよいし、ピッチ系炭素繊維を含む導体線であってもよい。あるいは、弾性変形しやすいバネ鋼材からなる導体線を用いてもよい。
【0037】
圧電体22は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電材料を内部導体21に塗布することによって形成されたものである。ポリフッ化ビニリデンは、圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。圧電体22には分極処理が施されており、振動等によって圧電体22に変形が生じたときに内部導体21と外部導体23の間に電圧が誘起される。
【0038】
図1に示す圧電体22を構成する圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデンの他に、トリフルオロエチレン(TrEF)や、PVDFとTrEFの混晶材料や、ポリ乳酸、ポリ尿酸、ポリアミノ酸等の双極子モーメントをもつ高分子材料があげられる。また、圧電材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。なお、塗布する構成に限らず、例えば、帯状のPVDFフィルムを内部導体21に螺旋状に巻き付けた構成であってもよい。
【0039】
圧電体22の厚みは、導体線211の直径以上であることが好ましい。図1に示す圧電体22の厚さは、最も薄い箇所で75μmであるが、10μm以上150μm以下であることが好ましい。なお、圧電体22の厚さは、厚ければ厚いほど検出感度が良好になるが、圧電体22の厚さの限界値は、塗布する圧電材料の粘度や塗布方法によって決まってくる。また、圧電体22の厚さが厚すぎると線状センサ2が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまうといった欠点もある。
【0040】
図1に示す内部導体21では、複数の導体線211を撚り合わせているため、導体線211同士の境目に窪みがある。この窪みの部分では、より多くの圧電材料を担持することができ、圧電材料の体積が大きく(厚く)なるため、検出感度が他の部分よりも良好になる。内部導体21には、こうした窪みによって圧電材料が他の部分よりも厚い部分が6箇所、周方向に均等間隔で存在するため、どの方向に曲げられても高感度な圧電性繊維として機能する要因になる。
【0041】
なお、図1に示す隣り合う導体線211は互いにほぼ接しているが、わずかな隙間から毛細管現象によって圧電材料が浸透し、隣り合う導体線211同士の隙間(内部導体21の内部)が圧電材料によって埋められた状態になっている。ただし、圧電材料の粘度や塗布方法によっては、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しない場合もある。この場合でも、内部導体21の外周に面した部分に圧電材料が担持された状態となっていればよい。なお、上述した帯状のPVDFフィルムを圧電体22として用いた構成では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透していない線状センサ2になる。この線状センサ2では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しているものと比較して線状センサ2の柔軟性が高まるので、線状センサ2における検出感度が高まる。
【0042】
図1に示す外部導体23は、圧電体22の外周に、カーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料が塗布されることで形成されている。外部導体23を形成する導電性材料としては、銀の微粒子を含む高分子導電性材料や銀ペースト等であってもよい。また、この導電性材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。外部導体23の厚さは、導体線211の直径以下であることが好ましく、また、圧電体22の厚さ以下であることも好ましい。図1に示す外部導体23の厚さは、30μmであるが、5μm以上80μm以下であることが好ましい。また、外部導体23に導電性材料を用いずに導線を用いてもよい。
【0043】
内側シース24は、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるために外部導体23の外周を覆っている。この内側シース24は、厚さが30μmに形成されている。内側シース24は、外側シース26に比べて柔らかい材料で構成されている。この内側シース24は、ポリアミド合成樹脂を塗布することで形成されているが、ポリ塩化ビニル樹脂を塗布することで形成してもよい。
【0044】
シールド被覆25は、ニッケルメッキ銅やステンレスなどの金属製の細線を編組してチューブ状にしたシールドである。なお、シールド被覆25は、内部導体21と圧電体22と外部導体23を内側に有する内側シース24に、蒸着によって銅やアルミニウム等を蒸着させることで形成してもよい。また、シールド被覆25は、スパッタ、EBD(電子線ビーム蒸着)、CVD(気相成長法)、塗布、浸漬(ドブ付け)、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて内側シース24に付着させてもよく、金属箔を巻き付けることで形成してもよい。
【0045】
外側シース26は、内側シース24に比べて耐摩耗性が高い材料で構成されている。この外側シース26は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を塗布することで形成されている。ただし、4フッ化・6フッ化プロピレン樹脂(FEP)、4フッ化エチレンエチレン共重合(EPFE)、または4フッ化エチレンパーフロロアルコキシエチレン共重合 フッ素樹脂(PFA)を塗布することで形成してもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。また、ピンホールが発生することを考慮して複数回塗布することが好ましい。加えて、外側シース26は、内側シース24よりも厚くてもよい。さらに、内側シース24は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外側シース26は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。
【0046】
図1に示す線状センサ2の直径は0.5mmである。ただし、線状センサ2の直径はさらに太くてもよく細くてもよく、0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましい。このような線状センサ2を用いることで、飲料が注がれた際に生じる微細な振動も検出することができる。
【0047】
図2は、本実施形態のコップホルダユニットの斜視図である。
【0048】
図2に示すように、コップホルダユニット10は、コップホルダ1と通信装置5とを備えている。このコップホルダユニット10は、振動再現ユニットの一例に相当する。コップホルダ1は、ホルダ本体3と把手4とから構成されている。ホルダ本体3は、周壁部31と底部32とを有している。周壁部31は、上方に向かうにしたがって広い径になる円筒状をしている。底部32は、周壁部31の下端に嵌め込まれることで着脱可能に周壁部31に結合している。底部32の筐体部分と周壁部31は樹脂で構成されている。
【0049】
把手4は、周壁部31の外側に向かって突出している。把手4は、連結部41と把持部42とを有している。把手4は、連結部41が周壁部31にネジ止めされることでホルダ本体3に固定されている。連結部41は、周壁部31の外周面に沿って湾曲した縁部と、その縁部によって画定された開口とを周壁部31側に有する中空の箱状をしている。連結部41には、上端から高さ方向の中央部分まで延在する把手切欠411が形成されている。把持部42は、連結部41の上端部分から外側下方に向かって湾曲して延在している。連結部41の筐体部分と把持部42は一体に成形された樹脂で構成されている。
【0050】
通信装置5は、無線通信機能を有し、無線通信により通信機器D(図6参照)との間で信号を送受信する。通信装置5は、連結部41まで延在した信号ケーブル51を有している。なお、通信装置5を連結部41内に配置してもよい。また、通信装置5をコップホルダ1に内蔵させてもよい。また、通信装置5は通信機器Dと有線で通信してもよい。
【0051】
図3は、図2に示したコップホルダの平面図である。また、図4は、図3のA-A断面図である。
【0052】
図3および図4に示すように、ホルダ本体3の底部32には、上方に向かって隆起し、中央に円形の孔が形成された隆起部321が形成されている。この底部32は、面部材の一例に相当する。また、ホルダ本体3の底部32にはセンサ保持板322が設けられている。このセンサ保持板322は、上側部分が円盤状で下側部分が中空円筒状をしている。センサ保持板322は、樹脂で構成されている。センサ保持板322は、その下側部分が隆起部321の孔に嵌め込まれることで隆起部321に固定されている。
【0053】
線状センサ2は、長さ方向の中央で折り返されて渦巻状に周回した状態で粘着テープによってセンサ保持板322の上面に貼り付けられている。なお、線状センサ2を接着剤によってセンサ保持板322の上面に接着してもよい。また、線状センサ2の周回数は任意で構わない。ただし、線状センサ2の周回数を多くした方が、ホルダ本体3に生じる振動を高感度に検出でき、特にホルダ本体3に保持されたコップC(図5参照)に飲料が注がれた際にホルダ本体3に生じる振動を正確に検出できる。ホルダ本体3にコップCが挿入されると、センサ保持板322に線状センサ2を貼り付けている粘着テープまたは線状センサ2にコップCの下面が接触し、コップCによって線状センサ2が少し押し潰される。線状センサ2の両端部分は、端子部材27によってリード線28に接続している。リード線28は、底部32の縁に設けられた凹部323および連結部41内を通って信号ケーブル51(図2参照)に接続している。
【0054】
ホルダ本体3の周壁部31であって、把手4が固定されている部分には、U字状の本体切欠311が形成されている。この本体切欠311よりも内側で、本体切欠311によって画定された舌状部分312の中央には、ホルダ本体3の内周側に向かって突出した二重円形状のコップ接触部313が形成されている。ホルダ本体3にコップC(図5参照)が挿入されると、コップ接触部313はそのコップCの外周面に接触する。
【0055】
図4に示すように、ホルダ本体3には第2振動体33が設けられている。第2振動体33は、周壁部31の外周面にネジによって固定されている。第2振動体33は、振動板を有する振動アクチュエータである。第2振動体33は、連結部41によって覆われている。第2振動体33を駆動すると、第2振動体33は、ホルダ本体3に向かって発振する。第2振動体33の振動板は、舌状部分312に接触している。また、その振動板の中心はコップ接触部313の中心と一致している。舌状部分312は、本体切欠311によって周壁部31の他の部分と隔離されて弾性変形しやすくなっているので、第2振動体33を駆動すると第2振動体33によって発生した振動によって他の部分よりも振動しやすい。これにより、ホルダ本体3によって保持されたコップC(図5参照)に第2振動体33の振動が伝わりやすい。
【0056】
把手4には、第1振動体43が設けられている。第1振動体43は、連結部41外側壁の内周面にネジによって固定されている。第1振動体43は、第2振動体33と同じ振動アクチュエータである。この第1振動体43は、第2振動体33とは反対向きに配置され、把手4の突出方向である外側に向かって発振する。すなわち、把持部42が設けられた側に向かって発振する。第1振動体43は、連結部41上側部分の把手切欠411が形成された部分に取り付けられている。また、第1振動体43の振動板は、連結部41外側壁に接触している。連結部41の、振動板が接触している部分は、把手切欠411によって弾性変形しやすくなっているので、第1振動体43を駆動すると第1振動体43によって発生した振動によって振動しやすい。このため、把手4を把持している人に第1振動体43の振動が伝わりやすい。
【0057】
図5は、図2に示したコップホルダの使用状態を示す正面図である。
【0058】
図5に示すように、コップホルダ1の使用状態では、ホルダ本体3にコップCが挿入される。コップCは、紙コップやプラスチックコップなど種々のものを使用できる。挿入されたコップCは、底外面がセンサ保持板322の上面に配置された線状センサ2(図3参照)またはその線状センサ2を貼り付けている粘着テープに接し、外側側面がホルダ本体3の周壁部31内周面に接することでホルダ本体3に保持される。
【0059】
図6は、図2に示したコップホルダユニットを複数有するコップホルダシステムがネットワークに接続された状態を示すブロック図である。図6では、1つのコップホルダユニット10を除いてコップホルダユニット10の内部構成は図示省略している。なお、図6には、4つのコップホルダユニット10がネットワークに接続された様子が示されているが、コップホルダシステム100が有するコップホルダユニット10は、2つまたは3つであってもよく5つ以上であってもよい。
【0060】
図6に示すように、コップホルダシステム100では、複数のコップホルダユニット10が通信機器DとネットワークNを介して通信する。以下、これら複数のコップホルダユニット10のうちの1つを第1コップホルダユニットと称することがあり、この第1コップホルダユニットと通信する他のコップホルダユニット10のうちの1つを第2コップホルダユニットと称することがある。通信機器Dは、ネットワークNに接続できる機器であり、例えば携帯電話やパーソナルコンピュータである。ネットワークNは、例えばインターネットやイントラネットである。
【0061】
通信装置5は、通信部52と、センサ用アンプ53と、振動体用アンプ54とを有している。通信部52は、線状センサ2が検出した振動を表す信号を通信機器Dに送信する。また、通信部52は、他のコップホルダユニット10から送信されてきた振動を表す信号を受信する。振動を表す信号は、振動波形そのものを示す信号であってもよく、周波数毎の振幅や振動数や振動周期などの振動情報を示す信号であってもよい。なお、通信部52から送信される信号は、バンドパスフィルタなどのフィルタを通した後の振動を表す信号であってもよい。通信部52から信号を受信した通信機器Dは、受信した信号をネットワークNを介して他のコップホルダユニット10に送信する。この実施形態では、振動を表す信号を送信したコップホルダユニット10を除く通信可能なすべての他のコップホルダユニット10に振動を表す信号が送信される。ただし、他のコップホルダユニット10のうち特定のコップホルダユニット10を選択してその特定のコップホルダユニット10にのみ振動を表す信号を送信するようにしてもよい。
【0062】
センサ用アンプ53は、線状センサ2が検出した振動を表す信号を増幅して通信部52に送り出す。また、振動体用アンプ54は、通信部52が受信した振動を表す信号を増幅して駆動信号として第1振動体43および第2振動体33に送り出す。第1振動体43および第2振動体33それぞれは、その振動を表す信号に応じた振動を発生させる。その際、振動体用アンプ54は、第2振動体33が第1振動体43とは逆位相の振動を発生させるように、送り出す信号波形をずらして送り出す。第2振動体33は第1振動体43とは反対向きに配置されているため、互いに逆位相の振動を発生させることで、第1振動体43が発生させた振動と第2振動体33が発生させた振動における振幅のタイミングがほぼ一致する。これにより、第1振動体43が発生させた振動と第2振動体33が発生させた振動が互いに重畳し、大きな振動をホルダ本体3および把手4に発生させることができる。
【0063】
以上説明した実施形態のコップホルダユニット10およびコップホルダシステム100によれば、第1コップホルダユニットの線状センサ2が検出した振動を表す信号を第1コップホルダユニットの通信装置5が送信し、第2コップホルダユニットがその信号を受信すると第2コップホルダユニットの把手4に設けられた第1振動体43がその信号に応じた振動を発生させる。これにより、第1コップホルダユニットに生じた振動と同様のリアルな振動を第2コップホルダユニットにおいて再現して把手4を把持している人に伝達することができる。また、コップホルダ1と分離してコップCを洗浄または廃棄できるので、コップホルダユニット10に防水機能を備える必要がない。このため、コップホルダユニット10を安価に構成できる。その上、コップC自体に振動機能がなくても、把手4を把持している人に振動を伝達できるので、様々なコップCを利用できる。さらに、第1振動体43が、把手4の突出方向に向かって発振するので、把手4を把持している人に振動が伝達されやすい。加えて、第2振動体33によって生じた振動がホルダ本体3から把手4に伝達されるので、第1コップホルダユニットのコップホルダ1に生じた振動を把手4を把持している人によりリアルに伝達できる。またさらに、ホルダ本体3の底部32に線状センサ2を配置しているので、コップCに飲料が注がれた際にホルダ本体3に生じる振動を正確に検出できる。
【0064】
続いて、本実施形態のコップユニット80について説明する。本実施形態のコップユニット80は、コップ本体8を除いてコップホルダユニット10とほぼ同一の構成をしているので、これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0065】
図7は、本実施形態のコップユニットを示す正面図である。
【0066】
図7に示すように、コップユニット80は、把手4と通信装置5とコップ本体8とを備えている。このコップユニット80は、振動再現ユニットの一例に相当する。コップ本体8は、有底の筒状部81とセンサ取付部82とを有している。このセンサ取付部82は、面部材の一例に相当する。筒状部81は、下端が閉塞された円筒状をしている。筒状部81は樹脂で構成されている。
【0067】
第2振動体33は、コップ本体8に設けられている。第2振動体33は、筒状部81の外周面にネジによって固定されている。また、第2振動体33は、連結部41によって覆われている。第2振動体33の振動板は、筒状部81の外周面に接触している。第2振動体33を駆動すると、第2振動体33は、筒状部81に向かって発振する。なお、先の実施形態と異なり、筒状部81には、図4に示した周壁部31に設けられている本体切欠311、舌状部分312およびコップ接触部313は存在しない。
【0068】
センサ取付部82は、筒状部81の下端に上端部分が嵌め込まれることで着脱可能に筒状部81に結合している。センサ取付部82の筐体部分は樹脂で構成されている。センサ取付部82には、上方に向かって隆起し、中央に円形の孔が形成された取付隆起部821が形成されている。また、センサ取付部82には、センサ保持板322が設けられている。センサ保持板322は、その下側部分が取付隆起部821の孔に嵌め込まれることで取付隆起部821に固定されている。線状センサ2は、長さ方向の中央で折り返されて渦巻状に周回した状態で粘着テープによってセンサ保持板322の上面に貼り付けられている。図7に示すセンサ取付部82が筒状部81に結合した状態では、線状センサ2またはその線状センサ2を貼り付けている粘着テープに筒状部81の下面が接触して筒状部81によって線状センサ2が少し押し潰されている。線状センサ2の両端部分が接続されたリード線28は、センサ取付部82の縁に設けられた不図示の凹部および連結部41内を通って信号ケーブル51に接続している。
【0069】
把手4は、筒状部81の外側面から外側に向かって突出している。把手4は、連結部41が筒状部81にネジ止めされることでコップ本体8に固定されている。第1振動体43は、この把手4に設けられている。この第1振動体43が、振動体の一例に相当する。連結部41は、筒状部81の外周面に沿って湾曲した縁部と、その縁部によって画定された開口とを筒状部81側に有する中空の箱状をしている。
【0070】
図6に示したコップホルダシステム100と同様に、複数のコップユニット80によってコップシステムが構築されるが、コップ本体8を除いてコップホルダシステム100と同様の構成であるためコップシステムの説明は省略する。
【0071】
このコップユニット80およびコップシステムにおいても上述したコップホルダユニット10およびコップホルダシステム100と同様の効果を奏する。ただし、コップユニット80は、洗浄できるように防水構造にする必要があるため、コップホルダユニット10よりも高価になる。
【0072】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、振動再現ユニットの一例としてコップホルダユニット10およびコップユニット80について説明したが、例えば卓球のラケット、バットなどのスポーツ用品の面部材(例えば卓球のラケットにおけるブレードやバットにおける打撃部分)やフライパンなどの調理用品の面部材(例えばフライパンにおける本体部分)に線状センサ2を設け、ラケット、バットおよびフライパンなどの把手(グリップ)に第1振動体43を設け、通信装置5が受信した振動を表す信号に応じた振動を把手に発生させてもよい。また、通信装置5と、上述したスポーツ用品や調理用品にそれぞれ着脱可能に構成された、線状センサ2および第1振動体43とを備える振動再現キットとしてもよい。こうすることで、任意の用品において生じた振動を、遠隔地にある用品において再現できる。また、線状センサ2の取り付け位置を変更することで線状センサ2に到達する振動の大きさを調整でき、第1振動体43の取り付け位置を変更することで第1振動体43から把手を把持している人に伝わる振動の大きさを調整できる。あるいは、線状センサ2の取り付け位置を変更することができると、ノイズ等の影響を受けにくい位置を探して線状センサ2を取り付けることが可能になる。また、第1振動体43の取り付け位置を変更することができると、再現性の高い位置を探して第1振動体43を取り付けることが可能になる。これらの場合、線状センサ2、通信装置5および第1振動体43は、ネジ、接着剤、両面テープ、磁石などの任意の取付け手段で面部材や把手に取り付ければよい。さらに、圧電体22を用いた線状センサ2について説明したが、導電ゴム等の抵抗線やキャパシタ線等を用いた線状センサ2に変更してもよい。また、線状センサ2に代えて加速度センサなどの振動を検出可能な他のセンサを用いてもよい。さらに、コップホルダユニット10の通信装置5またはコップユニット80の通信装置5は、通信機器Dを介さずネットワークNを経由して他のコップホルダユニット10の通信装置5と直接通信してもよい。加えて、コップ本体8は、両端が開放された筒状部81と上面が閉塞されたセンサ取付部82とから構成されていてもよい。またさらに、線状センサ2は、周壁部31または筒状部81に設けられていてもよい。
【0073】
なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 コップホルダ
2 線状センサ
3 ホルダ本体
4 把手
5 通信装置
8 コップ本体
10 コップホルダユニット
31 周壁部
32 底部
43 第1振動体
80 コップユニット
81 筒状部
82 センサ取付部
100 コップホルダシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7